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2011年8月の記事

2011年8月29日 (月)

安愚楽牧場への出資者向け説明会(9/7・大阪弁護士会)

 和牛委託オーナーシステムの事業を運営していた「株式会社安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)」が支払停止となり、8月9日に東京地方裁判所に民事再生手続開始を申し立てたことは既に報道されています。また、同社による出資者向け説明会も神戸と東京で先日開催されました。

 この安愚楽牧場のシステムは、黒毛和牛の売買と飼育委託の名目で出資を募り、その出資者は、生まれた子牛の買取代金の名目で毎年配当を受け取ることができるうえ、契約期間が満了すると出資額と同じ金額で牛を買い取ってもらえるということで、高配当が得られ、実質的な元本保証があるという内容で、全国約7万人の出資者を集めていたものです。

 今回の民事再生手続申立は、会社側によれば大震災の被害が原因としているようです。
 しかし、実は、こういったシステムの会社については、和牛預託商法として以前も大きな社会的な問題になり、法改正などによって多くの業者は破綻して消えていきました。また、一部の経営者は出資法違反や詐欺罪で刑事責任まで問われています。その中で、唯一、ここは生き残りとなっていました。

 既に各地の弁護士会などで出資者への説明会や弁護団の結成などが行われているようですが、大阪弁護士会でも被害者説明会を開催することになっていますので、ご紹介します。なお、現時点での情報による限りは、民事再生手続によっても出資者に返還される金銭の有無、配当割合については厳しいと言わざるを得ません。大阪以外での各地での説明会等の有無、日程、弁護団結成の状況などについては、地元の弁護士会にお問い合せください。

 また、安愚楽牧場の出資者に対して、電話などで、出資金が取り戻せるなどといって、先に費用を支払わせる悪質な商法の相談も多いとのことですので、充分にお気を付け下さい。

 → 大阪弁護士会
    「安愚楽牧場の民事再生手続にともなう出資者説明会」

  日 時  9月7日( 水)午後6時~(受付午後5時30分)
  場 所  大阪弁護士会館2階ホール(大阪市北区西天満1-12-5)
                     ※ 車での来館不可)

(参 考)

 → 国民生活センター「安愚楽牧場に関するトラブル速報!第1弾」

 → 会社のホームページ

 → 民事再生申立代理人弁護士による情報開示ページ

【追 記】(8/29)
 本日、東京の被害対策弁護団が、この民事再生手続に関して、東京地裁に「管理命令」を出すことを求める申立を行ったようですね。
 この管理命令は、民事再生手続を会社側に任せるのではなく、裁判所に選任された管財人が財産管理と行うようにするものです。会社に任せると財産が散逸、毀損する可能性があると判断しての申立と思われます。

【追 記】(8/29)
 被害対策の弁護団が各地でぼちぼちと立ち上がっているようです。
 報道などで私がわかる範囲で弁護団が発足、又はその方針であるのは(間違いがあればご指摘ください)、栃木、東京、埼玉、千葉、栃木、静岡、兵庫などでしょうか。大阪でも弁護団が立ち上がるというように聞いています。また、他の地域でも弁護団結成の検討をしている所があるようです。

【追 記】(9/9)

 上記の国民生活センターの情報提供の第2弾が出ました。
 → 国民生活センター「安愚楽牧場に関するトラブル速報!第2弾」

2011年8月26日 (金)

「国民生活センターの在り方の見直しについて」(消費者庁)

 今日は昼から、日本知的財産仲裁センター関西支部などが主催するセミナー「デザインに関する知財、法律問題について」(神戸)に参加してきました。
 デザインに関する法律問題に関しては、私もファンシー文具等の商品のイラストや各種商品の外観の類似問題などについて、相談を受けたり、交渉したり、時には裁判に関与したりなどすることがありますので、興味があって参加してきたものです。法的には、不正競争防止法著作権法意匠法などが関係してきますね。

 さて、本日、消費者庁国民生活センターが検討を続けていた国民生活センターの存続問題について、国民生活センターの各機能を基本的に消費者庁に移管し、平成二十五年度の一元化を目指すとのタスクフォース取りまとめが行われました。独立行政法人となっている国民生活センターを、消費者庁の内部に統合する、というものです。
 → 「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ」
                                 (PDF)

