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2018年7月16日 (月)

「カフェパウゼで法学を-対話で見つける〈学び方〉」(横田明美著)

 横田明美先生(千葉大大学院准教授)が、主として法律を学ぶ学生向けに書かれた書籍を出版されました。

 「カフェパウゼで法学を-対話で見つける〈学び方〉」 (弘文堂)です。

 横田先生は、行政法を専門とされていますが、行政法消費者法とが交錯する分野についても研究されており、先生のブログの1つ「横田明美研究室」でも、

 「「ロボットと消費者保護 行政法の視点から」を報告しました」

 「主婦連・全地婦連が検討した法的手段~処分等の求めとは」

というような記事を読むことができます。

 消費者法というと、従来、弁護士にせよ、研究者にせよ、民事法の面からのアプローチが中心だったように思いますが、特定商取引法にしろ、景品表示法にしろ、もちろん、各種の業法にしろ、その多くは行政法でもあるわけです。なので、特定商取引法業務停止命令や、景品表示法措置命令・課徴金納付命令などなどの行政機関による権限行使、執行が、消費者問題に関しても重要な役割を果たすのですから、行政法からの視点も重視しなければならないことは当然です。横田先生には、この分野でますます活躍されること期待しています。

 さて、今回出版された本ですが、なかなか可愛らしい装丁になっています。

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 内容は、ぱうぜ先生(横田先生のハンドルネーム)と学生3名の対話を中心として、高校までの勉強と大学の研究の違い、大学での学び方、論文の書き方、進路などについて、学生たちに丁寧に指導、説明する内容になっています。構成は以下のようになっていますが、最後の第Ⅴ部から読み始めても、取っつきやすいかな、と思ったりしました。

 第Ⅰ部 大学生活を楽しもう――1年生編
 第Ⅱ部 レポートをちゃんと書いてみよう――2年生編
 第Ⅲ部 法学を学ぶあなたに――3年生編
 第Ⅳ部 卒論を書いてみよう――卒論編
 第Ⅴ部 自分の未来を作るには――進路編

 四半世紀以上も前の私の法学部生時代には、大学は今ほど学生たちに親切ではなかったですので、法学部に入ってみたものの、法律学の考え方を本当に理解できるまで結構時間がかかりましたし、大学で何をするのか、といった基本的なことも試行錯誤の世界でした。自分でつかんでいくことも、もちろん重要なのですが、基本的な方向付けは指導してもらうことができれば、余計な時間を費やしたり、方向違いを起こしたりすることは減っただろうと思います。

 法学関係の学生さんには是非読んでいただきたい一冊ですね。

2018年7月 3日 (火)

老人ホームのパンフレット表示に対する措置命令(消費者庁)

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 本日、消費者庁は、HITOWAケアサービス株式会社(東京都港区)に対し、同社が運営する有料老人ホーム「イリーゼ」において提供するサービスに関するパンフレットの記載内容が、不当表示(景品表示法5条3号)であるとして、措置命令を行っています。

 昨日の神戸大学法科大学院の消費者法の講義で、ちょうど景品表示法の話をしたところですので、来週の講義にはこれを資料に持って行こうと思います。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 「イリーゼ」は北海道から沖縄まで100個所以上もの施設があるようですね。

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 このパンフレットには、「終の棲家として暮らせる重介護度の方へのケア」とした上で、「寝たきりなど要介護度が重い方もお過ごしいただくことができます。ご希望の方には、医療機関と連携しご家族様のお気持ちに寄り添いながら看取り介護にも対応しております。」と記載されていました(画像は、消費者庁公表資料より)。
 しかし、実際には、入居者の行動が、他の入居者や従業員の生命身体に危害を及ぼし、または、その切迫したおそれがある場合であって、「イリーゼ」における通常の介護方法又は接遇方法ではこれを防止することができないときは、当該入居者との入居契約を解除することがある、とのことのようです。

 措置命令の本文を見ても、本件の契約解除というのが、契約上記載されているということなのか、契約には書いていないが現実に解除している、ということなのか、明確ではないのですが、記載されている内容の契約条項があるとして、通常は、その条項自体が違法だとか無効だとかまでは言えないと思います。本件の措置命令は、もしそういうことならば、ちゃんとパンフレットに記載しておきなさい、というものです。

