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2011年6月の記事

2011年6月29日 (水)

専門学校の就職率についての不当表示(消費者庁)

 クーポンによる共同購入システムに関しては、おせち事件を中心に当ブログでも取り上げてきましたが、報道によれば、東大阪市の美容店経営会社が、共同購入サイトで格安クーポンを過大に販売させられたために大幅な赤字が出たとして、グルーポン・ジャパンを被告として、約1700万円の損害賠償を求めて、大阪地裁に提訴するということのようです。まだ、提訴段階ですし、報道されている以上の状況はわかりませんが、今後注目される裁判ですね。

 さて、消費者庁は、本日、学校法人北海道安達学園(札幌市中央区)に対し、同法人が経営する専門学校の生徒募集に関する表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に該当するとして、措置命令を出しています。本件も、公正取引委員会(北海道事務所)による調査の結果を踏まえて、措置命令が出されています。同法人が経営している専門学校は、「専門学校札幌デザイナー学院」、「専門学校札幌マンガ・アニメ学院」、「専門学校札幌ビジュアルアーツ」、「専門学校札幌スクールオブビジネス」。

 → 消費者庁サイト公表資料(PDF)

 本件の不当表示というのは、北海道内の大学や専門学校などの就職率と北海道安達学園の就職率とを比較して、同学園の就職率が高率であると、パンフレットに記載するなどしていたものですが、同学園の就職率は、就職希望者数を分母にしているのに、北海道内の大学などの就職率については、もともと厚生労働省北海道労働局による調査で就職希望者等の数が分母とされていたにもかかわらず、就職を希望しない者等が含まれる卒業生の数を分母として同学園が独自に算出するなどして比較していたものです。また、2校については、新聞広告において専門分野への就職率が高率であるかのように表示していましたが、専門分野以外への就職も含めて就職率を算出するなどしていました。

 学校などの教育機関について、これまでにも、不当表示として景品表示法による処分がなされた例は多くあり、本年4月にも、学習塾が大学合格実績を不当に表示したとして、消費者庁が措置命令を出しており、当ブログでも取り上げました。
 → 「学習塾による大学合格実績の不当表示(消費者庁)」(4/26)

2011年6月27日 (月)

被災者支援などを名目にした「有料老人ホーム利用権」詐欺商法の業者名公表(消費者庁・国民生活センター)

 東日本大震災の1ヶ月半後の今年4月28日に、消費者庁が、「被災者支援などを名目とした「温泉付き有料老人ホームの利用権」の買取り等の勧誘に御注意ください」(PDF)という注意喚起を行っていました。

 これは、温泉付き有料老人ホームのパンフレットが送付された後、別の福祉団体等と称する者から電話があって、「大震災の被災者の住宅が不足しているので、購入してくれれば高値で買取る」と言われたというような形で、その老人ホームの利用権、入居権を購入すると被災者の支援につながるかのように言って買わせるというような商法で、今回の震災に関連しては、未公開株などについても同様のセールストークでの悪徳商法が出現しているようです。消費者庁では、これを「劇場型の勧誘」と呼んでいますね。もちろん、老人ホームの利用権を購入しても、買い取ってくれる可能性は低い(と消費者庁は言ってますが、ほとんど可能性はゼロ。)のですね。

 この4月の注意喚起にもかかわらず、その後も「温泉付有料老人ホームの利用権」を巡っては、被災者支援を名目としない勧誘も含めて相談が寄せられており、当該トラブルは、依然として減少しているとはいえないとのことで、先日、消費者庁及び国民生活センターから、再度注意喚起の発表がありました。

 → 消費者庁報道発表資料(PDF)

 → 国民生活センター報道発表資料

 今回は、これまでの相談の内容を確認したところ、特定の会社についての相談が特に多く、また、消費者事故等(不適切な勧誘行為)に関する情報が含まれていることが分かったため、消費者庁は、消費者安全法15条1項に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表するということで、関係する以下の4社を公表しています。

 老人ホーム運営会社となっているのが「アプリコット合同会社」で、他の3社が販売会社となっているようです。被災者に対しても、支援する者に対しても、極めて悪質な商法であり人の善意の気持ちを利用して自分らだけが儲けようとするもので、許せないですね。国民生活センターの発表の見出しが「アプリコット合同会社の「温泉付き有料老人ホーム利用権」は契約しないで!」とかなり異例なものになっているのも納得できます。
 充分にお気を付け下さい。

