フォト

weathernews

ツイッターでつぶやく

無料ブログはココログ

2019年9月19日 (木)

昨日の杉本委員長発言と「潜入ルポamazon帝国」(横田増生著)

 昨日の当ブログ記事にも追記しましたが、杉本和行公正取引委員会委員長が、昨日の記者会見にで、「フェイクニュース」問題にも言及したということが報じられています。短い記事なので、どのような射程での発言なのかなどは現時点ではわかりません。ただ、先日も書いたような、ニセ科学的な宣伝で利益をあげているような事業者には、厳しく「欺まん的顧客誘引」を適用していただきたいと思うところです。

 ところで、過去にアマゾンユニクロの社内潜入ルポを書かれているフリージャーナリストの横田増生氏の新刊書「潜入ルポ amazon帝国」(小学館)が出ました。私もちょっと取材に協力したということで、著者からご恵贈いただき、拝読しました。

 本書や以前の著書のタイトルなどから、横田氏がまたアマゾンに潜入した内容なのか、と思われるのではないか、と思います。しかし、この本では、潜入の直接のルポは第1章だけで、第2章から第10章にわたって、社員からの告発や、宅配問題、海外取材、創業者の人物像、amazonマーケットプレイスの問題点(ここらには独占禁止法問題が書かれています。)、フェイクレビュー、AWS、書店流通といったアマゾン全体に関する幅広い問題について、関係者への取材を交えて書かれています。したがって、アマゾンに関する最新の各種の問題について考えるにはいい本だと思います。

 私はフェイクレビューの第7章でちょっとだけコメントしていますが、短く圧縮されたコメントのため、わかりにくいかもしれません(申し訳ございません)。ただ、フェイクレビュー(出品者から対価を得て、商品に好意的に書かれているレビュー。ステマの一種ですね。)に関して、この本では、関係者への直接の取材がなされ、生々しい報告になっています。これまで以上に、アマゾン(だけじゃないでしょうが)のレビューは注意してみたいと思います。

 フェイクレビューというのは、まさに、冒頭に書いたような「欺まん的顧客誘引」行為なわけですので、プラットフォーム事業者フェイクニュースについて言及された杉本委員長の発言は、少なくともその範囲では応援したいと思います。

2019年9月18日 (水)

「デジタル時代の競争政策」(杉本和行・公取委委員長)を読んで

 最近、公正取引委員会が積極的な発言・活動を行っているように思えます。

 GAFAなど国際的な巨大プラットフォーム事業者への対応はもちろんのこと、昨年の「人材と競争政策に関する検討会」報告書以降の芸能人、スポーツ選手を含むフリーランスを対象とする独占禁止法適用や、コンビニ24時間営業問題に関連した一連の動き、また、現在、意見募集中の「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」の公表など、これまで、あまり独占禁止法の対象とみられなかった分野(公正取引委員会の人は以前から外してません、と言われますが)に踏み込んできた感があります。

 このような中で、杉本和行公正取引委員会委員長が、 「デジタル時代の競争政策」(日本経済新聞出版社)を出版されました。

 公正取引委員会のトップの著書ではありますが、本書は、上記のような公正取引委員会の現代社会における役割について、わかりやすく書かれています。

 本書は3章の構成になっていて、第1章では、現在までの競争政策の動きが書かれており、第2章では、現在の独占禁止法行政(競争政策)について基本的な規制内容の平易な解説付で書かれていますので、独占禁止法、競争政策について、あまり知識のない方が独占禁止法の現在を知るのにも適当ではないか、と思います。そして、それらを踏まえて、第3章では、本書のタイトル「デジタル時代の競争政策」について、冒頭に掲げたような、経済のグローバル化、デジタル・プラットフォーム、フリーランス人材問題、独占禁止法改正などの諸問題の解説がなされています。

 一般向けの内容ではありますが、現在の諸問題に広く触れられているうえに、企業結合問題や、アメリカでの競争法違反への刑事事案など、あまり独占禁止法の教科書や新聞に大きく扱われていない部分にも比較的触れられているなど、一応独占禁止法を理解している法律家にとっても興味深く読めるのではないか、と思います。

【追記】(2019/9/19)