 景品表示法不当表示は、5条1~3号に規定され、優良誤認表示(1号)、有利誤認表示(2号)、告示指定表示(3号)となっています。
 3号の告示は、現在6種類(記事最後に記載)ありますが、本件はその内の、「有料老人ホームに関する不当な表示」6項(居室の利用についての表示)に該当するものとして措置命令が出されました。   
 これは「終身にわたって入居者が居住し、又は介護サービスの提供を受けられるかのような表示であって、入居者の状態によっては、当該入居者が当該有料老人ホームにおいて就寝にわたって居住し、又は介護サービスの提供を受けられない場合があるにもかかわらず、そのことが明りょうに記載されていないもの」が不当表示となるものです。

 措置命令の対象となる不当表示のほとんどは、優良誤認表示有利誤認表示ですので、この指定告示表示はかなり少ないのですが、比較的多いのが原産国表示で、最近では、昨年6月のボーネルランド社の玩具についての措置命令があります。

 → 「玩具の商品原産国に関する不当表示(景表法5条3号)の措置命令」
                                (2017/6/23)

 なお、不当表示課徴金は、優良誤認表示有利誤認表示が対象となっており、本件の3号の告示指定表示については対象となっておりません。

〔告示〕(リンク先は消費者庁サイトのPDF)   

2018年6月30日 (土)

法律と「消費者」

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 法律において、「消費者」がどのように規定されているか、なのですが、まず、日本国憲法には「消費者」という用語は出てきません。

 現行の法律の名称に、「消費者」が使われているのは、検索してみると、以下の7つでした(検索漏れ等があればご指摘ください。以下、同じく。)。   

  • 消費者基本法
  •    
  • 消費者契約法
  •    
  • 消費者安全法
  •    
  • 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
  •    
  • 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
  •    
  • 消費者庁及び消費者委員会設置法
  •    
  • 消費者教育の推進に関する法律

 法律の条文の中に「消費者」が出てくるのは、結構多数あるのですが、その内、「消費者庁」「消費者委員会」「消費者物価指数」「消費者団体」「消費者政策」「消費者問題」という形で出てくるものを除くと、70数件の法律に「消費者」という用語が使われていました。もっとも、ほとんどは、抽象的な意味での「消費者」ですが。

 面白いことに、消費者保護法の代表的存在といえる特定商取引法には、「消費者」という言葉は「消費者庁」「適格消費者団体」「消費者委員会」「消費者契約」という形では書かれていますが、「消費者」単体では出てこないのです。これに関連して、最後のところで触れておきます。

 また、「消費者」という言葉について、法律上、一般的な定義付けはありません。各法律ごとで定義をしているものも、下記のように少数であり、多くは、定義されないまま使用されています。
 例えば、消費者政策の核となるべき消費者基本法にも、消費者向け広告表示の一般法である景品表示法にも、「消費者」の定義は書かれていません。

 定義が条文上規定されているものと見ていくと、

消費者契約法では、   

第2条(定義)       
 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(いわゆる電子契約法)では、   

第2条(定義) (2項)       
 この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいい、(以下略)

 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律では、   

第2条(定義)       
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。         
 一 消費者 個人(事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。

(以下略)

消費者安全法では、   

第2条(定義)       
 この法律において「消費者」とは、個人(商業、工業、金融業その他の事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。

民事訴訟法では、   

第3条の4(消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権)       
 消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下同じ。)と(以下略)

法の適用に関する通則法も、民訴法と同じ内容です。

 こうして見ると、若干表現に違いはありますが、ほぼ同じで、まず「個人」であること、つまり、法人等の団体は除外され、また、個人であっても、事業として当事者となる場合は除外されること、が要件となっています。そのため、零細な個人事業者やマンションの管理組合などの無知につけこむ悪徳業者の行為に適用されない、という問題が出てくるわけです(救済している裁判例もありますが。)。

