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2018年6月26日 (火)

公取委が日本ボクシング連盟に聞き取り調査との報道

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 報道によれば、元プロボクサーが五輪出場を制限されている問題について、公正取引委員会日本ボクシング連盟に対し、聞き取り調査を実施していた、とのことです。公正取引委員会の職員2人が連盟の大阪事務局を訪れて、プロの経験者による引退後のアマチュア登録を認めないという規定の改正も含めて、検討するよう促した模様です。なお、国際ボクシング協会(AIBA)はリオ五輪からプロ選手の出場を解禁したとのことで、元プロボクサーだけではなく、現役のプロボクサーの五輪出場の制限というのも問題になるかもしれませんね。

 今年2月公表の公取委「人材と競争政策に関する検討会」報告書や、公正取引委員会事務局のアンケート調査などの結果のうち、スポーツ選手に関するものについて、当ブログでも取り上げています。既にラグビートップリーグ規約のチーム移籍に関する制限条項の改定が行われたことは、ここで触れました。

 → 「「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表」 (2/15)

 → スポーツ界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委) (2/20)

 今回の件は、移籍(独立)・転職に対する制限の一種で、優越的地位の濫用の観点からの問題が検討されるのだろうと思われます。前述の現役プロボクサーの五輪出場制限であれば、専属義務の問題ということになるかと思います。

 なお、検討会報告書では、2017年12月に欧州委員会が、国際スケート連盟(ISU)が、ISUが承認していないスピードスケート競技会に参加した選手に対し厳格なペナルティー(無期限追 放を上限とする)を課すことは競争法違反であると決定して、 違法行為を取りやめることを命じた、という事例を紹介しています。

 今回の報道に関して、デイリースポーツによれば、元プロボクサーで、世界主要4団体のチャンピオンになった高山勝成氏が、「ボクシング競技発展のためにも、アスリートに対する不当な制限は撤廃してほしい」とのコメントを発表したと報じています。

2018年4月 5日 (木)

日本相撲協会と公益財団法人

 日本相撲協会の舞鶴巡業において、土俵上で挨拶中の舞鶴市長が突然倒れたため(クモ膜下出血だったようですが)、観客の中の女性が土俵上に上がり心臓マッサージを始めたところ、協会側から女性は土俵を降りるようにアナウンスされたということが報道されています。

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 その後、協会側から、人命上の問題であり、アナウンスは不適当であったというような発表がなされたようですが、以前から、日本相撲協会は土俵上は女人禁制という伝統があるということで、女性の立ち入りを禁止してきました。森山真弓氏が官房長官時代に内閣総理大臣杯を、太田房江氏が大阪府知事時代に府知事賞を、それぞれ優勝力士に手渡すため土俵に上がることを申し入れた際にも、協会は「伝統」を理由にいずれの時も拒否をしています。

 ここのところ日本相撲協会は、モンゴル出身力士同士の暴行事件やそれに関連した貴乃花親方の処分、立行司式守伊之助のセクハラ事件など、いろいろとあまりよろしくない話題が続いているところのこの事件ですね。

 まず、土俵の女人禁制というのが「伝統」であるのか、ですが、少なくとも明治時代までは女性の相撲興行があったわけですので(もっと後までかな?)、当然ながら女性も土俵にあがっていたものです。その意味では、夫婦同姓の「伝統」と変わらないような感じですね。

 日本相撲協会は単なる民間のスポーツ団体ではなく、2014年に文部科学省により「公益財団法人」の認定を受けている団体です。そもそも、税制上の優遇措置を受けることのできる公益財団法人が営利の競技を主催すること自体が本来はおかしいと思うのですが、それは置くとしても、土俵上の女人禁制というようなルールを維持し続けるというのは、公益的活動を行うための公益財団法人の趣旨からも疑問ではないかと思います。

 実は、日本相撲協会が財団法人から公益財団法人に移行する前に、当ブログでは、関連の記事を書いています。

 → 「日本相撲協会と公益法人制度改革」 (2011/2/6)

 これは、当時、八百長問題で、大阪場所が中止になるというような大騒動の時に書いたものです。この翌年に現在の公益財団法人の認定を受けるのですが、この記事を読み返してみて、当時から何の反省もされず来たのかな、と思ってしまいました。

 文部科学省は今回厳格な対応を行うべきかと考えます。

2018年3月28日 (水)

