2019年12月23日 (月)

口コミ代行業者に関する記事にコメント載りました。

 ネットニュースのJ-CASTニュースの12月22日の記事「口コミ代行が横行?「1件6000円~」も 弁護士が指摘する問題点」にコメントが掲載されました(一番最後のところです。)。

 ご興味のある方は是非お読みいただきたいのですが、私のコメント関連のところをちょっと補足したいと思います。

 景品表示法に関して、「処分対象は依頼側となる可能性が高く」というのは、景品表示法に基づく措置命令課徴金納付命令のような正式な法的処分については、その対象となる事業者は、「自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項」の表示をした者となっていますので、広告会社や広告媒体者(新聞、雑誌、テレビなど)は対象とならず、「依頼側」(=広告主)に対する処分に限られることになるからです。ただし、広告会社などにも、正式な法的処分ではありませんが、違反行為が起こらないように必要な措置を採るように消費者庁が「要請」を行うようなことは考えられます。例としては、2010年末のおせちで問題になった、いわゆる「スカスカおせち事件」では、消費者庁は、2011年2月に、おせちを販売していた会社に措置命令を出すと同時に、そのおせち商品を掲載していたグルーポンに対して、必要な措置(二重価格表示に関して)を要請したことがあります。

 → 「バードカフェおせち事件に関する措置命令及び要請(景品表示法・消費者庁)」 (2011/2/22)

 ただ、この要請は、法的処分ではなく、法的な拘束力があるわけでもありません。不当表示に関係した広告会社や広告媒体者については、上記の通り、景品表示法の行政処分の対象にはなりませんので、何らかの立法対応が必要ではないかと思います。なお、もちろん、詐欺的な宣伝に荷担したような場合は、詐欺や不法行為ということで、広告会社などに法的責任が追及される可能性はあります。

 また、記事にある「消費者庁の景表法ガイドライン」というのは、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(PDF)のことです。該当個所は、これの4~5頁ですね。

 最後に、不正競争防止法(品質等誤認惹起行為)の判決(ライバル業者からの損害賠償請求訴訟)の紹介がありますが、これについては、当ブログの「自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)」(2019/4/19)で取り上げています。

2019年12月22日 (日)

すぐ水没する子供用ライフジャケットに対する措置命令(東京都)

 東京都は、12月17日、子供用ライフジャケット(救命胴衣)の浮力について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)があったとして、株式会社ラムセス(大阪府東大阪市)に対し、措置命令を行いました。

→ 東京都報道発表

 対象となった商品は、子供用ライフジャケット「ジュニア用フローティングベスト」(型番 ラムセス LJ-1007)で、商品の取扱説明書には、「もちろん、浮力については、運輸省「小型船舶安全規則」に定める、7.5キログラム/24時間(小児用は5キログラム)以上の性能を備えています。」と記載されており、あたかも、本件商品が、小型船舶安全規則に定める浮力を備えているかのように表示していました。

 しかし、東京都が、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、同社は、期間内に資料を提出しませんでした。このため、優良誤認表示があったとみなされ(不実証広告制度)、以下のような措置命令が出されたものです。

〔命令の概要〕

  1. 事業者が行った表示は景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
  2. 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
  3. 今後、同様の表示を行わないこと。

 本件で問題なのは、単に、業者が根拠資料を提出できなかったため、不実証広告制度に基づいて不当表示が認定された、というだけではなくて、報道によれば、昨年、東京都が同社のジャケットに5キロの鉄片を取り付け、淡水に浮かべて実験したところ、開始20秒後に水没してしまったとされていて、この東京都の実験では、安全規則違反どころか、ほとんど役に立たない、という結果が出ているところです(東京都「子供用ライフジャケットの安全な使用に関する調査」〔平成31年3月〕参照〔PDF〕)。

 景品表示法に基づく措置命令によって、今後同様の表示はできず(なので、小売店の在庫などはすぐに回収すべきです。)、事実上、同じ商品の販売は継続することが難しいと思います(本年8月には販売はやめたようです。)。ただ、既に消費者に販売された商品の回収が問題となります。しかし、景品表示法はあくまでも表示についての規制ですので、商品の安全に関して、販売済商品の回収までの命令はできません。

