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2010年5月の記事

2010年5月28日 (金)

iPad祭りの前夜にて

 午前1時を過ぎてしまいましたので、さすがにもう雑談モードです。
 27日は、架空土地をネタにしたビズ・インターナショナル社と悪質ドロップシッピングのサイト社が、それぞれ埼玉県警と警視庁から強制捜査を受けました。ビズ社については大阪で弁護団が提訴しているようですね。私自身は関与していませんが、一緒に活動していた弁護士さんたちが頑張っています。

 一方、サイト社については、私の関与しているドロップシッピング被害弁護団の訴訟対象にはなっていませんが、以前から苦情は聞いていた会社です。特定商取引法違反の容疑での家宅捜査のようですが、私個人としては、はっきりと詐欺で立件していただきたいと思っています。

 ところで、前回も話題にしましたが、いよいよiPadが今日(28日)から販売されます。ニュースでも、前日からアップルストアで行列を作っている様子が中継されたりしています。また、事前予約で配達されるのを待っている人たちにも配送の事前メールが27日に続々と送られてきているようで、ツイッター上からは、予約した人たちのワクワクした待ちきれない様子が伝わってきています。ツイッターを見ていると、本当に自分も欲しくなってきます(このツイッターの口コミ効果は決して馬鹿にならないものがあります。)。

 で、私は予約しているわけではなく部外者なんで残念なんですが、このiPadは、それ自体の技術的な目新しさはないものの、商品のアイデアとしては秀逸であり、これまでのノートパソコンでもなく、携帯電話やスマートフォンとも違うもので、今後、いろいろと世の中を変える可能性を秘めた商品であることは間違いないと思います(今後、出てくる競合商品を含めてですが)。私も明日以降始まるであろうiPad祭りを眺めながら、いろいろと考えていきたいと思っています。なお、対抗商品の「joojoo」という海外製品が先日からネット販売されているようで、大阪の某弁護士は注文をされたようですので、こっちも様子を見ていきたいと思っています。DELL社も5インチディスプレイのandroid端末商品を発表したところです。
 あれ、今、テレビのWBSで、台湾のエイサー社が7インチ端末を出すという新しいニュースが丁度流れました。

 ちょっとだけ話がずれますが、さきほど、これもツイッター経由で、スマートフォンandroidアプリに、法文閲覧のできるアプリ(「And六法」)があることを知り、早速、私のXPERIAにダウンロードしました。Iphone向けアプリに六法アプリがいくつかあるのは知っていましたが、androidアプリであるのは知りませんでした。いや、これは私にとっては大変便利です。基本的な法令は携帯(スマートフォン)で見ることができるわけですから。このアプリを含め、androidアプリの多くは無料であり、大変ありがたいことですね。
 ということで、もうちょっとXPERIAの充実をはかることにして、やはりiPadについては横目で睨んでいくこととします。 

2010年5月26日 (水)

NFLに米独禁法適用の連邦最高裁判決

 5月24日、アメリカの連邦最高裁判所が、米プロフットボールリーグ(NFL)が、独占禁止法の適用免除対象とならないとの判断を示し、下級審に差し戻す判決をしたと報じられています。高裁の判断を覆したようですね。

 この裁判は、NFLが、リーボック社と独占契約を結んで、各チームのロゴ入り商品を製造販売していることに対して、アメリカンニードル社(AMERICAN NEEDLE, INC.)が、米独占禁止法に違反するとして、NFLを訴えていたものです。

 アメリカでは、野球の大リーグ(MLB)は独禁法の適用除外となっているそうです。が、この訴訟で、他のスポーツリーグも同様に適用除外となるかどうかが注目されていたようですね。

 私自身、アメリカの独占禁止法に詳しいわけではありませんので、以下、関連サイトの紹介のみといたします。こういった情報も、即日に、ツイッターで専門家の方々の情報が入ってくるようになりました。とんでもない時代になったもんです。

 → 最高裁判決(英文)

 → ニューヨークタイムズ記事(英文)

 → NFLの日本語版サイト・ニュース

 → CNN記事(日本語)

