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2010年11月の記事

2010年11月30日 (火)

「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表(公取委)

 本日、公正取引委員会が、ガイドライン「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」を公表しました。
 これは、今年1月1日から施行されている改正独禁法によって、不公正な取引方法の一つである「優越的地位の濫用」が新たに課徴金納付命令の対象となったことを踏まえて、優越的地位の濫用規制の考え方を明確化することによって法運用の透明性を一確保し、事業者の予見可能性をより向上させるためのガイドラインが作られたものです。
 私もまだきちんと目を通せていませんが、企業法務に関係する人には必読のガイドラインですね。

 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)
 「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」の公表について

 今年6月に公取委が原案を公表してパブリックコメントを募集して、原案を一部修正した上で策定されたものです。

 → ガイドライン本文(PDF)
 → 提出された意見の概要及び公正取引委員会の考え方(PDF)

 パブリックコメント募集時の当ブログの記事→「優越的地位濫用に関するガイドラインについての意見募集(公取委)」(6/23)

 上記改正では、これまで一般指定(公取委告示)に置かれていた「優先的地位の濫用」が独占禁止法2条9項5号として法定化されました。
 なお、同条項の規定は以下の通りです。

 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして不当に,次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする
 相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して,当該取引に係る
 商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務
 その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み,取引の相
 手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相
 手方に引き取らせ,取引の相手方に対して取引の対価の支払を
 遅らせ,若しくはその額を減じ,その他取引の相手方に不利益
 となるように取引の条件を設定し,若しくは変更し,又は取引
 を実施すること。

2010年11月29日 (月)

カニの売りつけ商法業者の検挙、業務停止命令について(特定商取引法)

 品質の悪いカニを電話などで売りつける商法に関して以前から報道されているところですが、今日は、北海道警が業者2名を逮捕したというニュースが出ています。逮捕容疑は、特定商取引法違反(書面不交付)です。

 報道によれば、電話勧誘した客に必要な契約書類を渡さず、粗悪なカニを売り付けたとされており、「北海一番」と称する札幌の男性業者ら2人を逮捕したものです。全国の9千人以上から1億円以上を売り上げたとみられるということですので、相当の被害ですね。

 同様の商売を行っていた業者については、今年10月にも、経営者2名が同じく特定商取引法違反(書面不交付)で北海道警に逮捕されており、内1名については今月17日に札幌簡裁から罰金80万円の略式命令が出されています(他の1名は起訴猶予。)。

 また、今年9月には、札幌市の暴力団組員でもある「マルキタ水産」経営者を同様に特定商取引法違反(書面不交付)の疑いで、北海道警が逮捕しています。この事件では、茨城や福岡などの50~70代の男女9人にカニの甲羅や折れた足、ワカメや魚の切り身などを詰め合わせ、契約書を交付せずに1万~2万円で売り付けたとの逮捕容疑のようですが、警察は、全国約1400人に売り付け、計約2千万円を売り上げていたとみているとのことです。

 このように複数の業者が同様の悪質商法を行っており、全国的に被害が多く出ているようです。

 そんな中で、先日(11/25)、関東経済産業局が、同様の海産物の電話勧誘販売業者・道産子フーズ株式会社(札幌市)に対し、特定商取引法違反(書面不交付など)を理由に、3か月間、電話勧誘販売に関する勧誘、申込み受付及び契約の締結を停止するよう命じる業務停止命令を出しています。

 → 消費者庁サイト「特定商取引法に基づく処分について」(11/25)

 関東経済産業局が認定した事実関係は次の通りです。

  1.  同社は、「いらない。」と断っている消費者に対し勧誘を続け、又は「いらない。」と断って電話を切った消費者に対し、その後も電話をかける等、その電話で引き続き勧誘を行い、又は再び電話をかけて勧誘していました。
  2.  同社は、本件商品の売買契約の勧誘時に、断ろうとして営業員に話しかけている消費者の話を遮り、一方的に勧誘を続けて話をさせる余地を与えない、又は何日にもわたって電話をかける等、迷惑を覚えさせるような方法で勧誘をしていました。
  3.  同社は、本件商品の売買契約の勧誘に先立って、消費者に対して、同社の名称及び勧誘を行う者の氏名を告げておらず、若しくは同社の名称を告げた場合であっても、勧誘を行う者の氏名を告げていませんでした。
  4.  同社は、契約を締結した消費者に対して、売買契約の内容を明らかにする書面を交付していませんでした。

