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2009年2月の記事

2009年2月27日 (金)

優良運転免許証交付等請求事件最高裁判決

 珍しい事件名に引かれた最高裁判決なので、掲載しておきます。今日、最高裁サイトに出ていた判決ですが、事件の種類としては行政訴訟事件です。

 平成21年2月27日 最高裁判所第二小法廷判決

 運転免許証更新の際に、道路交通法所定の違反行為があったとして、神奈川県公安委員会から、優良運転者ではなく一般運転者の免許証を交付された人が、違反行為はなかったと主張して、更新処分中、一般運転者とする部分の取消しを求めるなどした裁判です。被告は神奈川県ですね。

 この裁判の第1審判決は、本件更新処分中の一般運転者とする部分は行政処分に当たらないとして訴えを却下したのですが(したがって、交通違反の有無の事実の認定はしない)、控訴審では、訴えは適法であるとし,第1審判決を取り消して本件を第1審に差し戻すべきものとしましたが、神奈川県は、これを不服として上告したものです。

 最高裁は、次のように判示して、控訴審判決の結論を維持して、上告棄却としました。

確かに,免許証の更新処分において交付される免許証が優良運転者である旨の記載のある免許証であるかそれのないものであるかによって,当該免許証の有効期間等が左右されるものではない。また,上記記載のある免許証を交付して更新処分を行うことは,免許証の更新の申請の内容を成す事項ではない。しかしながら,上記のとおり,客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上,一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は,上記の法律上の地位を否定されたことを理由として,これを回復するため,同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するというべきものである。」

 古田佑紀裁判官の補足意見が付いています。

JASRACへの排除措置命令(私的独占・公取委)

 前記事で気分転換・・・と書いたところだったのですが、また、独占禁止法です。報道で予告されていましたJASRACへの排除措置命令が正式に出ました。

 本日、公正取引委員会は、音楽著作物の著作権に係る著作権等管理事業等を行っている社団法人日本音楽著作権協会(東京都渋谷区・JASRAC)に対し、独占禁止法3条(私的独占の禁止)に違反する行為を行っているとして、排除措置命令を行いました。
 JASRACが行っている「音楽著作物の著作権に係る著作権等管理事業」というのは、わかりにくいかと思いますが、下記公取資料にその概要説明資料がついていますので、興味ある方はご覧ください。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)
 → 当ブログの昨年4月の公取委立入検査時の記事(08/4/23)
    「JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)」

(違反行為の概要)

  1.  JASRACは、放送事業者から包括徴収(放送等利用に係る管理楽曲全体について包括的に利用を許諾し,放送等使用料を包括的に算定し徴収する方法をいう。)の方法により徴収する放送等使用料の算定において、放送等利用割合が当該放送等使用料に反映されないような方法を採用している。これにより、当該放送事業者が他の管理事業者にも放送等使用料を支払う場合には、当該放送事業者が負担する放送等使用料の総額がその分だけ増加することとなる。
  2.  これにより、JASRAC以外の管理事業者は、自らの放送等利用に係る管理楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されず、また、放送等利用に係る管理楽曲として放送等利用が見込まれる音楽著作物をほとんど確保することができないことから、放送等利用に係る管理事業を営むことが困難となっている。
  3.  前記行為によって、JASRACは、他の管理事業者の事業活動を排除することにより、公共の利益に反して、我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限している。

(排除措置命令の概要)

  1. JASRACは、前記行為を取りやめなければならない。
  2. JASRACは、前記行為を取りやめる旨及び今後,前記行為と同様の行為を行わない旨を、理事会において決議しなければならない。
  3. JASRACは、前記行為を取りやめるに当たり採用する放送等使用料の徴収方法について、あらかじめ、当委員会の承認を受けなければならない。
  4. JASRACは、前記1,2に基づいて採った措置を自己と利用許諾に関する契約を締結している放送事業者、他の管理事業者及び自己に音楽著作権の管理を委託している者に通知しなければならない。
  5. JASRACは、今後、前記行為と同様の行為を行ってはならない。

【追記】(5/4)
 4月29日に、JASRACは上記の排除措置命令を不服として審判請求しました。
 → 「JASRACが排除措置命令に対して審判請求(独禁法)」(5/4)

正当防衛についての最高裁決定

 このブログでは、ほとんど刑事事件は書かないのですが、何故かたまに、正当防衛関係の裁判例を紹介しています。別に私が「正当防衛フェチ」とか「正当防衛オタク」というわけではなく、ブログのネタとしては書きやすい、というところかもしれません。独占禁止法の記事が続いたので、ちょっと気分転換・・・