 なお、先に述べたように、特定商取引法には「消費者」という用語が単体としては出てこないのですが、第26条(適用除外)の1項には、   

 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。

一 売買契約又は役務提供契約で、第二条第一項から第三項までに規定する売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供         
(以下略)

と規定されています。   
 この「前三節の規定」とは、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規制です。「営業のために」「営業として」締結する売買契約等には適用されないので、結局、(若干、異なる部分はありますが)上記の他の法律とほぼ同じようなこととなるわけです。この他、特定継続的役務提供(第50条)訪問購入(第58条の17)にも同様の規定が置かれています。    
 また、業務提供誘引販売の場合は、このような適用除外規定はないのですが、第52条第58条などで、「その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人に限る。」という限定がなされています。ドロップシッピング裁判の時にここが争点のひとつになりました。    
 「悪質ドロップシッピング業者に対する勝訴判決(大阪地裁)」 (2011/3/25)

2018年6月26日 (火)

公取委が日本ボクシング連盟に聞き取り調査との報道

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 報道によれば、元プロボクサーが五輪出場を制限されている問題について、公正取引委員会日本ボクシング連盟に対し、聞き取り調査を実施していた、とのことです。公正取引委員会の職員2人が連盟の大阪事務局を訪れて、プロの経験者による引退後のアマチュア登録を認めないという規定の改正も含めて、検討するよう促した模様です。なお、国際ボクシング協会(AIBA)はリオ五輪からプロ選手の出場を解禁したとのことで、元プロボクサーだけではなく、現役のプロボクサーの五輪出場の制限というのも問題になるかもしれませんね。

 今年2月公表の公取委「人材と競争政策に関する検討会」報告書や、公正取引委員会事務局のアンケート調査などの結果のうち、スポーツ選手に関するものについて、当ブログでも取り上げています。既にラグビートップリーグ規約のチーム移籍に関する制限条項の改定が行われたことは、ここで触れました。

 → 「「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表」 (2/15)

 → スポーツ界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委) (2/20)

 今回の件は、移籍(独立)・転職に対する制限の一種で、優越的地位の濫用の観点からの問題が検討されるのだろうと思われます。前述の現役プロボクサーの五輪出場制限であれば、専属義務の問題ということになるかと思います。

 なお、検討会報告書では、2017年12月に欧州委員会が、国際スケート連盟(ISU)が、ISUが承認していないスピードスケート競技会に参加した選手に対し厳格なペナルティー(無期限追 放を上限とする)を課すことは競争法違反であると決定して、 違法行為を取りやめることを命じた、という事例を紹介しています。

 今回の報道に関して、デイリースポーツによれば、元プロボクサーで、世界主要4団体のチャンピオンになった高山勝成氏が、「ボクシング競技発展のためにも、アスリートに対する不当な制限は撤廃してほしい」とのコメントを発表したと報じています。

2018年6月22日 (金)

mixi子会社運営「チケットキャンプ」商標法違反事件の続報

 報道によれば、本日、チケット転売サイト「チケットキャンプ」の運営会社で、mixi(ミクシィ)の子会社であるフンザ「ジャニーズ事務所」の商標をネット上で不正使用したとされる事件で、兵庫県警が、商標法違反の疑いで、同社の社長ら3人と法人としての同社を神戸地検書類送検した、とされています。 そして、この問題で、本日付で、mixiフンザの社長を兼務していた森田仁基社長が、本日付けで社長を辞任しています。

 この事件については、兵庫県警の強制捜査があった際に、当ブログでも取り上げています。

 → 「「ジャニーズ通信」(mixi関連)強制捜査の報道」 (2017/12/8)

 この時は、商標法違反以外に不正競争防止法違反の容疑もあったようですが、今日の報道などを見る限りでは書類送検の対象は、商標法違反のみになっているようです。

なお、mixiは、「当社グループとしては、商標法違反に対する認識はなく、この点に関しましては検察庁による 判断を待ちたいと考えております。」としています。

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 この「チケットキャンプ」の関連では、京都府警のサイバー犯罪対策課が、昨年12月に、フンザが、「チケットキャンプ」で転売業者の不正販売を助長した疑いがあるなどとして、詐欺(電子計算機使用詐欺)の容疑でフンザなどを家宅捜索しています。そして、今年1月に、フンザの前の社長と転売業者の計4人を書類送検しましたが、今年3月に、京都地検不起訴処分(起訴猶予)としました。

