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2018年9月20日 (木)

牛肉の不当表示事案(大阪府)と健康食品への措置命令取消訴訟

 ブログの更新ができない間に、景品表示法関連のニュースがいくつか入っています。

 まず、スマホゲーム「星のドラゴンクエスト」に関するガチャの不当表示を巡る返金訴訟の判決で原告側が敗訴した(9/18)という件については、判決を入手しましたので、後日に別記事にてご紹介したいと思います。


 次に、9月11日に大阪府が、先日(4/19)のイオンに対する措置命令「ようやく大阪府も措置命令(景品表示法)」参照)に続き、法改正以来2件目となる措置命令を出しました。

 これは、株式会社恒づね(大阪府枚方市)が経営する飲食店「ステーキカッポー恒づね」が提供する料理の提供およびネットショップで販売する牛肉商品について、その表示が景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)に該当するとして、大阪府措置命令を出したものです。

 → 大阪府報道発表資料

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 料理提供に関しては、店舗用メニューなどで「ディナーの牛肉は融点温度の低い雌牛のみを使用しています」と表示して、あたかも全てのディナーに雌牛を使用するかのように表示していましたが、実際には、使用されていた牛肉の大半(「和牛ヒレ」は約66%、「和牛サーロイン」は約44%、「国産牛ヒレ」は約99%)が雄牛(去勢牛)であった、ネットショップの牛肉商品に関しては、商品名などに「恒づねA5和牛」、「最上級A5ランク」、「A5ランク霜降り和牛」などと表示していましたが、実際には、商品を仕入業者から購入する際に、牛肉の格付けを確認しておらず、本件商品がA5ランクであることの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を示すことができず、大阪府の調査の結果、本件商品にA5ランク以外の精肉が混入していたことが認められた、というものです。


 また、昨年3月に、健康食品「アスタキサンチン アイ&アイ」による目の症状改善についての表示について、消費者庁より措置命令が出されていた株式会社だいにち堂(長野県安曇野市)が、8月24日に、この措置命令の取消を求めて、消費者庁を相手として訴訟を提起したと、本日の通販新聞が報道しています。

 → 通販新聞「だいにち堂 消費者庁を提訴、アイケイ健食の処分取消し求め」(9/20)

 この同社に対する昨年の本件措置命令については、当ブログでもご紹介しています。

 → 「健康食品による目の症状改善についての不当表示に対する措置命令」
 (2017/3/9)

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 なお、通販新聞の記事によれば、「だいにち堂をめぐっては、処分以降、通常であれば行われる日刊紙等への「謝罪広告」の掲載が行われておらず」とあり、同社が措置命令に従っていないような表現となっています。景品表示法違反の不当表示行為自体には罰則規定はありませんが、措置命令の違反については罰則があります。このあたりはどうなっているのかな、と思います。

2018年9月 5日 (水)

やせる健康食品の不当表示(消費者庁)

 昨日は台風21号が四国、近畿、北陸を駆け抜けていき、ご承知の通り、関西国際空港をはじめとして、大阪近辺でも大きな風の被害を残していきました。私の事務所も昨日は休業しましたが、今朝は、あちこちで街路樹が倒れているなどの情景を目にしました。

 さて、その昨日(9/4)、消費者庁は、株式会社キリン堂(大阪市淀川区)に対し、同社の販売する健康食品「グラリスゴールド」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。キリン堂は、大阪を中心に多くの店舗を展開するドラッグストアチェーンですね。健康食品の宣伝に関する不当表示事案が続いています。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件は、キリン堂の各店舗における店頭表示物に、太った人物が腹部を掴んでいるイラスト、細身の人物がサイズの大きなズボンを掴んでいるイラスト及び人物が腹部を指差している画像と共に、「挑戦者続出」、「食べるの大好き&運動嫌い」、「でも燃えた!!」、「脂肪を減らしながら基礎代謝を上げる だからリバウンドしにくい」、「①脂肪分解酵素を分解 ②脂肪燃焼力を大幅UP ③脂肪合成酵素を徹底抑制 + さらに④還元型CoQ10で燃焼力UP↑」及び「脂肪の消費を大幅UP」と記載して(下の絵)、あたかも、摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、体脂肪の分解、燃焼及び合成抑制による、外見上身体の変化を認識するまでの痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた、というものです。

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                     (※画像は消費者庁公表資料より)

 しかし、消費者庁が、キリン堂に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、同社は資料を提出しましたが、それらは、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められず、不実証広告制度(景品表示法7条2項)により、優良誤認表示とみなされたものです。

