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2018年3月29日 (木)

『職務発明の実務 Q&A』(髙橋淳・松田誠司 編著)

 本日もDMM.comなどの液晶ディスプレーの優良誤認表示に対する措置命令消費者庁からでているのですが、このところ景品表示法の話題ばかり続きましたので、特許関係の書籍のご紹介を。

 このほど出版された『職務発明の実務 Q&A』(髙橋淳・松田誠司 編著 頸草書房 発行)を、編著者である松田誠司弁護士よりご恵贈いただきました。松田弁護士は、弁理士登録もされておりますし、最近まで、任期付公務員として、特許庁において、職務発明の平成27年改正作業にも関与され、他にも、職務発明に関する書籍を出されております。もともとは、大阪弁護士会所属の方ですが、今は、大阪を離れて東京で活躍されています。

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 発明を保護するための法律である特許法では、原則として、発明を行った人(自然人)が特許を受ける権利を持ちます。しかし、それでは、会社における研究開発の場合、その研究開発担当社員個人が特許を受ける権利を持つとなると、おかしなことにもなりますので、会社と社員との間での利益を調整する必要があります。この調整を行う制度が「職務発明」制度です。

 青色発光ダイオードの発明に関して、会社と後にノーベル賞を受賞することになる中村修二氏との間の訴訟では、2004年1月、東京地裁において、200億円という高額の対価の請求が認容され(裁判所が認定したのは何と604億円だったのですが、訴訟の請求額は200億円だったため認容はこの範囲)、社会的にも大きなニュースとなりました。実は、その翌年1月、控訴審である東京高裁(知的財産高裁が発足する直前でした)において、訴訟の対象の特許のみならず中村氏在職中の発明の特許全部の対価を6億円(遅延損害金除く)として会社が支払う、という和解が成立しました。この一審判決の額から大幅減額で和解という結果になった点は、いろいろと想像するところですね。

 いずれにせよ、この発光ダイオードの訴訟で一躍知られることとなった職務発明問題で、その後もいくつかの判決で高額の対価を認める判断が出ました。実は、その頃、私の事務所にも、そういう研究開発を行ってきた元メーカー社員の方が相談に来られたことがありました。ただ、その後の職務発明の対価についての考え方の変化もあり、いくつかのハードルがあったため、請求は諦められましたけども。

 このような経過を踏まえて、その後、職務発明制度は、平成16年、平成27年と改正が行われています。

 上記『職務発明の実務 Q&A』は、第1章で、こうした現在に至るまでの流れを概観したうえで、第2章で、実務的なQ&Aが記述されています。また、巻末資料として、職務発明規定例や同意書なども付けられており、企業の実務にも大変役立つものとなっていると思います。

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