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2009年3月の記事

2009年3月31日 (火)

「但馬牛」「神戸ビーフ」の不当表示(景表法)

 公正取引委員会の本日の公表記事としては、琴平グランドホテル(香川県仲多度郡琴平町)に対して、独占禁止法19条(不公正な取引方法14項〔優越的地位の濫用〕1号、2号)に違反するおそれがあるとされた事案の警告案件(納入業者らにディナーショーのチケットを買わせるなどの行為)がありますが、そっちは省略して(公取委サイト(PDF)をご覧ください)、もう1件の景品表示法の排除命令事案をご紹介。

 公正取引委員会は、本日、フーディーズ株式会社(東京都中央区)が運営する「焼肉酒家傳々」、「焼肉茶房傳々」、「傳々分家」と称する飲食店が提供している料理に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に違反する事実が認められたとして、同社に対して、排除命令を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 公取委の排除命令書を見てみると、「但馬牛」=「兵庫県産但馬牛」は、兵庫県内を出生地とし、特定の農家で肥育されること等の条件を満たした黒毛和種の牛の正肉を称するものとされていて、「神戸ビーフ」は、但馬牛のうち、未経産牛又は去勢牛のものであること、一定の脂肪交雑があること等の条件を満たしたものを称するものとされているのだそうです。
 関西人ならご存じの通り、神戸は但馬地方ではありませんが、但馬の牛肉が「神戸ビーフ」と称されているわけです。

(違反事実の概要)
 フーディーズ株式会社は、同社が運営する上記飲食店において料理を一般消費者に提供するに当たり、自社WEBサイト上で、「ワイの店でお出ししているのは但馬牛一本。兵庫の幼馴染の牛飼いからエエとこだけをその日のうちに仕入れるワケや。それもただの但馬牛ちゃうで。但馬牛の中でも厳しい基準を満たした「格付等級A5」以上の神戸ビーフを使こてるからそりゃもう間違えなく美味い!」と記載し、あたかも、「但馬牛」の中でも厳しい基準を満たした「神戸ビーフ」を用いているかのように、また、牛の内臓を用いる料理に「但馬牛」のものを用いているかのように表示していたが、実際には、当該料理に用いられた牛の正肉の大部分が「神戸ビーフ」ではなく、牛の内臓のほとんどすべてが「但馬牛」のものではなかった

(排除措置の概要)
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
 と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

「催告書」の著作権に関する判決(東京地裁)

 昨日は、日弁連消費者問題対策委員会の会合で東京往復したのですが、往復ともN700系のぞみに乗って、先日から開始された新幹線内の無線LANを試してみました。しかし、残念ながら繋げることができませんでした。たぶん私のほうの設定がおかしかったのだろうと思います。

 さて、知的財産権判決の一種ではあるのですが、昨日(3/30)、東京地裁で言い渡された著作権侵害に関する判決です。なお、判決は現時点では公表されておらず、あくまでも一方当事者(被告)側のネット上でのこれまでの発表内容だけからの紹介ですので、ご留意ください。もっとも、反対当事者(原告)の読売新聞側は今の所、この件を報道等していないようですが。。。

 結論は、請求棄却の原告敗訴判決だったとのこと。

 この事件の概要は次のようなもののようです。
 読売新聞社と係争中の新聞販売店の代理人弁護士のところへ、読売新聞西部本社法務室長名義のFAX(回答書)が送られてきたので、フリーライターの黒薮哲哉氏が自身のWEBサイトである「新聞販売黒書」のニュース記事にこの回答書を掲載しました。すると、上記法務室長からこれを削除することを要求する催告書が送られ、黒薮氏が拒否して、この催告書もサイトに公開したところ、法務室長は、この催告書の削除を求める仮処分を申し立て、東京地裁は、この削除仮処分を認めました。
 そこで、黒薮氏は、訴訟において争うため、この仮処分に対して「起訴命令」を申し立て、これに対して、法務室長が黒薮氏に対して訴訟を提起したということのようです。なお、黒薮氏によれば、別件で読売新聞社側からの名誉毀損の訴訟も係属しているとのことです。

 判決については、被告黒薮氏の上記サイトのニュースによると、「判決は、被告の主張をほぼそのまま認める内容となっている。」とのことであり、判決の中での大きなポイントは次の2点とのこと。
1 催告書の作成者は法務室長ではなく、原告代理人自身(又は同代理人
 事務所の者)である可能性が極めて高いと認定したこと。
2 催告書そのものに著作物性が認められないと判断したこと。

 判決文や催告書の内容がわかりませんので(その前の回答書は公開されてます)、何とも論評できませんが、この2つのポイントの指摘が正しいとすれば、この催告書の著作物性が否定(つまり、侵害の前提となる著作権が存在しない。)され、また、(仮に著作権等何らかの権利があるとしても)原告が作成者であることが認められない(権利者との認定ができない)というようなところで棄却したものと想像できますね。たぶん、そのうち、判決も公表されるでしょう。

 なお、この事件の背景となっている読売新聞社と福岡県の新聞販売店に関する裁判については、当ブログで以前触れたことがあります。また、そこには黒薮氏による記事も紹介していますので、興味のある方は見てください。
 → 「新聞販売店が新聞社を訴えた裁判の控訴審判決(その1)」(08/6/28)
 → 「新聞販売店が新聞社を訴えた事件についてのその後」(08/8/10)

【追記】(4/5)
 黒薮氏の弁護団の判決報告が出ています。→ こちら
 この報告によれば、判決の判断の順序としては、催告書作成者が法務室長(原告)ではないことを認定し、そのうえで、仮に作成者が法務室長だったとしても、催告書に著作物性が認められないとしたようです。したがって、上の本文で想像したところとは逆の順序の判断でした。
 前半の判断のみで足りるのに、裁判所はわざわざ著作物性の点についても判断していますね。

2009年3月30日 (月)

ポリエチレンシート製造販売業者に対する 排除措置命令・課徴金納付命令

 本日、公正取引委員会は、架橋高発泡ポリエチレンシートの製造販売業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF) 

 違反行為者として認定されているのは、古河電気工業株式会社(東京都千代田区)、日立化成工業株式会社(東京都新宿区)、東レペフ加工品株式会社(滋賀県湖南市)、東レ株式会社(東京都中央区)、積水化学工業株式会社(大阪市北区)の5社です。

 排除措置命令の対象は、古河電気工業日立化成工業東レペフ加工品東レの4社で、そのうち、東レを除く3社に課徴金納付命令(合計10億6435万円)が出されています。東レが除かれているのは、同社が製造のみで販売は東レペフ加工品が行っていたためとのこと。

 東レペフ加工品日立化成工業については、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)の適用事業者であることが公表されていて、各30%の課徴金減額がなされていることがわかっています。これは2番目以降の自主申告事業者であることは明らかですので、公表されていないけれども、当然ながら1番目の自主申告事業者がいて課徴金が全額免除されているわけです。
 同制度の適用を公表することを申し出た事業者のみ公表されることになっています。でも、公表されていなくても、どの会社かは、わかってしまいますね。

 長くなるので、違反行為の概要は省略します。

【排除措置命令の概要】
(1) 古河電気工業,日立化成工業,東レペフ加工品及び東レの4社は,それぞれ,
 ア 前記2(1)の合意が消滅していることを確認すること
 イ 今後,相互の間(東レペフ加工品と東レの間を除く。)において,又は他の
  事業者と共同して,架橋高発泡ポリエチレンシートの需要者渡し価格を決定せ
  ず,各社がそれぞれ自主的に決める旨を,取締役会において決議しなければな
  らない。
(2) 4社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を,自社を除く3社(東レ
  ペフ加工品及び東レにあっては,古河電気工業及び日立化成工業)に通知する
  とともに,自社(東レにあっては,東レペフ加工品)の架橋高発泡ポリエチレ
  ンシートの取引先販売業者及び需要者に周知し,かつ,自社の従業員に周知徹
  底しなければならない。
(3) 4社は,今後,それぞれ,相互の間(東レペフ加工品と東レの間を除く。)に
  おいて,又は他の事業者と共同して,架橋高発泡ポリエチレンシートの需要者
  渡し価格を決定してはならない。
(4) 4社は,今後,それぞれ,次の事項を行うために必要な措置を講じなければ
  ならない。
 ア 自社の従業員に対する,自社の商品の販売活動に関する独占禁止法の遵守
  についての行動指針の周知徹底
 イ 架橋高発泡ポリエチレンシートの販売活動に関する独占禁止法の遵守につい
  ての,架橋高発泡ポリエチレンシートの営業担当者に対する定期的な研修及び
  法務担当者による定期的な監査

2009年3月29日 (日)

誹謗中傷書込みについての書類送検

 先週金曜(3/27)に、誹謗中傷書込みが殺到したことによるお笑いタレントのブログ炎上事件で、警視庁が6人を書類送検したと報じられています。
 報道によれば、書込み投稿者のうち、警視庁が身元を特定できた18人のうち、刑法上の名誉毀損罪の構成要件に該当すると判断できた4人を名誉毀損罪で書類送検し、投稿が公開されなかったもののタレントに対して危害を加えることを明らかに匂わせていた2人については、脅迫罪として送検したとされています。

