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2016年3月 8日 (火)

TPP関連法案の国会提出と著作権侵害罪の非親告罪化の対象

 本日、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」いわゆるTPP関連法案が閣議決定され、国会に提出されました。これには、農林水産品の輸入に関する法律や独占禁止法、特許法、著作権法などの改正が含まれています。

 この法律案や概要等の資料については、内閣官房のサイトに公表されています。

  → 内閣官房サイト第190回国会提出法案

 この内、著作権法に関しては、保護期間の延長などが内容となっているのですが、著作権法違反罪について、従前は親告罪(被害者=著作権者の告訴がないと起訴できない。)となっていたのを非親告罪化する改正も含まれています。ただし、漫画同人誌などでの二次創作、パロディまでが、告訴なしに捜査当局に立件されることに対しては強い反対があったため、非親告罪化する行為の対象を限定しています。

 なお、この非親告罪化問題については、当ブログでも過去に書いています。

 → TPPによる著作権非親告罪化と二次創作(2015/11/5)

親告罪規定である著作権法第123条についての今回の改正法案を見ると、従前の第1項(親告罪規定)の後に、第2項、第3項を加えて(現在の第2項は新第4項に移る。)、新第2項の一号、二号に記載された有償著作物等(新第3項に定義)に関する行為に限り、親告罪規定(第123条1項)を適用しない(非親告罪化)とする形になっています。新第2項、新第3項については、後に貼り付けておきます。

 内閣官房サイトの概要の図表は次のようになっています。

Photo_2

 

 つまり、非親告罪となるのは、「有償著作物等」が対象とされ、それは有償で著作権法上適法に公衆に提供されたり提示されたりしているものです(新第3項)。

 そして、当該行為が「対価として利益を受ける目的」又は「著作権者等の利益を害する目的」で行われる場合で、しかも、「有償著作物等」を原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡したりや原作のままネット送信したりする行為(新第2項第2号)と、そのために複製する行為(新第2項第3号)のみが対象で、かつ、諸般の事情に照らして著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限定されています。

 したがって、コミケなどで売られているパロディや二次創作、個人的な少部数の販売などは原則として除かれることとなります。したがって、非親告罪の対象となる行為は、海賊版の販売で利益を得る場合などが典型的なものになります。

 ただし、もちろん、親告罪のままでも、従前通り、著作権法上、違法な行為であることには間違いなく、権利者らから告訴されたり、民事上の損害賠償等の請求がなされるリスクはありますので、その点はご注意ください。


(改正法案における著作権法第123条・・・第1項、第4項は略)

2 前項の規定は、次に掲げる行為の対価として次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第119条第1項の罪については、適用しない。

一 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。次号において同じ。)を行うこと(当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。

二 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること(当該有償著作物等の種類及び用途、当該複製の部数及び態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。

3 前項に規定する有償著作物等とは、著作物又は実演等(著作権、出版権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するもの(国外で行われた提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきもの)を除く。)をいう。

2013年2月 9日 (土)

きたやまおさむ講演会行ってきました。

 今日は、きたやまおさむ講演会(主催:NPO 国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止協会)に行ってきました。タイトルは「人生物語の紡ぎ方 潔く生きないように」でした。

 きたやまおさむ(北山修)さんといえば、言わずとしれたフォーククルセダーズのメンバーで、「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」「花嫁」「さらば恋人」などのヒット曲の作詞でも知られるミュージシャンですが、もちろん、精神科医、精神分析家としても最近退官されるまで九州大学教授を務めておられた大家でもあります。

 私としては、小学校低学年時代の「帰って来たヨッパライ」以降、高石ともやなどと並んで、関西フォークの中心であり、フォークル解散以後、自切俳人(じきるはいど)時代を含めて、高校、大学時代まで、ずっと、その音楽やラジオパーソナリティとしての活動を追いかけてきた方です。もちろん、京都の宵々山コンサートなどでのライブも何度か拝見してきました。

 今日の講演でも、ミュージシャン時代の話を含めて軽妙なお話で会場を沸かせながら、日本人がこれまで潔い人生を求めすぎてきたのではないか、ダラダラした人生も肯定されるべきではないか、との話を、夕鶴などの異類婚姻譚や古事記などの説話を材料としてお話され、考えさせられました。加藤和彦が、かっこよく去ってしまったことについても、そうでなくて良かったのではないのか、というくだりは、北山氏の痛恨の思いから来るところなのでしょう。

