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2017年3月 3日 (金)

水素水関連商品の不当表示に対する措置命令(消費者庁)

 水素水関連商品の広告表示については、以前から問題になっていましたが、本日、消費者庁は、株式会社マハロ(東京都港区)、株式会社メロディアンハーモニーファイン(大阪府八尾市)、千代田薬品工業株式会社(東京都千代田区)に対し、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)として、措置命令を出しました。不実証広告(景品表示法7条2項)に基づくものです。

 水素水関連商品の問題については、当ブログでも何度か取り上げており、過去の不当表示事件などについては、以下の過去記事をご覧ください。

 → 「水素水商品に関する報告書(国民生活センター)」 ( 2016/12/15)

 → 「マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示」 (2016/3/12)

 今回の措置命令の対象商品は、マハロが「ビガーブライトEX」(清涼飲料水)、メロディアンハーモニーファインが「水素たっぷりのおいしい水」(清涼飲料水)、千代田薬品工業が「ナチュラ水素」(食品)です。

 対象となった表示はいずれもwebサイト上の表示で、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、著しい痩身効果が得られるかのように示したり、脂質代謝を促進し、血糖値の急上昇も抑制する効果が得られるかのように示したり、炎症を抑制し、肩こりや筋肉痛を軽減、ニキビ、吹き出もの、かぶれを解消する効果が得られるかのように示したりしていたというもの。

 これらについて、消費者庁が、3社に対して、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、2社からは資料が提出されたが、裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったため、不実証広告規定により優良誤認表示とみなされたものです。

 なお、対象となった表示の期間が、いずれも平成28年4月1日以前ということですので、同日に施行された不当表示に対する課徴金制度の適用はありません。    

2016年12月27日 (火)

コメダ喫茶店の外観等に酷似する店舗に対し使用差止の仮処分が東京地裁で認められた事案

 人気の飲食店チェーン「コメダ珈琲店」に外観や内装が酷似しているとして株式会社コメダ(名古屋市)が、株式会社ミノスケ(和歌山市)を相手取って、ミノスケによる和歌山市内の「マサキ珈琲中島本店」の営業は、関西地方におけるコメダ珈琲店の郊外型舗と酷似した店舗外装 、内構造及び店舗外装 、内構造等を用いて行われおり、不正競争防止法の定める不正競争行為に該当することを理由として、店舗外観などの使用差止を求めていた仮処分の申し立てについて、12月19日付で、東京地裁(嶋末和秀裁判長)が差止を命じる決定をした、とのことです。

 コメダは、不正競争防止法2条1項1号(周知表示)もしくは2号(著名表示)に該当するとして申し立てたようですが、今回の決定の報道の内容から見ると、裁判所は1号該当として決定を出したのだと思われます。

 なお、チェーン店の店舗外観が不正競争防止法上問題になった事件としては、フジオフーズの事案(「まいどおおきに食堂」事件)があげられます(大阪地裁平成19年7月3日判決大阪高裁平成19年12月4日判決)。

 → コメダホールディングス公表資料(PDF) (双方の外観写真も掲載されています。)

 さて、では、申し立てたのは名古屋コメダ、相手方は和歌山ミノスケ、そして似ていると主張された店舗も和歌山所在なのに、この差止の仮処分事件は、どうして東京地裁で審理、決定されたのでしょう。以下は、その点について推測を交えて書いておきます(間違いがあればご指摘ください。)。

 仮処分や仮差押といった民事保全事件の管轄は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する(民事保全法12条1項)、となっています。

 だとすると、通常の事件であれば、普通裁判籍(民訴4条1項)は、被告の本店所在地(住所)ですので、和歌山地裁となります。ただ、民訴5条にはその他の特別の裁判籍が規定されています。しかし、それだけだと、やはり和歌山地裁か、せいぜい名古屋地裁(義務履行地の裁判籍)しか無理そうです。

 さらに、不正競争防止法の不正競争行為に関する事件であるところから、民訴6条の2の適用がありますが、これを単純にみると、和歌山地裁に加えて大阪地裁が選択肢に入るだけですね。

 ここで行き詰まってはいけないので、コメダの上記公表資料をよく見ると、「コメダは、上記の申立と同時に、東京地方裁判所に、㈱ミノスケを相手取って、上記仮処分命令の申立と同様の差止及び損害賠償を求める本案訴訟を 訴訟を提起しており、現在もその審理が行われています。」とあります。

