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2017年3月24日 (金)

「ブライダル」と「葬儀」の取引実態調査報告書(公正取引委員会)

 3月22日に、公正取引委員会が2つの取引実態調査報告書を公表しています。

 ブライダルと葬儀という対照的な業種ですが、多くの人々に関係する業界の取引の実態の報告です。ブライダル業者、葬儀業者、それらへの納入業者に対して調査票を送付して回答してきた事業者の回答内容に基づいています。

「ブライダルの取引に関する実態調査報告書」

「葬儀の取引に関する実態調査報告書」

 報告書本体は、どちらも本文が80ページ前後ある大部のもので、上記リンク先から読めますが、それをまとめた「概要」も掲載されています。

 どちらの取引についても調査の趣旨は、「新規参入や消費者等のニーズに対応するための競争が活発に行われる一方で,ブライダル(葬儀)業者と取引をする事業者に対して,取引とは直接関係ない物品の購入を要請するといった行為が行われているといわれている。このような実情を踏まえ,」公正取引委員会が実態調査を実施したとのことです。独禁法上の優越的地位濫用下請法の観点のからの調査ですね。

 これを見ると、ブライダル市場も葬儀市場も縮小傾向にあるようで、ブライダル市場については、業者の取扱件数、年間売上高が減少傾向にあるだけではなく、ブライダル1件当たりの売上高、出席人数も減少傾向にあるとのことです。葬儀市場については、従来型の一般葬が減少傾向で、家族葬などが増えているとのことです。

 ブライダル業者と納入業者の関係においては、ブライダル業者から納入業者に対し、イベントチケットの購入や協賛金の提供を強制されたり、買いたたき、返品などの回答事例があげられていて、優越的地位濫用の問題となりうる事例をあげた回答は、37.8%あったとされています。

 葬儀業者と納入業者の関係でも、同じく商品等の購入強制や買いたたきなど、同様の事例が回答されています。こちらも優越的地位濫用となり得る行為について、29.9%の業者が事例をあげています。

 公正取引委員会の対応としては、事業者団体への取組要請などとともに、「公正取引委員会のホームページ、ツイッター、フェイスブック等」を通じた呼びかけがあげられていて、時代を感じますね。なお、公正取引委員会のSNSアカウントなどは、次の通りです。

  Twitter https://twitter.com/jftc

  facebook https://www.facebook.com/JapanFTC

  Youtube https://www.youtube.com/c/JFTCchannel

2016年1月20日 (水)

最高裁判所を徳島へ、という提言

 報道で御存じの通り、現在、政府は、政府関係機関の地方移転を検討しています。
 ただ、中央官庁の移転には抵抗が大きく、結局現在のところ、俎上にのぼっているのは、消費者庁・国民生活センターの徳島移転と文化庁の京都移転となっているようです。

  文化庁について詳しくはないので触れませんが、消費者庁の徳島移転には反対せざるを得ません(ひとこと言っておきますと、徳島はいいところです。とくしまマラソンも素晴らしいマラソン大会です。)。   

 もちろん私も東京一極集中は是正されるべきと思いますが、それは本来行政機関が果たすべき機能が果たされるような移転でなければならないのは当然です。
 消費者庁は設置からの期間も短く、まだ組織としても充分ではないうえ、地方部局を全く持っていません。このような弱小官庁が地方に移転すれば、ますますその機能を果たすことはできなくなります。 

 当然ながら各地の弁護士会や消費者団体からは反対の意見が相次いでいるわけで、別に消費者庁の職員たちが地方への引っ越しが嫌だから、とかいう、公務員個人の身勝手な反対のレベルの問題ではありません。 