2010年11月25日 (木)

カード枠現金化商法に関する消費者庁キャンペーンと広告責任

 昨日は、東京に会議などで日帰り出張してきました。コートを着ていきましたが、重い荷物を持って移動するうえ、ほとんど電車や建物の中でしたので、汗をかきまくりました。コートが本当に必要だったのはせいぜい最後に自宅まで歩く部分だけでした。

 さて、国民生活センターへの相談が増えているとして、クレジットカードのショッピング枠を利用した「現金化商法」についての報道がなされています。商品を買ったような形式をとって、業者から商品代金名目額より現金を受け取り、その後、クレジットカード会社からの請求に対して代金名目額返済をするということになりますが、当然、利息に該当するその差額を余分に支払うということになるわけです。利用者からは高利の金融と同じ形になります。
 このような商法は目新しいものではなく、かなり以前からありますが、最近増加しているとして注意が呼び掛けられているものです。国民生活センターは今年4月に注意を呼びかける発表を行っています。
 → 国民生活センター
   「「クレジットカード現金化」をめぐるトラブルに注意!」(4/7)

 そして、昨日、消費者庁は、12月から「ストップ!クレジットカード現金化」キャンペーンを実施することを公表しています。
 → 消費者庁
  
『ストップ!クレジットカード現金化』キャンペーンの実施について

 貸金業法規制が厳しくなって、合法的な消費者金融業者から借りにくくなったからという説明もされているようです。ただ、仮にそのことが相談急増の一因であったとしても、だから、貸金業規制の強化が間違いだ、というような話はミスリードでしょう。そもそも、そのような経済状態になっている人が、消費者金融から若干低めの金利で借りることができたとしても、単なる先送りであり返済が行き詰まる可能性はほとんど変わらないはずです。これは、無収入の主婦等が借りにくくなった、というのを貸金規制の問題に挙げるような話と同じことで、そもそも、それ以上借りることが不適切な層なのであり、生活に困っているという問題は別の政策的な解決をしなければ根本的な解決にならないからです。

 なお、このような現金化商法については、業者の広告をスポーツ新聞や雑誌などで見て利用する人も多いようです。現金化商法が法的に問題であることは疑いがなく(例えばクレジットカード会社に対する詐欺にもなりますね)、このような問題があることについては容易に判断できるはずであるにも関わらず、新聞や雑誌が広告料収入を目当てに広告を掲載していること自体が疑問です。前回の記事で、広告媒体者の責任に関して触れましたが、このような事案に関してはまさに媒体者責任の問題が浮かび上がってくるものと考えます。

 なお、適格消費者団体であるNPO「消費者支援ネット北海道」は、昨年9月に、このような現金化商法(「クレジット枠換金商法」と呼んでいます。)の問題点を指摘した声明を出していますが、その中で、マスコミ各社に対して、広告掲載の自粛を求めています。

 → 消費者支援ネット北海道
   「クレジット枠換金商法の営業と広告の規制を求める声明」(09/9/1)

 

2010年11月22日 (月)

広告媒体者責任判決に関する記事を転載しました(文化通信)

 本年5月に、当ブログでパチンコ攻略法に関する雑誌広告に関して、広告媒体者(雑誌社、広告代理店)の賠償責任を認める大阪地裁判決(平成22年5月12日)について触れました。
 → 「広告媒体の不法行為責任を認めた判決(大阪地裁)」(5/17)

           【追記】判例時報2084号37頁に掲載

 その判決に関連して、8月に「文化通信」(文化通信社)というメディア関連の新聞に記事を掲載していただきました。ブログへの転載につき快諾いただくことができ、このブログ左側サイドバーの上方からのリンクで読めるようにしておきました。興味のある方はご一読ください。

 → 【コラム】消費者に対する広告媒体者の責任
           (「文化通信」本年8月23日号より転載)

情報ネットワーク法学会研究大会個別報告の概要

 今朝から法務大臣がとうとう辞任などとゴタゴタが続く政局ですが、やはりそんな中でも日経平均は上げているようです。これが、日本経済の真の強さだ、というのならば結構なことなのですが。

