2018年5月24日 (木)

医療広告ガイドラインが公表されました。

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 厚生労働省は、5月8日、 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)の策定を公表しました。

 これは、昨年(平成 29 年)6月の医療法の改正(本年6月1日施行)に伴う医療に関する広告規制の見直しに基づくもので、この、医療広告ガイドラインも6月1日から施行となります。

 → 「医療法における病院等の広告規制について」(厚生労働省)

 → 医療広告ガイドライン (PDF)

 この医療法改正と医療広告ガイドラインの策定については、昨年から、当ブログでも既に取り上げているところであり、その際の「医療広告ガイドライン(案)」は、今回のガイドラインとほぼ同じですので、詳しくはこちらをご参照下さい。

 → 「医療機関の広告規制強化(医療法改正)」(2017/6/14)

 → 「医療広告ガイドライン案が承認される(厚生労働省検討会)」(2018/2/5)

 → 「医療広告ガイドライン(案)における「広告」」(2018/02/06)

なお、本日、国民生活センターも、関連事項について公表しています。

 → 「医療法改正!美容医療クリニックのウェブサイトにも広告規制が!」

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2018年5月23日 (水)

ペット仲介サイト運営業者への審査終了(独禁法)

 今年2月、公正取引委員会が、「みんなのペットオンライン」(仙台市)(以下、同社)に対して、ペット販売用のインターネット広告が、広告主のブリーダーを不当に囲い込んだ疑いがあるとして、立入検査をしたことについてご紹介しました。

 これは、同社が、ブリーダーと一般消費者の間の犬や猫の取引を仲介する「ペット仲介サイト」である「みんなのブリーダー」及び「みんなの子猫ブリーダー」を運営していたところ、このペット仲介サイトを利用するブリーダーに対し、他のペット仲介サイトに犬又は猫の情報を掲載することを制限している疑いがあったため、立入検査や審査を行ってきたものです。

 → 「ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項」                         (2018/3/7)

 本日、この事案について、公正取引委員会は、同社から、改善措置を自発的に講じた旨の報告があり、内容を検討したところ、上記の疑いを解消するものと認められたとして、審査を終了したことを公表しました。

 → 公取委報道発表資料

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 同社では、ペット仲介サイト運営分野における有力事業者であるところ、以下のようなシステムとなっていました。   

  1.  自社のペット仲介サイトにペット(犬又は猫)の情報を掲載しようとするブリーダーは、同社の審査を経て、サイトに登録でき、販売しようとするペットの情報をサイトに掲載することができ、取引が成立すると、同社に成約手数料を支払う。

  2.  平成28年11月、一定の条件を満たして同社に認められた登録ブリーダーに適用される「プレミアムパートナー制度」と称する制度を開始した。

  3.  プレミアムパートナー制度が適用された登録ブリーダーは,①成約手数料が値引きされる,②一般消費者がみんなのブリーダー等でペットの情報を検索した場合に,検索条件に該当するペットの情報の表示順位が優遇される等の特典が受けられるが、他方で,その登録ブリーダーは、他のペット仲介サイトにペットの情報を掲載することが禁止される。

  4.  同社が、プレミアムパートナー制度が適用された登録ブリーダーが、他のペット仲介サイトにペットの情報を掲載していることを把握した場合、他のペット仲介サイトへの情報掲載を取りやめるよう複数回にわたって注意し、それでも他のペット仲介サイトへの情報掲載を取りやめないときには、プレミアムパートナー制度の適用を解除し、特典が受けられないようにしていた。

 このシステムが、独占禁止法19条の禁止する「不公正な取引方法」排他条件付取引(一般指定11項)に該当するおそれがある、として審査がなされていたようです。

100                    ※画像はいずれも公取委報道発表資料より

 しかし、同社から公正取引委員会に対し,プレミアムパートナー制度を取りやめ、登録ブリーダに対して、取りやめた旨を周知し、同社従業員全てに周知したこと、という改善措置を自主的に講じた旨の報告があり、公正取引委員会も、これらの措置が、独占禁止法違反の疑いを解消するものと判断して審査を終了したものです。

2018年5月11日 (金)

メールによる取締役会招集通知の到達

 東京地判平成29年4月13日(金融・商事判例1535号56頁)および東京高判平成29年11月15日(同号63頁)は、ロッテホールディングス(以下、「ロッテH」)の取締役会決議無効確認等請求事件の一審、二審の判決(以下、併せて「本件判決」)です。