 しかし、消費者庁を担当する河野太郎大臣は、今のところ移転に前向きな方針を明らかにしており、本日の報道では、「20日朝の自民党の会議で「地方へ役所が行ったら仕事ができないぐらいの役所だったら、そんなもん潰した方がいい」と吠えました。」(TBSのニュース)と伝えられています。   
 それならば、もっと力のある財務省とか経済産業省とか文部科学省とかを移転したほうが効果があるのにと思うのですが、なぜ消費者庁なのか、上の河野発言の後半「潰したほうがいい」に力点があるのではないか、と勘ぐってしまいます。他の抵抗が強く、移せないから、政府としては格好をつけるための帳尻合わせなのでしょうけども。 

 さて、上に書きましたように反対意見はいろいろと出ており、各団体のサイトにも掲載されています。いちいち取り上げませんが、大阪弁護士会の意見書を参考にして、いくつかあげると(国民生活センターについては今回は割愛)、 

①地方移転によって「情報の集約・調査・分析」、「情報の発信・注意喚起」、「各省庁への措置要求」、「すき間事案への対応」等の様々なアクセスが阻害され、結果として司令塔としての機能が低下・後退することが懸念される。 

②緊急事態において、数時間内での対面の会議を実施し、官邸や省庁をまわっての情報収集と情報共有を行い、国民に情報を提供し、注意喚起する必要があり、、消費者庁が地方に移転した場合に現在と同じように迅速な対応を果たすことは極めて困難。 

③消費者庁に総合調整機能は消費者行政の司令塔・エンジン役としての役割強化が求められており、関係省庁との日常的な連携、消費者団体や事業者団体が消費者被害の未然防止などの取組を行うに当たって、新たな消費者問題を迅速に把握、対応することは不可欠で、そのためには正確で深い理解が必要であり、迅速・確実に指令を出すために消費者庁が地方にあるという状態は役割を著しく低下させる。 

④消費者庁が地方に移転すると、事実調査に多くの時間とコストがかかることが予想され、厳正かつ迅速な執行、見直し機能が阻害される可能性が極めて高い。 

⑤消費者庁は、総合調整を図るべく、関係省庁や消費者団体や事業者団体と調整し、必要な措置を執らなければならず、このような役割を大きく阻害する。 

⑥消費者政策においては、法改正を迅速かつ頻繁に行うことが重要だが、法改正においては、関係省庁との調整だけでなく、内閣法制局と頻繁に協議し、国会への対応が不可欠であり、法改正審議となれば、国会議員に個別に趣旨や内容説明を直接行うことも多いが、これらをテレビ会議や電話で行うことは限界があり、移転は消費者政策に計り知れないダメージを与える。 

などです。 私もその通りだと思います。

 もっとも、反対だけではいけないので、地方移転の弊害がなるべく少ないところはないかと対案を考えてみると、最高裁判所がいいのではないか、という結論になりました。 

 もともと司法予算獲得努力は不十分なところですし、司法機関ですので、中央行政官庁と頻繁に協議したり会議を行う場面もほとんどありません。国会対応も事業者団体との接触も不要。地方部局として各地にたくさん裁判所はあり、司法行政上の問題もありません。会議などはテレビ会議で充分できるはずです(と、河野大臣は言ってます。)。今のインターネット環境では必要な資料収集も充分可能ですし、必要な図書館くらいは、どこの官庁が移っても必要なので同じです。全国の裁判官会議などは、東京事務所を置いておけば充分でしょう。 

 最高裁判所の裁判手続が不便になるではないか、と心配のむきもあるかと思いますが、最高裁判所が審議する上告事件の裁判は、上告理由が限られていることもあり、裁判全体からすればごく一部ですし、おまけにそれら上告事件裁判のほとんどは、「弁論期日」すなわち当事者(弁護士を含む)が出頭しなければならない手続は開かれません。
 ほとんどの上告事件は上告したら、書面審理だけで、判決が送られてきます。なので、最高裁判所の法廷に行ったことのない弁護士もたくさんいます。私も、実際に最高裁判所の法廷で口頭弁論期日に出席したのは、30年以上の弁護士生活の中で1回だけです。 