 本件は、人命、特に子供の生命に係わることですので、当該事業者が自主的なリコールを行うべきことは当然です。また、消費者庁は、早急に東京都と連携、調査を行い、消費者安全法に基づく情報の公開、消費者に対する注意喚起などを行うべきですし、事業者に対しても必要な措置を行うべく勧告すべき事態かと思います。

2019年12月12日 (木)

毎日新聞販売店の不当景品に対する措置命令など(大阪府)

 久々の更新です。

 一昨日(12/10)、大阪府が、毎日新聞の販売店に対して、景品表示法違反の不当な景品提供があったとして、措置命令を出しました。また、同時に、特定商取引法違反(書面記載不備)に該当するとして、指示処分も行っています。

 → 大阪府報道発表資料

 景品表示法に関しては、毎日新聞瓢箪山南販売所、北山本販売所、八尾北販売所の経営者1名(個人)が、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際に、3千円から1万円の商品券を提供したり、値引きや無料月の設定、スポーツ紙の無料提供などを行っていた、という行為が、景品表示法に違反する過大な景品類の提供に該当するとされています。

 なお、大阪府は、今年3月には、産経新聞に対して、不当景品として同様の措置命令を出しています。これについては、当時、当ブログでも取り上げておりますので、ご覧ください。

 → 「産経新聞社の過大景品提供に対する措置命令(大阪府)」 (2019/3/20)

 → 「新聞購読勧誘の不当景品に関する立入検査報道 (2019/2/14)

 このときの記事にも書きましたが、新聞の販売に関しては、一般の景品表示法の景品額規制とは異なり、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」(告示)の基準によることになりますので、取引の価額の8%又は6か月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになるところ、大阪府によれば、今回の場合、上限額は1,937円とのことです。

 また、特定商取引法に関しては、購読契約書について、月額購読料欄を空欄にする、または、「定価」や「定価-1,200」と記載するなどして、毎日新聞の販売価格を明らかにしなかった点、購読契約書に自らの氏名や担当した者の氏名を記載していなかった点が、それぞれ特定商取引法5条1項書面交付義務の違反(記載不備)に該当する、とされたものです。

 なお、私が検索したところでは、このニュースを報じた新聞は、読売新聞だけのようですね。

2019年11月29日 (金)

パイプテクター問題「田村淳の訊きたい放題!」で生討論

 例のパイプテクター問題について、先日、メーカーの日本システム企画の熊野社長が出演して、討論する生放送番組がありました。

 東京メトロポリタンTV(MX)の「田村淳の訊きたい放題!」の11月23日放送分(再放送11月26日)です。

 パイプテクターを取り付けた水道管に赤さびを黒さびに変えるという効果などはない、とする小波秀雄京都女子大名誉教授と天羽優子山形大准教授が主張するのに対して、熊野社長がどう応戦するのかが楽しみでしたが、なぜか社長の隣にはもっともらしい名前の団体の肩書(一般社団法人持続可能事業支援機構・専務理事)をつけた本間という人が座っていますけど、この人は、古くからのパイプテクターの販売代理店(株式会社エヌ・エフ・ジー)の社長ですよね(苦笑)

