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2015年10月の記事

2015年10月29日 (木)

不当な訴訟提起として慰謝料請求を認容した判決(長野地裁伊那支部・平27.10.28.)

 本日(29日)の毎日新聞朝刊に、訴訟提起が不当であるとして、反訴において原告に対する慰謝料請求を認容した判決が報じられています。

   太陽光発電所:批判封じの提訴違法 反対住民が勝訴   
   ※ 報道記事は、日数が経過するとリンク切れしますので、ご了承ください。 

 大規模太陽光発電所の建設計画への反対運動を行っていた男性を被告として、発電所設置会社(原告)が6000万円の損害賠償を求めていた訴訟で、裁判所は、この原告会社の損害賠償請求を認めず、逆に、被告男性側からの反訴の慰謝料請求につき50万円を認容したものです。 

 企業などが、その事業活動に反対したり批判したりする市民などに対して、恫喝的に提起する訴訟を「スラップ訴訟」といいますが、この判決は、原告会社の訴訟提起がそのような不当提訴であることを認めたようです。 

 スラップ訴訟としては、近年も、企業や団体が、反対活動を支援する弁護士個人を訴えるなどの事例があります。もちろん、行き過ぎた反対運動などで企業の信用毀損が生じたような場合には、企業としても損害賠償請求を行うこと自体は適法な選択肢としてあることは言うまでもありません。   
 しかし、住民運動などによる表現の自由、報道の自由を不当に抑制する目的の訴訟提起は本件のように不法行為となりえます。このような訴訟提起は当該被告のみならず、他の者の行動、言論などに対しても萎縮的に働きますし、また、仮に損害賠償請求が認められなくても、訴訟に対応するための時間や費用、精神的な負担は大きいものとなります。 

 以前、当ブログでも訴訟提起が不当として争われた事件について書いたことがありますが(スラップ訴訟ではありませんが)、その事件では、不当提訴とは認められず請求棄却となっています。

   → 「不当訴訟提起に対する損害賠償訴訟判決(請求棄却)」(2008.10.28)

 実際には、その訴訟提起がスラップ訴訟といえるかどうかは、微妙な判断となることもあり、こういった判決は珍しいと思いますので、ご参考まで。

【追記】(2016/3/7)
 「消費者法ニュース」106号に「スラップ訴訟」が特集され、上記の太陽光発電計画事件についても、取り上げられています。

   → 「消費者法ニュース106号(特集・スラップ訴訟の実態 ほか)」(2016.2.27)

2015年10月27日 (火)

キャリーバッグによる転倒事故の損害賠償判決(東京地判・平27.4.24.)

 数年前から、駅構内などでキャリーバッグを曳いて歩く人が急増してきたように思います。特に東京駅構内などは、人の流れが一定でなく、しかもたくさんの人が行き交っているため、キャリーバッグはかなり迷惑な存在になっていて、私もヒヤヒヤしながら歩いています。また、駅構内では、行き先が不案内の人もいて、途中で方向転換したり、突然立ち止まったりすることも多いので、余計に危ない状態です。また、バッグをなるべく立てて身体から離れないようにしておれば、危険はかなり減るのですが、腕力のない高齢者や女性などの場合、どうしてもバッグが重いと引きずる形になり身体からバッグが離れますし、コントロールも効かなくなります。 

 そんな中で、判例時報2267号(本年10月21日号)に、キャリーバッグに足を取られて転倒した高齢者が、キャリーバッグを曳いていた人に対して、損害賠償を請求した訴訟の判決が掲載されています(東京地裁平27.4.24判決)。東京のとある私鉄の駅の構内の事件です。 

 この訴訟では、前提として、原告(被害者)の転倒がキャリーバッグによるものかどうかが争点になっています。   
 これについて、裁判所は、原告と被告がすれ違う際に、原告の左足足首付近にバッグがぶつかり、つまづいて前のめりに通路床に転倒、身体の左側を強打したものと認定しました。
 自動車同士の交通事故の場合は双方の車体の損傷具合やスリップ痕が残る場合が多いですし、道路上運行している自動車の動きはある程度限定されますので、事故態様の認定は比較的容易です(もちろん、そうでないのもあります。)。しかし、こういった歩行者や自転車の事故の場合、双方の記憶も必ずしも明確ではないことが多いですし(ちゃんと見てたら事故にならない)、通りすがりの通行人が目撃者として協力して証明してくれることも余り期待できませんので、現実には、ここの事実認定の証明が、まず大きな問題となります。 