 しかし、これを受けた政府の政務三役(細野担当大臣、副大臣、政務官)の協議の結果、この問題については、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に沿って更に検討を進めることとし、先行的に取り組める事項については「試行」を実施するほか、第三者を含めた検証の機会も設けた上で、政府の独立行政法人改革の動きを視野に入れて、然るべき時期に政務としての判断を行うこととした、と細野担当大臣が記者会見で述べています。すなわち、上記の取りまとめの結論が保留されたというわけですね。
 → 消費者庁サイト「国民生活センターの在り方の見直しについて」(PDF)

 これに対して、日本弁護士連合会(日弁連)は、消費者庁国民生活センターの統合方針を掲げたタスクフォース取りまとめの結論を遺憾とし、その後の政務三役の保留方針を高く評価する意見を出しています。

 → 日弁連「消費者庁による「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスク
       フォース取りまとめ」に対する日弁連コメント」

 なお、ご存じの通り、全国の多くの地方自治体に「消費者センター」「消費生活センター」などの名称で、住民に対する消費者行政サービスを行っている機関があります。誤解する人も多いのですが、これらの機関は、それぞれの自治体の機関であり、「国民生活センター」の地方出先機関や内部組織ではありません。もちろん、消費者行政に関して密接な関係はあるわけですが、組織的には全く別です。
 なので、国民生活センターが仮に廃止されるとしても、各地の消費者センター、消費生活センターがなくなるということではありません。

2011年8月18日 (木)

円天(L&G)商法の広告塔責任の東京地裁判決(22.11.25)

 昨年11月の判決で、判決の報道があったことは少し当ブログでも書いていたのですが、判決文がちょっと前の判例時報に掲載されましたので、改めて記事にしました。

 平成22年11月25日東京地裁判決 判例時報2103号64頁~

 事案は、(株)L&G「円天」事業に出資した人たちが、この商法が大規模な組織的詐欺であり不法行為であるところ、L&Gの全国大会などでコンサートを行ったりDVDに出演していた有名芸能人を被告として、L&Gやその投資商品を宣伝して信用性を高め出資をさせるなどさせたのはL&Gとの共同不法行為、または、少なくとも幇助に当たるとして損害賠償の支払を求めたものです。

 このような芸能人などの広告塔責任については、原野商法における推奨により損害賠償が認められた高田浩吉事件(大阪地判昭和62年3月30日)以外には、認められた判決はないと思われます(抵当証券事件に関して元力士に対する東京地判平成6年7月25日など)。今回の判決も結論として、広告塔責任を認めませんでした(なお、原告側は控訴したようです。)。

 この判決は、前提として、L&G商法が不法行為を構成することを認めたうえで、被告がL&Gの主催する多数のコンサートに出演したり、会員に配布されたDVDで商品を推薦する発言をするなどして、L&Gやその商品に対する信頼をそれなりに高める結果となったことは認定しています。

 しかし、判決は、
被告のコンサートでの発言は、本件全証拠によっても、A(L&G代表者)と時々食事やゴルフに行ったことがあること、Aを「おやじ」と呼んだこと程度であって、本件全証拠によっても、それ以上にL&Gやその投資商品と密接な関係を有することを示すような具体的発言は、認められないといわざるを得ず、被告がコンサートに出演したことやそこでの発言が、原告らが主張するように、積極的にL&Gを推奨したとまでいえるものとは認められない。
として、コンサートやDVDに出演するなどした行為が、直ちに不法行為や幇助に当たるとはいえないとしました。

 また、原告らが「著名な芸能人として自己の影響力が不当に利用されないよう配慮すべき義務等があるのに、故意又は過失によりこれに違反した旨」主張した点について、判決は、L&G商法の詐欺性についての被告の故意は否定しました。
 過失については、
芸能人等有名人が、広告に出演する場合に、広告主の事業内容・商品等について、常に調査をしなければならないという一般的な注意義務を認めることは、過度の負担を強いるものであって、相当でないというべきである。有名人が、広告に出演する場合に、調査義務を負うか否か及びその程度等については、個別具体的に、当該有名人の職業の種類、知名度、経歴、広告主の事業の種類、広告内容などを総合して判断すべき」とし、
認定事実を総合すれば、
被告が、L&Gの主催するコンサート等に出演するに当たって、やや注意を欠くところがなかったとはいえないとしても、L&Gから依頼されたのは、あくまでもコンサートに出演することであり、また実際にL&Gを宣伝するような行為を行っていないことや、出資者らが被告のコンサートを見聞することと、実際に出資することとの間には直接の関連性が認められないことなどからすれば、被告がコンサートに出演するに当たり、L&Gの事業内容や信用性をあらかじめ十分に調査・確認した上でなければ、コンサートに出演してはならないという一般的な法的義務があるとは直ちには認められない
他方で、L&Gに対する出資と広告に対する信頼が全く無関係とまではいえないのも事実であり、出資者らの広告に対する信頼を保護する必要性からすれば、L&Gを事実上広告することになるコンサート等に出演する被告としては、L&Gの商法に疑念を抱くべき特別の事情があり、出資者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、又は予見し得た場合には、L&Gの事業実態や経済活動等について調査・確認をすべき義務があるというべきであり、かかる調査・確認を怠った場合には過失があるというべき」としたうえで、本件の具体的事情の下では、被告が、L&G商法の具体的な仕組みなどについて認識していたとは認められず、疑念を抱くべき特別の事情があったとまではいえないとして、過失を否定しました。