 つまり、差止請求だけだと、本案訴訟は東京地裁管轄にはならないはずなのですが、差止に損害賠償請求も本案訴訟では加えているために、損害賠償債権は「持参債務」として義務履行地が名古屋となり、それが民訴6条の2によって、東京地裁でも本案訴訟を提起することが可能になっているのだと思われます。この場合でも、本案訴訟の提起を後日にして、仮処分申立だけをする場合、裁判所は東京では駄目、というかもしれませんが、本件では上記の通り、同時に申し立てており、本案訴訟は東京地裁に適法に係属しますので、仮処分事件も東京地裁で審理することには何ら問題がない、ということになりますね。

2016年12月21日 (水)

神戸牛のおとり広告に対する措置命令(消費者庁)

 本日、消費者庁は、イズミヤ株式会社(大阪市西成区)及び株式会社牛肉商但馬屋(姫路市)に対し、景品表示法に基づく措置命令を行っています。

 両社の神戸牛に係る表示について、新聞折り込みチラシに「土 13日限り」、「和牛専門店 但馬屋」、「八尾店・広陵店は『兵庫産神戸牛・佐賀産和牛』」、「神戸玉津店は『兵庫産神戸牛・神戸ワインビーフ』」、「今ついている本体価格よりレジにて3割引」と記載したり、Webサイトに同様の表示をするなどして、あたかも、対象商品を当該日に販売するかのように表示していました。 

  → 消費者庁公表資料(PDF)

 しかし、実際には各店で、販売するための神戸牛の仕入れは行っておらず、対象商品の全部について取引に応じることができないものだった、というものです。 

 景品表示法で規制される不当表示行為は、優良誤認表示(5条1号)、有利誤認表示(5条2号)の他に、「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの」(5条3号)というのがあって、これに基づいて「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)が出されています。
 この告示では、事業者が顧客誘引の手段として「取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示」を行うことが不当表示行為とされており、本件では、これに該当するとされたものです。

 おとり広告に対する措置命令は、そんなに多くはありませんが、最近のものでは中古車販売業者が、中古車情報誌において、情報掲載日より前に売れた中古車8台の情報を掲載していたことについて、措置命令が出されています(平成27年5月1日措置命令)。

 なお、この景品表示法5条3号に基づく指定告示としては、現在、

①無果汁の清涼飲料水等についての表示      
②商品の原産国に関する不当な表示       
③消費者信用の融資費用に関する不当な表示       
④不動産のおとり広告に関する表示       
⑤おとり広告に関する表示       
⑥有料老人ホームに関する不当な表示

の6つが出されています。 

2016年12月15日 (木)

水素水商品に関する報告書(国民生活センター)

 本日、国民生活センターから、報告書「容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です-」が公表されています。
 → 広 報 資 料
 → 報告書全文(PDF)

  国民生活センターが、飲用水として販売されている水素水10銘柄と、飲用の水素水を作るという水素水生成器9銘柄の計19銘柄について、表示・広告、溶存水素濃度を調べ、事業者へのアンケート調査の結果も取りまとめて、公表したものです。
 水素水の表示の問題については、当ブログでも取り上げています。興味のある方は、こちらもご覧下さい。
 → 「マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示」(2016.3.12)

 報告書の内容については上記リンク先を見ていただきたいですが、溶存水素濃度のテスト結果として、

「開封時の溶存水素濃度を測定したところ、容器入りのパッケージの溶存水素濃度表示に、充填時や出荷時と記載のあった5銘柄のうち3銘柄で、表示値より測定値の方が低い濃度でした。また、パッケージに表示のない3銘柄のうち、ペットボトルの2銘柄では溶存水素(水素ガス)は検出されませんでした。 」

「開封時に溶存水素が検出された容器入り8銘柄を、未開封のまま20℃で1カ月間保管したところ、全ての銘柄で溶存水素濃度がやや低下していました。」 

「開封時に溶存水素が検出された容器入り8銘柄を、開封後に蓋(ふた)を閉めて放置した場合には、溶存水素濃度が5時間後には30~60%程度に、24時間後には10%程度に低下しました。」

「生成器の取扱説明書等には、水質等により値が変わる旨の記載もありましたが、取扱説明書等に溶存水素濃度の表示のあった銘柄で、表示値よりも測定値の方が低くなったものがありました。」   

