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2018年11月の記事

2018年11月 8日 (木)

鮮魚の当日配送についての飲食店の不当表示(消費者庁)

 昨日(11/7)、消費者庁は、チムニー株式会社(東京都墨田区)に対し、同社が経営する飲食店「はなの舞」、「花の舞」、「さかな道場」において提供する魚介類のさしみなど料理に関する表示が不当表示(優良誤認)であるとして、景品表示法に基づいて措置命令を行いました。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 本件では、チムニーが、各店舗のPOP広告やポスターにおいて、「超速鮮魚と既存流通の違い なぜ鮮度が違う?」「超速鮮魚 当日(産地によっては前日) 到着」と記載したうえで店舗配送までの流通経路を示すイラストを掲載することにより、あたかも、各店舗の対象料理で使用している魚介類は一部産地を除いて、水揚げされた当日のうちに店舗に配送されたものであるかのように表示していました。

 しかし、実際には、対象となっている料理の全ての魚介類が、水揚げされた翌日以降に配送されたものであった、というものです。

 本件の表示では、一般の流通が産地から陸送されて中央市場を介して各小売店・飲食店に配送されるのに対して、産地から羽田空港に空輸されてそこから直接、小売店・飲食店に陸送されるという表示がされていました。
 ご注意いただきたいのは、一部報道で、「朝どれ」表記に対する措置命令であるかのようなものがあったようですが、本件では、「朝どれ」「朝捕り」など、朝に漁獲したという表現が問題になったものではありません。

 ところで、今回の消費者庁の公表資料には(措置命令自体にはない)、わざわざ、次のような注釈を入れています。

「本件の措置命令は、羽田市場株式会社が提供する「超速鮮魚」と称する魚介類について、羽田市場株式会社の流通自体を問題としているものではない。 チムニー株式会社が仕入れていた魚介類のうち、「超速鮮魚」と称する魚介類は、平成28年3月31日までは、表示内容どおり、一部の産地を除き当日のうちにチムニー株式会社の店舗に配送されていたが、チムニー株式会社が物流を変更し、同社の物流センターを経由することにした結果、平成28年4月1日以降は、翌日、産地によっては翌々日にチムニー株式会社の店舗に配送されることとなったものである。」

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 これは、チムニーが利用していた鮮魚の運送は、別会社である羽田市場株式会社が行っていたようで、この会社の社名やサービスブランドである「超速鮮魚」(商標登録もあるようです。)の文字やロゴを、右の画像(消費者庁公表資料より)でもわかるように、本件の対象となったPOP広告などに使用しているため、今回の措置命令により、この羽田市場株式会社の運送サービスについての不当表示であるかのような誤解を招かないように消費者庁が配慮したのではないか、と思われます。

 

なお、日本経済新聞の報道によると、チムニーは、商品の品質には問題がないので返金はしない、との対応のようです。もちろん、消費者庁不当表示を認定されたからといって、即、消費者への返金義務が法的に生じるものではなく、今回の件で、返金すべきか否かについてコメントすることはできません。ただ、一般論としては、法的責任とは別として、消費者への対応が以後の消費者の企業評価に繋がるものであることは念頭において検討すべき事柄です。また、消費者への法的な返金義務の有無とは関係なく、課徴金納付命令の対象にはなります(売上要件などを満たせば)。

2018年11月 4日 (日)

「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」(新日本法規出版)

 不貞、つまり浮気(ちょっとニュアンスが違うかな)に関する慰謝料の請求の事件というのは、世の中には結構あり、我々弁護士が取り扱うことは珍しくありませんし、私もこれまで結構な数の事案を扱ってきました。
 こういった事案についての、慰謝料金額に関する法律実務の本としては、最近でも、LABO刊の 「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸 ・著) とその姉妹本である 「判例による不貞慰謝料請求の実務 主張・立証編」(中里和伸 野口英一郎・著) があり、私も両書籍を当ブログでご紹介しましたので、内容については、こちらをご覧ください。この手の法律実務書にしては、よく売れていると聞きます。

 → 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)(2015/8/ 5)

 → 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」(2017/3/3)

