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2019年1月18日 (金)

酵素健康食品のダイエット効果の不当表示(消費者庁)

 昨日(1/17)、消費者庁は、株式会社はぴねすくらぶ(福岡市中央区・旧:メディア・プライス)が販売する健康食品「酵母と酵素 de さらスルー」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。消費者庁及び公正取引委員会九州事務所の調査の結果によるものです。

消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、はぴねすくらぶが、自社webサイト上で、例えば、「酵素 酵母 乳酸菌の発酵パワーでダイエット!」、「食べることが大好きなあなたへ!」、「『酵母と酵素deさらスルー』は、生きた酵素と酵母、乳酸菌、さらに白キクラゲ由来のエイドライフリーWJをたっぷり配合した新しいダイエットサプリ。」等と記載するなどして、本件の健康食品が、あたかも、摂取するだけで、特段の食事制限をすることなく、含有成分の作用により、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたというものです。   
 消費者庁は、景品表示法に基づいて、はぴねすくらぶに対して、これらの表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出されましたが、資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められず、優良誤認表示が認定されたものです(不実証広告)。

 はぴねすくらぶは、この措置命令に関して、自社webサイトに「お詫びとお知らせ」を掲載しましたが、措置命令の内容に反論することなく、 「・・・・あたかも、特段の食事制限をする事なく本品摂取だけで容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしておりました。本件表示は、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものより著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものでした。」不当表示を行ったことを認めたうえで、謝罪をしています。

 酵素食品については、昨年10月にも優良誤認表示であるとして、別の会社に対して消費者庁が措置命令・課徴金納付命令(1814万円)を命じていますが、それに続くものですね。「酵素」、「酵母」、「発酵」などをマジックワードとした健康食品は他にも多くありますが、イメージだけで根拠のない表示の商品には手を出さないことが肝心かと思います。

 → 「酵素飲料の新聞広告に対する措置命令・課徴金納付命令(消費者庁)」    
                         (2018/10/30)

 なお、本件の表示の一部については、いわゆる打消し表示として、「※使用感・結果には個人差があります。」と記載していたようですが、消費者庁は、これについて、「当該記載は、一般消費者が当該表示から受ける42粒入りの効果に関する認識を打ち消すものではない。」としています。

2019年1月 9日 (水)

民法(相続法)の改正(遺言の方式緩和)の施行

 民法には、債権や物権などの分野のほかに「家族法」についての規定もあり、大きく「親族法」(結婚や親子などについての規定)と「相続法」(相続についての規定)に分かれます。 

 そのうち、相続分野について大きな改正が昨年7月になされました。この改正の施行日は原則として、今年2019年7月1日なのですが、規定によって段階的に施行されることとなっており、今度の日曜日1月13日には、遺言に関する改正部分が施行となります。

 → 法務省サイト

 今回の相続法の改正事項は、

1 配偶者の居住権を保護するための方策

2 遺産分割に関する見直し等

3 遺言制度に関する見直し

4 遺留分制度に関する見直し

5 相続の効力等に関する見直し

6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

7 その他

となっています。
 このうち、上記の通り、の内の「自筆証書遺言の方式を緩和する方策」の施行が2019年1月13日「配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等」の施行が来年2020年4月1日となり、その他の部分の施行が2019年7月1日となります。なお、民法改正と合わせて、新たに自筆証書遺言の保管制度(法務局で保管してもらえる)ができましたが、その法律(法務局における遺言書の保管等に関する法律)の施行は、2019年7月10日となっています。

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 各改正点についての詳細な説明は省略しますが(ご相談、講演のご依頼などお待ちしております。)、1月13日から施行される自筆証書遺言の方式の緩和について、少し触れておきます。

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 自筆証書遺言(つまりは公正証書ではなく、自分で書く遺言書のこと)は厳格な方式が要件として定められており、全文を自分で書く必要がありました。それを、遺言の内、財産目録の部分は、自筆でなくてもOKという改正です。しかし、財産目録部分については、各頁に本人が署名押印しなければなりません。

 財産目録といっても、形式が特に定められているわけではなく、法務省の解説では、パソコンで作成した財産目録はもちろんのこと、銀行預金通帳のコピーや不動産登記の登記事項証明書などを添付するような形でもよいようです。相続財産の多い人にとっては、遺言書の作成が楽になりますね。