 で、最高裁のサイトで新しい正当防衛関係の決定が出ていました。

 平成21年2月24日最高裁第一小法廷決定

 この事案は、覚せい剤取締法違反の罪により勾留中の男(被告人)が、拘置所の同室にいた別の男(被害者)に暴行を加えて傷害を負わせた、というものです。

 原審の大阪高裁は、過剰防衛による傷害罪を認め、有罪としました。これに対して、弁護人は、一連の暴行の内、第1暴行によって傷害を生じさせたが、第1暴行は正当防衛であり、その後の第2暴行が過剰なものであったとしても、傷害罪には問えず、暴行罪が成立するにすぎない、と最高裁において主張しました。
 そして、最高裁決定は、弁護人の主張は上告理由(刑訴405)に該当しないとしたうえで、職権で上記の弁護人の主張について判断をしています。原審の大阪高裁判決を支持したものです。

 ちょっと長くなりますが、この最高裁決定の判断部分を下に貼り付けておきます。

(最高裁決定の理由から職権判断部分を抜粋)

  1.  本件は,覚せい剤取締法違反の罪で起訴され,拘置所に勾留されていた被告人が,同拘置所内の居室において,同室の男性(以下「被害者」という。)に対し,折り畳み机を投げ付け,その顔面を手けんで数回殴打するなどの暴行を加えて同人に加療約3週間を要する左中指腱断裂及び左中指挫創の傷害(以下「本件傷害」という。)を負わせたとして,傷害罪で起訴された事案である。
  2.  原判決は,上記折り畳み机による暴行については,被害者の方から被告人に向けて同机を押し倒してきたため,被告人はその反撃として同机を押し返したもの(以下「第1暴行」という。)であり,これには被害者からの急迫不正の侵害に対する防衛手段としての相当性が認められるが,同机に当たって押し倒され,反撃や抵抗が困難な状態になった被害者に対し,その顔面を手けんで数回殴打したこと(以下「第2暴行」という。)は,防衛手段としての相当性の範囲を逸脱したものであるとした。そして,原判決は,第1暴行と第2暴行は,被害者による急迫不正の侵害に対し,時間的・場所的に接着してなされた一連一体の行為であるから,両暴行を分断して評価すべきではなく,全体として1個の過剰防衛行為として評価すべきであるとし,罪となるべき事実として,「被告人は,被害者が折り畳み机を被告人に向けて押し倒してきたのに対し,自己の身体を防衛するため,防衛の程度を超え,同机を被害者に向けて押し返した上,これにより転倒した同人の顔面を手けんで数回殴打する暴行を加えて,同人に本件傷害を負わせた」旨認定し,過剰防衛による傷害罪の成立を認めた。その上で,原判決は,本件傷害と直接の因果関係を有するのは第1暴行のみであるところ,同暴行を単独で評価すれば,防衛手段として相当といえることを酌むべき事情の一つとして認定し,被告人を懲役4月に処した。
  3.  所論は,本件傷害は,違法性のない第1暴行によって生じたものであるから,第2暴行が防衛手段としての相当性の範囲を逸脱していたとしても,過剰防衛による傷害罪が成立する余地はなく,暴行罪が成立するにすぎないと主張する。
     しかしながら,前記事実関係の下では,被告人が被害者に対して加えた暴行は,急迫不正の侵害に対する一連一体のものであり,同一の防衛の意思に基づく1個の行為と認めることができるから,全体的に考察して1個の過剰防衛としての傷害罪の成立を認めるのが相当であり,所論指摘の点は,有利な情状として考慮すれば足りるというべきである。以上と同旨の原判断は正当である。
     よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

2009年2月26日 (木)

独占禁止法改正案、明日の閣議に付議(公取委)

 本日、独占禁止法の改正案につき、明日(2/27)の閣議に付議する旨の発表がなされています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 改正内容は、以下の通り。

・課徴金関係
(1) 課徴金の適用範囲の拡大
  (ア) 排除型私的独占
  (イ) 不当廉売,差別対価,共同の取引拒絶,再販売価格の拘束
           (それぞれ同一の違反行為を繰り返した場合)
  (ウ) 優越的地位の濫用
(2) 主導的事業者に対する課徴金を割増し(5割増し)
(3)課徴金減免制度の拡充(最大5社,グループ申請可)
(4)事業を承継した一定の企業に対しても命令を可能に
(5)命令に係る除斥期間の延長(3年⇒5年)