 次はアメリカで経済学を勉強されている青木理音氏(博士課程)ブログ

 → 経済学101「スポーツリーグにも競争政策」

訴訟記録コピー代(司法協会)とiPad

 アップル社の新型端末iPadの国内販売開始が間近となってきました。ツイッターの私のTL(タイムライン)上でも、既に米国販売商品を入手して使っている弁護士さんもおられるたり、国内販売予約を済ませている人も多くおられ、今後のそれぞれの使用方法のレポートを楽しみにしています。私は、それを見てからですね(今は、android携帯端末のXperiaをいじっていますし。)。今朝の日経新聞にも出ているように、接続する通信回線をどうするかというのも選択ポイントになります。

 さて、あの事業仕分で、昨日は、司法協会の裁判記録謄写(コピー)料金(1枚50円)が俎上にのぼり、テレビニュースなどでも取り上げられていました。

 裁判記録のコピーの方法は裁判所によって違うのですが、ここで典型的に問題となるのは、裁判所の記録書類のコピーをする場合に、弁護士などが、自分たちで直接行うことができず、司法協会の職員に依頼して、必要な記録書類のコピーを作ってもらう場合です。
 この場合、弁護士側がセルフコピーをするのではありませんので、司法協会が反論していたように、司法協会職員は、元の事件記録を毀損しないように一枚一枚丁寧に(自動送りはできませんね)コピーする必要があって時間もかかり、当然人件費もかかるので、単純にコンビニなどでのセルフコピー料金と比較できない、というのも全くの言い訳というわけではありません。
 また、ニュースではあまり伝えていませんが、このような記録のコピーが大量に必要になるのは、民事の事件の当事者の場合は比較的少ないのです。なぜならば、通常の民事裁判では、訴状や準備書面といった書類は相手方にコピー(副本)が送られるのが原則ですので、裁判所にある記録をコピーするというのは、例外的な場合になります。例えば、民事訴訟を途中から(控訴審からとか)受任したが、それまでの訴訟記録書類が何らかのの理由で依頼者の手元に揃っていないとか、民事保全事件(仮処分、仮差押)のように相手方当事者に申立書や証拠書類の副本が送られてこない事件で検討が必要であるとか、の場合です。また、一般的には民事訴訟では記録書類の量も刑事事件に比べて少ないことが多く(例外はもちろんありますよ。)、その点からも問題は少ないことになります。

 問題が大きいのは、刑事訴訟の弁護人の立場で、刑事事件の弁護人となった弁護士は、起訴された刑事事件の書類(その大部分は証拠書類)をコピーしてきて検討しなければなりません。裁判所や検察庁から記録のコピーを送ってくれるわけではないのです。刑事事件の場合は、この書類の量が多く、事件によっては、相当な量になってしまいます(段ボール何箱もという場合も)。あのオウム真理教事件では、膨大な書類の量になりコピー費用も大きな金額になったと聞きます。オウム真理教事件で弁護人の費用が一般の人から驚かれるような金額になって批判的な意見も出ていましたが、実際には、こういった実費負担は馬鹿にならないのです(その膨大な資料の保管だけだって、東京ではかなりな負担となるでしょうし。)。

 ただ、司法協会の利益を減らしてコピー料金を下げるとしても、上に述べたようなコピー作業のコストもありますので、今のシステムを前提とすれば、どこまで下げることができるのかはわかりません。普通に考えれば、コンビニ等のコピー料金まで下げることは難しいようにも思います。
 なので、司法協会のコピー作業はやめて、裁判所に設置したコピー機を利用した弁護士のセルフコピー方式をとることにすれば、もっと費用を下げることは可能でしょう(もっとも、裁判所側は記録毀損が心配なので、その対策は必要になるでしょう。)。
 それでも、セルフコピー方式をとる場合には、当然ながら、弁護士(実際には事務員さんでしょうけど)の作業コストが必要になります。ちょっとした記録のコピーであればいいですが、大量のコピーとなれば、誰がやろうが大変です。何百、何千枚の書類を一枚一枚コピーしていくことを考えれば、時間も相当かかります。場合によっては、そのためにアルバイトでも頼まないといけないかもしれませんね(これはこれで別に守秘義務の心配も出てきます。)。結局、それに必要な弁護士側のコストは依頼者に転嫁しないといけないことになります。

 抜本的な解決としては、訴訟記録の電子化(もちろん原本はちゃんと当事者が直接に検証できるようにしておかなければいけませんが)ということでしょうか。そうでなくても、今はデジカメの性能が非常に良くなりましたので、訴訟記録をデジカメで撮影して、コピープリントが必要なもののみコピーするということをするということになるのかもしれません。