 投稿内容としては、6人は、数回にわたって、「殺人事件関係者と思われる人物」「あんた殺人犯、死ねば」などの事実無根の中傷で名誉を棄損したり、「生きる資格ない。パンチくらわす」「お前を狙っているのたくさんいるぜ。死ね」などと脅迫したりする書き込みをした疑いがもたれている、とのこと。なお、産経の報道では、この6人以外に、既に1人が脅迫罪の容疑で書類送検されているとのことで、これを合わせると7人について送検されたことになります。

 安易にネット上の噂などに乗って書込みしたものと思われますが、一般社会では考えられないようなこのような公開の場での発言が、簡単にネットでは行われてしまうのですね。一般社会では、公開の発言をするには、自分も一歩前に出て公開の場にさらされることを意識する必要があるのに対して、ネットの書込みは、結果的には世界中に公表される発言であるのに、自分自身は個室のパソコンや携帯など閉鎖的な世界で行えてしまうというギャップが生み出す現象ですね。

 私自身が最近関与していたケースなんですが、ある公開掲示板に、知人からの噂話を信用して、ある会社の経済的信用に関わるネガティブな投稿をしてしまい、その会社から数百万円の損害賠償請求を求められ、刑事告訴も検討するとされました。
 私は、この投稿者から相談を受けて、会社側と交渉を行ったものです。このケースでは、幸い、外部的に大きな影響を与える前に会社側が対応してくれていたのですが、ひとつ間違えば、会社の経営にも大きな影響を与えたことも懸念されますので、会社側の態度も相当に厳しいものがありました。この事件については、何とか、それなりの賠償金の支払の約束で示談することができたのですが、資力があるわけではない若い投稿者にとっては、高い金額の支払は避けられませんでした。もちろん、会社に対する信用毀損、業務妨害として刑事告訴に至る恐れもあったわけです。

 このような事件は、書き込む側としては、いたって軽い気持ちというか、大した悪意もなく、友人間の雑談感覚で軽率に書き込んでしまうことも多いのですが、一方で、書かれたほうとしては、取り返しのつかない重大な損害が発生してしまう恐れがあるものです。この点からも双方にギャップがあります。このようなギャップを埋めておく必要があるのですが、そのためには、書き込む側(つまり普通の人々)が、安易な書込みの危険性を充分に認識しておくようにしなければならないことになります。

 結局のところ、子供のころから、ネットの怖さ、問題点を家庭や学校などで徹底的に教育することが必要になるのだと思います。

 もっとも、(かなり以前のケースですが)高校生の友人間の会話から、具体的なある金融機関の経営が危ないというデマとして拡大していって、その金融機関で取り付け騒ぎが起こったという有名な事件もありますので、ネット上だけに限らないことかもしれませんね。

2009年3月28日 (土)

近鉄・阪神乗り入れと「導きの星」小川一水

 休日前のただの雑談です。
 初稿はあまりに話が広がりすぎたので、ちょっとだけ改訂しました(苦笑)。

 関西の方はご存知ですが、先週から、近鉄阪神がつながりました(阪神なんば線開通)。私は近鉄奈良線沿線に住んでいますが、この近鉄奈良線から、阪神の尼崎駅までつながって、神戸の三宮駅まで乗り換えなしにいけるようになったのです。まだ実際にはないですが、理屈上は、姫路から伊勢志摩までの直通特急も可能になったことになります。
 私の住む奈良側から言えば、オリックスの大阪ドーム、阪神の甲子園まで直通で行けるということになったので、奈良の野球ファンには大きな進歩です。

 この話題を書いたのは、今日(じゃないですね。昨日27日)の朝、仕事で阪神芦屋駅近くに行くため、初めて、直通で自宅近くから阪神芦屋駅まで行ったからです。ただ、乗り換えなしにゆっくり行けるわい、と思っていたら、春休みで、親子連れの甲子園行きやら、最近流行の高齢層の山歩きグループなどなどで結構込んでいて、ずっと立ちっぱなしで1時間以上でしたので、疲れました。私の仕事から言えば、自宅と神戸地裁の間では便がよくなりました。神戸地裁尼崎支部については、阪神の駅からは遠いので駄目ですね。神戸地裁伊丹支部についても、JRか阪急なのでメリットはありませんです。

 さて、朝夕の仕事行き帰りの電車内で読んでいた「導きの星」Ⅰ~Ⅳを、この阪神芦屋駅行きの電車で読み終えました。ここのところ読ませていただいている小川一水氏の小説です(ハルキ文庫)。当ブログの左のサイドバーに最近読んだ本をそのまま正直に載せていますが、ちと偏りすぎたかな。

 この小説では、オセアノという星に生まれたリスのような知的生物の進化が主要な柱となっているのですが、私の家では、約5年前から1匹のシマリスを飼っています。名前は、リスとしてはありふれた「チップ」。当時小学生だった娘が、「花子」にしたがったのですが、オスだったので、そうなってしまいました。
 シマリスの寿命はそれほど長くないようです。今日も元気にオリの中をくるくると飛び回っていますが、最近、ちょっと食欲が落ちてきたかな。まぁ、他人のことは言えない50歳を目前にした今日このごろではあるのですけども。うちの「チップ」はこれ以上進化しそうにないですね。結構かわいいものですよ。

 ハルキ文庫の表紙は大変よろしいのですが、そのまま電車で読むと、アラウンド50歳のオッサンが読んでいると波紋が広がりそうなので、カバーを裏返してました。でも、この村田蓮爾氏の絵はいい(微笑)。

 4巻にわたる一大叙事詩というか、スペースオペラになっています。4巻の最後の宇宙船の描写を見ていて、「宇宙大作戦」(スタートレックでは断じてないのだ)のU.S.S.エンタープライズを連想してしまいました。

2009年3月27日 (金)

拘留と科料(引き続き軽犯罪法)

 前の記事でおわかりのように、軽犯罪法違反罪の刑罰は、「拘留又は科料」です。

 「拘留」(こうりゅう)という刑罰は、刑法16条に規定されていて、「拘留は、1日以上30日未満とし、刑事施設に拘置する。」となっています。30日未満ですから、最長で29日間となります。
 刑事事件関連で、同じ読み(こうりゅう)でややこしい用語に「勾留」があります。こっちは、刑罰ではなく、被疑者や被告人を拘置所などに留置することですね。逮捕された容疑者(被疑者)が逮捕期間後も拘置所などに入ったままになっているのが、こっちの「勾留」です。

 「科料」(かりょう)という刑罰は、刑法17条に規定されていて、「科料は、千円以上一万円未満とする。」となっています。理屈上は最大額は9999円でしょうが、たぶんそんな半端な刑は言い渡さないと思います。こちらも、読みが同じでややこしい用語に「過料」があります。こっちは、同じように金銭を払わされる罰則なのですが、刑罰ではなく、行政罰になります。

 したがって、「拘留」は、懲役や禁錮といった「自由刑」(身体の自由を奪う刑)の軽いもの、「科料」は、罰金のような「財産刑」の軽いもの、ということがいえます。

 で、昨日紹介した最高裁判決の催涙スプレー事件なのですが、新聞報道などによれば、有罪判決が言い渡された1審と控訴審は、被告人に対して、9000円の科料の支払を命じているのです。

 つまり、この被告人の方は、9000円支払の判決に対して、最高裁まで闘って、やっと最後に逆転無罪を勝ち取ったということになります。弁護人が国選か私選かはわかりませんが、弁護士費用は別としても、ここまで闘うための様々なコストを考えれば、諦めてさっさと9000円を支払ってしまう人のほうが大多数ではないでしょうか。おそらく、金銭の額の問題ではない、との思いで、闘ってこられたものと思います。 

2009年3月26日 (木)

軽犯罪法の条文(前記事の参考資料)

軽犯罪法(昭和23年5月1日法律第39号)
        最終改正:昭和48年10月1日法律第105号

第1条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

1 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な
 理由がなくてひそんでいた者

2 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大
 な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

3 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に
 侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

4 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、
 一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの

5 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入
 場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物
 の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者

6 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合
 する場所に設けられた灯火を消した者

7 みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行
 為をした者

8 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理
 由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に
 従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じ
 なかつた者

9 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、
 又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者

10 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使
 用し、又はもてあそんだ者

11 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物
 を投げ、注ぎ、又は発射した者

12 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由
 がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者

13 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑
 をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、
 演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若し
 くは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待つ
 ている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者

14 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出し
 て静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

15 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国にお
 けるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令によ
 り定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作
 つた物を用いた者

16 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者

17 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏
 名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者

18 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする
 者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員
 に申し出なかつた者

19 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者

20 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でし
 り、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

21 削除 〈川村注:動物虐待行為。別法で罰則化され、本法から削除。〉

22 こじきをし、又はこじきをさせた者

23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつ
 けないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

24 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者

25 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者

26 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便を
 し、若しくはこれをさせた者

27 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄て
 た者

28 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせ
 ず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

29 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行
 為の予備行為をした場合における共謀者

30 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ
 走らせた者

31 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者

32 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

33 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁
 札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者

34 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、
 人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

第2条  前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は
 拘留及び科料を併科することができる。

第3条  第一条の罪を教唆し、又は幇助した者は正犯に準ずる。

第4条  この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように
 留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなこと
 があつてはならない。

催涙スプレー携行と軽犯罪法(最高裁判決)