 さて、ひとつ前記事(11/19付)に情報ネットワーク法学会研究大会(12月11日(土)成城大学)のご案内をしましたが、本日、午前の個別報告が配信されてきました。さっき見たらまだ学会webサイトには反映されていないようでしたが、その内、掲載されるのでしょう。
           → 情報ネットワーク法学会サイト

 詳しい内容は、町村教授のブログに既に掲載されていますので、省力化のためにそっちを見ていただくとして(笑) → matimulog ここでは、圧縮版(したがって報告者肩書・敬称等は省略)。以下の3分野につき、3教室に分かれて開催のようですね。結構、盛り沢山ですので、興味のあるものをセレクトして教室移動してみようかと思っています。

【表現の自由・プライバシー】
 ・「公立図書館におけるフィルタリング・ソフト導入に関する一考察
       ――アメリカ連邦最高裁判決を素材として――」金澤誠

 ・EU視聴覚メディアサービス指令の共同規制を通じた国内法化
                            生貝直人

 ・ヴァーチャリティ規制の萌芽:「準児童ポルノ」および
       「非実在青少年」規制について      原田伸一朗

 ・パーソナライゼーションサービスにおけるパーソナル情報の
      二次利用に係る消費者の同意形成に関する試論  高崎晴夫

【選挙・セキュリティ】
 ・電子投票法制の近時の動向 湯淺墾道

 ・ネット選挙運動の与党(民主党)案の実運用の問題点と改善提案
                             小鍛治

 ・外部委託及びクラウドにおける情報セキュリティマネジメントシ
       ステム適合性評価の利用          佐藤慶浩

 ・クラウド・サービスにおけるリスク分析        吉井和明

【法情報学】
 ・学士力における法情報教育 実践と課題      中網 栄美子

 ・「ロー・レビューの終焉、あるいはblawgの夜明け--
    法学における学術情報へのオープンアクセスを考える」指宿信

 ・ドイツDe-Mail(市民ポータル)構想の概要と示唆     米丸恒治

 ・「サイバーキャンパス再論 - 電子会議室の活用」  笠原毅彦

2010年11月19日 (金)

情報ネットワーク法学会研究大会

 今年の情報ネットワーク法学会研究大会12月11日(土)に成城大学(東京都世田谷区)で開催されます。私も出席予定です。

 なお、参加費用は、学会員は無料、一般1万円、学生3000円となっています。

 → 情報ネットワーク法学会サイト 第10回研究大会開催案内

【概 要】

 個別報告(9:30~12:00)
    ※追記※ 概要が発表されましたので、次の記事に書きました。
         ご覧ください。

   昼食(12:00~12:45)
    休憩会場でポスターセッション開催

 基調講演(12:45~15:15)
  ・テーマ「クラウドをめぐる3つの視点」 
    講師 ロバート・レンツ
         (Cyber Security Strategies社社長/
           元・米国防総省最高情報セキュリティ責任者)
       小原 英治
         (NTTコミュニケーションズ株式会社ビジネスネットワーク
          サービス事業部販売推進部長)
       横澤 誠
         (野村総研上席研究員)
    コーディネーター
       指宿 信会員(成城大学法学部教授)

   休憩(15:15~15:45) 休憩会場でポスターセッション開催

 分科会(15:45~)
   第1分科会 「クラウド・コンピューティングの法的課題」
    発表 岡本 守弘氏(富士通法務部)
        夏井 高人会員(明治大学)
        町村 泰貴会員(北海道大学)
    司会 森 亮二会員(弁護士)

   第2分科会 「見えてきたか? ネット・ジャーナリズムの姿」
    発表 池田 証志氏(産経新聞編集企画室)
        藤代 裕之会員(ジャーナリスト/blogger)
        小笠原 盛浩氏(東京大学)
    司会 橋場 義之会員(上智大学)

   第3分科会 「ライブラリアン、発信!」
    発表 いしかわまりこ会員(ウェストロージャパン)
        堀江 雅子氏(北海道大学法令判例新刊雑誌室)
        中村 有利子会員 龍谷大学ローライブラリアン
        福井 千衣氏(国立国会図書館立法情報係長)
    司会 齊藤 正彰会員(北星学園大学)

 懇親会(18:00~) 有料:5000円

  参加申込、問い合わせ等は上記の法学会サイトをご覧下さい。

2010年11月18日 (木)