 アプリコット合同会社(東京都品川区)代表社員 白井勝裕

 緑開発合同会社(東京都足立区)代表社員 車田勇雄

 合同会社グリーンアート(東京都足立区)代表社員 白井勝裕

 合同会社三葉コーポレーション(東京都墨田区)代表社員 車田勇雄

2011年6月25日 (土)

SFマガジン8月号「初音ミク特集」

 今日は、神戸大学で行われた法経連携科研・シンポジウムに行ってきました。エコノ・リーガル・スタディーズ(ELS)ワークショップ「市場の機能とその補正―法経連携研究の課題と展望」というものですが、普段の法律学のみの視点とはちょっと違う切り口でのシンポで、いい刺激になりました。今日は梅雨の晴れ間で神戸大学からは大阪湾が一望で、和歌山のほうまでくっきりと見えました。絶景ですね。

 で、その帰り、自宅近所の本屋で、「SFマガジン8月号」(早川書房)を買いました。この雑誌を買うのは何十年ぶりかな、というところですが、今月号の特集が「初音ミク」ということで話題になっていましたので、発売日の今日、購入したものです。初音ミクは歌って踊れるバーチャルアイドル(笑)ですね。かつて当ブログでも関連の話題を取り上げたことがありますが、暇な方は捜してみてください。

 この特集の中に、いろいろな著作権法の事件で有名な東京の小倉秀夫弁護士が「初音ミクを縛るのは誰?-ボーカロイドを巡る法律問題」という論文(?)のを書いておられます。ボーカロイドというのは、ヤマハが開発したコンピュータによる音声合成システムですが(ボカロと略する場合もあり)、小倉弁護士は、このボーカロイドおよび初音ミクに関して、音声データにかかる開発会社や声優の著作隣接権などなどについて、真面目に著作権法上の問題点を論じておられます。

 せっかく、久し振りのSFマガジンだから、上記特集に限らず全部を読んでみたいと思うのですが、通勤電車で読むにも、表紙はもちろん初音ミクだし、それ以上に裏表紙が映画「エクソシズム」の広告の怖い写真なので、朝から電車で人前で開くのはどうかなぁと思っています。

2011年6月22日 (水)

山陽マルナカに対する排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)

 独占禁止法に関連して、本日、公正取引委員会から2つの重要な報道発表がなされています。
 一つは、「独占禁止法に関する相談事例集(平成22年度)」の公表ですが、こちらは今日は置いておきます(まだ読めてない)。

 もうひとつが、既に事前報道されていた事件ですが、岡山県を中心にスーパーを展開する(株)山陽マルナカ(岡山市)に対する排除措置命令・課徴金納付命令(2億2216万円)が出されたというものです。これについては、先日、当ブログでも少し触れました。

 → 「優越的地位濫用に対する初の課徴金(公取委)」(6/2)

 山陽マルナカが、独占禁止法2条9項5号(優越的地位の濫用)に該当する「不公正な取引方法」を行っていたというものです。

 → 公取委サイト 報道発表資料(PDF)
※ 排除措置命令はあるのですが、課徴金納付命令はここでは公表されてませんね。

 先日も書きましたように、最近の改正で、これまで課徴金の対象になっていなかった「不公正な取引方法」についても、優越的地位の濫用を含むいくつかの行為類型については、課徴金の対象となり、本件がその第一号となったものです。なお、優越的地位の濫用が課徴金の対象となるについては、過去の処分歴は要件になっていませんが、山陽マルナカは、以前にも納入業者に対する優越的地位の濫用事案で排除措置命令を受けています(平成13年(勧)第3号審決)。