 余談ですが、上記判例時報のコメント中に「事業者が事業を展開するに当たって著名人を宣伝広告のため様々な媒体、機会に利用することは日常的に見られるところである(近年は、弁護士のテレビ等の広告にも著名人を利用する事例が見られる。)。」とあるのですが、括弧書きを入れたのはどういう意味でしょうね(苦笑)。 

2011年8月15日 (月)

『優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析』(長澤哲也)

 本の紹介が続きますが、ご容赦下さい。それも同じ出版社ですが、別に宣伝を頼まれたわけではありません(笑)

 大阪の独占禁止法専門家として活躍されている長澤哲也弁護士の新著です。長澤弁護士は、私どもが長年続けている有志の勉強会「独禁法・公正取引研究会」の講演会の講師にもお招きしたことがあります。

『優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析』長澤哲也
                      (商事法務)

 最近の独占禁止法の改正で、独占禁止法の禁止する「不公正な取引方法」の内、これまで一般指定告示で定められていたもののいくつかが法律本体に直接規定されました。その一つが「優越的地位濫用」で、新たに課徴金の対象ともなり、先日、その第一号適用として山陽マルナカに対して課徴金約2億円の納付が命ぜられたことは当ブログでも紹介したところです。また、昨年11月には、公正取引委員会から「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」というガイドライン(この本の巻末にも掲載)も公表されています。
 以前の当ブログ記事は、 ↓
 →「山陽マルナカに対する排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)」
                            (11/6/22)
 →「「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表(公取委)」
                           (10/11/30)

 また、下請法(正式には「下請代金支払遅延等防止法」)も、下請取引における優越的地位濫用行為を規制する法律で、独占禁止法と同じく公正取引委員会の所管となっています。

 今回の長澤弁護士の著作は、今後、この優越的地位濫用下請法の違反行為に対する取り締まりが厳しくなると思われるだけに、企業の法律実務法務に関して極めて有用なものです。抽象的な法律の条文を見ただけでは判りにくい分野であるだけに、公正取引委員会の運用基準やガイドラインなどについて、優越的地位濫用下請法の両方に渡って整理されているだけでなく、両者を別異に順次解説せず、具体的な違反行為の類型から説明がなされているので、特に企業実務では使いやすい構成となっていると思います。

2011年8月12日 (金)

『情報ネットワーク・ローレビュー』第10巻届きました(情報ネットワーク法学会)

 世間はお盆休みに入ってきたようで、大阪市内西天満にある私の事務所の周辺では、人も車もずいぶん少なくなっています。
 今日午前に裁判の関係で打ち合わせに来られた人と、仕事関連の雑談をしていたら、こんな話をしておられました。原発事故の関係で、西日本でも原発が再稼働できないので、水力発電にも頼らざるを得ず、本来であれば、水力発電所のメンテナンス関連の仕事があるはずなのに、水力発電所を止められないので仕事が来ないので大変だというような内容です。原発事故がいろんなところへ影響を与えているのですね。

 さて、先日、情報ネットワーク法学会「情報ネットワーク・ローレビュー」第10巻(商事法務)が届きました。昨年12月の成城大学での研究大会の内容が中心で、クラウド・コンピューティングが一つのテーマとなっています。他のテーマも含めて内容が盛り沢山で、とても全部目を通し切れてはいません。

 届いたのは会員向けの送本でしたが、一般販売開始はお盆明けで、現時点では、Amazonでも予約受付段階のようですね。

 「クラウド」といっても種々ありますが、一般企業もかなり利用してきており、今後これをめぐる法律的・実務的な問題も惹起してくることは確実です。例えば、クラウド事業者の廃業、倒産の場合のデータの問題、刑事上の捜索差押えの問題など、すぐにでも生じかねない問題をはらんでいることになります。