 また、精神分析家としてクライアントとのパーソナルコミュニケーションのお話もされていましたが、作詞家の仕事とも通ずるというお話や、クライアントとの通訳として1人ひとりで違った辞書を持つ必要があるというお話は、我々弁護士の仕事とも相通ずるもので、面白く聴いていました。奥さんとの会話も何度か入れておられましたが、私も同感でした(いろいろ支障があるので詳細は省きます。)

 深層心理のお話も本題の中でされていました。それに関しては、一般向け新書として、最近このような本を出されています。

 この本は、半年前に、タイトルを見て、フォークルセダーズ時代などについてエッセイ的な軽く読める新書かと思って、旅行前に買ったものの、読み出すと結構重い内容で、途中で止まったままになっていました。
 今日もお話されていましたが、借金して300枚作ったレコードがほとんど売れなかったのが、突然数ヶ月で300万枚売れてしまったという事件が自身に与えた影響あたりから書き起こされているものですので、今回の講演をきっかけに、ちゃんと読み直そうと思っています。

2011年6月18日 (土)

「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全、編著)読んでます。

 著作権を勉強していても、抽象的な議論だけではよくわからないことがあったり、現実の著作権ビジネスなどがどのように行われているのか知らない部分も多いという反省から、先日出版された「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全 編著、学陽書房)を購入しました。600頁近い内容なので、全部を通し読みはできてませんが、最初の音楽関係のところだけでも充分に面白い。なかなか外部からはわからない業界慣行(配分の相場とか)についても触れられています。ちょっと値段は張りますが、内容的にも分量的にも値打ちはあると思いました。

 本書は、著作権だけを対象にしているわけではありませんが、著作権の勉強に限っても、現実の社会での立体的な理解に大変役立つと思います。著作権法の教科書には、具体的な当事者(音楽でいえば、作詞者、作曲者、歌手、バックミュージシャン、編曲者、プロデューサー、音楽出版社、レコード会社、JASRACなどなどなど。)の間の現場での権利関係や慣行などについてはほとんど触れていないですからね。

 ジャンル的には、「音楽」「映画・ビデオ」「出版」「ゲームソフト」「演劇・舞台芸術」「グラフィックアート・写真」「プロスポーツ」「テレビCM」「放送」「インターネット配信」「商品化」「パブリシティ権」と、今の著作権関連ビジネスを網羅してます。

2010年8月13日 (金)

携帯音楽プレーヤー「iPod nano(第1世代)」のバッテリー過熱事故

 お盆ですね。私自身はあまり関係なく仕事してます。

 さて、今日(8/13)のニュースで、今朝、東急電鉄田園都市線を走行中の電車内で、携帯音楽プレーヤーの「iPod」(米アップル社製)から煙が出るという騒ぎがあったということです。幸い大したことはなかったようですが、社内に焦げ臭いにおいが立ち込めたようですね。

 現時点での報道では、この「iPod」の型式などは不明のようなので、以下の問題と直接の関係があるかどうかはわからないのですが、「iPod nano」という商品(第1世代)については、充電中に製品本体が焼損し、使用者が軽傷を負うなどの事故が多数発生しています。

 経済産業省によれば、重大製品事故6件を含む61件の製品事故が報告されているとのことです。
 → 経済産業省サイト 報道発表

 この問題については、7月28日付で、経済産業省が、消費生活用製品安全法に基づいて、アップルジャパン(株)に対して報告の徴収を行っており、同社の報告を経て、8月6日に同社に対して、今後の消費者に対する注意喚起及び再発防止の徹底について指示を行っています。詳細については上記リンク先の各資料をご覧下さい。この指示内容からすれば、アップルジャパン社の自社サイトに情報を出しておかねばならないのですが、あまり判りやすい場所ではありませんですね。
 → アップルサポート
 
「iPod nano (1st generation):バッテリーが過熱する特殊な事例について」

 ここでは、「ごくまれなケースとして 2005 年 9 月から 2006 年 12 月の間に販売された初代 iPod nano バッテリーが過熱を起こし、使用できなくなったり変形したりしていることを確認しました。」とされていますね。バッテリーの交換に応じるようです。この第1世代の商品をお持ちと思われる方は、このアップルのサイトで確認してみて下さい。

 なお、この問題については、消費者庁も、消費者安全法に基づいて、同様の調査、指示を行っています。
 → 消費者庁サイト 消費者事故情報

 なお、経済産業省消費者庁からの「消費者への注意喚起」は、次のようなものです。

「アップルジャパン株式会社が輸入した携帯型音楽プレーヤー iPod nano(第一世代)をお持ちの方は、機器の過熱にご注意ください。バッテリーが実際に過熱したり、バッテリーについて不安をお持ちの方は、アップルサポートに連絡し、バッテリー等の交換手続きを行ってください。」

