カテゴリー「ニュース」の195件の記事

2008年7月 4日 (金)

二次被害にご注意:ホットスタジオNYヨガ営業停止

 京都大丸で「ホットスタジオ ニューヨークヨガ」を経営している「シュウコーポレーション」(大阪市北区)が、営業を突然停止したことが報じられています。この会社は、大阪、京都、東京など各地でエステなどを経営しているようです。

 消費者センターなどにも相談が寄せられているようです。

 こういった被害の場合の相談は、自治体の消費者センターや弁護士会・法テラスの相談窓口に行って下さい。各地域の消費者センターであれば、無料で相談を受け付けていると思います。

 もちろん、現段階では、情報不足ですし、何をすれば、どうなるのか、ということが明確なわけはありません。事案にもよるとはいえ、こういう被害の場合には、既に支払ったお金が戻ってくるというのはかなり困難だろうと思います。

 また、中には、こういった被害があると、もっともらしい名前の団体が、相談を受け付けるようなホームページもあります。
 今回の事件でも、何となく信頼できそうな名称の某団体が、内容証明を送るのに3万円の手数料を取るというようなケースの報告も聞いていますので、よく考えて行動して下さいね。現時点で、相手の会社に内容証明を慌てて送ってもほとんど意味はないでしょう。クレジットを組んでいる場合には、クレジット会社に対して支払停止の通知をすることは考えられますが、このような手続は自分でもできますので、書くべき内容を消費者センターなどで教えてもらえばよいと思います。内容証明の実費だけなら、普通の書留郵便の送料に内容証明料金(1枚なら420円)です(配達証明も付けるなら、その料金も)。
 このような事件が起こった場合、被害者救済のような顔をして、お金をもうけようとする人というのは、昔から、よくあるのです。残念ですが。二次被害に逢わないよう、くれぐれもご注意下さい。

 私の立場からは、弁護士に相談が一番、と言いたいですが、それなりの相談料は要ると思いますし、消費者問題には詳しくない弁護士さんもいるかと思いますので、上にも書きましたように、まずは、市町村などでやっている消費者センターの窓口に行かれるのがよいと思います。

 今後の成り行きによっては、被害者弁護団などが組織されるかもしれませんが、そういった情報は、消費者センターや弁護士会で聞けばわかるはずです。

【追記】(7/11)
 補足します。なお、大変申し訳ないですが、個別のご相談、ご質問は現状ではお受けできませんので、コメント等いただいても、お返事できないことをご了承下さい。

 例えば、弁護士や司法書士に頼んで書面を書いてもらうとしても、もちろん費用が必要です。しかし、私が、上のことで、問題だと考えているのは、主に次の2点です。(私の考えが正しいかどうかは、ちゃんとした消費者センター等にお聞き下さいね。ブログやホームページに書いてあることを軽々と信用してはいけない時代ですので。残念ですが。)

 まず1点目ですが、シュウコーポレーションに宛てて、被害者の方の名前でクーリングオフなり契約解除の通知の内容証明郵便を出すだけならば、私ならば、1件あたり、郵便代など実費を含めて、3万円と言わず2万円でもやります。
 ただ、会社側が突然に休業して、一切のサービスを停止している状況であり、会社側に責任があることは明らかなケースでもあって、また、一方で、経営者側が雲隠れしている状況なのですから、今、慌てて、そのような通知を費用をかけて行うことは不要と思います。したがって、どぶに金を捨てる覚悟でも、とにかく書面だけ出したい、という人以外にはお奨めしませんし、それくらいだったら、実費だけで、ご自分で送ればよい話です。
 だから、結局、私はそういうご依頼があっても、やめるようにアドバイスします。私が儲かるのはありがたいですが、本人さんには、ほぼ意味のない仕事だからです。

 もう1点は、どういう団体にせよ、個人にせよ、このような法律的な事務を業務として(しかも、実費以外に利益を得て)、依頼を受け付けること自体、弁護士法などに違反する違法行為である可能性が極めて高いと言わざるをえません。ここでは、あまり難しいことは書くことはできませんが、仮にちゃんとした弁護士や司法書士、行政書士に仕事を回しているとしても、法的には問題があるのです。

 以上の通りであり、今の状況でやるべきことは、シュウコーポレーションに郵便を送ることではなく、クレジット会社に対して支払停止を通知することと、銀行などからの引落を早く止めることだと思います。

 この方法は、何度も言うように、都道府県、市町村のちゃんとした消費者センター(消費生活センターなどの名称の場合もあります。市役所等にお聞き下さい。)に問い合わせれば、無料で相談いただけるはずです。

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2008年5月 8日 (木)

平成19年度景品表示法運用状況及び消費者取引の適正化への取組(公取委)

 今朝の朝刊各紙に出てますが、公正取引委員会が昨日(5/7)「平成19年度における景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」を公表しています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 詳細は直接見ていただくとして、公表内容の概略は後記の通りです。

【追記】(5/9)
  5月7日の公取委事務総長定例会見で、この公表内容についての若干のやり取りが出ています。 → 公取委サイト定例会見ページ
 一部、消費者庁問題についても質疑で触れられていますが。

〈概 要〉
第1 景品表示法事件の処理状況
 
 平成19年度の公取委による景品表示法の事件処理件数は、排除命令56件、警告19件、注意520件の計595件。排除命令は全て表示事件(景品事件はなし)で、表示事件の排除命令の件数としては過去最高の件数。
 このうち景表法4条2項(不実証広告)適用件数は35件。

 都道府県が景表法に基づいて行った指示の件数は28件。全て表示事件で、食品に係る不当表示が21。
 〔川村注:なお、この都道府県による景表法の指示については、先日フカヒレの事件で書きましたが、近年、都道府県による指示件数は増加しているとのことであり、運用が活発化していると指摘しています。〕