(続) 「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで

 法律雑誌「ジュリスト」4月号の特集が「景品表示法の現状と課題」となっていたので、早速買ってきました。

100_2 この特集は、

  • 「景品表示法の諸課題」/白石忠志

  • 「適正な表示と景品表示法」/平山賢太郎

  • 「取引先に原因のある不当表示と景品表示法」/籔内俊輔

  • 「課徴金・返金措置制度導入後の景品表示法違反事例の検討」/染谷隆明

  • 「適正な景品と景品表示法」/内田清人

  • 「eスポーツ大会における賞金提供と景品表示法」/古川昌平

  • 「消費者契約法・景品表示法における差止めの必要性」/中田邦博

の7論文で構成されています。

 どれも興味深いものですが、なかでも古川昌平弁護士のeスポーツの賞金に関する論文は、この問題に関する白石忠志東大教授の論説「eスポーツと景品表示法」をベースにしたもので、当ブログでも昨年取り上げたものですので、特に目を引きました。

 → 「「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで」 (2017/11/27)

 ちょうど、先日(3/23)、ネットの「東洋経済オンライン」で、 「eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か~消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解」(岡安 学)を読んで、消費者庁も白石教授の立場を採用するところとなったのか、と思ったところでしたので、今回の特集記事はタイムリーなものとなりました。

 この問題に関心をお持ちの方には、お薦めです。

2018年2月20日 (火)

スポーツ界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)

 前回(本日朝)の「芸能界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)」に引き続き、公正取引委員会「人材と競争政策に関する検討会」報告書に関連して、スポーツ選手関連の調査結果をご紹介します(詳しくは、前回の記事および前々回「「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表」をご覧ください。)。

 前回同様に、これらの事項は公正取引委員会が違法とか違法のおそれを認定したということではありませんので、ご注意ください。

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 なお、この報告書の公表に関連して、昨日、日本ラグビー協会が、トップリーグの移籍に関する規約改定を発表しています。前所属チームの承諾書がないと移籍選手は一定期間公式戦に出場できなかったルールを廃止し、新たにチーム、選手双方に対して接触や交渉時の期間制限、懲罰規定を設けたというもので、次のシーズンから適用されるとのことです。これに関しては、公取委が調査をしていることについて当ブログでも昨年取り上げました。

→ 「「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)」
                          
(2017/7/16) 

 ヒアリングやwebアンケートで寄せられたスポーツ関係の意見等は以下のとおり。どのスポーツかの記載はありませんが、わかる人にはわかるかもしれませんね。

  •  規約において、新人等一定の立場にある選手については、報酬額の上限を設けている。

  •  規約において、選手がマネージャーに支払うマネージメント料の上限(選手が得る賞金等に乗ずる割合の上限)が決められている(ほとんどの場合に当該上限額のマネージメント料が徴収されている。)。

  •  スポーツ選手と加盟団体との契約期間について、規約上、上限が決められている。

  •  クラブチームの承諾の無い移籍の場合は、規約上、当該選手に対し、一定期間試合に出場できないなどのペナルティが課されている。また、クラブチームの中には、契約期間が満了しているにもかかわらず、育成コストの回収を念頭に、選手に対する移籍交渉を拒否するクラブもある。

  •  選手が二重契約をして、過度な試合数が組まれ、選手の身体的安全が損なわれることを避けるため、規約上、選手がクラブチームを移籍する場合は、所属元から移籍承諾書をもらい、管轄団体に提出することになっている。

  •  選手育成のインセンティブを確保するため(指導者がどんなに良い選手を育てても単に引き抜かれるだけの環境だと、選手を育てるインセンティブが失われ、競技自体の衰退を招いてしまうため)、規約上、契約期間満了後においても、一定の条件に該当する移籍の場合は、移籍先のクラブチームは移籍元のクラブチームに対し、一定額の育成費用を支払うことになっている。

  •  クラブチームと選手間の契約の安定性を図るため、規約上、正当な理由による契約解除の場合を除き、契約期間中における選手の移籍については、当該選手及び移籍先クラブチームが連帯して所属元クラブチームに対して賠償金(移籍金)を支払うことになっている。

  •  下位リーグから上位リーグに移籍する場合は、育成費のコストを補填する趣旨で、規約上、上位リーグのクラブチームから下位リーグのクラブチームに一定金額を支払うことになっている。

  •  選手育成のインセンティブとして、クラブチームに、契約期間が満了する所属選手との優先契約交渉権が認められており、当該クラブチームが契約交渉をしない意思を表明しない限り、その他のクラブチームは当該選手との契約交渉を行うことができない。