昨日午後に当記事をアップしたのですが、同じ頃に、杉本委員長が日本記者クラブで記者会見をされていて、その際に、「フェイクニュースやヘイトスピーチ、犯罪をあおる情報にさらされた消費者には不利益が生じる」と指摘して、競争政策の観点から、適切なニュースが提供される競争環境を最優先に整えるべきだとの問題意識を示した、と報道されています。短い新聞記事で、前後の発言や質問がわからないため、現段階でのコメントは控えますが、これも新しい動きのひとつになるかもしれませんね。
フェイクニュースなどで興味を引いてサイトに人を集めて、事業や広告で収益を上げるというような場合は、確かに競争上も問題になりますね。消費者を含めた取引先を騙して、というような不当な事業活動は(ネット上に限らず)、公正取引委員会も積極的に、例えば独占禁止法「欺まん的顧客誘引」の規制を活用するなどして、取り締まってほしいところです。

2019年7月31日 (水)

消費者法ニュース(7月号・消費者法白書)とモバイルバッテリー発火事故(消費者庁)

 今日は、7月最後の日ですが、ようやく消費者法ニュース7月号(№120)が出たようです(同号の目次。申込は目次の下の説明を見て下さい)。

  100_20190731190401

 7月号は毎年恒例の「消費者法白書」が中心になります。今年の「消費者法白書」でも例年通り、「独占禁止法・景品表示法」を担当して書いています。この1年の消費者問題視点からの独占禁止法景品表示法関連の話題をさらっと概観してもらうにはよいかと思いますので、よろしくお願いします。


 さて、消費者庁が本日、モバイルバッテリー(スマホやタブレットなどの充電に使用するための携帯用の充電池ですね。)の発火事故について注意喚起をしています。

 → 消費者庁「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!」

 「・・・取扱いを誤ると発熱によってやけどを負うこともあり、場合によっては事故につながることもあります。消費者庁には、モバイルバッテリーに関する事故情報が平成25年6月から令和元年6月末までに162件寄せられています。中には、公共交通機関の中で事故が起こり、運行が遅延したり、火災が発生した事例もありました。」とされていますが、詳しい報告内容(PDF)を見てみると、この162件の事故情報の内、昨年から今年6月末までの1年半の件数は、105件と急増していることがわかります。

 また、事故の事例として挙げられているのを見ると、

    1.  電車に乗っていたら、バッグの中で携帯電話の補助バッテリーが突然青っぽい火を噴き、バッグと電車の床のカーペットを焦がした。すぐに火は消えたが、電車は急停車し、近くの消防署が駆けつけた。
    2.  電車に乗っていたら胸ポケットのモバイルバッテリーが急に熱くなった。ホーム停車中だったため、慌てて電車から降りてホームにモバイルバッテリーを投げ出した。直後に火柱が上がり、駅員がバケツの水で消火した。
    3.  新幹線の中でかばんに入れていたスマートフォンのモバイルバッテリーが破裂し、両足にやけどをした。全治2週間と言われたが、1か月経過してもまだ治らず、通院中。
    4.  スマートフォン用のモバイルバッテリーを充電していたら、煙が出て発火した。指もやけどした。

といった、大事故に繋がりかねないものや、身体に重大な傷害を負わせたものなど、深刻かつ危険な例が出ています。

 また、消費者庁からのアドバイスとして、次の点が挙げられています。

    • (1)リコール対象製品でないか、リコール情報を確認しましょう。
    • (2)新規に購入する際は、PSEマークを必ず確認しましょう。
    • (3)製品本体に強い衝撃、圧力を加えない、高温の環境に放置しないようにしましょう。
    • (4)充電中は周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
    • (5)膨らんでいる、熱くなっている、変な臭いがするなど、いつもと違って異常を感じたら使用を中止しましょう。
    • (6)充電コネクタの破損や水ぬれに注意しましょう。
    • (7)公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。
    • (8)使用済みモバイルバッテリーはリサイクルに出しましょう。やむを得ず廃棄する際には他の家庭ごみと区別して出しましょう。

2019年7月25日 (木)

「会社法務A2Z」2019/8号に解説を書きました。

 吉本興業とかジャニーズとか世間ではいろいろと問題になっておりますね。芸能事務所と芸能人との契約関係などについては、当ブログでは何度も取り上げていますが、今回は、同じく独占禁止法、公正取引委員会がらみのテーマの雑誌記事を書きましたので、そちらの宣伝です。