第2 消費者取引の適正化への取組状況
1 景表法等の見直し
  (1) 一定の不当表示への課徴金制度の導入(改正法案の提出)
                       →現在国会審議中
  (2) 適格消費者団体による団体訴訟制度の導入 →成立

2 公正競争規約の設定等
 平成19年度以降現在までに設定された公正競争規約は
 ① しょうゆの表示  ② もろみ酢の表示 ③ 食用塩の表示
    に、それぞれ関するもの。

3 消費者モニター,消費者取引適正化推進員及び電子商取引調査員制度の活用 
 このうち、電子商取引関係だけに注目すると、
〈電子商取引監視調査システムによる常時監視の実施〉として、
「・・一般消費者約80名に「電子商取引調査員」を委嘱し,インターネット上の広告表示の調査を委託して,電子商取引監視調査システムを通じて問題となるおそれがあると思われる表示について報告を受けている。電子商取引調査員からの報告は,景品表示法違反事件の端緒の発見,景品表示法の遵守について啓発するメールの送信等に活用している。
平成19年度は,
電子商取引調査員から942件のインターネット上の広告表示について報告を受けた。また,平成19年度報告分のうち,「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」(平成14年6月公表)に照らして問題があると認められた67サイトの管理者に対し,景品表示法の遵守について啓発するメールを送信することにより,同管理者に自主的な表示の改善を促している。この結果,ほとんどの表示について改善がみられるなど一定の成果を上げている。」

〈インターネット上の広告表示適正化に関する国際的取組への参加 〉として、
「 ・・ICPEN(消費者保護及び執行のための国際ネットワーク)の枠組の下で,参加各国の関係当局がインターネット上の広告表示について共通のテーマを選定し,法令違反の疑いがないかを一斉に点検する International Internet Sweep Daysに参加するなど,諸外国の関係当局との連携を深めている。
 平成19年度においては,9月に,「Who can you trust?(誰を信用しますか?)」をテーマとして実施されたInternational Internet Sweep Daysに参加し,
公正取引委員会は「電子商取引における効果・性能保証の強調表示」を点検の対象とした。電子商取引調査員から報告を受けた339件(252事業者320サイト)について点検した結果,景品表示法上問題となるおそれがあると思われる表示を行っていた42サイト40事業者の管理者に対し,景品表示法の遵守について啓発するメールを送信した。」
 となっています。

〔川村注:やらないよりはいいかもしれませんが、実態から考えて、どちらも、1年間でこの程度の件数では、とても実効性があるとは思えませんね。〕

4 景表法の普及・啓発,消費者団体との意見交換

5 関係行政機関との連携強化等
  第1回食品表示連絡会議(平成20年2月・関係5省庁)
  第1回悪徳商法関係省庁連絡会議(平成20年3月・関係5象徴等)

6 諸外国との連携

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2008年4月23日 (水)

燃費向上商品への排除命令に対する審判手続開始

 もう一丁がんばって書きますわ、というほどのものではありませんが。。。

 公正取引委員会が今年2月8日付で行った、自動車燃費向上等を標榜する商品の製造販売業者らに対する排除命令に対して、ニッポンエミール・すばるメディア・ピエラスの3社から審判請求があったため、4月21日、独占禁止法52条3項に基づいて審判手続を開始することとなりました。
 この2月の排除命令は、19社に対するものでした。詳しくは、下のリンク記事を見て下さい。
 前にも書きましたが、本件では景品表示法4条2項の「不実証広告」規定を使って公取委排除命令を行ったのですが、これにたいする不服申立としての興味がありますね。できれば、公取委側の代理人になりたいくらいですが、そういう制度はなさそうです(寂笑)。
 もちろん、申立会社側が、燃費向上の立証をすれば、それまでなんですけどね。

 → このブログ記事「燃費向上商品の不当表示に対する排除命令(景表法)」(2/8)
 → 排除命令の公取公表記事(PDF)

 ただ、この手の景品表示法の表示事案の場合、顧客からすれば、返品、代金返還の問題が生じます。これに関しては、詐欺:錯誤だとか債務不履行だとかの細かい話になるので、ちょっと省きますが、景品表示法自体は公法的な規制(行政の問題)であって、民事法的な効果とは直接的な関係はないので、そのあたりの問題が今後検討されなければなりませぬ。
 また、わかっていて買わせていたなら、景品表示法だけでなく、刑法上の詐欺罪として刑事責任の対象となるべきもんですけどね。

 それはそれとしても、景品表示法上、表示の正当性を証明できる根拠があるならば、審判手続よりも前に出せなければ、事業者としては問題があるという評価もあるかもしれません。
 本当に燃費向上の効果があると納得すれば、私も買うぞ。でも、もし表示とは違うなら、はっきりと認めて、顧客に弁償すべきとではないでしょうか。

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2008年4月16日 (水)

国際航空貨物便の運送代金カルテルの疑いで立入検査(公取)

 本日(4/16)、国際航空貨物便の運送代金に関して、運送会社が価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会は、日本通運近鉄エクスプレス、日本郵船系列の郵船航空サービスの大手3社を含む計13社と業界団体である社団法人航空貨物運送協会に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査に入った、と各社で報じられています。
 対象業者は他に、西日本鉄道阪急エクスプレス日新バンテック・グループ・ホールディングスなど。

 日本では、航空法によって、国土交通大臣の認可を受けて行う協定についての独占禁止法の適用除外規定が定められていて、国際航空運送協会(IATA)が定める協定がこの適用除外の協定にあたります。この適用除外規定については、昨年12月、廃止するように公取委が国交省に申し入れをしたり、EUなど既に適用除外を廃止したりしている所もあるなど最近もいろいろ話題になってます。
 けれども、冒頭の件は、この問題と関係はするものの、直接的には独禁法の適用除外制度の対象の事案ではありません。
 というのも、この適用除外規定は、航空運送事業者の間の協定に関する除外規定ですので、今回対象となったような一般の運送業者の間の価格協定はそもそも除外規定の対象にはなりませんので、価格について協定すれば、カルテルとして独禁法違反が問題となります。

