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2015年11月 5日 (木)

TPPによる著作権非親告罪化と二次創作

 昨日、ITmediaニュースが次のような記事を掲載しています。 

2次創作は非親告罪化の対象外に 文化審議会の小委員会、方向性まとまる 

 現在の日本の著作権法では、著作権侵害の刑事罰のほとんどは親告罪、つまり、著作権侵害行為があっても、著作権者が告訴を行わなければ、公訴を提起することができず、刑事責任を問うことはできません(著作権法123条参照)。 
 二次創作(二次的著作物)の場合も、同一性保持権、翻案権、複製権の侵害として刑罰の対象になる可能性がありますが、いずれも親告罪です。

 これについて、アメリカが海賊版(違法コピー)の規制強化のため、告訴を不要とする「非親告罪」化をTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)において要求していたとされています。 

 この非親告罪化ということになると、これまでいわゆるコミケなどで販売される同人誌等で漫画などを二次創作していた作者たちが、著作権者の告訴がなくても捜査の対象になるのではないかとの危惧があり、それでは、日本の漫画文化を支えてきた活動が萎縮するのではないか、という懸念が出されていました。 

 今回合意されたTPPの協定内容のうち、著作権関連は下に貼り付けておきました(政府資料より[PDF])。   
 このうち、非親告罪化については、故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。」とされており、全ての著作物について非親告罪化を求めるものではないことになっています。   
 そして、上記の記事では、今後の著作権法改正作業では、二次創作については、非親告罪化から外す方向で議論されることとなったようです。   
 今後は具体的にどういったものを非親告罪化から外すように規定するのかが議論になろうかと思います。 

 一般的に多くの刑罰は非親告罪ですが、実際問題、非親告罪であっても、殺人罪であるとかよほど社会的に許容できないような悪質性の高いものは除いて個人法益に対する犯罪の場合は、被害者が刑事処罰を望まない限り、捜査機関が捜査を開始することはあまりないと思います。   
 ただ、著作権者自身が黙認しているような場合でも、捜査されるかもしれないという危惧は二次創作者に対しての萎縮効果としては大きいかもしれませんね。

  [TPP概要(抜粋)]

〇著作権 

著作権に関しては次のルール等が規定されている。 

・著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。 

①自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年 

②自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間 

(i)当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年の終わりから少なくとも70年 

(ii)当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年 

・故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。 

・著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

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コメント

考え方が抜けすぎ。

先行して警察が捜査、検察に書類送検、検察が権利者の意向確認
「権利料を徴収する意向はありましたよね?」
「はい。後は検察警察さんにお任せします」
「権利者の平素の版権収入に比して、影響大と認める」
「中身を見るべき、こんなの公認する気になるのか?被害額を立証しろ!」
「真似を確認出来れば十分。中身なんて見たくもない。その必要はない。法定賠償金よろしく」

公訴提起成立、有罪確定。

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