 ※ なお、芸能事務所と芸能人に関する当ブログ過去記事はこの辺りで

 さて、当ブログに本年4月25日付で、「コンビニの24時間営業と優越的地位濫用(独禁法)」を書きましたが、その後の経過などを含めて、もう少し詳しくしたものを、第一法規の月刊誌「会社法務A2Z(エートゥージー)」の8月号に、「<時事解説>「コンビニ24時間営業」の見直しと今後の課題」というタイトルで書きましたので、ご興味のある方はご覧下さい。(なお、目次など詳細は、第一法規サイトへ。)

2019年7月 4日 (木)

「花粉を水に変える」など光触媒マスクに対する措置命令(景表法)

 昨年、当ブログの「花粉を水に変える?」 (2018/3/18)で書きました「花粉を水に変えるマスク」など光触媒の効果をうたうマスクについて、本日、消費者庁は、DR.C医薬株式会社(東京都新宿区)、アイリスオーヤマ株式会社(仙台市青葉区)、大正製薬株式会社(東京都豊島区)、玉川衛材株式会社(東京都千代田区)の4社に対して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)であるとして、措置命令を出しました。後記の通り、不実証広告制度によるものです。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 この措置命令によると、

    •  DR.C医薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、商品に含まれるハイドロ銀チタンの効果によって、商品に付着した花粉、ハウスダスト及びカビのそれぞれに由来するアレルギーの原因となる物質並びに悪臭の原因となる物質を化学的に分解して水に変えることにより、これらの物質が体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  アイリスオーヤマは、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、本件商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉、ウイルス、細菌、ハウスダスト及び悪臭の原因となる物質を化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  大正製薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、3商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌、ウイルス及び悪臭の原因となる物質を化学的に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

    •  玉川衛材は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌及びウイルスを化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

とされており、消費者庁が、景品表示法7条2項(不実証広告)に基づいて、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出されたが、提出された資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった、とされました。

 この件については、上記の当ブログ記事で、消費者庁不実証広告制度を活用して対応すべきと指摘いたしました。消費者庁が私のブログを見て動いたとは思いませんが、今回妥当な処分が下されたと評価します。今後は課徴金納付命令となると思われます。なお、大正製薬は、同社のプレスリリースにおいて、今回の措置命令に対して、法的な対応を検討する、と表明していますね。

 上記当ブログ記事については、公表後、やまもといちろう氏や科学者の天羽優子先生などにも取り上げて頂きました。

 また、花粉を水に変えるマスクの問題点については、最近も、医師であるNATROM氏が「花粉を水に変えるマスク」の臨床試験の結果は早く公表されるべきというブログ記事(2019/3/29)を書かれていました。

2019年5月 9日 (木)

web雑誌「消費者情報」№488号が公開されました。

 (公財)関西消費者協会のweb雑誌「消費者情報」(2019年5月号 No.488)が、同協会webサイトに掲載されました。

「消費者情報」№488 (PDF)

 今号の特集は、「消費者庁・消費者委員会 創設10年のあゆみ」で、巻頭インタビューが元・内閣府消費者委員会事務局長原早苗さんの「消費者庁・消費者委員会創設10年に想うこと」です。

 その他、

岡村和美消費者庁長官
 「消費者庁発足10年「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して」

髙巖内閣府消費者委員会委員長

 「消費者委員会創設10年と今後の展望」

松本恒雄国民生活センター理事長

 「消費者庁・消費者委員会創設10年のあゆみに寄せて」

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長(弁護士)

 「全国消費者行政ウオッチねっとが見た消費者庁・消費者委員会の10年」

が特集の内容となっています。

 もちろん、いつもの連載など他にも興味深い記事が満載ですが、詳しくは上記リンクからご覧下さい。

 なお、今回は、私の記事も載せていただいています。

 コンシューマー・トピック海賊版ダウンロード問題の現状と課題」 (PDF)で、マンガの海賊版サイト対策で問題となった著作権法のダウンロード規制拡大の最近の動きについて、一般の消費者問題関係の方向けに解説させていただいたものです。

 よろしければ、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

2019年4月26日 (金)