【違反行為の概要】

 山陽マルナカは、遅くとも平成19年1月以降、取引上の地位が自社に対して劣っている納入業者(以下「特定納入業者」)に対して、次の行為を行っていた。

  1.  新規開店、全面改装、棚替え等に際し、これらを実施する店舗に商品を納入する特定納入業者に対し、当該特定納入業者が納入する商品以外の商品を含む当該店舗の商品について、当該特定納入業者の従業員等が有する技術又は能力を要しない商品の移動、陳列、補充、接客等の作業を行わせるため、あらかじめ当該特定納入業者との間でその従業員等の派遣の条件について合意することなく、かつ、派遣のために通常必要な費用を自社が負担することなく、当該特定納入業者の従業員等を派遣させていた。
  2.  新規開店又は自社が主催する「こども将棋大会」若しくは「レディーステニス大会」と称する催事等の実施に際し、特定納入業者に対し,当該特定納入業者の納入する商品の販売促進効果等の利益がない又は当該利益を超える負担となるにもかかわらず、金銭を提供させていた。
  3.  自社の食品課が取り扱っている商品(以下「食品課商品」)のうち、自社が独自に定めた「見切り基準」と称する販売期限を経過したものについて、当該食品課商品を納入した特定納入業者に対し、当該特定納入業者の責めに帰すべき事由がないなどにもかかわらず、当該食品課商品を返品していた。
  4. ア 食品課商品のうち、季節商品の販売時期の終了等に伴う商品の入替えを理由として割引販売を行うこととしたものについて、当該食品課商品を納入した特定納入業者に対し、当該特定納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、当該食品課商品の仕入価格に50パーセントを乗じて得た額に相当する額を当該特定納入業者に支払うべき代金の額から減じていた。
    イ 食品課商品又は自社の日配品課が取り扱っている商品(以下「日配品課商品」)のうち、全面改装に伴う在庫整理を理由として割引販売を行うこととしたものについて、当該食品課商品又は当該日配品課商品を納入した特定納入業者に対し、当該特定納入業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、当該割引販売において割引した額に相当する額等を、当該特定納入業者に支払うべき代金の額から減じていた。

  5.  クリスマスケーキ等のクリスマス関連商品(以下「クリスマス関連商品」)の販売に際し、仕入担当者から、特定納入業者に対し、懇親会において申込用紙を配付し最低購入数量を示した上でその場で注文するよう指示する又は特定納入業者ごとに購入数量を示す方法により、クリスマス関連商品を購入させていた。

2011年6月18日 (土)

「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全、編著)読んでます。

 著作権を勉強していても、抽象的な議論だけではよくわからないことがあったり、現実の著作権ビジネスなどがどのように行われているのか知らない部分も多いという反省から、先日出版された「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全 編著、学陽書房)を購入しました。600頁近い内容なので、全部を通し読みはできてませんが、最初の音楽関係のところだけでも充分に面白い。なかなか外部からはわからない業界慣行(配分の相場とか)についても触れられています。ちょっと値段は張りますが、内容的にも分量的にも値打ちはあると思いました。

 本書は、著作権だけを対象にしているわけではありませんが、著作権の勉強に限っても、現実の社会での立体的な理解に大変役立つと思います。著作権法の教科書には、具体的な当事者(音楽でいえば、作詞者、作曲者、歌手、バックミュージシャン、編曲者、プロデューサー、音楽出版社、レコード会社、JASRACなどなどなど。)の間の現場での権利関係や慣行などについてはほとんど触れていないですからね。

 ジャンル的には、「音楽」「映画・ビデオ」「出版」「ゲームソフト」「演劇・舞台芸術」「グラフィックアート・写真」「プロスポーツ」「テレビCM」「放送」「インターネット配信」「商品化」「パブリシティ権」と、今の著作権関連ビジネスを網羅してます。

2011年6月17日 (金)

コンピュータウイルス作成等の罪に関する刑法等改正案成立

 本日午前の参議院本会議で、コンピューターウイルスの作成・配布の罪の新設などを内容とする「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が可決され、成立しました。主に批判的な立場から「コンピュータ監視法」という名称が使われているのをよく見ますが、そのような特別法ができたわけではなく、法律の形から言うと、刑法や刑事訴訟法などの改正ということになりますね。サイバー犯罪条約との関連もある今回の改正ですが、法律案全体としては、かなりの数の法律の改正が含まれており、よく見ると、暴力団等の反社会的勢力が関与する強制執行妨害行為の抑止のため強制執行妨害の罪の拡充、厳罰化など、IT化とは関係のない改正点もいろいろとあります。