 その中で、弁護士としての眼から見た法的リスクの問題を、吉井和明弁護士(大分弁護士会)がコンパクトにまとめておられる「クラウド・サービスにおける法的リスク分析-利用者の視点から」は、我々法律実務家にとって有用な報告ですし、同じような意味で、パネルディスカッション「クラウド・コンピューティングの法的課題」(パネリスト:夏井高人明大教授・町村泰貴北大教授・森亮司弁護士)の記録も大変参考になります。

 なお、今年の情報ネットワーク法学会の総会・研究大会は、10月15日に北海道大学とのことですね。
 → 開催案内はこちら

2011年8月11日 (木)

ゆるキャラ着ぐるみ著作権問題と平成23年度司法試験合格発表方法公表

 山口県宇部市のゆるキャラ「エコハちゃん」の着ぐるみが、ポケモンのピカチュウに似ているという問題は、どうやら市側もまずいと考えたようで、結局、着ぐるみは使用しないということで決着したようです。あのようなキャラクターを制作する場合には、今の時代、著作権はもちろん、他の商標権意匠権と重ならないか、あるいは不正競争防止法違反行為に当たらないかなど、専門家も入れて充分に調査、検討をしなければなりません。でないと、場合によっては紛争になり、金銭的にも大きな負担となる危険があります。最近のゆるキャラブームで各地いろいろなゆるキャラが登場していますが、中には危なそうなのもあるような気もします(苦笑)

 さて、司法試験の合格発表日も近づいてきて、本日、法務省が合格発表の詳細を公表しました。例年のごとく、合格発表に関してネットで検索して、当ブログへ迷い混まれる方々も少なくないので、恒例の道しるべ記事といたします。概要は以下の通りです。
 → 法務省サイト 公表ページ

【追記】(9/8)いよいよ本日ですね。たぶんこっちのリンクから探すほうがいいと思います。

    → 法務省サイト「新司法試験の結果について」

 平成23年新司法試験の合格発表日時等について(概略)

発表日時  平成23年9月8日(木) 午後4時

  • インターネット法務省ホームページ( http://www.moj.go.jp/ )
  • 掲示法務省司法試験合格発表掲示板(日比谷公園側祝田橋交差点付近)ほか6カ所

    ※ 拡大掲示については発表当日のみ。翌日以降は,同掲示板にて通常掲示を官報公告までの間行います。

2 発表内容 合格者の受験番号

3 試験地ごとの合格発表掲示場所一覧(略)

   ※ 電話による合否に関する問い合わせには一切応じません。

4 官報公告 9月29日(木)に合格者の受験番号及び氏名を官報に公告

5 合格通知書兼成績通知書発送  平成23年9月下旬

6 合格証書授与 平成23年9月下旬

   ※ 手続については合格通知書でお知らせします。

2011年8月 9日 (火)

短歌・俳句の掲載商法業者に業務停止命令(特定商取引法)

 以前、当ブログで、短歌や俳句を趣味とする高齢者をターゲットにして、新聞などに掲載させ、後で高額の掲載料を要求するという悪徳商法について、国民生活センターが注意を呼びかけていることを紹介いたしました。
 → 「高齢者への短歌・俳句の掲載料商法(国民生活センター)」(10/4/13)

 どうやら、この関係の業者と思われますが、本日、消費者庁は、自社ホームページ、新聞折り込み等への絵画、短歌等の作品の掲載を行う役務提供事業者である5社に対して、特定商取引法23条1項に基づき、9か月間の業務停止命令(電話勧誘販売に関する業務の一部)出しました。

 また、あわせて消費者庁は、5社に対し、同法22条に基づいて、

・絵画、短歌等の作品のホームページへの掲載、新聞折り込みに関する役務 の対価について、実際は有料の広告掲載であるにもかかわらず、無料であるなどと告げていたことがあること。
・その後、実際には消費者が無料であることなどを前提に作品掲載を承諾しただけであるにもかかわらず、有料での広告掲載契約が成立していると告げて勧誘をしていたことがあるが、それは虚偽であること。

を本件役務提供契約を締結した者に通知することを指示しています。

 → 消費者庁サイト 公表資料(PDF)

