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2016年11月の記事

2016年11月19日 (土)

この機会に適格消費者団体による差止請求の説明でも

 一昨日夜にアップした前回記事はたくさんのアクセスをいただきありがとうございました。

 適格消費者団体・消費者被害防止ネットワーク東海(Cネット東海)の申入書に記載されたジャニーズファミリークラブの回答期限は昨日だったのですが、Cネット東海のサイトによれば、昨日、ジャニーズファミリークラブから、しばらく回答を猶予してほしいというFAXが届いたようです。

 さて、せっかくの機会なので、消費者団体訴訟について、簡単に説明をしたいと思います。

 まず、現在、消費者団体が消費者のために訴訟ができる制度は2つあります。

 ① 消費者契約法に基づく差止請求と、 ② 「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」にもとづく被害回復請求、の2つです。

 消費者団体といっても、どんな消費者団体でも請求ができるわけではなく、国の認定を受けた団体でないといけません。①の差止請求ができるのは、「適格消費者団体」で、現在全国に14団体があり、今回のCネット東海もその1つです。なお、私は、大阪を本拠とする消費者支援機構関西(KC's)の活動に関わっています。
(※【追記】 一般の消費者個人や消費者団体が、このような法律上の請求権ではなく、事業者に営業活動や契約内容が違法、不当であるとして是正を求めること自体は、もちろん可能です。)

   → 全国の適格消費者団体の一覧(消費者庁)

 ②の集団的被害回復制度は、今年(平成28年)の10月1日から施行されたばかりで、実際に制度が利用されるのはこれからです。そして、この制度で請求ができるのは、①の適格消費者団体の中で、さらに「特定適格消費者団体」の認定を受けた団体に限られます。現在、1団体(消費者機構日本〔COJ〕)が消費者庁に対して認定申請を行っているという段階ですので、現時点では、まだ認定を受けた特定適格消費者団体はありません。

 したがって、今回の消費者団体による差止請求は、上記①の消費者契約法に基づく差止請求制度による請求行為となります。

 これは、事業者が、消費者契約法などの法律に違反する行為を行った場合に、個別の消費者個人ではなく、適格消費者団体が事業者に対して差止請求、つまり、その行為をやめることを請求できる制度です。

 消費者契約法違反だけではなく、現在は、特定商取引法、景品表示法、食品表示法の違反行為の一部についても差止請求ができることになっています。今回のCネット東海ジャニーズファミリークラブに対する差止請求は、消費者契約法違反の契約条項を止めるよう求めているわけです。なお、この制度は②の制度と異なり、損害賠償などの金銭の請求はできません。

 消費者団体訴訟とは(COJサイト)

 もっとも、現時点では訴訟が起こされているわけではなく、是正の申入(請求)活動の段階です。   
 これによって、契約内容の変更などの適切な是正措置を事業者がとれば、もちろんそれで解決します。現に、各適格消費者団体は同様の申し入れを事業者に行っており、多くのケースでは事業者側も内容を検討して是正に応じています。これらの事案については、各適格消費者団体のサイトに掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。なお、今回の件と似たようなものとしては、今年、同じくCネット東海が、宝塚歌劇の宝塚友の会に対して、雑誌の定期購読サービスの契約が消費者契約法違反であるとして申入活動を行っていますが、宝塚友の会は、これに沿う形で改訂を行ったため、申入活動は終了となっています

 しかし、事業者側が適切な対応をせず、消費者契約法などに違反した営業活動や規約を継続するような場合は、適格消費者団体が原告となって、事業者に対して差止請求の訴訟を提起することができます。これも、これまでにいくつもの裁判が起こされています。これらの裁判における判決や訴訟上の和解については、消費者庁サイトに公表されています(消費者契約法第39条第1項に基づく公表)。

 今回のCネット東海の申入活動の今後がどのような形になっていくかは判りませんが、この機会に多くの方々にこの制度をご理解いただければいいな、と考えております。

2016年11月17日 (木)

適格消費者団体によるジャニーズファミリークラブへの規約是正の申入

 今日は、別の記事をアップしたので、これは明日に公開しようと思ったのですが、せっかく書いてしまったこともありますので、早めに出しました。

 さて、特にニュースにはなっていなかったようですが、NPO法人「消費者被害防止ネットワーク東海」(Cネット東海・杉浦市郎理事長)が、本年10月18日付にて、ジャニーズファミリークラブに対して、その会員規約の内容が消費者契約法に鑑みて不当ないし不適切な条項があるとして、規約の是正の申し入れをしていました。Cネット東海は、消費者契約法13条に基づいて内閣総理大臣の認定を受けている適格消費者団体です。

 ジャニーズファミリークラブは、Wikipediaによれば、「ジャニーズ事務所に所属する各タレントの公式ファンクラブの母体となる組織」とのことです。 Cネット東海の公式サイトには、この申し入れのお知らせとともに申入書のPDFファイルもアップしておられるのですが、どうやらファンの方々が殺到しているようでアクセスしずらい状況となっているようです。