 そして、その画像データをiPadに放り込んで、被告人との接見や裁判に赴くというのが、近い将来の弁護人の姿になっているかもしれませんね。と、冒頭のマクラに戻りました。

2010年5月25日 (火)

著作権フェアユース規定のパブコメ(文化庁)

 本日、文化庁から、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で検討されてきた著作権の権利制限に関する一般規定(フェアユース規定)についての報告書である「権利制限の一般規定に関する中間まとめ」に関する意見募集(パブコメ)の実施が公表されています。小委員会の検討の結論としては、導入の方向になっています(もちろん、その中身が問題なのですが、詳しくは報告をごらんください。)

 → 意見募集の実施について

 意見の提出は、郵送・FAX・電子メールによることになっており、提出期限は、6月24日(木)正午ということで、1ヶ月もない期間です。
 なお、メールによる場合、ウイルス対策のため、添付ファイルが駄目だそうで、本文に書かなければならないようです。

 なお、目次はこんなのです。

 はじめに............................................... 1

 第1章 検討の経緯................................... 2

 第2章 既存の個別権利制限規定等の解釈論や個別権利制限規定の改正
    等による解決について.......................... 4

   1 問題の所在........................................ 4

   2 既存の個別権利制限規定の解釈論等による解決について.............. 4

   3 個別権利制限規定の改正等による解決について.......................... 6

 第3章 権利制限の一般規定を導入する必要性について........................ 7

   1 諸外国の状況....................................................................... 7

   2 権利制限の一般規定を導入することについての関係者の考え方.....10

   3 権利制限の一般規定の導入の必要性を考える場合に検討すべき
    事項について........................................................................11

   4 まとめ............................................................................... 14

 第4章 権利制限の一般規定を導入する場合の検討課題について........... 16

   1 権利制限の一般規定により権利制限される利用行為の内容について.. 16

   2 権利制限の一般規定を条文化する場合の検討課題について.......... 25

 おわりに...................................................................................... 31

2010年5月21日 (金)

光ファイバケーブル製品等のカルテル事件(公取委)

 NTT発注の光ファイバー製品のメーカー(住友電工、古河電工、フジクラ、昭和電線ケーブルシステム、住友スリーエム)に対して、合計約161億円という高額の課徴金が命じられています。なお、関連業者は計9社になります。
 本日、公正取引委員会は、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモなどが発注する光ファイバケーブル製品の製造業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反するとして、排除措置命令および課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委サイト 報道発表資料(PDF)

 なお、上記4社のほかに、日立電線、コーニングインターナショナル、昭和電線ホールディングス、アドバンスト・ケーブル・システムズの関与も認定しましたが、そのうち、アドバンスト社は違反を事前申告したため、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)の適用で、命令を免れたようです。これについては、公取委サイトの適用事業者ページには出ていませんが、報道によれば、そのようですね。公取委サイトの適用事業者公表は公表希望事業者のみなので、同社は公表を希望しなかったのかもしれません(といっても、こうやって分かったりするわけですが)。
 古川電気工業は、自主申告により30%の減額を受けたことが、公取委サイトに公表されています(調査開始日以後の申告なんでしょうね。)。 → 公表ページ

 また、調査開始日から遡って10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者については、独禁法7条の2第7項により、課徴金が5割加算されているようです。どこが、というのは確認してませんが、主要メーカーによる電線のカルテル事件の摘発はこれまでにもなされていますので、そういった会社には加算されているのでしょうね。

 他の3社は違反行為が3年以上前に終わっているため、公取委が排除措置も課徴金も命令を出さなかった模様です。

【違反行為の概要】
 NTT東日本等が発注する光ファイバケーブル製品、FASコネクタ、熱収縮スリーブについての発注者に提出する見積価格を事前に調整し、価格や受注企業を決めていた。

【課徴金納付命令】
 住友電気工業株式会社 67億6272万円
 古川電気工業株式会社 46億0602万円
 株式会社フジクラ   44億1164万円
 昭和電線ケーブルシステム株式会社
             1億9903万円
 住友スリーエム株式会社 1億2002万円