 こちらの詐欺の事件に関して、mixiが、今年2月に、第三者委員会による調査報告書を公表しています。

 → 調査報告書 (PDF)

 今回も書類送検されたというだけであり、警察で捜査した事件は、それがたとえ、無罪が確実であっても、特別の場合を除き、全て送検(検察庁送致)されます。上記の通り、会社側は商標権違反の認識はないとの主張をしており、今回も神戸地検が起訴するか否かはまだわかりません。なお、「チケットキャンプ」は既にサービスを終了しているとのことです。

2018年6月16日 (土)

アフィリエイトサイトの表示にも言及した措置命令(不当表示)

 昨日(6/15)、消費者庁は、株式会社ブレインハーツ(大阪市北区)に対し、同社が販売する食品「グリーンシェイパー」、「アストロン α」、「スリムイヴ」、石けん「恋白美スキンソープ」、下着「Smart Leg」の表示について、それぞれ、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認及び有利誤認)に該当するとして、措置命令及び課徴金納付命令を行っています。

 命じられた課徴金の金額は合計2229万円となっています。

  → 消費者庁公表資料

 優良誤認については、自社webサイトなどに、摂取するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られ、かつ、痩身後の体重を維持することができるかのように示す表示(食品)や、使用するだけで、短期間で容易に、シミ、しわ及びたるみを解消又は軽減するとともに肌本来の色を白くすることができるかのように示す表示(石けん)や、着用するだけで、短期間で容易に著しい下半身の痩身効果が得られるとともに、下半身の余分な脂肪が胸部に移行することによる豊胸効果が得られるかのように示す表示(下着)をしていた、というものです。
 しかし、これらの効果の根拠資料を提出するよう消費者庁から求められたにもかかわらず、ブレインハーツは根拠の提出をしなかったものです(不実証広告・景品表示法7条2項)。消費者庁が公表している表示の実物(別紙1~5)を見ると、かなりひどい表示ですね。

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※画像は消費者庁公表資料より

 有利誤認については、表示された「通常価格」、「メーカー希望小売価格」などより、販売価格が安いという二重価格表示を行っていましたが、実際には、「通常価格」、「メーカー希望小売価格」などは販売された実績や設定されていた事実はなかった、というものです。

 本件では、多額の課徴金の支払が命じられたことも注目ですが(それだけ売れていたということですね。)、不当表示の対象となった表示に、自社webサイトでの表示だけではなく、アフィリエイトサイト上に現れる表示も含めている点ですね。これらの表示についても、ブレインハーツが表示行為に関与したものですので、当たり前といえば当たり前なんですが、このような表示を含めた命令は、私の記憶では初めてではないかと思います(間違ってたらご指摘ください。)。
【追記】(6/23)
 命令を読むと、アフィリエイトでの表示があったことを認定してはいますが、今回の不当表示の直接の対象にはしていませんね。失礼しました。タイトルも変更しました。

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 これに関連して、本件の措置命令の命令内容(判決で言えば、主文に当たる部分ですね。)では、「貴社は、貴社が一般消費者に販売する本件商品に係る表示に関して、次に掲げる事項を速やかに一般消費者に周知徹底しなければならない。この周知徹底の方法については、後記2(3)のアフィリエイトサイトからハイパーリンクにより「roifleur」と称する自社ウェブサイトに遷移する動線を含めることとし、」とされているのも目に付きますね。
 これは、景品表示法に違反した不当表示があったことを消費者に周知徹底せよ、という内容のところです。「遷移する動線を含める」方法というのは具体的にどこまで求められるのかは、これだけでは必ずしもよく判りませんが。

2018年6月13日 (水)

キリンシティのメニュー不当表示(黒ビールカリー)

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 消費者庁から昨日、平成30年版「消費者白書」が公表されました。
 ネット通販に関する相談が店舗販売に関する相談の数を上回ったことなどが報告されています。

 今回の特集は「子どもの事故防止に向けて」です。

 

