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2019年5月 9日 (木)

web雑誌「消費者情報」№488号が公開されました。

 (公財)関西消費者協会のweb雑誌「消費者情報」(2019年5月号 No.488)が、同協会webサイトに掲載されました。

「消費者情報」№488 (PDF)

 今号の特集は、「消費者庁・消費者委員会 創設10年のあゆみ」で、巻頭インタビューが元・内閣府消費者委員会事務局長原早苗さんの「消費者庁・消費者委員会創設10年に想うこと」です。

 その他、

岡村和美消費者庁長官
 「消費者庁発足10年「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して」

髙巖内閣府消費者委員会委員長

 「消費者委員会創設10年と今後の展望」

松本恒雄国民生活センター理事長

 「消費者庁・消費者委員会創設10年のあゆみに寄せて」

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長(弁護士)

 「全国消費者行政ウオッチねっとが見た消費者庁・消費者委員会の10年」

が特集の内容となっています。

 もちろん、いつもの連載など他にも興味深い記事が満載ですが、詳しくは上記リンクからご覧下さい。

 なお、今回は、私の記事も載せていただいています。

 コンシューマー・トピック海賊版ダウンロード問題の現状と課題」 (PDF)で、マンガの海賊版サイト対策で問題となった著作権法のダウンロード規制拡大の最近の動きについて、一般の消費者問題関係の方向けに解説させていただいたものです。

 よろしければ、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

2019年4月12日 (金)

自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)

 昨日(4/11)、大手リフォーム会社オンテックス(大阪市)が開設した口コミサイトで同社が「ランキング1位」と不正に表示したとして、大阪市内の同業者が損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁はオンテックスに8万円の損害賠償の支払を命ずる判決を言い渡したことが報道されています。認容された8万円は、弁護士費用の一部とのことのようで、判決文を読んでませんので想像ですが、不正な表示と因果関係のある実損害額の立証が難しかったのかもしれません。

 この口コミサイトについて、オンテックスは、自社が開設したサイトであることを隠して、架空の投稿をするなどの操作をして、自社をランキング1位と表示していた、とのことで、これが、不正競争防止法の禁止する「品質等誤認惹起行為」にあたるとしたもののようです。「品質等誤認惹起行為」は、よく原産地偽装などのケースで使われるものですが、条文的には現時点では不正競争防止法2条1項14号なのですが、昨年の法改正により、いろいろと前に詰め込まれたため、今年7月以降は、2条1項20号となります。これまでも、この条項の前の営業秘密などの条項が挿入されて、どんどん番号がずれていくので、判決や文献を読んだりするときに、ややこしいです。

 口コミサイトを自社で開設しておいて、それを隠したうえで、その自社のランキングをあげるという一種のステマ事案については、一昨年(2017年)に、不正競争防止法ではなく、景品表示法違反(優良誤認表示)ということで、消費者庁措置命令を出したものがあります。これについては、当時、当ブログでも扱っています。

 → 「第三者の比較サイトと見せかけた広告などが不当表示とされた事案(ステマ)」 (2017/11/2)

 この措置命令の対象の1社に対しては、2018年6月に消費者庁から課徴金約5000万円の納付命令が出されています。

 不正競争防止法の場合、不正行為者に対して損害賠償や差止を請求できるのは、昨日の判決のような競争事業者であって、それによって被害を被った一般消費者は原告とはなれません。景品表示法であれば、適格消費者団体による差止請求が可能であり、不正競争防止法の場合も、事業者団体や消費者団体による請求を認めるべきという議論はかなり昔からあるのですが、今のところ動きはありません。

2019年4月10日 (水)

楽天トラベルなどに立入検査(公取委)

 ここのところ、いわゆるGAFAなどプラットフォーム事業者に対する競争法などによる規制が話題になっていて、つい先日(3/30)に、私もお手伝いをした大阪梅田での講演会「デジタルプラットフォーマーの法的諸問題」も東京など遠方からも多くの方々に参加いただき、大盛況でした。(なお、基調講演をしていただいた泉水文雄先生から、プラットフォーム事業者を意味する「プラットフォーマー」という言葉は本来英語では使わないのではないか、とのご指摘がありました。)

