ピンクレディが出版社の写真使用を訴えた事件の判決(東京地裁)
マスコミでも報道されましたが、ピンクレディの写真を無断で使用した記事を女性週刊誌に掲載した出版社(光文社)を被告として、ピンクレディの2人が原告となって、不法行為(パブリシティ権侵害。民法715条)に基づいて、損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた裁判の判決です。最高裁サイトの知的財産裁判例集に掲載されています。
東京地裁平成20年7月4日判決 損害賠償請求事件
(請求棄却)
被告発行の週刊誌「女性自身」に、ピンクレディが「渚のシンドバッド」「ウォンテッド」「ペッパー警部」「UFO」「カルメン’77」の5つの楽曲における振り付けを利用したダイエットに関する「ピンク・レディーdeダイエット」と題する記事が掲載され、ピンクレディが写っている写真14枚も掲載されている、というものです。なお、記事の具体的な内容は判決に摘示されていますので、ご参照下さい。
判決は、まず、「パブリシティ権」について、「人は、著名人であるか否かにかかわらず、人格権の一部として、自己の氏名、肖像を他人に冒用されない権利を有する。人の氏名や肖像は、商品の販売において有益な効果、すなわち顧客吸引力を有し、財産的価値を有することがある。このことは、芸能人等の著名人の場合に顕著である。この財産的価値を冒用されない権利は、パブリシティ権と呼ばれることがある。」としました。
そして、他方で、「芸能人等の仕事を選択した者は、芸能人等としての活動やそれに関連する事項が大衆の正当な関心事となり、雑誌、新聞、テレビ等のマスメディアによって批判、論評、紹介等の対象となることや、そのような紹介記事等の一部として自らの写真が掲載されること自体は容認せざるを得ない立場にある。そして、そのような紹介記事等に、必然的に当該芸能人等の顧客吸引力が反映することがあるが、それらの影響を紹介記事等から遮断することは困難であることがある。」ともして、
「芸能人等の氏名、肖像の使用行為がそのパブリシティ権を侵害する不法行為を構成するか否かは、その使用行為の目的,方法及び態様を全体的かつ客観的に考察して、その使用行為が当該芸能人等の顧客吸引力に着目し、専らその利用を目的とするものであるといえるか否かによって判断すべきである。」としました。
そして、本件の記事や写真の掲載態様などからして、殊更原告らの肖像を強調しているものではなく、「原告らの顧客吸引力に着目し専らその利用を目的としたものと認めることはできない。」と判断し、不法行為は構成しないとして、ピンクレディの請求を棄却したものです。
記事の現物は見てませんので、特に写真の掲載態様などがよく分からないので何とも言えませんが、判決摘示の事実関係から見て、私としては、かなり微妙な事案ではないかと思っています。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

最近のコメント