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2017年2月の記事

2017年2月14日 (火)

日本サプリメントに対する措置命令及びトクホ等に関する景表法の取組要請(消費者庁)

 昨日(2/13)付の「文化通信」(文化通信社発行)に拙稿「クロレラチラシ配布差止訴訟最高裁判決が広告に与える影響」が掲載されました。

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 興味のある方にはご一読いただきたいのですが、これとも関連する健康食品の広告・表示に対する消費者庁措置命令および業界への取組要請が以下のように出されました。


 本日、消費者庁は、日本サプリメント株式会社(大阪市北区)に対し、同社の特定保健用食品(トクホ)の表示について、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)に該当するとして、措置命令を行っています。 

 また、同時に、トクホ等に関する景品表示法の取組として、

① 特定保健用食品の許可要件を満たさない商品に対する厳正な対応

② 特定保健用食品及び機能性表示食品の全商品のウェブサイト等における表示監視

を行うこととし、この取組方針をトクホの全許可事業者及び機能性表示食品の全届出事業者に対し通知して、社内体制の確認等所要の対応を要請しています。

 なお、今回の不当表示の期間には、課徴金制度施行後の昨年4月以降も含まれておりますが、今日のところは課徴金納付命令は出されていないようです。さて、今後どうなるでしょうか。

   → 消費者庁公表資料(PDF)

 日本サプリメントは、既に昨年9月、消費者庁からトクホの許可を取り消されています。トクホの取消は制度が始まってから初めてのことです。

 今回の不当表示は、

 対象健康食品の容器包装や新聞折り込みチラシ、新聞テレビwebサイトの広告に、トクホの許可を受けた商品である旨や、「血圧が高めの方に適した食品です。」、「血糖値が気になり始めた方に適した食品です。」などと記載していたが、実際には、各商品は、トクホの許可等の要件を満たしていないものであった、というものでした。
 要するに、トクホの許可を受けた健康食品として広告宣伝、表示をしていたけれども、実際の商品については、許可の要件となっていた品質管理(試験検査)などが行われていなかった、というものです。

 上の文化通信の記事にも書いたのですが、今回も単に当該事業者のみならず業界全体に対して、消費者庁が取組要請を行っているように、健康食品の広告・表示については、消費者庁は厳しい目を向けています。事業者は消費者目線での商品提供、広告を行っていただきたいものです。

2017年2月 3日 (金)

「ビタミンでシミを洗い流す」石けんに対する不当表示措置命令

 昨日(2/2)、消費者庁は、株式会社Xena(ジーナ・福岡市中央区)に対して、販売する「VCソープ」と称する石けんの表示について景品表示法に違反する行為(優良誤認表示および有利誤認表示)があったとして、措置命令を命じました。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 普通は、優良誤認表示有利誤認表示のどちらかの行為が対象となることがほとんどですが、たまに両方いわれることもあります(あの「スカスカおせち事件」も両方です  →  「バードカフェおせち事件に関する措置命令及び要請(景品表示法・消費者庁)」 (2011/2/22))。

【優良誤認表示】

 措置命令の対象となった優良誤認表示は、情報誌に掲載された石けんの広告において、

○ 「シミを『ビタミン洗顔』で洗い流しませんか?」

○ 「長年の肌悩み、あきらめる前に!」

○ 「あれ?またシミが・・・」

○ 「それにしても、ビタミンで洗うとは一体!?なんでも、長年しみついた悩みやくすみを、洗顔だけで洗い流すというのだ!」

○ 「このビタミン洗顔だからこそ、シミのもとメラニンを含む、古い角質まで洗い流せるんだとか!」

のような表示を行って、あたかも、この石けんを使用することによって、シミを解消又は軽減することができるかのように示す表示をしていた、というもの。

 この表示について、消費者庁「不実証広告制度」(景品表示法7条2項)に基づき、Xenaに対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されましたが、それら資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったため、優良誤認表示とみなされたものです。

 この不実証広告制度において、資料提出が期限が定められますが、通常は15日ですので、新たに資料を集めたり、実験を行ったりするヒマがありませんので、事業者としては、この種の広告を行うのであれば、十分な資料を事前に揃えておく必要があります。また、この根拠資料としては、かなり客観的なものを求められます。詳しくは、消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」(不実証広告ガイドライン)をご覧下さい。このガイドラインに関する判決については、当ブログで書いてますし、 「実務に効く公正取引審決判例精選」(泉水文雄・長澤哲也編/有斐閣)に簡単にですが解説を書いています。