 ところで、最近、欧州連合(EU)欧州委員会アメリカの司法省も、世界の航空会社による国際航空運送料金のカルテルについて調査を続けているようです。
 今年3月、EU欧州委員会が、定期旅客便の運賃をめぐって、航空会社が価格カルテルを結びEU競争法に違反した可能性があるとして、複数の航空会社を立ち入り調査したことを明らかにしていますし、アメリカ司法省は、昨年8月、大韓航空とブリティッシュエアラインに対して旅客・貨物運賃カルテルへの関与を認めたとして、それぞれに3億ドルの罰金を科したことが報じられていました。

 →(参考)公取委の研究会報告書(平成19年11月29日)(PDF)
  「国際航空市場の実態と競争政策上の課題について
       ―国際航空協定に関する独占禁止法の適用除外制度の
                                     在り方を中心としてー」 

【追記】(4/17)
 17日の報道では、米司法省が、16日、日本航空が国際貨物の航空運賃をめぐり、カルテルを結んでいたことを認め、1億1000万ドル(約111億円)の罰金の支払いに合意したと発表しています。EUなどとの連携の動きと見られますね。
 おりしも、4月13日には、京都で日本とEUの競争当局間の定期協議、引き続き14日からICN,国際競争ネットワークの第7回年次総会が開催されていましたが、このあたりのことも話題になっていたのでしょうね。

【追記の追記】(4/17)
 日本航空のサイト発表によれば、「弊社は、米国司法省がこれまで2年以上にわたり世界の主要国際航空貨物会社に対して実施してきた、米国・太平洋線国際航空貨物に係わる価格カルテル関する調査に協力してまいりましたが、本年4月16日(米国時間)、米国司法省と司法取引を行い、罰金110百万米ドル(約110億円)を支払うことなどに合意いたしました。」となっています。
 知らなかったのですが、現在の「株式会社日本航空」は持ち株会社で、旧来の日本航空の正式な社名は、「株式会社日本航空インターナショナル」なんですね。上記の司法取引を行った『日本航空』「日本航空インターナショナル」です。 ややこしや~。。。

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2008年4月 9日 (水)

システムキッチン部品製造の下請法違反勧告(公取委)

 公正取引委員会が、3月21日に、中小企業庁長官から下請法6条に基づく措置請求を受けたことについては、同日付「下請法:中小企業庁長官から公取委への措置請求」に書きました。

 この事案について、本日、公正取引委員会は、株式会社ミカド(大阪市)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反したとして勧告を行いました。 
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要)
 ミカドは,自社で製造・販売しているシステムキッチン等の部品等の製造を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、下請事業者に対して、「販売協力金」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額又は取引数量に一定額を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。
 なお、ミカドは既に下請事業者の一部に対し、減額分の一部(331万8811円)を返還している。 

(勧告の概要)
ア 「販売協力金」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額3995万4238円)から前記返還額を差し引いた額(3663万5427円)を下請事業者(39名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ 今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記ア、イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

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2008年4月 3日 (木)

高値仕入ガソリン話の続き(公取事務総長会見)

 先日(4月1日)書いた「高値仕入れのガソリンの安値販売は、不当廉売か?(独禁法)」の関連記事ですけども。。。

 4月2日付公正取引委員会事務総長定例記者会見の本来の発言事項は、「平成19年度の法執行状況について」なのですが、質疑応答はガソリンのネタで(先週も同じことでしたが)、ほぼそのまま引用・・・

(問)ガソリン値下げの動きについて、公取委としてどのように見ていますか。定の範囲内ということでしょうか。

(事務総長)ガソリン価格の動向についての分析と言われても困るわけですが、暫定税率が失効したということですから、当然、それが競争を通じて、小売価格に反映されてくることになると考えております。

(問)不当廉売などの違反行為に対して、監視体制を強めたりすることはないのですか。

(事務総長)独占禁止法違反行為に対する監視体制という意味では、我々は常にそういう体制を採っているつもりですから、今回の暫定税率の失効に伴って、どういう違反行為があり得るのか、必ずしもよく分かりませんが、当然違反行為があれば、厳正に対応するということになろうかと思います。

(問)今回の値下げについては、仕入価格を下回っているという声も幾つかありますが、これについてはどのように考えていますか。

(事務総長)確かに、今回の暫定税率の失効に伴い、暫定税率分を負担して仕入れたガソリンについて仕入価格を下回って販売している、あるいは、販売せざるを得ないというような状況があるということは承知をしております。仕入価格を下回る価格での販売ということですから、不当廉売という議論もあるわけで、個別のケースについては、具体的な事実関係を見た上で判断するわけですが、一般論としては、仕入価格を下回る価格での販売が、その暫定税率分を含んでいる在庫に限られ、言いかえれば、暫定税率分を含まないで仕入れた分については、仕入価格を下回らないというようなことであれば、ある意味、一時的なコスト割れということになるわけでして、その限りにおいては、直ちに独占禁止法上の不当廉売に該当するとは言えないのではないかというふうに考えております。

(問)今までの不当廉売の案件をみると、1か月以上にわたって仕入価格を下回る価格で販売をして、かつ、競合他社に影響を与えたということで、期間と影響というのが処理のポイントでしたが、1か月を目安と考えてもいいのですか。

(事務総長)御指摘のようにガソリンの不当廉売については、平成19年度に2件の排除措置命令を出しております。そのケースでは、仕入価格を下回って販売した期間が1か月を超えていたかと思いますが、ケース・バイ・ケースで考慮する話であって、単純に1か月以内であれば問題ないと、1か月を超えれば問題だというような話ではないのではないかと考えております。