消費者法ニュース「特集 ニセ科学」など

 本日、平成最後(たぶん)の措置命令が出ました。株式会社BLI(静岡市清水区)が販売する商品「RIDDEX PLUS」に関し、楽天市場上の自社webサイトにおける表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、消費者庁が措置命令を行ったものです。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 この商品の写真と弱っているゴキブリのイラストとともに、「あれ!?ゴキブリどこいった??」、「正規品 シリアルナンバー付 RIDDEX PLUS 総合害虫駆除」及び「部屋からゴキブリ消える!」と記載するなどして、あたかも、商品を設置するだけで、ゴキブリやヒアリ等を建物から駆除することができるかのように示す表示をしていたものです。この表示について、消費者庁が、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されましたが、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった、として優良誤認表示とされたものです(不実証広告制度)。


 さて、消費者法ニュース4月号が発行されました(もっとも、定期購読者への発送は連休明けのようで、手元にはないのですが)。

 今回の特集のひとつは、ニセ科学です。この企画の最初の段階で少しお手伝いをしたのですが、なかなかの豪華執筆陣であり、面白い内容になっていると思いますので、ご興味おありの方は是非お読みください。

 他の特集その他もいつものように盛りだくさんです(上記リンク先の目次をご覧ください)。

 なお、次号(7月号)は、毎年恒例の消費者法白書が掲載される号ですが、今年も、独占禁止法・景品表示法の項は、私が執筆しますので、そちらもよろしくお願いいたします。もっとも、この原稿は、明日からの連休に書き上げるつもりとなっております。発行されましたら、またお知らせいたします。

2019年3月20日 (水)

産経新聞社の過大景品提供に対する措置命令(大阪府)

 先日(2/13)産経新聞大阪本社に、大阪府消費生活センター景品表示法違反の疑いで立入検査に入ったことは、当ブログで取り上げました。

 → 「新聞購読勧誘の不当景品に関する立入検査報道」 (2/14)

 そして、昨日(3/19)、大阪府は、株式会社産業経済新聞社(東京都千代田区)産經新聞松原南専売所(個人経営)、産経新聞若江岩田・花園専売所(個人経営)に対して、産経新聞の販売にあたって、景品表示法に違反する不当景品(過大な景品類)の提供が認められたとして、措置命令を行いました。

 → 大阪府報道発表資料

 新聞の販売に関しては、一般の景品表示法の景品額規制とは異なり、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」(告示)の基準によることは、上記の当ブログ記事で説明した通りで、本件の場合は、取引の価額の8%又は6か月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになります。

 産経新聞社は、大阪本社販売局内に関係事業者(景品類の仕入れ先)のFAXを設置させて、それにより各販売店からの景品類の発注を受け付け、景品の代金は、一旦産経新聞社が立て替えて関係事業者に支払い、それを産経新聞社が各販売店に請求して回収しており、本件では、景品に、電動アシスト自転車(81,000円相当)をはじめとする告示制限の範囲を超える過大な景品が含まれていて、このような過大な景品を発注していた販売店の中には、産経新聞社直営の販売店や産経新聞社の子会社が運営する販売店が含まれていました。そして、本件措置命令の対象となった松原南専売所及び花園専売所は、産経新聞社大阪本社販売局内設置の関係事業者のファクシミリに景品の発注を行い、代金を産経新聞社に対して支払っていましたが、この景品には、電動アシスト自転車(81,000円相当)をはじめとする告示制限の範囲を超える過大な景品が含まれていた、というものです。

 当ブログの前回記事(3/15)で、大阪府による景品表示法違反の措置命令を書いたところですが、これで大阪府による措置命令は4件目となります。ただ、同じ景品表示法違反といっても、不当表示ではなく、不当景品の提供行為に対して正式の行政処分がなされることは珍しく、大阪府によれば「景品表示法第4条の違反(過大な景品類の提供)により措置命令が行われるのは、全国初の事例となります。」とのことです。

2019年2月14日 (木)