 ウイルスなどに関する刑法の改正としては、第19章の2「不正指令電磁的記録に関する罪」という章を新設し、その中に第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)第168条の3(不正指令電磁的記録取得等)を規定した、という点が大きいところで、その他、従来の第234条の2(電子計算機損害等業務妨害)について新たに未遂を罰すること、第175条(わいせつ物頒布等)「電磁的記録に係る記録媒体」を追加して電子メール等でわいせつ写真ファイルを送信した場合も犯罪とした、などいくつかの改正がなされています。
 刑事訴訟法については、データの差押手続などの整備が主なものです。令状なしに差押が可能になったかのような誤解に基づく意見も見られますが、今回の改正においても差押には裁判所による令状が必要なのは当然のことです。

 法律案などの資料(Q&Aもあります)については → こちら

 ウイルスの作成、提供に関する罪は上記の内、第168条の2(不正指令電磁的記録作成等)になりますが、ひとまず1項の条文を見ると(改正条文の中身も知らないままの意見がネットなどで多く見られるのは残念ですね。)、「正当な理由がないのに」、「人の電子計算機における実行の用に供する目的で」、(後掲の)「電磁的記録その他の記録を作成し又は提供した」場合が、処罰対象になります(2、3項もありますが)。

 そして、この「電磁的記録」の具体的なものとして、次のものが挙げられています。

  1.  人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
  2.  前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録

 つまり、これが「ウイルス」となるわけですが、これが広く解釈されるとソフト開発などにあたって技術者が萎縮するのではないか、いわゆるバグの放置まで罰せられるのではないか、などといった意見、批判がなされています。今回の改正に関する意見については、ネット上でいろいろと見ることができます(代表的なものとして、次の日弁連会長声明や高木浩光氏のブログ(「高木浩光@自宅の日記」)など)。
 → 日弁連・「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正
        する法律案」について慎重審議を求める会長声明

2011年6月15日 (水)

ロス疑惑事件報道に関するヤフーの責任(東京地裁判決)と原発問題のNHK新書

 報道によれば、いわゆるロス疑惑に関し、米国捜査当局に逮捕され留置場で自殺した三浦和義氏の妻が、YAHOO!JAPANのニュース記事と写真で精神的苦痛を受けたとして、産経新聞ヤフーに損害賠償を求めていた訴訟の判決で、東京地裁が66万円の連帯支払を両社に認めた判決が言い渡されたとのことです。

 中身についてのコメントは判決を読んでからにしますが、ヤフーが新聞社から配信された写真をそのまま掲載したことによる賠償責任を認められた所が注目点になりますね。ヤフーに限らず、ニュース配信を行っているポータルサイトはたくさんありますので、そのチェックの責任ということになると各社とも再検討が迫られることになりそうです。

 さて、全く違う話題ですが、福島の原発事故についてはまだまだ予断が許されない状況が続いており、一日も早く収束することを願うばかりです。この問題に関しては、既にいろいろな出版物が書店に並んでいますが、ひとまず、NHKが先日刊行した「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」(水野倫之・山崎淑行・藤原淳登、NHK出版新書)を読みました。

 もちろん、他の書物と比較したわけではないので、これが一番いいとお勧めするわけではないのですが、事故以降、NHKの番組での解説でよくみかける水野解説委員らの共著で、事故直後の報道の現場の状況やこれまでの原発推進の歴史的経過、放射線の健康への影響などが大変わかりやすく冷静な表現で書かれていました。事故そのものだけでなく、マスメディアの報道の現場の考え方ということについても考えさせられました。巻末には1~4号機それぞれの日ごとの経過(5/11までですが)の一覧表がついています。
 今回の事故は、まだ現在進行形であり今後の見通しがついていないこと、および、放射線の健康への影響についてはわからない部分が多いことなどから、リスクの程度や対応方法についての考え方は各人それぞれで大きく変わるもので、感情的な対立にすらなりかねない状況です。命や健康に関わることですし、年齢や環境など人により考え方も違ってくることは当然なので、考え方が異なること自体は仕方のないことだと思いますが、どのような立場をとるにしても、なるべく正確な知識を得ておくことが必要だと思います。ネット上でよく見かける、ことさらに恐怖をあおるような、いい加減な情報については、百害あって一利なし、と思います。恐れるにせよ、安心するにせよ、正確な知識に基づいて考えたいものです。もちろん、そのためには政府も東京電力も正確な情報開示をしてもらわなければなりません。