「生成器で作った水をコップに移し替えると、1時間後に溶存水素濃度が約50~60%に低下しました。」

とのことです。 

 また、 効能効果等に関する表示・広告については、

「販売元等のホームページや直販サイトには、容器入りは10銘柄中8銘柄で、生成器は9銘柄中7銘柄で、水素や水素水に期待されている効能効果に関する記載がありました。中には、「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」など健康保持増進効果等と受け取れる記載があり、医薬品医療機器等法や健康増進法や景品表示法に抵触するおそれがありました。」 

「販売元のホームページや直販サイトには、商品について、容器入りの3銘柄、生成器の2銘柄で、「アトピーに 痒(かゆ)い部分に水素水をつけて下さい」など健康保持増進効果等と受け取れる記載があり、医薬品医療機器等法や健康増進法や景品表示法に抵触するおそれがありました。また、1銘柄の商品のパッケージにも、同様の記載がありました。」

とされています。 

 事業者に対するアンケート調査もされているのですが、「飲用により期待できる効果を尋ねたところ、15社(3社は無回答)では、「水分補給」が最も多い回答でした。」というのが面白かったですね。

 報告書の最後には、消費者へのアドバイス、事業者への要望と並んで、行政への要望が書かれており、消費者庁表示対策課厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課に対して、 

「販売元等のホームページや直販サイトには、容器入り水素水の10銘柄中5銘柄で、水素水生成器の9銘柄中7銘柄で、「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」、「アトピーに痒い部分に水素水をつけて下さい。」など健康保持増進効果等があると受け取れる記載がありました。また、水素水生成器の1銘柄の商品のパッケージにも、同様の記載がありました。これらは、医薬品 医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するおそれがありますので、事業者に対し、表示の改善を指導するよう要望します。」

とされており、今後消費者庁および厚生労働省が何らかの指導や行政処分を行う可能性がありますね。注目したいと思います。

2016年3月31日 (木)

ココナッツジャパンに対する措置命令と平成27年度の措置命令のまとめ

 昨日に続いて、本日も健康食品の広告に関して消費者庁措置命令を出しています。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 ココナッツジャパン株式会社(東京都港区)が販売する健康食品「エクストラバージンココナッツオイル」、エクストラバージンココナッツオイルカプセル」について、同社のwebサイト上で、認知症、ガン等の各種疾病を予防する効果等があるかのように表示したことが優良誤認表示とされたものです。今回も不実証広告制度が使われています。

 こういうのは、医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)で取り締まったほうがいいのではないかと思いますね。 


 ところで、平成27年度が終わる段階で、消費者庁による景品表示法措置命令件数は、合計13件となりました。これ以外に都道府県による措置命令が3件です。消費者庁は3月に5件の措置命令を出して頑張りましたが、それでも、   

 平成18年 32件      
 平成19年 56件      
 平成20年 52件      
 平成21年 12件(途中で公取委→消費者庁)      
 平成22年 20件      
 平成23年 28件      
 平成24年 37件      
 平成25年 45件      
 平成26年 30件      
 平成27年 13件

と、年度途中に消費者庁が発足した平成21年を除くと概ね半分以下という少ない件数となっています。
 今年度の法執行の少なさは、昨年10月にも当ブログで取り上げました。

 → 「消費者庁は景品表示法への課徴金導入でお忙しい?」(27/10/25)

 なお、今月に出された5件のうち、3件は健康食品関連、27年度全体でみても、13件のうち、約半分の6件が痩身効果やがん予防などの健康食品関連というのも特徴的ですね。

 いよいよ明日4月1日には、課徴金制度導入の改正法が施行されます。もちろん、すぐに課徴金納付命令が発せられるわけではありませんが、事業者の不当な広告表示に対して、消費者庁がどのように法執行をしていくのか、景品表示法だけではなく、特定商取引法健康増進法食品表示法などを含めて(厚労省の薬機法もですが)、消費者サイドも注視していく必要があろうかと思います。

2016年3月30日 (水)

健康食品の痩身効果表示についての不当表示措置命令(消費者庁)

 先日、消費者委員会の専門調査会において、健康食品の広告表示に関する報告書が取りまとめられたことを取り上げたばかりですが、今日は、健康食品の痩身効果の広告表示に関して景品表示法の措置命令が出されました。健康食品の痩身効果についての措置命令はアサヒ食品(埼玉県川口市)に対する措置命令に続いて今月2件目になりますね。