建設・電販向け電線の製造業者及び販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令(公取委)

 国会がゴチャゴチャとしている中で、日経平均大引けが10000円台に乗ったようですね。なんだか訳がわかりませんが。

 さて、10月27日の当ブログで取り上げた、電線の価格カルテル事件について公正取引委員会が正式に排除措置命令・課徴金納付命令を出したようです。

 当ブログ10月27日記事は、
 → 「電線メーカーのカルテルに関する2つのニュース(独禁法)」

 本日、公正取引委員会は、建設・電販(電気工事業者又は販売業者)向け電線の製造業者及び販売業者に対して、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。

 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 今回、排除措置命令の対象となったのは、矢崎総業(東京都港区)とフジクラ・ダイヤケーブル(東京都中央区)の2社。課徴金納付命令の対象は、この2社に加えて、住電日立ケーブル(東京都台東区)、古河エレコム(東京都千代田区)の合計4社で、課徴金額合計は、108億3817万円となっています。この4社以外に、カルテルを構成した違反事業者としては、昭和電線ケーブルシステム(東京都港区)、昭和電線販売(特別清算終結済・川崎市川崎区)の2社も挙げられています。

 今回の件につき、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)の適用については、公取委の公表によれば、昭和電線ケーブルシステムが全額免除、住電日立ケーブルが50%減額、古河エレコム矢崎総業が30%減額となっています。

【違反行為の概要】
 矢崎総業及びフジクラ・ダイヤケーブルの2社(以下「2社」)並びに住電日立ケーブル古河エレコム昭和電線ケーブルシステム及び昭和電線販売の6社は、建設・電販向け電線について、販売価格の引上げ又は維持を図るため
 (1) 共通の基準価格表を用いる。
 (2) 共通の銅ベースを用いる。
 (3) 共通の値引き率を用いる。
こととし、これにより販売価格を決定していく旨を合意することにより、公共の利益に反して、我が国における建設・電販向け電線の販売分野における競争を実質的に制限していた。

【排除措置命令の概要】

  1. 2社は、それぞれ

    ア 前記合意が消滅している旨を確認すること
    イ 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、建設・
     電販向け電線の販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決
     める旨
    ウ 今後、相互に、又は他の事業者と、建設・電販向け電線の販売
     価格の改定に関して情報交換を行わない旨
    を、取締役会において決議しなければならない。

  2. 2社は、それぞれ、前記1に基づいて採った措置を、相互に、並びに住電日立ケーブル、古河エレコム及び昭和電線ケーブルシステムに通知するとともに、自社の取引先である電気工事業者及び建設・電販向け電線の販売業者等に周知し、かつ、自社の従業員等に周知徹底しなければならない。
  3.  2社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、建設・電販向け電線の販売価格を決定してはならない。
  4.  2社は、今後、それぞれ、相互に、又は他の事業者と、建設・電販向け電線の販売価格の改定に関して情報交換を行ってはならない。
  5.  2社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
    ア 自社の従業員等に対する,自社の商品の販売活動に関する独占
     禁止法の遵守についての行動指針の周知徹底
    イ 建設・電販向け電線の販売活動に関する独占禁止法の遵守につ
     いての、建設・電販向け電線の営業担当者等に対する定期的な研
     修及び法務担当者による定期的な監査

2010年11月16日 (火)

『デジタル時代の著作権』(野口祐子著)

 久しぶりに本の紹介です。

 今年初めに、著作権法務の権威、福井健策弁護士の2冊の集英社新書についてご紹介いたしました。

 → 「『著作権の世紀』(福井健策著)読了」(1/21)
 → 「『著作権とは何か』(福井健策著)も読了」(1/28)

 今回も弁護士の書いた著作権に関する新書です。

 野口祐子著 「デジタル時代の著作権」 ちくま新書 です。

 上記の福井弁護士の本とあえて比較すれば、読者に要求される法律的な知識はやや高いかなと思いますが、福井本同様に一般の人にもわかりやすく、かつ、法律の本としての水準を落とすことなく書かれています。また、4年にわたるスタンフォード・ロースクールでの著者の留学経験がこの本の内容を深めているように思います。