 したがって、徳島に限らず、地方移転する国の機関としては、最高裁判所がもっとも適していると思いますし、ついでに同様の理由で、最高検察庁も移転してもいいのではないか、と思います。そのついでに、日本弁護士連合会が地方移転しても私は構いませんが、我々の会費で移転しなければならないので、それは反対(苦笑)

【追記】
 考えてみると、司法の最高機関が、行政府、立法府と離れた場所で公正な裁判を行うという点からも、いいアイデアではないかと思いました。

2016年1月 7日 (木)

「個人情報保護委員会」が始動

 今回もマイナンバー・個人情報保護法関連になりますが、この1月1日から、これまでの特定個人情報保護委員会が改組され、個人情報保護委員会となりました。
これにより、これまで特定個人情報保護委員会が所掌していたマイナンバー法消費者庁が所掌していた個人情報保護法の両方が、この新しい個人情報保護委員会の所掌ということになります。
 さっそく、個人情報保護委員会のサイトができていますね。

  →   個人情報保護委員会サイト

 この改組は、昨年の両法の改正についての今年1月1日からの一部施行(全面施行の施行日は未定)によるものです。サイトには、この一部施行に基づく法文(つまり現行法)と全面施行後の法文などが掲載されるなど、法令関係jなどもアップデートされています。

 本来、個人情報保護委員会は、委員長ほか8名、つまり9名の委員会であり、これまでの特定個人情報保護委員会が5名でしたので、4名の委員の追加が必要であったところ、これは国会の同意人事であるため、改正後の国会のごたごたにより、追加人事の同意に至らないまま、人数不足の状態で発車していました。

 これが、今回の国会でようやく追加されることとなり、昨日、その候補者(同意人事案)が次の通りに報道されています。

○ 丹野美絵子     元国民生活センター理事
○ 熊沢春陽       日本経済社執行役員
○ 宮井真千子     パナソニック顧問
○ 大滝精一       東北大大学院教授

なお、従来からの留任の委員長、委員は次の通りです。

○ 堀部政男(委員長) 一橋大学名誉教授
○ 阿部 孝夫      元川崎市長
○ 嶋田実名子     元花王(株)コーポレートコミュニケーション部門理事
○ 手塚 悟       東京工科大学コンピュータサイエンス学部教授
○ 加藤久和       明治大学政治経済学部教授


2013年10月 3日 (木)

アブラハム・プライベートバンク株式会社についての金融庁への勧告(証券取引等監視委員会)

 かなり久し振りの連投になります。

 昨日あたりから、各報道機関から報じられていた、証券取引等監視委員会による「いつかはゆかし」のアブラハム・プライベートバンク株式会社(以下、アブラハム社)についての金融庁への処分勧告が公表されています。
                  
    → 証券取引等監視委員会の発表
                  
   証券取引等監視委員会と関東財務局長が、アブラハム社(投資助言・代理業)を検査した結果、法令違反の事実が認められたので、証券取引等監視委員会が、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法20条1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した、というものです。
   金融庁としては、この勧告を受けて、場合によっては業務停止等の処分を行うことになります。
                  
   法令違反の事実としては、
  1. 無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況
  2. 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
  3. 顧客の利益に追加するため財産上の利益を提供する行為      
の3つが挙げられております。
                  
 ここでは、この内、2番目の「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為」を取り上げてみたいと思います。
                   
   証券取引等監視委員会は、アブラハム社が、「雑誌、テレビ、電車の車内及びインターネット等において自社広告を展開することにより、近時、急速に顧客数を増加させている。」としたうえで、 これらの広告について以下のような問題のある表示が認められた、としました。                   
  •  雑誌記事広告におい て、助言サービス「いつかはゆかし」並びに国内証券会社及び国内投信会社が販売する積立商品の合計6商品を「国内外の主要積立商品比較(過去5年間の年平均利回り)」との表題の下、グラフにより比較し、6商品の中で「いつかはゆかし」が15.34%と、最も高い平均利回りを上げている                    と記載している。
                       