 熊野社長はなぜ出演をOKしたのか、と思う内容でしたが、いくつか、客観的なポイントを指摘しておきます。

  1. パイプテクターが赤さびを黒さびに変える理論的な根拠はわからない、と熊野社長自身が言い切った。
  2. 理論が分からなくても効果があるということはある、万有引力の発見される前からりんごは落ちる、との熊野社長の明快な解説。
  3. 理論はわからないといいながら、学会での発表とか、推薦状とかを持ち出す。
  4. 小波教授が持ってきたパイプテクターが本物か偽物かはわからない、本物だとすれば、だれかが盗んだものとどうでもいいことを言う。
  5. そのパイプテクターを分解すれば、安い磁石しか入ってなくて、特許に書かれているような構造ではないことを小波教授が指摘。
  6. それを見ても、本物か偽物かわからない、以前、中国などがそっくり商品を作っていた、と熊野社長と本間氏。(社長や長年の販売代理店の人が見てもわからないなら、本物だろうが偽物だろうが、本物とそっくりな構造であることを認めたものであり、中身が磁石だけ、ということを認めていることになる、と私は思う。)
  7. 小波教授らからの質問に対して、正面から全く答えず、司会の田村淳から、「Q&Aなんだから、QにはAで答えてください、AではなくBで答えているから、議論にならない。」と何度か突っ込まれる。
  8. 出演者の憲法学者木村草太先生が、この装置ではエントロピーが減少していくのか、と熊野社長に質問する。これは、日本システム企画が、パイプテクターに設置してある「黒体放射焼結体」の内部のエントロピーがじわじわと低下する時に電磁波を出す、と主張していることを踏まえてのものである(もっとも上記の5,6によれば、そもそも黒体放射焼結体は設置されていないはず)。これに熊野社長はまともに答えられず、本間氏がエントロピーが減少する、と説明する。木村先生が念を押すが、途中で、エントロピーではなく酸化還元、などと意味不明の言いかえを行う。 なお、エントロピー減少について熊野社長が語っていることは、論座「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々 ネット注目の#謎水装置 開発者を直撃」にも紹介されている。上記1の通り、この番組では理論的な根拠はわからないと明言しているので、ここでも矛盾がある。
  9. 長期間の効果をうたいながら、1年間しか返金保証しないのはおかしいとの天羽准教授の指摘に対しても明確な回答はなし。一方で、1年では効果ははっきりしないが、10年経過するとはっきりした効果が出ていると主張。では、10年での返金保証はしないのか、という指摘には答えず。

 ここまで来れば、評価ははっきりしているようにも思いますけれども、公平を期さないといけませんので、熊野社長からの反論をお待ちしています。

2019年11月12日 (火)

「判例から学ぶ消費者法〔第3版〕」(民事法研究会)が発行されました。

 「判例から学ぶ消費者法」の第3版(島川勝・坂東俊矢編)が発行されました。

民事法研究会サイト

 この本の初版から、「情報化社会と消費者」の章を書いており、今回も引き続き担当しています(第19章)。

 担当部分の裁判例2つの中身についてはあまり変わっていませんが、冒頭の「問題の所在」については、第2版(平成25年発行)以降の情報化社会の進展も激しく、それにまつわる事象の変化もありますので、アップデートのために加筆修正を行っています。

 私の担当個所以外でも、集団的被害回復制度の導入消費者契約法や民法(債権法)の改正など大きな動きがあり、それらをカバーする改訂内容となっています。

 本書の内容について、出版社サイトから以下に引用いたします。ご興味のある方は是非ご一読いただければと思います。


本書の特色と狙い

 約款、集団的消費者被害回復制度について新たに章を設け、民法(債権関係)、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法等の改正、消費者裁判手続特例法の立法から最新の重要判例も織り込んで約6年ぶりに改訂!

 訪問販売、クレジット取引、多重債務、金融商品取引、欠陥住宅、ネットオークションなど、消費者問題の各分野について重要な裁判例をもとに、消費者問題の理論と実務を解説!

 各分野の概説とともに、判決の概要・争点・判旨を紹介したうえで、判決の意義や社会に与えた影響などをわかりやすく示す!

 消費者法を学ぶ学生はもとより、消費者相談にあたる消費生活センター関係者、消費者事件を担当している弁護士・司法書士等の実務家にも必携となる1冊!