 裁判所は、本件事故がバッグによるものとしたうえで、「歩行者が、駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負う」とし、被告はこの注意義務に違反したとして、不法行為責任の成立を認めています。 

 なお、こういった不法行為による損害賠償の場合、一般の交通事故などもそうですが、被害者側の過失の程度に応じて、「過失相殺」による賠償額の減額が認められます。本件では、原告についても、「歩行中は前方及び足下に注意し、特に駅構内のような通行人の多い場所では、対向の歩行者が大量の荷物を持っていたり、キャリーバッグを曳いていることは当然予測できることであるから」一定の過失があり、本件では原告(被害者)の過失割合を25%とするのが相当として、結局、103万円余の損害賠償(治療費、入院雑費、交通費、メガネ修理代、入通院慰謝料、弁護士費用)を認容したものです。 

 いずれにしても、事故が起これば被害者も加害者も大変なのは自動車や自転車の事故と同じですので、注意しないといけませんね。私は、原則としてキャリーバッグは持たないようにしていますし、持つ場合でも人通りが多い場所では、持ち上げるか、身体の横に立てて曳くようにしています。

2015年10月25日 (日)

消費者庁は景品表示法への課徴金導入でお忙しい?

 昨年11月に成立した景品表示法改正、不当表示事案に対して課徴金制度を導入する重要なものですが、まだ施行日は決定されていないようです。   
もっとも、公布日(平成26年11月27日)から1年6月以内とされていますので、遅くとも来年5月中には施行されることとなります。 

 この課徴金の金額算定等に関する政令案について意見募集(パブリックコメント)が消費者庁から出されました。期限は11月18日です。 

  → 景表法改正法施行に伴う政令案に関する意見募集 

 おそらく、この課徴金制度の導入に向けて、消費者庁表示対策課は大変忙しくされているものと思います。関係の皆さんのご苦労は充分に想像できます・・・・・にしても、ここのところの景品表示法の執行状況を見てみると、驚きました。 

  → 景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要の公表(平成27年9月30日現在)(PDF) 

 景品表示法に基づく法的措置件数のうち国(平成21年8月まで公正取引委員会、同年9月以降消費者庁)による件数の推移をみると、 

 ※それぞれ年度(4月から3月まで)です。 

   平成18年  32件      
   平成19年  56件      
   平成20年  52件      
   平成21年  12件(途中で公取委→消費者庁)      
   平成22年  20件      
   平成23年  28件      
   平成24年  37件      
   平成25年  45件      
   平成26年  30件      
   平成27年   2件(4~9月までの6ヶ月間)
 

 公取委から消費者庁に移管された平成21年9月以降、消費者庁の立ち上げのためのバタバタのせいか、パタッと執行が止まり、件数が激減してしまったのが、ようやく公取委時代の水準に戻って来ていました。 

 ところが、今年度に入ってから、5月に優良誤認表示について2件の措置命令(ダイエット食品と中古車)が出されたのみで、その後、5ヶ月間にわたって、1つも措置命令が出されていません。都道府県による執行もゼロで、平成26年度(指示3件)を含めて激減してます。 

 不当表示事案の発生が激減したのが原因であれば喜ばしいことですが、おそらくそんなことはないでしょう。 

 課徴金導入に向けての準備で、法執行どころじゃない、というふうに見えるのですが、いかがでしょうか。なんだか規制を強化するための改正のたびに、法執行件数が減るというのは皮肉です。 

 課徴金の導入に関しても、これによって措置命令・課徴金納付命令に対する事業者側の不服申立が激増する可能性が高く、裁判所で争われることになるため、消費者庁の法執行が萎縮する傾向になることが心配なのですが、くれぐれもそうならないようにお願いします。 

 独占禁止法の課徴金についても、公取委の裁量性導入の話が最近出てきているようです。不当表示事案でも、課徴金について消費者庁の裁量を認める制度のほうが事案に応じて柔軟に執行できるので、私はいいと思うのですが、これは、また別の機会に。

2015年10月20日 (火)

ステマ口コミ投稿に対する損害賠償請求訴訟(米Amazon社)