・不当な取引制限等の罪に対する懲役刑の引上げ

・企業結合規制の見直し
(1) 株式取得の事前届出制の導入等
(2) 届出基準の見直し等

・その他
(1)海外当局との情報交換に関する規定の導入
(2)利害関係人による審判の事件記録の閲覧・謄写規定の見直し
(3)差止訴訟における文書提出命令の特則の導入
(4)損害賠償請求訴訟における義務的求意見制度の見直し
(5)職員等の秘密保持義務違反に係る罰則の引上げ
(6)事業者団体届出制度の廃止

2009年2月25日 (水)

「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」(総務省)

 本日、総務省が、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン」を公表しています。
 → 総務省サイト報道資料

 放送コンテンツ分野の、より透明で公正な製作取引の実現に向けて、総務省が開催していた「放送コンテンツの製作取引の適正化の促進に関する検討会」が、放送コンテンツに係る製作取引の現状を検証して、適正な製作取引のためのガイドラインの策定を行ってきたものということです。

 主として、下請法独占禁止法を対象としているものですが、放送法著作権法にも触れています。

 なお、このガイドラインの取りまとめについては、数日前に、朝日が大きく報道していました。実は、この報道では、テレビ業界が「総務省と自主ルールをまとめた」ということになっていたのですが、今日の正式発表を見ると、業界の「自主ルール」ではなく、監督官庁である総務省のガイドラインです。

 下に、ガイドラインの目次を挙げておきますが、全体の構成としては、第1章で、ガイドライン策定の背景、目的や、ガイドラインでの用語の定義など、第2章は、総務省が収集した事例のうち、下請法や独占禁止法上問題となりうる事例を提示して、下請法や独占禁止法のガイドライン等に照らして留意すべき点、第3章は、下請法又は独占禁止法の趣旨を踏まえて行われている事例や、取引においてより推奨されるべき、望ましい取引事例などを挙げ、取引適正化に向けて参考とすべき具体的な事例を示した、というものとなっています。

〈目 次〉
第1章 はじめに

 1 ガイドライン策定の背景
 2 ガイドラインの内容
第2章 個別具体的な取引事例について(問題となりうる事例)
 1 トンネル会社の規制(下請法第2条第9項関係)
 2 発注書及び契約書の交付、交付時期(下請法第3条関係)
 3 支払時期の起算日(下請法第4条第1項第2号関係)
 4 買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請等
   (納入した番組・素材についての著作権の帰属、窓口業務)
 5 買いたたき(下請法第4条第1項第5号関係)
 6 不当な給付内容の変更及びやり直し(下請法第4条第2項第4号関係)
第3章 個別具体的な取引事例について(望ましいと考えられる事例)
 1 発注書の交付等
 2 支払期日の起算日(第2章-3関係)
 3 不当な経済上の利益の提供要請等(著作権の帰属)
 4 買いたたき

Googleブック検索と著作権に関する米国での和解(クラスアクション)

 新聞などでも先日報道されたアメリカの裁判のニュースなのですが、大手検索サービスのGoogleの提供しているブック検索というサービスについて、米国出版社協会や一部の著作権者らが原告となって、書籍の全文を無断でデジタル化して検索の対象とすることは著作権を侵害するとして、Googleを訴えていた裁判で、和解が行われた、というもの。もっとも裁判所による承認手続きが必要だそうで、最終的な成立ではないようですが。

 話題となっているのは、単に原告とGoogleだけの間の和解解決というだけではなく、この裁判がアメリカ特有の「クラスアクション」制度に基づくものであったため、この訴訟とは関係のない出版社や著作権者にまで和解の内容が影響するという点です。どうやら、アメリカ国内で著作物を出版しているような出版社や著者には、原則として効力が及ぶようです。

 新聞記事を読んだときには、原則としてGoogleが権利者の許可なくブック検索用にデジタル化できるのかな、と思っていたのですが、そう単純ではなさそうです。出版時期など結構、条件があります。また、権利者らへの補償金の分配という事項もあります。この和解への「参加」とか「除外」といった手続もあり、それらを理解しておく必要がありそうです。いずれにせよ、和解の内容は結構複雑で、私も、下記の「通知書」などを簡単に目を通しただけで、ここに和解内容を具体的に紹介する記事を載せておく自信は全くありませんので(苦笑・・ご容赦)、中身を知りたい方は、以下のサイト等を参考にしてください。

 日本語の専用サイト(和解管理サイト)で、「和解契約書」などの資料(PDF)を見ることができます。ただし、「通知書」や「概要通知書」は日本語になっていますが、和解契約書は英語です。和解内容や手続については、ここのFAQが一番わかりやすいかもしれません。