 以下の案内ページには、当日の資料の一部がリンクしてありますので、関心のある方はごらんください。

 → 「情報ネットワーク法学会 ネット社会法務研究会 発足記念講演会のご案内」

 さて、本日、そのプラットフォーム事業者に対する事案が報道されました。

 独占禁止法違反(拘束条件付き取引)の疑いで「楽天トラベル」を運営する楽天(株)「ブッキング・ドットコム」(オランダ)の日本法人、「エクスペディア」(アメリカ)の日本法人の3社に対し、公正取引委員会が立入検査に入った、というものです。「楽天トラベル」は、まだ日立造船が運営していた「旅の窓口」時代から、私は利用してますので、なじみ深いところです。

 楽天は、立入検査の事実を認め、公正取引委員会に全面的に協力する旨、公表しています。

 → 楽天プレスリリース

 報道によれば、今回の容疑は、自社のwebサイトに掲載するホテルや旅館などに対し、宿泊プランの価格がほかのサイトより高くならないよう要求していたというもののようで、いわゆるMFN条項(最恵国待遇条項)の問題です。

 MFN条項については、以前、Amazonやペット取引のプラットフォーム事業者などの問題について、当ブログでも触れましたので、ご参考まで。

 → 「ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項」 (2018/3/7)

2019年2月22日 (金)

小顔矯正に対する東京都の措置命令(景表法)

 本年2月20日、東京都は、小顔になる効果を標ぼうする美容サービスを提供する事業者であるS.O.M株式会社(東京都中央区)および株式会社ビューネス(東京都港区)に対し、小顔になるかのような表示が不当表示(優良誤認表示)であるとして、景品表示法に基づく措置命令を行っています。

 → 東京都発表資料

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 この両社は、それぞれ自社のwebサイトにおいて、あたかも、サービスを受けることによって、頭蓋骨の歪みやずれが矯正されることにより小顔になるかのように表示するなどしていましたが、東京都が、景品表示法に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、両社はそれぞれ資料を提出しましたが、当該資料は、合理的な根拠を示すものとは認められませんでした(不実証広告制度)。

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 このような、いわゆる小顔矯正サービスに関しては、2012年、2013年、2016年に消費者庁および広島県から複数の業者に対して同様に措置命令が出されており、当ブログでも下記の通り取り上げています。

 なお、当時は、不当表示に関して課徴金制度はありませんでしたが、今回は売上額によっては、課徴金納付命令の対象となる可能性があります。

 → 「小顔矯正サービス事業者の不当表示に対する措置命令(消費者庁)」 (2016/6/30)

 → 「「小顔矯正」の宣伝表示を不当表示とした広島県の措置命令(他1件)」 (2016/3/10)

 → 「「身長伸ばし」「美顔矯正術」の不当表示措置命令(消費者庁)」 (2012/7/11)

2019年1月18日 (金)

酵素健康食品のダイエット効果の不当表示(消費者庁)

 昨日(1/17)、消費者庁は、株式会社はぴねすくらぶ(福岡市中央区・旧:メディア・プライス)が販売する健康食品「酵母と酵素 de さらスルー」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。消費者庁及び公正取引委員会九州事務所の調査の結果によるものです。

消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、はぴねすくらぶが、自社webサイト上で、例えば、「酵素 酵母 乳酸菌の発酵パワーでダイエット!」、「食べることが大好きなあなたへ!」、「『酵母と酵素deさらスルー』は、生きた酵素と酵母、乳酸菌、さらに白キクラゲ由来のエイドライフリーWJをたっぷり配合した新しいダイエットサプリ。」等と記載するなどして、本件の健康食品が、あたかも、摂取するだけで、特段の食事制限をすることなく、含有成分の作用により、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていたというものです。   
 消費者庁は、景品表示法に基づいて、はぴねすくらぶに対して、これらの表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出されましたが、資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められず、優良誤認表示が認定されたものです(不実証広告)。