 私としては、ハリウッドを中心とする著作権ビジネスと科学データの著作権の問題が対比的に紹介されているのが面白く、あまり考えていなかった科学データの著作権問題について考えさせられました。

 デジタル社会の進展で、著作権ビジネスがますます拡大する一方、著作権が普通の市民にも身近な問題になってきています。著者はこれを「お茶の間法」への変質と表現していますが、我々弁護士も、仕事内容が、直接には出版や映画、音楽などの企業とは関係がなくても、著作権法を知らないではすまない時代になってきましたですね。

 

 

2010年11月14日 (日)

景表法・不実証広告規定に関する判決(東京高裁)

 10月29日に景品表示法に関する東京高裁判決が出ています。公正取引委員会による排除命令(平成18年10月)についての審決取消訴訟です(この場合は1審が東京高裁になります。)。この排除命令の当時は景品表示法の所管官庁は公正取引委員会でしたが、現在は消費者庁の所管法令になっています。

 この判決は、景品表示法4条2項のいわゆる「不実証広告」の規定についていくつかの判断がされている点で注目されます。原告(株式会社オーシロ)である排除命令対象業者が主張している取消事由は全部で11もありますので、ここで全部紹介できませんが、少し裁判所の判断内容を紹介しておきます。結論としては、原告業者の取消事由の主張を全て排斥し、審決の取消を認めなかったものです。
 なお、対象となったのは、タバコ関連商品の包装紙に書かれた表示についてです。

 → 消費者庁サイト 不実証広告規制

 → 判決文(公取委・審決等データベースより)

 → 公取委審判審決(平成21年10月28日)(PDF)

 まず、判決は不実証広告(景品表示法4条2項)の趣旨については、公取委が迅速、適正な審査を行い、速やかに処分を行うことを可能にして、公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を保護するという景表法の目的(改正前景表法1条)を達成するために設けられた規定である、としました。

 また、原告業者は、景表法4条2項の文理から優良誤認に該当する表示とみなされるのは排除命令及び審判手続においてのみであり、審決取消訴訟においては、公取委が優良誤認表示に該当する表示であることを立証しなければならないと主張しました。
 これについて判決は(以下、判決文中の「被告」は「公取委」に置き換えています。)、
「審決取消訴訟は,抗告訴訟であり,その審理の対象は,原処分の処分要件の有無ということになるから,原処分の根拠とされた景表法4条2項の定める要件の有無が審理の対象となるべきことは明らかである。その上,原告の主張するところによれば,事業者は,審決取消訴訟を提起しさえずれば,当該訴訟においては,景表法4条2項の適用がないことになり,公取委が当該表示が同条1項1号に当たることを主張立証しない限り,原処分が取り消されることになるのであるから,公取委としては,取り消されることのない原処分をするためには,結局,当該表示が同号に該当するか否かまで検討せざるを得ないことになって,被告が迅速,適正な審査を行い,速やかに処分を行うことを可能とすることによって,公正な競争を確保し,もって一般消費者の利益を保護するという同法の目的を達成するという同項の立法趣旨に反する結果となる。
 そして,景表法4条2項が,「第6条第1項及び第2項の規定の適用については,当該表示は同号に該当する表示とみなす」旨定めたのは,同法6条1項,2項の所定の「第4条1項の規定に違反する行為」には,同法4条2項により同条1項1号の表示とみなされた行為が含まれる旨を明らかにして,同法4条2項と6条各項の適用関係を明らかにしたものであり,訴訟について定める独禁法9章について景表法4条2項の適用を排除する趣旨を定めたものと解することはできない。」

 として、審決取消訴訟においても「不実証広告」規定は適用されるものとしました。これは当然の判断ですね。

2010年11月13日 (土)

「独禁法セミナー」行ってきました(大阪弁護士会)

 今日は、先日書きましたように、大阪弁護士会公正取引委員会近畿中国四国事務所の共催による「一般消費者向け独占禁止法セミナー」大阪弁護士会で開催されたので、出席してきました。「一般消費者向け」とはなっていますが、パネリストも豪華メンバーで、どちらかといえば、あまり独占禁止法の勉強をしたことのない若い弁護士さんに是非来てほしかったと思います。