 本日の最高裁判決です。有罪とした東京高裁判決を取り消して自判した無罪判決です。

 平成21年3月26日 最高裁第一小法廷判決(破棄自判)
              軽犯罪法違反被告事件

 本件の被告人は、深夜に新宿の路上で、ズボンのポケットに小型の催涙スプレー1本を入れていたのですが、これが軽犯罪法違反として起訴されていたものです。

 軽犯罪法という法律は、その名前はかなり広く知られている法律だと思いますが、実際にどのような行為が犯罪とされているか、チャンと知っている人は少ないのじゃないでしょうか?
 軽犯罪法は、その1条に1号から34号までの行為が列挙されていて、これをした人が、拘留または科料で罰せられるという刑罰法規で、全部でわずか4条からなる法律です。参考のため、この次の別記事に、軽犯罪法を貼り付けておきますね。結構いろんな行為が対象になっていることがわかります。なお、4条も大事なところですね。

 で、本件の被告人は、この1条の2号に該当するとされていたのですが、2号は、
「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」
となっています。
 最高裁判決は、まず、本件の催涙スプレーが、人の生命を害し,又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具に該当するかどうかという点については、これに該当すると認めました。

 しかし、「正当な理由」の有無については、客観的要素と主観的要素を総合的に勘案して判断すべきとしたうえで、被告人の行為は、「職務上の必要から,専門メーカーによって護身用に製造された比較的小型の催涙スプレー1本を入手した被告人が,健康上の理由で行う深夜路上でのサイクリングに際し,専ら防御用としてズボンのポケット内に入れて隠匿携帯したなどの事実関係の下では,同隠匿携帯は,社会通念上,相当な行為であり,上記「正当な理由」によるものであったというべき」として、1条2号の罪は成立しないとして、地裁も高裁も有罪とした判決を覆して、自ら無罪を言い渡したものです。
 判決は、裁判官全員の一致した意見となっていますが、あくまで事案に即した判断を行ったものであり、催涙スプレーの隠匿携帯が一般的に本号の罪を構成しないと判断したものではないことを明確にしておくため、として甲斐中辰夫裁判官が、補足意見を述べておられます。

【追記】(3/28)
 この判決についてのJ-CASTニュースの記事について、町村教授のMatimulogが書いておられる。

「OhmyNews(Oh!MyLife)」が閉鎖だそうな

 このブログの初期の頃には時々紹介していた「OhmyNews」(現「Oh!MyLife」・運営はオーマイニュース社)が、いよいよ閉鎖との発表が昨日なされたようですね。
 → 同社のお知らせページ

 以前はよく覗きにいってましたけれども、最近は、失礼ながらあまり興味を引く記事もなく、ほとんど見に行ってませんでした。
 4月24日に閉鎖とのことで、同社は閉鎖発表の中で、
「2006年に創刊した「OhmyNews」は、“市民みんなが記者”をスローガンに、日本最大級の市民メディアへと成長を遂げました。2008年9月からは「Oh!MyLife」と名称を変え、より生活に密着した、信頼性の高い消費者生成型メディアの創出に取り組んでまいりました。
 この度、世界的な経済状況の悪化から、サイトの閉鎖を決定いたしましたが、今後の市民記者メディアの発展には大きな期待をしております。」

としています。

 経済状況の悪化を理由に挙げており、確かに直接的な原因かもしれませんが、時間の問題であったのだと思われます。

 同社の撤退に関しては、昨年、今年と藤代裕之氏が日経と朝日のサイト上に書いておられますので、興味のある方はどうぞ。
 → 「オーマイニュースはなぜ失敗したか(上)」(昨年8月)
 → 
「期待裏切った2年・オーマイニュースはなぜ失敗したか(下)」
                         (昨年9月)
 → 「【ネット】2008年メディア状況を象徴 オーマイニュース失敗の「意義」」
                         (今年2月)

 新聞やテレビなどの既存の大手マスコミも、IT社会化、活字離れ、でかなり見通しが難しい中で、今回の経済状況の悪化による収入減に見舞われており、今回の「OhmyNews」の閉鎖を、単なる新奇な特異メディアの失敗などと言ってはいられないだろうと思います。

2009年3月25日 (水)

単独相続の遺言と相続債務に関する最高裁判決

 最高裁サイトに出ていた最高裁判決ですが、この原審である福岡高裁判決は、1年半ばかり前に当ブログで取り上げたものですね。
 → 「単独相続させる旨の遺言と相続債務」(07/10/11)

 そのときに「最高裁がどう判断するか、興味あるところです。」と書いておきましたが、今回、上記の高裁判決を支持する形で上告棄却判決がなされています。

 平成21年3月24日 最高裁第三小法廷判決
        持分権移転登記手続請求事件
   
(原審 平成19年6月21日 福岡高裁判決)   

 判決の要旨としては、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ、当該相続人が相続債務もすべて承継した場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない、というものです。

 上の部分は、遺留分の算定という場面の話なのですが、その結論に至る前の段階のところで(下線は川村)、

「本件のように,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。」

 としたうえで、続けて、

「もっとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり,各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず,指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。」

 としています。これは、原審の福岡高裁判決の判断と一緒であり、実務上重要な部分かと思います。

2009年3月24日 (火)

WBCとアクセス数(雑談)

 当ブログは内容的に企業内の方が参考にしていただいていることが多いようで、平日の午前8時前から午後6時頃までの間のアクセスが圧倒的です。

 昨日は、アクセス数が少なく、今年の平日としては最低のアクセス数となってました。そして、今日も、午前10時過ぎ頃までは通常のパターンだったのに、それ以後急激に減り、昨日の平日最少記録を更新する「勢い?」でした。

 そう、たぶん野球のWBCの余波だと思います。
 先程ネット上のニュースを見ると、WBCの速報で賑わっていた2ちゃんねるのサーバーがつながりにくかったり、落ちたりした、ということでしたので、ネットを使う人の多くはそちら方面に固まっていたのでしょうね(苦笑)。

  WBC決勝戦終了後の午後4時頃からアクセス数は通常くらいに戻り出しましたが、今日はアクセス数最少記録達成間違いなしと思っていました。

 ところが、午後4時半過ぎから、どこかの巡回ロボット(クローラー)が突然回ってきて、午後5時過ぎまで約30分にわたって、イナゴのように当ブログのページを舐め尽くして行きましたので、一気にアクセス数が増えてしまいました。

 で、WBCのためにアクセス数がかなり減ったという話に持っていこうと思っていたのに、夕方時点で、既に普段のアクセス数を上回ってしまいました、という締まらない話。

2009年3月23日 (月)

メロンパン移動販売フランチャイズ契約についての判決(仙台地裁)

 昨日の東京マラソンで女子トップの那須川選手にくっついていた長い頭の仮装ランナーは、今月1日の篠山ABCマラソンの優勝選手だったそうな。私も篠山マラソンに出て、トップの選手たちとはすれ違ってるので、その中にいらした訳ですね(笑) でも、東京マラソンのあの強風の中、あの頭では相当大変だったはずで、大したもんだと思います。あの頭を見て、上方落語の『手水廻し』を思い出してしまった。

 本題は、メロンパンの移動販売店のフランチャイズ契約に関する仙台地裁判決のメモです。事案はちょっと複雑ですが。

 平成21年2月26日仙台地裁判決 債務不存在確認等請求事件

 自動車を使用するメロンパンの移動型パン販売業に関するフランチャイズ契約(本件では賛助会員契約)について、加盟店側にあたる原告ら(複数)が、その本部(企業組合)、自動車販売業者、クレジット会社を被告として起こした訴訟。以下、省略してご紹介。実際は、原告によってちょっと請求内容が異なります。

 原告らは被告企業組合が販売先獲得義務などの契約上の義務を履行しなかったこと、又は、販売車両の売買契約が錯誤無効ないし詐欺により取消し得べき契約であること、若しくは、賛助会員契約・販売車両の売買契約が特定商取引法上の業務提供誘引販売取引に該当するとして同法上のクーリングオフないし取消権の行使が可能であること等を主張して、被告クレジット会社に対しては債務不存在の確認を求め(車両代金のクレジット契約関係)、被告企業組合及び被告自動車販売業者に対しては、加盟金・組合費の返還、損害賠償の支払を求めたものです。
 なお、詳しくは省略しますが、被告企業組合と被告自動車販売業者、若しくは、賛助会員契約と車両売買契約とが、密接な関係にあるものとして、法人格否認などの構成によって、原告らは主張を組み立てています。

 判決は、被告企業組合が、販売先開拓義務、パン生地等供給・品質保持義務の履行を怠っていたとして、その賛助会員契約の債務不履行を認めました(原告らが他に主張した販売車両台数調整義務と収益支援義務の不履行は認めず)。
 しかし、この債務不履行に基づく契約解除の効力は、販売車両売買契約には及ばないとしました。また、詐欺や錯誤に基づく取消・無効、特定商取引法上のクーリングオフ等も認めませんでした。

 その結果、被告自動車販売業者と被告クレジット会社に対する請求は認められず、被告企業組合に対しては、その債務不履行に基づいて、加盟金・組合費の返還および損害賠償を認めました。被告企業組合と被告自動車販売業者との一体性ないし両契約の密接関連性に基づく被告自動車販売業者の責任は認められていません。