 はぴねすくらぶは、この措置命令に関して、自社webサイトに「お詫びとお知らせ」を掲載しましたが、措置命令の内容に反論することなく、 「・・・・あたかも、特段の食事制限をする事なく本品摂取だけで容易に痩身効果が得られるかのように示す表示をしておりました。本件表示は、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものより著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものでした。」不当表示を行ったことを認めたうえで、謝罪をしています。

 酵素食品については、昨年10月にも優良誤認表示であるとして、別の会社に対して消費者庁が措置命令・課徴金納付命令(1814万円)を命じていますが、それに続くものですね。「酵素」、「酵母」、「発酵」などをマジックワードとした健康食品は他にも多くありますが、イメージだけで根拠のない表示の商品には手を出さないことが肝心かと思います。

 → 「酵素飲料の新聞広告に対する措置命令・課徴金納付命令(消費者庁)」    
                         (2018/10/30)

 なお、本件の表示の一部については、いわゆる打消し表示として、「※使用感・結果には個人差があります。」と記載していたようですが、消費者庁は、これについて、「当該記載は、一般消費者が当該表示から受ける42粒入りの効果に関する認識を打ち消すものではない。」としています。

2019年1月 7日 (月)

ZOZO社長のお年玉宣言と独禁法・景表法

 新年あけましておめでとうございます。
   本年もよろしくお願い申し上げます。


 昨年から、いろいろと話題の多い株式会社「ZOZO」代表取締役社長の前澤友作さんが1月5日に、前澤氏のTwitterアカウントをフォローして、RT(リツイート)してくれた人、100人に100万円をプレゼントすると宣言して、また話題になっています。総額1億円ですね。

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 これについて、景品表示法上、大丈夫なの、というネット上の声もあるようです。これについて、見ていきたいと思います。

 まず、景品表示法上の「景品」の定義は、

①顧客を誘引するための手段として

②事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引(不動産に関する取引を含む。)に付随して

③取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益

であって、内閣総理大臣が指定するものをいうと定義されています。

 ここでは、②の要件に関して2つ問題があって、「事業者が自己の・・・」とあるので、お金は会社であるZOZOではなく、社長個人の私財から個人として提供している、という点と、取引附随性はない、という点です。

 前者については、法人と個人とはいえ、法人の営業活動に関して、オーナー社長が提供しているのだから、実質的には事業者が提供しているのと同一視できるのではないか、とみる余地はあるような感じはします。

 後者については、このような、事業者の商品やサービスの購入取引とは全く無関係に誰でも応募し、当選する可能性がある形態のものは、「オープン懸賞」と呼ばれ、取引附随性がありませんので、本来、景品表示法の適用対象外のものです。
【追記】ただ、フォローを条件としていますので、フォロワーのアカウントを収集するという行為、データ収集は取引に附随すると見られるのではないか、ということもできるような気もしますが、ここではひとまず置きます。)

 ただし、かつて公正取引委員会消費者庁設置前は景品表示法も所管)は、独占禁止法上の「不公正な取引方法」の指定として、「広告においてくじの方法等による経済上の利益の提供を申し出る場合の不公正な取引方法」という告示を出していました。
 そして、その告示運用基準(通達)に、「この告示に規定する「正常な商慣習に照らして過大な金銭、物品その他の経済上の利益」については、1000万円を超える額の経済上の利益はこれに該当するものとする。ただし、この範囲内で公正競争規約を締結している業種にあつては、当該公正競争規約の定めるところを参酌する。」(注:1000万円は平成8年改正後)とあり、要するに「オープン懸賞」の場合には、景品表示法ではなく、独占禁止法上、1000万円を超える賞金等が禁止されていたのです。

 しかし、この「オープン懸賞」についての上限規制も、あんまり意味はないよね、ということで、平成18年に撤廃されました。したがって、現在、独占禁止法景品表示法による規制はなくなっています。もっとも、本件は100万円なので、どっちにしても問題ないのですが。

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 ということで、冒頭の前澤氏の100万円提供は、独占禁止法景品表示法による規制はない、ということに一応はなります。もっとも、独占禁止法上の別の規制(例えば、不公正な取引方法欺まん的顧客誘引など)に該当するような場合は別ですし、上で書いたいくつかの点の評価によっては、「オープン懸賞」ではなく、「一般懸賞」として、景品表示法の対象とされる可能性も考えられなくもありません(この場合は、最高額は10万円なので、抵触してしまいます。)。