(問)先ほど今回の件については直ちに不当廉売に当たらないということでしたが、状況が状況なので仕方がないということですか。

(事務総長)一時的なコスト割れ販売ではないかということです。そうであれば、その限りにおいて直ちに問題とはならないのではないかということです。

(問)暫定税率分(25円)以上に、30円、40円と価格を引き下げて、コスト割れ販売をしたというケースがあった場合には、これも一時的であれば不当廉売には当たらないということですか。

(事務総長)小売であれば仕入価格を下回って継続的に販売して、他の事業者の事業活動を困難にするおそれがあるという要件があるわけで、個別のケースがそれに該当するかどうかは、具体的な事情を見て判断せざるを得ないということになり、一般論としては、非常に短期間であれば、他の事業者に及ぼす影響もそう大きくはないというようなことはあろうかと思います。

(問)週末だけでも廉売を行っていれば継続性の要件を満たすというガイドラインがあったと思いますが、仮に、暫定税率の再可決までの期間が1か月という期間の中で行われているという特殊な事情があれば、今回の件について、例えば、1週間とかそれこそ2週間ぐらいでも、継続性を満たすという判断にはならないのですか。

(事務総長)個別によく事情を見て判断せざるを得ないということです。あくまで、今度の失効に伴う一時的なものであればということで申し上げましたつもりですので、今後、具体的な動きを見て、それが問題になるかどうかということは、個別に判断していかざるを得ないということと思います。

(問)そもそも論として、値下げしているというのは、まさに経営判断で自由な競争の一部であるため、不当廉売に対する規制については,抑制的であるべきだという議論もあると思いますが、どのように考えていますか。

(事務総長)価格に関するものですから抑制的であるべきだというような御意見はあります。
 一方、不公正な取引方法の一つとして、不当廉売ということが規制されているわけです。場合によっては資本力等を背景にコスト割れ販売を行い、効率的な事業者も十分競争していけなくなるという状況であれば、能率競争、価格競争等、公正な競争という観点から規制すべきというふうに考えております。
 効率性において劣る事業者を不当廉売規制によって守ろうという趣旨でないことははっきりしてまして、運用において、そういう方針でやっていますし、このような考え方は、小売業における不当廉売についての考え方でも明らかにしているところです。

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2008年4月 1日 (火)

高値仕入れのガソリンの安値販売は、不当廉売か?(独禁法)

 さて、話題のガソリン値下げの問題ですが、揮発油税の暫定税率の法的根拠がなくなったとはいえ、既に暫定税が上乗せされて高い価格で仕入れたガソリンを今日から赤字覚悟で安売りしているガソリンスタンドも多いようで、テレビのニュースでもそんな状況を追いかけていますね。(税金が減って安く仕入れたのをその分安く販売するのは問題ない、というのは当然。)

 これは、一種のエイプリルフールの冗談みたいなものなのかも、と思ったりしますね。このブログでは独占禁止法の観点から見てみたいのですが、これに関してもいくつか報道がされています。
 まず、仕入原価を割り込んで安い価格で販売することが、独禁法の「不公正取引」の「不当廉売」に該当しないか、というのが、第1の問題点ですね。
 これについては、3月31日の記者会見で、町村官房長官が、ガソリンスタンドが揮発油税の暫定税率が上乗せされた高い価格で仕入れたガソリンを、安い価格で販売することについて「独占禁止法上の問題はなんら生じない」と述べ、不当廉売などにはあたらないとの見方を示した、ということです。なぜ、問題にならないか、については語られていないのかな?
 新聞の記事の中には、公取委は「ケース・バイ・ケース」と言ったというのもありました(朝日)。
 日経はもっと詳しく、「公正取引委員会はガソリンの値下がりに伴い、給油所の不正行為が出ないかどうかを慎重に見極める方針だ。今回の事態をシェア拡大の機会に悪用し、競合他社に先駆けて原価割れで値引きしようとする給油所を厳しく監視する。 課税済みのガソリンを1日から値引きして売るのは、独占禁止法の不当廉売には抵触しないというのが公取の見解だ。ただ、過度の値引きが長期間継続し、競合他社の事業活動に困難が生じた場合には「不当廉売に当たる可能性もある」(取引部)とみている。」という報道をしています。
 うむ、ひょっとして、朝日のほうが的確でわかりやすいかもしれぬ。。。

 以下は、日経の記事の理解の参考に、という程度のものですけど、「不当廉売」と安売りは違うということについては、このブログで何度もしつこく書いてきました。
 例えば→ 「不当廉売規制と安売り規制は違うよ」(07/11/13)

 「不当廉売」は、独禁法で禁止されている「不公正な取引方法」の一般指定で定められている行為の1つで、
 一般指定 6項 「不当廉売」
  正当な理由がないのに商品又は役務を、その供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのあること。
とされています。

 まず、「供給に要する費用を著しく下回る対価」かというのが問題ですが、公取委の「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(昭和59年)では、「通常の小売業においては、仕入価格を下回る価格がこれに当たると考えられ、実務上は、仕入価格を下回るかどうかを一つの基準としている。」とされていますので、この点だけを言えば、仕入価格を下回っていることは明らかです。

 ただ、「継続して」という要件もあり、これについて上記「考え方」では、「『継続して』とは、相当期間にわたって繰り返して廉売を行い、又は当該廉売を行っている販売業者の営業方針等から客観的にそれが予測されることであるが、毎日継続して行われることを必ずしも必要としない。 」とされています。例えば、短期間の「開店記念セール」などのようなものは、この要件に該当しないことになります。
 今回のケースでは、廉売(安売り)の期間が、この相当期間に該当するか否かが大きな問題となるでしょう。

