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2018年6月22日 (金)

mixi子会社運営「チケットキャンプ」商標法違反事件の続報

 報道によれば、本日、チケット転売サイト「チケットキャンプ」の運営会社で、mixi(ミクシィ)の子会社であるフンザ「ジャニーズ事務所」の商標をネット上で不正使用したとされる事件で、兵庫県警が、商標法違反の疑いで、同社の社長ら3人と法人としての同社を神戸地検書類送検した、とされています。 そして、この問題で、本日付で、mixiフンザの社長を兼務していた森田仁基社長が、本日付けで社長を辞任しています。

 この事件については、兵庫県警の強制捜査があった際に、当ブログでも取り上げています。

 → 「「ジャニーズ通信」(mixi関連)強制捜査の報道」 (2017/12/8)

 この時は、商標法違反以外に不正競争防止法違反の容疑もあったようですが、今日の報道などを見る限りでは書類送検の対象は、商標法違反のみになっているようです。

なお、mixiは、「当社グループとしては、商標法違反に対する認識はなく、この点に関しましては検察庁による 判断を待ちたいと考えております。」としています。

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 この「チケットキャンプ」の関連では、京都府警のサイバー犯罪対策課が、昨年12月に、フンザが、「チケットキャンプ」で転売業者の不正販売を助長した疑いがあるなどとして、詐欺(電子計算機使用詐欺)の容疑でフンザなどを家宅捜索しています。そして、今年1月に、フンザの前の社長と転売業者の計4人を書類送検しましたが、今年3月に、京都地検不起訴処分(起訴猶予)としました。

 こちらの詐欺の事件に関して、mixiが、今年2月に、第三者委員会による調査報告書を公表しています。

 → 調査報告書 (PDF)

 今回も書類送検されたというだけであり、警察で捜査した事件は、それがたとえ、無罪が確実であっても、特別の場合を除き、全て送検(検察庁送致)されます。上記の通り、会社側は商標権違反の認識はないとの主張をしており、今回も神戸地検が起訴するか否かはまだわかりません。なお、「チケットキャンプ」は既にサービスを終了しているとのことです。

2018年6月16日 (土)

アフィリエイトサイトの表示にも言及した措置命令(不当表示)

 昨日(6/15)、消費者庁は、株式会社ブレインハーツ(大阪市北区)に対し、同社が販売する食品「グリーンシェイパー」、「アストロン α」、「スリムイヴ」、石けん「恋白美スキンソープ」、下着「Smart Leg」の表示について、それぞれ、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認及び有利誤認)に該当するとして、措置命令及び課徴金納付命令を行っています。

 命じられた課徴金の金額は合計2229万円となっています。

  → 消費者庁公表資料

 優良誤認については、自社webサイトなどに、摂取するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られ、かつ、痩身後の体重を維持することができるかのように示す表示(食品)や、使用するだけで、短期間で容易に、シミ、しわ及びたるみを解消又は軽減するとともに肌本来の色を白くすることができるかのように示す表示(石けん)や、着用するだけで、短期間で容易に著しい下半身の痩身効果が得られるとともに、下半身の余分な脂肪が胸部に移行することによる豊胸効果が得られるかのように示す表示(下着)をしていた、というものです。
 しかし、これらの効果の根拠資料を提出するよう消費者庁から求められたにもかかわらず、ブレインハーツは根拠の提出をしなかったものです(不実証広告・景品表示法7条2項)。消費者庁が公表している表示の実物(別紙1~5)を見ると、かなりひどい表示ですね。

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※画像は消費者庁公表資料より

 有利誤認については、表示された「通常価格」、「メーカー希望小売価格」などより、販売価格が安いという二重価格表示を行っていましたが、実際には、「通常価格」、「メーカー希望小売価格」などは販売された実績や設定されていた事実はなかった、というものです。