2011年6月14日 (火)

景品表示法と「公正競争規約」

 前回、景品表示法の昨年度運用状況などに関して書きましたが、今日は、消費者庁が、日本緑茶センター株式会社(東京都渋谷区)に対して、景品表示法に基づく措置命令を出しています。会社名からは、お茶の表示かと思いましたが、実は同社の商品の「食用塩」に関するものでした。
 食用塩商品のラベルやウェブサイト上の表示において、「天日塩」であるとか、凝固防止剤や添加剤を一切使用していない、などと表示していたところ、実際には、釜乾燥も行っていたり、凝固防止剤が添加されていたということで、「優良誤認」に該当する不当表示とされたものです。

 ところで、景品表示法は、上の事件のように消費者庁が主に執行するわけですが(都道府県の場合もある)、それ以外に、「公正競争規約」による業界の自主的な規制もあります(消費者庁移管後の今の法律では、「協定又は規約」となっていますが、今でも従来の「公正競争規約」という名称を使っているようです。)。自主的といっても、この「公正競争規約」は、景品表示法上の法的な制度です(景品表示法11条)。

 この制度について、ここで長々と書くわけにもいかないので、次のリンク先をごらんください。
 → 消費者庁 「公正競争規約」
 → (社)全国公正取引協議会連合会webサイト
           
「公正競争規約について」

 参考までに最近の関連記事を2つばかり紹介します。報道記事なのでリンク先は後日切れるかもしれませんがご容赦ください。

  •  医療用医薬品製造販売業公正取引協議会が、MSDによる4件の金銭提供、旅行招待が、公正競争規約違反行為に当たるとして、「厳重警告」措置を行ったことを公表した。(薬事日報 5/20
  •  仏壇業界、自主処分ルールを策定 産地隠し排除で(共同通信 5/26

 そういえば、ずいぶん前ですが、当ブログでも書いたことがありました。ただし、当時はまだ景品表示法の改正前で、公正取引委員会の管轄でしたので、その点はご注意ください。条文も異なっています。
 → 「混り物の「純粋蜂蜜」を許した「公正取引協議会」」(07/5/14)

 

2011年6月12日 (日)

平成22年度景品表示法運用状況等(消費者庁・東京都)

 景品表示法関係の昨年度のまとめ情報です。

【その1】
 まず、消費者庁は、昨年度の景品表示法の運用状況等の報告を公表しています(5/24)。

 → 消費者庁
  「平成22年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」(PDF)

 景品表示法消費者庁に移管されてから、措置命令等の数が激減してしまったことは指摘されているところですが、昨年度は、今年に入ってから若干動き出したとはいうものの以前の数と比べてかなり少ない状況です。しかも、処分がされた事案の多くが公正取引委員会地方事務所等の調査に基づくものであるところから考えて、やはり、消費者庁に地方出先機関がないことも大きな要因だと思われます。公正取引委員会都道府県との連携も重要ですが、それだけでは限度があろうかと思います。
 景品表示法に関する相談件数の推移を見ても、消費者庁移管後はかなり数が減っていますが、これも相談の需要が減ったためではなく、地方事務所がなくなったことなど全国的な相談対応体制が不十分であることの問題と思えます。国民生活センターのあり方や地方自治体の消費者行政の問題とも合わせて、今後の大きな課題ですね。

【その2】
 例の「おせち事件」も含めて、消費者庁景品表示法に基づく措置命令、警告、注意などの事案でもインターネット上の表示に関するものが増えていますが、東京都も先日(6/9)、インターネット上の不当な広告・表示に関して昨年度に都生活文化局が行った指導の件数等を公表しています。

 → 東京都webサイト 生活文化局公表資料

 これによれば、平成22年度は、健康食品などを中心に調査した結果、302件(191事業者)の不当な広告・表示について、表示の修正・削除等を通販事業者に指示又は指導した、とのことです。

2011年6月 9日 (木)

DeNA(モバゲータウン)に対する排除措置命令(公取委)