       しかし、過去5年間の年平均利回りとして15.34%というパフォーマ ンスを上げていた投資商品は、顧客が投資対象を選択するに当たり選択肢となり得る投資商品の一つではあるものの、アブラハム社は、当該投資商品の取得を顧客助言したことはなく、顧客がアブラハム社の助言を受けて当該投資商品を取得した事実もない。

  •  自社ウェブサイトにおいて、「類似の資産運用サービスと比較した場合、アブラハム・プライベートバンク株式会社の手数料は、業界最安値でございます。」と記載し、併せて、アブラハム社の調査に基づき作成した比較資料をその根拠として掲載している。                   
                       
       しかし、アブラハム社は、他社のサービスとの手数料比較に際して、アブラハム社の助言手数料を下回るサービスが存在することを認識しながら、あえて当該サービスを比較対象に含めず、それ以外の事業者との間でのみ手数料を比較している。               
  •  自社ウェブサイトにおいて、「金融機関や運用会社から販売手数料等はもらっていません。」と記載している。
                       
        しかし、アブラハム社及び親会社AGHは、特定の海外ファンドの発行者又は運用会社から、当社顧客による海外ファンドの購入額に応じた報酬を受領している。               
                      
  そして、証券取引等監視委員会は、これらの表示行為は、広告等において、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をする行為であり、金融商品取引法37条2項に違反するとしたものです。

  この勧告に基づく金融庁の処分は行政処分ですが、上記の違法表示行為の内容からみて、勧誘行為の実態によっては、行政処分にとどまらず、各顧客に対する詐欺等の問題が生じる可能性はありえない話ではありませんね。

【追記】(10/3)
 本日の勧告に対して、アブラハム社がプレスリリースを出しています。

  → アブラハム社サイトより

 昨日の報道段階のリリースもひどかったですが、本日のも、単に「ちゃんと運用してます。」というだけで、勧告内容に対する反論にはなっておらず、要するに、勧告内容には反論できない、としか読めないことになっています。そのことだけからも、この会社の危機管理の感覚を疑わざるをえません。
 勧告のいう法令違反は、運用内容がどうこうというのではありません。この会社の営業に関わった人達には猛省を促したい。これは、某大マスコミ、某エコノミスト、などを含めてです。
 私の興味分野である広告塔、広告媒体の責任についても、考えないといけない案件かもしれませんね。

2013年7月 3日 (水)

参議院議員選挙でネット選挙運動解禁なので。

 明日7月4日は参議院議員選挙の公示ですが、インターネットによる選挙運動ができるようになりましたので、その点からも注目される選挙となりました。   
なお、ネットで選挙(投票)ができるわけではありませんです。

  なので、ネット選挙運動に関して、どのような活動が許され、どのような活動が禁止されるのかなどについての情報をまとめてみました。もちろん、今回が最初ですので、いろいろと判断の難しい事案なども出てくるかと思います。私たち弁護士としても、いろいろと勉強になる選挙となりそうです。   

 なお、ネットに限らず、未成年は選挙運動は禁止されていますので、ご注意ください。

  まず、総務省は、ネット選挙運動についてのサイトを開設しています。 

総務省「インターネット選挙運動の解禁に関する情報」

  この中で、「ネット選挙運動解禁啓発動画コンテストの開催 」というのがあり、それ自体は良くある広報活動の一環なのですが、しょこたん(中川翔子)と総務大臣の対談動画がありますので、私の趣味であえて(笑)紹介しておきます。 

総務省「ネット選挙運動解禁啓発動画コンテストの開催」

 

また、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、選挙運動における音楽使用(ネット選挙運動に限りませんが)について、「選挙運動における音楽利用のご注意・ご案内」というのを出しています。 

JASRAC「選挙運動における音楽利用のご注意・ご案内」(PDF)

  また、私も所属しています情報ネットワーク法学会が先日開催したシンポジウムをまとめた書籍「知っておきたいネット選挙運動のすべて」もこのほど出版されることになり、近日中に販売されます。既にamazonなどでも予約を受け付けています。 