本書の主要内容

第1章 消費者問題総論

第2章 民法と消費者法

第3章 消費者契約法(1)─不当勧誘規制

第4章 消費者契約法(2)─不当条項規制

第5章 消費者団体訴訟制度

第6章 集団的消費者被害回復制度

第7章 約款と民法、消費者法

第8章 特定商取引法(1)─訪問販売、クーリング・オフ

第9章 特定商取引法(2)─継続的役務

第10章 特定商取引法(3)─マルチ商法とネズミ講

第11章 割賦販売法(1)─平成20年改正法とクレジット取引

第12章 割賦販売法(2)─クレジットカードの不正使用

第13章 多重債務と消費者

第14章 金融商品取引と消費者

第15章 保険と消費者

第16章 製造物責任と消費者

第17章 欠陥住宅と消費者

第18章 独占禁止法・景品表示法と消費者

第19章 情報化社会と消費者

第20章 宗教被害と消費者

第21章 医療サービスと消費者

2019年10月31日 (木)

デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査(公取委)

 本日、公正取引委員会「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査(オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引)」を公表しました。

 これは、公正取引委員会、経済産業省、総務省が立ち上げた「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」中間論点整理(平成30年12月12日)を踏まえて策定された「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則」(平成30年12月18日)に基づいて、特に問題点の指摘が多いオンラインモール及びアプリストアにおける取引にかかる独占禁止法・競争政策上問題となるおそれのある取引慣行等の有無を明らかにするために実施されたものです。

 調査の対象は、オンラインモール運営事業者又はアプリストア運営事業者がオンラインモール又はアプリストアを利用して出品する事業者(利用事業者)との間で行う取引です。これに関して、公正取引委員会サイトに設置された情報提供窓口に寄せられた情報(計914件)と、利用事業者や消費者に対するアンケート調査の結果、および、運営事業者8名、利用事業者85名からのヒアリングを行うことにより実態調査が行われました。

 → 公正取引委員会報道発表資料
  (報告書本体および報告書概要のPDFへのリンクがあります。)

 報告書本体は99頁あり、まだちゃんと目を通していませんが、報告書概要のほうは16頁にまとめてあります。


 独占禁止法の基本がわかる人なら、概要を読むだけでも、デジタルプラットフォームに関する現在の競争政策上の問題点が整理されているので、良い資料ではないかと思います。

 特に取引に関するデータの問題について、ネット上では、本来、個人情報保護法の問題であり、公正取引委員会ではなく、個人情報保護委員会の所管ではないか、などといった意見もよく見るのですが、もちろん、個人情報保護法の問題も重なる部分があるのは当然ですが、競争政策上の観点からの規制は個人情報保護委員会の仕事ではありませんし、問題となるデータも、個人情報保護法が対象とする「個人情報」に限りませんので(例えば、BtoBの取引情報は個人情報ではありません。)、報告書に示された個々の考え方の当否は別に検討すべきは当然として、ここで公正取引委員会がこの問題を取り上げていること自体は全く不思議ではないですね。

 参考までに報告書本体の目次構成を以下に示しておきます。

第1部 デジタル市場と競争政策
 第1 経済のデジタル化とデジタル・プラットフォームの浸透
 第2 デジタル・プラットフォームの特徴
  1 両面市場とネットワーク効果
  2 低い限界費用と規模の経済性
  3 デジタル・プラットフォームがもたらす便益
  4 集中化・スイッチングコスト・ロックイン
 第3 デジタル・プラットフォームに関する懸念とその対応
  1 競争政策上の懸念
  2 公正取引委員会の対応
 第4 デジタル・プラットフォームの競争環境の整備
  1 取引条件等の透明化
  2 データの移転・開放

第2部 オンラインモール・アプリストアに係る実態調査
 第1 調査趣旨等
  1 調査対象
  2 調査方法
 第2 市場の概要
  1 オンラインモール市場の概要
  2 アプリストア市場の概要
 第3 運営事業者の取引上の地位
  1 市場における有力な地位
  2 独占・寡占的な地位
  3 優越的地位
  4 運営事業者の取引上の地位に係る利用事業者の認識
 第4 取引実態と評価
  1 取引先に不利益を与え得る行為
  2 競合事業者を排除し得る行為
  3 取引先の事業活動を制限し得る行為
  4 公正性・透明性に欠けるおそれのある行為

第3部 結語
 第1 本実態調査の要点
  1 独占禁止法上の考え方
  2 競争政策上の考え方
 第2 今後の取組

2019年10月17日 (木)