 なお、賛助会員契約と販売車両売買契約との関係について、この判決は、「契約の締結段階においては、相互に依存しており、密接な関連性がある」としながらも、「メロンパン販売事業を展開する段階やその後の解消段階においては、両契約の間には、前記のような相互依存性は弱まり、密接な関連性があるとまでいうことはできない。」とし、これを根拠として、解除の効力が車両売買契約にまで及ばないという結論を導いています。私自身ここのところは未消化ですが、重要なところと思いますので、紹介だけしておきます。

2009年3月21日 (土)

解約時の「マイル」等不返還約定の差止請求訴訟(ひょうご消費者ネット)

 明日は、東京マラソンですね。あまり良い天気ではなさそうですが、私が出場した第1回大会は朝から冷たい雨が降りしきる悲惨な天候でしたので、それよりはましでしょう。参加されるランナーの皆さん、楽しんできてください。

 さて、3月18日に、適格消費者団体であるNPO法人「ひょうご消費者ネット」が、株式会社ジャルツアーズ(日本航空グループの旅行会社)を被告として消費者契約法に基づく消費者団体訴訟を神戸地裁に提起しています。
 → ひょうご消費者ネット 公表ページ

 訴状や発表文などは上のリンクで見ることができますが、訴訟の内容は、消費者が旅行契約を解除した場合に「マイル」や「JAL利用クーポン」を返還しないとする契約条項を使用することの差止を求めるものです。

 いわゆる「企業ポイント」の扱いに関する訴訟です。企業ポイントに関しては、当ブログで1月に紹介した経産省関連の研究会報告書とガイドラインが出ています。
 → 「『企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究
    会』報告書とガイドライン(経産省)」
(1/20)

 訴訟を提起した「ひょうご消費者ネット」マスコミ向けの記者発表資料(PDF)にもこの報告書のことが触れられていますね。

2009年3月19日 (木)

著作権侵害コンテンツのダウンロードの違法化など(著作権法改正案)

 今の国会に「著作権法の一部を改正する法律案」というのが提出されています。これには、インターネット上のデジタルコンテンツ著作権に関して重要な改正が含まれています。
 → 文部科学省サイト「著作権法の一部を改正する法律案」

 権利制限規定の改正著作権者等が不明の場合の処理の円滑化が主な改正点です。このうち権利制限規定著作権法第2章「著作者の権利」第3節「権利の内容」第5款「著作権の制限」)の改正については、視覚や聴覚の障害者などの福祉目的の利用についての利用の円滑化も重要な改正ですが、ネット関係では、著作権侵害コンテンツのダウンロードの違法化検索サービスなどに関する複製等の合法明文化が話題になっているところです。以下は、その2点のみについて触れます。

 条文的にいうと、まず、著作権侵害コンテンツのダウンロード違法化については、私的使用についての複製を認めている著作権法30条1項の中に、これまでも1号2号として例外の場合(複製できない場合)を規定していたのですが、今回の改正では、3号として「三 著作権を侵害する自動公衆送信(略)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」を追加しました。要するに著作権侵害のコンテンツであることを知りながらダウンロードして録音、録画するのは仮に私的使用の目的であっても違法であることを規定しているものです。
 ただし、本来は著作権侵害行為(故意の場合)は犯罪であり刑罰が課せられるのですが、私的使用目的複製の場合は、この例外的に違法とされる場合についても刑罰が課せられておらず(もともと119条1項で除外されています。)、犯罪とはなりません。もっとも、あくまでも「私的使用目的」の話であり、それ以外の目的の場合(現行法でも違法)は、罰則が適用されますのでご注意。
 また、罰則がないからといっても、民事的には違法であることには変わりがないので、場合によっては、著作権者などから損害賠償の請求がなされる可能性があります。

 検索サービス業者の複製等については、これまでから問題にされていたところです。今回の改正では、47条の5~8を追加して、インターネットに関する著作物利用やコンピュータによる著作物利用の円滑化を図っています。この内、47条の6が検索サービスに関わるもので、検索業者は「・・当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において」、記録媒体への記録又は翻案などができる、旨を定めています。これにより、日本国内でも、検索サービスのホストコンピュータを置くことが可能になったわけですね。

「不動産統合サイト(不動産ジャパン)」の拡充(国交省)

 航空貨物カルテル事件について、昨日(3/18)、12社に対して、公正取引委員会排除措置命令課徴金納付命令(約90億円)を出しましたが、それについては、今年2月に書いた当ブログ記事に【追記の追記】ということで書き加えておきましたので、そちらをご覧ください。
 → 「航空貨物カルテルに対する処分方針の報道(独禁法)」(2/21)

 さて、国土交通省が昨日発表したところによれば、不動産流通4団体が共同で運営する「不動産統合サイト(不動産ジャパン)」を、消費者保護の更なる推進を目的として大幅に拡充します、とのことです。4月1日から稼働開始らしいですが、国交省の公表ページからサンプル画面を見ることはできます。家や土地を買おうとする一般消費者が不動産取引について基本的な知識や情報を知るにはいいかもしれませんね。
 → 国土交通省サイト報道発表資料
 今回の拡充内容は、
(1)不動産取引の基礎知識等の普及・啓発
  不動産取引に必要となる基礎知識等を、売買や貸借の取引ごとに体系
 化し、 取引の検討段階から完了後の紛争対応も含めて網羅的に提供。
(2)不動産関連情報の集約
  住環境情報、相場取引情報等、多数の媒体に散逸する有益情報を集約。
(3)物件情報の更なる適正化等
  検索機能を強化するとともに、情報管理を更に徹底することで、情報
 の適正化を推進。
とのこと。

2009年3月18日 (水)

コンプライアンス体制整備状況に関する調査(公取委)

 本日、公正取引委員会から、「『企業におけるコンプライアンス体制の整備状況に関する調査』について(概要)-独占禁止法改正法施行(平成18年1月)以降の状況-」が公表されています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 平成18 年1月の独占禁止法改正法施行から約3年を経過し、課徴金減免制度が実際に利用されていること等を踏まえ、改正法施行以降、企業におけるコンプライアンスの取組に変化が生じているものと考えられることから、平成18年1月に実施した東証一部上場企業に対する調査のフォローアップを行ったというものです。

 この3年間で上場企業のコンプライアンス体制の整備が進んでいると評価していますが、相談・通報窓口(ヘルプライン)の利用や経営トップの関与など一層進めることが望まれるとしています。

 また、今後の課題として、体制整備の後、体制の効果的な運営や、具体的で実態に即したものに整えていくこと、をあげています。

フランチャイズ取引の一層の適正化についての要請(経産省)

 昨日(3/17)、経済産業省は、(社)日本フランチャイズチェーン協会に対し、フランチャイズチェーン本部と加盟店の取引の一層の適正化に係る要請を行っています。
 → 経済産業省サイト
    
「フランチャイズ取引の一層の適正化について」

 これは、最近の景気動向を踏まえ、また、フランチャイズチェーン本部に対する改善指導の状況や、昨年実施したフランチャイズチェーンにおける本部と加盟店の間の取引に係る調査結果にかんがみて、行われた要請とのことです。

 経済産業省が昨年実施したフランチャイズチェーン本部に係る実態調査において、加盟店から本部に対しての主な苦情としては、加盟店指導や売上予測に係るものが多く、また、「説明を受けて内容を理解した」という加盟店は満足度が高い傾向にある、という結果から、本部から加盟店に対しての情報開示が徹底されることが、トラブルの軽減に有効である実態を把握した、としています。

今回の要請の内容としては、以下の通り。

  •  中小小売商業振興法や独占禁止法のガイドライン等で定められている本部による契約前の情報開示等に会員各社が取り組むことを徹底すること。

  •  本部と加盟店間でのトラブル等について、定期的に調査し、その結果を公表すること。

  •  本部と加盟店間でのトラブル等について、相談窓口対応や紛争解決に引き続き強力に取り組むこと。

  • フランチャイズ本部・加盟店間のよりよい関係に向けた議論の場を設け、上記調査の結果を踏まえて、課題と対応について定期的に検討を行うこと。

2009年3月17日 (火)

工業用ミシン糸の価格カルテル事件(独禁法)

 東北地方の工業用ミシン糸販売価格についてのカルテル事件です。

 公正取引委員会は、本日、東北地区に所在する縫製工場等向け工業用ミシン糸の販売業者3社に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反したとして、排除措置命令及び課徴金納付命令(合計4169万円)を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 対象事業者は(〔〕内課徴金金額)、
 株式会社シラカワ(東京都中央区) 〔2358万円〕
 アズマ株式会社(東京都台東区)  〔1372万円〕
 カナガワ株式会社(神奈川県愛甲郡)〔439万円〕

(違反行為の概要)
 3社は、平成17年3月29日ころ、3社が直接又は特定販売業者を通じて需要者に販売する東北地区に所在する縫製工場等向け工業用ミシン糸の需要者渡し価格について、同年4月21日以降遅くとも同年5月21日までの受注分から、現行価格より10パーセント以上引き上げることを合意することにより、公共の利益に反して、東北地区に所在する縫製工場等向け工業用ミシン糸の販売分野における競争を実質的に制限していた。

(排除措置命令の概要)
(1)3社は、それぞれ、前記合意が消滅している旨を確認すること及び
  今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、特定工業用ミ
  シン糸の需要者渡し価格を決定せず、各社がそれぞれ自主的に決める
  旨を、取締役会において決議しなければならない。
(2)3社は、それぞれ,(1)に基づいて採った措置を、自社を除く2
  社に通知するとともに、特定販売業者のうち7社及び特定工業用ミシ
  ン糸の需要者に周知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければな
  らない。
(3)3社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共
  同して、特定工業用ミシン糸の需要者渡し価格を決定してはならない。