  いずれにしましても、皆さん、必ず投票しましょうね。

【追記】(7/4)

 niftyが、わかりやす解説サイトを作っていました。
  → 「インターネット選挙運動 できること/できないこと」

 また、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)も啓発サイトを開設しています。
  → 「選挙運動にインターネットを利用される皆様へ」

2009年9月 9日 (水)

公取委事務総長記者会見記録

 久しぶりに公正取引委員会の事務総長記者会見記録が出ていました。9月2日の分ですが、当ブログの9月5日と6日の記事にも関連するところですので、取り上げてみます。
 → 公取委サイト「平成21年9月2日付 事務総長定例会見記録」

 この日の事務総長からの話は、「平成22年度概算要求について」「景品表示法40年の実績について」で、前者が当ブログ9月5日付記事の関係ですね。後者は、消費者庁に移管された景品表示法について、従前の実績等について語っておられるところで、移管については、「・・・その目的規定も,従前は公正な競争の確保という独占禁止法の特例法という位置付けだったわけでありますが,これが一般消費者による自主的かつ合理的な選択の確保に変更されるわけであります。ただ,この消費者の適正な商品選択ということは,私どもが進めている公正かつ自由な競争の促進という独占禁止法の目的なり,競争基盤を整備するということと,まさに表裏一体の関係にあるわけでありまして,そうした公正な競争が行われるためには,やはり消費者の適正な商品選択ということが不可欠になるわけであります。そういう面で,消費者利益の確保という面においては,独占禁止法も,新たな景品表示法の目的も,まさに共通しているわけでありますし,そういう政策の方向性も軌を一にしているということであります。
 こうしたことから,私どもとしても,今後,消費者庁において景品表示法が従前同様,あるいは,従前以上に積極的に厳正に運用されるということを期待しているところでありまして,公正取引委員会といたしまして,人的な面ということが中心になりますが,協力・支援をしてまいりたいと考えているところであります。
」としています。

 そして、今回の政権交代に関して、記者からの質問があり、この点は、9月6日の当ブログ記事と関係してくるものになります。
 事務総長は、民主党のマニフェストに関して、「民主党のマニフェスト等々においても,この公正取引委員会の機能強化,体制充実ということが書かれておりまして,そういう面では,公正取引委員会が独占禁止法及び下請法の厳正かつ適切な運用に努めていくとともに,当委員会の体制をきちんと充実・強化していくという方向性自身は,民主党を中心とする新しい政権においても,方向性は変わらないのではないかと考えておりまして,そういう面では,その方向性に沿った形で私どもも体制整備を進めさせていただければと考えております。」、また、「いくつか中小企業いじめ防止法案の関係でありますとか,下請法の対象の拡大でありますとか,そういう法制度面におけるいろいろなマニフェストに関連する部分の記載もございます。こちらにつきましては,まだ現時点において詳細な内容を承知しておりませんし,現行法でカバーできる部分と,それ以外の部分でのすみ分けと申しましょうか,それをどう整理するかといった課題もあります。まだ現実に新政権が発足しているわけでもありませんので,どういう体制になるか分かりませんが,そういう体制ができましてから,いろいろと御相談をさせていただくということになるのではないかと考えております。」と述べています。

 あと、審判制度の見直し問題について若干触れておられますが、目新しい話はありません。それと、セブンイレブン問題についても記者から質問がありましたが、これも特に新しい話は出ていませんね。

2009年9月 6日 (日)

民主党の消費者・独禁法行政についての呟き

 今回の政権交代に関して、当ブログの関心分野で言えば、まず、消費者庁の行方があります。そして、もうひとつは、独占禁止法についての公正取引委員会の行方となります。消費者庁については、長官人事については、近い時期に民主党の対応が出てくるものと思われます。本来、独立した強い権限を持った消費者保護院の設置を主張していた民主党が、消費者行政を後退させるようなことはないと信じたいですが、さて、どうなのでしょうか。