 ただ、その他の形式要件は変更になっておらず、財産目録以外の部分はパソコンなどで作成しては駄目で自筆であることが必要だとか、作成日付を必ず入れるなどといった点は注意しないと、本人が作ったことが仮に明らかであったとしても、法律的には無効の遺言となってしまいますので、ご注意ください。なるべく、弁護士、司法書士にご相談されることをお薦めいたします。

※ 画像は法務省サイトより

2019年1月 7日 (月)

ZOZO社長のお年玉宣言と独禁法・景表法

 新年あけましておめでとうございます。
   本年もよろしくお願い申し上げます。


 昨年から、いろいろと話題の多い株式会社「ZOZO」代表取締役社長の前澤友作さんが1月5日に、前澤氏のTwitterアカウントをフォローして、RT(リツイート)してくれた人、100人に100万円をプレゼントすると宣言して、また話題になっています。総額1億円ですね。

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 これについて、景品表示法上、大丈夫なの、というネット上の声もあるようです。これについて、見ていきたいと思います。

 まず、景品表示法上の「景品」の定義は、

①顧客を誘引するための手段として

②事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して

③取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益

であって、内閣総理大臣が指定するものをいうと定義されています。

 ここでは、②の要件に関して2つ問題があって、「事業者が自己の・・・」とあるので、お金は会社であるZOZOではなく、社長個人の私財から個人として提供している、という点と、取引附随性はない、という点です。

 前者については、法人と個人とはいえ、法人の営業活動に関して、オーナー社長が提供しているのだから、実質的には事業者が提供しているのと同一視できるのではないか、とみる余地はあるような感じはします。

 後者については、このような、事業者の商品やサービスの購入取引とは全く無関係に誰でも応募し、当選する可能性がある形態のものは、「オープン懸賞」と呼ばれ、取引附随性がありませんので、本来、景品表示法の適用対象外のものです。
【追記】ただ、フォローを条件としていますので、フォロワーのアカウントを収集するという行為、データ収集は取引に附随すると見られるのではないか、ということもできるような気もしますが、ここではひとまず置きます。)

 ただし、かつて公正取引委員会消費者庁設置前は景品表示法も所管)は、独占禁止法上の「不公正な取引方法」の指定として、「広告においてくじの方法等による経済上の利益の提供を申し出る場合の不公正な取引方法」という告示を出していました。
 そして、その告示運用基準(通達)に、「この告示に規定する「正常な商慣習に照らして過大な金銭、物品その他の経済上の利益」については、1000万円を超える額の経済上の利益はこれに該当するものとする。ただし、この範囲内で公正競争規約を締結している業種にあつては、当該公正競争規約の定めるところを参酌する。」(注:1000万円は平成8年改正後)とあり、要するに「オープン懸賞」の場合には、景品表示法ではなく、独占禁止法上、1000万円を超える賞金等が禁止されていたのです。

 しかし、この「オープン懸賞」についての上限規制も、あんまり意味はないよね、ということで、平成18年に撤廃されました。したがって、現在、独占禁止法景品表示法による規制はなくなっています。もっとも、本件は100万円なので、どっちにしても問題ないのですが。

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 ということで、冒頭の前澤氏の100万円提供は、独占禁止法景品表示法による規制はない、ということに一応はなります。もっとも、独占禁止法上の別の規制(例えば、不公正な取引方法欺まん的顧客誘引など)に該当するような場合は別ですし、上で書いたいくつかの点の評価によっては、「オープン懸賞」ではなく、「一般懸賞」として、景品表示法の対象とされる可能性も考えられなくもありません(この場合は、最高額は10万円なので、抵触してしまいます。)。

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2018年12月29日 (土)

ベネッセ個人情報流出事件の判決(東京地裁)

 ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)の顧客個人情報流出事件の判決が報じられています。顧客ら計462人が原告となって、ベネッセと関連会社シンフォームを被告として、慰謝料など計3590万円の損害賠償を求めていたものですが、本年12月27日、東京地裁で判決が出たようです。判決は、シンフォームに対してのみ、1人当たり3300円、計約150万円の請求を認め、ベネッセの損害賠償責任は認めなかったとのこと。
 なお、シンフォームは、この流出事件の後に解散しているようですので、清算手続での対応でしょうか。