2010年3月 4日 (木)

iTunes社からの回答書と再度の質問書(消費者庁)

 今、ちょっと試験的に、メールによる法律相談を始めようかと思い立って準備をしています。週末には試験運用を開始するつもりです。たぶん、このブログのサイドバーに申込窓口を付けることになると思います。

 さて、2月17日の当ブログ記事に、消費者庁iTunes社に照会文書を出したというのを書きました。詳しい内容は、そちらを見ていただくとして・・・
 → 「音楽情報サイトiTunes社に対する文書照会(消費者庁)」
                            (2/17)

 本日、iTunes社からの回答(2日付)を、消費者庁が公表しています。
 → 消費者庁サイト
 「照会事項に対する音楽情報サイト運営事業者からの回答について」

                            (PDF)

 消費者庁の照会事項に対しての回答は、概略、後記のようなものです(詳しくは上記リンクの回答書参照)。しかし、消費者庁は、この回答書に対して、さらに補足的な質問書面を本日付にて送付しています。「消費者が安心して安全に音楽情報サイトを利用することができる環境を整えるため、いくつかの点についてさらに詳細な情報が必要であると思われますので・・・」ということです。補足的といいながら、今回の質問事項のほうが長いので省略しますが、詳しくは、以下のリンクの消費者庁の公表資料をご覧ください。個人的には、回答から2日間の速攻で消費者庁が再質問文書を出したという点に大変興味が引かれています。
 → 消費者庁サイト
   「音楽情報サイト運営事業者に対する補足的な質問について」

                          
(PDF)

【3/2付 ITunes社から消費者庁への回答要旨】

  1. iTunes Storeでは、心当たりのない利用料金が請求された事例をどの程度把握しているか、その詳細は?

    (回答)利用者のプライバシーの問題等でコメントは差し控える。
        自社からの情報漏洩を示す証拠は認められない。
  2. iTunes Storeでは、その原因は何と考えているか、原因究明の方針、予定は?

    (回答)考えられるのは、①クレジットカード詐欺、②メールアカ
        ウント流出、などだが、iTunesに特有の問題ではない。し
        かし、厳重なモニター体制は継続する。
  3. iTunes Storeでは、ID・パスワード情報、クレジット情報等の保護にどのような努力が払われているか?

    (回答) 略
  4. 心当たりのない利用料金請求に、どのような対応をしているのか?
     (1)相談窓口等のサポート
         (回答) 略
     (2)ID使用停止等の措置は迅速に講じられているか?
         (回答)不正が強く疑われる場合はアカウントを無効
             にするなどしている。
     (3)クレジット会社、利用者に対し、利用状況の確認等に必要な情
        報は提供されているか?
         (回答) 略
     (4)利用事実がない場合、請求を中止するなどの措置が講じられる
        余地はあるか?
         (回答)返金に応じている。
  5. iTunes Store利用者からの電子メールによる質問等の回答にどの程度の時間がかかっているか?電子メール以外に電話等の受付窓口を設ける予定はないか?
    (回答)利用者からの質問には迅速に返答しており、自社の顧客満
        足度は業界最高水準。メールによるサポートが最も効果的
        かつ効率的な方法である。

2010年2月22日 (月)

音楽情報サイト問題について続報(消費者庁)

 昨日あたりから昼間は暖かいですね。私は、昨日の日曜は泉州国際市民マラソンに参加しました。数年前に一度出たフルマラソンのレースですが、今回はちょっと暖かすぎるくらいの良いコンディションでした。無事に制限時間内に完走することができました。心配していたのですが、フルマラソンの連続完走記録を何とか継続することができました。

 さて、先日ご紹介しました消費者庁iTunes社に対する照会文書に関連して、消費者庁は、今月19日、社団法人日本クレジット協会に対して以下のような文書を出しています。この問題については、消費者庁は積極的に文書発出、情報公開を続けていますね。
 → 消費者庁サイト
  「音楽情報サイトの利用を巡る消費者相談への対応状況の照会について」

 ここで、消費者庁がクレジット協会に対して、クレジットカード会社各社に確認したうえで回答を求めたのは、以下のような事項です。

  1. 音楽情報サイトの利用者において、心当たりのない利用料金の請求を受けたといった事例が発生しているという実態を把握しているか。
  2. 同種事例の発生、拡大を防止するため、音楽情報サイト運営事業者に対して、原因究明を求めたり、措置を講ずるよう働きかけたりなどしたことがあれば、事業者別に教えてほしい。
  3. これらの事例の、月別、請求金額、内容。
  4. 発生原因。
  5. 対応策。
  6. 発生防止のため、どのような活動が有益、必要であるか。