 パネリストは、泉水文雄教授(神戸大学大学院法科大学院教授)、中嶋弘弁護士(大阪弁護士会 消費者保護委員会委員)、小室尚彦企画官(公正取引委員会 官房総務課 企画官)でしたが、消費者や零細事業者からの視点での独占禁止法の意味、活用法、今後の課題がそれぞれの立場からわかりやすく述べられたと思います。

 小室企画官らの最初の独禁法解説はなかなか楽しく、公取委のゆるキャラ「どっきんくん」には笑いました。「どっきんくん」は → こちらへ

 泉水教授景品表示法公取委から消費者庁に移管したことについての問題点のご指摘には私も全くその通りだと思いましたし、消費者・零細企業者の立場からの独占禁止法活用の第一人者である中嶋弁護士の経験に基づく話も会場の弁護士さんたちには大変参考になったことと思います。

 大きな企業の企業法務をやっているような法律事務所であれば、当然、独占禁止法の知識は要求されるわけですが、私のような一般市民や中小企業の顧客の多い弁護士でも独占禁止法の知識は必須だと思います。しかし、必ずしも、そのような多くの弁護士が独占禁止法の知識や経験を持っているわけではありません。

 「独占禁止法」というと上場しているような大企業の法律実務の問題だと考えがちですが、決してそうではありません。そもそも、「独占禁止法」というのは、略称です(もっと省略したのが「独禁法」ですけどね。)。正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。この法律名の前半だけを略したので、「独占禁止法」になるわけで、後半を略せば「公正取引確保法」になりますね。これだけで随分と印象は変わってきます。私は、この後半を中心とした略称にしたほうが、この法律を正確に認識できるような気がします。

 ということで、中小零細企業が依頼者である場合も独占禁止法の知識経験は必要なはずなのですが、そこのところが浸透していないのですね。

 このようなセミナーは、広報の仕方も難しい点もあって、今日は参加者が多かったとはいえませんが、そのあたりを検討したうえで、来年も是非開催いただければと思います。運営関係者の皆様、お疲れ様でした。

2010年11月 4日 (木)

7月半ば投函の郵便物が3通も届いた話

 今日は朝から大変ショッキングな報せを聞きました。秋田の津谷裕貴弁護士が本日早朝に自宅で殺害されたというニュースです。
 津谷さんは、私より少しだけ上の年代ですが、私が弁護士登録直後から、豊田商事事件の被害者弁護団や国家賠償弁護団でご一緒する機会も多く、その後も消費者問題の関係で大変お世話になった方です。とても温厚で、いつもニコニコと接していただきました。ずっと消費者問題に関わっておられ、現在は日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の委員長をされていました。本当に言葉もありませんし、まだ本当は信じたくない出来事ですが、ご冥福をお祈りいたします。

 この無念さとは全く比較になるものではありませんが、今日は朝からもう一つ大変腹の立つことがありました。

 朝、事務所に来て、届いた郵便物を見ると、大阪のある消費者団体からの講演会の講師依頼文書。しかし、この講演会は9月にちゃんと終わっています。何かの確認かなと思って良く見ると、消印は7月半ば。講演に関しては、電話やメールでもやり取りしてるので、問題はないのですが、そういえば、講演会直前に、依頼文書が手元になくてメールで送ってもらったことを思い出しました。その時は私の文書整理が悪くてどこかに行ったのだと思っていたのです。

 それで、この遅配のことを事務員に告げると、うちの相棒弁護士に今日届いた郵便物も同様に7月半ば消印のものらしい。こちらは、宮崎県の自治体からの取り寄せ文書。相棒によれば、当時、書類が送られてこないので、相手の自治体と電話でトラブったとのこと。つまり、全く別のところからの7月半ばの郵便が今頃届いたわけです。当然、こちらの配達担当の郵便局の問題でしょう。
 しかも調べてみたら、もうひとつ同様の私宛の郵便物を見つけました。これも7月半ばの消印のある大阪市内の会社からの暑中見舞い(日本郵便製のですよ)。

 原因はいろいろ想像できますが、うちの事務所だけの問題とは思えませんので、周辺にもこういう郵便物が届いているのではないかと思います。幸い、大きな損害を発生するものはありませんでしたが、場合によっては大変なことになる可能性のある大失態だと思います。本来、一軒一軒謝って配るくらいのことが必要なミスだと思うのですがね。

 皆さんも、日本郵政の配達には充分お気を付け下さい。

2010年11月 3日 (水)