 この5社は、アートライフ株式会社 (東京都立川市)、現代通信株式会社 (東京都立川市)、株式会社東宝堂 (東京都立川市)、株式会社東広通信 (東京都立川市)、株式会社アドクリエイト(東京都立川市)です。どの会社もどこかで聞いたことがあるかのような名称ですが、いずれの会社も立川市内の同一の事務所に所在しているとのことですので、実際には同一の営業実態かと思われますね。
 5社は、絵画や短歌等を趣味とする高齢者(平均年齢75歳)に電話をかけて、絵画や短歌等の作品を有料で自社HP等に掲載するというサービスの提供について、勧誘する消費者の情報等を共有し、相互にタイミングを謀りつつ、電話勧誘販売を行っていた、とのことですが、後で、有料の契約が成立しているなどといって、広告料の請求をするなどしていたようです。

 認定された違反行為は、特定商取引法で禁止されている不実告知、勧誘目的等不明示、再勧誘、迷惑勧誘及び契約書面の記載不備等です。

なお、消費者庁が認定した違反行為は以下のとおり。

  1.  5社は、勧誘に際し、実際は掲載料が30万円以上の有料の広告掲載であるにもかかわらず、「ネットに掲載するのは無料です。」、「一切お金はかからないので、作品を掲載する承諾をして下さい。」などと不実を告げていた。
  2.  5社は、実際には、消費者が無料であることなどを前提に作品掲載を承諾しただけであるにもかかわらず、「掲載承諾契約書にサインされたのだから支払って下さい。」などと、有料の広告掲載契約が成立しているとの不実を告げていた。
  3.  アートライフ株式会社は、消費者に対し、自社ホームページ掲載及び新聞折り込みとして掲載料金を請求していたが、実際には新聞折り込みをしていなかった。
  4.  アートライフ株式会社及び株式会社東宝堂は、本件勧誘の目的が、自社HPや新聞折り込み等に絵画、短歌等の作品を有料で掲載する役務の提供であるにもかかわらず、勧誘に先立ち、消費者に対しこれを告げることなく、「平和祈念キャンペーンに協力いただきたい。作品掲載の了解をいただきたい。」、「『・夢・希望詠んで照らす平和の灯火』と題した当社のホームページに掲載してもらい、先生の作品を通じて平和支援のご協力をいただきたい。」などと、まずは平和祈念に関心を向けさせてから勧誘を始めていた。
  5.  5社は、消費者が「(HPや新聞折り込み等に)発表はしたくないですし、もう電話しないでください。」などと、契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、再度電話をかけるなどして勧誘を行っていた。
  6.  5社は、無料であることなどを前提としてホームページ等への作品掲載を了解した消費者に対し、何度も電話で掲載料金の支払いを請求したり、請求書を送りつけるなど、消費者が迷惑を覚えるような仕方で勧誘を行っていました。
  7.  5社は、契約書面の代表者の氏名及び担当者名について虚偽記載などをしていた。

2011年8月 7日 (日)

劇場型勧誘による罰当たりな仏像販売商法(国民生活センター)

 前回は、仏像の入れ墨の著作権の話でしたが、今回も仏像関連の話題です。こっちは、罰当たりな話ですが。

 消費者に対する悪徳セールス事案で、「劇場型勧誘」という言葉を良く見かけるようになりました。
 この「劇場型勧誘」というのは、詐欺的な(というか詐欺そのものかもしれませんけど)販売行為の一種ですが、商品やサービス、権利などを売ろうとする販売業者Aと、顧客(消費者)の他に、別の業者Bが存在して、その別の業者Bが、A(販売業者)の販売する商品などを、高く買うといって事前に勧誘を行って、高く転売できるものと信じた顧客に、Aから商品などを購入させるというものです。そして、購入してもBは買い取ってくれないという結果になります。

 昨年11月に国民生活センターは、過去に未公開株や社債のトラブルに遭った人が、こういった劇場型勧誘によってリゾート会員権、FX(外国為替証拠金取引)関連ソフト、金の小判、金杯、仏像、仏具、ダイヤモンドの保有権利などを購入させられてトラブルになった例が寄せられている、として注意を呼びかけていました。

 → 国民生活センター
   「二次被害としてリゾート会員権など金融商品以外にも広がる
    劇場型勧誘トラブル」

   報告書本文(PDF)

 ところが、先日は、同様の劇場型勧誘の事案として、新たに仏像の販売に関するものも報告されていました。

 → 国民生活センター
   「仏像の勧誘に注意!-劇場型勧誘や送り付け、震災に便乗し
    たセールストークなどに気をつけて-」

   報告書本文(PDF)