 この事案は、社会的にも注目を受け、報道もされていますが、被告(被控訴人)ロッテHの代表取締役だった原告(控訴人)が、ロッテHの取締役会においてなされた「原告を代表取締役から解職する旨の決議」は、取締役会についての原告に対する適法な招集通知が行われなかった瑕疵により無効であると主張して、この取締役会決議が無効であることの確認を求めた裁判です。

 結果は一審、二審とも、取締役会決議は有効として、原告の請求を認めませんでした。

 ただ、本件判決では、この取締役会の招集手続において、原告に対する招集通知を欠いており、法令違反だとしました。それにもかかわらず、裁判所が決議を無効としなかったのは、仮に原告が取締役会に出席しても、決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるから、通知を欠いたという法令違反は、決議の効力に影響がなく、決議は有効であるとしたものです(これは従来の最高裁の考え方です。)。

 ここでは、取締役会招集通知が行われたか否か、という争点について、見ていきたいと思います。

 本件判決の認定事実によれば、ロッテHは、この招集通知を、原告を含む各取締役に対し、メール送信によって行いました。しかし、原告は、自らパソコンを操作することはなく、原告のロッテH社内におけるパソコンは、秘書室において管理されており、原告に割り当てられていたメールアドレス宛てに電子メールが送信されることはなく、秘書室も、この原告アドレスの受信状況を確認することはなかったようです。そして、通知メール送信当時の原告が、このアドレスに取締役会の招集通知が送信されることを予期し得たというべき事情はうかがわれない、と認定されています。また、このメールの送信日時は、平成27年7月27日午後11時23分で、取締役会開会は翌日28日午前9時30分と、その間隔が非常に短く、かつ、深夜のメール送信でした。

 このような通知メールの送信が適法な招集通知といえるか、というのが問題となります。(なお、法律的には、招集通知は「意思表示」か否か、という面倒な論点もありますが、ここでは踏み込みません。)

 意思表示の到達について、最高裁は、「意思表示の到達とは、相手方が意思表示を了知し得べき客観的状態を生じたことを意味すると解されている。すなわち、意思表示が相手方にとって了知可能な状態におかれたこと、換言すれば意思表示が相手方のいわゆる支配圏内におかれたことをいうと解される」としています(最判平成10年6月11日、最判昭和43年12月17日、最判昭和36年4月20日)。なので、実際に手紙に書かれている内容を読んでいなくても、自宅のポストに郵便が投函された時点で、意思表示が到達した、と考えるわけです。これらの判決の事案は、もちろん電子メールによる意思表示ではありません。

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 本件一審判決は、上記の最高裁判決を踏襲したうえで、上記のようなメール送信の実態では、「本件メールが上記アドレスに係るメールサーバに記録されたことをもって、原告の了知可能な状態に置かれた(支配圏内に置かれた)ということはできない。その他、本件メールの内容が原告の了知可能な状態に置かれたものと評価すべき事実は見当たらない。」としました。さらに、上記のように、通知メール(深夜)から取締役会開会(翌朝)までの「間隔が非常に短く、かつ、深夜のメール送信であって、メールを確認して当該会議への対応を検討するための時間的余裕がほとんどないこと等をも考慮すると、実質的に見ても、原告に対し本件取締役会の招集通知がされたと評価することは困難である。」として、原告に対する取締役会招集通知がされたということはできず、招集手続には法令違反の瑕疵があるとしたものです。

 もし、この招集通知メールが、原告が普段使っているアドレス宛に送られたというような場合であれば、原告がメールを見ていなくても、原告のメールサーバーに記録された時点で通知が到達した、と見られることになると思いますが、それにしても、ちょっと開催までの間隔は短すぎますので、その点は、通知の到達の問題と別に検討されなければならないと思います。

【参 考】

経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成29年6月改訂)3頁~

2018年5月 1日 (火)

web雑誌「消費者情報」5月号(関西消費者協会)