 ちょっとブログの更新がとまってしまいました(特に訳はないのですが)。

 さて、本日、公正取引委員会は、株式会社ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区、以下「DeNA」)に対し、独占禁止法で禁止される不公正な取引方法14項(競争者に対する取引妨害)に該当する行為を行っていたとして、排除措置命令を行っています。同社は、先日、南場智子社長が「夫の看病」を理由に今度の株主総会限りで代表を辞任することを発表して話題になっていましたね。

 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)
 →   同 概要図(PDF)

 なお、この件については、昨年12月に公正取引委員会が立入検査に入ったことが報道されており、当ブログでも取り上げました。このときの報道では、不公正な取引方法の内、「拘束条件付取引」の疑いとのことでしたが、今回の排除措置命令では上記の通り「取引妨害」になっています。なぜ変わったのかを考えても面白いですね。

 →「グリーとDeNAの話題など(独禁法、景表法、消費者契約法)」
                            (10/12/8)

【事案の概要】
携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービス「モバゲータウン」を運営し、ソーシャルゲームを自ら提供する又は他の事業者に提供させる事業を営むDeNAは、特定のソーシャルゲーム提供事業者に対し、グリー(株)の展開する「GREE」を通じてソーシャルゲームを提供した場合に、当該特定ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより、GREEを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせていた。

【排除措置命令の概要】

  1.  DeNAは、前記行為を行っていない旨を確認すること及び今後当該行為と同様の行為を行わない旨を、取締役会において決議しなければならない。
  2.  DeNAは、1に基づいて採った措置を、モバゲータウンを通じてソーシャルゲームを提供している事業者及びグリー(株)に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
  3.  DeNAは、今後、ソーシャルゲーム提供事業者に対し、他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供した場合には当該ソーシャルゲーム提供事業者がモバゲータウンを通じて提供するソーシャルゲームのリンクをモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることにより、他の事業者の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスを通じてソーシャルゲームを提供しないようにさせる行為を行ってはならない。
  4.  DeNAは、今後、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
    ・自社の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスに係るソーシャルゲーム提供事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の作成又は改定
    ・自社の運営する携帯電話向けソーシャルネットワーキングサービスに係るソーシャルゲーム提供事業者との取引に関する独占禁止法の遵守についての,役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による定期的な監査

2011年6月 4日 (土)

「集団的消費者被害救済制度」シンポ(京都弁護士会)

 今日は、午前中、依頼者である京都市内の会社で打合せを行って、午後から、京都駅前のキャンパスプラザで開催された京都弁護士会主催のシンポジウム「集団的消費者被害救済制度~消費者が真に使いやすい制度に!~」に参加してきました。

 現在、消費者委員会(内閣府)集団的消費者被害救済制度専門調査会が設置されて、集団的な消費者被害を救済するための新たな訴訟制度のあり方について検討が続けられています。簡単にいうと、アメリカのクラスアクションみたいな制度ですが、具体的な制度設計は、いくつかの案が検討されている状況です。ここで、きちんとご紹介できればいいのですが、一般的にわかりやすく説明するのは結構むずかしそうなので(苦笑)、以下の調査会配布資料(PDF)を見て下さい。

 → 調査会資料「集団的消費者被害救済制度専門調査会の検討状況について」
 → 消費者庁「専門調査会における意見の概要」

 この制度に関しては、既に日弁連からも要綱案が出ています。

 → 日本弁護士連合会
  「損害賠償等消費者団体訴訟制度(特定共通請求原因確認等訴訟型)要綱案

 消費者問題の集団的な訴訟というと、消費者契約法などの消費者団体訴訟制度が既に実施されていますが、こっちのほうは適格消費者団体が原告となって、消費者契約法などに違反している行為や契約条項を将来に向けて差し止めることを事業者に請求する訴訟です。
 一方、今回、検討されているのは、実際に集団的な被害にあった消費者の救済、つまり損害賠償などを求めるための訴訟制度です。まだ、上記の調査会でも具体的な制度については詰められていませんが、予定では今年の8月には最終の取りまとめがなされることになっており、来年度の国会にも法案提出の見通し(国会情勢が不透明なんでわかりませんが)となっています。基本的には、やはり消費者団体による訴訟遂行が考えられていますが、理論的にも、実践的にも、まだいろいろと課題があることが、今日のシンポで良くわかりました。