 しかし、いまだにiTunes社のサイトには、この問題についての発表ないですね。

2010年2月17日 (水)

音楽情報サイトiTunes社に対する文書照会(消費者庁)

 今朝は國井先生の告別式に出席しました。哀しい場ではありますが、何人かの懐かしい顔にも会うことができました。

 さて、本日、消費者庁が、iTunes社に対して照会書面を出したことを公表しています。
 実は、2月12日に、消費者庁は、「インターネットをめぐる消費者トラブルについて」の第4弾として、「音楽情報サイトの利用者が心当たりのない利用代金の請求を受ける事例の発生について」という広報を行っています。
 ここでは、会社名は出さずに、「インターネットを介して、有料で音楽を配信するサービスを提供する音楽情報サイトの利用者が心当たりのない代金の請求を受けた事例に関する情報が、消費者庁の消費者情報ダイヤルや各地の消費生活センターに寄せられています。」「これらの事例の多くは、利用者がクレジットカードの利用履歴や請求書の明細等を確認した際、心当たりのないクレジットカードの利用履歴等が記載されていることに気付いたというもので、中には高額の代金が請求された事例も含まれています。」として、情報提供、注意喚起が行われています。
 → 消費者庁
 「インターネットをめぐる消費者トラブルについて」(#4「音楽情報サイト」)

 そして、今日は、この問題に関連して、iTunes社に対して、消費者庁消費者情報課長名で、照会文書を発したことを公表したものです。
 → 消費者庁 「音楽情報サイト運営事業者に対する照会について」

 いわば公開質問状ですが、対象会社を特定して、この段階で迅速に公表しているというのは、それだけこの問題の被害について、消費者庁が深刻に考えているからだろうと思われます。今後のiTunes社の回答、対応が注目されるところですが、今見たところでは、iTunes社のサイト上でのニュースリリースはありませんでした。
 今回の消費者庁による照会事項の概要は以下の通りです。

  1. iTunes Storeでは、心当たりのない利用料金が請求された事例をどの程度把握しているか、その詳細は?
  2. iTunes Storeでは、その原因は何と考えているか、原因究明の方針、予定は?
  3. iTunes Storeでは、ID・パスワード情報、クレジット情報等の保護にどのような努力が払われているか?
  4. 心当たりのない利用料金請求に、どのような対応をしているのか?
     (1)相談窓口等のサポート
     (2)ID使用停止等の措置は迅速に講じられているか?
     (3)クレジット会社、利用者に対し、利用状況の確認等に必要な情
        報は提供されているか?
     (4)利用事実がない場合、請求を中止するなどの措置が講じられる
        余地はあるか?
  5. iTunes Store利用者からの電子メールによる質問等の回答にどの程度の時間がかかっているか?電子メール以外に電話等の受付窓口を設ける予定はないか?

【追記】(2/22)
 追加情報を別記事にしました。
 → 「音楽情報サイト問題について続報(消費者庁)」(2/22)

2009年7月28日 (火)

第1回審判期日のJASRAC意見陳述(独禁法)

 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) の放送事業者との音楽著作物使用料の算定方式が独占禁止法(私的独占)に違反するとして、公正取引委員会が出した排除措置命令に関連しては、当ブログでいくつか触れてきました。

 → 「JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)」(2/27)
 → 「JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)」(5/4)
 → 「JASRACの独占禁止法問題についての公取委インタビュー記事など
     (日経BP ITpro)」
(5/12)

 で、この事件につき、審判手続の第1回審判期日が、昨日開かれました。JASRACのサイトで、当日のJASRACの意見陳述内容が公表されています。
 → JASRACサイト「公正取引委員会における審判手続の開始について」

 この意見陳述は、審判手続の開始に当たって、排除措置命令の違法性の主要部分を述べるためのものとしており、詳細は今後明らかにするとのことです。

 今回の意見陳述の詳細は上記リンクを見ていただきたいですが、「JASRACは、管理事業法を遵守し、合理的な契約交渉をして、合理的な料率での使用料に合意したのであるから、本件命令は私的自治の要素を成す契約交渉の過程と結果に対する違法な介入である。」とし、「JASRACは・・・・、著作権という知的財産権の適正な実現に寄与する団体であるが、本件命令はこの知的財産権の適正な実現に対する脅威でもある。 」としています。さらに、「放送等事業における音楽著作物の利用に関する包括契約・包括徴収という世界のどこでも実施されているシステムを正しく評価していないことが今回の命令につながったのであり、本件命令は正に「木を見て森を見ない」ものという外ない。 」と、公正取引委員会の排除措置命令に対して強烈に批判を行っています。