ベーシック経済法(第3版)読みました。

 昨年秋あたりに話題になって、当ブログでも少し触れたことのあるアメリカのFTC(連邦取引委員会)の広告ガイドラインの和訳がようやく手に入りました。ブログなどでの推奨広告に関するものです。FTC法5条に関するガイドラインという位置づけですね。

 ということで、以下、それと関係するかどうか微妙な紹介記事です(笑)

 先日、神戸大学の泉水教授から、「ベーシック経済法(第3版)」(有斐閣アルマ・川濱昇、瀬領真悟、泉水文雄、和久井理子)を送っていただきました。ありがとうございました。
 既に3版ということですが、正直いいまして本書を読むのは初めてです。今年の1月から施行された独占禁止法の改正に伴って、版を新たにされたのですが、最近の判例や審決も取り入れられています。

 元々、大学生らの初学者向けの教科書として書かれているものですが、特徴としては、冒頭の「序章・ようこそ経済法の世界へ」で、経済法がどういう役割を持つかについて、わかりやすく解説したうえで、独占禁止法の概観がなされている点を挙げることができます。これは、従来の基本書的な教科書にはあまりなかったものですね。

 また、本文には、コラムやCase(事例)が適宜挿入されていて、初学者でも飽きることなく学習できるよう配慮がされているように感じました。

 独占禁止法を深くは勉強する必要はないけれども、ビジネスの常識として知っておきたいという社会人の方にもお奨めできるものと思います。

2010年5月20日 (木)

金星探査衛星「あかつき」明朝打上予定

 今日は、法律や裁判とは無関係な話題のみです。たまにはいいでしょう。

 先日の打上げ予定が延期になっていたH-ⅡAロケットが、種子島から、明朝(21日午前7時前)に打上げされる予定になっています。このロケットには、ソーラー電力セイル(宇宙ヨット)の「IKAROS」(イカロス)とともに、金星探査衛星の「あかつき」が搭載されています。宇宙ヨットのほうも、SF小説のようでワクワクしてしまうのですが、一方の「あかつき」については、このブログでも取り上げたことがあります。
 → 当ブログ「『初音ミク』2題」(09/12/27)

 これは、「あかつき」にバーチャル・アイドルの「初音ミク」のイラストとメッセージを載せて金星に届けるという活動についてのものですが、そこにも書いたように、このアルミパネルには私のメッセージも載っているはずです。

 どのように搭載されているか、などについては、次のITmediaの記事をご覧下さい。
 → ITmedia
     「初音ミク「あかつき」に搭乗! 種子島で実機を見てきた」

 そういえば、数日前、西の空に、三日月のすぐ上に金星が輝いているのがきれいに見えました。あまりにきれいなものでしたので、ツイッター上には皆さんが日本各地で撮影した月と金星の写真が並びましたし、翌朝の新聞にも写真が出ていましたね。

【追記】(5/21)
 無事に打ち上げられました。JAXAとニコ動のネット中継とNHKのTV生中継を見てたのですが、ネット中継のほうが30秒ほど遅れるのですね。(7:12)
 あかつきの軌道投入も成功し、他の小型衛星などの分離も完了したようです。(8:00)

 なお、ツイッターのアカウントもあります。
  「あかつき」 @Akatsuki_JAXA 「イカロス」 @ikaroskun (8:20)

2010年5月17日 (月)

平成22年度新司法試験問題(法務省)

 今年度の新司法試験は、5月12、13、15、16日と、昨日まで、途中1日の休みをはさんで4日間行われました。私が受験した頃と違って(もう30年ほど前ですが)、短答式試験と論文式試験が連続して行われます。ただ、せっかく論文式試験を書いても、短答式試験で足切りが行われることになっています。

 法科大学院(ロースクール)や司法修習制度などについて、いろいろと見直しが行われる方向の昨今ですが、受験生の皆さんはひとまずお疲れ様でした。この試験の合格発表は9月9日の予定です。

 さて、この新司法試験の問題が公表されましたので、ご紹介しておきます。

 → 法務省サイト 平成22年新司法試験問題

 内容に触れますと、自分のボロを出しそうなので、ご案内のみ(苦笑)

【追記】(5/17)
 町村教授が試験内容につき若干コメントされてます。
 → Matimulog「平成22年新司法試験問題」(5/17)