担保不動産の任意売却促進の法案(自民党)

 ずいぶん暖かい朝でしたので、久しぶりにコートなしで出てきました。

 さて、今朝の日経に「担保不動産売却、抵当権1位同意で可能に 自民が法案」という記事が出ています。自民党司法制度調査会が、昨日、担保不動産(抵当権の付いた不動産)を任意売却しやすくする制度の法案をまとめ、今国会に提出方針、ということです。記事で見る限りは、要するに、第1順位の抵当権者さえ同意すれば、他の後順位担保権者が期限内に競売申立など所定の手続を踏まない限り、その同意なく売却できる(後順位担保権をはずせる)という制度のようです。

 任意売却をやりやすくする制度が検討されていることは、昨年6月に日経で報道されたので、当ブログでも「担保不動産の任意売却に関する今朝の日経報道」というタイトルの記事を書きましたが、いろいろ問題がないわけではありません。議論状況は、以前の記事中にいろいろリンクさせておきましたので、関心のある方はご覧ください。
 → 「担保不動産の任意売却に関する今朝の日経報道」(08/6/3)

 前回の報道からしばらくたって、どうなったのかな、と思っていました。この制度は、債権債務の処理の促進という点が本来の目的のはずが、現実には、不動産の流動化、取引促進という狙いが大きいのではないかと思っています。

2009年3月16日 (月)

いびき軽減クリップの不当表示(景表法)

 本日、公正取引委員会は、いびき軽減等を標榜する商品の製造販売業者ら3社に対して、対象商品に係る表示が、景品表示法4条2項(不実証広告)により、同条1項1号(優良誤認)に該当する表示とみなされ、同号の規定に違反する事実が認められたとして、排除命令を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF) 

 対象業者は、ピップトウキョウ株式会社(東京都千代田区)、ピップフジモト株式会社(大阪市中央区)、株式会社キートロン(千葉県市川市)の3社です。ピップ2社の商品名が「いびきクリップ」、キートロンが「磁力クリップ」。これらの商品を鼻に取り付けると、いびきを軽減するという表示が包装やWEB上でなされていた、というもの。

(違反行為の概要)
 3社は、それぞれ前記商品を一般消費者に販売するに当たり、商品の包装容器及びインターネット上のウェブサイトにおいて、あたかも、当該商品を鼻に取り付けることにより、いびきを軽減するかのように示す表示を行っているが、公取委が3社に対し当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、ピップトウキョウ及びピップフジモトは資料を提出せず、キートロンは、期限内に資料を提出したが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

(排除措置の内容)
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
 と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

【追記】(3/16)
 ピップトウキョウピップフジモト両社のサイトに、「重要なお知らせ」として、今回の排除命令について公表されています。 → こちら
 「これらの表示について景品表示法第4条第2項の規定に基づく公正取引委員会からの資料提出の求めがありましたが、弊社は、その裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を所持しておらず、資料を提出することができませんでした。」
「当該製品の表示は、当該製品の内容について、
一般消費者の皆様方に対して実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、一般消費者ならびに販売店の皆様方には、多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。」と、あっさり全面的に公取委の指摘を認めて、販売中止を公表しています。また、返品等の対応については、改めて案内する、とのこと。
 過ちを認めるのは結構なのですが、裏付け資料も所持せず、このような商品を堂々と販売するということは、景品表示法違反という表示の問題にとどまらないものです。両社は、「THE WELLNESS COMPANY(人々の心身の健康に貢献する企業)」を目指すことを経営理念として掲げている健康産業のはずですが、あまりにもお粗末な話だと思います。

『死刑を考える』(日弁連)

 本日付で、日本弁護士連合会(日弁連)のサイトの「お知らせ」のコーナーに、「死刑を考える」という記事が出ています。
 → 日弁連サイト「死刑を考える」

 同記事によれば、裁判員制度の実施が迫る中で、死刑に関する情報は制限され、そもそも死刑とはどういう刑罰なのかあまり知られていない、死刑とはどのようなものか改めて考えてみたいとのことで、死刑についての基本的な情報をまとめたものとなっています。
 是非ご覧ください。目次は以下の通り。

 ◎ 「凶悪犯罪」は増えているのですか
 ◎ 死刑判決は増えているのですか
 ◎ 死刑の執行は増えているのですか
 ◎ 死刑にはどのような犯罪をするとなるのですか
 ◎ 死刑場はどのようなところですか
 ◎ 死刑はどのように執行されるのですか
 ◎ 世界で死刑はどうなっているのでしょうか
 ◎ 国際社会から日本は何を求められているのでしょうか
 ◎ 凶悪犯罪に対して死刑以外に刑罰はないのでしょうか
 ◎ 死刑がなければ犯罪は増えるのではないでしょうか
 ◎ 日弁連は死刑問題にどのように取り組んでいるのですか

 なお、日弁連の「死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会」(死刑執行停止実現委員会)のコーナーにも、関連情報があります。

【追記】(3/16)
 たまたま今日、高松地方裁判所で、昨年、坂出市でパート女性と孫姉妹の3人が殺害された事件で、女性の義弟に対して、求刑通り死刑が言い渡されています。
 また、あさって18日には、名古屋地方裁判所において、いわゆる闇サイト殺人事件の判決公判が開かれます。こちらの事件では、ネットで知り合った3名の被告人男性による強盗殺人という現代社会の病理的な側面が現れている事件という意味でも社会的に大きな関心を引いているところですが、被害者が1人である事件であり、検察側の死刑求刑に対して、裁判所がどう判断するかという点でも注目されているものです。

【追記の追記】(3/17)
 今日も神戸地裁姫路支部にて、2女性殺害事件で死刑判決が言い渡されたようです。死刑を考えなきゃならないような犯罪がなくなれば、それが一番いいのですけども。
 さて、法務省サイトで今日、「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について 」というのが公表されています。無期刑受刑者の仮釈放の制度の解説や実際の運用状況などの報告がされており、死刑制度を考えるうえで、有用な資料ですので紹介しておきます。
 → 法務省サイト「無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について 」

2009年3月14日 (土)

神奈川県教委情報流出事件についての仮処分決定

 町村教授のmatimulogで知ったのですが、読売の報道で、昨年の神奈川県立高校に関する大量の個人情報流出事件について、東京地裁で情報発信禁止の仮処分決定が出されたとのこと。

 この個人情報流出事件自体については、当ブログでも書いたことがありました。
 → 「公的組織の情報流出事件が続いてますね」(1/10)

 この仮処分事件に関して、神奈川県教育委員会から受託を受けていて情報を流出させてしまった日本IBM自身が、昨日付で自社サイトで公表しています。
 → 日本IBMサイト
      「個人情報流出に関する対応状況お知らせ」(3/13)

 これによれば、仮処分事件は2件に分かれていて、同社サイトの記事では、

「本件の起因となった弊社業務委託先社員がウィルス感染により流出させた情報を取得して意図的に情報の拡散を図ったと見られる人物に関して、昨年12月より該当のISPに対して、発信者情報の開示請求を要請して参りましたが、プロバイダー責任制限法に規定された発信者保護の観点から、任意の開示にいたりませんでした。このため、弊社は去る2月9日に、東京地方裁判所に当該プロバイダーに対しての「発信者情報の開示」の仮処分の申し立てを行い、2月26日当該仮処分の発令を得るに至りました
 現行のプロバイダー責任制限法のもとで、「発信者情報の開示」が仮処分の段階で認められたことは、今回がおそらく初めてのケースであると思われます。
 更に3月5日、弊社は
当該人物を相手方として、東京地方裁判所に対して「情報の再発信の禁止」の仮処分の申し立てを行い、翌6日に当該仮処分の発令を得ました
 既に当該人物に対して裁判所から仮処分の通知がなされており、弊社は当該人物の対応を注意深く見極めて参ります。」(下線は川村)

 つまり、プロバイダに対する「発信者情報開示の仮処分」と、これに基づいて判明した発信者に対して「情報再発信禁止の仮処分」を申し立て(2月9日と3月5日に申立)、2月26日と3月6日に、それぞれ認められて仮処分決定が出た、ということになります。

 町村教授も触れられていますが、読売が記事の中で、「県教委と接続事業者(プロバイダー)に対して仮処分を申し立てた日本IBM・・・」としている表現の「県教委」の意味は不明です。

2009年3月13日 (金)

消費者庁(与党)と消費者権利院(民主党)の法案が出揃う

 国会で、ようやく消費者庁関連法案の審議が始まったようですが、昨日(12日)、この与党案に対抗する形で、民主党が、「消費者権利院法案」「消費者団体訴訟法案」を衆議院に提出しています。
 → 民主党サイト「ニュース」

