テレビ番組ネット転送サービスに対する仮処分認容
昨日、東京地裁で、録画したテレビ番組をインターネットで転送するサービスが著作権法違反だとしてNHKなどの放送局がサービスの差し止めを求めた仮処分申立事件で、放送局側の申し立てを認める決定をしたとのこと。相手方は「日本デジタル家電」という静岡県浜松市の会社。専用機器を海外などに住む利用者に有料で貸し出し、テレビ番組を録画して転送するものらしい。
利用者が自分のために録画することは著作権侵害にあたらないのですが、報道によれば、この件でテレビ番組を複製しているのは利用者ではなく事業者であると判断したようです。
同じようなサービスをしていた「録画ネット」事件(平成16.10.7決定、判時1895号120頁)では放送局側の申立が認められたのに対し、別の「まねきTV」に対する仮処分事件は、昨年、東京地裁(平成18.8.4決定、判例時報1945号95頁)、東京高裁(平成18.12.22決定)とも、著作権侵害(送信可能化権の侵害)にあたらないとして、仮処分を認めませんでした。ただし、この件については、仮処分を認められなかった放送局側が、近々、本案訴訟(つまり訴訟)を提起するとの報道がなされています。
これらの事案は、業者によってそれぞれ少しずつサービス業者側の事業形態が異なりますので、その違いを見ずに単純に勝ち負けだけを並べても無意味です。今回の「日本デジタル家電」の業務内容は報道内容を見ても細かい点は不明です。したがって、なぜ、「まねきTV」事件と違う結論になったかというところは、報道内容だけを見ても現時点では残念ながらよくわかりません。
そのあたりの内容が公表された際に検討することとしましょう。
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