即位の日の休日や来年の祝日のお話

 さて、来週22日は、天皇即位の日ですね。どうやら、台風による被害を考慮して、祝賀パレードは延期になりそうですが、即位自体は予定通りということになります。

 既にご承知のことと思いますが、この22日は休日となっています。カレンダーや手帳によっては、対応していなくて、特に記載のされていないものも多いようですので(私の手帳もそうです。)、お気を付け下さい。

 このあたりを法律的に見ていきますと、「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が、昨年12月に公布、施行され、即位の日及び即位礼正殿の儀が行われる日が休日となりました。

 この法律の本体はわずか1条だけで、「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日は、休日とする。」というものです(法律のタイトルそのままですね。)。これに附則がいくつか付いていまして、その附則2条2項は、

「本則及び前項の規定により休日となる日は、他の法令(国民の祝日に関する法律を除く。 )の規定の適用(略)については、同法に規定する休日とする。」

となっていて、これにより、この日は、国民の祝日扱いとなります。

 ということは、我々弁護士の仕事に関係が深い、上訴(控訴、上告など)などの訴訟手続の期間の計算についても、国民の祝日扱いとなります。

 つまり、民事訴訟法95条3項「期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(略)に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。」でいう「国民の祝日に関する法律に規定する休日」に該当するわけですね。

 なお、この条文については、以前、当ブログに書きましたので、そちらもご覧下さい。10年以上前になりますが、今でも同じです。

  → 「控訴・上告期間と年末の判決」 (2008/12/23)

 さて、ついでに、祝日に関する話をご紹介しますと、

 まず、来年から、「体育の日」の名称が、「スポーツの日」に変更されます。

 これは、上にも出てきました「国民の祝日に関する法律」が改正され(施行は令和2年1月1日)、従前の「体育の日」の項が、

「スポーツの日 10月の第2月曜日 スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。」

と書き換えられたためです。

 さらに、本来「スポーツの日」は、ここにあるように10月第2月曜なんですが、来年に限っては、7月24日になります。

 そして、これも来年に限り、「海の日」(本来は、7月第3月曜なので、来年は7月20日になるはずのもの。)も7月23日とされました。

 これは、7月24日東京オリンピックの開会式となる関係で、土日も併せて、7月23日~26日まで4連休にしたものです。

 法律的には、「平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」を改正して、新たに、「第5章 国民の祝日に関する法律の特例」を加え、ここに、

第29条 平成32年の国民の祝日(国民の祝日に関する法律(略)第1条に規定する国民の祝日をいう。)に関する同法の規定の適用については、同法第2条海の日の項中「7月の第3月曜日」とあるのは「7月23日」と、同条山の日の項中「8月11日」とあるのは「8月10日」と、同条体育の日の項中「10月の第2月曜日」とあるのは「7月24日」とする。」(令和になる前にできた法律ですので、平成32年となります。)

という規定を置きました。なお、山の日が移動する8月10日は、閉会式の翌日ですね。

 なお、天皇誕生日も12月23日(本年から)から2月23日(来年は日曜なので翌日が振替休日になります。)に移りますね。

 来年のカレンダーや手帳では既に対応済みとは思いますが、お気を付け下さい。

2019年10月16日 (水)

唐揚げ専門店による産地不当表示(景表法)

消費者庁は、本日、株式会社プラスワン(神戸市兵庫区)に対し、同社が運営する「からあげ専門店こがね」の店舗において、鶏の「もも」と称する部位を使用した唐揚げ及び当該唐揚げを含む商品に係る表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。消費者庁公正取引委員会(公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所)の調査の結果を踏まえたものです。

 → 公正取引委員会報道発表資料

 店舗の看板又は軒先テントの表示に関するもので、例えば、塚本店の看板において、「からあげ専門店 こがね」及び「国産若鶏使用 絶品あげたて」と表示するなどして、あたかも、対象商品には、国産の鶏もも肉を使用しているかのように示す表示をしていたものですが、実際には、全部~一部(3割程度)、ブラジル産の鶏もも肉を使用していたというものです。