 Google側の解説としては、同社サイトの「Google ブック検索和解契約」というページがあります。

 和解管理サイトに出ている「通知書」(日本語・PDF)は、和解内容を出版社や著者らに知らせるための文書で、これには、かなり詳しく内容が書かれています。とはいっても、詳しすぎて、かえってよく判らなくなる人がいるかもしれません(私のことです)。同じく日本語のPDFの「概要通知書」は要約版ですが、こちらは簡単すぎます。
 なお、内容や手続の概要については、民事訴訟法学者である北海道大学の町村教授がブログにまとめておられます。
   → matimulog

【追記】(4/10)
 追加記事2件のリンクです。
 → 「Googleブック検索と著作権に関する和解の件(続きです)」(3/4)
 → 「Googleブック検索をめぐる和解と独占禁止法(アメリカ)」(4/8)

2009年2月24日 (火)

ワイシャツの形態安定加工についての不当表示(景表法)

 公正取引委員会と阪急阪神百貨店、というので、先日報道されていた阪神優勝記念グッズの下請法違反事件のことかと思ったら(【追記】翌2/25に公取委勧告)、別の事案で、ワイシャツの形態安定加工の表示に関する景品表示法違反事件でした。

 本日、公正取引委員会は、株式会社京王百貨店(東京都新宿区)、株式会社阪急阪神百貨店(大阪市北区)、トミヤアパレル株式会社(東京都港区)の3社が販売する衣料品に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に違反するとして、3社に対して、排除命令を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

【追記】(2/26)
 トミヤアパレルは本日(26日)会社更生法の適用を申し立てていますね。

(違反事実の概要)
 京王百貨店、阪急阪神百貨店、トミヤアパレルは、「WORKCAPSULE」と称するブランドのワイシャツを一般消費者に販売するに当たり(両百貨店がトミヤアパレルに製造委託して販売)、商品の下げ札及び襟表示やプライスカードなどに、あたかもワイシャツに形態安定加工がなされているかのような表示を行っていたが、実際には、当該商品は形態安定加工が施されたものではなかった。

(排除措置の概要)
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
 と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

戸籍や住民票の第三者への交付の場合の本人通知制度

 寝る前にネットでニュースを見ていると、産経が次のような記事を出していました。

 「戸籍謄本や住民票に本人通知制度 大阪府内の自治体で実施へ」
 戸籍謄本や住民票の不正入手を防ぐために、本人以外からの請求があった場合に本人に通知する制度を、来年度から大阪狭山市や岬町など大阪府内の5~10自治体で開始する見込みであることが分かった、というもの。橋下知事が導入を提唱しているようです。

 個人情報保護や人権侵害防止の観点から、戸籍などの不正入手を防ぐことはもちろん重要であり、その対策は考えなければならないのは当然です。したがって、この制度で、不正入手を防ぐ効果があるというメリットについては、その通りですね。

 しかし、このニュースによれば、不正入手の疑いがある場合だけでなく、弁護士や司法書士の職務上請求も含めて、第三者が交付を受けた場合は全て本人に通知ということのようです。

 これが実施されると、弁護士業務を含め、いろんな場面で法律実務上の影響はかなりあると思うのですが・・・・
 ここでは詳しく触れませんが、交付直後に本人に通知されるとすると、正当な権利行使の場面でも弊害も出てくることもあり、実施にあたっては、充分に検討していただきたいと思います。

【追記】(2/25)
 朝日の夕刊に、大阪狭山市が本人通知する旨の記事が出ていました。これによれば、交付した書類の種類や枚数は通知するが、請求者が誰であるかは通知しないようです。請求者側からすれば、このほうがいいと思いますが、通知された本人はかえって気味が悪いことになりそうな気が・・・知らないほうがいい場合もありそうですね。

【追記の追記】(2/26)
 産経と朝日の報道を再度よく見ると、本人通知するのは「事前に希望した人」に対してのようですね(なんで大事な部分を見落としてたのだろう)。全部に通知するとすれば、通知対象者の範囲や、事務作業、郵送料などのコストが大変なのにどうするのかな、と思ってました。事前の希望者なら、それほどでもないかもしれませんね。手数料とかはどうするのでしょうか。

2009年2月21日 (土)

航空貨物カルテルに対する処分方針の報道(独禁法)

 少しだけですが、サイドバーを変更しました。ついでに、Amazonのサーチと本の紹介(これもAmazon)を加えています。このブログから本の注文する人などいないでしょうから、小遣い稼ぎになるはずはありません。先日も少し書いたように、今後、アフィリエイト等について問題も出てきそうなので、一度体験しておこうと思った次第。