 申入書の内容を簡単にご紹介しますと、

 第1として、会員規約2条に関して、ジャニーズファミリークラブ側が、規約を予告なく改訂でき、それが閲覧出来る状態になったときから有効となる、という点に関し、申入書では、このような一方的な規約変更は消費者契約法10条に抵触し無効であるとしています。したがって、規約変更の場合は、効力発生の相当期間前にネット等適切な方法で会員に告知した場合に効力が生じるものとすべきであり、会員の個別の同意がなく規約を変更できるのは、限定された要件(5つ挙げています。)全てを満たす場合に限られるとすべき、としています。

 第2に、会員規約4条2項、3項、5条では、退会処分とされた会員は、損害賠償等の一切の権利行使ができない、ジャニーズファミリークラブはそのサービスに関し、いかなる責任も負わない、などの規定がされており、このような免責、損害賠償の放棄の規定は消費者契約法8条1項1号、3号に抵触するので、規定を改めるよう求めています。

 そして、第3として、会員規約4条3項において、会員が資格喪失した場合、理由の如何を問わず、入会金、年会費の返還はできない、とされていることに関し、これは消費者契約法9条1項により、契約の残期間に応じた平均的損害の範囲を超えるべき部分は返還すべきであるので、規約を変更する旨求めています。

 この申入書では、ジャニーズファミリークラブに対して、その見解や対応を、11月18日(つまり明日)までに書面にて回答するよう求めていますが、さて、どんな回答がなされるのでしょうか。

 なお、申し訳ありませんが、この記事に関して、お電話やメール等でご質問等をいただいても対応することは一切できませんので、あしからずご了承ください。また、私は、他の消費者団体などには関与しておりますが、このCネット東海さんとは直接の関係はなく、公開された申入書の内容以外の状況については全く判りませんので、その点もご了解ください。

【追記】(11/19)

 続編として、消費者団体による差止請求の簡単な説明を書きましたので、よろしければ次記事もご覧下さい。

位置情報とソーシャルゲームの法律問題

 先週末(12、13日)の情報ネットワーク法学会(明治大学中野キャンパス)では、13日午後の第11分科会「位置情報とソーシャルゲーム」に登壇してまいりました。もっとも私はメインではなく、コメンテーターみたいなお気楽な立場でしたけども。

 ポケモンGOが日本で7月下旬にリリースされてから4ヶ月ほどですが、この間の拡がりは御存じの通りで、当初ほどのブームはさすがに沈静化しているとはいえ、まだまだ根強い人気があるようです。

 このポケモンGOに関する法律問題等については、既に「月刊住職」9月号で特集され大島義則弁護士がコメントされているなど、こういった新しいゲームから生じる問題については、私も実務家として関心のあるところです。また、単にポケモンGOという特定のゲームに限らず、今後、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)を活用したゲーム(だけではなく他のシステムも。)がもっと進んだ形で出てくることは間違いないと思いますので、そういった場合の問題を考えておくことは必要かと思います。この分科会だけではなく、当日午前の個別報告でも新潟大学の学生さんがポケモンGOの法律問題について報告されておりました。

 今回の情報ネットワーク法学会では、例年どおり様々なテーマの分科会が開催されていましたが、最初の夏井先生の記念講演をはじめとして、リアルとサイバーの融合(垣根がなくなっていく)という視点から将来の新しい法律の世界を考えさせられたという点で非常に興味深い研究大会でした。いつもながらお忙しい中、大変な準備作業にあたられた学会の理事者および運営にあたられた(学生さんを含めた)スタッフの方々に御礼申し上げます。

 もうひとつポケモンGOを特集している雑誌としては、情報処理学会「情報処理」11月号が挙げられます。特集は、「ゲーム産業の最前線~企画、デザインからビジネスモデルまで~」というもので、この中の特別コラム「ポケモンGOの衝撃」として9名の方々がそれぞれの分野で書かれています。法的問題については板倉陽一郎弁護士、観光との関係では井出明先生、歩きスマホ禁止に反対する立場からは神戸大学のあの塚本正彦先生など、それぞれ短いコラム形式ですが、豪華執筆陣となっていますね。

 ところで、このごろ、ポケモンを博士に送ると、しょっちゅうフリーズするようになったのですが、何故でしょうか?