 不貞関連のケースについての裁判や調停、交渉などの仕事の中で、実際にこれらの本の関係個所を引用して裁判で主張するなどして、活用させてもらっています。

 さて、このほど、同様の書籍が新日本法規出版から出版されました。新日本法規出版さんからご恵贈いただき、ざっと読ませていただきましたのでご紹介します。

 「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」 (久保田有子・著)です。大阪の弁護士さんたちの共著のようですね。

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 冒頭にあげたLABO版の本2冊は、どちらも裁判例の集積を体系的に整理したり、実際の裁判での主張や立証活動を念頭に置いて解説されています。

 一方、今回の新日本法規版も、多くの裁判例を分析したものであることは同様ですが、ケース毎の事例紹介に重点が置かれていて、冒頭に「状況別慰謝料索引」として、裁判において、不貞の被害を主張する原告が被告に対して不貞慰謝料を請求した裁判例を分析して、状況別に分類したものが置かれています。そして、それぞれの裁判例を順次紹介するという形になっています。

 両者それぞれ特徴があり、どちらがいいとかいうものではありませんが、損害賠償請求の法律上の体系的な整理や訴訟手続実務に関連して参照したい場合は、前者のLABO版を、具体的な事案をわかりやすく整理されたものを参照したい場合には後者の新日本法規版が適しているのではないかな、と思いました。もひとつ、LABO版がA5版の大きさであるのに対して、新日本法規版はB5版で一回り大きくなっており、本文や索引などの文字も大きくなっていますので、我々おじさんたちが、ナントカ・ルーペがなくても見やすいという点はいいですね。その分、置く場所は要りますが。

2018年11月 1日 (木)

続けて「酵素飲料」の不当表示と高額の課徴金

 前回、先週出された、健康食品の不当表示に関しての販売業者に対する課徴金納付命令の事案をご紹介しました。

 そして立て続けに、昨日、消費者庁は、株式会社シエル(東京都渋谷区)が販売する健康食品(飲料)である「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認及び有利誤認)に該当するとして、措置命令課徴金納付命令を行いました。ここでも、前回の言歩木の商品宣伝と同様に「酵素」がうたい文句になっていますね。

 また、本件は後記の通り、1億円を超える高額の課徴金の支払を命じられた点も注目されます。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

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 これは、シエルが自社のwebサイトに、「海外でも大注目! 日本版スムージーの“青汁”ダイエット」、「おいしく飲んでスリムボディに!」、「149種類の酵素で燃焼する体に」、「野草、フルーツ、野菜、海藻の酵素を使用しており、特に野草のもつ免疫力やビタミン、ミネラルが、燃えやすい体を作り、肌の新陳代謝も促す。」などと記載して、あたかも、この商品を飲むだけで、簡単に痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた、というものです。
 ※ 右の画像は消費者庁公表資料より

 しかし、消費者庁が、同社に対して、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたにもかかわらず、同社は、その期間内に資料を提出しなかったため、不実証広告制度により、優良誤認表示とされたものです。

 また、同じく自社webサイトに、「初回 ¥680コース※税抜」、「毎月先着300名様限定」、「先着順となっておりますので、毎月300名様に達しましたら終了とさせていただきます。」、「毎回自動お届けコースとなり、2回目以降の価格は3,980円(税抜)となります。」と記載することによって、あたかも、毎月300名に限って定期購入を開始できるかのように表示していたのですが、実際には、新規定期購入者数は、300名を著しく超過していたもので、これが有利誤認表示とされました。

 今回、支払を命じられた課徴金は、1億0886万円で、シエルは来年31年6月3日までに支払わなければなりません。

 この金額は、景品表示法違反の不当表示に対する課徴金としては、これまでで2番目の金額になります。1番目は、あの自動車燃費不当表示事件での三菱自動車に対する5億円近いものでしたが、今回は大企業ではなく、かなり高額であるといえるでしょう。なお、三菱自動車に対する課徴金については、以前の当ブログ記事をご覧下さい。

 → 「自動車燃費不当表示事件についての課徴金納付命令(消費者庁)」
                           (2017/6/15)

 不当表示に対する課徴金は、原則として、対象期間の当該商品売上額の3%なのですが、本件では、平成28年4月1日から平成30年7月30日までが対象期間であり、この2年3ヶ月の売上額が、約36億2879万円ということで、この3%が、今回の課徴金である1億0886万円となります。こういった商品がすごく売れているんですね。

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