 次に重要な要件として「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること」というのがあります。突き詰めるとなかなか難しい要件ではありますが、おおざっぱに言ってしまえば、全体の状況によっては、これに該当する場合はあり得ると思います。

 さらに「正当な理由」の存否という要件もあります。
 これも詳しくは触れませんが、よく出される例としては、生鮮食料品や季節商品の見切り販売、きず物、はんぱ物の廉売などについては、不当廉売とはされません。これは、今回のガソリンの場合は、ちょっと違うように思うのですが、視点によっては、「正当な理由」ありという考え方もできるのかな、という気もします。今日の報道の状況を見てると、一般的には「正当な理由」と見てもよいかと、私は思います。
 他のスタンドが税金の安いガソリンを仕入れて安く販売している状態になったときに、高く仕入れていたガソリンをやむなく安く販売することは、それが仕入原価割れであっても違法にならないのは当然です。

 なお、上記の「不当廉売」とは全く別の問題として、石油元売り業者が売り先等に対して安売りしないように要請したり、ガソリンスタンドの同業者組合などが、お互いに安売りしないように申し合わせをする、といった場合には、独占禁止法上の問題が生じます。
 前者は、「不公正な取引方法」(再販売価格の拘束)、後者は「不当な取引制限」(価格カルテル)という問題になる可能性があります。

【追記】(4/2)
 今日の公取委事務総長定例会見で、この問題が取り上げられ(実は1週間前のこの会見でもこの件の質疑は出ていたのですが)、同じような話をしているようですね。
 時事の報道によれば、事務総長は、「一時的なコスト割れなら、直ちに不当廉売に該当するとは言えない」と述べ、独占禁止法に抵触しないとの考えを示し、原価割れで継続的に販売し、他社の事業活動を困難にする恐れがある場合は不当廉売に当たると指摘した、とされています。

【追記の追記】(4/3)
 上の4月2日の公取委事務総長定例会見の記事を、追加しました。
 → 「高値仕入ガソリン話の続き(公取事務総長会見)」(4/3)

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2008年3月31日 (月)

低周波治療器販売業者に対する業務停止命令(特商法)

 経済産業省は本日(3/31)、株式会社日本ライフパートナー(静岡)に対して、特定商取引法8条に基づき、6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています。
 → 経済産業省サイト報道発表

 ちょっと興味を引いたのですが、発表内容によれば、同社は、この業務停止命令の動きに対抗して、今月22日に東京地方裁判所に「営業停止処分及び実名公表処分差止請求」及び「仮の差止命令申立」を行っていたようですが、27日に仮の差止命令申立ては却下され、同社は翌28日に差止請求を取り下げたということです。

 これで3月後半に4回目の業務停止命令ですね。なお、特定商取引法に基づく行政処分の状況は → 経済産業省サイト「特定商取引法の執行状況」

(業務停止命令の内容)
 平成20年4月1日から9月30日まで(6か月間)の間、特定商取引法2条1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
①訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
②訪問販売に係る売買契約の申込みを受けること。
③訪問販売に係る売買契約を締結すること。

(取引の概要)
 株式会社日本ライフパートナーは、低周波治療器(「快足サロンデラックス」、「快足サロン」)、健康食品(「与那国青汁」)等の販売の事業を行っているところ、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、低周波治療器等の勧誘を行い、当該住居において当該契約の申込みを受け又は当該契約を締結していた。

(業務停止命令の原因となる事実)
 同社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた。
(1)勧誘目的の不明示(特定商取引法3条)
 同社は、消費者の住居を訪問する際に、「私どもの会社は、医療機器の会社なのですが、普通は1回3千円頂いている足つぼの医療用機器が、無料でお試しいただけます。」、「今、医療機器をみなさんに体験してもらっています。無料ですので試してみませんか。」、「今回、○○(地名)の方を廻っています。無料で足のマッサージをさせていただいております。非常に人気があって、皆さんに喜んでもらっています。。今回は経験だけで無料なのでいかがでしょうか」等と告げるだけで、勧誘に先立って、低周波治療器の売買契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特定商取引法6条1項1号)
 同社は、足裏マッサージの無料体験を口実に訪問した消費者の住居において、本件商品の売買契約の締結について勧誘をするに際し、明確な根拠を有していないにもかかわらず、「血をきれいにして、身体が元気になります。」、「足の痛みとか、そういうのは無くなります。」、「これは、糖尿病にも、リュウマチにも効く。」、「健康にいいから、どんな病気にも効くから。」等と、あたかも様々な病気の予防や治療に効能があるかのように本件商品の効能について不実のことを告げていた。

(3)判断力不足に乗じた契約締結(特定商取引法7条3号に基づく同法施行規則7条2号)
 同社は、判断力が不足していると認められる消費者に対して、その判断力の不足に乗じて本件商品の売買契約を締結させていた。

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2008年3月29日 (土)

ロコ・ロンドン取引の賭博性を認めた東京高裁判決

 「ロコ・ロンドン取引」(ロコ・ロンドン貴金属取引、ロコ・ロンドン金(銀)取引)とよばれる高リスクの投資については、一昨年から国民生活センターや各地の消費生活センターなどに相談が寄せられており、その相談をみると、70歳代~80歳代の高齢者が取引の仕組みを理解できないまま、100万円以上の高額なお金を投資し、トラブルに巻き込まれているケースが多くみられる、とのことです。
 → 国民生活センターサイト「新手の投資話『ロコ・ロンドン金』に注意!」

  日本弁護士連合会でも、早くから、この問題を取り上げ、昨年3月には「『ロコ・ロンドン金取引』商法の被害に関する意見書」(PDF)をとりまとめ、国に法整備と迅速・適切な対処を求めています。この取引の内容や法的な問題点(賭博罪、詐欺罪等)については、この意見書に詳しく書かれています。
 なお、この取引は、昨年7月から特定商取引法の規制対象となっています。
 → 経済産業省サイト「悪質な『ロコ・ロンドン取引』と称する金の取引及び海外商品先物オプション取引等の仲介サービスにご注意を!」