 アメリカのニュースですが、Amazon社が、自社のサイトに「やらせ」の商品評価を投稿したとして、投稿者1114人に対して、米西部ワシントン州の裁判所に損害賠償請求訴訟を提訴した、と報じられています。記事によれば、提訴は10月16日付とのこと。 

「米アマゾン、「やらせ」評価で提訴 投稿の1114人を」 

「米アマゾン、虚偽の口コミに報復(フィナンシャルタイムズ社説)」 

    ※報道記事のリンクは一定期間後切れるかもしれません。ご了承下さい。※ 

 報道を見ると、ネット上で、高評価のレビューを投稿すると商品提供業者から金銭を受け取れるシステムで投稿者を募集していたということのようですね。いわゆる「ステマ」行為です。 

 ステマについては、既に過去、以下の記事(中でリンクしているのもあります。)を含めて当ブログにおいて、これでもか!というくらい何度も書いてきましたので、詳しくはそちらに譲りますが、口コミを載せているサイト側の運営業者がこういった形で訴訟を起こすというのは面白いですね。日本でもやらないかな。 

ステマ行為と不正競争防止法による偽装表示防止規定(13号)の適用について 〔2013/8/24〕 

ブログのステマ記事と米FTCガイドライン 〔2012/12/22〕

「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の改定(消費者庁) 〔2012/5/ 9〕 

口コミサイトやらせ投稿問題に関する消費者庁長官記者会見要旨(『ステマ』) 〔2012/1/16〕

 

2015年10月17日 (土)

『平成27年改正個人情報保護法のしくみ』(日置巴美・板倉陽一郎著)

 当ブログでも、先日来、個人情報保護法(とマイナンバー法)の改正について触れてきましたが、本年9月3日にようやく成立した改正法(公布は9月9日)についての解説書が出版されました。 

 今回の改正作業に深く関わってこられた日置巴美さん、消費者庁で個人情報保護部門におられたこともある板倉陽一郎弁護士の共著で、しかも、2200円、本文正味150頁と非常に買いやすく読みやすいものとなっています。   
 文章もわかりやすく、既に現行の個人情報保護法を理解されている方にも、また、ひとまず改正の内容を勉強したいという方にも良い本だと思います。

   『平成27年改正個人情報保護法のしくみ』     
         日置 巴美 (著), 板倉 陽一郎 (著) 

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   今回の改正は、大きく2つに分かれており、1つは個人情報保護委員会の新設(特定個人情報保護委員会の改組)であり、その他、法規制の中身(匿名加工情報等々)に関する部分です。そして、この個人情報保護委員会の新設に関する部分は来年1月1日から施行となり、その他の部分は公布(9月9日)から2年以内(未定)とされていますので、改正法による個人情報の規制等が適用されるのは少し先になります。   

 これに関係して、本書を読んで感心したのは巻末の個人情報保護法の条文資料(157頁~)のところです。 

 上記のように、今回の改正については、来年1月1日から施行される部分と公布後2年以内に施行される部分があり、それぞれ重要な部分です。しかし、当然ながら来年1月1日から残り部分施行までの間は、施行部分と未施行部分があるわけです。こういった場合、その時点で施行されている条文の参照が結構面倒な作業になります。   
 その点、本書では、「資料1」として、来年1月1日施行分(個人情報保護委員会の設置)を反映した全条文、「資料2」として、その他の部分が施行された時点での全条文が掲載されています。これは、法律実務家には大変ありがたく、この資料だけでも価値があります。   
 なお、「資料3」は今回の改正法附則抜粋(施行日や経過措置関連)です。

2015年10月16日 (金)

法務省「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」(平成27年10月)

 誤解の多い無期懲役刑の受刑者の仮釈放の実態については、過去に当ブログで2回書いています。 

「無期懲役刑の仮釈放の実態(法務省)」2010年11月3日 

「「23年度犯罪白書のあらまし」と「無期懲役刑の仮釈放の実態」(法務省)」2011年12月1日 

 同様のデータの最新版を、本日、法務省が、「無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について」(平成27年10月)として公表しましたので、あらためて、ご紹介いたします。

   法務省サイト「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」 

 平成17年から平成26年までの過去10年間における無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況の資料が掲載されています。 