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 報道によれば、情報流出は、関連会社のシンフォームで働いていた派遣社員が持ち出したものですが、派遣社員なのでシンフォームの直接の社員ではないものの、実質的な指揮監督関係があるとして、民法上の使用者責任を認めましたが、ベネッセには予見可能性はなく、指揮監督関係もないとして賠償責任を認めませんでした。

 そして、シンフォームの損害賠償額としては、原告1人当たり慰謝料3000円弁護士費用300円が相当としました。

 私も関与したヤフーBB情報流出の裁判では、ヤフー株式会社ソフトバンクBB株式会社(旧・BBテクノロジー)の2社を被告としましたが、一審大阪地裁が顧客情報を直接管理していたソフトバンクBBのみの責任を認め、ヤフーには監督義務違反はない、としました。
 しかし、控訴審大阪高裁は、ヤフーの使用者責任を認めて、両社に対して支払を命じました。控訴審での認容額は5500円(慰謝料4500円、弁護士費用1000円)です。慰謝料額が中途半端なのは、ヤフー側が事件発覚後500円の郵便振替支払通知書を原告ら顧客に送っていることをもって一部の弁済としたものですので、本来の慰謝料額は5000円という認定になります。この件については、下記のブログ記事および記事内のリンク先を参考にしてください。    
「ヤフーBB個人情報漏洩事件控訴審判決(大阪高裁)」 (2007/6/21)

 ところで、このベネッセの情報流出事件に関しては、同様の訴訟が複数起こされています。

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 そのうち、ひとつの事件(未成年者の親が原告、ベネッセが被告)では、一審神戸地裁姫路支部(平成27年12月2日判決。判例時報2351ー11)は、ベネッセの過失行為を基礎付ける具体的事情の主張立証がないとして棄却し、控訴審大阪高裁(平成28年6月29日判決。判例時報2351ー9)は過失の判断はせず、「そのような不快感や不安を抱いただけでは、これを被侵害利益として、直ちに損害賠償を求めることはできない・・・・・上記の不快感や不安を超える損害を被ったことについて主張、立証はない。」として控訴を棄却しました。
 しかし、最高裁(平成29年10月23日判決。判例時報2351ー7)は、「本件個人情報は、上告人のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきであるところ(略)、上記事実関係によれば、本件漏えいによって、上告人は、そのプライバシーを侵害されたといえる。」「しかるに、原審は、上記のプライバシーの侵害による上告人の精神的損害の有無及びその程度等について十分に審理することなく、不快感等を超える損害の発生についての主張、立証がされていないということのみから直ちに上告人の請求を棄却すべきものとしたものである。そうすると、原審の判断には、不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法があるといわざるを得ない。」として、審理を大阪高裁に差し戻しました。したがって、この裁判は、現在、大阪高裁で審理が行われているものと思われます。

 また、別の事件(原告185名、ベネッセシンフォームが被告)では、東京地裁(平成30年6月20日判決。D1-Law.com判例体系)は、被告2社の過失(注意義務違反)を認定しましたが、「・・・本件に顕れた事情を総合的に考慮すると、少なくとも現時点においては、最も多くの種類の個人情報(氏名、性別、生年月日、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス及び出産予定日)が漏えいした原告らであっても、民法上、慰謝料が発生する程の精神的苦痛があると認めることはできないといわざるを得ない。また、漏えいした個人情報の内容以外に、原告らにおいて考慮すべき事情に相違があったことはうかがわれないから、上記よりも少ない種類の個人情報が漏えいしたにとどまる原告らについても同様に、民法上、慰謝料が発生する程の精神的苦痛があると認めることはできない。」として、損害の発生はないという理由で、原告らの請求を棄却しています。上記の最高裁判決の後の判決ですが、損害発生を認めていない点が注目されます。

 なお、この東京地裁判決と同日の平成30年6月20日に千葉地裁でもベネッセを被告とした判決があり(金融・商事判例1548ー48。原告は1家族親子4名のようです。)、ベネッセの過失を認めず請求棄却となっています(確定)。

2018年12月26日 (水)

日産に対する課徴金を取り消す裁決(消費者庁)1

 ここのところ、世間を賑わしている日産自動車(以下、日産)ですが、その問題とは直接関係なく、消費者庁は、本年12月21日付で、日産の燃費不正表示に対する課徴金納付命令を取り消す裁決を出したことを、本日公表しました。景品表示法課徴金納付命令を取り消す裁決は初めてです。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