 さて、国際航空貨物のカルテルに関して、公正取引委員会が日本通運や近鉄エクスプレスなど十数社に対して排除措置命令、課徴金納付命令を出す方針という報道がなされていますね。運送費などの値上げに関する価格カルテルということで、独占禁止法違反(不当な取引制限)の行為に当たるものです。

 当ブログでも、昨年4月、この件での公正取引委員会が立入調査を行った時の記事を書いています。
 → 「国際航空貨物便の運送代金カルテルの疑いで立入検査(公取)」
                             (08/4/16)

 それにしても、先日から、公正取引委員会から正式な命令が出る前なのに、処分方針が報道される事件が続いていますね。各対象企業に事前通知がなされた、ということでの報道のようなのですが、公取委と対象企業しかわからないはずなのに、どこから漏れているのかな。

【追記】(2/23)
 日本通運は同社のサイトで、上記の報道について、
「当社は、2008年4月16日から国際航空貨物利用運送に係る本体運賃、燃油サーチャージ等に関して、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の調査を受けておりましたが、報道のとおり、2009年2月20日、排除措置及び課徴金納付についての事前通知を受けました。
 当社は、その内容を十分検討のうえ、今後の対応を決定してまいります。」とのコメントを出しています。

 また、近鉄エクスプレスも同社サイトにて、同様に公取委からの事前通知の事実を認め、内容を検討のうえ今後の対応を決める旨のコメントを出しています。

【追記の追記】(3/19)
 3月18日に排除措置命令と課徴金納付命令が出ました。
 対象は12社、課徴金合計90億5298万円です。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 両命令の対象企業は、日本通運株式会社、郵船航空サービス株式会社、株式会社近鉄エクスプレス、西日本鉄道株式会社、株式会社阪急阪神交通社ホールディングス、株式会社日新、バンテックワールドトランスポート株式会社、ケイラインロジスティックス株式会社、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社、商船三井ロジスティクス株式会社、阪神エアカーゴ株式会社、ユナイテッド航空貨物株式会社の12社です。

 カルテル参加者の内、DHLグローバルフォワーディングジャパン株式会社が対象からはずれているのは、最初に自主申告した会社である可能性がありますね(公表されていないので現時点では不明)。なお、日本通運が、30%の減額を受けたことは公表されています。もう1社エアボーンエクスプレス株式会社も対象からはずれていますが、こちらは恐らく平成15年に当該業務をやめているからだと想像します。

2009年2月20日 (金)

フランチャイズ契約と独占禁止法(公取委)

 今日は、セブンイレブンのコンビニエンスストアの値引き制限について、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いがあるとして調査を始めたことが、テレビや新聞で報じられています。

 フランチャイズ・システムについては、独占禁止法に抵触する可能性のある点が昔から指摘されており、公正取引委員会もガイドラインを作成するなどしてきたのですが、ようやく調査に踏み切ったか、というのが素直な感想です。今回はセブンイレブンについてのようですが、同様の問題は他のコンビニにもありますし、コンビニ以外のフランチャイズも例外ではありません。
 日弁連消費者問題対策委員会で私の所属している独占禁止法部会でも相当以前からフランチャイズと独占禁止法の問題に取り組んできています。

 この問題について詳しく触れるにはブログは狭すぎますので、ここでは、公正取引委員会のガイドラインフランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について(平成14年4月24日)と最近のフランチャイズ関係判決に関連した当ブログ記事へのリンクをしておきます。
 → 公取委サイト
  フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について
 → 当ブログ過去記事
    「コンビニ加盟店契約に関する最高裁判決」(08/7/4)
    「フランチャイズ加盟店の当然の権利ではないかな」(08/7/6)

 公取委ガイドラインのうち、今回の値引き制限の問題と関連するのは、「3フランチャイズ契約締結後の本部と加盟者との取引について」「(3)販売価格の制限について」(一番最後の項になりますね)のところですので、ここだけ抜粋しておきます。

「販売価格については、統一的営業・消費者の選択基準の明示の観点から、必要に応じて希望価格の提示は許容される。しかし、加盟者が地域市場の実情に応じて販売価格を設定しなければならない場合や売れ残り商品等について値下げして販売しなければならない場合などもあることから、本部が加盟者に商品を供給している場合、加盟者の販売価格(再販売価格)を拘束することは、原則として一般指定の第12項(再販売価格の拘束)に該当する。また、本部が加盟者に商品を直接供給していない場合であっても、加盟者が供給する商品又は役務の価格を不当に拘束する場合は、一般指定の第13項(拘束条件付取引)に該当することとなり、これについては、地域市場の状況、本部の販売価格への関与の状況等を総合勘案して判断される。」