 また、経済産業省農林水産省が、この取引を含む海外商品先物取引の業者について法規制を強化する方針を固めた旨、読売が昨日、報道しています。

 そんな中、昨日(3/28)の時事通信の報道によれば、「ロコ・ロンドン貴金属取引」で損失を被った東京都の無職女性(80)が、投資会社や同社の役員を相手に約107万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決(東京高裁)があり、取引について「違法な賭博行為に該当する」として、約65万円の支払いを命じた、とのことです(判決日不明)。
 これまで、外国為替証拠金(FX)取引の悪質商法事案(公の市場を通さないもの)で、賭博性を認めた裁判例は複数ありますが、「ロコ・ロンドン取引」で賭博性を認めて損害賠償を認めた判決は初めてかもしれません(今回の控訴審判決の原審地裁判決がどのようなものだったのか不明です。)。
(参考 外国為替証拠金取引関連の当ブログ記事)
 「『外国為替証拠金取引は賭博』判決」(07/4/13)
 
「FX取引に賭博性を認めた判決:もう一丁」(07/9/6)
 
「外国為替証拠金取引について従業員らの責任を認めた判決」(07/11/28)

 上記の国民生活センターのサイトによれば、「ロコ・ロンドン金取引」とは「ロンドンにおいて金を受け渡しする取引」という意味だそうです。さらに、他にも、「ロコ・ニューヨーク金」など「ロコ・○○△△」(○○=市場名、△△=商品名等)という名称の取引に関する相談がみられ、注意が必要である、としています。
 「ロコ・ロンドン金取引」は、業者が提示する「ロンドン渡しの金現物価格」を差金決済指標とする差金決済取引であり、顧客が証拠金(保証金)を預託して行う「投資商品」として勧誘・販売されているものであって、その実態は、顧客と業者がそれぞれ互いに契約の当事者となって金銭の得喪を争う、相対(あいたい)取引による商品デリバティブ取引であり、価格変動を利用した差金決済を証拠金(保証金)の預託により行う点では商品先物取引に類似し、証拠金(保証金)による差金決済取引を業者と顧客の相対取引で行う点では「外国為替証拠金取引」(FX取引)と同一の構造を持つ取引である、とされています(上記日弁連意見書に基づく)。
 そもそも、「外国為替証拠金取引」について公の市場を通さない悪質業者による同様の被害事例が相次ぎ、金融先物取引法(現:金融商品取引法)による規制対象となったため、このような悪質業者が規制逃れのために法規制の及んでいなかった「ロコ・ロンドン取引」の事業に商売替えしたというのが、この取引被害の急増の背景にあります。

【追記】(3/30)
 3月27日の毎日(地方版かもしれません)の報道で、「ロコ・ロンドン金取引」に虚偽の説明で勧誘され損害を受けたとして、大津市内の男性が東京都の仲介業者に約600万円の損害賠償を求める訴えを大津地裁に起こした、とされています。
 昨年1月、電話で「持っているだけで金利が付く。危険性はない」などと勧誘された男性が6月までに計約500万円を支払ったが、金利は付かず、業者と連絡が取れなくなったため解約したが、現金は戻らなかった、ということです。

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2008年3月27日 (木)

昨日の積み残しの整理2題

 昨日は記事を連発したので、今日は休むつもりでしたが、積み残し分の「覚え書き」を残しておきたいので・・・2つまとめて・・・

〔高島易断総本部に業務停止命令(経産省:特定商取引法)〕
「特定商取引法違反事業者に対する行政処分について」(3/26)
 経済産業省は、易鑑定後の祈願契約及び仏具等の販売契約を締結させていた訪問販売業者である宗教法人幸運乃光(通称名「高島易断崇鬼占(すうきせん)相談本部」又は「高島易断総本部」:千葉県袖ヶ浦市)に対して特定商取引法の違反行為を認定し、同法8条1項の規定に基づき、平成20年3月28日から3ヶ月間、同法人の訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じました。 
 → 経産省報道発表資料

〔ガス用フレキシブル管等カルテルに対する排除措置命令、課徴金納付命令(公取委:独占禁止法)〕
「ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令について」 (3/26発表)
 公正取引委員会は、ガス用フレキシブル管及びガス用フレキシブル管継手の製造販売業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、3月24日、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委報道発表資料(PDF)

 この事件でも、自主申告に基づく課徴金減免制度(リニエンシー)が使われています(本件の対象事業者は、公取委サイトのわかりにくい所に公表されてます。)。

 なお、ガス管、水道管がらみのカルテル事件は、昨年夏にも、このブログで記事を書いてます。
 → 「塩ビ管カルテルで強制調査(公取委)」(07/7/10)

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2008年3月24日 (月)

日本銀行情報流出事件と北海道警捜査資料流出事件訴訟判決

 日本銀行松江支店職員のパソコンからの情報流出が報道されていますね。3月21日朝に、日銀松江支店に「インターネット上に当店のものと思われる資料が掲載されている」旨の連絡が匿名であり、それが同支店の職務関連資料で、特定の金融機関等に関する情報が含まれていた、ということです。個別企業の信用に関わる資料もあったようです。

 日本銀行のサイトでの説明では、「情報が記載されていた金融機関等に対しては、個別に事情を説明させていただき、謝罪致しました。また、情報の掲載がこれまでに確認されたサイトに対しては情報の削除依頼を行い、削除済となっています。」となっています。