     ※ 裁決書(PDF)はこちらから。

 日産に対しては、三菱自動車と共に、平成29年1月、燃費性能のカタログなどへの表示が不当表示(優良誤認表示)であるとして、消費者庁措置命令を出しました。そして、平成29年6月、日産に対して、その対象商品(27商品)の一部(6商品)につき、消費者庁から317万円の課徴金納付命令が出されました。このときの課徴金納付命令に関しては、当ブログでも紹介していますので、詳しく知りたい方は参考にしてください。

 → 「自動車燃費不当表示事件についての課徴金納付命令(消費者庁)」    
                          (2017/6/15)

101  日産は、この課徴金納付命令を不服として、行政不服審査法に基づく審査請求を行いました。それを受けた消費者庁は、再精査するとともに、行政不服審査会に諮問を行ったところ、本年10月31日に「本件命令は取り消されるべき」との行政不服審査会の答申を受けました。なお、日産は、本件の燃費性能表示が優良誤認表示に該当することについては争っていなかったようですが、行政不服審査会の答申は、その優良誤認表示の該当性も否定したようですね。(※画像は、措置命令時の消費者庁公表資料より)

 この答申を受けた消費者庁が、今回、課徴金納付命令の取消の裁決を行ったものですが、上記の優良誤認表示にも当たらないという答申の判断については採用せず、景品表示法8条1項但し書「相当の注意を怠った」とは認められない、との答申の判断には相応の合理性があるとして、課徴金命令を取り消したものです。

 課徴金納付命令の対象となった日産の商品は、三菱自動車からのOEM商品であり、燃費不正表示は、三菱自動車の説明、資料に基づくものでした。そのため、表示の正確性に影響を与える可能性のある情報に接した際に、合理的な期間内に技術的・専門的観点から必要かつ十分な検証を実施しており、正常な商慣習に照らして必要とされる注意をしたのであり、優良誤認表示に該当することを知らないことについて「相当の注意」を怠った者」ではないから、本件課徴金納付命令は違法であるというのが、日産の主張でした。

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 景品表示法の課徴金については、同法8条1項但し書において、対象の不当表示が優良誤認表示であることに、当該事業者が「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき・・・・は、その納付を命ずることはできない。」としています。不当表示に対する措置命令については、当該事業者の過失は不要とされているのですが、課徴金納付命令に関しては、このように「相当の注意を怠った者でないと認められる」場合には、対象とはならないことが規定されているのです。

 さて、本件の争点となった、「相当の注意」の主体の判断など、もう少し、裁決の中身について書こうと思うのですが、長くなるので、今回はここまで、ということで。

2018年12月22日 (土)

「小さなお葬式」の料金表示についての措置命令(消費者庁)

 昨日(12/21)、消費者庁が、株式会社ユニクエスト(大阪市西区)に対して、同社が「小さなお葬式」の名称で運営する葬儀サービスの表示について、景品表示法違反の不当表示(有利誤認)があったとして、措置命令を行っています。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

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 これは、ユニクエスト「小さなお葬式」において、「小さな火葬式」、「小さな一日葬」、「小さな家族葬」、「小さなお別れ葬」、「100名までのお葬式」という5種の葬儀サービスを提供していましたが、これらについて、自社webサイト上において、

 例えば、「追加料金一切不要のお葬式 総額188,000円(税込)」、「追加料金一切不要の安心価格プラン金額がお葬式にかかる全ての費用です。」などと記載して、あたかも、これらの葬儀サービスの提供に関して追加料金が発生しないかのように表示していましたが、

 実際には、寝台車や霊柩車の搬送距離が50㎞を超える場合や遺体安置日数が設定日数を超える場合など一定の場合には、追加料金が発生するものでした。

 なお、消費者庁によれば、「打消し表示」に関して、ユニクエストは、上記の表示を行った自社webサイトの別のページには、追加料金が例外的に発生する場合があることを記載していましたが、「当該記載は、リンク先に追加料金に係る重要な情報が存在するとは記載されていない「よくある質問」等のハイパーリンクの文字列をクリックしなければ表示されないものであること等から」、一般消費者が上記表示から受ける当該サービスに関する認識を打ち消すものではない、としています。