 上記民主党サイトによれば、
「消費者権利院法案」は、国民生活と消費者の権利を守り、消費者の視点で行政部局を強力に監視し、いわゆるオンブズパーソン的な役割を担う消費者権利官を中心として、消費者問題に迅速に対応する新たな機関「消費者権利院」の設置を提案するもの。政府が「内閣府の外局」として提案する消費者庁は、単なる政府の内部部局に過ぎず、独立性が担保されていないが、消費者権利院は各省庁から一定の独立性を有する独立組織となっている。地方の消費生活センターの人員・予算を国の責任で確保し、国・地方同一組織で事故情報等を一元化することで迅速な対応を目指す。
 また、「消費者団体訴訟法案」は、違法に得た利益を事業者からはく奪し、消費者の被害を迅速に回復するためのもの。政府案にはない、実効的な違法収益はく奪制度を導入、適格者団体との役割分担により財産保全命令・損害賠償等団体訴訟で、確実な違法収益のはく奪、被害回復を実現する。

 としています。消費者権利院は、これまでの行政機関とはかなり異なった性格の独立した組織を予定しているようですね。

 与党案に比較して、より消費者の権利を拡大する方向の制度作りを目指していると思いますが、具体的な中身について確認していませんので、ここでは紹介のみさせていただきます。ただ、双方が対立して共倒れという形だけは避けていただくことを願います。

【追記】(3/17)
 やっと、国会サイトに、上記2法案につき、提出法案と要綱が掲載されました。
 衆議院サイト「議案」から衆法(衆議院議員提出法律案)のところにあります。国会の状況を見ながら、機会があれば中身にも触れたいと思うのですが、本日のところはご紹介のみで、ご勘弁。

 なお、先に内閣から提出されている消費者庁関連法案(消費者庁設置法案 、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案)は、上記「議案」閣法(内閣提出法律案)の中にあります。

2009年3月12日 (木)

液晶ディスプレイ価格カルテル事件関連の日米の話題(独禁法)

 コンピュータのディスプレイなどに使われる液晶パネルの国際的な価格カルテルに関して、アメリカの司法省に対し、日立製作所関連会社の日立ディスプレイズが3100万ドル(約30億円)の罰金を支払うことで合意したことが報道されています(3月10日公表)。この事件については、既に、他の3社(シャープLGディスプレー(韓国)、中華映管(台湾))も計5億8500万ドルの罰金の支払を合意しているということです。

 このアメリカの事件は、コンピュータ用パネルをデル社に納入する際の価格に関するカルテルです。

 一方、日本では、昨年12月18日に、公正取引委員会が、任天堂のゲーム機用のディスプレイ等のカルテルに関して、同じく日立ディスプレイズシャープに対して、課徴金納付命令(シャープのみ)及び排除措置命令を出しています。
 → 公取委サイト報道発表資料(08/12/18・PDF)
 → 当ブログ(08/12/18)
  「携帯ゲーム機用部品の納入価格のカルテル事件(公取委)」

 この日本の公正取引委員会の処分に対して、両社は不服であるとして、審判請求を行っていましたが、本日、審判手続の開始が公表されました。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 この件に関して、シャープは2月に「到底承服できない」と審判請求に関するコメントを出しています。
 → シャープ「ニュースリリース」(2/2)

【追記】(4/1)
 報道によれば、3月31日に、米サンフランシスコの連邦大陪審が、このデル社向け価格カルテルについて、日立ディスプレイズのマーケティング部担当部長(当時)を起訴した、とのことです。

2009年3月11日 (水)

修学旅行の価格カルテル(独禁法)

 岡山市内の中学校の修学旅行についての旅行会社のカルテルの疑いで、公正取引委員会が立ち入り検査した、というのがニュースになっています。今まで考えたことがなかったですが、確かに大手の旅行社の立場からは、カルテルを結びたくなる市場ではありますね。公共工事の談合と同様の下地があるともいえます。

 報道によれば、中学校の修学旅行について、大手旅行会社5社(JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、東武トラベル、トップツアー)の関連会社や支店が、旅行代金に含む手数料や企画料、貸し切りバス料金などについて価格カルテルを結んでいたとされているようですね。

 この立ち入り検査について、JTBのwebサイトは、「㈱JTB中国四国の公正取引委員会による立ち入り検査について」において、
「3月11日、当社の連結対象会社である株式会社JTB中国四国(本社:広島県広島市、社長:秦 一男)の岡山支店が修学旅行の価格カルテルの疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。
当社としましては、立ち入り検査を受けるという事実を厳粛に受け止め、事実関係の解明を急ぎ、検査には全面的に協力する所存です。
このような皆様方の信頼を損なう事態を招きましたことを、心よりお詫び申し上げます。」としています。

 また、近畿日本ツーリストは、「岡山支店への公正取引委員会による立ち入り検査について」において、
「3月11日、弊社岡山支店が、修学旅行取扱に関し独占禁止法に抵触する疑いがあることで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。このような事態を招いたことは誠に遺憾であり、事実関係の解明を急ぎ、公正取引委員会の検査に対して全面的に協力していく所存であります。
 お客さまの信頼を失うような事態を招きましたことを、心よりお詫び申し上げます。」としています。

 他社もほぼ同様ですが、容疑が事実かどうかについては認めていないという内容になっているようです。

 このような立ち入り検査から、公正取引委員会の正式な処分まで結構日時はかかるのが通常です。

【追記】(7/10)
 で、その正式な処分(排除措置命令)が出ました。
 → 「修学旅行の価格カルテルについての排除措置命令(公取委)」(7/10)

 

2009年3月10日 (火)

オートローン会社の所有権留保中の車についての責任(最高裁)

 本日の判決当日に最高裁サイトに早くも出ていた新しい最高裁判決(破棄差戻)です。結構面白い判断(といっては当事者に怒られるかもしれませんが)が出たと思います。実務的にも興味深いものです。

 駐車場所有者(原告、上告人)が、駐車中の自動車に関して、土地所有権に基づいて、自動車の撤去と使用料相当損害金の支払を求めた裁判です。
 これだけだと、単純な話なのですが、支払を求めている相手方(被告、被上告人)が自動車の購入者ではなく、オートローンの会社です。つまり、ローン継続中なので、いわゆる「所有権留保」で自動車の所有名義がローン会社になっていることが根拠になっています。

 平成21年3月10日 最高裁第3小法廷判決
           車両撤去土地明渡等請求事件

 この自動車の使用者(購入者)Aは、上告人から駐車場を月極めにて借りる契約をしていました。このAの自動車は、被上告人のオートローン契約で購入したもので、一般のオートローン契約によくあるように、ローンが終わるまでは、自動車の所有権はローン会社である被上告人が有することになっています(所有権留保)。
 ところが、Aはローンの分割金を支払わず、また、駐車料金も支払わなくなりました。そのため、駐車場所有者である上告人は、駐車場の契約を解除し、Aに対して裁判をして判決をとって、給料などを差し押さえたりまでしましたが、自動車は駐車場に置いたままになっており、損害金も全部は回収できない状態です。

 そこで、上告人はローン会社を相手取って裁判を起こしたようなのですが、原審の東京高裁は、ローン会社が有するのは、通常の所有権ではなく、実質的には担保権の性質を有するものにすぎないから、ローン会社は所有者として本件車両を撤去して本件土地を明け渡す義務を負わないと判断して、請求を棄却しました。これに対して、上告がなされたものです。

 さて、最高裁は、この原審判決の判断を是認できない、として、東京高裁に差し戻しました。

 その理由は、
「本件立替払契約によれば,被上告人が本件車両の代金を立替払することによって取得する本件車両の所有権は,本件立替金債務が完済されるまで同債務の担保として被上告人に留保されているところ,被上告人は,Aが本件立替金債務について期限の利益を喪失しない限り,本件車両を占有,使用する権原を有しないが,Aが期限の利益を喪失して残債務全額の弁済期が経過したときは,Aから本件車両の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができることになる。
 動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,所有権を留保した者(以下,「留保所有権者」といい,留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは,留保所有権者は,
残債務弁済期が到来するまでは,当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても,特段の事情がない限り,当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,残債務弁済期が経過した後は,留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。なぜなら,上記のような留保所有権者が有する留保所有権は,原則として,残債務弁済期が到来するまでは,当該動産の交換価値を把握するにとどまるが,残債務弁済期の経過後は,当該動産を占有し,処分することができる権能を有するものと解されるからである。もっとも,残債務弁済期の経過後であっても,留保所有権者は,原則として,当該動産が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ不法行為責任を問われることはなく,上記妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。」

というものです。したがって、残債務全額の弁済期が経過したか否かなどについて、さらに審理を尽くさせる必要があるとして、原審に差し戻したものです。

 この結論は、ローン会社にとっては、結構負担が増大するのではないか、と想像いたします。

2009年3月 9日 (月)

塗料等製造下請についての中小企業庁からの措置請求(下請法)

 下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反事案についての、中小企業庁から公正取引委員会への措置請求がなされています。
 → 経済産業省サイト報道発表
  「株式会社アサヒペンに対する下請代金支払遅延等防止法の措置請求について」

 中小企業庁は、株式会社アサヒペン(大阪市鶴見区)に対し調査を行い、下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、公正取引委員会に対して、同法6条に基づく措置請求を行いました。

(違反事実の概要)
 アサヒペンは、各種塗料、壁紙・ふすま紙等の住宅関連商品及び住宅用洗剤や補修剤等ハウスケア商品の製造を下請事業者に委託しているが、今般自社の利益を確保するため、下請事業者から、手形払いから現金払いに支払制度を変更した後、下請代金の額に手形割引金利に見合う率(0.9パーセントから3.0パーセント)を乗じた額を差し引いていた事実が確認された。平成19年7月から平成20年8月までの間に、下請事業者53名に対して、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、支払うべき下請代金の一部(約4,139万円)を減額していた、というもの。