  •  選手に支払うべき報酬が、当該選手の出場する試合のチケットなどの現物で支払われることがある。

  •  スポーツ選手が試合等に出場するためには、当該スポーツの管轄団体に加盟するか、管轄団体に加盟している事務所、クラブチーム等の加盟団体に所属する必要がある。管轄団体や加盟団体に所属するスポーツ選手は、管轄団体が定める規約等に従う必要があり、これに従わなかったスポーツ選手に対しては一定のペナルティが課されることになっている。

2018年2月15日 (木)

「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表

 注目されていた公正取引委員会「人材と競争政策に関する検討会」の報告書が本日公表されました。

 → 「人材と競争政策に関する検討会」報告書について (公正取引委員会サイト)

 報告書は本文が47頁となっており、上のリンク先からPDFファイルにリンクしています。   

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           (「報告書概要」 公取委サイトより)

 まだ、公表されたばかりで、読み込めてませんが、ひとまず一部を抜粋しておきます。

 まず、労働法と独占禁止法との関係については、

「・・・・1947年の独占禁止法立法時には,「人が自分の勤労を提供することは,事業ではない」として,労働者の労働は独占禁止法2条1項の「事業」に含まれないとの解釈がなされ,公正取引委員会は,これらを踏まえて独占禁止法を運用してきた。
 しかし,前記第1の1〔1~5頁〕のとおり,就労形態が多様化する中で,独占禁止法上も労働法上も解決すべき法的問題が生じてきている。さらに,近年,労働契約以外の契約形態によって役務提供を行っている者であっても,労働組合法上の「労働者」に当たると判断される事例も生じている。このように労働契約を結んでいなくとも「労働者」と判断される者が,独占禁止法上の事業者にも当たることも考えられる。
 以上のことを踏まえると,労働者は当然に独占禁止法上の事業者には当たらないと考えることは適切ではなく,今後は,問題となる行為が同法上の事業者により行われたものであるのかどうかを個々に検討する必要がある。同様に,独占禁止法上の「取引」についても,その該当の有無を,取引の類型ごとに一律に整理するのではなく,独占禁止法上禁止されている行為(後記第5〔15~22頁〕又は第6〔22~44頁〕の行為)に該当する行為が行われていると認められる場合に,その行為のなされている取引が独占禁止法上の「取引」に該当するかどうかを個々に検討することが適切である。そして,労働法と独占禁止法の双方の適用が考えられる場合,それらの適用関係について検討する必要がある。
 そもそも独占禁止法立法時に前記のとおり労働者の労働は「事業」に含まれないとの解釈が採られたのは,使用者に対して弱い立場にある労働者保護のため,憲法の規定に基づき労働組合法,労働基準法を始めとする各種の労働法制が制定されたことを踏まえたものであった。この意義自体は現在も変わらないことからすれば,独占禁止法立法時に「労働者」として主に想定されていたと考えられる伝統的な労働者,典型的には「労働基準法上の労働者」は,独占禁止法上の事業者には当たらず,そのような労働者による行為は現在においても独占禁止法の問題とはならないと考えられる。加えて,労働法制により規律されている分野については,行為主体が使用者であるか労働者・労働者団体であるかにかかわらず,原則として,独占禁止法上の問題とはならないと解することが適当と考えられる。例えば,労働組合と使用者の間の集団的労働関係における労働組合法に基づく労働組合の行為がこのような場合に当たる。使用者の行為についても同様であり,労働組合法に基づく労働組合の行為に対する同法に基づく集団的労働関係法上の使用者の行為も,原則として独占禁止法上の問題とはならないと解される。また,労働基準法,労働契約法等により規律される労働者と使用者の間の個別的労働関係における労働者(下記囲み部分参照)に対する使用者の行為(就業規則の作成を含む。)も同様である。ただし,これらの制度の趣旨を逸脱する場合等の例外的な場合には,独占禁止法の適用が考えられる。」