2016年11月16日 (水)

窓用断熱フィルムの不当表示に対する措置命令の取消を求めた訴訟の判決

 「窓に貼るだけで冷暖房効率が30~40%アップする」などとする窓用断熱フィルムの表示に関し、平成27年2月27日に消費者庁から景品表示法違反(優良誤認表示)として表示の差止等の措置命令を受けた翠光トップラインとその子会社が措置命令の取消と約3億円の損害賠償を求めていた訴訟について、今月10日に東京地裁の判決が出ました。結果は原告両社の請求棄却。 

 この措置命令は、いわゆる「不実証広告制度」(景品表示法7条2項・現行法)に基づいて出されたもので、消費者庁が事業者に対して、その表示についての合理的な裏付け根拠資料の提出を求め、それが期間内に提出されなかった場合(資料提出があっても、それが合理的な資料でなかった場合を含む)には、その表示が優良誤認表示であるとみなされ措置命令を出すことが認められている規定です。この提出期間は原則として15日間とされており、事業者にとっては、かなり短い期間となっていますので、予め根拠資料を用意しておく必要があり、要注意です。 

 判決そのものが未公表であるため、報道の情報によりますが、判決は、両社が提出した資料が「学術界や産業界で一般的に認められた方法の実験ではなく、根拠となる資料には当たらない」と判断した模様です。 

 不実証広告制度において求められる「合理的な根拠資料」の判断基準については、消費者庁不実証広告規制に関する指針が公表されており、その中では、①提出資料が客観的に実証された内容のものであること、②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること、が求められており、この①の「客観的に実証された内容のもの」については、「試験・調査によって得られた結果」、「専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献」のいずれかに該当するものとされています。そして、この指針の判断基準は従来の裁判例でも妥当であるとされています(オーシロ事件。東京高判平成22年10月29日。)。 

 今回の判決も、おそらくは、この指針の判断基準にのっとって、提出された資料が合理的な根拠資料には該当しない、と判断したものと思われます。 

 なお、原告の公式サイトによれば、控訴を検討しているとのことです。また、判決内容について、「判決報道において、「効果や性能を裏付ける資料がないという判断を裁判所が行った。」旨の報道がなされておりますが、正確には、・・・・「処分当時に」提出された資料では「表示」の合理的根拠として足りないという趣旨の判決になります。」としています。   
 これは、不実証広告制度に基づく措置命令を争う場合に、合理的根拠資料は、上記提出期間内に提出された資料に限定されるのか、その後、訴訟において根拠資料を提出した場合にはそれも含まれるのか、という問題があり、その点を示しているものと思われます。しかし、上記のオーシロ事件高裁判決は、この点に関して、提出期間内の提出資料が審理の対象となる、としています。このオーシロ事件判決については、私も、 「実務に効く公正取引審決判例精選」(泉水文雄・長澤哲也編/有斐閣)に簡単にですが解説を書いておりますので、よろしければお読み下さい。 

※景品表示法は最近の何度かの改正の度に条文番号が動いています。御注意ください。※

2016年11月15日 (火)

比嘉照夫琉大名誉教授が朝日新聞を訴えた裁判の控訴審判決(控訴棄却)

 ブログ更新ができなくてすみません。 

 この土日は、明治大学中野キャンパスでの情報ネットワーク法学会研究大会に参加して、私自身も「位置情報サービスとソーシャルゲームの法的問題」などという分科会で登壇してまいりました。要するにポケモンGOです(苦笑)

  そして、昨日月曜の夜は、京都産業大学の消費者法研究会と消費者ネット関西の共同企画で、 「『健康食品』ウソ・ホント」(講談社ブルーバックス)の著者としても有名な高橋久仁子先生の講演会に参加してきました。ハードスケジュールでしたが、どちらも大変勉強になりました。


 さて、比嘉照夫琉球大学名誉教授が、「EM菌」に関する朝日新聞の記事に対して、著作権侵害であるうえ、不法行為に当たるとして、損害賠償や謝罪広告を求めていた裁判の一審東京地裁判決(請求棄却)については、当ブログで紹介しました。

 → 「いわゆるEM菌に関する記事が著作権侵害等に当たるとして朝日新聞を訴えた裁判の判決」(2016/5/11)

  この判決に対して、比嘉教授が控訴していたわけですが、それからちょうど半年経過した先日(11/10)に東京高裁で控訴審判決が出ました。結果は、比嘉教授の控訴は認められず、控訴棄却となりました。 

 → 知的財産高等裁判所平成28年11月10日判決

  この知財高裁は、要するに、著作権に関しては、比嘉教授のブログ記事と朝日新聞記事とが共通するのは、「重力波と想定される」、「波動による(もの)」との部分であるが、これは著作物性は認められないので、著作権(複製権、同一性保持権、著作者人格権)侵害とはならない、という点と、比嘉教授の「朝日新聞が比嘉教授を取材せずに記事を掲載したのは不法行為」という主張に対して、「朝日新聞記者行動基準」に抵触しうる行為であり、慎重な配慮に欠ける、とは認めたものの、それは社内の自律的処理の対象となることは別として、「その態様,記事の内容及び趣旨,控訴人の学者としての社会的地位,本件記事1及び2の掲載により負うこととなった控訴人の負担等を総合考慮すると,本件記事1及び2の掲載行為により控訴人の被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいい難く,これを不法行為法上違法なものであるということはできない。」としました。 

 基本的には、一審東京地裁判決と同様の判断を下したものといえると思います。

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