 消費者庁は、本日、株式会社えがお(熊本市東区)に対し、同社の販売する「えがおの黒酢」と称する食品の痩身効果に係る表示について、優良誤認表示に該当するとして、措置命令を行いました。    
 同社のwebサイトに、平成25年3月から平成27年5月までの期間に、以下のような記載をすることにより、あたかも、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた、というものです。本件も不実証広告制度によるもので、同社から提出された資料は、裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。

【表示内容】   
「アミノ酸一般食酢の120倍のえがおの黒酢でダイエットサポート!」、「『黒酢』に含まれたアミノ酸のメラメラパワー!」、「タンスの奥のジーンズが出せた!」、「運動量は変わらないのに遂に出産前のスタイルに!」、「たとえば、脂肪1kg(約7,000kcal)を燃やすにはこんな運動&食事制限が必要なんです。」、「ウオーキング約63時間!」、「平泳ぎ約13時間!」、「絶食約7日!」、「こんなに?できない!」など。

 → 株式会社えがおに対する景品表示法に基づく措置命令について

 株式会社えがおは、本件対象商品の黒酢のほか、ブルーベリーや青汁などのいわゆる健康食品の通信販売業者ですが、適格消費者団体消費者支援機構関西(KC’s)が平成26年から昨年にかけて、同社のブルーベリー商品のテレビCM、新聞チラシ、webサイトの表現に関して、景品表示法上の問題があるとして、書面による意見交換及び面談協議により、同社に対し改善を求める活動を行っていました。
 その中で、同社は広告表現に関して一定の改善を行うことを約したため、KC’sは活動を終了しました。今回の黒酢の表示については対象となっていませんでしたが、期間的には重なることになりますね。

消費者支援機構関西サイト

2016年3月22日 (火)

特定保健用食品やいわゆる健康食品の広告表示などに関する報告書(消費者委員会専門調査会)

 先日、当ブログにて、トクホ(特定保健用食品)のトマト酢飲料の新聞広告が健康増進法の禁止する誇大広告にあたるとして消費者庁が勧告を行った事案を取り上げました。

 → 「トマト酢飲料(特定保健用食品)の広告表示に対する健康増進法に基づく勧告(消費者庁)」(3/1)

 このようにトクホ商品やその他いわゆる健康食品の広告表示については、問題が指摘されているところですが、3月16日に開催された第8回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(内閣府・消費者委員会に設置)では、報告書の取りまとめがなされたようです。
 この報告書は、トクホや健康食品の広告・表示や制度・運用について検討されたものを取りまとめるものです。なお、現時点で内閣府サイトに掲載されているのは、報告書(案)ですので、最終的な報告書ではありませんが、ほぼこのまま決定されたと思われますので、以下はそれを前提としています(後日、正式版が公表された場合は、この記事を書き換えるかもしれません。)。

 → 「第8回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」    
                            (内閣府・消費者委員会)

 報告書では、トクホや健康食品について、広告・表示について問題があることを確認し、その状況を踏まえて、必要な行政の取組などをあげています。

 その中の不正な表示・広告の適切な取り締まりのための行政の取組としては、(1)健康増進法に関する見直し(2)トクホの審査等取扱い及び指導要領に関する見直し、などとなっています。

 注目されるのは、問題のある「いわゆる健康食品」が依然として存在し、消費者にとって適切な製品選択が難しい状況が続いており、広告内容に疑義が生じた場合は行政側が実証しなければいけないことが迅速な法執行の障害となっているということで、健康増進法景品表示法と同じような「不実証広告規制」を導入することを検討すべき、としている点です。   
 「不実証広告規制」(景品表示法4条2項)とは、表示が優良誤認表示に該当するか否か判断するため必要があると認めるときは、消費者庁が期間を定めて事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、その表示が不当表示とみなされるというものです。景品表示法の執行では、この制度がかなり活用されています。

 また、誇大広告を禁止する健康増進法31条「著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示」の「著しい」の具体例を充実するなど、所管省庁において、法違反か否かの判断基準を一層明確化する必要がある、ともされているうえ、一部の委員から「著しい」という文言を健康増進法から削除すべきという意見も出されたことを紹介しています。