 そして、スポーツ選手や芸能人の契約に関する独占禁止法の適用に関しては、以下のような記載がありました。                              

「例えば,スポーツ分野においては,複数のクラブチームが共同することで初めてプロリーグという一つの事業が成立する場合があるが,そのとき,複数のクラブチームが共同して選手の移籍を制限する行為はプロリーグの魅力を高めることを通じて消費者に対して提供するサービスの水準を維持・向上させる目的から行われているとの主張がある。
 これは,人材獲得市場における競争は阻害されるものの商品・サービス市場における競争は促進され,またこれを通じて人材獲得市場における競争も促進されるという主張と考えられる。そのような移籍制限行為が当該目的の実現に不可欠であるのか,商品・サービス市場での競争促進効果(消費者利益の向上等)の程度や,それが人材獲得市場での競争阻害効果を上回るものであるか,といった点も含めて総合的に考慮した上で判断されることになる。また,目的に比べてその手段が相当か,同様の目的を達成する手段としてより競争制限的でない他の手段は存在しないのかといった内容,手段の相当性の有無も考慮の上で判断される。」          

「例えば,芸能事務所やクラブチームが特定の者と一定期間の専属契約を締結し,その者の市場における価値の創造・拡大に資する(例えば,新人芸能人や新人選手の育成)とともに,その芸能人や選手の肖像等を芸能事務所等や本人以外の第三者が利用する取引の円滑化を図る場合があるが(後記脚注86参照),そのような事情の有無も含めて考慮した上で判断される。育成費用の回収を目的とする場合の具体的な考え方は,前記第5の3〔17~20頁〕の育成費用を回収する目的である場合と同じである。
 一方,契約期間が終了しても,既存の提供先である発注者の一方的な判断により専属義務を含む役務提供に係る契約を再度締結して役務提供を継続させる行為が,芸能事務所と芸能人の間の契約において行われる場合がある。芸能事務所と芸能人の間の契約が一度終了した後も,芸能事務所と第三者の間の当該芸能人についての契約が継続していることを理由に行われる場合,その必要性の有無も含めて考慮した上で判断される。」

「役務提供者が今後事実上移籍・転職ができなくなるほどの程度である場合,その不利益の程度は相当大きい。
 また,契約期間終了後は再契約をしないとの意向を示した役務提供者に対して,それを翻意させるために,発注者が役務提供者に対して,報酬の支払遅延や業務量の抑制などの不利益な取扱いをしたり,悪評の流布等により取引先変更を妨害し再度契約を締結させたりするといった行為についても,不利益の程度がより大きくなる場合がある。」

2018年1月12日 (金)

「SPORTS AUTHORITY」運営会社に対する措置命令(有利誤認)

 2018年最初の措置命令が出ました。

 昨年末のAmazonに対する措置命令と同じく、不当な二重価格表示(有利誤認)に関するものです。

 本日、消費者庁は、スポーツ・アウトドア用品販売店「SPORTS AUTHORITY (スポーツ オーソリティ)」を運営する株式会社メガスポーツ(千葉市美浜区)に対し、同社の販売するスポーツ用品、アウトドア用品に関する価格表示が不当表示(有利誤認)に該当するとして、措置命令を行っています。

  → 消費者庁公表資料 (PDF)

  → メガスポーツwebサイト・ニュースリリース

 これは、同社が、全国の多くの各店舗におけるセール企画に関する新聞折込チラシの広告において、「当店平常価格」の50%OFFなどと記載して、記載された平常価格が、その店舗において平常販売している価格であり、実際の販売価格が平常価格に比べて安いかのように表示していましたが、平常価格と称する価格は、その店舗において最近相当長期間にわたって販売された実績のないものであった、というものです。

 「最近相当期間にわたって販売されていた価格」については、 「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン・改定 平成28年4月1日消費者庁)第4の2(1)ア(ウ)では、次のように書かれています。

「最近相当期間にわたって販売されていた価格」か否かの判断基準

 比較対照価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に当たるか否かは、当該価格で販売されていた時期及び期間、対象となっている商品の一般的価格変動の状況、当該店舗における販売形態等を考慮しつつ、個々の事案ごとに検討されることとなるが、一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。ただし、前記の要件を満たす場合であっても、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。

2018年1月11日 (木)

第5回「人材と競争政策に関する検討会」にて報告書案を討議

 芸能人やスポーツ選手などの契約関係について、昨年いくつか記事を書きました。

 → 「アイドルの恋愛禁止条項の効力についての判決(その2)」 (2017/1/7)

 → 「芸能プロダクションと芸能人との契約について公取委が調査との報道」
                           (2017/7/8)

 → 「芸能プロ契約問題と「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)」
                           
(2017/7/13) 

 → 「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)」 
                           
(2017/7/16)

 この公正取引委員会「人材と競争政策に関する検討会」の第5回の会議が、昨年末2017年12月27日に開催されており、その時の議事次第と議事要旨が、本日公開されました。