 景品表示法違反として消費者庁措置命令を受けたものですが、このような食肉の原産地偽装は、不正競争防止法の対象(誤認惹起行為。同法2条1項20号。)ともなります。景品表示法違反の不当表示行為自体には刑罰はありませんが、不正競争防止法違反行為は刑罰の対象です。

 これまでにも、今回の件と同様に、ブラジル産輸入鶏肉を国産と偽って自治体に対して学校給食用に販売したケースで、不正競争防止法違反で有罪判決を受けたものは複数あります。外国産の鶏や豚を国産と偽ったり、鶏や豚などを混ぜて製造したミンチ肉を牛100%と表示したりしたミートホープ(北海道)事件では、社長に懲役4年の実刑判決が出ています。

 今回の件は店舗での表示であり、学校給食用に偽装し大量に販売するようなケースとは、規模や悪質性などの状況が異なるため、こういった刑事事件に発展するのかどうかはわかりませんが、報道によれば故意にやっていたようですので、形式的には不正競争防止法違反罪に該当するのではないかと思われます。

2019年10月 9日 (水)

限定承認の場合の相続財産管理人の当事者適格

 本日、消費者庁が、整体サロン「カラダファクトリー」を展開する「ファクトリージャパングループ」(東京都千代田区)の整体サービスの割引に関する宣伝が景品表示法違反の不当表示(有利誤認)に当たるとして、同社に措置命令を出しました。初回利用者などに対する割引につき「期間限定」をうたっていたが、期間が過ぎた後も値引きを続けた、というものです。

消費者庁公表資料


 さて、先日受けた相談なのですが、

 相談者には、とある貸付金債権があったが、その債務者が死亡した。債務者にはあまり資産がないためか、法定相続人全員が「限定承認」の手続を家庭裁判所にした。そのため、法定相続人の1人が相続財産管理人に就任した。その債権の回収はなかなか進まないのだが、時効消滅になりそうなので、時効の中断のために、貸金請求訴訟を行いたい。ついては、被告は、法定相続人全員なのか、あるいは、相続財産管理人1人を被告にすればいいのか、という内容でした。

 → 「相続の限定承認」(裁判所サイト)

「限定承認」というのは、それほど多く利用されているわけではなく、民法上も手続が整備されているとはいえないため、実際にはなかなか解釈が難しいことがありますね。

 上の相談に対しては、私の直感的には、相続人全員を被告にする(なお、金銭債権の相続なので、分割債権になります。)ことになると思うけれども、限定承認ではなく相続人不存在の場合であれば、相続財産管理人が被告となるのだから、同様、という考え方もあり得ると思うので、調べますね、ということで、調べました。

 そうすると、今回の相談とは反対の事案、つまり、貸付金の債権者が死亡して、相続人が限定承認をして、債務者に請求訴訟を提起した、という場合の最高裁判決が見つかりました。

 最高裁昭和47年11月9日第一小法廷判決(判タ286-219)ですが、この訴訟は、相続財産管理人が原告本人となって、債務者を被告として訴訟を提起しています。

 原審の仙台高裁秋田支部は、このような場合でも、相続財産に関する権利義務の主体となるのは、共同相続人全員であって、相続財産管理人は一種の法定代理人としての地位に立つ、したがって、共同相続人全員が原告となり、相続財産管理人がその法定代理人として訴訟追行にあたるべきであったが、この訴訟は、相続財産管理人自身が原告となって提起したのだから、当事者適格を欠き不適法であるとして一審の請求認容判決をくつがえして、訴えを却下しました。なお、当事者適格訴訟要件のひとつですが、訴訟要件を欠く場合には、請求の棄却ではなく、訴えの却下、となります。

 そして、この判決に対する上告審である最高裁も原審判決を支持し、相続財産管理人は相続人全員の法定代理人の地位を有するに過ぎず、当事者適格は有しない、として、相続財産管理人(原告、上告人)の上告を棄却しました。