 トクホ商品についても、一部の広告・表示が実際の効果より高い効果が期待できるといった誤認を消費者にさせている可能性があるなどの状況が認められ、トクホは、効果の面では、医薬品のような高い効果はなく、製品に記載されている摂取方法に従って利用することにより、効果が「期待できる」製品群であるけれども、消費者の中にはそういった製品であるということをあまり理解しておらず、安全である上に、広告・表示から連想する効果を得られると考えて製品を購入している人もいると思われる、としています。
 そして、「そのような状況の中で、消費者に誤認を与えるような暗示的な広告を行うことは、食品の機能性に期待をして特保をあえて選択し、購入している消費者にとって、適切な商品選択につながっていないといえる。」として、許可を受けた際に確認されている効果を超える効果を類推させる広告・表示を一切禁止するなど、「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」(消費者庁次長通知)の広告・表示のルールの見直しを行うことなどを提言しています。   

【追記】(4/13)

 上記の報告書を踏まえて、消費者委員会から関係大臣に対して、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」が出されました。

2016年3月16日 (水)

4月からは課徴金リスクがありますよ(景品表示法・消費者庁)

 不当表示行為に対して課徴金制度を導入する改正景品表示法の施行が本年4月1日に迫って来ましたが、昨日も消費者庁措置命令を出しています。

 消費者庁は、昨日(3/15)、合同会社アサヒ食品(埼玉県川口市)に対し、同社が自社ウェブサイトにおいて行った「スリムオーガニック」と称する食品の痩身効果に係る表示について、不当表示(優良誤認表示)にあたるとして措置命令を行いました。これも不実証広告規定(景品表示法4条2項)によるものです。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 同社サイトでは、あたかも、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていましたが(実際の表示については、上記消費者庁資料をご覧ください。)、消費者庁が、同社に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、当該期間内に資料を提出しなかった、ということです。

 4月に導入される課徴金は、優良誤認表示、有利誤認表示に対して課せられるもので、当然、本件のような不当表示もそれに該当することになってきます。   
ただし、課徴金が150万円未満となる場合には課されないことになっており、課徴金の算定は売上金額の3%ですので、当該商品の売り上げが5000万円に満たない場合には課徴金が課されません。本件の商品は、報道によれば、約2100万円の売り上げとのことですので、この場合は課徴金の対象とはならないことになります。

 しかし、当ブログでも紹介している最近の不当表示案件を見てみると、アディーレ法律事務所の広告に対する件は改正法が施行されれば課徴金対象となる可能性が高く、また、先日の広島県が措置命令を出した小顔矯正の事案も当該業者はわかりませんが、同様の広告を続けている業者によっては、このまま従来の広告を続けていると課徴金の対象となる可能性があることになります。   
 さらに、今回は景品表示法ではなく特定商取引法での業務停止命令でしたが、水素水についての勧誘時の不実告知は、優良誤認表示にも該当する可能性が高いものですので、こういった水素水飲料についても場合によっては景品表示法に基づく課徴金納付命令が発せられることも今後は考えられます。この対象となったナチュラリープラス社の2015年の売り上げは報道によれば、200億円を超えており、そのうち水素水飲料の売り上げはわかりませんが、そのシェアによっては、相当高額の課徴金を支払わなければならないことになります。

 これまでは、不当表示に対する措置命令がなされても、その表示をやめればよい、ということだけで軽く考える事業者も多かったと思いますが、これからは多額の課徴金を負担するかもしれません。事業者は、消費者向けの宣伝、広告を含めた商品の表示、勧誘方法について、その裏付け根拠資料の有無を含めて、事前に十分な注意をはらっておかないと大変なリスクを負う結果になりますので、御注意ください。

2016年3月12日 (土)

マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示

 本年3月9日、消費者庁は、健康食品等の連鎖販売(マルチ取引)業者である株式会社ナチュラリープラス(東京都港区)に対し、特定商取引法39条1項に基づき、9か月間、連鎖販売取引に関する業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 また、同法38条1項に基づき、同社の販売する健康食品「スーパー・ルテイン」、清涼飲料水「IZUMIO(イズミオ)」の購入者に対し、「商品の効能について事実と異なる効能を告げて勧誘していたが、当該商品の飲用によって、病気の治療若しくは予防又は症状の改善ができるような効能はない」旨を購入者に通知し、通知結果について報告することを指示しています。
 消費者庁が認定した特定商取引法違反行為は、勧誘目的等不明示、不実告知、重要事項不告知、公衆の出入りしない場所での勧誘及び迷惑勧誘です。
 大手のマルチ取引業者に対する一部業務停止命令として話題になっていますが、今回の対象行為には、いわゆる水素水として販売されている「イズミオ」の勧誘行為が含まれています。
 この商品の購入の勧誘に際して、「イズミオは足腰を強くすることができるんです。飲むともっと効果があります。」、「イズミオと薬を一緒に飲めば薬の効果が増す。」、「スーパー・ルテインやイズミオを1か月飲み続けるとどんな病気でも良くなる。元気になる。」などと告知していたことが、商品の効能に関する不実告知(特定商取引法34条1項1号)に該当するとされました。すなわち、当該水素水には、そのような効能はないとされたわけです。