 ニュースで、セブンイレブン本部側の記者会見での反論主張も見ましたが、どう考えても、値引き制限は、再販売価格維持行為であり、独占禁止法上、違法性の極めて高い行為であることは当然と思います。本部は、値引きによる価格競争により、加盟店の経営が悪くなるので加盟店のためなのだ、みたいな意味のことを言っていましたが、もちろん、加盟店自身の判断で、自分の店の経営を守るために値引きをしないということであれば、問題は全くないのです。そうではなくて、加盟店が経営判断として、本当は値引きをすべきと考えるのに、本部との契約上、値引きできないということが問題なのです。その結果として加盟店の経営が良くなるか悪くなるか、というのは加盟店自身の経営責任上の選択として考えれば良いことです。本部として、加盟店のために経営指導をしてあげることは結構なのですが、加盟店が値引きすれば契約解除を迫るというように強制するのは違法だと考えられます。

 今日の夜9時からのNHKニュースでも取り上げていました。ただ、キャスターのコメントが、値引きせずに廃棄されるのがもったいない、という環境問題的な意味合いでのものになっていたので、不満でした。私ももったいないという点は同じ思いですけども、今回の独占禁止法上の問題は、もったいないか否かとは直接関係はありません。仮にもったいないという問題がなくても、値引き制限は原則として駄目なのです。

2009年2月19日 (木)

大学生によるネット広告調査に基づく指導・注意(東京都・景品表示法)

 このブログのアクセス状況を見てみると、久しぶりに、Googleのロボットが巡回していました。どうでもいいことなんですけど。

 さて、ITpro経由で日経ネットワーキングの記事(2/18付)を見たのですが、

 東京都が、昨年7月と9月、都内大学と連携してインターネット上の広告を調査した結果、290事業者、437件の広告について「不当表示ではないか」との報告を受けた、ということです。東京都は、内39事業者に対して景品表示法違反の恐れがあるとして改善を指導し、その他の全事業者に対し、法令順守について注意を喚起するメールを送った、とされています。この調査活動は、工学院大学、津田塾大学、電気通信大学、東京工業大学、東京大学、日本女子大学の学生48名の調査員による調査とのことですね。

 この調査結果等を踏まえて、東京都は、明日20日(金)午後6時から大学生協渋谷会館で報告会を開く(予約不要)、ということです。ヤフーの法務本部井出一代さんによる「インターネットショッピングサイト等における広告表示の取り組み等について」という講演もあるようです(勝手に宣伝)。

 なお、東京都のサイトで、調査結果等を見ることができます。これを見ると、食品に関するものが圧倒的に多いですね。
 → 「大学生によるインターネット広告表示調査結果」
                 (東京都生活文化スポーツ局)

独占禁止法24条による差止請求訴訟に関するメモ(中途半端)

 先日報道されたところによれば、ヤマト運輸が、旧日本郵政公社(現・郵便事業会社)を被告として、独占禁止法で禁止されている不当廉売などに該当するものとして「ゆうパック」のサービスの差止などを求めていた訴訟の上告審の決定が今月17日にあり、最高裁はヤマト運輸の上告を棄却した、とされています。1,2審とも、ヤマト運輸の主張を認められていなかったものです。

 この訴訟は、独占禁止法24条に規定されている差止請求権に基づく訴訟です。独占禁止法24条というのは、
「第8条第1項第5号又は第19条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」とされているもので、冒頭の「第19条」というのが「不公正な取引方法」の禁止条項で、この中に不当廉売などの行為が入るわけです。

 ところで、公正取引協会の雑誌「公正取引」2月号に、同じく独占禁止法24条に基づく訴訟の控訴審判決が紹介されていました。平成18年の判決で新しくはないのですが、不勉強で、この判決の存在を知らなかったため、ネットで簡単に調べてみたのですが、紹介されたものを探し当てることはできませんでした。「公正取引」の論文(大内義三教授)によれば、この判決は、
 平成18年12月21日広島高裁岡山支部判決
                (審決集53-1059)
です。原審岡山地裁判決は、平成17年12月21日(審決集52-902)で、原告の請求を全て棄却しています。

 事案としては、本件の原告は、自宅に浄化槽を設置している個人、被告は、浄化槽保守点検業者(会社)で、原告の主張では、被告が当該市内の浄化槽の保守点検、消毒業務を独占し、原告が他の業者を選択できなくなっていることが、不公正な取引方法(優越的地位の濫用など)に該当するものとして、過剰な点検等の差止と不法行為に基づく損害賠償を求めているようです(なお、高裁段階で、債務不履行や不当利得など請求を追加している模様)。