 独占禁止法については、これまで問題となっていた審判手続の改廃問題だけではなく、独占禁止法の執行への民主党の対応というのが注目されるところです。

 共和党と民主党の間で政権交代が行われるアメリカでは、民主党政権になると大企業に厳しい独占禁止法執行が行われるという傾向にあります。
 それでは、日本では、どうなるのでしょうか。単純に考えると、日本でも独占禁止法による規制が強化されるような気もしますが、日本の民主党というのは寄り合い所帯ですので、必ずしもその方向の見通しは難しいかと思います。今回のマニフェストでも、こういった政策は選挙民向けではないので、明確ではありません。(同様のことは、消費者庁を含めた消費者行政についても言えるのではないかと思います。)

 どのような政策を取る方針にしても、当面、限られた財源の中で予算をどう配分するかという点が問題になります。ひとつ前の記事に公取委の概算要求について書きましたが、このような各省庁の概算要求に対して、民主党政権がどのような対応をするか、というのを見ていきたいと思います。でも、いろいろと大変でしょうね。

 それと、もうひとつ。「国家戦略局」というのが話題になっていますが、これが、内閣とは別の機関というような立場になってはいけないのは当然であり、それでは、どういう意味がある部局なのかを明確にしてほしいですね。ここの独立した権力が増大するようでは問題ですし、かといって、お飾り(菅さんの置き場)というのでは、設置する必要はなく税金の無駄だと思うのですが。

【追記】(9/7)
 今回の民主党マニフェストにも、中小企業支援の箇所に
 ○公正取引委員会の機能強化・体制充実により公正な市場環境を整備する。
とあることはあります。これを素直に読めば、予算や人事の拡大ということになりそうなのですが・・・・・

2009年9月 5日 (土)

公正取引委員会の平成22年度概算要求

 8月末の国の各省庁の概算要求のことがニュースになっていましたけど、公正取引委員会も当然ながら、概算要求を出しています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 「概算要求」制度の是非はともかくとして、これを見れば、各省庁が次年度以降にどういった政策を実施しようと考えているのかの概要がある程度はわかるわけです。次年度予算は、どの省庁も同じことですが、民主党政権がどのような方針で臨むのか、まだ分からない状態ですので、今後が注目されます。

 で、公取委は、平成22年度における課題として、特に次の4つに積極的に取り組むとしています。

 1.厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用
 2.中小企業に不当な不利益を与える行為の取締り強化
 3.競争環境の整備
 4.競争政策の運営基盤の強化

 そして、前年度比約9億84百万円(約12%)増の予算を要求することとしています。また、独占禁止法の執行力を強化するための体制の整備、下請法の運用体制の充実等を行うため71名の増員を要求しています。

 4つの課題について、それぞれ内容を見ても、特段、具体的に目新しいものはなさそうでしたが、
 2の中小企業関連については、予算と人員の増加の要求が大きいようですね。この課題について、公取委は、「・・・中小企業に不当な不利益を与える優越的地位の濫用(例:大規模小売業者と納入業者間の取引,荷主と物流事業者間の取引における濫用行為)や不当廉売,差別対価等の行為,製造分野・サービス分野における下請法違反行為に対して迅速・厳正に対処する。」としています。

 また、4の競争政策の運営基盤の強化の課題のところで、「複雑化する独占禁止法違反事件等に対する厳正な対処,経済分析能力の向上等を図るため,法曹資格者,エコノミスト等の多様な人材の積極的受入れに努める。」としており、弁護士等法曹資格者の登用もさらに積極的に考えるのかな、というところに注目しておきます。

2009年9月 1日 (火)