 本件では、多額の課徴金の支払が命じられたことも注目ですが(それだけ売れていたということですね。)、不当表示の対象となった表示に、自社webサイトでの表示だけではなく、アフィリエイトサイト上に現れる表示も含めている点ですね。これらの表示についても、ブレインハーツが表示行為に関与したものですので、当たり前といえば当たり前なんですが、このような表示を含めた命令は、私の記憶では初めてではないかと思います(間違ってたらご指摘ください。)。
【追記】(6/23)
 命令を読むと、アフィリエイトでの表示があったことを認定してはいますが、今回の不当表示の直接の対象にはしていませんね。失礼しました。タイトルも変更しました。

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 これに関連して、本件の措置命令の命令内容(判決で言えば、主文に当たる部分ですね。)では、「貴社は、貴社が一般消費者に販売する本件商品に係る表示に関して、次に掲げる事項を速やかに一般消費者に周知徹底しなければならない。この周知徹底の方法については、後記2(3)のアフィリエイトサイトからハイパーリンクにより「roifleur」と称する自社ウェブサイトに遷移する動線を含めることとし、」とされているのも目に付きますね。
 これは、景品表示法に違反した不当表示があったことを消費者に周知徹底せよ、という内容のところです。「遷移する動線を含める」方法というのは具体的にどこまで求められるのかは、これだけでは必ずしもよく判りませんが。

2018年6月13日 (水)

キリンシティのメニュー不当表示(黒ビールカリー)

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 消費者庁から昨日、平成30年版「消費者白書」が公表されました。
 ネット通販に関する相談が店舗販売に関する相談の数を上回ったことなどが報告されています。

 今回の特集は「子どもの事故防止に向けて」です。

 

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 さて、本日、消費者庁は、キリンシティ株式会社(東京都中野区)の料理メニューが不当表示(優良誤認)であるとして措置命令を行いました。 

 料理メニューについては、先日も塚田農場に対して措置命令が出されたばかりですね。 

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、キリンシティが、店舗のメニューや自社webサイトにおいて、25種の料理について、「コク深い味わいの黒。」、「新一番搾りスタウト(黒生)を使用し、さらにコク深く、スパイシーな味わいに生まれ変わった黒ビールカリー。」「赤・黒ハーフ&ハーフ ¥870」などと記載し、あたかも、料理に黒ビールを使用しているかのような表示をしていましたが、実際には黒ビールは使われていなかったというものです。

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 キリンシティは、自社webサイトに、 「黒ビールカリー関連料理の表記に対する 消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ」を掲載し、対象料理を飲食した顧客には代金を返金することを公表しています。

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2018年5月30日 (水)

TSUTAYAの動画配信サービスなどについての不当表示(消費者庁)

 消費者庁は、本日、株式会社TSUTAYA(東京都渋谷区)に対し、同社の動画配信サービス及び光回線インターネット接続サービスに係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認と有利誤認)が認められるとして、措置命令を行っています。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

【優良誤認表示について】

 動画配信サービス「TSUTAYA TV」のうち「動画見放題プラン」などに関して、自社のwebサイトにおいて、 動画見放題プラン「動画見放題 月額933円(税抜) 30日間無料お試し」と記載し、その背景に30本の動画の画像を掲載し、「人気ランキング」及び「近日リリース」として、それぞれ10本の動画の画像を掲載して、あたかも、動画見放題プランを契約すれば、「動画見放題」との記載の背景に掲載された動画や、「人気ランキング」及び「近日リリース」として掲載される人気の動画や「新作」と称するリリースカテゴリの動画など、TSUTAYA TVにおいて配信する動画が見放題となるかのように示す表示をするなどしていました。

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                        ※消費者庁公表資料より

 しかし、実際には、動画見放題プランの対象動画は、TSUTAYA TVが配信する動画の12~26%程度であり、特に、「新作」及び「準新作」と称するリリースカテゴリの動画については、対象動画の割合が1~9%程度であるうえ、「動画見放題」との記載の背景に掲載した動画の過半は動画見放題プランの対象動画ではなく、「人気ランキング」として掲載した全ての動画も動画見放題プランの対象動画ではなく、「近日リリース」として掲載した動画を配信する際も大部分が動画見放題プランの対象動画ではないなど、TSUTAYA TVが配信する動画が、無条件に見放題となるものではなかった、というものです。