 水素水についての表示については、過去2件の景品表示法違反の処分事例があります。

 ひとつは、平成24年12月20日のVanaH株式会社に対する措置命令です。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 これは、同社の会員組織に送ったFAX文書に、同社の販売する「天然水素水 VanaH」の品質について、あたかも、国際連合が高く評価し、国際連合認定ロゴマークの使用を同社に許可したかのように示す記載がなされていたが、その事実はなかった、という直接的には国連の評価と認定マークの取得についての虚偽の表示(優良誤認表示)の事案ですが、当該文書は、この水素水には、富士山の天然水素を豊富に含んでおり、これが健康をサポートすることを認めてもらった結果の国際連合の評価である旨の記載となっていますので、消費者に対して、健康への効用を強調する目的であったことは明らかです。

 もうひとつは、体内の活性酸素を消去できる効能・効果を有する水を生成する装置に関するもので、平成17年12月26日のシルバー精工株式会社(東京都新宿区)、株式会社日本ホームクリエイト(東京都港区)他1社に対する公正取引委員会排除命令(当時)です。シルバー精工と日本ホームクリエイトは飲用目的、他1社は掃除や洗濯の水の生成を目的としていました。そして、前2社は、ホームページやパンフレットに、当該商品を用いて水道水から生成される水を飲用することにより、高い抗酸化力で体内の活性酸素を消去できるかのように表示していましたが、公正取引委員会に対して合理的な根拠資料を提出できなかった(不実証広告規定による優良誤認表示)というものです。

 → 消費者庁サイト


 このように、水素水が体内の活性酸素を消去、抑制して健康にいいと称して飲料水や水素水生成器を販売する業者も増えているようですが、上記の業務停止命令の翌日(3月10日)には、国民生活センターが、水道水を電気分解して水素を発生させることにより、活性酸素(ヒドロキシラジカル)を抑制する水ができるとうたった商品について、複数の消費生活センターからのテスト依頼による調査結果を公表しています。

 → 国民生活センター発表情報

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、同様な装置の効果や活性酸素に関する相談が、2010年度以降2015年12月末までに、220件寄せられ、特に2014年度からは増加傾向にあります。そして、これらの相談の内容には、「ガンが治る」と勧誘されたといった販売方法に関するものが多いようです。

 今回の調査は、購入可能であった2社2銘柄を対象としていて、ヒドロキシラジカルを消去する機能は認められたようです。   
 調査結果では、業者のホームページやパンフレットには、水の中のヒドロキシラジカルの抑制率のデータは人体に対する効果・効能を表すものではない旨の記載があるとはいうものの、上記の「イズミオ」などの場合を見ても、実際の勧誘の際には、ガンが治るなどといった健康上の効用をうたっている可能性も高いものと思われます。   
 そこで、今回の国民生活センターの報告書でも、消費者に対して、「テスト対象銘柄の広告に記載されている「ヒドロキシラジカル抑制率」は、飲用による効果を表したものではありません。人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」「ヒドロキシラジカル消去能の公的な評価方法や表示方法に関する基準はなく、試験方法や条件によって、大きくも小さくもなる数値が用いられていることがあります。広告中の数値に惑わされないようにしましょう。」と注意を喚起しています。   
 また、業者に対しては、水の用途としては飲用により摂取することを目的としているものと考えられるところから、広告等には「人体に対する効果・効能を表すものではありません。」と記載はされているものの、ヒドロキシラジカルの抑制が、どのようなことに、どの程度、役立つのかが具体的に記載されていないため、どのような効果があるのかを明確にするよう要望しています。