広告媒体の不法行為責任を認めた判決(大阪地裁)

 この土曜、日曜は、連続して講演の仕事でした。
 日曜は、消費者団体関係の研修講座で「情報化社会と消費者」というテーマでしたので、私の最近の講演としては一番多い種類のものでしたが、土曜のほうは少し珍しくて、日本広告学会の関西部会で消費者問題と広告に関してしゃべってきました。

 先日発行された雑誌「現代消費者法№6」(民事法研究会発行)の特集「広告と消費者法」に少し書かせていただいたこともあって、そんな関係でお呼びがかかった次第です。なお、この雑誌特集はヨーロッパにおける広告規制などについても詳しい紹介があり、この種のテーマの文献集としては有用かと思います。
 → 「現代消費者法№6」(民事法研究会Webサイト)

  今回の広告学会での講演は、私にとっては新しい体験で、広告に関係する研究者や業界の方々に聴いていただくということで若干心配していましたが、何とか責任を果たすことができたようでした。皆さん、ありがとうございました。

 ところで、私は、上記雑誌に、広告媒体(広告事業者や放送局、新聞社、雑誌社など)に対する消費者からの責任追及について書いており、責任を否定する判決が相次いでいる、としています。しかし、報道もされましたように、つい先日(5月12日)、広告代理店および広告掲載雑誌出版社の両方に対して損害賠償を認めた判決が大阪地裁で出ました。虚偽内容が記載されたパチンコ攻略法の広告を信じて情報を購入して損害を受けた原告が訴えていたもので、大阪弁護士会の消費者保護委員会で活躍している弁護士さんたちが勝ち取った判決です。

 大阪地裁判決は、一般論として、この種事案の先例的最高裁判決(結論的に責任は否定)である平成元年9月19日判決と同様に、
「雑誌広告は、雑誌上への掲載行為によって初めて実現されるものであり、その広告に対する読者らの信頼は、当該雑誌やその発行者に対する信頼と全く無関係に存在するものではなく、広告媒体業務にも携わる雑誌社及びその広告の仲介・取次をする広告代理店としては、雑誌広告の持つ影響力の大きさに照らし、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって、読者らに不測の損害を及ぼすことを予見し、または予見し得た場合には、真実性の調査権限をして虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があり、その限りにおいては雑誌広告に対する読者らの信頼を保護する必要があると解され、その義務に違反した場合は不法行為が成立すると解される。」
としたうえで、本件パチンコ攻略法に関しては、両社ともに、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があった、として、その責任を認めたものです。このパチンコ攻略法の内容がかなり怪しげなものであり、しかも、両社はパチンコの事情に詳しいという事情もあって、従来の枠組みのもとでも、不法行為責任が充分に認めらるものであったということがいえるでしょう。ただ、実際に広告媒体事業者の賠償責任が認められたことは他の業者に対しても影響を与えるものと思います。

 

2010年5月14日 (金)

独占禁止法の裁判管轄の拡大を求める大阪弁護士会会長声明

 恥ずかしいことに、自分の所属会でありながら、さっきまで知らなかったんですが(苦笑)、「独占禁止法の裁判管轄の拡大を求める会長声明」が大阪弁護士会から公表されています(4月30日)。
 → 会長声明(PDF)

 現在国会審議中の独占禁止法改正案では、これまでの公正取引委員会による審判制度を廃止して、排除措置命令などの不服審査を裁判所の訴訟手続で行うこととなる予定です(まだ、国会審議は実際に始まっていないようですが)。また、従前は東京高裁の専属管轄であった独占禁止法25条の損害賠償請求訴訟手続の管轄を東京地裁の専属へと変更することになっています。

 そして、今回の大弁会長声明は、この不服申立の訴訟手続や独占禁止法25条の損害賠償請求訴訟手続についての管轄が東京地裁の専属とされた点に対して、反対する内容となっています。私もこの意見に賛成します。

 改正案が、訴訟管轄を、東京地裁に限定した理由は、独占禁止法違反事件が専門性の高い事件であり、判断の合一性を確保するとともに、専門的知見の蓄積を図ることが挙げられているようです。