新聞購読勧誘の不当景品に関する立入検査報道

 報道によれば、昨日(2/13)、大阪府消費生活センターが、大阪府の系列販売店による景品表示法違反の疑いで、産経新聞大阪本社に立入検査に入った、とのことです。

100_2

 複数の販売店が、電動アシスト自転車などの高額景品と引き換えに、一人暮らしの高齢者などに長期の新聞購読契約を勧誘しており、大阪府消費生活センターが、産経新聞に対し、販売店への指導を求めていたが、改善されないため、立入検査に踏み切ったとみられる、とされています。また、契約者の解約申し出に応じず、高額の解約金を要求したりなど、各地の消費者センターに多数の苦情が寄せられていた、と報じられています。

 ご承知の通り、景品表示法は、不当に高額な景品類を規制していますが、景品類の規制について景品表示法自体は具体的に定めておらず、その6条に「内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。」としています。
 この規定に基づいて、消費者庁(33条1項による内閣総理大臣からの権限委任)による告示で、景品規制の具体的な内容を定めることになります。なお、消費者庁設置以前については、公正取引委員会の所管でしたので、以前のものについては、当時の公正取引委員会の告示がそのまま適用されることになります。

 これにより、一般的な景品規制の内容については、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」という告示を見ることになるのですが、新聞の発行、販売の事業者については、これとは違う特別の規制がなされています。

 1つは、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」(告示)です。このような業種別の景品規制告示は、新聞業の他に、雑誌業不動産業医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業の計4業種について、定められていますので、これらの事業者に関しては、こちらの規制内容を見ないといけないことになりますので、注意が必要です。

 さらに、新聞業の景品に関しては、もう1つ、新聞公正取引協議会の公正競争規約「新聞業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」があります。公正競争規約ですので、当該協議会の加盟事業者のみを拘束するものではありますが、主要な新聞社は加盟していると思います。

101

 これらの規制全体の細かい内容については省略しますが、一般的な定期購読契約の勧誘の際の景品(懸賞によらないもの)については、原則として取引価額の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額が上限となっています。   
したがって、例えば、1年の購読契約だとすると、6ヶ月のほうが低くなります。仮に月5000円の購読料(産経はもっと安いと思いますが)だとすると、6ヶ月で30000円で、その8%は2400円ですので、2400円を超えるような景品を提供することは違法ということになります。電動アシスト自転車などは、当然、これを上回るので景品表示法に違反することになります。
 懸賞による場合も、上記のような契約だとすると、50000円が原則上限になりますので、新品の電動アシスト自転車であれば、これを超えると思います。

 なお、今回は、消費者庁ではなく、大阪府が立入検査に入っていますが、景品表示法の権限については、消費者庁から公正取引委員会(33条2項)や都道府県知事(同条11項)に委任できることになっており、地域が限られた景品表示法違反(不当表示、不当景品)の事案については、都道府県が調査して、措置命令を発することができるようになっています。

2018年12月17日 (月)

「経済法入門」(泉水文雄著・有斐閣)

 ブログの更新ができないまま、12月も後半になってきました。

 最近は、AI技術と法律・責任などという研究イベントが続いており、大変刺激を受けています。


 さて、お世話になっている神戸大学泉水文雄教授から、新著をご恵贈いただきました。ありがとうございます。

 有斐閣の法学教室LIBRARY「経済法入門」です。

101_2

 書名の通り、学生など入門者向けに書かれていますが、独占禁止法だけでなく、下請法景品表示法を含めた最新の経済法の情報がコンパクトにまとめられていますので、初学者でなくても有用な本だと思います。

 特徴といえば、100を超える多くの説例を用いて具体的に解説されており、イメージのつかみにくい独占禁止法の理解がしやすいものになっています。また、途中にコラム記事もたくさん挿入されていますが、コラムといいながら、かなり高レベルの内容に触れられています。

 泉水教授は、芸能人やプロスポーツ選手などと独占禁止法ということで話題になった公正取引委員会「人材と競争政策検討会」の座長を務められておられましたが、今年7月に設置された「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」(経済産業省、総務省、公正取引委員会)の座長も務められており、同検討会の中間論点整理が、この12月12日に公表されたばかりです。いわゆるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を代表とするインターネット上のプラットフォーム事業者に関する独占禁止法その他の問題を検討するという最先端の議論がなされていますので、興味のある方はご覧ください。

 → 検討会中間論点整理(経済産業省)

100


より以前の記事一覧

楽天ブックス

amazon