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2018年12月29日 (土)

ベネッセ個人情報流出事件の判決(東京地裁)

 ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)の顧客個人情報流出事件の判決が報じられています。顧客ら計462人が原告となって、ベネッセと関連会社シンフォームを被告として、慰謝料など計3590万円の損害賠償を求めていたものですが、本年12月27日、東京地裁で判決が出たようです。判決は、シンフォームに対してのみ、1人当たり3300円、計約150万円の請求を認め、ベネッセの損害賠償責任は認めなかったとのこと。
 なお、シンフォームは、この流出事件の後に解散しているようですので、清算手続での対応でしょうか。

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 報道によれば、情報流出は、関連会社のシンフォームで働いていた派遣社員が持ち出したものですが、派遣社員なのでシンフォームの直接の社員ではないものの、実質的な指揮監督関係があるとして、民法上の使用者責任を認めましたが、ベネッセには予見可能性はなく、指揮監督関係もないとして賠償責任を認めませんでした。

 そして、シンフォームの損害賠償額としては、原告1人当たり慰謝料3000円弁護士費用300円が相当としました。

 私も関与したヤフーBB情報流出の裁判では、ヤフー株式会社ソフトバンクBB株式会社(旧・BBテクノロジー)の2社を被告としましたが、一審大阪地裁が顧客情報を直接管理していたソフトバンクBBのみの責任を認め、ヤフーには監督義務違反はない、としました。
 しかし、控訴審大阪高裁は、ヤフーの使用者責任を認めて、両社に対して支払を命じました。控訴審での認容額は5500円(慰謝料4500円、弁護士費用1000円)です。慰謝料額が中途半端なのは、ヤフー側が事件発覚後500円の郵便振替支払通知書を原告ら顧客に送っていることをもって一部の弁済としたものですので、本来の慰謝料額は5000円という認定になります。この件については、下記のブログ記事および記事内のリンク先を参考にしてください。    
「ヤフーBB個人情報漏洩事件控訴審判決(大阪高裁)」 (2007/6/21)

 ところで、このベネッセの情報流出事件に関しては、同様の訴訟が複数起こされています。

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 そのうち、ひとつの事件(未成年者の親が原告、ベネッセが被告)では、一審神戸地裁姫路支部(平成27年12月2日判決。判例時報2351ー11)は、ベネッセの過失行為を基礎付ける具体的事情の主張立証がないとして棄却し、控訴審大阪高裁(平成28年6月29日判決。判例時報2351ー9)は過失の判断はせず、「そのような不快感や不安を抱いただけでは、これを被侵害利益として、直ちに損害賠償を求めることはできない・・・・・上記の不快感や不安を超える損害を被ったことについて主張、立証はない。」として控訴を棄却しました。
 しかし、最高裁(平成29年10月23日判決。判例時報2351ー7)は、「本件個人情報は、上告人のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきであるところ(略)、上記事実関係によれば、本件漏えいによって、上告人は、そのプライバシーを侵害されたといえる。」「しかるに、原審は、上記のプライバシーの侵害による上告人の精神的損害の有無及びその程度等について十分に審理することなく、不快感等を超える損害の発生についての主張、立証がされていないということのみから直ちに上告人の請求を棄却すべきものとしたものである。そうすると、原審の判断には、不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法があるといわざるを得ない。」として、審理を大阪高裁に差し戻しました。したがって、この裁判は、現在、大阪高裁で審理が行われているものと思われます。

 また、別の事件(原告185名、ベネッセシンフォームが被告)では、東京地裁(平成30年6月20日判決。D1-Law.com判例体系)は、被告2社の過失(注意義務違反)を認定しましたが、「・・・本件に顕れた事情を総合的に考慮すると、少なくとも現時点においては、最も多くの種類の個人情報(氏名、性別、生年月日、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス及び出産予定日)が漏えいした原告らであっても、民法上、慰謝料が発生する程の精神的苦痛があると認めることはできないといわざるを得ない。また、漏えいした個人情報の内容以外に、原告らにおいて考慮すべき事情に相違があったことはうかがわれないから、上記よりも少ない種類の個人情報が漏えいしたにとどまる原告らについても同様に、民法上、慰謝料が発生する程の精神的苦痛があると認めることはできない。」として、損害の発生はないという理由で、原告らの請求を棄却しています。上記の最高裁判決の後の判決ですが、損害発生を認めていない点が注目されます。

