カテゴリー「文化・芸術」の6件の記事

2008年7月17日 (木)

住民訴訟判決とガラス工芸展

 今日(7/17)は、午前中に、顧問をさせていただいている会社で朝一番からの会議があり、その後、事務所にも寄れないまま、昼過ぎの新幹線で東京地裁での裁判に向かいました。

 実は、私も代理人の1人となっている事件の判決が1時15分から大阪高裁であったのですが、上のような予定だったので、判決言い渡しには出席せず。
 一般的に言って、民事裁判では、ほとんどの場合、判決期日は、当事者の予定とは無関係に裁判所が期日を決めますので、弁護士が判決に立ち会わないことのほうが多いです。普通は当日なり、数日中に裁判所に判決書を取りに行くことができますし、特に早く結果が知りたい場合は、事務員さんに判決を聴きに行ってもらったり、判決の後で、裁判所に電話で問い合わせたり、ということになります。

 ただ、今日の判決の場合は、結果を知ったのは、帰りの新幹線の中でした。というのも、携帯で見た時事通信のニュースに出ていたからです。

 この事件は、南河内清掃施設組合(大阪府)発注のごみ焼却炉工事の談合事件に関して、住民が日立造船に同組合への損害賠償を求めた住民訴訟の控訴審判決です。結論は、約7億860万円の支払いを命じた一審判決を支持して、日立造船側の控訴を棄却しました。
 1審判決の時の当ブログ記事はこれ。
 → 「南河内ごみ焼却炉談合事件住民訴訟の判決」(07/9/14)

 さて、東京地裁の裁判が終わってから、銀座で「渡邊明展-ガラス・光色めく-」に立ち寄ってきました。渡邊明氏は、京都在住のガラス工芸作家で、同氏は小学校から高校まで同級生でした。
 銀座の和光でやっているというので(最初、和光と聞いたときは、埼玉県でやっているのかと思いましたが)、地下鉄から銀座4丁目の交差点を上がったら、和光のビルは工事中で焦りつつ、何とか近くの和光並木館(5階)にたどりつくことができ、ご本人ともお話することができました。
 芸術作品の感想を文章にする才能はありませんが、いつものことながら、切子(きりこ)による光の輝きは、見ている者の心まで澄みわたるような感動を覚えます。23日までやっているそうなので(20,21は休業)、お近くの方にはお奨めします。入場無料。
 これまで和光など入ったことなかったですが、私には全く似合わない場所ではありました(苦笑)。

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2008年4月23日 (水)

JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)

 今日も東京出張でした。今回は東京地裁の裁判ですけども、先週から3回目の東京です。同じ日に東京出張がまとまれば効率がいいのですが、そういうわけにもいきません。
 さて、消費者庁創設の首相表明や、雑誌記事中のコメントについての損害賠償判決などなど、ここに書いておきたい話題が出てきてますが、とても整理する時間がなく、ぼちぼちと追いついて行きたいと思います(本業すら追いついていないのでご容赦)。

 さて、本日の報道で目立ってますが、音楽著作権管理事業に関して有利な内容の契約を放送局と結び、著作権管理市場への新規事業者参入を不当に締め出したとして、公正取引委員会が本日、独占禁止法違反(私的独占)の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に立入検査したとのことです。
 これについても、報道以上のことはわかりませんが、放送局としては、JASRAC管理の音楽は定額で使い放題なのに、他の事業者の管理する曲を使う場合は追加支出が生じる形となっているため、放送局が新規事業者の参入を制限している疑いがあると公取委は考えているようです。

 独占禁止法3条「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」
 さかのぼって独占禁止法2条5項「この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」

 なお、JASRACは、自らのサイトで、「公正取引委員会がJASRACに立入検査を行い、JASRACはこの検査に全面的に協力いたしました。
 今後の対応につきましては、検査の結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えています。」
としています。
 ちなみに、同サイトでは、4月9日に「コンプライアンス宣言」をされておられますね。その宣言の中の7項に、
「 日常業務の推進にあたっては、法令や社会規範及び協会の規程等に沿って業務を行います。
  (1) 著作権法、公益法人関連法、信託法、著作権等管理事業法、独占禁止法等の法令や社会規範等に沿って適切に業務を行います。 」

というのがありました。

 この件に関しては、「JASRAC」への立入検査という点と、新規参入妨害による「私的独占」の疑いによる立入検査という点に、興味が引かれるところですが・・・すみません・・・それ以上、検討する時間がありません。明日夜には、独禁法公正取引研究会で、下請法についての発表をしなければならないもので。。。

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2007年4月 4日 (水)

日本人形著作権協会

 日経が、「日本人形にも著作権、業界団体で登録第1号」として報じています。

   http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070404AT1G0303U03042007.html

 要するに、日本人形メーカー、問屋が設立した団体が、著作物性(創作性)の認定が困難な工芸品(日本人形)について、専門家によって創作性を認証することにより、著作権を主張しやすくして、複製対策にするということのようです。

 そういえば、博多人形についての著作権の有名な事件がありましたね。いわゆる「応用美術」についての著作物性が認められるかどうかという論点です。

 このニュース、個人的には興味深いのですが暇がないので、今日は紹介のみ。

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2007年3月 7日 (水)

まだ「おふくろさん」

 本日、JASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)のホームページに、「『おふくろさん』のご利用について」というのが掲載されました。