 そうしますと、最初の相談の事案は、当事者が反対とはいえ、理屈は同じことになりますので、債権者は、相続人全員を被告として請求訴訟を提起することになりますが、相続財産管理人がいますので、相続財産管理人を相続人全員の法定代理人として訴訟を提起することになります。なので、訴状の送達など、訴訟の手続自体は相続財産管理人だけを相手にすればよいことになります。

 ということで、私としては、無事に相談に回答できたわけですが、この最高裁判決の事案はおそらく弁護士であれば、違和感があると思います。「なんで、こんなことになったの?」という感じです。相続財産管理人には弁護士が代理人としてついていたようです。

 調べてみると、この一審の地裁では、被告(債務者)は期日に出頭せず答弁書等も提出しなかったため、いわゆる欠席判決として、原告の請求が全て認められる判決が出ているのです。おそらく、被告はそういうことを知らずに放置していたのかもしれません。敗訴判決が送られてきて、びっくりして、今度は弁護士に依頼して、控訴をしたものと想像します。しかし、高裁判決を見る限り、被告の訴訟代理人は、原判決を取り消して請求の棄却の判決を求め、債務について、弁済、代物弁済、免除などがあり、既に債務はなくなっている、という主張をしているようで、当事者適格を欠くので却下、という訴訟要件についての主張はしなかったように読めます。

 民事訴訟では、当事者主義の一場面として、当事者が主張しなかった請求原因を裁判所が勝手に採用して判断することはできません。しかし、訴訟要件に関しては、職権調査事項とされ、当事者の主張がなくても、裁判所が調査し判断することとなっているのです。なので、高裁は、自身で、当事者適格を判断したということになります。

 ただ、理屈はそうなんですが、実際の裁判手続を考えると、おそらく、高裁はどこかの時点で、相続財産管理人当事者適格について気づいて、原告、被告双方にその点の問題を伝えていると思います。そして、双方が当事者適格の有無について、主張を追加して、という流れだと思います。当然ながら、その時点では、この最高裁判決は出ていないのですから、両方の考え方があり得ることになります。いずれにしろ、債権者の代理人弁護士は、一審で簡単に勝っていただけに、この流れは大変だったろうな、と同業者として思います。この事案では実際どうだったのかは、わかりませんが、私の相談のように、時効中断も目的とする訴訟であれば、この訴訟が訴えの却下で終われば、時効が中断しなかったことになり、もし時効期間が経過してしまっていれば、債権は時効消滅してしまったことになるので大変です。かといって、当事者適格の有無についての判断がまだ明確ではない時点で、債権者の代理人としては、どうすれば良かったのか、ということを考えると、結構難しいですね。法律家であれば、「主観的予備的併合」という言葉が浮かびそうです。もっとも、現在では「同時審判申出」制度ができましたので、これを使うことになるのでしょうね(問題点に気づいていれば、の話ですが)。

2019年10月 6日 (日)

消費生活センター、マンション管理組合など昨日記事の補足

 昨日の記事の続きです。

 長野剛記者は論座の記事「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々」(4ページ目)の中で、各地の消費生活センターについて、「ただ、設置根拠となる消費者安全法では「消費者」は「個人」です。消費者庁の担当者は「マンション管理組合は消費者にはならないと解釈しています」とし、消費生活センターの救済対象ではないとの認識でした。」と書かれています。

 確かに、消費者安全法には、地方自治体の消費生活センターの設置が規定されていますが、この消費生活センターは国の機関や独立行政法人などではなく、あくまでも都道府県市町村が設置する組織です(多くは消費者安全法(平成21年施行)のずっと以前から存在しており、その設置の根拠は地方自治体の条例。)。したがって、名称についても、「消費者生活センター」以外にいろいろあって、たとえば、京阪神でも、大阪府は「消費生活センター」ですが、大阪市は「消費者センター」、兵庫県は「消費生活相談センター」、神戸市は「消費生活センター」、京都府は「消費生活安全センター」、京都市は「消費生活総合センター」になっています。東京都は「消費生活総合センター」ですね。なお、「国民生活センター」という独立行政法人がありますが、これは、「消費生活センター」とは違うもので、元々は50年前に国の特殊法人として設立されており、「独立行政法人国民生活センター法」を設置の根拠とするものです。

