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2018年2月10日 (土)

新しい「医療広告ガイドライン」と従来の「医療機関ホームページガイドライン」との関係

 前回、前々回と、今般、厚生労働省の検討会で承認された「医療広告ガイドライン(案)」について書いてきました。

 → 「医療広告ガイドライン案が承認される(厚生労働省検討会)」 (2/5)

 → 「医療広告ガイドライン(案)における「広告」」 (2/6)

 これまで厚生労働省は、医療機関のホームページなどについては、当該医療機関の情報を得ようとする目的を有する者が検索等を行った上で閲覧するものであるとして、原則として、医療法の対象となる広告とは見なしていませんでした。
 しかし、現実には、美容医療サービスなど自由診療を行う医療機関について、ホームページなど掲載の治療内容や費用と、医療機関からの説明・対応とが異なるなど、ホームページ掲載情報によるトラブルなども多く発生していました。そこで、これに対応するために、医療法の広告規制対象には含まれないとしながらも、インターネット上の医療機関のホームページ全般の内容に関する規範を定めて、関係団体等による自主的な取組を促す、として、 「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」(医療機関ホームページガイドライン 平成24年9月)を定めていたものです。

 しかし、今般、医療法規制対象の「広告」に、ホームページなどのwebサイトも含まれることとなったため、従前の「医療機関ホームページガイドライン」の内容も、新しい「医療広告ガイドライン」に取り込まれることとなりました。つまり、従来の「医療広告ガイドライン」「医療機関ホームページガイドライン」が廃止されて、新しい「医療広告ガイドライン」に一本化されることとなったものです(本年6月1日施行予定)。   
 これによって、新しい「医療広告ガイドライン」には、従来の「医療広告ガイドライン」よりも、法律上禁止される広告の例示が増加しています。単に形式的に一本化されたというだけではなく、これまでの自主規制、行政指導の対象ではなく、違法な「広告」としての法律上の規制対象になったものですから、実質的にも厳しい規制になったわけです。

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 たとえば、虚偽広告の禁止(医療法6条の5第1項)については、加工・修正した術前術後写真等の掲載や、治療後の定期的な処置等が必要であるのに「一日で全ての治療が終了します」、 根拠の提示もなく「○%の満足度」などというものは虚偽広告として取り扱うべきとし、また、非常に限られた患者等を対象に実施された調査や謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても、同様としています。

 比較優良広告の禁止(医療法6条の5第2項第1号)は、事実であったとしても、「優秀性について、著しく誤認を与えるおそれがあるために禁止されるものであり、例えば、「日本一」、「№1」、「最高」等の最上級の表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当する」とされています。ただし、このような表現を除けば、必ずしも客観的な事実の記載は妨げないが、裏付けとなる合理的な根拠により客観的に実証できる必要がある、とされ、また、著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現も、患者等を不当に誘引するおそれがあることから、比較優良広告として取り扱うとしています。
 具体例としては、「肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。」、「当院は県内一の医師数を誇ります。」、「本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。」、「芸能プロダクションと提携しています」、「著名人も○○医師を推薦しています」、「著名人も当院で治療を受けております」が挙げられています。

 また、誇大広告の禁止(医療法6条の5第2項第2号)については、「○○学会認定医」や「○○協会認定施設」などは、その学会や協会が活動実態のない団体の場合には、国民・患者を不当に誘引するおそれがあるとして、誇大広告として扱うべき、とされています。
 また、「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります。」、「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください。」、「○○手術は効果が高くおすすめです。」、「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いですので、新たに開発された○○手術をおすすめします。」といったような表示は、科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、特定の症状に関するリスクを強調したり、特定の手術や処置等の有効性を強調することにより、医療機関に誘導するものであり、誇大広告として取り扱うべき、としています。

 そして、前々回にも紹介しましたが、個人の主観的な体験談などや術前術後のいわゆるビフォーアフター写真などの広告も原則として禁止されること(省令)については、もちろん新しい「医療広告ガイドライン」に記載されています。

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