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2009年9月 4日 (金)

「ワード」販売差止命令の執行停止と日本の「仮執行宣言」

 アメリカのテキサス州の連邦地方裁判所が、マイクロソフト社に対してワープロソフト「ワード」(03年版、07年版)について販売差止の判決を出したことを、先月8月12日にロイターが伝えていました。カナダのソフトウェア会社I4iが原告となって、マイクロソフト社を特許侵害で訴えていたもので、この判決では、差止のほか、2億9000万ドルを超える賠償金を支払うよう命じていました。この販売差止命令の効力が地域的にどこまで及ぶのかわかりませんが、マイクロソフト社にとっては大変な判決です。

 当然ながら、マイクロソフトはこの判決を不服として上訴しましたが、どうやら販売差止命令について執行の延期を求める申立が、アメリカ連邦巡回控訴裁判所によって9月3日に認められたようです。(本日付、ITproの報道)。これで、ひとまず販売は継続できることとなったわけです。

 アメリカのこういった民事訴訟手続について私は詳しくないですが、日本の民事訴訟でも、特許権などの知的財産権の侵害を理由に被告の商品の製造や販売を差し止めるというのはよくあります。
 ただ、一審の判決で差止が認められていても、その判決主文に「仮執行宣言」が付いていなければ、被告が控訴して、判決が確定していない状態であれば、販売等の差止を強制することはできません。
 しかも、販売差止のような命令は、判決確定前に強制的に行われると、仮に上訴審で逆転した場合に、被告の損害回復が困難ということもあり、通常は差止命令について「仮執行宣言」が付されることはありません(もちろん、例外的に付される可能性はあります。)。

 もし、「仮執行宣言」が判決に付いていれば(金銭支払命令の場合は、こっちが普通です。)、被告は上訴しただけでは、原告の強制執行を止めることができません。この場合は、上のアメリカの例と同じように、被告は執行停止の申立を行って、裁判所に執行の停止を認めてもらわなければなりません。ただし、この場合、かなり高額の保証金を供託しなければなりません。

 もちろん、「仮執行宣言」によって強制執行された後に、上訴審で逆転判決となったような場合には、被告は原告に対して、不当利得ということで返還を求めることができるのですが、その時点で、原告側に資金がなくなっていると、大変ですね。

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