無期懲役刑の仮釈放の実態(法務省)

 2名の女性を殺害した被告人に対して、裁判員裁判で無期懲役の判決が出された事件がいろいろと話題になっています。前の法務大臣の死刑執行署名の時などと同様に死刑論議がまた高まることになると思います。

 死刑の是非が議論されるときに、無期懲役について「無期といっても、仮釈放制度により、短い年数で出所できる」という話を、ネット上や時にはマスコミなどでも見ることがあります。しかし、これは実態を踏まえていない話です。間違いと言ってもいいかと思います。

 法務省は、「無期刑受刑者の仮釈放に係る勉強会」における無期刑受刑者の仮釈放の在り方等についての検討結果をまとめた報告書(平成20年11月)を公表しています。(下記の発表ページ内に報告書等がリンクされています。本記事では紹介していない統計資料もありますので、この問題に興味のある方は必読です。)

 → 法務省「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について」

 これによれば、

 平成10~19年の無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況として、

  1. 無期刑受刑者のうち、仮釈放が許されるのは、多くても年間十数人。仮釈放時の在所期間は20年以上の者が大半であり、しかも近年長期化傾向。
       無期刑新仮釈放者の平均在所期間は、平成10年に20年10月、
       平成17年には27年2月、平成19年には31年10月。
  2. 仮釈放を許されずに相当長期間服役している者が少なくない。
       平成19年末無期刑受刑者1,670人中、在所期間40~50年
       の者は13人、同50~60年の者は5人
  3. 仮釈放が許された者よりも在所中に死亡する者の方が多数。
       平成10~19年の無期刑新仮釈放者は79人、無期刑死亡者は
       120人

と報告されています。
 また、無期刑により新たに刑事施設に収容された者(無期刑新受刑者)は、平成10~11年には45人程度であったところ、平成15年には114人、平成18年には136人と増加、平成19年には、89人と減少に転じたものの、それまでの無期刑新受刑者数の急増に伴い、年末時点で刑事施設に在所中の無期刑受刑者(年末在所無期刑者)も、平成10年の968人から平成19年の1,670人へと急増し、10年間で約1.7倍となった、ということです。

 なお、平成20年の新受刑者は53人、年末在所無期刑者は1,711人、新仮釈放者は4名、死亡者7名となっています。
 → 「無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について」
         ※ 平成21年9月に平成20年分の資料を更新したもの(PDF)

 死刑の是非についての考え方はいろいろかと思いますが、間違った前提での議論は止めていただきたいと思います。特に、マスコミは世論をミスリードする危険性が高いですからね。

2010年11月 2日 (火)

企業の自浄能力に関するブログ記事紹介

 東京では、皇居周りの市民ランナーの増加やマナーが話題になっていますが、ここのところの市民マラソンブームは相当なもので、今年になってから、いろんな大会の参加申込が受付後すぐに満員になって締め切られるというようなことを何度か経験しています。私もマラソン歴20年を超えましたけれども、こんな状態は初めてです。やはり東京マラソンでたくさんの人がランニングに目覚めたということでしょうか。
 私は、レースシーズンの初戦(笑)として、次の日曜日にハーフマラソンに参戦し、来月の奈良マラソンの足馴らしをしてくる予定です。

 さて、大阪の山口利昭弁護士のブログ「ビジネス法務の部屋」の最新エントリーで、日本ハムの贈答商品の不正な詰め合わせの件について書かれています。企業法務分野での超有名ブログですので、私がわざわざご紹介するまでもないとは思うのですが、大変、具体的にわかりやすく、この問題を取り上げられていましたので、ここでご紹介しておきたいと思います。

 → 「日本ハム社の不祥事「件外調査」と自浄能力の高さ」
                  (ビジネス法務の部屋 11/2)

 不正はあってはいけないものですが、残念ながら不正やトラブルが発生してしまうことを100%防止することは容易ではなく、そういった場合の企業対応のあり方、つまり危機管理体制が極めて重要であることは当然です。
 そして、消費者側としても、単に企業の不正行為を非難するばかりではなく、そういった企業の事後対応を積極的に評価していくことも、マーケットの一員として重要な役割、責任であると思います。それが企業の従前の隠蔽体質を改善していく結果につながるものと思います。

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