 私が昨年まで理事を務めていた(公財)関西消費者協会のweb雑誌「消費者情報」5月号がサイトにアップされました。

 今回の特集は「兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み」です。

 → 2018年5月号 消費者情報No.484

 川添圭弁護士仮想通貨について書かれてますね。
 もちろん、無料ですので、興味のある方は是非ご覧下さい。以下、目次からは各記事のPDFファイルにリンクしています。

○ 特集 兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み

 特集 兵庫県発!サイバー犯罪をめぐる防犯の取り組み
  兵庫県警察本部 生活安全部 サイバー犯罪対策課 サイバー犯罪防犯センター

 「サイバー犯罪・ネットトラブル対策研修」を受講して
  消費生活アドバイザー 萬代 淳子

 サイバー被害を防げ!啓発講座に奔走する警察官の心意気
  兵庫県警察本部 生活安全部 サイバー犯罪対策課   
    サイバー犯罪防犯センター 兵庫県警部補 本田 英理さん

○コンシューマー・トピック

 仮想通貨の法規制と問題点
  弁護士 川添 圭

○職業としての消費生活相談員

 バランスのとれた相談対応のすすめ—消費者に寄り添った支援を行うために—
  東京経済大学現代法学部教授 弁護士 村 千鶴子

○がんばれ!消費者委員会

 消費者基本計画工程表の改正素案に対する意見について
  消費者委員会事務局

○団体訴権への展開

 京都消費者契約ネットワークの活動報告―2件のお試し価格訴訟の展開―
  NPO法人 京都消費者契約ネットワーク(KCCN)
   弁護士 森貞涼介

○若者が考える消費者問題

 なぜ消費者問題に関心を持ち どのように捉えているのか【前篇】
  神戸大学大学院生 NPO法人C・キッズ・ネットワーク
   佐々野 将太

○ネット漂流

 子どもに影響するフェイスブックの個人情報流用事件
  NIT情報技術推進ネットワーク株式会社 篠原 嘉一

○Infomatiom

 インフォメーション

2018年3月28日 (水)

ガンホーなどに対する課徴金納付命令(景表法)

 景品表示法関連のネタが続いていて恐縮なのですが、本日も、課徴金納付命令が2件、消費者庁から出されました。

 ひとつは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(東京都千代田区)の人気オンラインゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)のガチャに係る表示(優良誤認表示)に関するもので、この件の昨年7月に出された措置命令の際には、当ブログでも記事にしていますので、興味のある方は参考にしてください。

 → 消費者庁公表資料(ガンホー課徴金納付命令) (PDF)

 → 「ガンホーとグリーに対する景表法の措置命令(消費者庁)」 (2017/7/19)

 課徴金額は、5020万円となっていますが、本件では、ガンホーが自主申告したものであるため、景品表示法9条により、2分の1の減額を受けた結果、この金額となっています。

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 「パズドラ」と同時に措置命令の対象となった「ディズニーマジックキングダムズ」 有利誤認表示は今回は対象となっていませんね。また、ガンホーと同時に措置命令を受けたグリーに関しても今回は出ていません。   


 もうひとつは、これも措置命令の際には当ブログで取り上げました研修サービスの株式会日本教育クリエイト(東京都新宿区)の研修受講料についての二重価格表示有利誤認表示に関するものです。

 → 消費者庁公表資料(日本教育クリエイト課徴金納付命令) (PDF)

 → 「研修サービス等に関する有利誤認表示(二重価格表示事案)に対する措置命令など」
                            (2017/5/19)

 こちらの課徴金額は合計5105万円となっています。

(続) 「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで

 法律雑誌「ジュリスト」4月号の特集が「景品表示法の現状と課題」となっていたので、早速買ってきました。

100_2 この特集は、

  • 「景品表示法の諸課題」/白石忠志

  • 「適正な表示と景品表示法」/平山賢太郎

  • 「取引先に原因のある不当表示と景品表示法」/籔内俊輔

  • 「課徴金・返金措置制度導入後の景品表示法違反事例の検討」/染谷隆明

  • 「適正な景品と景品表示法」/内田清人

  • 「eスポーツ大会における賞金提供と景品表示法」/古川昌平

  • 「消費者契約法・景品表示法における差止めの必要性」/中田邦博

の7論文で構成されています。

 どれも興味深いものですが、なかでも古川昌平弁護士のeスポーツの賞金に関する論文は、この問題に関する白石忠志東大教授の論説「eスポーツと景品表示法」をベースにしたもので、当ブログでも昨年取り上げたものですので、特に目を引きました。

