野球選手肖像権訴訟と独禁法
東京地裁平成18年8月1日判決
判例時報1957号116頁
高橋由伸選手(巨人)らプロ野球選手33名が、所属球団(10社)を被告として、プロ野球ゲームソフト、プロ野球カードに関して第三者に対して肖像を使用許諾する権限が各球団にないことの確認を求めた裁判の第一審判決です。選手側の請求は棄却されています。
なお、この事件は、知財高裁で控訴審が続いています。先月27日、ヤクルト・古田敦也選手兼任監督(原告の1人)の尋問が行われています。報道によれば、次回は6月19日で、選手会会長の宮本慎也選手(ヤクルト・原告の1人)と原沢敦氏(巨人副代表)の尋問が行われる予定とのこと。
この訴訟では、野球選手が球団と交わしている「統一契約書」の16条に肖像権などが球団に属していて、球団が宣伝目的のためにいかなる方法で利用しても異議をいわない、という規定があって、この契約条項が無効であるとの主張がなされています。
そして、この契約条項の無効の理由のひとつとして、この条項が、独占禁止法(独禁法)の不公正な取引方法の一般指定14項(優越的地位の濫用)または13項(拘束条件付取引)に該当して、健全な取引秩序を乱し、かつ、公正な商慣習の育成を阻害するので公序良俗に反するというのが、原告の主張でしたが、上記第一審判決は、優越的地位の濫用にも拘束条件付取引にも該当せず、この無効主張には理由がないとしました。
【関連事件】
公正取引委員会の平成15年4月22日付のコナミ株式会社に対する警告等と日本野球機構に対する要請というのがあり、これは、日本野球機構が管理する(球団、選手関連の)知的財産権についての、コナミ(プロ野球ゲームソフト製造販売事業者)に対する独占的使用許諾契約に関するものです。他のゲームメーカーへの再許諾に関して、独占禁止法で禁止されている不公正な取引方法(一般指定2項〔その他の取引拒絶〕)に該当する行為があったおそれがあるとされたものです。
→ http://www.jftc.go.jp/pressrelease/03.april/03042202.pdf
これに関連して、日本プロ野球選手会側は、平成14年8月、野球ゲームソフトに選手らの氏名及び肖像を使用したコナミと、同社に使用を許諾した日本野球機構に対し、野球ゲームソフトの販売の差止め等を求める訴えを東京地方裁判所に提起したのですが(平成14年(ワ)第18466号)、上記の独占的使用契約が終了したこともあって、平成16年コナミに対する訴えを取り下げています。日本野球機構に対する部分がどうなったのか、私は知らないのですが、こちらの訴訟の形を変えて平成17年に提起したのが冒頭の訴訟ではないのかな。
なお、選手会のホームページには、肖像権問題が結構詳しく載っています。
→ http://jpbpa.net/index.htm
【追記】(08/3/14)
平成20年2月25日、控訴審(知財高裁)で棄却判決がなされ、その後、選手側が上告しています。
→ 「野球選手肖像権訴訟控訴審判決(知財高裁)」(08/2/26)
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