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2011年4月21日 (木)

ローン金利情報図表の著作物性に関する判決(知財高裁)

 昨日(20日)は大阪も4月半ばとは思えない寒さでした。私はコートを着ていかなかったので、外では震えていました。

 さて、19日に知的財産高裁で住宅ローン商品の金利の比較図表についての著作権に関する判決が出ています(裁判所サイトに掲載)。この原審の東京地裁判決も見ていましたが、当ブログでは触れなかったので(たぶん〈笑〉)、今回は取り上げておきます。
 なお、昨年2月にも、東京地裁で、図表の著作権が争点となった判決(平成22年1月27日)があり、これは当ブログでも取り上げました。
 → 「図表の無断掲載に関する著作権判決(東京地裁)」(10/2/8)

 この1年前の事件でも、図表(ネット通販のデータ関連)の著作物性が否定されて原告が敗訴していたのですが、今回の判決も結論は同じです。

 平成23年4月19日判決 知的財産高等裁判所 損害賠償等請求控訴事件

 この事件は、被控訴人(被告)財団法人住宅金融普及協会が、自らのwebサイト上に「住宅ローン商品 金利情報」を掲載していたところ、その中の金融機関の金利情報を整理した被告図表が、控訴人(原告)の著作物(図形,編集著作物又はデータベースの著作物)である図表を無断複製したものであり、被控訴人の行為は控訴人の有する本件図表の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害する旨主張して、著作権法112条1項に基づく差止請求としてwebページの閉鎖と、著作権侵害の不法行為による損害賠償の支払を求めたというものです。
 なお、控訴審において、控訴人は損害賠償請求の根拠として追加主張をしていますが、それは後で書きます。東京地裁の原判決は、図表の著作物性を否定して、控訴人の請求を棄却しています。
 この原判決については、大阪の岡村久道弁護士のブログ「情報法学日記」「銀行商品サイト事件(東京地判平成22年12月21日平22(ワ)12322号)その1」および同「その2」で詳しく取り上げられていますので、そちらをご覧下さい。

 今回の知財高裁判決でも、地裁からの控訴人の主張に関しては、東京地裁原判決の判断をそのまま維持しています。つまり、本件の控訴人図表について、図形の著作物に関しても、編集著作物に関しても、ありふれた表現であり創作性が認められず著作物に当たらない、とし、また、データベースの著作物に関しては、データ構造の主張立証がなく、データベースの内容が不明であるから、創作性を認められないとして、本件図表の著作物性を認めなかった原審判断を引用しています。

 上記の通り、この控訴審では、控訴人は追加主張を行っています。これは、仮に本件図表が著作物に当たらないとしても、「被控訴人が本件図表の複製と同視し得る被告図表を掲載したウェブサイトの運営を行うことは,本件図表を掲載したウェブサイトの運営による控訴人の営業活動に対する侵害行為であり,かつ,公益法人による民業圧迫であるから,法的保護に値する利益の侵害による不法行為に当たる」として著作権侵害が認められなくても不法行為に該当するとする請求を追加したものです。

 しかし、この控訴審での追加主張についても、次のように知財高裁は認めませんでした。

しかしながら,被告図表は,控訴人も認めるように,本件図表それ自体を用いて作成されたもの(いわゆるデッドコピー)ではない。また,本件図表の特徴とされる,全国の金融機関の住宅ローン商品について,金融機関名,商品名,変動金利,固定金利の各固定期間の順に配列することや,これらの情報をデータベース化し,抽出し,並び替えるといった機能自体は,公表されたデータで,しかも全国の金融機関といっても数が限られたものを整理するにとどまるものであって,ありふれたものであるから,これらの配列や機能に被告図表と共通する部分があるからといって,そのこと自体において,被告図表が本件図表の複製と同視し得るものとは認められず,被告図表を掲載したウェブサイトの運営が控訴人に対する不法行為に当たるとはいえない。また,民業圧迫の点についても,証拠によれば,被控訴人の法人の目的として,「住宅金融等に関する…情報提供…」と記載されていることが認められ,被告図表の作成等により住宅ローンの金利情報を提供することは上記目的に含まれると解されるところ,そのような目的・行為は公益に合致するものであるから,被控訴人が被告図表を掲載したウェブサイトの運営を行うことと控訴人の業務との間に競合する部分があるとしても,被控訴人の上記行為が違法であるとはいえない。
 他に控訴人主張の事実関係を最大限考慮に入れたとしても,本件において法的保護に値する利益の侵害に当たる事実があるものとは認められず,そのことの不法行為に基づく控訴人の請求も理由がない。

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