 → 「「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで」 (2017/11/27)

 ちょうど、先日(3/23)、ネットの「東洋経済オンライン」で、 「eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か~消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解」(岡安 学)を読んで、消費者庁も白石教授の立場を採用するところとなったのか、と思ったところでしたので、今回の特集記事はタイムリーなものとなりました。

 この問題に関心をお持ちの方には、お薦めです。

2018年3月24日 (土)

プエラリアのバストUP広告に対する課徴金納付命令など

 昨日(3/23)は、消費者庁が、景品表示法に基づく課徴金納付命令を3件出しています(年度末だからでしょうか?)。概要は以下の通りです。   

  1.  光回線インターネット接続サービスに係る割引期間の表示について、株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(広島市中区)有利誤認表示に対するもので、課徴金額は530万円。
  2.    
  3.  モバイル通信サービス「フリーテル」のプラスワン・マーケティング株式会社(東京都港区)優良誤認表示、有利誤認表示に対するもので、課徴金額は8824万円。
  4.    
  5.  株式会社ミーロード(東京都江東区)のサプリのバストUP効果の優良誤認表示に対するもので、課徴金額は2430万円。

 いずれも昨年3~4月に消費者庁から措置命令を受けている事案です。なお、2のプラスワン・マーケティングは民事再生手続中のようです。

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 3のミーロードは、「プエラリア」を含むサプリがバストUPの効果があると広告していたもので、これに関しては、昨年7月に国民生活センターを訪問した際にブログに書いています。

 → 「「プエラリア・ミリフィカ」を含む健康食品の危険性(国民生活センター)」
                                (2017/7/21)

 

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 課徴金は対象期間(本件では約1年)の売上の3%とされていますので、このサプリだけで1年で約8億円の売上があったことになります。措置命令、課徴金命令の対象とはなっていないものの類似のサプリ、健康食品は他社も出していますので、このような商品が不当な宣伝によって相当売れていることになります。

2018年3月23日 (金)

アンチウィルスソフトのマカフィーに対する措置命令(消費者庁)

 なんだか、花粉が水になるという記事がバズっているようですが、それはそれとして進めます。

 昨日(3/22)消費者庁は、マカフィー株式会社(東京都渋谷区)に対し、同社のセキュリティソフトウェアの使用許諾に係る表示について、景品表示法違反の不当表示(有利誤認)として、措置命令を行いました。

 これは、例えば、「マカフィーリブセーフ1年版」と称するセキュリティソフトウェアの使用許諾について、平成28年10月14日から同年12月5日までの間、「実施期間2016/12/5まで」、「標準価格8,208円(税込)」、「今なら2,462円お得!」、「30%OFF」及び「特別価格5,746円(税込)」と記載するなどして、あたかも、「標準価格」と称する価額は、通常提供している価格であり、かつ、期限までに当該役務の提供を申し込んだ場合に限り、「特別価格」と称する価額で当該役務の提供を受けることができるかのように表示していたものです。しかし、実際には「標準価格」と称する価額は、「マカフィーリブセーフ1年版」の提供開始日である平成28年10月14日から提供終了日である平成29年11月21日までの間、提供された実績のないものであり、かつ、同期間において、「特別価格」と称する価額で当該役務の提供を受けることができるものでした。

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 このような表示が有利誤認として今回の措置命令の対象となったものです。アディーレ法律事務所が景品表示法違反とされたのと似ていますね。

 不当表示の措置命令は優良誤認表示に対するものが多いですが、このマカフィーの前に先週、テレビショッピングのジュピターショップチャンネル株式会社(東京都中央区)も、有利誤認表示として措置命令が出されました。これは、テレビショッピング番組において、テレビとズワイガニについての二重価格表示が問題となったものなので、上のマカフィーの事案と似たようなものです。

2018年3月15日 (木)

アマゾンジャパンに公取委が立ち入り検査

 3月7日付の前々回の記事「ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項」において、以前、公正取引委員会Amazonの日本法人アマゾンジャパン(東京都目黒区)を審査した件(2017年6月に審査を終了)を紹介しました。
 この時に、公正取引委員会アマゾンジャパンに立ち入り検査に入っているのですが、本日、再び同社に対して公正取引委員会が立ち入り検査に入ったことが報じられています。