 消費者庁は、この表示に対する打消し表示の記載についても、検討しています。

 TSUTAYAは、上記表示と同一のwebページの下部に記載した「よくある質問」に、「▼動画見放題は新作も観られますか?」と記載し、当該記載をクリックすると、「実質0円で話題の最新作を観れるのはTSUTAYA TVだけです。 ※実質0円とは月額933円に毎月1080円分のポイントがついて540円の『新作』でも2本ご覧いただけます。」との記載が表示され、「▼TSUTAYA TVの動画配信とは?」と記載し、当該記載をクリックすると、「TSUTAYA TVの動画配信は、インターネットに接続したテレビ、パソコン、タブレット、スマートフォンから、好きな映画やアニメなど広いジャンルの映像をどこででもお楽しみいただける動画配信サービスです。 オススメの『動画見放題』プランなら、月額わずか933円(税抜)で、動画見放題 さらに、毎月1080円分の動画ポイントつき! まずは、いますぐ30日間の無料お試しをお楽しみください。 」などとの記載が表示されるようにしていました。

 しかし、消費者庁は、これらの記載は「見放題」との記載とは離れた箇所に小さな文字で記載されているものであり、回答に係る記載は質問に係る記載をそれぞれクリックしなければ表示されないものであることから、一般消費者が上記の表示から受けるサービス内容に関する認識を打ち消すものではなく、優良誤認表示に該当すると判断したものです。

 なお、打消し表示については、昨年、消費者庁が実態調査報告書を出しています。

 → 「「打消し表示に関する実態調査報告書」の公表(消費者庁・景表法)」
                           (2017/7/14)

【有利誤認表示について】

 TSUTAYAの光回線インターネット接続サービス「TSUTAYA 光」のうち「さんねん割」(3年間を契約期間とすることにより3年間にわたり毎月月額料金を割引するプラン)に関して、自社のwebサイトにおいて、「今なら『さんねん割』でずーっとお得!」と記載し、「価格」として、「戸建て」、「プラン ギガ」、「定価 5,200円」、「さんねん割 -700円」、「販売価格 4,500円」等と記載するとともに、「『さんねん割』キャンペーン」として、 「3年契約で料金がずーっとお得!」、「割引価格 戸建てタイプ:700円/月マンションタイプ:300円/月」、「キャンペーン受付期間 2015年2月12日~2017年3月31日」と記載するなどしていたのですが、実際にはキャンペーン受付期限が過ぎた後に申し込んだ場合にも、3年間にわたって、同様の割引が適用されていた、というものです。

2018年5月24日 (木)

医療広告ガイドラインが公表されました。

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 厚生労働省は、5月8日、 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)の策定を公表しました。

 これは、昨年(平成 29 年)6月の医療法の改正(本年6月1日施行)に伴う医療に関する広告規制の見直しに基づくもので、この、医療広告ガイドラインも6月1日から施行となります。

 → 「医療法における病院等の広告規制について」(厚生労働省)

 → 医療広告ガイドライン (PDF)

 この医療法改正と医療広告ガイドラインの策定については、昨年から、当ブログでも既に取り上げているところであり、その際の「医療広告ガイドライン(案)」は、今回のガイドラインとほぼ同じですので、詳しくはこちらをご参照下さい。

 → 「医療機関の広告規制強化(医療法改正)」(2017/6/14)

 → 「医療広告ガイドライン案が承認される(厚生労働省検討会)」(2018/2/5)

 → 「医療広告ガイドライン(案)における「広告」」(2018/02/06)

なお、本日、国民生活センターも、関連事項について公表しています。

 → 「医療法改正!美容医療クリニックのウェブサイトにも広告規制が!」

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2018年5月23日 (水)

ペット仲介サイト運営業者への審査終了(独禁法)