消費者庁発足ですね。

 さて、今日発足した消費者庁ですが、最初から大変ですね。いろいろあるでしょうが、せっかくできたのだから、充実した消費者施策を期待したいところです。

 Webサイトもできていました。仕方ないですけども、まだ中身は中途半端です。デザイン的にはすっきりしています。
 → 消費者庁ホームページ

 人事関係がマスコミをにぎわしていますが、人事のみならずいろいろと肝心な具体的な部分が固まっていないようで、ここからが正念場かと思います。
 なお、人事問題についての前の当ブログ記事は
 → 「消費者庁長官と消費者委員会委員長の人事への批判続出」(7/1)
  (※この記事の追記以後もいくつかの弁護士会から意見書出てます。)

 政権をとった民主党は、今回の消費者庁よりも、一層、独立した強い権限を持った消費者行政組織の設置を主張していたわけで、今後、民主党政府がどういった方針で消費者行政を進めていこうとするのか、という点は特に注目していきたいと思います。

 また、大阪からも含め、数名の弁護士が、消費者庁の組織内に公務員として入っており、その方々の活躍も期待しております。

【追記】(9/1)
 消費者委員会の委員長には、松本恒雄 一橋大学法科大学院長が選ばれたようです。

2009年8月19日 (水)

総選挙が始まりました。

 昨日(18日)は、昼間に某被害対策弁護団会議、夜はNPOの某消費者団体の理事会への出席と、消費者問題に関わることの多い一日でした。夜の理事会では、消費者庁に関しての濃い情報交換もでき有意義でした。

 でも、世間は総選挙。ネットでの選挙活動に関しては、当ブログでも先日触れました。
 → 「公職選挙法とBlog、Twitter」(8/4)

 これまでtwitterなどで意見を述べておられた議員さんたちも公示日からすっかりネットでは沈黙されました。直接、選挙と関係のない参議院議員の方々はまだ語られていますが、やはり少し慎重気味。これは自民の山本一太、民主の藤末健三などの議員さんです。

 今回の選挙はいろいろな意味で日本にとって重要な意味を持つものですが、ネットでの選挙活動、政治活動のあり方を多くの国民が考えることができるという点でも初めてといっていい選挙かと思います。当事者の候補者が慎重になるのは仕方ないことかもしれませんが、それぞれできる範囲で総務省見解に挑戦していってほしいと思います。総務省も全くブログやTwitterで語ってはいけないというわけではないのですから、せめて「ここまでは大丈夫だ」と思える安全圏内では登場していただいて前例を積み重ねていってほしいと思います。
 あなたたちがやらなきゃ、誰がやる。

 ここからは蛇足です。

 候補者が、ブログなどで、「おはようございます、朝からいい天気ですね。みなさん」というのは大丈夫だと思います。「今日の昼食は天丼。」もいいのでしょう。これすらも自粛する人がほとんどのようですが。ただ、この場合でも、そのブログのタイトルとしてでかでかと「総選挙よろしくお願いします」と書いている下に記事がある場合など、とか考えていくと、やっぱり全体的に検討しなければならないのでしょうね。

 そんな極端な場合は度外視するとして、「おはようございます。今日のような気持ちいい朝が、恵まれない人たちにも訪れることを祈ります。」はよいでしょうか。「今日の天丼はうまかった。でも、お客さんはずいぶん減ったなぁ。前のように活気のある店に戻ってもらえるようがんばります。」はどうでしょうか。

 「おはよう、これから暑い中、選挙事務所行って、一日、県内回りますけど、だいじょうぶですよぉ。」は?

 「この天丼は安くてうまいけど、消費税が増えたら、また高くなるなぁ。」では?

 これまでの公職選挙法の規定、解釈を前提にして、細かいこというと、かなり微妙になることは法律家としてわかるのですが、今の時代、ネットによる政治活動、選挙運動は大幅に認めるべきです。車で回るより安上がりだし、省エネでもあるのだから。
 それに、ネットで語るというのは、記録も残るし、日本中からの反論が来るので、語る側からも結構大変で、駅前の街頭演説より余程神経使わなければならないと思います。ある程度の規制は必要かもしれませんが、開放すべきでしょう。

より以前の記事一覧