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 報道によれば、ユニクエストの担当者は、取材に対して「消費者庁の指摘は受けとめるが、有利誤認との判断は不服だ」として、処分取り消しの提訴も検討しているとのことです。

2018年12月20日 (木)

実業団陸上の移籍禁止規程と独占禁止法

 本日、NHKが、日本実業団陸上競技連合に対して、公正取引委員会が、独占禁止法違反のおそれがあるとして調査を始めた、と報じています。

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 日本実業団陸上競技連合の規程では、所属チームの承諾なく別チームに移籍した選手は無期限で大会に出場できないとされているようで、この規程が問題とされています。

 このようなスポーツ選手と独占禁止法の問題が「人材と競争政策に関する検討会」報告書において検討されていることについては、当ブログで何回かご紹介しているところです。

 → 「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表 (2018/2/15)

 → 「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)
                          (2017/7/16)

 同様の移籍制限のルールは他競技にも以前からあり、上記の公正取引委員会の動きの中で、既にラグビーのトップリーグやバレーボールのVリーグなどは規程を廃止しています。こういった展開は、時代の流れというコメントが報道の中にあり、私もその通りだと思います。ただし、最近急に出始めた問題かというと、そうでもないようで、同じく実業団陸上に関して20年前のこんな記事を見つけました。

「監督・コーチの解任で揺れる ワコール陸上部 実業団規定 問題点浮き彫り」1998/9/21 京都新聞)

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 ここで、既に、独占禁止法違反の問題が指摘されたうえで、「制定当時と現在ではスポーツをめぐる環境は大きく変化している。」、「日本のスポーツ界全体が、選手側の権利も考慮した規程や規則への改変を迫られているのではないか。」と結ばれています。なお、この事案は、その後、和解にて終了したようです。

続きを読む "実業団陸上の移籍禁止規程と独占禁止法" »

2018年12月17日 (月)

「経済法入門」(泉水文雄著・有斐閣)

 ブログの更新ができないまま、12月も後半になってきました。

 最近は、AI技術と法律・責任などという研究イベントが続いており、大変刺激を受けています。


 さて、お世話になっている神戸大学泉水文雄教授から、新著をご恵贈いただきました。ありがとうございます。

 有斐閣の法学教室LIBRARY「経済法入門」です。

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 書名の通り、学生など入門者向けに書かれていますが、独占禁止法だけでなく、下請法景品表示法を含めた最新の経済法の情報がコンパクトにまとめられていますので、初学者でなくても有用な本だと思います。

 特徴といえば、100を超える多くの説例を用いて具体的に解説されており、イメージのつかみにくい独占禁止法の理解がしやすいものになっています。また、途中にコラム記事もたくさん挿入されていますが、コラムといいながら、かなり高レベルの内容に触れられています。

 泉水教授は、芸能人やプロスポーツ選手などと独占禁止法ということで話題になった公正取引委員会「人材と競争政策検討会」の座長を務められておられましたが、今年7月に設置された「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」(経済産業省、総務省、公正取引委員会)の座長も務められており、同検討会の中間論点整理が、この12月12日に公表されたばかりです。いわゆるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を代表とするインターネット上のプラットフォーム事業者に関する独占禁止法その他の問題を検討するという最先端の議論がなされていますので、興味のある方はご覧ください。

 → 検討会中間論点整理(経済産業省)

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2018年11月21日 (水)

県産品の納入業者に対する優越的地位濫用(独占禁止法)

 昨日は、大阪弁護士会館2階ホールにて、日本CSR普及協会近畿支部のセミナー「独禁法の最新動向 ~ 企業活動に関連するポイントの整理 ~」に参加してきました。私も所属している同協会近畿支部消費者公正競争研究会の担当セミナーです。

 独占禁法違反の疑いのある事案について公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決する制度「確約制度」を導入する改正法が成立して、来月から施行されます。この確約制度など最近の独占禁止法の動向について、公正取引委員会近畿中国四国事務所長の藤本哲也氏独占禁止法実務に詳しい籔内俊輔弁護士のご講演でした。


 さて、本日、公正取引委員会が、独占禁止法違反事案について警告を行っています。

 これは、岩手県産株式会社(岩手県柴波郡矢巾町)が、独占禁止法の禁止する不公正な取引方法である優越的地位の濫用に該当するおそれがある行為を行っていたとされたものです。