2018年8月19日 (日)

アフィリエイト・リンク先に不当表示の周知ページを掲示させる(消費者庁)

 共同通信の配信ニュースのようですが、ここ数日、各紙で、消費者庁が、「悪質なインターネット広告対策として、成果報酬型のネット広告「アフィリエイト」に着目した新たな取り組みを始めた。商品の表示に虚偽があるなど、違法広告が判明した企業に対し、これまでは企業のサイトに違反内容を掲示させていた。これに加え、商品を紹介したアフィリエイトサイトを経由した場合でも違反を消費者が把握できる仕組みにするよう指導している。」という報道がなされています。

 これは、ネット通販業者のブレインハーツ(大阪市北区・なお、同名の別企業があるのでご注意。)が、健康食品について根拠なく痩身効果をうたっていたことに対し、今年6月、消費者庁景品表示法違反の不当表示として措置命令を出した件に関するもののようですね。この措置命令については、命令の翌日に当ブログでも紹介しています。

 → アフィリエイトサイトの表示にも言及した措置命令(不当表示) (6/16)

 私は、このときのブログ記事の最後に、措置命令主文の中に、消費者へのの周知徹底の方法につき、「アフィリエイトサイトからハイパーリンクにより「roifleur」と称する自社ウェブサイトに遷移する動線を含めること」と書いてあること関して、「「遷移する動線を含める」方法というのは具体的にどこまで求められるのかは、これだけでは必ずしもよく判りませんが。」と書きました。

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 今回の報道は、これに関係するもので、どうやら、アフィリエイトサイトでこの商品の広告をクリックすると、ブレインハーツ謝罪文ページにつながるようにしたようです。

 アフィリエイター(アフィリエイト・サイトを運営している人)や広告会社に対しては、不当表示がなされた商品やサービスの供給者ではないため、景品表示法の直接の適用対象とすることは原則としてできないですが、対象事業者(広告主)に命じて、アフィリエイトからリンクする先にこのようなページを表示させることによって、消費者に周知徹底させるというのは実効性がありますね。単に会社サイトのどこかに謝罪ページなどを作っても、ほとんどの人は見に行かないと思われますので。

続きを読む "アフィリエイト・リンク先に不当表示の周知ページを掲示させる(消費者庁)" »

2018年8月 6日 (月)

「2018年消費者法白書」(消費者法ニュース116号)

 消費者法ニュース116号(2018年消費者法白書)が届きました。

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 いつものように私も書いてます。消費者法白書第10章独占禁止法・景品表示法のところです。

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 本号の内容については上記リンク先で全目次を見ることができますので、そちらを見ていただきたいのですが、消費者法白書の他にも、特集として、 「成年年齢引き下げに反対する(2)—未成年者の消費者被害・マルチ商法被害の実態—」、「仮想通貨ーその問題と法規制のあり方」、「クレプトマニア(窃盗症)とその救済」が取り上げられており、その他にも、盛りだくさんです。

 なお、この雑誌はAmazonや一般書店では取り扱っていませんので、上記リンク先からお申し込みください。

2018年7月31日 (火)

豊胸効果をうたう健康食品の不当表示(消費者庁)

 昨日(7/30)、消費者庁は、株式会社GLORIA(東京都文京区)が販売する食品(サプリ)「pinky plus」の表示について、不当表示(優良誤認)であるとして措置命令を出しています。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 これは、自社webサイトに、「ツイッターやfacebookで話題のバストアップサプリ!」、「『プエラリア』で満足出来なかった女性」、「94%が2カップ以上UPを実感」、「10日間でまさかの2カップUP」などと記載して、商品を摂取するだけで、誰でも容易に著しい豊胸効果が得られるかのように示す表示をしてました。   
 しかし、消費者庁から、GLORIAに対して、表示の裏付け資料の提出を求めたところ、同社から提出された資料は合理的な根拠を示すものとは認められなかったものです(不実証広告)。

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                 ※ 画像は消費者庁公表資料より

 豊胸効果をうたう健康食品については、「プエラリア・ミリフィカ」を含む商品について、以前、措置命令および課徴金納付命令が出されています。今回の措置命令で対象となった「『プエラリア』で満足できなかった女性」という記載の「プエラリア」というのは、この「プエラリア・ミリフィカ」のことですね。

「「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品の危険性(国民生活センター)」
                              (2017/7/21)

「プエラリアのバストUP広告に対する課徴金納付命令など」 (2018/3/24)

2018年7月27日 (金)

電子商取引及び情報材取引等に関する準則の改訂(経産省)