 この中に、在所期間が60年以上65年未満の受刑者が仮釈放の申請を出していて、不許可になっているという例があります。私が生まれる前の時代、若い時に重大犯罪を犯して、おそらく80歳を超えてずっと刑務所に暮らしておられるのでしょうね。 

 よく、無期懲役といっても10年くらいで仮釈放される、などという言説が出回ったりしますが、この10年間で在所期間20年未満で仮釈放された受刑者はいませんし、それより長くても、なかなか仮釈放が認められるものではないことがよくわかると思います。 

 平成26年末時点で刑事施設に収容されている無期刑受刑者1,842人のうち、在所期間10年未満の者は706人(38.3%,平均年齢49.5歳)、10年以上の者は1,136人(61.7%,平均年齢60.3歳)です。
 10年以上の者の中には、在所期間40年以上50年未満の者が27人(平均年齢72.3歳)、50年以上の者が12人(平均年齢79.4歳)となっているのです。

その他、いくつかの数字を並べてみますと、 

平成17年から平成26年までの間に 

 無期刑仮釈放者数は,延べ73人(最も多かった平成17年には13人、最も少なかった平成19年には3人)。 

 無期刑新仮釈放者の仮釈放時点における平均受刑在所期間は、平成17年には27年2月、平成22年には35年3月だったが、平成26年では31年4月。 

 10年間に刑事施設内で死亡した無期刑受刑者の数は合計154人。 

 26年末時点の無期刑受刑者は1,842人。 

 仮釈放の審理結果については、平成17年から平成26年までの間に無期刑受刑者に対する仮釈放審理が終結した合計209件のうち、仮釈放を許されたものが46件、許されなかったものが158件、仮釈放審理中に無期刑受刑者が死亡するなどして仮釈放許否の判断がなされないまま審理が終結したものが5件。 

 仮釈放を許された無期刑受刑者の審理終結時における在所期間は、平成17年には26.8年だったが、平成26年には31.8年。
 もちろん、これは仮釈放が認められた受刑者についての在所期間の平均年数なので、無期懲役受刑者全体について仮釈放される平均在所期間ではありません。つまり、無期懲役になった人が平均31年で出て来るという意味ではありません。多くの仮釈放されない受刑者がいますので。

 仮釈放を許された受刑者について見ると、在所期間20年未満で仮釈放を許されたものは0件で、20ー25で5件、25-30で9件、30ー35で25件、35-40で4件、40-45で2件、45-50で1件。

2015年10月 6日 (火)

『アプリ法務ハンドブック』(レクシスネクシス・ジャパン)

 レクシスネクシス・ジャパン「アプリ法務ハンドブック」を共著者のおひとり橋詰卓司さんから送っていただきました。スマホ・アプリではなく、書籍です。
 橋詰さんのブログ「企業法務マンサバイバル」では、私のこのブログも紹介していただいたりして、お世話になっています ( なお、本書の395頁脚注には、当ブログの記事「ステマ行為と不正競争防止法による偽装表示防止規定(13号)の適用について」を引用していただいてます。光栄です。)。

 『アプリ法務ハンドブック』(小野斉大・鎌田真理雄・東條岳・橋詰卓司・平林健吾 共著/レクシスネクシス・ジャパン発行) 

Photo

    

 実は、この本については、既に橋詰さんがTwitterで発売予告をされていて、私自身、内容に大変興味を覚えましたので、すぐにAmazonで購入の予約をしていたくらいですので、大変ありがたいです(amazonさん、すみません、予約キャンセルしましたm(_ _)m)。 

 この本は、スマートフォンやタブレットで動くアプリサービスの企画、開発、運営などに関する法的問題について、主にアプリサービス関連企業の管理部門の方向けに広く解説をした本です(目次は下に貼り付けました。)。   
 私自身は今の所アプリサービスに関する事業についての業務はありませんが、利用者側、つまり消費者サイドからアプリがいろいろと問題になる場面もあり、電子商取引、個人情報、広告表示といった分野は私の関心のあるところでもあります。そして、この本がアプリという側面から、こういった分野を含めた法的問題を解説して、関連企業が健全なアプリサービスを開発、提供することを目的として書かれていることはとても重要なことだと思います。 

