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2010年2月 8日 (月)

図表の無断掲載に関する著作権判決(東京地裁)

 なぜか著作権関係が続いてしまうのですが、今回も裁判所サイトに掲載された東京地裁判決のご紹介です。
 ところで、時々、このブログに紹介しているような事件、判決について、私が直接関与したものと思って、連絡をいただくことがあります。先週末にも某大手新聞社の記者が誤解して電話取材してきました。よく読んでいただければ分かると思うのですが・・・・

 さて、今回の判決の事案は、ネット販売についての書籍等の刊行を業とする原告が、その原告が出版する月刊誌「月刊ネット販売」に掲載した図表(複数)を、被告の出版社がその書籍に無断で掲載して販売したとして、それが原告の編集著作物に対する複製権、貸与権、出版権を侵害したものと主張して、損害金500万円及び遅延損害金の支払を求めたというものです。
 結論は、原告の請求棄却です。

 平成22年1月27日 東京地裁判決 損害賠償請求事件

 本件での主な争点は、
(1) 本件図表が編集著作物といえるか。
(2) 図表を掲載した被告行為が著作権法32条1項の「引用」に当たるか。

です。

 本件各図表がどんなものかについては、この事案を理解するうえで重要であり、興味のある方は判決文をみていただきたいですが、要するにネット通販等に関する各種データの表です。

 判決は、上記争点(1)について、各図表について個々に検討したうえで、以下のように判断しています。

原告は,原告各図表が,原告が長年の実績と経験を基に相当の労力を費やして初めて取得することができるデータを,原告が独自の創意工夫を凝らして編集して作成したものであるから,編集著作物に該当すると主張する。
 しかしながら,原告は,原告が編集著作物と主張する原告各図表に凝らしたとする「素材の選択又は配列」についての「独自の創意工夫」の具体的な内容について,主張立証するものでなく,前記(1)ないし(9)において認定したとおり,原告各図表と同様の素材を選択し,原告各図表と同様の配列をした図表は,従前から数多く存在していることが認められる。そうすると,当該データの収集に相当の労力を要したり困難性が認められるか否かはさておくとしても,
原告各図表自体は,いずれもありふれた一般的な素材を選択し,一般的な配列をしたものにすぎないといわざるを得ず,これらが編集著作物であると認めることはできない
 したがって,原告の前記主張は,採用することができない。
 なお,原告は,原告各図表で使用したデータが,収集に相当な労力を伴うものであり,たやすく収集できるものではない旨るる主張するところ,仮に,編集著作物における素材それ自体に価値が認められたり,素材の収集に労力を要するものであったとしても,素材それ自体が著作物として保護されるような場合を除き,それらの素材や労力が著作権法により保護されるものではない。したがって,
仮に,原告がデータの収集に相当の労力を費やし,その保有するデータに一定の価値を認め得るものであるとしても,当該データ自体に著作物性が認められるものでない以上,それらの労力やデータが,原告各図表の編集著作物としての著作物性を根拠付けるものとはなり得ず,原告の前記主張は,失当である。

 ここで、原告の各図表について、著作物性を否定しましたので、判決としては、これ以上判断せずに、原告の請求を棄却してもいいのですが、この判決は、「念のため」として仮に各図表が編集著作物と認められたと仮定した場合の上記争点(2)の「引用」の問題についても判断しています。
 ここでは、「引用」判断の基準となっているパロディ写真に関する昭和55年最高裁判決を踏まえて、「明瞭区別性」と「主従関係」の要件を検討し、その両方ともが認められるとして、仮に、本件各図表が編集著作物であるとしても、被告が被告書籍において各図表を利用した行為は、著作権法32条1項の引用に該当し、適法なものと認めることができる、としています。

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