 なお、下請法6条は、以下の通り。同様の中小企業庁から公正取引委員会への措置請求の最近の事案については、当ブログでも取り上げてきていますが、最近の西日本車体(車両部品等製造)、ミカド(システムキッチン部品等製造)、マドラス(靴製造)の3事案では、中小企業庁の措置請求の後、1月足らずで、公正取引委員会から勧告が出されていますね。

第6条(中小企業庁長官の請求)

 中小企業庁長官は,親事業者が第4条第1項第1号,第2号若しくは第7号に掲げる行為をしているかどうか若しくは同項第3号から第6号までに掲げる行為をしたかどうか又は親事業者について同条第2項各号の一に該当する事実があるかどうかを調査し,その事実があると認めるときは,公正取引委員会に対し,この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。

【追記】(3/25)
 本日、公正取引委員会から、勧告が出されました。
 → 公取委報道発表資料(PDF)

 勧告の概要は以下の通り

ア 平成19年7月から同20年8月までの間に,「割引料」と称して,
 下請代金の額から減じていた額(総額4138万7392円)を下請事
 業者(53名)に対して速やかに支払うこと。
イ 減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後,下請事業
 者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じない旨を取締役
 会の決議により確認すること。
ウ 今後,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減
 じることがないよう,自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うな
 ど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに,その内容等を
 自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記ア,イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知す
 ること。

携帯電話の電波受信状態向上商品の不当表示(景表法)

 ケータイの受信状態向上などをうたった商品について景表法違反とされた事案です。

 本日、公正取引委員会は、携帯電話(PHS含む)の電波の受信状態が向上すること等を標ぼうする商品の製造販売業者ら4社に対し、景品表示法4条2項(不実証広告)により、同条1項1号(優良誤認)に該当するとして、排除命令を行いました。
 4社は、株式会社カクダイ(埼玉県川越市)、森友通商株式会社(東京都中央区)、株式会社吉本倶楽部(大阪市中央区)、株式会社ナスカ(大阪市淀川区)。ここで、対象となった4社の商品は、銅板に鉱石の粉末を塗布したシート状の商品ということです。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

(違反行為の概要)
 4社は、それぞれ、対象商品を一般消費者に販売するに当たり、商品の包装容器、雑誌広告及びインターネット上のウェブサイトにおいて、あたかも、当該商品を携帯電話に内蔵されている充電池の裏に設置して携帯電話を使用することにより、本件対象商品が携帯電話のアンテナとして機能することによって携帯電話の電波の受信状態が向上するかのように、携帯電話を使用できる時間が長くなるかのように、また、劣化した充電池の機能を再生し充電池の交換までの期間が長くなるかのように示す表示を行っているが、公取委が4社に対し当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社は、期限内に資料を提出したが、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

(排除措置の内容)
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
 と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

2009年3月 8日 (日)

排除命令の対象でない者による取消審判申立(景表法)

 2月3日付にて、公正取引委員会が、「シャンピニオンエキス」を使用して口臭、体臭、便臭を消す効果を標ぼうする商品の製造販売業者7社に対して、景品表示法違反(優良誤認)として、排除命令を行ったことは、当ブログで紹介いたしました。
 → 「口臭、体臭等の消臭効果についての不当表示(景表法)」(2/3)

 この排除命令に対して、命令の対象となった7社ではなく、シャンピニオンエキスの製造メーカーが異議を申し立てているという記事が、2月12日の日刊ゲンダイに出ていたようです。同社は、20年の研究で積み重ねてきたシャンピニオンエキスの消臭効果に関する資料を公取委へ提出したそうです。

 そして、その後、この製造メーカー、株式会社リコム(東京都豊島区)は、上記の排除命令を不服として、「3月2日付で、公取委に対し2月3日付でシャンピニオンエキス配合製品に出された排除命令を不服とし、全部取消しの審判請求を顧問弁護士によって行いました。」(同社サイトより)とのことです。同社は、自社のwebサイトにおいて反論(2/4)を行い、日刊ゲンダイの記事(2回)を掲載(2/13,2/18)しているのですが、3月2日に、上記の審判請求の事実を公表しています。
 → 同社サイト「ニュースレター」

 表示の不当性についての議論は別として、この審判請求では、手続法上の論点がありますね。つまり、公正取引委員会からの排除命令という行政命令の相手方(7社)ではなく、命令の対象となっていないリコムが審判を請求することができるか?という当事者適格に関する点です。同社が処分対象ではないとはいえ、同社にとって今回の排除命令は重大な関係があることは確かですので、今回のこの論点の行方は今後注目されるところと思います。

同社サイトに載せられた「審判請求書内容」は以下の通り。

  1.  シャンピニオンエキスには口臭、体臭及び便臭を消す効果を裏付ける学術文献を含むデータにより合理的根拠がある。
  2.  シャンピニオンエキスの消臭効果は医療機関と共同で行なった臨床試験で科学的に確認されている。
  3.  日本国の特許公報において、シャンピニオンエキスの消臭メカニズムと効果は特許承認されている。

【追記】(6/4)
 公取委が審判請求の適法性の部分に限って審判を開始するとの決定をしました。
 → 「シャンピニオンエキス不当表示事件の審判開始(公取委)」(6/4)

2009年3月 6日 (金)

馬券購入ソフトの勧誘と新手のマルチ商法(国民生活センター)

 今日は朝から東京で日弁連消費者問題対策委員会独占禁止法部会に出て、夕方大阪に帰ってきました。今日は、公正取引委員会の担当者の方から(消費者庁へ移行が予定されている)景品表示法について、いろいろと有益なお話を聞くことができました。実は、明日も早朝発で夕方まで日弁連の同委員会の会議です。泊まれば楽なのですが、仕事もありますので・・でも疲れますね。

 さて、先日(3/3)の当ブログ記事で、競馬ソフト購入契約についての大阪市消費者保護審議会のあっせん事例をご紹介しましたが、たまたま、次のような公表が昨日なされていました。

 昨日、国民生活センターが、「新手のマルチ取引-友人を誘うと紹介料が入る話は契約の後-」というタイトルの記事を、同センターwebサイトに公表をしています。
 → 当該公表記事

 事案の内容は、「友人から馬券購入補助ソフトでもうかると勧誘され、断り切れず消費者金融から借金しソフトを購入した。実際は勧誘時のうまい話とは違いもうからないし、マルチ商法ではないと説明されたが友人は紹介料を得ていた。信用できなくなったので解約したい」という相談が国民生活センターに寄せられた、というもので、同センターは、消費者、特に若者に向けて注意を呼びかけることとした、としています。 社名も公表されていて、マイクロシステムテクノロジー(東京都中央区)。

 相談者は、20歳代が多く、消費者金融から多額の借り入れをして契約しているケースも目立つ、とされ、ただし、現在マイクロシステムテクノロジーは、新たな販売業務を行っていない、としています。

 ところで、国民生活センターのサイトには書かれていないのですが、この会社マイクロシステムテクノロジーは、競馬ソフト「錬金王」の販売に関して、特定商取引法に基づいて、昨年11月に東京都から3ヶ月間の業務停止命令を受けています。このソフトは、パソコンで日本競馬会(JRA)のインターネットシステムでの馬券購入を行うものですが、ソフトが自動的に購入してくれて投資になるという触れ込みです。
 → 東京都の処分について
 → マイクロシステムテクノロジーの勧誘事例の紹介

 このソフト販売については、マルチ的側面以外にも、いろいろと言いたいことがあるのですが、ブログではこの辺にしておきます。

2009年3月 5日 (木)

百貨店による納入業者への押し付け行為(独禁法)

 本日、公正取引委員会は、金沢の百貨店業株式会社大和(金沢市)に対し、独占禁止法19条(大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法6項、7項)に違反するものとして、排除措置命令を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」は、
    → こちらへ

(違反行為の概要)

  1.  大和は,金沢市所在の香林坊店及び富山市所在の富山店において,「全従業員訪問販売」及び「謝恩特別ご奉仕会」と称する販売企画を実施するに際し,あらかじめ店舗ごとに設定した販売目標金額を達成するため,自社と継続的な取引関係にある納入業者であって,その取引上の地位が自社に対して劣っているもののうち香林坊店及び富山店において販売される商品の納入業者及び当該納入業者の従業員に対し,香林坊店及び富山店の仕入担当者から,全従業員訪問販売等の販売対象となる商品を購入するよう要請し,当該商品を購入させていた。
  2.  大和は,納入業者に対し,香林坊店の仕入担当者から,平成19年8月ころに香林坊店において実施する絵画の展示会で販売する絵画を購入するよう要請し,当該絵画を購入させた。
  3.  大和は,香林坊店及び富山店において,全従業員訪問販売等を実施するに際し,納入業者から派遣されて香林坊店及び富山店の売場に常駐している当該納入業者の従業員に,当該大和に派遣されている納入業者従業員を派遣する納入業者が大和に納入する商品以外の商品の販売業務を行わせることとし,あらかじめ当該納入業者との間で当該大和に派遣されている納入業者従業員が当該販売業務を行う際の条件について合意することなく,かつ,当該販売業務のために通常必要な費用を自社で負担することなく,当該大和に派遣されている納入業者従業員に当該販売業務を行わせていた。
  4.  大和は,香林坊店及び富山店において,毎年,3月,6月及び10月に開催する「春の大和祭」,「ダイワ夏祭」等と称する大規模なセールを実施するに際し,当該セールを告知するダイレクトメールを香林坊店及び富山店の近隣に所在する住宅に配布する作業を大和に派遣されている納入業者従業員に行わせることとし,あらかじめ当該大和に派遣されている納入業者従業員を派遣している納入業者との間で当該大和に派遣されている納入業者従業員が当該配布作業を行う際の条件について合意することなく,かつ,当該配布作業のために通常必要な費用を自社で負担することなく,当該大和に派遣されている納入業者従業員に当該配布作業を行わせていた。