 今年2月、公正取引委員会が、「みんなのペットオンライン」(仙台市)(以下、同社)に対して、ペット販売用のインターネット広告が、広告主のブリーダーを不当に囲い込んだ疑いがあるとして、立入検査をしたことについてご紹介しました。

 これは、同社が、ブリーダーと一般消費者の間の犬や猫の取引を仲介する「ペット仲介サイト」である「みんなのブリーダー」及び「みんなの子猫ブリーダー」を運営していたところ、このペット仲介サイトを利用するブリーダーに対し、他のペット仲介サイトに犬又は猫の情報を掲載することを制限している疑いがあったため、立入検査や審査を行ってきたものです。

 → 「ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項」                         (2018/3/7)

 本日、この事案について、公正取引委員会は、同社から、改善措置を自発的に講じた旨の報告があり、内容を検討したところ、上記の疑いを解消するものと認められたとして、審査を終了したことを公表しました。

 → 公取委報道発表資料

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 同社では、ペット仲介サイト運営分野における有力事業者であるところ、以下のようなシステムとなっていました。   

  1.  自社のペット仲介サイトにペット(犬又は猫)の情報を掲載しようとするブリーダーは、同社の審査を経て、サイトに登録でき、販売しようとするペットの情報をサイトに掲載することができ、取引が成立すると、同社に成約手数料を支払う。

  2.  平成28年11月、一定の条件を満たして同社に認められた登録ブリーダーに適用される「プレミアムパートナー制度」と称する制度を開始した。

  3.  プレミアムパートナー制度が適用された登録ブリーダーは,①成約手数料が値引きされる,②一般消費者がみんなのブリーダー等でペットの情報を検索した場合に,検索条件に該当するペットの情報の表示順位が優遇される等の特典が受けられるが、他方で,その登録ブリーダーは、他のペット仲介サイトにペットの情報を掲載することが禁止される。

  4.  同社が、プレミアムパートナー制度が適用された登録ブリーダーが、他のペット仲介サイトにペットの情報を掲載していることを把握した場合、他のペット仲介サイトへの情報掲載を取りやめるよう複数回にわたって注意し、それでも他のペット仲介サイトへの情報掲載を取りやめないときには、プレミアムパートナー制度の適用を解除し、特典が受けられないようにしていた。

 このシステムが、独占禁止法19条の禁止する「不公正な取引方法」排他条件付取引(一般指定11項)に該当するおそれがある、として審査がなされていたようです。

100                    ※画像はいずれも公取委報道発表資料より

 しかし、同社から公正取引委員会に対し,プレミアムパートナー制度を取りやめ、登録ブリーダに対して、取りやめた旨を周知し、同社従業員全てに周知したこと、という改善措置を自主的に講じた旨の報告があり、公正取引委員会も、これらの措置が、独占禁止法違反の疑いを解消するものと判断して審査を終了したものです。

2018年5月11日 (金)

メールによる取締役会招集通知の到達

 東京地判平成29年4月13日(金融・商事判例1535号56頁)および東京高判平成29年11月15日(同号63頁)は、ロッテホールディングス(以下、「ロッテH」)の取締役会決議無効確認等請求事件の一審、二審の判決(以下、併せて「本件判決」)です。

 この事案は、社会的にも注目を受け、報道もされていますが、被告(被控訴人)ロッテHの代表取締役だった原告(控訴人)が、ロッテHの取締役会においてなされた「原告を代表取締役から解職する旨の決議」は、取締役会についての原告に対する適法な招集通知が行われなかった瑕疵により無効であると主張して、この取締役会決議が無効であることの確認を求めた裁判です。

 結果は一審、二審とも、取締役会決議は有効として、原告の請求を認めませんでした。

 ただ、本件判決では、この取締役会の招集手続において、原告に対する招集通知を欠いており、法令違反だとしました。それにもかかわらず、裁判所が決議を無効としなかったのは、仮に原告が取締役会に出席しても、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるから、通知を欠いたという法令違反は、決議の効力に影響がなく、決議は有効であるとしたものです(これは従来の最高裁の考え方です。)。

