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2015年12月18日 (金)

夫婦同氏規定が憲法に違反しないとした最高裁大法廷判決(最判平27.12.16.)

 同日に言い渡された女性待婚期間一部違憲判決と並んで、判決当日からマスコミ報道も大きくされている判決ですので、皆さん御存じだとは思いますが、判決文をちゃんと読んでる一般の人は少ないだろうと思いますので、概要の紹介です。 

 なお、この判決は、現在の夫婦同氏の規定が憲法違反とはいえない、とする判断を行ったものであり、選択的な夫婦別氏(別姓)制度の導入がダメだ、けしからん、としたものでは全くありませんので(後記の通り、多数意見においても、制度導入は国会で審議すべきことだとしています。)、そこのところはご注意ください。 

 この問題について、どういう立場をとるにせよ、意見、反対意見を含めて、判決全体を読んで理解したうえで御議論いただければと思います。 

 判決全文はこちらからPDFで見ることができます。 → 裁判所サイト 

 なお、法務省サイトの以下のページも、この問題を考えるうえでは重要かと思います。特に後者によれば、明治3年に平民にも氏の使用が正式に許され、明治8年に氏の使用が義務化された直後の明治9年には少なくとも法的には夫婦別氏制がとられ、明治31年の旧民法成立で初めて夫婦同氏制が正式なものとなったことが注目されますね。

 → 選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

 → 我が国における氏の制度の変遷

【事案など】

  まず、この事件は夫婦別姓による婚姻届出を行ったが不受理とされた原告(上告人)ら(5名)が、夫婦同氏を定める民法750条(以下、本件規定)は憲法13条、14条1項、24条1項・2項等に違反し、この民法規定を改廃する立法措置を国がとらないという立法不作為の違法を理由として、国家賠償請求を行ったものです。   

 日本の裁判所には違憲立法審査権はありませんので、形式的には金銭請求訴訟の形をとっていますが、この訴訟の目的とするところは、本件規定が憲法違反であることを確認するためのものといっていいでしょう。 

【結論】 

 判決主文は、「本件上告を棄却する。」です。 1審東京地裁、2審東京高裁が、いずれも本件規定は合憲であるとして、原告(上告人)らの請求を認めなかったために、最高裁に上告されたもので、最高裁はこの上告を棄却しました。理由は、本件規定が憲法違反ではなく、違法な立法不作為ではない、ということです。 

 ただし、後記の通り、15名の裁判官のうち、5名が本件規定は憲法違反であるとし、そのうち4名は国家賠償責任が生じる違法性は認められない、として結論的には上告棄却を支持しました。そして、1名の裁判官は国家賠償上の違法性があり原判決を破棄して損害額算定のため本件を東京高裁に差し戻すべきとの反対意見を述べています。 

【判決の概要】 

1 上告理由(憲法13条〔基本的人権の尊重〕違反)について 

  本件規定が、憲法上の権利として保障される人格権の一内容である「氏の変更を強制されない自由」を不当に侵害し、憲法13条に違反する旨の上告理由については、「現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。」として、憲法13条に違反するものではないとしました。 

2 上告理由(憲法14条1項〔法の下の平等〕違反)について 

 本件規定が、96%以上の夫婦において夫の氏を選択するという性差別を発生させ、ほとんど女性のみに不利益を負わせる効果を有する規定であるから、憲法14条1項に違反する旨の上告理由については、「本件規定は、夫婦が夫又は妻の氏を称するものとしており、夫婦がいずれの氏を称するかを夫婦となろうとする者の間の協議に委ねているのであって、その文言上性別に基づく法的な差別的取扱いを定めているわけではなく、本件規定の定める夫婦同氏制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではない。我が国において、夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めることが認められるとしても、それが、本件規定の在り方自体から生じた結果であるということはできない。 」から憲法14条1項に違反しないとしています。 

3 上告理由(憲法24条〔家庭生活における個人の尊厳と両性の本質的平等〕違反)について 

 本件規定が、一方が氏を改めることを婚姻届出の要件とすることで、実質的に婚姻の自由を侵害するものであり、個人の尊厳を侵害するものとして、憲法24条に違反する旨の上告理由については、概略以下の通りに判断しました。 

 まず、「婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法13条,14条1項に違反しない場合に,更に憲法24条にも適合するものとして是認されるか否かは,当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるか否かという観点から判断すべきものとするのが相当である。 」としたうえで、家族の呼称をひとつにまとめることについては合理性が認められ、 本件規定の夫婦同氏制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではなく、夫婦となろうとする者の間の協議による自由な選択に委ねられており、一方で、妻となる女性が上記の不利益を受ける場合が多い状況が生じているものと推認でき、さらには、これらの不利益を受けることを避けるために、あえて婚姻をしないという選択をする者が存在することもうかがわれるが、近時、婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているところ、上記の不利益は、氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るものである、として、直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとは認めることはできず、本件規定は憲法24条に違反するものではない、としました。 

 なお、これに続けて、判決は原告(上告人)らのいう「選択的夫婦別氏制度」についても言及しており、上記の判断は「そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。上記のとおり,夫婦同氏制の採用については,嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、この点の状況に関する判断を含め、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。 」として、選択的別氏(別姓)制度の導入は国会で議論すべき立法的問題であるとしています。 

【反対意見など】 

 本判決には、本件規定が憲法24条に違反するという意見が5名の裁判官から述べられています。 

 そのうち、櫻井龍子裁判官、岡部喜代子裁判官、鬼丸かおる裁判官(以上3名女性)、木内道祥裁判官の4名は、本件規定は違憲ではあるが、国家賠償法上の賠償責任が生ずるまでの立法不作為の違法性はなく、国家賠償請求は認められない、とするもので、したがって結論的には、原告(上告人)らの賠償請求は認容できないので、上告棄却という結論は多数意見と同じとなり、この4名は「反対意見」ではなく、判決上の扱いは「意見」という扱いになります。

 もうひとりの山浦善樹裁判官は、憲法違反で、かつ、立法不作為の国家賠償法上の違法性も認められ、原審を破棄して、賠償金額を算定するために原審東京高裁に差し戻すべきとの「反対意見」を述べています。

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