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2009年9月16日 (水)

新聞社「催告書」著作権事件控訴審判決(知財高裁)

 以前に東京地裁の一審判決を紹介した裁判で、今日、知的財産高裁の控訴審判決が出ましたので、ご紹介します。裁判所サイトの知的財産裁判例速報のところに掲載されています(日にちが経つと消えますが)。
 読売新聞社と新聞販売店との間の契約関係の紛争が背景にあるもので、そこから派生した事件といえます。新聞社の販売政策に関する紛争で、しかも、派生事件とはいえ新聞社側敗訴ですから、新聞の記事にはならない可能性の高い判決です。

 平成21年9月16日知的財産高裁判決
   著作権に基づく侵害差止請求控訴事件(控訴棄却)

 なお、最初に、特に一般の方へのご注意ですが、本件の裁判では、催告書のサイト掲載を著作権侵害とする新聞社側(原告は新聞社の法務室長個人です。)の請求を一審、控訴審とも認めていませんが、後述の通り、これは催告書の作成者が誰か、という判断に関わる本件の結論であって、他人からのこういった書面をサイト掲載することが適法である旨のお墨付きをした判決では決してありませんので、早とちりのないようお願いします。

 東京地裁の一審判決の当ブログ記事は下記ですが、背景事情についても書いていますし、本来の読売新聞社と新聞販売店との紛争、裁判についてのリンクもつけてありますので、事件全体に興味のある方は見てください(ただし、その後のフォローはしてません。)。
 → 「『催告書』の著作権に関する判決(東京地裁)」(3/31)
 被告(被控訴人)のフリーライター黒藪氏のブログはこちら(既に高裁判決の記事もありますね。)。このサイトに本件催告書を掲載したのです(当時とURLは移転してます。)。
 → 「新聞販売黒書」

 さて、前置きが長くなりましたが、まず事案の内容を再掲すると、

 読売新聞社と係争中の新聞販売店の代理人弁護士のところへ、読売新聞西部本社法務室長名義のFAX(回答書)が送られてきたので、フリーライターの黒薮哲哉氏が自身のWEBサイトである「新聞販売黒書」のニュース記事にこの回答書を掲載しました。すると、上記法務室長からこれを削除することを要求する催告書が送られ、黒薮氏が拒否して、この催告書もサイトに公開したところ、法務室長は、この催告書の削除を求める仮処分を申し立て、東京地裁は、この削除仮処分を認めました。
 そこで、黒薮氏は、訴訟において争うため、この仮処分に対して「起訴命令」を申し立て、これに対して、法務室長が原告となって、黒薮氏に対して訴訟を提起したというものです。

 で、一審判決は、この催告書の作成者は原告(法務室長)ではなく原告側弁護士である可能性が高いものとし(つまり、原告が著作権者にはなりえないということになります。)、しかも、この催告書に著作物性が認められないことも認定して、原告の請求を棄却しました。

 今日の知的財産高裁控訴審判決は、催告書の作成者について、一審と同様に原告作成ではないと認定して、控訴を棄却しました。なお、一審では、本件催告書の著作物性にまで踏み込んでいましたが、控訴審判決では、この点については全く触れていません。

 別の当ブログ記事でもずいぶん以前に書いたと思いますが、誰が作成者(著作権者)か、というのは、場合によっては、結構むずかしい問題で、私が被告代理人をした訴訟で、原告側が同様の選択ミスをしていた事件がありました。それは、ある書物の著者が原告で、その書物の写真(この書物は写真も重要な部分なのです。)の著作権侵害を主張して訴訟提起したものでしたが、原則として、写真の著作権は撮影者(写真家)にあり、書物の著者にはないという点が問題となりました(結局和解で終了したと思う。)。著者としては、本全体が自分の著作物と考えてしまうのはやむを得ないところですので、こういったことが起こりうるわけですね。

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