 全文については、それぞれで見ていただくとして、要するに、付加バージョンについては、川内氏から意に反する改変に当たる旨の通知がなされ、同氏の同一性保持権(著作権法第20条1項)を侵害して作成されたものであるとの疑義が生じている、このため、改変されたバージョンを利用すると同一性保持権の侵害その他の法的責任が生じるおそれがあるので「ご留意ください」、という内容。

 さらに、あらかじめ、改変されたバージョンが利用されることが判明した場合には、利用許諾をできません・・」ともしている。そして最後に、なお、オリジナルバージョンの「おふくろさん」は、従来どおりご利用になれます

 よく読んでもらうとわかるが、JASRAC自身が、この改変を同一性保持権の侵害と認めたものではありません。川内氏からその旨の通知があり、疑義が生じている、だから、法的責任が生じる恐れがあるので留意せよ、ということ。つまり、リスクがあるから皆さん自分で注意してね、問題が起こるかもね、という注意書きですね。

 しかし、この問題、いつまでフォローすべきなのか、悩む.... 

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2007年3月 6日 (火)

「おふくろさん」問題つづき

 森進一氏と川内康範氏とのトラブルは、どうやら著作権の話を離れて、すっかり正統派のワイドショーネタになってしまったようですね。

 このブログ左下でリンクさせてもらってる壇弁護士のブログでも、この話題を取り上げてます。JASRACとの契約関係はさすがに私なんかより具体的に指摘されてますね。おかげで、JASRACの信託契約約款というのを初めて読むことができました。

 紅白などでの問題の歌唱内容について、同一性保持権侵害があるかどうかについては、壇弁護士の指摘通り、私もあれで侵害になるという見解には疑問を持っています。

 ただ、ワイドショーなどでも混同してるかなと思うのは・・・・・

 あの「おふくろさん」の前に別のメロディと歌詞をひっつけた作品、一応「おふくろさん+α」と命名しておきますが、

(1)この「おふくろさん+α」が、川内氏の著作権(同一性保持権)を侵害するかどうか、という問題と、

(2)川内氏が今後一切「おふくろさん」を含めた自分の作品を歌うことを森氏に禁止できるか、という問題とは

別問題であることです。まぁ、最初に書いた通り、ワイドショーでは、そんな法的にどうたらということは既に超越してしまってるようですけどね。

 (※なお、ここではややこしいので、JASRACの存在は無視します。)

 仮に「おふくろさん+α」が、川内氏の権利を侵害しているのだとすれば、当然ながら、川内氏は森氏が「おふくろさん+α」を歌うことを拒否できるでしょう。著作権侵害行為をやめろということは権利者としてできます。

 しかし、だからといって、本来の「おふくろさん」を歌うことまでやめろと言えるかどうかは法律的には別の問題になります。感情的には大きなつながりがあるでしょうけども。

 かえって、ややこしくなったかな。どっちにしても、深入りすると疲れそうな話題ですね。

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2007年2月26日 (月)

著作権騒動(「おふくろさん」)に思う

テレビの芸能ニュースを見ると、昨年末の紅白での森進一「おふくろさん」について作詞者川内康範氏が、激怒しているとのこと。

川内氏というと、なぜか私は、小さい頃に月光仮面(再放送である。念のため。)の主題歌のバックに流れる原作者の名前でしっかりと覚えている。ちなみに、この方の名前をWikipediaで調べると、いろいろな意味で凄い方であることがわかる。

事実関係を正確に把握しているわけではないので、残念ながら結論めいたことは書けない。著作権法上の問題でいうと中心的な点としては同一性保持権の問題が指摘されているようだが、JASRAC(日本音楽著作権協会)との関係や森氏が以前から同様の歌唱を行っていた事実などに関しても検討しなければならないであろう。

ところで、このような音楽(歌詞を含む)に関する著作権問題というのは、どちらかといえば、古典的な紛争である。著作権で保護される「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」である(著作権法2条1項1号)。「創作的に表現」といっても、別に上等なものである必要はない。私のこの駄文にどなたも興味を示さなくても、ちゃんと著作物として著作権は発生する。特許権や商標権と異なり、どこかに登録したり届け出たりする必要もない。

さきほど古典的といったが、小説や絵画や音楽のような伝統的な芸術的分野での「盗作だ」、「模倣だ」というようなレベルで著作権を考えるのは比較的わかりやすいのだが、最近は、ソフトウエア(プログラム)だのデータベースだの、目や耳で直接的には感得、掌握できないようなものにまで対象が広がっているうえ、映画や音楽などの伝統的著作物でさえも、その経済的な価値が以前とはケタ違いになっていて、世界的な一大産業となっている。これもいわばデジタルコンテンツとしての価値とみることができよう。しかも、デジタルであるが故に、技術の飛躍的な進歩とあいまってコピーが容易である。さらに、インターネットを背景にしたIT社会では、そのコピーが増殖し、拡散していくのもあっという間の事である。ひとたび流出してしまえば、回収することが困難なことは、個人情報の流出の問題と同じ事である。

したがって、「おふくろさん」問題のトラブルならばいざ知らず、現代のデジタル化されたコンテンツの権利保護を、古典的な著作権法のツギハギで繕うことは限界をとっくに超えている。明らかに本来の守備範囲以上の過大な荷物を背負わされている著作権法が何だか可哀想に思えてしまう。

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