 大企業であれば、そのほとんど全ては東京に本店あるいは主要な拠点を有しており、東京地裁に限定されても問題はほとんどないでしょう。しかし、独占禁止法違反事件で公正取引委員会の命令の対象となるのは、必ずしも大企業だけではありません。地方の公共工事談合事件をはじめとして、各地方の中小企業も排除措置命令や課徴金納付命令の対象となることは決して少なくありません。昨年の改正で一部の「不公正な取引方法」についても課徴金の対象となったこともあり、今後も地方企業に対する適用事案が増えていくものと思われます。

 これまでも、独占禁止法25条訴訟が東京高裁専属である点は批判されてきました。独占禁止法違反行為で被害を被るのは、中小零細企業や一般消費者です。それが東京でしか裁判が行えないとすれば、地方の企業、消費者が闘うには経済的、時間的コストの負担が馬鹿になりません。したがって、この訴訟管轄を、せめて高等裁判所所在地の8地裁か、そうでなくても東京、大阪の2地裁に管轄を認めるべきだという意見も強くありました。しかし、今回は、25条訴訟の管轄を東京1ヶ所のままとしたうえ、排除措置命令などに対する不服申立の訴訟管轄も東京地裁のみとされようとしているのです。

 改正案が、管轄権を東京地裁に限る理由である高度の専門性についてですが、今回の大弁会長声明でも述べられているように、行政事件、労働事件、知的財産事件などなどの事件は、それぞれに高度な専門性が必要なものです。しかし、これらについても東京だけの専属管轄ということはありません。

 まとめの代わりに、大弁会長声明の最後の部分を引用しておきます。

「また、今回の改正法案は、審判制度を廃止し、公正取引委員会の行った処分の適法性の審査を裁判所に委ねるものであるから、被処分者が処分の取り消しを求めたり、被害者が法第25条の無過失損害賠償請求権を行使する裁判所を、東京地裁に限定するのは、行政訴訟改革の一環として、国に対して不服を申し立てるにあたっては、申し立てる者の住所または居所をもとに定まる管轄地方裁判所にも提訴できる道が開かれたこと(行政事件訴訟法第12条第4項)とも矛盾し、東京圏以外の地方に在住する市民や事業者の権利救済の道を狭めるものであり、司法の行政に対するチェック機能の強化や市民が利用しやすい司法制度を実現することを目指す司法制度改革の理念に逆行するものである。
 本会は、地方在住の事業者や市民の権利擁護の立場から、不服申立て等の提訴先を東京地裁に限定することなく、高等裁判所所在地を管轄する地方裁判所に認めること、もし、それがかなわないとすれば、少なくとも西日本の事業者や市民の権利擁護のために大阪地裁にも裁判管轄を認めるように、今国会に提出された独占禁止法改正法案の修正を強く求めるものである。」

2010年5月10日 (月)

奈良マラソンやら、司法試験短答式問題やら・・・

 ちょっと雑談気味ですが。

 今日は、ipadの国内予約受付開始で各店に行列ができているだとか、サッカーW杯日本代表発表だとか、で、世間は(というか、私のツイッターのタイムライン上は)賑わっています。
 これに加えて、先程、次の参議院選挙に柔道の谷亮子氏が民主党から出馬するとのニュースも流れてきて大きな話題になっているようですね。

 別の話題として、今日から、12月5日開催の奈良マラソンの参加申込受付の開始というのがあって、私も、今朝、ネットで申込を済ませました。こちらは、東京マラソンと違って、抽選ではなくて先着順ということもあり、半年以上先のレースですが、初日からの申込が相次いでいるようです。さっき見たら、ネット受付のRUNNETは「メンテナンス中」となっていました。アクセスが集中して不具合になってしまったのかもしれません。

 で、法務省は、先日の旧司法試験の短答式試験問題を本日公開しました。
 → 法務省サイト
 頭の体操にどうぞ。

2010年5月 9日 (日)

恩師を偲ぶ会

 前々回の記事に、アップル製品のネット通販中止の動きについて書きましたが、この件に関して、植村弁護士がブログ「みんなの独禁法」で独占禁止法上の問題を詳細に検討されています(植村弁護士のブログも前々々回に紹介したところですね。)。

