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2010年2月 1日 (月)

「恵方巻」控訴審判決と巻寿司丸かぶりの風習の由来(大阪高裁)

 節分が近づいてきて、「まるかぶり寿司」「恵方巻き」などの宣伝があちこちで見かけられるようになってきました。この巻き寿司のまるかぶりの風習に関して、大阪地裁の判決文の中から紹介したことがありました。この地裁判決は、原告請求の差止めや損害賠償(認容額は51万4825円と遅延損害金)を認めました。

 → 「丸かぶり巻きずしの商標権についての判決(「招福巻」)」
                             (08/10/9)

 先般、マスコミでも報道もされましたが、この裁判の控訴審判決が先日出ました。大阪高等裁判所が、一審判決を覆して、商標権者の請求を棄却したのですが、節分を前にタイミングを合わせたような判決言い渡しになりましたね。この控訴審判決が裁判所サイトに掲載されました。

 平成22年1月22日大阪高裁判決 商標権侵害差止等請求控訴事件

 この事件は、「招福巻」の登録商標を有する被控訴人(原告)が、スーパー「ジャスコ」を全国展開する控訴人(被告)イオンに対して、ジャスコ各店舗で節分用に販売した巻き寿司の包装に「十二単の招福巻」という商品名を付けるなどしたイオンの行為が被控訴人の商標権を侵害するとして、差止め等を求めるとともに、民法709条に基づき損害賠償(2300万円及び遅延損害金)を請求した事案です。

 一審判決では、登録商標「招福巻」とイオンの「十二単の招福巻」とは「類似」するとして商標権の侵害を認めたのですが、この点については、今回の控訴審判決でも、この「類似」は認定されています。

 しかし、控訴審判決は、この「招福巻」という商品名は、「巻き寿司の一態様を示す商品名として、遅くとも平成17年には普通名称となっていたというべきである。」とし、イオンによる「招福巻」の部分の使用は、商品名を普通に用いられる方法で使用するものと認められるから、商標法26条1項2号の普通名称を普通に用いられる方法で表示する商標に該当し、被控訴人(原告)の商標権の効力が及ばない、として、イオンに軍配をあげたものです。

 ところで、一審判決についての上記当ブログ記事では、巻き寿司の丸かぶりの風習についての判断を紹介しました。なので、今回の控訴審判決での同じ点の判断についても紹介しておきます(一部、原文の体裁などを変えています。)。一審判決とあわせてご覧下さい。控訴審判決のほうが少し詳しくなっていますね。

   ※【追記】(10/10/29)
    最高裁が上告不受理決定を行ったようです。
   → 「節分の丸かぶり巻寿司商標権侵害事件の確定(最高裁)」

〔控訴審判決:第3 当裁判所の判断、2 争点(2)(本件商標権の効力は控訴人標章に及ばないか)について〕

(前略)

 豆まきのほか,節分の日に巻き寿司を食するようになった起源は定かではないが,甲16(昭和7年に大阪鮓商組合後援会が得意先向けに作成した「巻寿司と福の神」と題するビラ)に花柳界で行われていた風習が一般に広まった旨の記載があるほか,乙5の書物中の大阪府すし商環境衛生同業組合平成2年発行のビラに「江戸時代の末期若しくは明治の始め頃から大阪の中心地,船場が発祥地とされております。商売繁盛,無病息災,家内円満を願ったのが事の始りです。」と記載がある。その後,大阪を中心に「節分の日にその年の恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其年は幸運に恵まれる」と言い伝えられ,遅くとも昭和7年ころには大阪の一部地域において,節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習が行われるようになった。

 昭和7年には,大阪鮓商組合後援会が節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりすれば幸運に恵まれるとするビラ(甲16)を発行し,その中で,その由来を紹介するとともに,これに用いる「幸運巻寿司」なる巻き寿司の販売を宣伝している。大阪鮓商組合後援会は昭和15年ころにも,これと同様の宣伝ビラを発行していた。その後,時を経て昭和52年ころ,大阪海苔問屋協同組合が「幸運巻ずし」と銘打って節分に巻き寿司を丸かぶりすることを勧める宣伝活動を始め,また,関西厚焼工業組合も同じころから広範囲で同様の宣伝活動を行うようになり,昭和62年ころには,関西地方のみならず,岐阜,浜松,金沢,新潟等の各都市や九州地方にまで上記同様の宣伝ビラを送付していた。その後,スーパーマーケットなどでも宣伝を行うようになり,節分に恵方を向いて巻き寿司を食する風習が関西地方を中心に次第に広い地域に広がっていった(乙5)。
 なお,乙3の6のインターネットサイトには,「節分に巻き寿司を食べる風習は,福を巻き込むという意味と,縁を切らないという意味が込められ,恵方(えほう)に向かって巻き寿司を丸かぶりするようになった。節分に巻き寿司を食べる風習は,主に関西地方で行われていたものだが,大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で行った「巻き寿司のまるかぶり」の行事をマスコミが取り上げ,それを見た全国の食品メーカーが便乗し全国へ広まっていった。(語源由来辞典より)」との記載がある。

 乙6(株式会社汐文社2006年2月第1刷発行の「日本の伝統文化・芸能事典」)には「節分【せつぶん】悪疫退散や招福の行事」として「太巻きを丸かじり節分の日に〈福を巻きこむ〉太巻き寿司を,恵方をむいて無言で丸かじりすると,一年間健康で(いら)れるといわれています。」と記載され,乙8(株式会社主婦の友社編著平成13年3月1日第1刷発行の「冠婚葬祭実用大事典」)にも,節分に係る風習の一つとして,「●恵方に向いて太巻きずしをかじる福を呼ぶというもの。」と紹介されている。

(中略)

 以上によれば,節分に恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習は遅くとも昭和7年の段階で少なくとも大阪の一部地域で行われていたものであり,大阪の巻き寿司関連業界の宣伝活動によって次第に広がり,昭和の終わりころには,大阪以外の関西地方,さらには関西地方以外の地域にも広がり近年は,乙8のような全国の一般家庭向けの冠婚葬祭事典にも紹介される等,さらに広範囲に広がりつつあるということができる。

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