 なお、この東京地裁判決と同日の平成30年6月20日に千葉地裁でもベネッセを被告とした判決があり(金融・商事判例1548ー48。原告は1家族親子4名のようです。)、ベネッセの過失を認めず請求棄却となっています(確定)。

2018年9月21日 (金)

「星ドラ」ガチャの表示に関する判決

 前回記事で触れましたが、スマホゲーム「星のドラゴンクエスト」(星ドラ)において、期間限定で提供されていたガチャの説明表示に関して、プレイヤーたちが原告となって運営会社スクウェア・エニックスを被告として、ゲーム内通貨の購入金額などの支払を求める訴訟の一審判決が、9月18日に東京地裁で言い渡されました。
 結果は原告らの請求棄却(敗訴)です。この判決を読む機会がありましたので、ご紹介します。(以下は、今回の判決の記載内容に拠っています。)

 この訴訟では、「星ドラ」には「★5そうび」と称する貴重なアイテムを得ることができる「宝箱ふくびき」と称するいわゆるガチャ(ゲーム内通貨を対価とする)の表示が問題となっています。このガチャでは、「★5そうび」が一定の確率で提供されるのですが、期間限定でのみ提供される「★5そうび」(ピックアップそうび)が排出されることとなっており、その説明画面には、「※★5そうびは、上記のそうび(川村注:ビックアップそうび、のこと)の他にも排出される場合があります。」と表示されていました。
 プレイヤーである原告らは、この表示は、ピックアップそうび以外の★5そうびも排出される場合もある、という程度、すなわち、ピックアップそうび以外については低い確率で排出されるという内容であると主張し、にもかかわらず、実際には、ピックアップそうびは極めて低い確率でのみ排出されるようになっていたことに関して、   

  1. 債務不履行解除
  2.    
  3. 錯誤無効
  4.    
  5. 詐欺取消
  6.    
  7. 不実告知(消費者契約法4条1項)に基づく取消
  8.    
  9. 景品表示法違反(優良誤認および有利誤認)

により、1については原状回復請求権、2~4については不当利得返還請求権、5については不法行為に基づく損害賠償請求権により、ゲーム内通貨購入金額の返還を求めるなどしたものです。

 これに対して、今回の判決では、まず、上記の「※★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります。」という表示が意味するところについて、ピックアップそうびの出現確率が他の★5そうびよりも高いことを表示していると認識させるものとはいえず、一般通常人をして、単に、ピックアップそうび以外の★5そうびも排出する可能性があるという事実を指摘しているものと認識されるにとどまる、としました。

 そして、この判断を前提とすれば、原告らの上記1~5の主張には理由がないものとして、原告らの請求を棄却したものです。

 上記の表示についての認識内容について、原告らの主張が認められなかったということになりますが、原告団のTwitterアカウント「星ドラ集団訴訟ツイッター」によると、東京高裁への控訴を準備中とのことです。

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2018年8月19日 (日)

アフィリエイト・リンク先に不当表示の周知ページを掲示させる(消費者庁)

 共同通信の配信ニュースのようですが、ここ数日、各紙で、消費者庁が、「悪質なインターネット広告対策として、成果報酬型のネット広告「アフィリエイト」に着目した新たな取り組みを始めた。商品の表示に虚偽があるなど、違法広告が判明した企業に対し、これまでは企業のサイトに違反内容を掲示させていた。これに加え、商品を紹介したアフィリエイトサイトを経由した場合でも違反を消費者が把握できる仕組みにするよう指導している。」という報道がなされています。

 これは、ネット通販業者のブレインハーツ(大阪市北区・なお、同名の別企業があるのでご注意。)が、健康食品について根拠なく痩身効果をうたっていたことに対し、今年6月、消費者庁景品表示法違反の不当表示として措置命令を出した件に関するもののようですね。この措置命令については、命令の翌日に当ブログでも紹介しています。