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 さて、本日、消費者庁は、キリンシティ株式会社(東京都中野区)の料理メニューが不当表示(優良誤認)であるとして措置命令を行いました。 

 料理メニューについては、先日も塚田農場に対して措置命令が出されたばかりですね。 

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、キリンシティが、店舗のメニューや自社webサイトにおいて、25種の料理について、「コク深い味わいの黒。」、「新一番搾りスタウト(黒生)を使用し、さらにコク深く、スパイシーな味わいに生まれ変わった黒ビールカリー。」「赤・黒ハーフ&ハーフ ¥870」などと記載し、あたかも、料理に黒ビールを使用しているかのような表示をしていましたが、実際には黒ビールは使われていなかったというものです。

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 キリンシティは、自社webサイトに、 「黒ビールカリー関連料理の表記に対する 消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ」を掲載し、対象料理を飲食した顧客には代金を返金することを公表しています。

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2018年6月 9日 (土)

「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」(消費者庁)

 消費者契約法の改正案が修正のうえ、6月8日に可決成立衆議院を通過したようです。ばたばたと、「霊感商法」などの追加などの修正が入って、少し驚いていますが、これについては、後日、取り上げたいと思います。(当初、本記事に誤りがありましたので、訂正しました。)


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 さて、前回(6/7)の当ブログ記事 「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」(景品表示法) の関連なのですが、 「打消し表示に関する実態調査報告書」 (2017/9)、 「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」 (2018/5)、 「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」 (2018/6)のそれぞれの基礎となった調査のまとめとして、

6月7日に消費者庁から、 「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」 が公表されていました(各報告書等リンク先はPDF)。

 これは、上記の各実態調査を基として、

 ①打消し表示の表示方法    
 ②打消し表示の表示内容      
 ③体験談を用いる場合の打消し表示

に分けて、景品表示法上の基本的な考え方及び適切な表示に向けての留意点を示したもので、目次は以下のようになっています。

 実際の広告・表示を考えるにあたって、具体的に書かれており、企業の広告実務においても、重要なまとめ=ガイドラインとなるものと思われます。

【 目 次 】

第1 はじめに

第2 打消し表示の表示方法について    
 1 基本的な考え方   
 2 問題となる打消し表示の表示方法   
  ⑴ 全ての媒体に共通して問題となる表示方法   
  ⑵ 紙面広告において問題となる表示方法   
  ⑶ 動画広告において問題となる表示方法   
  ⑷ Web 広告(PC)において問題となる表示方法   
  ⑸ Web 広告(スマートフォン)において問題となる表示方法

第3 打消し表示の表示内容について    
 1 基本的な考え方   
 2 問題となる打消し表示の表示内容   
  ⑴ 例外型の打消し表示   
  ⑵ 別条件型の打消し表示   
  ⑶ 追加料金型の打消し表示   
  ⑷ 試験条件型の打消し表示

第4 体験談を用いる場合の打消し表示について    
 1 体験談に関する景品表示法上の考え方   
 2 体験談を用いる場合の留意点

2018年6月 7日 (木)

「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」(景品表示法)

 本日、消費者庁が、「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」を公表しています。

 先日(5/30)の「TSUTAYAの動画配信サービスなどについての不当表示(消費者庁)」にも登場しましたが、昨年、実態調査報告書が公表された例の「打消し表示」の関連ですね。

 → 「「打消し表示に関する実態調査報告書」の公表(消費者庁・景表法)」
 (2017/7/14)

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 今回の報告書は、「一般消費者が動画広告、紙面広告及びスマートフォンの Web ページを閲覧する際に、どのような表示の見方をしているかについて実態を把握するため、アイトラッキング機器を用いて、対象者が表示例を閲覧している間の視線の停留やその軌跡、停留時間を計測するとともに、表示の内容を認識していたか否かについてインタビュー調査を行い」、この調査結果に基づいて、「各種媒体ごとに打消し表示に関する景品表示法上の考え方や求められる表示方法等を整理し、「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」」を取りまとめた、とのことです。

  • 「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」の公表について  (PDF)
  • 広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書 (PDF)
  • 広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書(概要) (PDF)

