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2011年8月18日 (木)

円天(L&G)商法の広告塔責任の東京地裁判決(22.11.25)

 昨年11月の判決で、判決の報道があったことは少し当ブログでも書いていたのですが、判決文がちょっと前の判例時報に掲載されましたので、改めて記事にしました。

 平成22年11月25日東京地裁判決 判例時報2103号64頁~

 事案は、(株)L&G「円天」事業に出資した人たちが、この商法が大規模な組織的詐欺であり不法行為であるところ、L&Gの全国大会などでコンサートを行ったりDVDに出演していた有名芸能人を被告として、L&Gやその投資商品を宣伝して信用性を高め出資をさせるなどさせたのはL&Gとの共同不法行為、または、少なくとも幇助に当たるとして損害賠償の支払を求めたものです。

 このような芸能人などの広告塔責任については、原野商法における推奨により損害賠償が認められた高田浩吉事件(大阪地判昭和62年3月30日)以外には、認められた判決はないと思われます(抵当証券事件に関して元力士に対する東京地判平成6年7月25日など)。今回の判決も結論として、広告塔責任を認めませんでした(なお、原告側は控訴したようです。)。

 この判決は、前提として、L&G商法が不法行為を構成することを認めたうえで、被告がL&Gの主催する多数のコンサートに出演したり、会員に配布されたDVDで商品を推薦する発言をするなどして、L&Gやその商品に対する信頼をそれなりに高める結果となったことは認定しています。

 しかし、判決は、
被告のコンサートでの発言は、本件全証拠によっても、A(L&G代表者)と時々食事やゴルフに行ったことがあること、Aを「おやじ」と呼んだこと程度であって、本件全証拠によっても、それ以上にL&Gやその投資商品と密接な関係を有することを示すような具体的発言は、認められないといわざるを得ず、被告がコンサートに出演したことやそこでの発言が、原告らが主張するように、積極的にL&Gを推奨したとまでいえるものとは認められない。
として、コンサートやDVDに出演するなどした行為が、直ちに不法行為や幇助に当たるとはいえないとしました。

 また、原告らが「著名な芸能人として自己の影響力が不当に利用されないよう配慮すべき義務等があるのに、故意又は過失によりこれに違反した旨」主張した点について、判決は、L&G商法の詐欺性についての被告の故意は否定しました。
 過失については、
芸能人等有名人が、広告に出演する場合に、広告主の事業内容・商品等について、常に調査をしなければならないという一般的な注意義務を認めることは、過度の負担を強いるものであって、相当でないというべきである。有名人が、広告に出演する場合に、調査義務を負うか否か及びその程度等については、個別具体的に、当該有名人の職業の種類、知名度、経歴、広告主の事業の種類、広告内容などを総合して判断すべき」とし、
認定事実を総合すれば、
被告が、L&Gの主催するコンサート等に出演するに当たって、やや注意を欠くところがなかったとはいえないとしても、L&Gから依頼されたのは、あくまでもコンサートに出演することであり、また実際にL&Gを宣伝するような行為を行っていないことや、出資者らが被告のコンサートを見聞することと、実際に出資することとの間には直接の関連性が認められないことなどからすれば、被告がコンサートに出演するに当たり、L&Gの事業内容や信用性をあらかじめ十分に調査・確認した上でなければ、コンサートに出演してはならないという一般的な法的義務があるとは直ちには認められない
他方で、L&Gに対する出資と広告に対する信頼が全く無関係とまではいえないのも事実であり、出資者らの広告に対する信頼を保護する必要性からすれば、L&Gを事実上広告することになるコンサート等に出演する被告としては、L&Gの商法に疑念を抱くべき特別の事情があり、出資者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見し、又は予見し得た場合には、L&Gの事業実態や経済活動等について調査・確認をすべき義務があるというべきであり、かかる調査・確認を怠った場合には過失があるというべき」としたうえで、本件の具体的事情の下では、被告が、L&G商法の具体的な仕組みなどについて認識していたとは認められず、疑念を抱くべき特別の事情があったとまではいえないとして、過失を否定しました。

 余談ですが、上記判例時報のコメント中に「事業者が事業を展開するに当たって著名人を宣伝広告のため様々な媒体、機会に利用することは日常的に見られるところである(近年は、弁護士のテレビ等の広告にも著名人を利用する事例が見られる。)。」とあるのですが、括弧書きを入れたのはどういう意味でしょうね(苦笑)。 

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