  → 公取委サイト

 しかし、この会議で配布され、討議されていたはずの報告書案は公開されていませんので、中身は全くわかりません。

 ただ、この会議の当日夜には、共同通信が、 「公取委、契約慣行の違法性を指摘 芸能人やスポーツ選手」というニュースを配信しており、一部新聞には記事として掲載されました。共同通信が、報告書案を入手したものと思われます。

 この報道によれば、「(公正取引委員会は)所属するタレントや選手に対する過度な移籍制限や、フリーランスに他の企業との取引制限を一方的に課すことは独禁法違反に当たるとの解釈を初めて示した。(中略)所属先に対して立場が弱く、人権上の問題も指摘されており、根強く残る不当な慣行に歯止めをかける狙いがある。」とし、また、労働契約の問題で独占禁止法違反になった例はないが、報告書案は法改正をしなくても適用対象にできると指摘している、としています。そして、2月の最終検討会で報告書を取りまとめ、来春までに報告書公表、とのことです。

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2017年11月27日 (月)

「eスポーツと景品表示法」(白石忠志東大教授)を読んで

 eスポーツというのは、本来のスポーツ=運動競技とは異なり、コンピュータゲームによる競技の大会です。このeスポーツに関して、欧米では盛んに行われているのに、日本ではあまり開催されないのは、景品表示法の景品規制により、賞金の最高額が10万円と低額だから、という話を、最近、特にネット上で見ます。日経電子版でもそのような紹介があったようです(本年7月19日付)。

 この景品表示法の件は以前から言われてはいたのですが、カジノなどの研究者である木曽崇氏が、昨年、消費者庁に、この問題について意見照会したところ、消費者庁もこれを認めた、という話が一挙に拡がった、というところが現在の状況です。これについては、私も、若干、消費者庁の回答の内容の検討がなされないまま、結論だけが一人歩きをしている感じがしておりました。

 そして今回、この問題について、独占禁止法景品表示法などの研究者である白石忠志東京大学教授が、東京大学法科大学院ローレビュー(Vol.12 2017.11)に、 「eスポーツと景品表示法」という論説を掲載されました。この論説はネットで読むことができますので、詳しくはそちらをご覧下さい。ただ、景品表示法の景品規制の制度についての基礎知識がないと、ちょっと難しいかもしれません。

 白石教授は、冒頭で、「この問題に関する検討材料を提示しようとするものである。」とされ、景品規制の制度の紹介と趣旨の解説の後、上記の木曽崇氏による意見照会(法令適用事前確認手続)と消費者庁の回答の内容を踏まえて、eスポーツの大会を、大きく2つに分けて検討されています。ひとつは、 「一般ユーザー競技大会」の場合で、もうひとつが、 「一般ユーザー観戦大会」の場合です。前者は、一般の(普通の)ユーザーが競技者となることを中心とする大会で、後者が、有名選手らによる高度な大会で一般ユーザーは観戦することが中心である大会とされています。もちろん、白石教授も、この中間形態の大会があることは前提として、検討のための単純化したモデルを示されているものです。また、ここでは、ゲーム開発会社が大会を主催し、賞金も当該会社が提供することを前提とされています。

 そのうえで、従前の当局(公正取引委員会消費者庁)の関連する告示、運用基準等の紹介をされて、特に「一般ユーザー観戦大会」の場合は、 「顧客を誘引する手段として」(景品表示法2条3項)に該当しないと考えることができるのではないか、そして、 「一般ユーザー競技大会」の場合であっても、一定の要件を満たす場合には、同様に考えられるのではないか、と述べられています。

 「優等懸賞」 (単純なくじや抽選ではなく、特定の行為の優劣又は正誤によって景品類が提供される方式。)や、 懸賞の例外とされている「セールスコンテスト等」、また以前に規制が廃止された「オープン懸賞」などについての従前の考え方も丁寧に解説されており、eスポーツの賞金問題に関する議論が一人歩きしている現在の状況において、大変タイミングの良い素晴らしい論説かと思って、読みました。

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2017年7月16日 (日)

「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)

 先日ご紹介した「私の愛すべき依頼者たち」(野島梨恵弁護士著、LABO刊)が類書としては良く売れているようです。著者とは直接面識はないのですが、編集者さんが大変喜んでおられました。紹介した私もなんとなく嬉しいです(笑)