 この広島高裁岡山支部の控訴審判決は、どうやら、損害賠償の一部と作為請求を認めたようで、原審判決を一部にせよ覆しているみたいです。ただ、大内論文から見る限り、独禁法違反行為の該当性と独禁法24条の差止請求権は結局のところ、1,2審とも認めなかったのではないかのように思われます。

 かなり中途半端なご紹介になってしまい、我ながら恐縮ですが、なるべく、ちゃんと判決を読んでフォローさせていただくつもりですので、ご容赦。

2009年2月18日 (水)

塩ビ管価格カルテル事件排除措置命令が出ました(公取委)

 本日、公正取引委員会が前回の当ブログ記事(2/17)に書いた塩化ビニール管などの製造販売業者に対する排除措置命令課徴金納付命令が出されました。価格カルテル(不当な取引制限 独占禁止法3条)に該当するとしたものです。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 排除措置命令と課徴金納付命令の対象企業は、積水化学工業(大阪市北区)、三菱樹脂(東京都中央区)の2社で、課徴金については、積水化学に対し79億6532万円、三菱樹脂に対し37億2137万円の納付が命じられています。
 なお、この課徴金の算定にあたっては、本来、売上金額の10%相当額であるところ、両者が調査開始日から過去10年以内に課徴金納付命令を受けているところから、独占禁止法7条の2第6項が適用され、(同規定が施行された平成18年1月4日以降については)売上金額の15%相当額と割り増し計算がなされています。

 この2社の他に、クボタシーアイ(堺市西区)、アロン化成(東京都品川区)、クボタ(大阪市浪速区)、シーアイ化成(東京都中央区)の4社も違反事業者として名前が挙げられています。このうち、クボタシーアイは、自主申告制度(リニエンシー)の適用により、課徴金を免除されています。その他の3社については、たぶん、カルテル実行期間から3年以上を経過しているものとして課徴金の対象とならなかったのではないか、と想像します(独占禁止法7条の2第21項)。
  ※クボタとシーアイ化成の両社は、平成17年4月、共同新設分割に
   より設立したクボタシーアイに本件事業を承継させているもの。

 違反行為と排除措置命令の概要については、上記の公取委サイト公表資料を見てください。要するに、上記の企業が、塩化ビニール管などの製品出荷価格に引き上げなどの合意をすることにより、我が国における塩化ビニル管等の販売分野における競争を実質的に制限していた、というものです。

 なお、今日は、この事件以外に、以下の2件が公表されています。興味のある方は公取委サイトの公表資料をご覧ください。

 株式会社第一興商に対する審判審決
  (通信カラオケ事業者による競争者に対する取引妨害)
 
    ※当該行為の違法性を認める一方で、当該行為が既になくなって
     おり、格別の措置を命じない、としたものです。

 株式会社タカヤマシードに対する課徴金の納付を命ずる審決
  (元詰種子の価格カルテル)

2009年2月17日 (火)

塩ビ管価格カルテル事件(公取委)

 先日来、音楽著作権のJASRACの件(独禁法)やら、当ブログでも書いた阪神優勝グッズの件(下請法)やら、公正取引委員会からの正式の処分が公表される前にマスコミ報道が先にされている事件が出てきていますね。公正取引委員会から各企業に事前通知がなされている関係かと思われます。

 同じく、企業に事前通知された事件の報道がなされています。上下水道に使われる塩化ビニール管販売の価格カルテルの事件で、積水化学工業三菱樹脂の両社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額100億円超の課徴金納付命令と排除措置命令を出す方針とされています。

 他の会社もカルテルに関与したようですが、自主申告などにより処分の対象になっていないようです。

 この事件については、当ブログでも書きましたように、一昨年の7月、関係各社に公正取引委員会が強制調査を行いながら、昨年5月に刑事告発を見送ったものです。強制調査から1年半経ってますね。
 → 「塩ビ管カルテルで強制調査(公取委)」(07/7/10)

 近々、公正取引委員会から正式に命令が出されることと思われます。

【追記】(2/18)
 早速、出たようですので、次の記事に書きました。

 

2009年2月16日 (月)

住宅ローンの取次手数料表示の不当表示に対する排除命令と警告(景表法)

 本日、公正取引委員会は、『トヨタファイナンスの住宅ローン「新安心宣言」の一般消費者からの申込みを同社に取り次ぐ役務に係る表示』について、景品表示法4条1項2号(有利誤認)に違反したとして、トヨタホーム東京株式会社(東京都千代田区)及びトヨタホーム株式会社(名古屋市東区)の2社(以下、「2社」)に対して、排除命令を行っています。

