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2017年2月 1日 (水)

Google検索結果の削除を求めた仮処分についての最高裁決定

  比較的大きく各報道機関で扱われていたようですが、6年前に児童買春の疑いで逮捕され罰金の略式命令を受けた男性が、Googleで名前などを入力すると逮捕歴に関する報道内容が表示されるのはプライバシーの侵害だとして、Googleに対して検索結果の削除を求めた仮処分の申立に関して、昨日(1/31)、最高裁判所はこれを認めない決定を出しました(抗告審における棄却決定)。
 しかし、本決定は、この問題についての最高裁としては初めての判断ですし、また、場合によっては検索結果削除の請求が認められる場合もあるとして、その基準を示した点で重要な決定といえます。決定全文は以下のリンク先で読めます。 

裁判所サイト

 この事件は最初のさいたま地裁の決定(平成27年6月25日)において削除請求を認める仮処分決定が出て、それに対するGoogleの不服申立に対して、再びさいたま地裁が請求を認め(仮処分認可決定・平成27年12月22日)、それに対してGoogleが東京高裁に抗告したところ、東京高裁はGoogle側の主張を入れて男性の申立を却下したため(東京高裁平成28年7月12日決定)、男性が最高裁に抗告(許可抗告)し、これに対する判断が今回示された、という流れになります。

 そして、今回の最高裁決定は、

「検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」

 として、検索結果を削除請求できる場合の基準を示しました。

 しかし、本件の事実関係においては、

(本件の児童買春の被疑事実で逮捕という事実は、)「他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが,児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項であるといえる。また,本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると,本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。   
以上の諸事情に照らすと,抗告人が妻子と共に生活し,前記1(1)の罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても,本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない。」

として、東京高裁の判断を是認したものです。 

 平成27年12月22日のさいたま地裁での仮処分認可決定では、「忘れられる権利」があるとの判断が示されたことが話題になりましたが、これについては、当ブログで取り上げており、興味のある方はご覧下さい。ただし、東京高裁は、この「忘れられる権利」については否定し、今回の最高裁決定では、それについて特に触れられておらず、個人のプライバシー権と検索事業者の表現の自由のバランスの問題としているようですね。

  → 「「忘れられる権利」を明記した仮処分認可決定(さいたま地裁平成27年12月22日)」(2016/2/27)

 なお、この事件の男性側代理人神田知宏弁護士のブログに、以下の記事がありますので、ご参考まで。その内、今回の最高裁決定についてもお書きになるかもしれません。

「地裁決定が「忘れられる権利」に言及した理由の考察」

「忘れられる権利を否定した東京高裁平成28年7月12日決定」

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