 本日、経済産業省が、 「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」につき、AIやブロックチェーン等最新技術が取引環境にもたらす変化等を踏まえた改訂を公表しています。

  → 経済産業省ニュースリリース

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 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、電子商取引や情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、平成14年3月に策定されたもので、毎年のように改訂がなされています(前回改訂は、平成29年6月)。

 今回の改訂内容は以下の通りです。

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 1.取引環境の変化に応じた改訂を要する論点

Ⅰ-10
AI スピーカーを利用した電子商取引(新規)

 電子商取引の分野においても、AI やブロックチェーンを初めとする新たな技術を活用したサービスが登場・普及しつつある。こうした新たなサービスの利活用の促進、未然の紛争防止等を目的に、準則においても先進的なサービスを巡る法的論点を取り上げることとし、本論点では、いわゆる AIスピーカー(スマートスピーカー)を対象に、サービス事業者の責任について解説している。

Ⅰ-10-1
AIスピーカーが音声を誤認識した場合(新規)
      
 AI スピーカーが発注者の発言がないのに誤って音声を認識し、発注処理をした場合、ユーザにどのような救済が与えられるかを整理している。

Ⅰ-10-2
AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合(新規)

 発注者が AI スピーカーで音声発注をしようとして、うっかり言い間違えをしてしまったため、発注者の意図と異なる物品が発注された場合に、発注者にどのような救済が与えられるのかを整理している。

Ⅲ-14
 ブロックチェーン技術を用いた価値移転(新規)      

 ブロックチェーン上で管理される財産的価値(トークンや仮想通貨等)の移転を約する契約(例:ビットコインによる商品・サービスの購入など)において、相手方が契約違反をした場合、当該財産的価値の移転を内容とする請求が可能かについて解説している。

Ⅳ-7
 国境を越えた取引に関する製品安全関係法の適用範囲(新規)

 公法規制の国境を越えた取引における適用は、今日の電子商取引・情報財取引における大きな課題となっていることを踏まえ、製品安全関係法(消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)が海外の事業者に適用される場合がある場合について解説している。

2.特定商取引法施行規則改正に伴う改訂

Ⅰ-2-4
 自動継続条項と消費者契約法第 10 条等

Ⅱ-4-2
 特定商取引法による通信販売に係る広告規制

3.論点の削除

Ⅰ-1-3
 インターネット通販における分かりやすい申込画面の設定義務
 (消費者庁のガイドラインを参照しているのみであるため、削除)

4.その他

Ⅰ-1-2
 自動継続条項と消費者契約法第 10 条等
 (消費者庁のガイドラインへの参照を追記)

Ⅰ-7-1
 ユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任
 (ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)

Ⅱ-6
 インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害
 (ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)

2018年7月25日 (水)

マクドナルドの「ローストビーフバーガー」に措置命令(消費者庁)

 昨日、消費者庁は、日本マクドナルド株式会社(東京都新宿区)に対し、同社の「東京ローストビーフバーガー」、「東京ローストビーフマフィン」とこれらを含むセット料理の表示(テレビCM、自社サイト、店頭など)が、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)であるとして、措置命令を行いました。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

 これは、例えば「東京ローストビーフバーガー」について、テレビCMにおいて、「しっとりリッチな東京ローストビーフバーガー」との音声と共に、ローストされた牛赤身の肉塊をスライスする映像を放送するなど、あたかも、使用されている「ローストビーフ」には、ブロック肉を使用しているかのように示す表示をしていましたが、実際には「ローストビーフ」の過半について、成形肉(牛赤身のブロック肉を切断加工したものを加熱して結着させて、形状を整えたもの)を使用していた、というものです。

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                    ※画像は消費者庁公表資料より

 昨年8月の事案ですが、当時、ネット上では、この商品について、いろいろとツッコミがされていました。例えば、J-CASTニュースでは、 「マックの「ローストビーフバーガー」騒動 豚肉説は誤解も...もう一つの「疑問」が」(2017/8/14)という記事を出しています。
 本来は「ローストビーフ」は塊のブロック肉を使うもので、成形肉を使ってはいけないことは食品衛生法に基づく製造基準に書かれており、2013年には、複数の企業がこれに違反していたことが報道されています。本件を食品衛生法上どう見るか、というのは、このJ-CASTの記事にもあるように、ちょっと微妙なところがあります。

 なお、成形肉を使ったことによる景品表示法違反の事件は過去にも、いくつかありますが、詳しくは、下記のブログ記事をご覧下さい。

「牛脂等注入肉と成形肉の偽装表示に関して(景品表示法)」 (2013/11/10)