 ただ、情報は単に2ちゃんねるなどの掲示板に掲載されていたというのではなく、職員のパソコンが感染していたウイルスによって、P2Pソフトを介してネット上にばらまかれてしまっているようです(実際にファイルがどの程度流出してしまったかは不明ですが)。今日の報道では、6件の文書の流出が確認されており、当該職員のパソコンには39件の内部文書ファイルがあったということなので、判明している以外にも情報が流出している恐れがかなりあると見るべきでしょう。

 流出文書を貼り付けたような掲示板の記事をいったん削除しても、また改めて掲載される可能性は充分にあるわけで、本件に限らずこのようなネット上への流出情報を完全に回収することは不可能に近く、取り返しのつかないことになったり、被害がずっと継続するというようなケースも考えられます。

 自衛隊員や警察官などのパソコンからこのような機密情報が流出する事件は最近よく聞かれるのですが、民事裁判になったものとして、被疑者の捜査情報が、北海道警の警察官が自宅に持ち帰った私有パソコンからウイルス感染により情報流出したという同様の事件につき、北海道警察本部長、当該警察署長、管理担当者らの不法行為が成立するとして、国家賠償法に基づいて、当該被疑者が北海道に対して損害賠償(慰謝料200万円)を求めた訴訟があります。
 1審の札幌地裁(平成17年4月28日判決)は、当該文書をパソコン内に保存したまま自宅に持ち帰り、インターネットに接続させた行為は、捜査関係文書の保存、管理という点において捜査関係文書の作成という職務行為と関連して一体不可分のものというべきであって職務行為に当たるとして、被告の北海道に責任を認めて慰謝料40万円の支払を命ずる原告一部勝訴の判決を言い渡しました。
 しかし、2審の札幌高裁(平成17年11月11日判決)は、警察官の職務行為又は社会通念上職務の範囲に属すると見られる場合に当たらず、また、ウイルスによる流出の予見可能性もなかったとして、原告逆転敗訴の判決を言い渡しています(最高裁にて確定している模様)。

 同じような事件であっても、その職務行為性や管理の実態によっても判断は異なりますし、ウイルスによる流出についての予見可能性というのも判断の微妙なところですし、北海道警の訴訟では、現実に1,2審で判断が分かれたわけですが、今回の日銀の事件を考えるうえでは参考になる裁判例だと思います。

【追記】(4/15)
 本日(4/15)、日銀は、本件内部情報流出問題の調査結果と関係者の処分を発表しています。これについては、別の記事にしました。
 → 「日本銀行松江支店情報流出事件の調査報告」(4/15)

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2008年3月22日 (土)

金融庁による日本ファースト証券の破産申立

 金融庁から破産を申し立てられていた日本ファースト証券(東京)が、3月21日、東京地裁から破産手続開始決定を受けました。破産手続開始決定というのは、数年前の破産法改正までは「破産宣告」と呼ばれていたものです。
 同社は、商品先物取引や外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける会社で、負債総額約15億円、債権者数約700人と報じられています。

 金融庁の発表によれば、
 店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)に係る顧客から預託を受けた証拠金等の区分管理違反及び自己資本規制比率が100%を下回る状況となったことから、昨年12月3日、関東財務局長が金融商品取引法に基づいて、全ての金融商品取引について6ヶ月の業務停止を命じ、業務改善命令(区分管理不足の速やかな解消、自己資本規制比率の改善等)を出していました。
 しかし、区分管理違反の状態が解消できず、財産状況に照らし支払不能に陥るおそれがある状況となっており、また、自己資本規制比率についても回復を図ることが困難な状況となっていると認められたことから、3月19日、関東財務局長が、同社の金融商品取引業の登録の取消を行いました。
 また、同社は資産超過の状況で、店頭デリバティブ取引(外為証拠金取引)の顧客を含めた債権者に全額弁済できる可能性がある現時点において、顧客資産の保全等を図る必要があることから、金融庁長官が、「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」490条1項、495条1項に基づき、東京地裁に対して、破産手続開始の申立と保全管理命令の申立を行った、ということです。
 なお、日経の報道によれば(破産管財人の記者会見内容)、FXの預かり資産が1~2割棄損する可能性があるとのことです。
 → 金融庁報道発表資料(3/19)

 「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」てな法律に、金融庁長官による金融機関等の破産申立権限が規定されていたのですね。このニュースを見たときに「ヘェ~」と思ってしまいました。もっとも、一般の株式会社についても要件を満たせば、法務大臣が解散命令の申立を裁判所に対してできるのだから(会社法824条)、それほど不思議なことでもないのですけれど。

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2008年3月21日 (金)

JUKIミシン販売の特商法違反(経産省)

 昨年締めくくりの当ブログに書きました2007年アルファブロガーの山口利昭弁護士「ビジネス法務の部屋」で当ブログをご紹介していただいたため、今日未明より多くのアクセスをいただいています。
 山口弁護士と訪問いただいた皆様に感謝しつつも、若干のプレッシャーを感じながら、今日も平常心で書きたいと思います(微笑)。

 さて、新聞等でも報道済ですが、3月19日に、経済産業省は、特定商取引法違反行為があったとして、JUKI家庭製品株式会社(以下、JUKI家庭製品)に対して、今月20日から9月19日までの6か月間、訪問販売に関する勧誘、申込みの受付及び契約の締結を停止するよう命じています特定商取引法8条1項)。経産省が、認定した違反行為は、勧誘目的の不明示、不実告知、債務の履行拒否、迷惑勧誘、判断力不足に乗じた契約締結等です(後記参照)。
 → 経済産業サイト報道発表

 なお、命令の対象となった「JUKI家庭製品」は、JUKI株式会社(以下、JUKI)の子会社です。
 しかし、JUKI家庭製品という会社は、平成19年4月1日付で、JUKIの家庭製品販売事業を子会社に継承させて、商号変更した会社であり、この継承日以前は、JUKIが訪問販売を行っていた、とのことです。
 したがって、今回の業務停止命令の対象は子会社たるJUKI家庭製品ですが、違反行為を行っていたのは(昨年4月1日以前までは)JUKIということになります。

