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2010年7月 5日 (月)

第三者名義不動産に対する承継執行文付与の可否についての最高裁判決(権利能力なき社団・・朝鮮総連)

 数日前に報道されていたものですが、朝鮮総連に対する不動産(本部ビル)の強制執行に関して、最高裁判所は、債権者(整理回収機構)から申し立てられていた「承継執行文の付与」を認めないという判決を出しています。裁判所サイトにこの判決は掲載されています。もっとも原告、被告の名は出てませんが、既に広く報道された社会性のある事件ですので、ここでは実名で記します。

 平成22年6月29日 最高裁第三小法廷 判決(上告棄却)

 これは、朝鮮総連が、権利能力のない社団であることから、その保有する不動産を朝鮮総連の団体の登記名義にしておらず、第三者(本件では別の法人)の登記名義にしている場合に、民事執行法27条2項の「承継執行文」を付与することはできない、とした原審東京高裁判決を支持したものです。

 最高裁判決は、
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して,当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきものと解するのが相当であって,法23条3項の規定を拡張解釈して,上記債務名義につき,上記登記名義人を債務者として上記不動産を執行対象財産とする法27条2項の執行文の付与を求めることはできないというべきである。

 と判断しています。なお、この判決には、田原裁判官の補足意見(岡部裁判官も同調)が付けられています。

 この判決結果だけを見ると、朝鮮総連側が勝ったということになるのですが、最高裁判決が上記下線部で判示していますように、本件のような場合には、別途、朝鮮総連及び登記名義人に対して、当該不動産が朝鮮総連の構成員の総有であることの確認判決を得ることができれば、強制執行は可能であるとの積極的な判断を示しています。
 そして、報道によれば、整理回収機構側は、上記の手続に併行して、既にそのような訴訟を進めており、1審で勝訴し現在東京高裁で控訴審の審理中ということであり、こちらの訴訟の判決での勝訴が確定すれば、当該不動産の強制執行が可能ということになります。
 この問題のように、実務上、扱いが確立されておらず裁判所の判断がどうなるか微妙な場合の法律手続の選択は大変悩ましいものです。そういった場合の債権者側の手続選択の具体的な実例としても参考になるかと思います。

 なお、今回の最高裁判決については、町村泰貴教授がmatimulogで既に触れておられますので、興味のある方はご覧ください。

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