 アプリサービスに関する消費者トラブルも増加していますので、関連企業の方だけでなく、消費者問題に携わる法律家、相談員の方々にも役立つものと思います。   

【目 次】   

はしがき   
Introduction アプリサービスチェックリスト   
第1部 アプリ開発フェーズの法律知識   
第1章 アプリ開発前に知っておくべき法律   
Ⅰ 知的財産の保護に関する法律   
Ⅱ 情報セキュリティ・プライバシーに関する法律   
Ⅲ 特定商取引法   
Ⅳ 資金決済法   
第2章 アプリ開発にあたり確認・締結が必要な文書とルール   
Ⅰ デベロッパー規約   
Ⅱ OSS利用規約   
第2部 アプリ提供フェーズの法律知識   
第3章 アプリ利用規約   
Ⅰ アプリ利用規約作成時に考慮すべきアプリサービスの特徴   
Ⅱ アプリ利用規約のトレンド   
Ⅲ 民法(債権法)改正および約款規制議論の影響   
Ⅳ アプリ利用規約サンプルと逐条解説   
第4章 アプリプライバシーポリシー    
Ⅰ アプリプライバシーポリシーに記載する事項   
Ⅱ アプリプライバシーポリシー共通部分のサンプルと逐条解説   
Ⅲ アプリプライバシーポリシー個別部分のサンプルと逐条解説   
第5章 特定商取引法に基づく表示   
Ⅰ 表示内容   
Ⅱ 表示方法   
第6章 資金決済法に基づく表示   
Ⅰ 表示内容   
Ⅱ 表示方法   
Ⅲ 表示時期   
第7章 OSSライセンス表示   
Ⅰ 表示内容   
Ⅱ 表示方法   
第3部 アプリ運用フェーズの法律知識   
第8章 安全性・健全性に関する法律    
Ⅰ 未成年者の契約と取消権   
Ⅱ プロバイダ責任制限法   
Ⅲ デーティング・出会い系に関する規制   
Ⅳ アダルトコンテンツに関する規制   
Ⅴ EC(モール・フリマ・オークション)アプリに関する規制   
Ⅵ ゲームアプリに関する規制   
第9章 広告・キャンペーン・マーケティングに関する法律   
Ⅰ 広告表示に関する規制   
Ⅱ キャンペーンに関する規制   
Ⅲ リワード広告に関する規制   
Ⅳ 友達招待に関する規制   
Ⅴ フリーライドマーケティングに関する規制   
Ⅵ ステルスマーケティングに関する規制   
事項索引   
裁判例索引

2015年10月 4日 (日)

情報ネットワーク法学会・第15回研究大会(11/28・29)

 情報ネットワーク法学会の今年の研究大会の案内が、同学会サイトに掲載されました。 

 まだ分科会の詳細など決まっていないところも多いようですが、お知らせいたします。学会員ではない人も参加料は必要ですが参加できます。 

  → 情報ネットワーク法学会第15回研究大会 

 今年は初めて2日間にわたる学会となりましたね。私も両日参加する予定ですが、毎度のことながら、どの分科会に出るか迷ってしまいますね。

 第15回研究大会開催案内

開催日 :2015年11月28日(土)、11月29日(日)
開催場所:北九州国際会議場 福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目9-30   
参加費用:学会員は無料、一般 1万円、学生 3千円 

~ 開催プログラム ~(予定)

11月28日(土)   

●開場・受付(12:00-12:30)

●総会(12:30-13:00):1階メインホール

●開会挨拶(13:00-13:10):1階メインホール   
     手塚悟 理事長

●2015 Louis D. Brandeis Privacy Awards受賞記念講演(13:10-14:40):1階メインホール   
講師:堀部政男氏(特定個人情報保護委員会委員長、一橋大学名誉教授、本学会フェロー)

○休憩(14:40-14:50)   

●基調講演(14:50-16:20):1階メインホール   
講師:西本逸郎氏(株式会社ラック 執行役員最高技術責任者)   

○休憩(16:20-16:30) 

●分科会1-3(16:30-18:00)   
第1分科会:マイナンバー   
主査:湯浅墾道(副理事長・情報セキュリティ大学院大学)   
登壇者:松元照仁(特定個人情報保護委員会事務局総務課長)   
   
第2分科会:サイバーセキュリティ   
主査:菊池浩明(理事・明治大学)   
登壇者:上原哲太郎(立命館大学)、西本逸郎 (株式会社ラック)   
林紘一郎  (情報セキュリティ大学院大学)   
   