 経産省が認定した違反事実の概要は、
「同社は、消費者宅を訪問する際、その勧誘に先立って勧誘の相手方に対して売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかったほか、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず「これは修理不能です。」等と勧誘をする際に不実のことを告げていた。
 また、消費者から商品の売買契約の解除を行ったのに対して、それに応じなかったりするなど、契約締結の解除によって生ずる債務の履行を拒否したり、商品の勧誘に際し長時間居座ったり、消費者が断っても執拗に勧誘を続ける等、消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。
 さらに、認知症等を患っている消費者にその判断力の不足に乗じて販売契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる消費者に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。」
というもの。

 このような違反行為について、過去に自治体等から何度も指導や改善要請がなされていたにもかかわらず、同社は依然として同様の違反行為を繰り返したということで、今回の厳しい処分に至ったようですね。

【違反該当事実】
(1)勧誘目的の不明示(特商法3条)
 勧誘に先立って 勧誘の相手方に対し、「。ミシンを無料で点検します」等と告げるだけで、本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしていなかった。

(2)不実告知(特商法6条1項6号)
 ミシンを点検すると告げて訪問し、ミシンを十分点検することなく、修理できる可能性があるにもかかわらず、。「これは修理不能です」、「このミシンは壊れている。」等本件商品に係る売買契約の締結について勧誘をする際に不実のことを告げていた。

(3)債務の履行拒否(特商法7条1号)
 契約の翌日「やっぱり返したい。」と契約の解除を行ったのに対してそれに応じなかったり、相手方が電話でクーリングオフの申し入れをしたのにもかかわらず「手取り足取り教えるから信用してくれ」等と言って応じなかったりするなど契約の解除によって生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否していた。

(4)迷惑勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条1号)
 訪問後に勧誘にあたり、顧客が「夕食の支度があるから帰って」と断っても帰ろうとしない等長時間居座ったり、断っても執拗に勧誘を続ける等、顧客に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。

(5)判断力不足に乗じた契約及び知識、経験及び支払能力に照らして不適当と認められる勧誘(特商法7条3号に基づく特商法施行規則7条2号、3号)
 認知症等を患って判断力が不足していると認められる顧客に契約を締結させたり、高齢者であって当該売買契約について知識、経験及び支払能力が極めて脆弱であると認められる顧客に対して、それに照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。

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2008年3月20日 (木)

消費者庁設置:自民党調査会決定と首相意向表明

 昨日(3/19)、自民党消費者問題調査会(野田聖子会長)が、消費者行政を一元化する新組織に関する最終とりまとめを決定しました。

 この「消費者庁」の設置を骨とするとりまとめについては、福田首相も前向きな考えを示した模様です。
 このとりまとめによれば、消費者担当大臣を置いて、国民生活センターを消費者庁に移管するなどとなっているようです。

 ところで、公正取引委員会は、自らを消費者取引に関する一元化組織の核とするような意見を出していましたが、今回の自民党とりまとめでは、新組織は、公取委とは別組織ということになっていますね。

 今回のとりまとめを踏まえて、政府が5月に具体案を示す予定のようです。

 ただ、いくつもの省庁の権限を新組織(消費者庁)に移管することになり各官庁からの抵抗、また、経済界からの抵抗もかなり予想されるうえ、政局がかなり流動的な状況となっていることもあって、すんなり行くかどうかはまだわかりません。

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2008年3月13日 (木)

NTT「DIAL104」の不当表示(景表法)

 本日、公正取引委員会は、東日本電信電話(NTT東日本)と西日本電信電話(NTT西日本)が提供する「DIAL104」(電話番号案内)を利用した顧客に対して案内した電話番号に接続するサービスに関する表示について、景品表示法4条1項2号(有利誤認)に違反するとして排除命令を行いました。 
 → 公取委サイト報道発表資料

 このサービスは、電話案内後に自動音声案内に従って「1#」のボタンを押すかオペレーターに依頼すれば、電話を切らずにそのまま相手先に接続される、というもの。
 私自身は利用したことがありませんが、昨年からテレビコマーシャルではよく見かけましたね。昨年7月から始まったようですが、公取委が調査をしていることは、先月下旬にマスコミ報道されていました。

違反事実の概要
 上記NTT2社は、DIAL104を一般消費者に提供するに当たり、エヌ・ティ・ティ番号情報株式会社に委託して、テレビコマーシャル,新聞広告,雑誌広告,駅貼りポスター並びに鉄道及びバスの車内広告に、放送又は記載するなどして、実際には、DIAL104の利用には接続手数料が掛かるものであり、更にDIAL104を利用して接続した先との通話が区域内通話の場合には、当該通話の通話料はDIAL104を利用しない場合の通話料よりも割高となるものであるにもかかわらず、その旨を放送若しくは記載しない又は明りょうに放送若しくは記載しないことにより、あたかも、DIAL104の利用には料金が掛からず、かつ、DIAL104を利用しても、利用しない場合と同じ通話料で接続された先との通話ができるかのように示す表示をしていた。 

排除措置の概要
ア  前記表示は、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものである旨を公示すること。 
イ  再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 
ウ  今後、同様の表示を行わないこと。 

【追記】(3/14)
 この件に関して、総務省も3月13日付で、指導、要請を行ったようです。
 → 総務省サイト報道資料
 これは、総務省が、NTT両社に対して、今後作成する広告において、利用者が誤認するおそれのない分かりやすい情報の提供と適正な表示を行うよう、また、平成18年の総務省の要請の趣旨を踏まえ、本サービスの提供に係るオペレータが十分な説明を行うことを徹底するよう指導し、(社)電気通信事業者協会に対しては、広告表示に係る指導の趣旨を会員事業者に周知するよう要請したというものです。

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