 ここでは、取締役会招集通知が行われたか否か、という争点について、見ていきたいと思います。

 本件判決の認定事実によれば、ロッテHは、この招集通知を、原告を含む各取締役に対し、メール送信によって行いました。しかし、原告は、自らパソコンを操作することはなく、原告のロッテH社内におけるパソコンは、秘書室において管理されており、原告に割り当てられていたメールアドレス宛てに電子メールが送信されることはなく、秘書室も、この原告アドレスの受信状況を確認することはなかったようです。そして、通知メール送信当時の原告が、このアドレスに取締役会の招集通知が送信されることを予期し得たというべき事情はうかがわれない、と認定されています。また、このメールの送信日時は、平成27年7月27日午後11時23分で、取締役会開会は翌日28日午前9時30分と、その間隔が非常に短く、かつ、深夜のメール送信でした。

 このような通知メールの送信が適法な招集通知といえるか、というのが問題となります。(なお、法律的には、招集通知は「意思表示」か否か、という面倒な論点もありますが、ここでは踏み込みません。)

 意思表示の到達について、最高裁は、「意思表示の到達とは、相手方が意思表示を了知し得べき客観的状態を生じたことを意味すると解されている。すなわち、意思表示が相手方にとって了知可能な状態におかれたこと、換言すれば意思表示が相手方のいわゆる支配圏内におかれたことをいうと解される」としています(最判平成10年6月11日、最判昭和43年12月17日、最判昭和36年4月20日)。なので、実際に手紙に書かれている内容を読んでいなくても、自宅のポストに郵便が投函された時点で、意思表示が到達した、と考えるわけです。これらの判決の事案は、もちろん電子メールによる意思表示ではありません。

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 本件一審判決は、上記の最高裁判決を踏襲したうえで、上記のようなメール送信の実態では、「本件メールが上記アドレスに係るメールサーバに記録されたことをもって、原告の了知可能な状態に置かれた(支配圏内に置かれた)ということはできない。その他、本件メールの内容が原告の了知可能な状態に置かれたものと評価すべき事実は見当たらない。」としました。さらに、上記のように、通知メール(深夜)から取締役会開会(翌朝)までの「間隔が非常に短く、かつ、深夜のメール送信であって、メールを確認して当該会議への対応を検討するための時間的余裕がほとんどないこと等をも考慮すると、実質的に見ても、原告に対し本件取締役会の招集通知がされたと評価することは困難である。」として、原告に対する取締役会招集通知がされたということはできず、招集手続には法令違反の瑕疵があるとしたものです。

 もし、この招集通知メールが、原告が普段使っているアドレス宛に送られたというような場合であれば、原告がメールを見ていなくても、原告のメールサーバーに記録された時点で通知が到達した、と見られることになると思いますが、それにしても、ちょっと開催までの間隔は短すぎますので、その点は、通知の到達の問題と別に検討されなければならないと思います。

【参 考】

経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成29年6月改訂)3頁~

2018年5月 1日 (火)

web雑誌「消費者情報」5月号(関西消費者協会)

 私が昨年まで理事を務めていた(公財)関西消費者協会のweb雑誌「消費者情報」5月号がサイトにアップされました。

 今回の特集は「兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み」です。

 → 2018年5月号 消費者情報No.484

 川添圭弁護士仮想通貨について書かれてますね。
 もちろん、無料ですので、興味のある方は是非ご覧下さい。以下、目次からは各記事のPDFファイルにリンクしています。

○ 特集 兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み

 特集 兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み
  兵庫県警察本部 生活安全部 サイバー犯罪対策課 サイバー犯罪防犯センター

 「サイバー犯罪・ネットトラブル対策研修」を受講して
  消費生活アドバイザー 萬代 淳子

 サイバー被害を防げ!啓発講座に奔走する警察官の心意気
  兵庫県警察本部 生活安全部 サイバー犯罪対策課   
    サイバー犯罪防犯センター 兵庫県警部補 本田 英理さん