 今日は、昼から大阪の帝国ホテルで、恩師國井和郎先生を偲ぶ会がありました。私も発起人の一人ですので、ここのところ写真の準備やらのお手伝いをしてきました。直前のご案内になったうえ、連休続きの観光シーズンの日曜日にも関わらず、遠方の方々も含めて約80名もの皆さんに参加いただきました。國井先生のゼミと法律相談部のOBに対しての案内が主で必ずしも関係のある方々全員にご案内できたわけではないのですが、用意した会場が一杯になる盛況で有り難かったです。

 ただ、案内の元になった名簿もかなり漏れがあり、本来ご案内を差し上げる方々にお伝えできなかった部分がありました。私の同期のゼミ生、法律相談部員の多くにもご案内が送られていないことと思います。これにつきましては、お詫び申し上げますとともに、ご容赦くださるようお願い申し上げます。

 ご参加くださった中で、大阪の弁護士については時々顔を会わせている人も多いのですが、その他にも、卒業以来30年近くお会いしていない人たちなど、懐かしい方々とお話しすることができました。国家元首が亡くなったときに、よく弔問外交などという言葉が使われますが、似たような面はありますね。

 式の中での私のお役目は、以前、先生が書かれた手紙を朗読するという、私に似合わないものでしたが、何とか無事つとめを果たすことができたようです。先生のご性格からして、湿っぽい会合にするなという冒頭の先輩のお言葉があって、皆さんのスピーチも先生の悪口を含めた爆笑ものが続きましたので、私も、この手紙朗読で笑いをとるべきかどうか悩んだのですが(大阪人は常にこれで悩みます。)、オーソドックスに真面目に朗読することにしました。それで、良かったですよね。

2010年5月 4日 (火)

課徴金減免制度の不適用事案か(独禁法)

 大型連休もいい天気ですね。私は今年はどこにもいかず(毎年かもしれませんが)、映画を見にいったりなどしています。いよいよ明日一日だけになってしまいましたが、明日は、高校生になった子供を連れて、クラシックのコンサート(といっても本格的なものではないです。)に行く予定です。

 さて、先日来、報道されている事件ですが、公正取引委員会は、平成20年に立入検査していたシャッター販売に関するカルテル事件について、シャッター大手3社(三和シヤッター、文化シヤッター、東洋シャッター)に対して排除措置命令課徴金納付命令を出す方針を固めて、事前通知したことが伝えられています。これは、建設業者などへのシャッター価格について、メーカーがカルテルを結んでいたとされるものです。

 この事件について、昨日、読売が報じるところでは、この件について、独占禁止法の課徴金免除制度に基づく自主申告をした業者のうち、文化シヤッターに関しては、同制度による課徴金減免制度を適用を認めない方針であるということです。

 課徴金納付命令については、独占禁止法7条の2というところに規定されているのですが、この条文の10項以下に課徴金減免制度(リニエンシー)が規定されています。この手続については、このブログでも何度か触れていますので、省略しますが、要するに、公正取引委員会に対して自主申告した業者に対して課徴金を免除または減額する場合があるというものです。

 ところが、この独占禁止法7条の2の第17項は、自主申告による減免制度が適用される場合であっても、それが認められない場合を挙げています。
 それは、その事業者のした報告や資料に虚偽の内容が含まれていた場合や、他の事業者に対し違反行為をすることを強要したり、違反行為をやめることを妨害していたような場合です。ただし、これまで、この規定が適用されて、課徴金減免が認められたことはありません。

 今回の読売の報道によれば、公正取引委員会は、文化シヤッターの申告について「調査妨害に等しい意図的な申告」と判断した模様です。同社が立入検査後にいったん自主申告を行ったのに、その後、カルテルを否定するような修正の追加資料を再提出したということのようですね。

 以上は、あくまでも当事者への事前通知であって、公正取引委員会から正式に命令が出されたわけではありませんので、公表を待ちたいと思います。

 なお、文化シャッターは既に、同社サイトに「公正取引委員会からの事前通知書の受領に関するお知らせ」を発表しています(4月30日付)。
 → 文化シャッター発表資料(PDF)

 ここでは、公正取引委員会からの事前通知を4月30日に受領したことを認めたうえで、「当社と致しましては、公正取引委員会からの事前通知書には、当社の判断や解釈とは異なる部分があるため、同委員会からの説明を受けた上でその内容を精査し、慎重に対応してまいる予定です。」としています。
 場合によっては、この減免制度の適用の可否についての初めての争いになるかもしれませんね。

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