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2016年3月 7日 (月)

「ネット誹謗中傷対策」業者に対する弁護士からの不正競争防止法に基づく損害賠償請求

 裁判所サイトに掲載された知的財産高裁の控訴審判決です。

  → 知財高裁判決平成28年2月24日(PDF) 

 原審判決も掲載されています。

  → 東京地裁判決平成27年9月25日(PDF) 

 この訴訟の事案は、原告(控訴人、以下「原告」)が弁護士2名で、被告(被控訴人、以下「被告」)がネット誹謗中傷対策についてwebサイトを公開している業者です。

  請求は、被告のサイト上の表示(宣伝)の内容が、不正競争防止法で禁止する不正競争行為のうち、「品質等誤認表示」と「営業誹謗行為」に該当するとして、損害賠償(慰謝料)を求めるものです。
 弁護士が原告となっており、しかも、被告の行為が非弁行為(弁護士法違反)であるとの前提にたっての請求であることから、本件の訴訟提起にあたっては背景事情がいろいろとあるのかな、とも推測されるのですが、そこのところはわかりませんので、本稿では触れません。詳しい事実関係等は判決文をご覧ください。   

 また、不正競争防止法の最近の改正(営業秘密規定の追加等)により、本件行為当時は、「品質等誤認表示」は不正競争防止法2条1項の13号、「営業誹謗行為」は同じく14号でしたが、現在は1つずつずれて、14号、15号となっていますので、御注意ください。

  なお、一審東京地裁判決の時点では、原告訴訟代理人は、IT弁護士として有名な神田知宏弁護士のお名前が記載されていますが、知財高裁控訴審判決では、原告訴訟代理人の記載はなく、本人訴訟(といっても、原告は弁護士ですが)となっていますね。この点も事情はわかりません。 

 判決によれば、本件は,被告が被告webサイトにおいて,「弁護士は,料金が高い」,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます」等と表示し,「ネット削除に詳しい弁護士」として原告氏名を表示したことが,(1)原告よりも契約条件において有利であるかのような表示をしている点において品質等誤認表示に,(2)原告と被告とは競争関係にあるところ,原告の料金が不相当に高額であり,被告に比べて「コストパフォーマンスが悪い」との営業誹謗行為に、それぞれ当たり,これにより原告の営業権が侵害され,原告の名誉,信用に対する損害を被ったと主張して,慰謝料各80万円の支払を求める事案です。

  一審の東京地裁判決は、被告サイト上の表示は役務の品質に伴う価格について誤認させる表示とはいえない、原告の営業を誹謗する行為にも該当しないとして、原告の請求を棄却しました。 

 そして、知財高裁もこの原判決の判断を妥当なものとし、控訴を棄却しています。

  控訴審判決では、不正競争防止法に基づく請求の前提となる原告と被告との競業関係については一定の限度でこれを認めたうえで、被告の表示内容について、原判決を支持し、非弁行為を行うことを表示したものでもなく、品質誤認表示とはいえない、としました。そして、営業誹謗行為の主張についても、表示内容は、原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布があったとは認められない、と判断しました。 

 結論はともかく、webサイトでの宣伝表示内容が、品質等誤認表示行為営業誹謗行為に該当するか、についての知的財産高裁の判断の一事例として参考になる事案です。

  そして、それ以上に、宣伝表示行為につき弁護士法違反(非弁行為)が疑われる事案に関し、弁護士が原告となって不正競争防止法違反で損害賠償請求訴訟を提起したこと自体が珍しい訴訟であり、今後はこういった問題が訴訟などの法的手続に進展していくことも充分に考えられるところでありますので、弁護士の業務独占、非弁行為についての判断の一事例としても、大変興味深い事案かと思います。

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