 どのような事件が対象範囲になるのかにもよりますが、この制度が導入されると、消費者被害事件の訴訟のやり方も大きく変わる可能性もあり、当然ながら、企業側としても従来とは違った対応が必要になってくるでしょう。

 今日は、たまたま、岡山のNPO「消費者ネットおかやま」でも、この問題についての講演会があったようですね。また、まだサイトには詳細が掲載されていないようですが、6月25日午後に開催される適格消費者団体「消費者支援機構関西(KC's)」の通常総会記念シンポジウムも、「集団的消費者救済制度の実現で、消費者と事業者の関係はどう変わっていくのか?」をテーマに開催されるようです。興味のある方は参加されてはいかがでしょうか。

2011年6月 2日 (木)

優越的地位濫用に対する初の課徴金(公取委)

 昨日、公正取引委員会「優越的地位濫用事件タスクフォース」に関して書いたところですが、この優越的地位濫用事件に対して、近々、初めての課徴金納付命令が出されるとの報道がなされています。

 対象となると見られている事件は、岡山市のスーパー「山陽マルナカ」が、商品納入業者(食品や衣料品、日用雑貨)に対して、代金の不当減額や従業員の派遣を強要したとされるもので、これが独占禁止法の禁ずる不公正な取引方法(優越的地位の濫用)に該当するとされているものです。
 報道によれば、公正取引委員会から同社に対して、事前通知がなされたようで、課徴金は2億円余りとかなり高額なものとなっているようです。

 平成21年改正以前の独占禁止法では、「不公正な取引方法」については、行為を中止させるなどの排除措置命令は出されても、課徴金は課されることはなかったのですが、この改正により、課徴金の対象行為が拡大され、「不公正な取引方法」の内、不当廉売、差別対価、共同取引拒絶、再販売価格拘束、優越的地位の濫用については課徴金の対象とされました。しかも、前4者については、課徴金が課せられるのは、以前に処分を受けたのに行為を繰り返した事業者に限られるのに対し、優越的地位の濫用についてだけは、以前に処分を受けていない事業者でも課せられますので企業にとっては要注意です。

 課徴金制度の概要については → 公取委サイト「課徴金制度」

 なお、昨年、公正取引委員会から出された「優越的地位濫用ガイドライン」については、以前に当ブログでも書いておりますので、資料のリンクを含めて詳しくはそちらをご覧下さい。

→ 「「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表(公取委)」
                           (10/11/30)

2011年6月 1日 (水)

「優越的地位濫用事件タスクフォース」における活動状況について(公取委)

 いよいよ、内閣不信任案が提出され、ますます先行きがわからなくなってきました。どちらに行くにせよ、この大変な状況の中、国民の側を向いた政局運営を行っていただきたいとおもいます。

 さて、本日、公正取引委員会は、「平成22年度における独占禁止法違反事件の処理状況について」を公表しています。

 → 公取委サイト 報道発表資料(本文)(PDF)
                 (概要)(PDF)  (ポイント)(PDF)

 詳しくは本文を見ていただきたいですが、課徴金減免制度(リニエンシー)の利用が大きく伸びていることが注目されますね。これは最近の制度拡充の法改正の影響かもしれません。課徴金減免制度が導入された平成18年1月から平成22年3月までの4年少しの間の申請件数が349件で、だいたい年間80件前後で推移してきたのに対して、平成22年度は、一年間で131件となっています。これは申請件数ですが、実際に制度が適用された件数も同様に伸びています。

 また、公正取引委員会は、中小事業者等に不当に不利益をもたらす不公正な取引方法のうち、優越的地位の濫用については平成21年11月に「優越的地位濫用事件タスクフォース」(優越TF)を設置して調査・注意等を行っており、その活動状況についても別添資料として公表しています。

 → 「『優越的地位濫用事件タスクフォース』における活動状況について」

 これによれば、優越TFにおいて、平成22年度に業者に対する注意を55件行っており、取引形態別には、小売業者(スーパー,ドラックストア等)の納入取引が27件、物流取引が15件、その他の取引が13件となっています。これらの注意の主な事例などについては、この資料にいろいろと掲載されていますので、参考になるかと思います。

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