2018年7月16日 (月)

「カフェパウゼで法学を-対話で見つける〈学び方〉」(横田明美著)

 横田明美先生(千葉大大学院准教授)が、主として法律を学ぶ学生向けに書かれた書籍を出版されました。

 「カフェパウゼで法学を-対話で見つける〈学び方〉」 (弘文堂)です。

 横田先生は、行政法を専門とされていますが、行政法消費者法とが交錯する分野についても研究されており、先生のブログの1つ「横田明美研究室」でも、

 「「ロボットと消費者保護 行政法の視点から」を報告しました」

 「主婦連・全地婦連が検討した法的手段~処分等の求めとは」

というような記事を読むことができます。

 消費者法というと、従来、弁護士にせよ、研究者にせよ、民事法の面からのアプローチが中心だったように思いますが、特定商取引法にしろ、景品表示法にしろ、もちろん、各種の業法にしろ、その多くは行政法でもあるわけです。なので、特定商取引法業務停止命令や、景品表示法措置命令・課徴金納付命令などなどの行政機関による権限行使、執行が、消費者問題に関しても重要な役割を果たすのですから、行政法からの視点も重視しなければならないことは当然です。横田先生には、この分野でますます活躍されること期待しています。

 さて、今回出版された本ですが、なかなか可愛らしい装丁になっています。

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 内容は、ぱうぜ先生(横田先生のハンドルネーム)と学生3名の対話を中心として、高校までの勉強と大学の研究の違い、大学での学び方、論文の書き方、進路などについて、学生たちに丁寧に指導、説明する内容になっています。構成は以下のようになっていますが、最後の第Ⅴ部から読み始めても、取っつきやすいかな、と思ったりしました。

 第Ⅰ部 大学生活を楽しもう――1年生編
 第Ⅱ部 レポートをちゃんと書いてみよう――2年生編
 第Ⅲ部 法学を学ぶあなたに――3年生編
 第Ⅳ部 卒論を書いてみよう――卒論編
 第Ⅴ部 自分の未来を作るには――進路編

 四半世紀以上も前の私の法学部生時代には、大学は今ほど学生たちに親切ではなかったですので、法学部に入ってみたものの、法律学の考え方を本当に理解できるまで結構時間がかかりましたし、大学で何をするのか、といった基本的なことも試行錯誤の世界でした。自分でつかんでいくことも、もちろん重要なのですが、基本的な方向付けは指導してもらうことができれば、余計な時間を費やしたり、方向違いを起こしたりすることは減っただろうと思います。

 法学関係の学生さんには是非読んでいただきたい一冊ですね。

2018年7月 3日 (火)

老人ホームのパンフレット表示に対する措置命令(消費者庁)

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 本日、消費者庁は、HITOWAケアサービス株式会社(東京都港区)に対し、同社が運営する有料老人ホーム「イリーゼ」において提供するサービスに関するパンフレットの記載内容が、不当表示(景品表示法5条3号)であるとして、措置命令を行っています。

 昨日の神戸大学法科大学院の消費者法の講義で、ちょうど景品表示法の話をしたところですので、来週の講義にはこれを資料に持って行こうと思います。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 「イリーゼ」は北海道から沖縄まで100個所以上もの施設があるようですね。

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 このパンフレットには、「終の棲家として暮らせる重介護度の方へのケア」とした上で、「寝たきりなど要介護度が重い方もお過ごしいただくことができます。ご希望の方には、医療機関と連携しご家族様のお気持ちに寄り添いながら看取り介護にも対応しております。」と記載されていました(画像は、消費者庁公表資料より)。
 しかし、実際には、入居者の行動が、他の入居者や従業員の生命身体に危害を及ぼし、または、その切迫したおそれがある場合であって、「イリーゼ」における通常の介護方法又は接遇方法ではこれを防止することができないときは、当該入居者との入居契約を解除することがある、とのことのようです。

 措置命令の本文を見ても、本件の契約解除というのが、契約上記載されているということなのか、契約には書いていないが現実に解除している、ということなのか、明確ではないのですが、記載されている内容の契約条項があるとして、通常は、その条項自体が違法だとか無効だとかまでは言えないと思います。本件の措置命令は、もしそういうことならば、ちゃんとパンフレットに記載しておきなさい、というものです。

