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2019年8月の記事

2019年8月25日 (日)

コロプラの不正課金によるランキング上昇行為に関する調査報告

オンラインゲーム事業者の株式会社コロプラ(東京都渋谷区)が、本年6月21日付謝罪文「当社従業員による不適切な取引について」の中で、同社従業員2名がセールスランキングの操作を目的として、同社のゲーム「最果てのバベル」に関して、同社の費用850万円で課金することを取引先に依頼し、取引先が課金を実施した疑いが判明した、と公表しました。

 これについて、同社は特別調査委員会を設置して、調査を行い、本年8月13日、その調査報告書(公表版)が公表されました。概ね上記内容の課金実施の事実があったということですが、詳しくは調査報告書をご覧下さい。同時に役員らの処分も公表されています。

 なお、景品表示法関連について、調査報告書では、この不正課金により一定程度セールスランキングは押し上げられたものと推察される、としたうえで(調査報告書17頁)、ランキングの順位(公表版では黒塗り)、上昇の程度が不明、App Store上ではセールスランキングが表示されない、などの事情から、実際より「著しく優良」といえるほどの誤認表示をしたと評価するには相当の躊躇を憶える、との表現がされています。ただし、「しかしながら、本件課金は、これが行われたことを知らない一般消費者に対し、本件タイトルが実際よりも好評なものと誤認させることになり得る点は否定できず、景品表示法優良誤認表示を禁止する趣旨に悖るものであることは否定できない。」としています(同20~21頁)。

 こういった不正行為によるランキングの上昇については、口コミサイトなどでのステルスマーケティング(ステマ)などで問題となってきたところで、当ブログでも何度も取り扱ってきました。そのうち、いくつかを下にリンクしておきます。

 → 「やらせ業者によるグルメサイト「食べログ」投稿」 (2012/1/5)

 → 「「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の改定(消費者庁)」 (2012/5/9)

 → 「ステマ口コミ投稿に対する損害賠償請求訴訟(米Amazon社)」 (2015/10/20)

 → 「第三者の比較サイトと見せかけた広告などが不当表示とされた事案(ステマ)」 (2017/11/2)

 → 「自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)」 (2019/4/12)

 

 

 

 

2019年8月20日 (火)

赤さび防止効果に関する日本技術士会千葉県支部の見解書

(【追記】(9/3PM4:30)本日、本文中の見解書がサイトから削除された模様です。事情がわかれば、また追記いたします。)

(【追記】(9/10PM2:30)よくわかりませんが、見解書のネット公開は停止されていますが、内容を撤回したのではなさそうですね。代わりに掲示されておられる人もいるようです。)

(【追記】(9/25AM0:10)日本技術士会千葉支部の見解書についての新しい情報が入りましたので、本文の後に本日付にて追記いたしました。ご覧ください。)

 ブログ更新ができておりませんでした。

 さて、先日、公益社団法人日本技術士会の千葉県支部が、疑似科学テーマへの見解「NMRパイプテクターの効果」(本年7月15日付)という見解書を公表しました。

 → 日本技術士会千葉県支部「技術者教育支援チーム」ページ(見解書〔PDF〕へのリンク有り)

 このNMRパイプテクターという製品は、東京メトロの車内広告でよく見るので、御存じの方も多いでしょうが、業者は水道管の赤さびを通常よりもかなり減少させる装置である、という内容の宣伝をしています。

 今回の見解書の内容を見ますと、(業者はNMR工法は磁気装置ではないと言っているが)「分解してみても、いわゆる磁気活水器との差異がない」、「磁気活水器には赤さびを減少させる有用な効果は生じないと考えられる」といった見解が書かれており、結局のところ、NMRパイプテクターという製品には、水道管内の赤さびを減少させる有用な効果は生じない、とする見解となっています。

 この見解書には、「なお、誤認する人もいるようだが、特許登録・・・・・は効果を証明するものではない。 」とありますが、これは、知的財産権制度を知っているものにとっては当たり前のことで、特許庁が認めた特許であっても、本当にその効果があるかどうかをいちいち特許庁が確認しているものではありません。なので、特許を取っている、というようなうたい文句は、その効果が本当かどうかについては、あまり意味がありません。特許を取っていることの意味は、その技術を真似する別の業者を排除できるということです(効果がなければ、誰も真似しませんし)。また、特許として登録がある技術が、本当にその製品に使われているかどうか、というのも、別問題です。

 もちろん、私は技術については素人なので、上記の見解書の内容の真偽や、特許技術が有効かどうかについて評価する立場にはありません。

 しかし、以前から、この製品のさび防止効果については、疑義を示す意見も結構見られ、今回、技術士会の中で、このような見解が出された以上、この製品の広告を掲載している広告媒体、たとえば、東京メトロの広告担当部局などは、調査確認するなどの対応を行わないと、場合によっては法的な責任(たとえば、その広告を信じて購入した者に対する損害賠償責任など)が生じることになりますので、ご注意されたいと思います。

 なお、長くなるので、ここでは書きませんが、広告媒体者(ここでは、広告代理店とか東京メトロなど)の法的責任については、当ブログの右上のコラム1とかコラム2とかを見ていただければいいのですが、要するに、最高裁が言っているのは、広告媒体者としては、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、又は予見しえた場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を提供してはならない義務があり・・・・としているのであり、(一般的な状況ではなく)具体的な疑念が生じている段階になれば、その広告内容について真実性の調査確認をして、もし、虚偽であれば、そのような広告を消費者に提供してはならない法的義務があると言っているのです。この製品の販売対象はマンションの管理組合などでありますが、その工事代金もかなりの高額なものですので、この真偽については、居住者=一般消費者にとっても大きな問題が生じる可能性は否定できません。

 なお、もちろん、業者の宣伝するような効果が本当にあれば問題がありませんので、業者の方がこの見解書の主張内容に反論されるのであれば、特許がどうだとかいうのではなく、真っ正面から、さびの防止の効果を技術的、理論的に証明して、すっきりとされるべきかと思います。

〔追記〕

 ちょっと、戯言。

 マンション管理組合という団体相手の営業だと、ストレートには景品表示法が使えない、というのが伝統的な解釈ですが、マンション管理組合なんて、一般住民個人の塊なんだから、同様に解釈してもいいように思えますね。

 仮に、消費者個人相手の取引じゃないから、景品表示法が使えないからというのならば、独占禁止法上の「欺まん的顧客誘引」というのは、公正取引委員会さんが使えるのではないでしょうか。

【追記】(9/25)

 9月18日、日本技術士会の本部で開催された「技術士が実施した支援及び活性化の事例発表会」において、千葉県支部技術教育支援チームのサブリーダーが発表をされ、参加された聴講者の話によると、一般的な活動の話の後で、ニセ科学批判の話に時間をさかれて、そこでは、チームが「NMRパイプテクターは赤錆を減少させる有用な効果は生じないと考えられる。」という見解書を出したことを改めて発表したとのことです。
 このようなニセ科学と闘う発表は、その後の懇親会に出席した技術士たちの間では好評だった、とのことです。
 また、この発表会は会員以外も聴講できる会ですので、日本技術士会内での内輪だけを向いて発表されたものではないとのことで、やはり見解書は撤回されたわけでないようです。

 なお、別の情報では、パイプテクターの会社内において、技術士会が謝罪をした、との話が社員たちに伝えられているようですが、これも、上記の状況から考えれば、謝罪の事実は全くないようです。社内で情報が混乱しているのでしょうか?

 これらの点につき、間違いなどがあるようでしたらご指摘くだされば幸いです。

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