○コンシューマー・トピック

 仮想通貨の法規制と問題点
  弁護士 川添 圭

○職業としての消費生活相談員

 バランスのとれた相談対応のすすめ—消費者に寄り添った支援を行うために—
  東京経済大学現代法学部教授 弁護士 村 千鶴子

○がんばれ!消費者委員会

 消費者基本計画工程表の改正素案に対する意見について
  消費者委員会事務局

○団体訴権への展開

 京都消費者契約ネットワークの活動報告―2件のお試し価格訴訟の展開―
  NPO法人 京都消費者契約ネットワーク(KCCN)
   弁護士 森貞涼介

○若者が考える消費者問題

 なぜ消費者問題に関心を持ち どのように捉えているのか【前篇】
  神戸大学大学院生 NPO法人C・キッズ・ネットワーク
   佐々野 将太

○ネット漂流

 子どもに影響するフェイスブックの個人情報流用事件
  NIT情報技術推進ネットワーク株式会社 篠原 嘉一

○Infomatiom

 インフォメーション

2018年3月28日 (水)

ガンホーなどに対する課徴金納付命令(景表法)

 景品表示法関連のネタが続いていて恐縮なのですが、本日も、課徴金納付命令が2件、消費者庁から出されました。

 ひとつは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(東京都千代田区)の人気オンラインゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)のガチャに係る表示(優良誤認表示)に関するもので、この件の昨年7月に出された措置命令の際には、当ブログでも記事にしていますので、興味のある方は参考にしてください。

 → 消費者庁公表資料(ガンホー課徴金納付命令) (PDF)

 → 「ガンホーとグリーに対する景表法の措置命令(消費者庁)」 (2017/7/19)

 課徴金額は、5020万円となっていますが、本件では、ガンホーが自主申告したものであるため、景品表示法9条により、2分の1の減額を受けた結果、この金額となっています。

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 「パズドラ」と同時に措置命令の対象となった「ディズニーマジックキングダムズ」 有利誤認表示は今回は対象となっていませんね。また、ガンホーと同時に措置命令を受けたグリーに関しても今回は出ていません。   


 もうひとつは、これも措置命令の際には当ブログで取り上げました研修サービスの株式会日本教育クリエイト(東京都新宿区)の研修受講料についての二重価格表示有利誤認表示に関するものです。

 → 消費者庁公表資料(日本教育クリエイト課徴金納付命令) (PDF)

 → 「研修サービス等に関する有利誤認表示(二重価格表示事案)に対する措置命令など」
                            (2017/5/19)

 こちらの課徴金額は合計5105万円となっています。

(続) 「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで

 法律雑誌「ジュリスト」4月号の特集が「景品表示法の現状と課題」となっていたので、早速買ってきました。

100_2 この特集は、

  • 「景品表示法の諸課題」/白石忠志

  • 「適正な表示と景品表示法」/平山賢太郎

  • 「取引先に原因のある不当表示と景品表示法」/籔内俊輔

  • 「課徴金・返金措置制度導入後の景品表示法違反事例の検討」/染谷隆明

  • 「適正な景品と景品表示法」/内田清人

  • 「eスポーツ大会における賞金提供と景品表示法」/古川昌平

  • 「消費者契約法・景品表示法における差止めの必要性」/中田邦博

の7論文で構成されています。

 どれも興味深いものですが、なかでも古川昌平弁護士のeスポーツの賞金に関する論文は、この問題に関する白石忠志東大教授の論説「eスポーツと景品表示法」をベースにしたもので、当ブログでも昨年取り上げたものですので、特に目を引きました。

 → 「「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで」 (2017/11/27)

 ちょうど、先日(3/23)、ネットの「東洋経済オンライン」で、 「eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か~消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解」(岡安 学)を読んで、消費者庁も白石教授の立場を採用するところとなったのか、と思ったところでしたので、今回の特集記事はタイムリーなものとなりました。

 この問題に関心をお持ちの方には、お薦めです。

より以前の記事一覧