(排除措置命令の概要)

  1.  大和は,前記行為を取りやめている旨を確認すること及び今後当該行為と同様の行為を行わない旨を,取締役会において決議しなければならない。
  2.  大和は,前記1に基づいて採った措置を自社と継続的な取引関係にある納入業者及び当該納入業者から派遣されて大和の各店舗の売場に常駐している当該納入業者の従業員に,それぞれ,通知するとともに,自社の従業員に周知徹底しなければならない。
  3. 大和は,今後,前記と同様の行為を行ってはならない。
  4.  大和は,今後,次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
     ア 納入業者との取引に関係する独占禁止法の遵守についての行
      動指針の作成

     イ 納入業者との取引に関係する独占禁止法の遵守についての,
      役員及び従業員に対する定期的な研修並びに法務担当者による
      定期的な監査

2009年3月 4日 (水)

英会話教室に対する消費者団体訴訟で和解成立(消費者支援機構関西)

 一部で報道も流れているようですが、NPO法人「消費者支援機構関西」(KC’s)が、英会話教室「グローバルトリニティー」の運営会社(FORTRESS,JAPAN)を被告として起こしていた消費者団体訴訟で、本日、訴訟上の和解が成立しています。

 和解の内容の詳細は、近々、消費者支援機構関西のWebサイトに掲載される予定と聞いています。下に、和解内容として聞いているものを載せておきます(文責は川村)。
 【追記】すぐに掲載されましたね → こちらへどうぞ

 この内容を見ると、本来の消費者契約法上の消費者団体訴訟で認められる差し止めの範囲を超えて、実効性ある和解内容となっていますね。単純に差し止め認容判決が出るよりも素晴らしい成果をあげた訴訟であると評価できると思います。

(和解内容骨子)
1 不当勧誘行為の確認条項
  不当勧誘の停止の前提として,被告が下記の不当勧誘をかつて行って
 いたことの確認。
 ① 営業所からの退去妨害
 ② 「いつでも好きなときに受講できる」等の不実告知
 ③ レッスン開講日及び開講時間が予め受講者のコースに応じて定めら
  れており,またカリキュラムも約10日前になってようやく半月分が
  発表される等の不利益事実を告げないまま,「受講期間内の受講回数
  は無制限です」「他の英会話教室に比べて受講料が安い」などの消費
  者にとって利益を告げる行為
 ④ 消費者に対し,不招請かつ執拗な電話勧誘や事業所での長時間勧誘
  など,「迷惑を覚えさせるような仕方」で勧誘する行為
 ⑤ 消費者に対し,「この場で決断しなさい。」などの威迫的な文言を
  用いたり,人格的非難にわたるような文言を用いるなどして困惑させ
  る行為
 ⑥ 契約の締結に関する判断力が不足している消費者に対する,その判
  断力の不足に乗じた勧誘行為
 ⑦ その財産の状況に照らして契約を締結させることが不適当な消費者
  に対する勧誘行為

2 上記1①~⑦の勧誘行為の停止
  本件訴訟で求めていた不当勧誘の停止及び従業員への周知徹底措置を
 被告がとる。

3 消費者からの取消要求への応諾・受領代金返還
  ①~③の不当勧誘を行って契約をした場合,被告が消費者からの取消
 要求への応諾や代金返還を行う。

4 消費者からの解約等の申出に誠実に対応
  ④~⑦の不当勧誘を行って契約をした場合,消費者からの解約申出等
 に対して、被告は誠実に対応を行う。

5 違約金支払条項
  ①~③の不当勧誘を行った場合,被告は本和解上の違約金として消費
 者1人あたり50万円をKC’sに支払う。

6 従業員への周知徹底,研修指導
  従業員に対して,本和解内容を周知徹底し,適切な研修指導を行って,
 不当勧誘停止の実効化をはかる。

7 周知徹底措置の実行状況の報告
  被告は上記6の措置の実行状況をKC’sに書面で報告する。

8 消費者が和解内容についての正確な情報にアクセスすることを確保
  被告は,本和解成立について消費者に示す場合には,和解条項全文か,
 KC’sのホームページのURLを示す。

Googleブック検索と著作権に関する和解の件(続きです)

 先日、和解内容がよくわからないままに書いたGoogleのブック検索に関するアメリカでのクラスアクションの和解の件です。
 →「Googleブック検索と著作権に関する米国での和解(クラスアクション)」
                            
(2/25)

 この和解に関して、社団法人日本書籍出版協会のサイトに資料がありましたので、ご紹介しておきます。
 → 日本書籍出版協会ホームページ

 このサイトの「新着情報」のところに、下のタイトルで2つのPDFファイルがリンクされており、上のほうが、会員の出版社に対して出した本件和解に関しての説明の文章(PDF 日本語)で、下のほうが、国際出版連合(IPA)の本件和解に関する報告書(PDF 日本語)になっているようです。

【出版社各位】Googleとアメリカ作家組合・出版協会会員社との和解について【重要】

【出版社各位】Googleと米国著作者・出版社との和解についてのIPA報告書【重要】

 先日、紹介した和解専用サイトのわかりにくい訳文よりも、こちらのほうが内容の把握のためには、わかりやすいと思います。

 なお、昨日あたりの報道で、日本文芸家協会が、和解に参加する作家らの請求を代行する旨の報道がありましたが、同協会のサイトには発表がされていませんでした。

【追記】(5/4)
 ITmediaなどが、このGoogleのブック検索の和解案について、アメリカの司法省が独占禁止法違反の可能性があるとして調査を開始した旨を報じていますね。

2009年3月 3日 (火)

大阪市消費者保護審議会の苦情処理報告書(結婚紹介サービスと競馬ソフト販売)

 今年春から、国の某官庁の下に設置されている機関の委員に就任する予定となって、今日は、その担当の職員の方が、わざわざ御挨拶かたがたの手続説明に来られました。こういった公的な事柄への協力は、当然ながら弁護士として積極的にすべきとは思うのですが、時間的なこともあって、なかなか大変です。ロースクールの講師も同じくですが(苦笑)

 私は、同様に公的な委員として、昨年秋まで2年間、大阪市消費者保護審議会の委員をしていました。
 この審議会は、大阪市の消費者保護条例に基づくものですが、この審議会内に置かれる苦情処理部会は、具体的な事案について、調停、あっせんを行うことができるようになっています。

 私の任期中に、この苦情処理部会で、2件の案件の処理に関与することができました。既に2件とも処理結果の報告書が、大阪市のサイト上に、それぞれPDFファイルで公開されています。興味のある方は下記リンクからどうぞ。

◎ 結婚相手紹介サービスに係る紛争案件(平成19年度第1号案件)
    平成19年4月27日~9月18日  あっせん成立

◎ 競馬ソフト購入契約に係る紛争案件(平成19年度第2号案件)
    平成19年5月21日~平成20年2月26日 あっせん成立
 

 両事件とも申出人(消費者)が3名と複数でもあり、いろいろと大変でしたが、両方とも、あっせん成立に至ることができました。普段の仕事とは違う角度から紛争処理に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。

日弁連全国一斉 派遣切り・雇い止めホットライン(電話相談)

 アメリカも日本も株式市場が下げ続けていますね。昨日あたりのニュースを見ていますと、アリコの医療保険に入っていて、citiカードを持っている私としましては、何となく居心地が悪くなっております。

 さて、日本弁護士連合会(日弁連)が3月9日(月)を中心にして、「日弁連全国一斉 派遣切り・雇い止めホットライン(電話相談)」を実施するということです。

 この「派遣切り・雇い止めホットライン」は、派遣・パート・アルバイトなどの非正規労働の問題や生活保護の問題に、専門家が無料で電話相談に応じるというものです。

 なお、この電話相談は、各地の弁護士会で行われるもので、地域により、実施日や時間が違っていたり、独自の電話番号を設定していたりする場合があるそうなので、日弁連サイトの資料をご覧ください。ほとんどの地域では統一のフリーダイヤル(無料)を利用できるようですね。
 → 日弁連サイト公表資料

 日弁連サイトで例示されている相談例は、
○ 派遣先から契約を切られた。寮からも出て行けと言われ困っている
○ 次の契約期限が来たら契約を打ち切ると言われている
○ 働いても働いても暮らしていけない
○ 所持金ももうほとんど無い。今日食べることもできない
○ 夜遅くまで働いているのに残業代が出ない
○ 給料からよくわからない理由で天引きされている
○ 仕事中に怪我をしたのに補償はないのか
○ 自分の今の状況で生活保護は受けられるの?
○ 週30時間働いているのに雇用保険に入れてもらえない
○ 育児休業をとりたいけど、正社員じゃないとだめ?

等々となっています。

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