 この報告によれば、70歳代、80歳代といった高齢者を対象にした悪質商法のようですね。
 これも上記のような劇場型勧誘が目立つということで、中には、震災で困っている人が仏像を売却したがっている、すぐに買い取る、というような震災被害を理由にしたセールスもあるようです。
 また、報告によれば、劇場型勧誘に限らず、不安をあおって仏像を売りつけるという「霊感商法」、「開運商法」的な悪質商法もあるようです。

 全く罰当たりな商売をする業者もいるものですが、別居されている高齢者の身内がおられる方は、そういった被害がないよう注意してあげることも必要ではないかと思います。

2011年8月 4日 (木)

入れ墨の著作権に関する判決(東京地裁)

 今週前半は、たまたま研修の講師の仕事が続いて、名古屋、神戸と出かけたりしていて、ブログ更新の時間がありませんでした。

 さて、報道もされたようですが、入れ墨の著作権侵害に関して、東京地裁で判決がでています。既に裁判所サイトで判決は公開されています。

 平成23年7月29日東京地裁判決 損害賠償請求事件

 事案は、彫物師である原告が、被告Aの大腿部に入れ墨(十一面観音立像)を施したところ、被告Aは自分の来歴を記した書籍を出版するにあたり、原告の許諾を得ずに、入れ墨の画像を書籍の表紙カバーなど2ヶ所に掲載し、また、被告A、被告B社は、それぞれ自己のホームページ上にその表示カバーの写真を公開したというものです。書籍の発行、販売が被告B社です。
 原告は、

  1.  書籍に入れ墨の画像を掲載した行為は、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)を侵害し、また、書籍の中の記述は、原告の人格権、プライバシー権を侵害する、として、被告らに対して
    著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金77万円(慰謝料70万円,弁護士費用7万円)及び遅延損害金,
    人格権及びプライバシー権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金33万円(慰謝料30万円,弁護士費用3万円)及び遅延損害金の支払を求め、
  2.  被告Aが自己のホームページに写真を掲載した行為は、著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして、被告Aに対し、著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及び遅延損害金の支払を求め、
  3.  被告B社が自社のホームページに写真を掲載した行為は、著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)を侵害するとして、被告B社に対し、著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき損害賠償金35万円(慰謝料30万円,弁護士費用5万円)及び遅延損害金の支払を求めたものです。

    ※なお、本件訴訟では、著作権(複製権,翻案権,公衆送信権〔送信可能化権を含む。〕)侵害に基づく損害賠償は請求しないとの意思を原告が明らかにしているとのこと。)

 本件訴訟の争点は、(1)本件入れ墨の著作物性、(2)著作者人格権侵害の成否、(3)書籍記述についての人格権及びプライバシー権侵害の成否、(4)損害及びその額、となっています。

 そして、判決は、争点(1)については、「(仏像写真と入れ墨との)表現上の相違は,本件入れ墨の作成者である原告が,下絵の作成に際して構図の取り方や仏像の表情等に創意工夫を凝らし,輪郭線の筋彫りや描線の墨入れ,ぼかしの墨入れ等に際しても様々の道具を使用し,技法を凝らして入れ墨を施したことによるものと認められ,そこには原告の思想,感情が創作的に表現されていると評価することができる。」として著作物性を肯定しました。

 争点(2)については、原告が自ら雑誌などで入れ墨写真を公表していたとして公表権の侵害は認めず、氏名表示権同一性保持権の侵害を認めました。同一性保持権については、書籍に掲載した写真が、原告から譲渡を受けた入れ墨写真を加工して、陰影が反転し、セピア色の単色に変更されていたことが理由となっています。

 争点(3)については、人格権の侵害もプライバシー権の侵害も認められていません。

 争点(4)については、結論的として、
 被告らの著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)侵害による慰謝料は20万円、弁護士費用相当損害は4万円、
 被告Aの著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)侵害による慰謝料は10万円、弁護士費用相当損害は2万円、
 被告B社の著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)侵害による慰謝料も10万円、弁護士費用相当損害は2万円、
とされました。

 この判決の判断からすれば、本件では結局、著作者人格権である氏名表示権同一性保持権の侵害のみが認められた、ということになりますね。単純に言えば、原告の氏名をちゃんと表示したうえで、写真を加工していなければ、OKだったということになりそうですね。

 本件では、上記の通り、複製権等については請求の理由になっていません。人体に施された入れ墨についての著作権の侵害というのはいろいろ考えると難しい点もありそうですが、ちゃんと書ける自信もないので、今回は触れないでおきます。

【追記】(12/2/3)

 知財高裁の控訴審判決が1月31日に出たようですね。基本的には原判決を維持していますが、認容金額は半分に減らされています。

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