第3分科会:グローバル社会と法情報   
主査:藤本亮(理事・静岡大学)   
登壇者:   
   
●懇親会(18:00~)

11月29日(日)   

●個別報告(9:00-11:50)   
●分科会4-6(13:00-14:30)   
●分科会7-9(14:30-16:00)   
各分科会の開催時間は後日お知らせいたします、   
現在決まっている分科会の内容は以下のとおりです。   
   
分科会:仮想通貨   
主査:山崎重一郎(近畿大学)   
登壇者:岡田仁志 (国立情報額研究所准教授)   
高橋郁夫 (弁護士・駒澤綜合法律事務所) 

分科会:インターネット選挙に向けた展望(インターネット投票分科会)   
主査:湯淺墾道(副理事長・情報セキュリティ大学院大学)   
登壇者:川村和徳 (東北大学) 現在調整中 

分科会:プロバイダ責任制限法関連 主査:壇俊光(弁護士・北尻総合法律事務所)   
登壇者:現在調整中 

分科会:児童ポルノ 主査:深町晋也(立教大学)   
登壇者:奥村徹 (弁護士・奥村&田中法律事務所)   
北村和弘(NTTコミュニケーションズ)、成原慧(東京大学)   
   
分科会:個人情報保護・プライバシー関連   
主査:板倉陽一郎(理事・弁護士・ひかり総合法律事務所)   
登壇者:現在調整中 

分科会:通信の秘密(通信の最適化とGPS情報の提供)   
主査:湯淺墾道(副理事長・情報セキュリティ大学院大学)   
登壇者:現在調整中

2015年10月 3日 (土)

源泉徴収票へのマイナンバー記載の取扱い変更

 当ブログの本年8月5日付記事「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」で紹介しました「判例による不貞慰謝料請求の実務」ですが、週刊「女性自身」最新号(10月18日号)で紹介されるなど話題になっているようですね。   


  さて、いよいよ今月から付番され通知が発送されることになっているマイナンバー(個人番号)ですが、昨日(10月2日)、国税庁のサイトで大きな取扱い変更が発表されました。これは同日付の省令の改正によるものです。 

→ 国税庁サイト   
「本人へ交付する源泉徴収票や支払通知書等への個人番号の記載は必要ありません」(PDF)

  この省令改正前まで(つまり、10月1日まで)は、従業員らに渡す源泉徴収票等について、従業員および扶養家族のマイナンバーを記載しなければならないこととなっていました。 

 しかし、そうすると住宅ローンの借り入れで銀行に所得証明のため源泉徴収票を銀行に渡すというような場合に、マイナンバーを銀行などに提供することとなってしまいます。   
 こういった場合について、特定個人情報保護委員会のQ&Aには「そのような場合に、給与所得の源泉徴収票を使用する場合には、個人番号部分を復元できない程度にマスキングする等の工夫が必要となります。」(Q&A5-3)とされていました(なお、当記事を投稿した時点では、まだこの部分は書き換えられていません。)。    
 もちろん、元々のマイナンバーが記載された源泉徴収票とは別にマイナンバーが記載されていない源泉徴収票を会社が発行することは問題ありませんので、そのような対応を行うことが必要でした。

  これが昨日の省令改正により、従業員に渡す源泉徴収票等(後記参照)については、本人や扶養家族らのマイナンバーを記載しなくてよいということになりました。 

 この源泉徴収票のマイナンバー記載は、我々弁護士としても、(マイナンバー法に関心のある人にとっては)以前から問題となっていました。   
私などは10月1日の夜の会議で、この問題について、この分野の第一人者的な大阪の某弁護士と話をしていたくらいです。

  というのも、源泉徴収票は、法的紛争との関連で、税務や労働関係のほかでも弁護士が取り扱う機会は大変多いのです。   

 多くは、収入を証明する書類として利用する場合で、交通事故や傷害事件、医療過誤などの損害賠償事件の場合の損害立証のケースはもちろん、家事事件でも、養育費や婚姻費用の算定など、依頼者や第三者の収入を証明しなければならないことは日常茶飯事なので、マイナンバーが記載された源泉徴収票を受け取ったり、裁判所やADR機関(交通事故紛争処理センターなど)に提出したりする場合に、マイナンバーの取得、提供が許される事務に該当せず、どうすればよいのか、という点が(マイナンバー法19条12号の解釈などを含めて)未解決のままだったわけです。マイナンバー不記載のものを再発行できるとしても、例えば、退職した企業のマイナンバー入りの源泉徴収票はあるが、その会社が協力しないとか倒産して存在しない場合はマイナンバーの記載していない源泉徴収票を再発行してもらうことは困難であるという点もありました。