 JASRAC自体は多くの人が知っていて、おなじみの団体であるにも関わらず、その著作権管理事業や著作物の使用契約の内容について、それほどちゃんと理解されていないからでしょうか、掲示板などでのネット上の意見は、単にJASRACの音楽著作権事業一般についての批判・反発というだけのものが多く、排除措置命令が対象としたJASRACと放送事業者との契約内容や他の著作権管理事業者との関係などを理解したうえでの発言は見あたらないですね(かくいう私も決して偉そうにはいえませんが)。

2009年5月12日 (火)

JASRACの独占禁止法問題についての公取委インタビュー記事など(日経BP ITpro)

 明日(5月13日)は、前に書きましたように、大阪弁護士会で「ドロップ・シッピング110番」が開設されます。
 → 「「ドロップ・シッピング被害110番」(大阪弁護士会)」(4/28)
 結構いろんなメディアで紹介されて、この手の110番(ホットライン)としては、マスコミ受けの良いテーマだったようです。目新しさもあったのでしょうね。忙しくなりそうですが、お手伝いできなくてスミマセン。

 さて、話題になっている日本音楽著作権協会(JASRAC)の事件ですが、公正取引委員会が立入検査の後、独占禁止法違反として排除措置命令を出し、これを不服としてJASRACが審判請求をした、という問題については、その都度、当ブログでご紹介してきました。
 → 「JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)」(08/4/23)
 → 「JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)」(2/27)
 → 「JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)」(5/4)

 このたび、この問題について、公正取引委員会の担当者である岩成博夫氏(事務総局審査局第四審査長)に対するインタビュー記事を、日経BPITproが配信しています。
 → 「公取委が語るJASRACを問題視した理由」

 ITproによる全体的な記事(JASRAC側の言い分を含む)は、
 → 「「一体,我々のどこが悪い」,JASRACが公取委と全面対決へ 」

【追記】(5/14)
 ITproの関連記事にこんなのもありました。
 → 「監督官庁の責任は皆無,見守るのみ」
 この問題に関する文化庁長官官房著作権課長山下和茂氏のインタビュー記事です。ちょっと、わかりずらいタイトルですね。

2009年5月 4日 (月)

JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)

 今年2月27日に公正取引委員会社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に対して、独占禁止法違反(私的独占)として排除措置命令を出したことは、当ブログでも書きました。
 → 「JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)」(2/27)

 この排除措置命令を不服として、4月28日にJASRACが審判請求をしたことを公表しています。
 → JASRACサイト・プレスリリース
   「公正取引委員会に対する審判請求の申立について」(4/28)

 このプレスリリースによれば、「排除措置命令は、著作権及び著作権管理事業の本質並びに我が国の著作権管理事業者が置かれている現状を理解しないまま、私人間の交渉事項(市場)に介入するものであり、大局的な目でみれば、権利者のみならず利用者の利益をも害するものと考えられます。」としたうえで、「このため、権利者と利用者双方の利益に資する著作権管理事業のあり方という観点を中心に、審判において当協会の考え方を説明し、公正な判断を求めていきます。」と争う姿勢を見せています。

 公表されているJASRACの主張概要は、

  1.  代替可能な商品・役務とは異なり、音楽の著作物は基本的に代替性を欠くこと。
  2.  放送事業者が放送使用料の追加的な発生を回避するために、他の管理事業者の管理楽曲を利用しないということはなく、利用しないと考えることに合理性がないこと。
  3.  包括契約及び1曲1回の個別契約の双方にそれぞれ存在理由があり、また、包括契約は諸外国のほとんどの著作権管理団体で採用されていること。
  4.  包括徴収する使用料に他の管理事業者分が含まれていないこと。また、このことは管理事業法の施行又は他の管理事業者参入前後で変わりないこと。
  5.  包括契約の対象となる当協会の管理楽曲数は一定ではなく、年々増大していること。
  6.  我が国の放送使用料は、国際的にみて極めて低い水準にあり、諸外国の著作権管理団体からの求めにより、その改善に取り組んでいる最中であること。
  7.  当協会は、本件について、排除措置命令という方法ではなく、公正取引委員会との協議を通じて実行可能で効果のある徴収方法を検討することが適当だと考えており、排除措置命令の必要性についても正しい判断を求めること。