 → 公取委報道発表資料

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 岩手県産は、岩手県内で生産された農水産物、菓子、工芸品などを、全国の小売業者に販売したり、百貨店などが開催する物産展や自社の直営店等において消費者に販売するなどしていたものですが、その商品の納入業者の一部に対し、仕入金額に応じた金額を「事務手数料」と称して、本来支払うべき代金から差し引いていたというものです。これは岩手県産が自社の収益状況を改善するために行っていたということです。
(※図は公取委資料より)

 今回は、排除措置命令ではなく、警告です。上記のような行為が優越的地位の濫用に該当するおそれがあるとして、公正取引委員会が、岩手県産に対して、今後、このような行為を行わないよう警告したものです。警告であっても、このように全件公表されます。

 経営が大変だということで納入業者に負担を押し付けたもので、もし、排除措置命令ということになれば、課徴金の納付も命じられるかもしれません。事業者としては、十分に注意しなければ余計に経済的負担を被ることにもなります。

2018年11月 8日 (木)

鮮魚の当日配送についての飲食店の不当表示(消費者庁)

 昨日(11/7)、消費者庁は、チムニー株式会社(東京都墨田区)に対し、同社が経営する飲食店「はなの舞」、「花の舞」、「さかな道場」において提供する魚介類のさしみなど料理に関する表示が不当表示(優良誤認)であるとして、景品表示法に基づいて措置命令を行いました。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件では、チムニーが、各店舗のPOP広告やポスターにおいて、「超速鮮魚と既存流通の違い なぜ鮮度が違う?」「超速鮮魚 当日(産地によっては前日) 到着」と記載したうえで店舗配送までの流通経路を示すイラストを掲載することにより、あたかも、各店舗の対象料理で使用している魚介類は一部産地を除いて、水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものであるかのように表示していました。

 しかし、実際には、対象となっている料理の全ての魚介類が、水揚げされた翌日以降に配送されたものであった、というものです。

 本件の表示では、一般の流通が産地から陸送されて中央市場を介して各小売店・飲食店に配送されるのに対して、産地から羽田空港に空輸されてそこから直接、小売店・飲食店に陸送されるという表示がされていました。
 ご注意いただきたいのは、一部報道で、「朝どれ」表記に対する措置命令であるかのようなものがあったようですが、本件では、「朝どれ」「朝捕り」など、朝に漁獲したという表現が問題になったものではありません。

 ところで、今回の消費者庁の公表資料には(措置命令自体にはない)、わざわざ、次のような注釈を入れています。

「本件の措置命令は、羽田市場株式会社が提供する「超速鮮魚」と称する魚介類について、羽田市場株式会社の流通自体を問題としているものではない。 チムニー株式会社が仕入れていた魚介類のうち、「超速鮮魚」と称する魚介類は、平成28年3月31日までは、表示内容どおり、一部の産地を除き当日のうちにチムニー株式会社の店舗に配送されていたが、チムニー株式会社が物流を変更し、同社の物流センターを経由することにした結果、平成28年4月1日以降は、翌日、産地によっては翌々日にチムニー株式会社の店舗に配送されることとなったものである。」

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 これは、チムニーが利用していた鮮魚の運送は、別会社である羽田市場株式会社が行っていたようで、この会社の社名やサービスブランドである「超速鮮魚」(商標登録もあるようです。)の文字やロゴを、右の画像(消費者庁公表資料より)でもわかるように、本件の対象となったPOP広告などに使用しているため、今回の措置命令により、この羽田市場株式会社の運送サービスについての不当表示であるかのような誤解を招かないように消費者庁が配慮したのではないか、と思われます。

 

なお、日本経済新聞の報道によると、チムニーは、商品の品質には問題がないので返金はしない、との対応のようです。もちろん、消費者庁不当表示を認定されたからといって、即、消費者への返金義務が法的に生じるものではなく、今回の件で、返金すべきか否かについてコメントすることはできません。ただ、一般論としては、法的責任とは別として、消費者への対応が以後の消費者の企業評価に繋がるものであることは念頭において検討すべき事柄です。また、消費者への法的な返金義務の有無とは関係なく、課徴金納付命令の対象にはなります(売上要件などを満たせば)。

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