 景品表示法不当表示は、5条1~3号に規定され、優良誤認表示(1号)、有利誤認表示(2号)、告示指定表示(3号)となっています。
 3号の告示は、現在6種類(記事最後に記載)ありますが、本件はその内の、「有料老人ホームに関する不当な表示」6項(居室の利用についての表示)に該当するものとして措置命令が出されました。   
 これは「終身にわたって入居者が居住し、又は介護サービスの提供を受けられるかのような表示であって、入居者の状態によっては、当該入居者が当該有料老人ホームにおいて就寝にわたって居住し、又は介護サービスの提供を受けられない場合があるにもかかわらず、そのことが明りょうに記載されていないもの」が不当表示となるものです。

 措置命令の対象となる不当表示のほとんどは、優良誤認表示有利誤認表示ですので、この指定告示表示はかなり少ないのですが、比較的多いのが原産国表示で、最近では、昨年6月のボーネルランド社の玩具についての措置命令があります。

 → 「玩具の商品原産国に関する不当表示(景表法5条3号)の措置命令」
                                (2017/6/23)

 なお、不当表示課徴金は、優良誤認表示有利誤認表示が対象となっており、本件の3号の告示指定表示については対象となっておりません。

〔告示〕(リンク先は消費者庁サイトのPDF)   

2018年6月30日 (土)

法律と「消費者」

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 法律において、「消費者」がどのように規定されているか、なのですが、まず、日本国憲法には「消費者」という用語は出てきません。

 現行の法律の名称に、「消費者」が使われているのは、検索してみると、以下の7つでした(検索漏れ等があればご指摘ください。以下、同じく。)。   

  • 消費者基本法
  •    
  • 消費者契約法
  •    
  • 消費者安全法
  •    
  • 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
  •    
  • 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
  •    
  • 消費者庁及び消費者委員会設置法
  •    
  • 消費者教育の推進に関する法律

 法律の条文の中に「消費者」が出てくるのは、結構多数あるのですが、その内、「消費者庁」「消費者委員会」「消費者物価指数」「消費者団体」「消費者政策」「消費者問題」という形で出てくるものを除くと、70数件の法律に「消費者」という用語が使われていました。もっとも、ほとんどは、抽象的な意味での「消費者」ですが。

 面白いことに、消費者保護法の代表的存在といえる特定商取引法には、「消費者」という言葉は「消費者庁」「適格消費者団体」「消費者委員会」「消費者契約」という形では書かれていますが、「消費者」単体では出てこないのです。これに関連して、最後のところで触れておきます。

 また、「消費者」という言葉について、法律上、一般的な定義付けはありません。各法律ごとで定義をしているものも、下記のように少数であり、多くは、定義されないまま使用されています。
 例えば、消費者政策の核となるべき消費者基本法にも、消費者向け広告表示の一般法である景品表示法にも、「消費者」の定義は書かれていません。

 定義が条文上規定されているものと見ていくと、

消費者契約法では、   

第2条(定義)       
 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(いわゆる電子契約法)では、   

第2条(定義) (2項)       
 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいい、(以下略)

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律では、   

第2条(定義)       
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。         
 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。

(以下略)

消費者安全法では、   

第2条(定義)       
 この法律において「消費者」とは、個人(商業、工業、金融業その他の事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。

民事訴訟法では、   

第3条の4(消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権)       
 消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下同じ。)と(以下略)

法の適用に関する通則法も、民訴法と同じ内容です。

 こうして見ると、若干表現に違いはありますが、ほぼ同じで、まず「個人」であること、つまり、法人等の団体は除外され、また、個人であっても、事業として当事者となる場合は除外されること、が要件となっています。そのため、零細な個人事業者やマンションの管理組合などの無知につけこむ悪徳業者の行為に適用されない、という問題が出てくるわけです(救済している裁判例もありますが。)。

 なお、先に述べたように、特定商取引法には「消費者」という用語が単体としては出てこないのですが、第26条(適用除外)の1項には、   

 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。

一 売買契約又は役務提供契約で、第二条第一項から第三項までに規定する売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供         
(以下略)

と規定されています。   
 この「前三節の規定」とは、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規制です。「営業のために」「営業として」締結する売買契約等には適用されないので、結局、(若干、異なる部分はありますが)上記の他の法律とほぼ同じようなこととなるわけです。この他、特定継続的役務提供(第50条)訪問購入(第58条の17)にも同様の規定が置かれています。    
 また、業務提供誘引販売の場合は、このような適用除外規定はないのですが、第52条第58条などで、「その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人に限る。」という限定がなされています。ドロップシッピング裁判の時にここが争点のひとつになりました。    
 「悪質ドロップシッピング業者に対する勝訴判決(大阪地裁)」 (2011/3/25)

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