 → 当ブログ 「景表法・不実証広告規定に関する判決(東京高裁)」 (2010/11/14)

【有利誤認表示】

 有利誤認表示のほうは、情報誌に掲載された石けんの広告において、

 あたかも、その広告に記載した期限(約1ヶ月)までに対象商品を初めて購入した場合に限り、通常価格の半額で購入することができるかのように表示していたのですが、実際は、10ヶ月ほどの期間、初めて購入した場合に半額で購入できることとしていた、というもので、一年前に出された「アディーレ法律事務所事件」と同じタイプの不当表示です(※アディーレ事件について、当ブログで取り上げてなかったことに今気づきました。ちょうどブログ更新が途切れ途切れの期間だったからで、同業者を擁護しようと思ったわけでは決してございません。)。

【措置命令】

措置命令の概要は、以下の通りです。

  • 上記表示は、対象商品の内容について、優良誤認表示、有利誤認表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
  •    
  • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
  •    
  • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、上記表示(優良誤認表示部分)と同様の表示を行わないこと。
  •    
  • 上記表示(有利誤認部分)と同様の表示を行わないこと。

 なお、先日、三菱自動車の不当表示事件では、課徴金納付命令が出されましたが、本件は平成27年の不当表示であり、景品表示法の課徴金制度の施行は平成28年4月からですので、本件はそもそも対象とならないものです。ただし、今後はこういった事案でも、要件さえ満たしておれば、課徴金の納付を命じられる可能性があるので、事業者は、これまで以上に消費者向けの表示、広告には十分な注意が必要です。

※ 景品表示法は最近の何度かの改正で、条文番号(第○条など)が動いています。ブログなどに記載されている条文番号は当時のものですので、御注意ください。

2017年2月 1日 (水)

Google検索結果の削除を求めた仮処分についての最高裁決定

  比較的大きく各報道機関で扱われていたようですが、6年前に児童買春の疑いで逮捕され罰金の略式命令を受けた男性が、Googleで名前などを入力すると逮捕歴に関する報道内容が表示されるのはプライバシーの侵害だとして、Googleに対して検索結果の削除を求めた仮処分の申立に関して、昨日(1/31)、最高裁判所はこれを認めない決定を出しました(抗告審における棄却決定)。
 しかし、本決定は、この問題についての最高裁としては初めての判断ですし、また、場合によっては検索結果削除の請求が認められる場合もあるとして、その基準を示した点で重要な決定といえます。決定全文は以下のリンク先で読めます。 

裁判所サイト

 この事件は最初のさいたま地裁の決定(平成27年6月25日)において削除請求を認める仮処分決定が出て、それに対するGoogleの不服申立に対して、再びさいたま地裁が請求を認め(仮処分認可決定・平成27年12月22日)、それに対してGoogleが東京高裁に抗告したところ、東京高裁はGoogle側の主張を入れて男性の申立を却下したため(東京高裁平成28年7月12日決定)、男性が最高裁に抗告(許可抗告)し、これに対する判断が今回示された、という流れになります。

 そして、今回の最高裁決定は、

「検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」

 として、検索結果を削除請求できる場合の基準を示しました。

 しかし、本件の事実関係においては、

(本件の児童買春の被疑事実で逮捕という事実は、)「他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが,児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また,本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると,本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。   
以上の諸事情に照らすと,抗告人が妻子と共に生活し,前記1(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても,本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。」

として、東京高裁の判断を是認したものです。 

 平成27年12月22日のさいたま地裁での仮処分認可決定では、「忘れられる権利」があるとの判断が示されたことが話題になりましたが、これについては、当ブログで取り上げており、興味のある方はご覧下さい。ただし、東京高裁は、この「忘れられる権利」については否定し、今回の最高裁決定では、それについて特に触れられておらず、個人のプライバシー権と検索事業者の表現の自由のバランスの問題としているようですね。

  → 「「忘れられる権利」を明記した仮処分認可決定(さいたま地裁平成27年12月22日)」(2016/2/27)

 なお、この事件の男性側代理人神田知宏弁護士のブログに、以下の記事がありますので、ご参考まで。その内、今回の最高裁決定についてもお書きになるかもしれません。

「地裁決定が「忘れられる権利」に言及した理由の考察」

「忘れられる権利を否定した東京高裁平成28年7月12日決定」

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