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2011年12月 9日 (金)

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」(消費者庁)

 消費者庁が、検討作業を進めている集団的な消費者被害回復のための新たな訴訟制度について、来年の通常国会への法案提出に向け、その制度の骨子を公表しました。
 この骨子について、広く意見を募集し、また、説明会(12月19日(月))を開催するということです。意見募集期間は12月28日(水)必着とのことですので、関係団体などは意見のまとめが大変かもしれませんね。せめて1か月の期間がほしいところです。団体として意見を決定するためには諸手続も必要ですし。

 → 消費者庁サイト

「集団的消費者被害回復に係る訴訟手続の概要」についての意見募集及び説明会について

 さて、検討されている制度は、消費者が事業者との取引において被害を受けた場合でも、その金銭的な損害を回復するために訴訟をしようとしても、費用や労力の面で個々の被害者が訴えを提起することは困難なことが少なくないことから、集団的消費者被害の場合に、簡易・迅速に消費者被害の回復を図ることを可能とする二段階型の新たな訴訟制度です。

 つまり、まず一段階目の手続として、「特定適格消費者団体」が訴えを起こし、多数の消費者と事業者との間に共通する争点(共通争点)について確認する判決を得ます。そして二段階目の手続として、「特定適格消費者団体」の通知・公告により、被害を受けた個々の消費者が手続へ加入し、「特定適格消費者団体」が事業者に対し請求する金額等を取りまとめて裁判所に提出して、事業者によるその金額等に対する認否等の手続を経て、個々の消費者に対する最終的な返還金額を決めていくというものです。一段階目の手続の判決の効力が、二段階目の手続に加入した消費者にも及ぶわけです。従来の民事訴訟手続の中間判決のイメージかもしれません。

 ここでいう「特定適格消費者団体」は、現行の「適格消費者団体」(消費者契約法に基づき内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体。現在は全国に9団体。)に、新制度を実施する事務に対応する要件を追加して改めて認定を行い、その認定された「適格消費者団体」を、「特定適格消費者団体」とするものです。

 この新訴訟制度の対象となる事案は、消費者と事業者との間に消費者契約が存在する場合で、消費者の事業者に対する以下の1~4の請求権です。
 ただし、金銭の支払を目的とするものに限られ、3,4については、契約の目的(内容や対象)について生じた損害に係るものに限られ、人の生命・身体に損害が生じたときの当該損害に係るものを除くものとされています。
 現行の適格消費者団体による消費者契約法などに基づく団体訴訟は、差止め請求だけしかできませんでしたが、新制度は、金銭的な請求までできることが大きなポイントです。

  1.  消費者契約が無効等の場合の不当利得返還請求権(いわゆる詐欺的商法など契約そのものが無効である場合、契約条項が無効である場合など)
  2.  消費者契約に基づく履行請求権(消費者が売主となる物品の売却契約において、不当な契約条項に基づき売却代金支払を拒絶する事業者に対し、消費者が支払を請求する場合など)
  3.  消費者契約の締結又は履行に際してされた事業者の民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権(不当勧誘事件のうち、パンフレットに基づく勧誘など多数の消費者に対する勧誘態様が共通しているもの、など)
  4.  消費者契約に債務不履行等がある場合の損害賠償請求権(商品の品質が不良である場合など)

 この制度の創設により、消費者にとっては、一段階目の手続で「特定適格消費者団体」が勝訴した後、ある程度勝訴の見込みを立てて、二段階目の手続から加入することができるため、被害を簡易・迅速に回復することができるというメリットがあります。また、事業者にとっても、個別の訴訟が多数起こされる場合に比べ、紛争を効率的に解決できるというメリットがあると、消費者庁は説明をしています。

 アメリカのクラスアクションと同じようなメリットを狙うものですが、「特定適格消費者団体」としては、これまでの差止め請求訴訟よりも種々の負担がかかることになります。したがって、この制度の実効性をあげるためには、「特定適格消費者団体」の組織的な基盤(特に経済的、人材的な面)の強化が必須ですが、そういった面の支援をどうするのか、という点も重要な問題かと思います。

 なお、日本弁護士連合会(日弁連)は、12月24日(土)13時~16時30分に、大阪弁護士会館(大阪市北区西天満)にて、シンポジウム「消費者法の課題と展望Ⅲ~消費者法の『かたち』を考える~」を開催しますが、ここでも、この新制度が取り上げられ、この点に関しては、野々山宏国民生活センター理事長による基調講演が予定されています。入場無料ですので、関心のある方はお越し下さい。私も出席する予定です。

 → 日弁連サイト
  「シンポジウム「消費者法の課題と展望Ⅲ~消費者法の『かたち』を考える~」

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