 報道によれば、今回は、同社の通販サイトに出品する事業者に対して、値引き販売した額の一部を負担するように求めたるなど、金銭の負担をさせていた疑いがあるとして、公正取引委員会独占禁止法の禁止する不公正な取引方法(優越的地位の乱用)容疑で立ち入り検査に入ったものと思われます。

 なお、この立ち入り検査の前である3月8日付で、川村宜志弁護士(血縁関係等ございません)のインタビュー記事「アマゾンが求めた「協力金」は優越的地位の濫用にあたるのか」が出ており、この事件についてわかりやすく解説されています。

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 まだ詳細はわかりませんが、優越的地位の濫用となると、高額の課徴金の支払いが命令されることになろうかと思います。
 このニュースに直接関係はないのですが、大規模小売業者による優越的地位の濫用で、高額の課徴金の支払いを求められた事案といえば、これもアメリカの会社の日本法人である日本トイザらスの事件を思い出します。アメリカのトイザらスは昨年経営が破綻して再建を目指していたところ、アメリカ国内の全店舗を閉鎖・売却する計画であると、ちょうど今日、報道がなされていて(日本トイザらスは別法人であり、経営継続中)、企業の栄枯盛衰を感じたりもしました。

2018年3月 7日 (水)

ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項

 公正取引委員会が、「みんなのペットオンライン」(仙台市)に対して、ペット販売用のインターネット広告が、広告主のブリーダーを不当に囲い込んだ疑いがあるとして、2月27日に立入検査をした、と報道されています。

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 この会社は、ブリーダーの依頼によって子犬や子猫の写真と価格などを広告として掲載し、購入希望者との間で売買が成立すれば手数料を受け取るというシステムのネット仲介サイトを運営している、とのことですが、報道によれば、自社で広告を優遇する代わりに、競合する他のサイトで、自社より安く販売することを禁止したり、他社との契約を破棄して販売自体を止めるよう求めたりした疑いがあるということです。このような行為が独占禁止法の禁止する不公正な取引方法(拘束条件付取引、排他条件付取引など)に該当するおそれがある、ということのようです。

 昨年、世界的な民泊紹介サイト「Airbnb」への公正取引委員会の立入検査について当ブログで紹介しましたが、民泊を行う国内の業者に他の民泊紹介サイトに情報を掲載しないよう求めていたことが独占禁止法の問題になっているようでしたので、今回と似たようなケースですね。

 → 「AirbnbとAmazonの排他的取引の報道(独占禁止法)」 
                        (2017/11/19)

 他の事業者の条件と同等以上の扱いを相手方に対して義務づける契約条項は、最恵国待遇条項(MFN条項)などと呼ばれています。以前、Amazon(アマゾンジャパン合同会社)が、Amazonマーケットプレイスの出品者との間の出品関連契約において価格等の同等性条件を定めて、出品者の事業活動を制限している疑いがあるとして、公正取引委員会が、独占禁止法に基づいて審査を行ったことがありました。このときは、Amazonが、自発的な措置を速やかに講じるとの申出がなされたことにより、公正取引委員会が審査を終了しました。
 ここでの自発的措置とは、以下の4つです。

  1.  アマゾンジャパン合同会社は,当委員会による確認を経た上で速やかに,締結済みかつ有効な出品関連契約における価格等の同等性条件を削除し,又は当該契約における価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条 件に係る同社の権利を放棄して行使しないこととするとともに,今後,当該契約において価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条件を定めないことを誓約し,これらの旨を出品者に周知する。
  2.  アマゾンジャパン合同会社は,上記1の措置を講じた後に締結する出品関連契約において価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条件を定めないことを誓約する。
  3.  アマゾンジャパン合同会社は,上記1の措置を講じた後速やかに,上記1及び2の措置を講じた旨について,出品者との交渉,出品者からの問い合わせ対応等を行う同社の従業員等に周知する。
  4.  アマゾンジャパン合同会社は,上記3の措置を講じた日から3年間にわたって年1回,上記1から3の措置の実施状況について,当委員会に書面により報告する。

 → 「アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」
                        (2017/6/1)

 上の「Airbnb」の件も、現時点では、まだ公取委から処分等は出ていません。今回の件も併せて、どうなるのか注目したいと思います。

より以前の記事一覧