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     なかなか興味深い報告書なのですが、なにしろ報告書本文が180頁、概要でも34頁となかなか大部なので、全部を読むのもつらいかもしれませんね。

     報告書の最後は、「おわりに」ということで以下のようにまとめられています。






    ○ 消費者に向けて

     今回の調査では、例えば、閲覧時間に制限がない紙面広告やスマートフォンの Web ページにおいても、強調表示に隣接した箇所に表示された打消し表示を見落としている者が多くみられた。

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     また、これらの者の中には、例えば、大きな文字で目立つように表示された強調表示に注意が引き付けられたことにより、打消し表示には注意が向かなかった者がいた一方で、インタビュー調査において、(ⅰ)文字が小さい表示はあまり意味がないのではないと思ってしまう、(ⅱ)とりあえず大きい文字だけを見て、小さな文字は見ない、(ⅲ)文字が小さいと読み飛ばしてしまうといった意見も聞かれている。

     また、前回調査報告書では、Web アンケート回答者 1,000 人のうち、58.9%が普段から新聞広告の打消し表示を読まないと回答しており、広告表示に接する際、打消し表示を読まない一般消費者が相当数いるという実態を明らかにしている。

     これらのことからすると、強調表示に隣接した箇所にも打消し表示が表示されていることがあるので、消費者においても、普段から、隣接した箇所も含めて、例外条件、制約条件等に注意して見ることが、誤認を防ぐ有効な手段であるといえる。

    ○ 事業者に向けて

     今回の調査の結果、各媒体の広告表示を閲覧する一般消費者が、どういう表示に注意が引き付けられやすいか、要素別の要因が明らかになった。

     事業者においては、前回調査、スマートフォンにおける調査及び今回の調査の結果を踏まえ、商品・サービスの選択にとって重要な内容の打消し表示を一般消費者が認識できない場合は、景品表示法上問題となるおそれがあることに留意し、一般消費者が適切に打消し表示の内容を認識できるように、要素別の特徴を生かした適切な情報提供を行う必要がある。

    2018年6月 5日 (火)

    「八ツ橋」老舗の創業年表示についての訴訟(不正競争防止法)

     昨日、京都銘菓「八つ橋」の老舗である井筒八ッ橋本舗が、別の老舗聖護院八ッ橋総本店の「創業元禄二年」との表示が虚偽であるとして、不正競争防止法に基づき記載の差し止めと600万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした、と報じられています。

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     報道によれば、井筒八ッ橋本舗は文化2年(1805年)に創業しているが、聖護院八ッ橋総本店の元禄2年(1689年)創業には根拠がないと主張されているようです。

     不正競争防止法という法律は、各種の不正競争行為を禁止する規定がおかれていて、コピー商品であるとか、営業秘密不正取得であるとか、営業誹謗行為であるとか、いろんな行為を禁止しているのですが、今回は、同法2条1項14号の誤認表示行為が問題となるものと思われます。

    【不正競争防止法2条1項14号】       
     商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

     こういった行為につき、競争事業者は、当該行為の中止を求めたり(差止)、損害賠償の請求ができます。また、不正の目的で行った場合には、罰則が科されることもあります。

     なお、今回同様、和菓子の製造販売事業者の間で、この不正競争行為が問題となった事例(大阪高裁平成19年10月25日判決・判例タイムズ1259号311頁)があります。これは、「元祖」表示についてです。もう10年以上前ですが、当ブログにも書いていましたので、ご紹介しておきます。さて、本件と比べていかがでしょうか。
    (※ この記事中の条文番号等は当時のもので、旧13号→現14号、旧14号→現15号となっていますので、お読み替えください。)

     → 「「元祖」表示が品質表示か?の判決(不正競争)」 (2007/10/30)

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     もっとも、私の子供の頃の八ツ橋は、昔からの焼き八ツ橋だったのですが、今の人は八ツ橋といえば、生八ツ橋のことを考える人が多くなったのではないでしょうか。生八ツ橋を大々的に売り出して、今のようにメジャーにしたのは「おたべ」(株式会社美十)ですね。

    より以前の記事一覧