【追記】(3/12)
 水素水と呼ばれているのは、ほぼ「アルカリ電解水(アルカリイオン水)」などと同じと思いますが、「医薬品医療機器等法」(旧・薬事法)に基づいて承認・認証を得た家庭用医療機器(アルカリイオン整水器)から生成された水(アルカリ電解水)については、「胃腸症状の改善」の効能が認められており、それらの機器を販売等する際に、これを表示することはできます。
 ただし、上記の国民生活センターでの調査対象となった水素水生成器はこれではありませんので、身体への効能効果の有無にかかわらず、法律上、それをうたうことはできません。

【追記】(2017/3/4)
2017年3月3日に消費者庁から水素水関連商品のweb上の広告表示について、景品表示法の措置命令(不当表示)が出されましたので、記事を書きました。ご覧下さい。
 → 「水素水関連商品の不当表示に対する措置命令(消費者庁)」 (2017/3/3)

2016年3月 1日 (火)

トマト酢飲料(特定保健用食品)の広告表示に対する健康増進法に基づく勧告(消費者庁)

 本日は、認知症の高齢者の家族に対するJRの損害賠償請求訴訟の最高裁判決が話題になっています。最高裁が高裁判決を破棄自判して、JRが敗訴したという結果の報道だけで、判決の中身(裁判所の具体的な判断内容)がまだ読めていませんので、現時点でのコメントは差し控えます。


 さて、消費者庁は、本日、ライオン株式会社(東京都墨田区)に対し、同社が製造販売する特定保健用食品「トマト酢生活トマト酢飲料」に関する新聞広告が、健康の保持増進の効果について、著しく人を誤認させるような表示であり、健康増進法31条第1項(誇大表示の禁止)に違反するものとして、勧告(健康増進法32条1項)を行っています。

 報道によれば、特定保健用食品の広告をめぐる勧告や、健康増進法の誇大表示禁止の規定に基づく勧告はいずれも初めてとのことです。

  → 「ライオン株式会社に対する健康増進法に基づく勧告について」
                                        (消費者庁・PDF)

 健康増進法は、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることを目的とする法律(1条)ですが、中には、受動喫煙の防止(25条)という規定があって、学校や病院、百貨店など公衆が集まるような施設では 利用者の受動喫煙を防止する措置を講ずるように努めなければならない、とされています。なので、そういった施設では、禁煙にしたり、喫煙場所を限定したりしないといけないわけですね。

 そして、今回の勧告のケースですが、特定保健用食品というのは、よく「トクホ」と略称されているもので、健康増進法26条1項などに基づいて、特別の用途のうち、特定の保健の用途に適する旨の表示をすることについて、消費者庁長官の許可又は承認を受けた食品です。しかし、医薬品ではありませんので、その用途の表示にあたっては、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するものであって、明らかに医薬品と誤認されるおそれのあるものであってはならない、とされています。

 本件では、ライオンが平成27年9月15日から同年11月27日までの期間、日刊新聞紙に掲載した広告において、次のような表示をしていました。

  •  健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)別記様式第3号に定める特定保健用食品の許可証票とともに、「ライオンの『トマト酢生活』は、消費者庁許可の特定保健用食品です。」
  •  本件商品についてのヒト試験結果のグラフとともに、「臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』。」
  •  本件商品を摂取している者の体験談として、「実感できたから続けられる!10年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できています。今では離すことのできない存在です。」
  •  「50・60・70・80代の方に朗報!」、「毎日、おいしく血圧対策。」、「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々をサポートしようとライオンが開発した『トマト酢生活』。」

 しかし、この商品が特定保健用食品として、「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」を許可表示とし、食生活の改善に寄与することを目的として、その食品の摂取が健康の維持増進に役立つ、又は適する旨を表示することのみが消費者庁から許可されているのであって、血圧を下げる効果があると表示することについて許可を受けているものではありませんでした。また、高血圧は薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾患であって、この商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られるとは認められないものでした。

 上記の広告表示では、あたかも、血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁から許可を受けているかのように示し、また、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果を得られるかのように示す表示をしていたことになる、と消費者庁は判断し、勧告を行ったものです。

 今回の勧告は、(1)上記表示は、健康の保持増進の効果について、著しく人を誤認させるような表示であり、健康増進法に違反するものである旨を、一般消費者へ周知徹底すること、(2)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること、 (3)今後、上記表示と同様の表示を行わないこと、が内容となっています。景品表示法の措置命令などと同様ですね。