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2016年3月12日 (土)

マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示

 本年3月9日、消費者庁は、健康食品等の連鎖販売(マルチ取引)業者である株式会社ナチュラリープラス(東京都港区)に対し、特定商取引法39条1項に基づき、9か月間、連鎖販売取引に関する業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 また、同法38条1項に基づき、同社の販売する健康食品「スーパー・ルテイン」、清涼飲料水「IZUMIO(イズミオ)」の購入者に対し、「商品の効能について事実と異なる効能を告げて勧誘していたが、当該商品の飲用によって、病気の治療若しくは予防又は症状の改善ができるような効能はない」旨を購入者に通知し、通知結果について報告することを指示しています。
 消費者庁が認定した特定商取引法違反行為は、勧誘目的等不明示、不実告知、重要事項不告知、公衆の出入りしない場所での勧誘及び迷惑勧誘です。
 大手のマルチ取引業者に対する一部業務停止命令として話題になっていますが、今回の対象行為には、いわゆる水素水として販売されている「イズミオ」の勧誘行為が含まれています。
 この商品の購入の勧誘に際して、「イズミオは足腰を強くすることができるんです。飲むともっと効果があります。」、「イズミオと薬を一緒に飲めば薬の効果が増す。」、「スーパー・ルテインやイズミオを1か月飲み続けるとどんな病気でも良くなる。元気になる。」などと告知していたことが、商品の効能に関する不実告知(特定商取引法34条1項1号)に該当するとされました。すなわち、当該水素水には、そのような効能はないとされたわけです。

 水素水についての表示については、過去2件の景品表示法違反の処分事例があります。

 ひとつは、平成24年12月20日のVanaH株式会社に対する措置命令です。

 → 消費者庁公表資料(PDF)

 これは、同社の会員組織に送ったFAX文書に、同社の販売する「天然水素水 VanaH」の品質について、あたかも、国際連合が高く評価し、国際連合認定ロゴマークの使用を同社に許可したかのように示す記載がなされていたが、その事実はなかった、という直接的には国連の評価と認定マークの取得についての虚偽の表示(優良誤認表示)の事案ですが、当該文書は、この水素水には、富士山の天然水素を豊富に含んでおり、これが健康をサポートすることを認めてもらった結果の国際連合の評価である旨の記載となっていますので、消費者に対して、健康への効用を強調する目的であったことは明らかです。

 もうひとつは、体内の活性酸素を消去できる効能・効果を有する水を生成する装置に関するもので、平成17年12月26日のシルバー精工株式会社(東京都新宿区)、株式会社日本ホームクリエイト(東京都港区)他1社に対する公正取引委員会排除命令(当時)です。シルバー精工と日本ホームクリエイトは飲用目的、他1社は掃除や洗濯の水の生成を目的としていました。そして、前2社は、ホームページやパンフレットに、当該商品を用いて水道水から生成される水を飲用することにより、高い抗酸化力で体内の活性酸素を消去できるかのように表示していましたが、公正取引委員会に対して合理的な根拠資料を提出できなかった(不実証広告規定による優良誤認表示)というものです。

 → 消費者庁サイト


 このように、水素水が体内の活性酸素を消去、抑制して健康にいいと称して飲料水や水素水生成器を販売する業者も増えているようですが、上記の業務停止命令の翌日(3月10日)には、国民生活センターが、水道水を電気分解して水素を発生させることにより、活性酸素(ヒドロキシラジカル)を抑制する水ができるとうたった商品について、複数の消費生活センターからのテスト依頼による調査結果を公表しています。

 → 国民生活センター発表情報

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、同様な装置の効果や活性酸素に関する相談が、2010年度以降2015年12月末までに、220件寄せられ、特に2014年度からは増加傾向にあります。そして、これらの相談の内容には、「ガンが治る」と勧誘されたといった販売方法に関するものが多いようです。

 今回の調査は、購入可能であった2社2銘柄を対象としていて、ヒドロキシラジカルを消去する機能は認められたようです。   
 調査結果では、業者のホームページやパンフレットには、水の中のヒドロキシラジカルの抑制率のデータは人体に対する効果・効能を表すものではない旨の記載があるとはいうものの、上記の「イズミオ」などの場合を見ても、実際の勧誘の際には、ガンが治るなどといった健康上の効用をうたっている可能性も高いものと思われます。   
 そこで、今回の国民生活センターの報告書でも、消費者に対して、「テスト対象銘柄の広告に記載されている「ヒドロキシラジカル抑制率」は、飲用による効果を表したものではありません。人体への効果と関連付けて考えないようにしましょう。」「ヒドロキシラジカル消去能の公的な評価方法や表示方法に関する基準はなく、試験方法や条件によって、大きくも小さくもなる数値が用いられていることがあります。広告中の数値に惑わされないようにしましょう。」と注意を喚起しています。   
 また、業者に対しては、水の用途としては飲用により摂取することを目的としているものと考えられるところから、広告等には「人体に対する効果・効能を表すものではありません。」と記載はされているものの、ヒドロキシラジカルの抑制が、どのようなことに、どの程度、役立つのかが具体的に記載されていないため、どのような効果があるのかを明確にするよう要望しています。

【追記】(3/12)
 水素水と呼ばれているのは、ほぼ「アルカリ電解水(アルカリイオン水)」などと同じと思いますが、「医薬品医療機器等法」(旧・薬事法)に基づいて承認・認証を得た家庭用医療機器(アルカリイオン整水器)から生成された水(アルカリ電解水)については、「胃腸症状の改善」の効能が認められており、それらの機器を販売等する際に、これを表示することはできます。
 ただし、上記の国民生活センターでの調査対象となった水素水生成器はこれではありませんので、身体への効能効果の有無にかかわらず、法律上、それをうたうことはできません。

【追記】(2017/3/4)
2017年3月3日に消費者庁から水素水関連商品のweb上の広告表示について、景品表示法の措置命令(不当表示)が出されましたので、記事を書きました。ご覧下さい。
 → 「水素水関連商品の不当表示に対する措置命令(消費者庁)」 (2017/3/3)

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コメント

記事を拝見しました。

行政処分を受けたナチュラリープラスは、製品を紹介する際、購入者へ、「製品は、病気の治療や病状の改善に効果がない」と購入者へ周知させることにしたようです。

ただし、購入者へ確認書の署名を求めるルールは、ナチュラリープラス本社への報告を義務付けたものではなく、販売の説明をする者が記録を保管する仕組みで、全販売員へ完全に徹底されるか疑わしい。
http://www.naturally-plus.com/export/sites/npcom/ja/jp/members/healthyplus/pdf/hcc_kounyuu_kakunin_160413.pdf

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