 さて、芸能人の芸能プロとの契約についてのNHKの報道に関連して、当ブログにて「芸能プロダクションと芸能人との契約について公取委が調査との報道」(7/8)と  「芸能プロ契約問題と「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)」 (7/13)という2記事を投稿しましたが、昨日(7/15)は、またNHKが、「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」というニュースを流していました。
 ラグビーのトップリーグというのは、日本の実業団ラグビーの最高位のリーグで、サッカーでいえばJ1にあたるわけですが、ラグビーでは選手はプロとアマが混在しています。今回の報道は、トップリーグ規約に、旧所属チームの承諾がない場合にトップリーグのチームに移籍した選手は1年間公式試合に出場できない、とされている点が独占禁止法に違反しないか、などにつき、トップリーグを主催する日本ラグビー協会に聴き取り調査などを行う、というものです。トップリーグ規約93条(選手の移籍)ですね。( 「ジャパンラグビートップリーグ規約 5.選手」 余談ですが、ここの93条2項に、「会社更正」というのがありますが、正しくは「会社更生」ですね。)

 そして、こういった問題も先日紹介しました公取委競争政策研究センター「人材と競争政策に関する検討会」(座長 泉水文雄神戸大学教授)で検討される、ということで、芸能人の契約と同じ場で検討されることになりました。

 ただ、このラグビーの規約は、所属チームとラグビー選手の契約自体の問題ではなくて、トップリーグを主催する日本ラグビー協会が決定したトップリーグ全体についての規約ですので、事業者団体の行為に関する独占禁止法8条の問題ですね。

 (なので、ちょっとずれますが、)スポーツ選手と所属チームとの契約に関しては、プロ野球の契約関係で、従前、請負契約ではなくて雇用契約であり、労働契約については独占禁止法の適用はないから云々、という見解がとられていました(参考: 公取委事務総長定例会見記録 平成24年3月28日 同年4月4日 いずれも質疑応答を参照してください。)。しかし、そんなことはないだろうという意見も強く、例えば、今回の上記検討会の座長である泉水文雄教授のご見解植村幸也弁護士のご見解も同様です。ここらは、芸能人の契約問題とも関係してくるかもしれませんね。今回のトップリーグの問題についていえば、事業者団体が所属企業の従業員の雇用契約内容を制限するようなものですので、独占禁止法が適用されない、と解する必要は全くないと思います。

【追記】(7/18)

トップリーグのチェアマン談話が出されました。
http://www.top-league.jp/2017/07/18/news0718/

続きを読む "「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)" »

2016年2月10日 (水)

タトゥーの著作権に関する日米の裁判

 ギズモード・ジャパンが、タトゥー(刺青・入れ墨)の著作権に関するアメリカの裁判のニュースを掲載しています。

 米プロバスケットNBAのゲームに登場する選手の身体に、実際の選手と同じタトゥーが描かれており、そのタトゥーのオリジナルデザインをした会社が、ゲーム制作会社を相手取って裁判を起こしたようです。 

  →  著作権侵害だ! NBAゲームに登場する選手のタトゥーで裁判沙汰 

 元ネタはロイターの記事のようですね。 

  →  ロイターの記事(英文) 

 選手の肖像権とかキャラクター権的なものは、たぶんNBAで管理されていてゲーム制作会社にライセンスを与えているのだと思いますが、タトゥーまでは権利処理の対応をしていなかったということかと思います。 

 タトゥーのデザインに著作権が生じるのか、という問題ですが、実は、似たような裁判が日本でも起こされて、著作物性を認める知的財産高裁の判決が出ています。なお、一審判決については、当ブログでも記事にしています。 

一審判決   
  平成23年7月29日 東京地裁判決   

  → 当ブログ記事「入れ墨の著作権に関する判決(東京地裁)」(2011年8月4日)

控訴審判決
  平成24年1月31日 知的財産裁判決
 

 事案は、彫物師である原告が、Aの大腿部に入れ墨(仏像)を施したところ、Aは自分の来歴を記した書籍を出版するにあたり、原告の許諾を得ずに、入れ墨の画像を書籍の表紙カバーなど2ヶ所に掲載するなどしたとして、書籍の発行、販売業者と共に被告として、著作者人格権等を侵害するとして、訴訟を起こしたものです。 

 そして、本件入れ墨は、仏像写真を参考にしているが、原告の思想、感情が創作的に表現されているとして、一審、控訴審共に著作物性を認めました。そのうえで、著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害するものとして、被告らに対して損害賠償を命じています。なお、本件訴訟では、複製権侵害などは主張されていません。 

 さて、アメリカのタトゥー裁判はどうなるでしょうか。