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2012年1月29日 (日)

非嫡出子相続差別規定についての新判決(名古屋高裁)

 裁判所サイトに、非嫡出子の相続分、遺留分を嫡出子の2分の1と規定する民法900条4号ただし書、1044条についての名古屋高等裁判所の判決が掲載されてました。

 名古屋高等裁判所 平成23年12月21日判決
                遺留分減殺請求控訴事件

 この問題については、当ブログでは、昨年2度にわたり取り上げています。

 → 「非嫡出子(婚外子)の相続分についての最高裁大法廷判決が出なくなった件など」
                             (11/3/17)

 → 「非嫡出子の相続差別規定の違憲判断(大阪高裁)」(11/10/4)

 今回の名古屋高裁判決の事案の内容は、判決文によると、

 本件は,被相続人γ(以下「亡父」という。)の子である控訴人が,遺産をすべて妻であるεに遺贈する旨の亡父の遺言は控訴人の遺留分を侵害するところ,非嫡出子の相続分及び遺留分を嫡出子の2分の1と定める民法900条4号ただし書1044条の規定は憲法14条1項に反して無効であり,嫡出子と同じ遺留分を有すると主張して,εの相続人である被控訴人らに対し,遺留分減殺請求権に基づき,①亡父の遺産である土地について所有権の一部移転登記手続を,②同未登記建物について共有持分を有することの確認,③同郵便貯金及び証券について準共有持分を有することの確認,④同預金の解約金の返還を求める事案である。

 原審は,民法900条4号ただし書憲法14条1項に反しないから,控訴人の遺留分が嫡出子の2分の1であるとし,その限度で控訴人の各請求を認容し,その余の請求を棄却したため,控訴人が控訴した。

 なお,相続人の一人であるβも,原審において,原告として,遺留分減殺請求権に基づき,上記①ないし④を求めていたが,βは控訴しなかったため,同人に対する判決は確定した。

というものです。

 この事案において、名古屋高裁は、本件規定民法900条4項ただし書)等自体は憲法14条1項違反ではないとしつつ、以下の通り、本件事案のような、従来一度も婚姻したことがない状態で出生した非嫡出子について、平成16年4月当時において規定を適用することは、その限度で憲法14条1項に違反し無効だとしています(いわゆる適用違憲)。

 少なくとも,平成16年4月当時(本件相続が開始した当時)において,被相続人が1度も婚姻したことがない状態で被相続人の非嫡出子として出生した子について,被相続人がその後婚姻した者との間に出生した嫡出子との関係で本件規定を適用することは,本件規定の前記立法理由をもって正当化することは困難であり,本件規定の適用により生ずる前記のような差異を合理的理由のあるものとして支持するに足りなくなったというべきであるから,上記のような状態で出生した非嫡出子について本件規定を適用する限度で,本件規定は憲法14条1項に違反して無効というべきである。

 本件規定による相続分が被相続人の遺言がない場合の補完的な規定であるのに対し,本件規定を準用する民法1044条は被相続人の遺言の自由をも制約する強行規定であるなどの相違はあるものの,本件規定を準用する民法1044条も,本件規定の立法理由である法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図るとの同一の立法理由に基づくものと解されるから,本件規定に関する上記エの説示は,本件規定を準用する同条についてもそのまま当てはまるものである。

 したがって,平成16年4月当時において,被相続人が1度も婚姻したことがない状態で被相続人の非嫡出子として出生した子について,被相続人がその後婚姻した者との間に出生した嫡出子との関係で,本件規定を準用する民法1044条を適用することは,その限度で憲法14条1項に違反して無効というべきである。

 つまり、規定が非嫡出子を嫡出子と違う扱いをしていること自体は、違憲とまではいえないが、本件のような具体的なケース内容の場合に適用することは違憲である、との判断を示したものです。私としては、このような限定的な違憲判断をする必要があったのか疑問に思います。

 また、この高裁判決の違憲判断を前提とすれば、個々具体的なケースの内容によって、判断が異なることとなり、実務上もかえって混乱するのではないか、という問題も生じますね。

【追記】(2/3)

 今朝の朝日新聞によれば、この名古屋高裁の判決については上告がされなかったということで確定したようです。昨年の大阪高裁決定も最高裁に特別抗告がされずに確定しているようなので、最高裁の判断がされる機会はまだまだのようですね。 

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