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2015年10月27日 (火)

キャリーバッグによる転倒事故の損害賠償判決(東京地判・平27.4.24.)

 数年前から、駅構内などでキャリーバッグを曳いて歩く人が急増してきたように思います。特に東京駅構内などは、人の流れが一定でなく、しかもたくさんの人が行き交っているため、キャリーバッグはかなり迷惑な存在になっていて、私もヒヤヒヤしながら歩いています。また、駅構内では、行き先が不案内の人もいて、途中で方向転換したり、突然立ち止まったりすることも多いので、余計に危ない状態です。また、バッグをなるべく立てて身体から離れないようにしておれば、危険はかなり減るのですが、腕力のない高齢者や女性などの場合、どうしてもバッグが重いと引きずる形になり身体からバッグが離れますし、コントロールも効かなくなります。 

 そんな中で、判例時報2267号(本年10月21日号)に、キャリーバッグに足を取られて転倒した高齢者が、キャリーバッグを曳いていた人に対して、損害賠償を請求した訴訟の判決が掲載されています(東京地裁平27.4.24判決)。東京のとある私鉄の駅の構内の事件です。 

 この訴訟では、前提として、原告(被害者)の転倒がキャリーバッグによるものかどうかが争点になっています。   
 これについて、裁判所は、原告と被告がすれ違う際に、原告の左足足首付近にバッグがぶつかり、つまづいて前のめりに通路床に転倒、身体の左側を強打したものと認定しました。
 自動車同士の交通事故の場合は双方の車体の損傷具合やスリップ痕が残る場合が多いですし、道路上運行している自動車の動きはある程度限定されますので、事故態様の認定は比較的容易です(もちろん、そうでないのもあります。)。しかし、こういった歩行者や自転車の事故の場合、双方の記憶も必ずしも明確ではないことが多いですし(ちゃんと見てたら事故にならない)、通りすがりの通行人が目撃者として協力して証明してくれることも余り期待できませんので、現実には、ここの事実認定の証明が、まず大きな問題となります。 

 裁判所は、本件事故がバッグによるものとしたうえで、「歩行者が、駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることがないよう注意すべき義務を負う」とし、被告はこの注意義務に違反したとして、不法行為責任の成立を認めています。 

 なお、こういった不法行為による損害賠償の場合、一般の交通事故などもそうですが、被害者側の過失の程度に応じて、「過失相殺」による賠償額の減額が認められます。本件では、原告についても、「歩行中は前方及び足下に注意し、特に駅構内のような通行人の多い場所では、対向の歩行者が大量の荷物を持っていたり、キャリーバッグを曳いていることは当然予測できることであるから」一定の過失があり、本件では原告(被害者)の過失割合を25%とするのが相当として、結局、103万円余の損害賠償(治療費、入院雑費、交通費、メガネ修理代、入通院慰謝料、弁護士費用)を認容したものです。 

 いずれにしても、事故が起これば被害者も加害者も大変なのは自動車や自転車の事故と同じですので、注意しないといけませんね。私は、原則としてキャリーバッグは持たないようにしていますし、持つ場合でも人通りが多い場所では、持ち上げるか、身体の横に立てて曳くようにしています。

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