 話がそれましたが、消費者安全法消費生活センターについての規定があるのは、上記記事の通りではあるのですが、要するに「消費者安全の確保」に関する相談やあっせんなどの事務を行うというものです。そして、消費者安全法においては、「消費者」は個人であり(団体は除外)、「消費者安全の確保」とは、消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保すること、となっています。では、マンション管理組合は団体であり個人ではないので、消費生活センターの業務の対象外と言えるのでしょうか。

 法律における「消費者」という用語全般については、1年ほど前に「法律と「消費者」」 (2018/6/30)というのを書きましたが、法律によって表現は違うけれども、基本的に、「消費者」は個人となっています。しかし、消費者契約法では、「消費者契約」の契約締結時の問題とか契約条項の内容についての規制が定められているので、規制が及ぶのは、消費者と事業者との契約関係に限られます(救済裁判例もありますが、省きます。)。したがって、団体であるマンション管理組合と事業者との契約は残念ながら対象外となってしまいます。長野記者が消費者庁の担当者の見解として書いているのは、消費者安全法を含む、こういった法律上の「消費者」の解釈によるものかと思います。

 しかし、消費者安全法は、「消費者契約」のみを対象とするものではなく、例えば、直接の契約関係にはない、商品の製造業者であっても、欠陥商品などによる消費者安全に関する問題については対象となります。そして、居住用のマンションの住民たちそれぞれは、まさしく個人たる「消費者」であり、マンション管理組合が購入、設置した商品を、実質的には自分らの個人財産から代価を支払い、共有物として所有し、利用するわけですので、それによって、住民たちに生ずる損害に関する問題は、消費者安全法の守備範囲です。

 なお、安全という言葉からは、生命や身体の被害が思い浮かびますが、消費者安全法は「消費者事故等」の定義として、それ以外に、「虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を疎外する恐れがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態」(同法2条5項3号)も含めています。そして、政令では、「商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をすること。」(施行令3条1号)となっています。ここでは、広告、表示を直接消費者個人に向けられたものに限られておらず、広告、表示が誇大、虚偽であることに基づいて、消費者の利益を不当に害するものであればよいと考えるべきです。

 しかも、居住用のマンション管理組合は、実態的にみても、個人の塊の非営利団体であって、一般的な流通の中の卸業者とか小売業者のように独立した存在ではありませんから、なおさらだと思います。事業者からの購入も、住民らの総会や理事会の決議で決まるのですから、多数決とはいえ、基本的には、直接それぞれ個人の意思判断にかかるものであり、事業者によるマンション管理組合に対する広告、表示は、実際には住民たる個人に向けられているといえます。

 このように、長野記者が取り上げたマンション管理組合相手のセールスも消費者安全法の対象と考えるべきであり、まぎれもなく消費者問題そのものです。したがって、消費生活センター国民生活センターも、マンション管理組合が個人であることを理由に取り上げないのは疑問です。

 ただ、取り上げられた問題は、科学的・技術的な性能を謳う高額商品ですので、各地域の消費生活センターが判断することは難しいといえます。ただでさえ、予算や人員が減らされて疲弊しており、商品テストの人材、設備がない所がほとんどで、相談員などの職員の皆さんはその中で頑張っておられます。

 となると、やはり国民生活センターや製品評価技術機構(nite)といった国の機関(独立行政法人)で何とか当該商品のテストができないものかな、と思います。

 なお、最後に付け加えると、前にもちょこっと書いたように、独占禁止法の規制する「不公正な取引方法」の中の「欺まん的顧客誘引」に該当するのであれば、公正取引委員会が乗り出せるのではないか、と思っています。
 また、民事的には、住民やマンション管理組合から以外に、同業者などの関係業者が、不正競争防止法誤認惹起行為(同法2条1項20号)に基づく請求を行うということも考えうるところです。

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