 → アフィリエイトサイトの表示にも言及した措置命令(不当表示) (6/16)

 私は、このときのブログ記事の最後に、措置命令主文の中に、消費者へのの周知徹底の方法につき、「アフィリエイトサイトからハイパーリンクにより「roifleur」と称する自社ウェブサイトに遷移する動線を含めること」と書いてあること関して、「「遷移する動線を含める」方法というのは具体的にどこまで求められるのかは、これだけでは必ずしもよく判りませんが。」と書きました。

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 今回の報道は、これに関係するもので、どうやら、アフィリエイトサイトでこの商品の広告をクリックすると、ブレインハーツ謝罪文ページにつながるようにしたようです。

 アフィリエイター(アフィリエイト・サイトを運営している人)や広告会社に対しては、不当表示がなされた商品やサービスの供給者ではないため、景品表示法の直接の適用対象とすることは原則としてできないですが、対象事業者(広告主)に命じて、アフィリエイトからリンクする先にこのようなページを表示させることによって、消費者に周知徹底させるというのは実効性がありますね。単に会社サイトのどこかに謝罪ページなどを作っても、ほとんどの人は見に行かないと思われますので。

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2018年7月27日 (金)

電子商取引及び情報材取引等に関する準則の改訂(経産省)

 本日、経済産業省が、 「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」につき、AIやブロックチェーン等最新技術が取引環境にもたらす変化等を踏まえた改訂を公表しています。

  → 経済産業省ニュースリリース

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 「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、電子商取引や情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、平成14年3月に策定されたもので、毎年のように改訂がなされています(前回改訂は、平成29年6月)。

 今回の改訂内容は以下の通りです。

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 1.取引環境の変化に応じた改訂を要する論点

Ⅰ-10
AI スピーカーを利用した電子商取引(新規)

 電子商取引の分野においても、AI やブロックチェーンを初めとする新たな技術を活用したサービスが登場・普及しつつある。こうした新たなサービスの利活用の促進、未然の紛争防止等を目的に、準則においても先進的なサービスを巡る法的論点を取り上げることとし、本論点では、いわゆる AIスピーカー(スマートスピーカー)を対象に、サービス事業者の責任について解説している。

Ⅰ-10-1
AIスピーカーが音声を誤認識した場合(新規)
      
 AI スピーカーが発注者の発言がないのに誤って音声を認識し、発注処理をした場合、ユーザにどのような救済が与えられるかを整理している。

Ⅰ-10-2
AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合(新規)

 発注者が AI スピーカーで音声発注をしようとして、うっかり言い間違えをしてしまったため、発注者の意図と異なる物品が発注された場合に、発注者にどのような救済が与えられるのかを整理している。

Ⅲ-14
 ブロックチェーン技術を用いた価値移転(新規)      

 ブロックチェーン上で管理される財産的価値(トークンや仮想通貨等)の移転を約する契約(例:ビットコインによる商品・サービスの購入など)において、相手方が契約違反をした場合、当該財産的価値の移転を内容とする請求が可能かについて解説している。

Ⅳ-7
 国境を越えた取引に関する製品安全関係法の適用範囲(新規)

 公法規制の国境を越えた取引における適用は、今日の電子商取引・情報財取引における大きな課題となっていることを踏まえ、製品安全関係法(消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)が海外の事業者に適用される場合がある場合について解説している。

2.特定商取引法施行規則改正に伴う改訂

Ⅰ-2-4
 自動継続条項と消費者契約法第 10 条等

Ⅱ-4-2
 特定商取引法による通信販売に係る広告規制

3.論点の削除

Ⅰ-1-3
 インターネット通販における分かりやすい申込画面の設定義務
 (消費者庁のガイドラインを参照しているのみであるため、削除)

4.その他

Ⅰ-1-2
 自動継続条項と消費者契約法第 10 条等
 (消費者庁のガイドラインへの参照を追記)

Ⅰ-7-1
 ユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任
 (ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)

Ⅱ-6
 インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害
 (ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)

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