  それが、上記の省令改正の方針大転換で、源泉徴収票等についての悩ましさの大部分はなくなりました。 

 ただし、その他、事案によっては、マイナンバー記載の書類(住民票を含む)を使わざるを得ないケースというのはいろいろと考えられます(会社側の源泉徴収票、支払調書の控えを書証で使うなど、マイナンバーが記載された社内の資料もあるかもしれませんし、レアケースでしょうけど、マイナンバー記載の住民票などにメモの記載があって、そのメモが重要な書面であるとか)。
 そういった場合は、やはり依頼者らからの取得や裁判所などへの提出については、弁護士として取扱いに気をつける必要はあります。

 なお、このような大転換がありましたので、これまで書かれていた記事、ブログなどで、現時点では間違いとなる記載のものが多くあります。ご注意ください。

 

【今回、マイナンバーの記載が不要とされた書類】

  (※下記のうち、給与などを受ける人に交付する書類に限られます。)   

 ・給与所得の源泉徴収票   
 ・退職所得の源泉徴収票   
 ・公的年金等の源泉徴収票   
 ・配当等とみなす金額に関する支払通知書   
 ・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書   
 ・上場株式配当等の支払に関する通知書   
 ・特定口座年間取引報告書   
 ・未成年者口座年間取引報告書   
 ・特定割引債の償還金の支払通知書

2015年10月 2日 (金)

『危機管理広報の基本と実践』(浅見隆行弁護士・中央経済社)

 偽装メニュー問題や最近のフォルクスワーゲン、東芝などの事件を持ち出すまでもなく、以前から、企業の不祥事などは跡を絶ちません。もちろん、企業ぐるみの故意的な不正行為などはあってはならないですが、うっかりミスや一部従業員の不正行為というのは、企業が努力していても、必ずしも完全には防げません。 

 したがって、不祥事発生防止の方策は充分に整えなくてはなりませんが、一方で、残念ながら、不祥事が発生した場合の対応も平常時から考えておく必要があります。不祥事が発生してから、泥縄的な対応をするようでは、火に油を注ぐような結果となって、ますます大きな問題となり、企業自身も経済的な損害や信用の損失が拡大することになりかねません。 

 大企業のみならず、理研のような研究機関や、SNS炎上事件の舞台となった飲食店なども同様ですが、不祥事後の対応が、結果的に組織の存亡に関わった事案もあることは御存じの通りです。 

 このような危機管理、リスクマネジメントの中で、現在は危機管理広報の役割も非常に大きなものとなっています。不祥事後のテレビや新聞、雑誌などのマスコミ対応、インターネットの掲示板やSNSでの情報伝達対応など、さまざまなことを考えておく必要があります。   
私も、大企業から訴訟を提起され、新聞などに発表された事案で、相手方企業の代理人として、法的対応はもちろん、マスコミなどの広報対応にも関わりましたが、限られた時間の中で先の見通しを立てながら臨機応変に対応していくのは大変です。 

 テレビを見るほうは気楽ですが、突然起こった不祥事報道で、多くの報道陣の前でフラッシュをたかれ、テレビカメラで全国に報じられるという状況で、きちんと冷静に対応するというのは、いざ当事者になってみれば簡単なことではありません。それだけに、普段から、そういった場合の対応について考えておく必要があります。 

 そんな中、危機管理について詳しい浅見隆行弁護士が、危機管理広報についての実践的なマニュアル本を出版されました。 

危機管理広報の基本と実践 (浅見隆行弁護士・中央経済社)  Photo

   私も早速購入して目を通しましたが、記者会見のやり方やSNS対策などについて非常に具体的なノウハウがわかりやすく書かれています。 

 弁護士ももちろんですが、企業の管理部門、そして、経営者も読んでおかれることをお薦めします。特に昨今の各種の事案での記者会見その他を思い起こしながら読まれれば興味深いものとなると思います。

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