 また、詳しくは省略しますが、同じく有利誤認表示に当たるおそれがあるとして、トヨタホーム名古屋株式会社(名古屋市名東区)に対しても、警告を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 なお、トヨタホームの自社サイトには、この件に関する発表が既に出ていました。それによれば、再発防止策を講じたうえで、各社の自主的な措置として、(1)本件表示がなされた広告物の差し替え、(2)手数料を頂いたお客様に対する取次手数料相当分のお支払い、(3)一般日刊紙、自社ホームページにおける「お詫びとお知らせ」の掲載、を実施してきた、とのこと。
 → トヨタホームのサイト発表資料(PDF)

【違反事実の概要】
 2社は、住宅ローン「新安心宣言」の取次ぎを一般消費者に提供するに当たり、それぞれウェブサイトや広告チラシなどにおいて、住宅ローン取次ぎに係る手数料が無料であるかのような表示をしていたが、実際には、取次ぎに係る手数料が3万円ないし5万円掛かるものであった。

 具体的な記載内容としては、トヨタホーム東京の例では、
 ウェブサイトに、「トヨタホームローン『新安心宣言』」、「融資事務手数料 負担ゼロ!」と記載。
 配布チラシに、「総支払コストを軽減する安心・お得な住宅ローン」、「保証料・手数料も無料!」と記載。
 新聞折り込みチラシに、「資金計画の安心 トヨタホーム『新安心宣言』 保証料無料・融資事務手数料無料。」と記載。
などとなっています。

【排除措置の概要】
 (1) 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
 (2) 今後、同様の表示を行わないこと。

2009年2月15日 (日)

債権の消滅時効期間の統一の方針(法務省)

 本日の日経に、「債権の時効、統一検討 法務省」という記事が出ていました。
 内容的には、法務省が、債権の消滅時効の期間を統一する方向で検討に入った、というもので、2011年の通常国会に民法改正法案を提出することを目指し、抜本改正へ作業を進める、としています。

 記事を読む限りでは(詳細は分かりませんが)、当ブログでも紹介しました「民法(債権法)改正検討委員会」の考え方と基本的には同様のように思います。
 → 当ブログ記事
    「民法(債権法)改正検討委員会ホームページ」(08/10/6)
    「内田貴先生の講演『民法(債権法)改正について』」(08/12/26)

 この民法(債権法)改正検討委員会の資料を見ると、商事時効も含めて、債権の時効消滅期間を原則として3年などの短期に統一するものとしています。
 現行の消滅時効期間は、種類が多くて複雑だし、中にはどの時効期間を適用すればいいのか考え方が分かれるものもあって、現に債権管理実務上の問題が生じることも私自身よく経験していますので、期間を統一するという考え方は支持できます。

 ただ、これまで、10年(商事で5年)という一般債権の時効期間が仮に3年に短縮されると、債権者側の債権管理からみると、滞納して全く支払わないような場合、2年ほど経過した段階で、「時効中断」の方策を考えなければならないということになります。つまり、債務者が債務承認の書面作成に協力をしてくれない場合には、債権者としては、3年経過前に訴訟を提起せざるを得ないケースが多くなる、ということです。債務者が逃げていて所在不明の場合も同様です。このことが債権者側にどの程度の負担を与えるのかは分かりませんが、金融機関やサービサーなど滞納債務者を多く抱える企業に関して言えば、債権管理に少なからぬ影響があるのではないか、と想像できます。

 なお、上記改正検討委員会での消滅時効の議論では、この「時効中断」の制度についても、かなり現行法と違う枠組みが提案されており、上の時効期間の問題を考えるについては、この点も併せて考えないといけないのですが、ここでは省略いたします。

2009年2月13日 (金)

司法試験「予備試験」の実施方針案の意見募集(法務省)

 いわゆる「新」司法試験に関して、平成23年度から「司法試験予備試験」というのが実施されます。

 新司法試験は、本来は法科大学院(ロースクール)を卒業した者が受験することが原則である制度となっているのですが、法科大学院に行くことができない者にも法曹資格取得の道を開くための試験として予定されているのが、この「司法試験予備試験」であり、法科大学院修了程度の能力を判定するものということになります。これに合格すると翌年以降の新司法試験の受験資格ができます。

 この司法試験予備試験の実施方針の案が、本日、法務省から公表されており、意見を募集しています(意見の提出期限は3月6日まで)。
 →「司法試験予備試験の実施方針について(案)」に対する意見募集

 この実施方針案によれば、予備試験は、短答式(5月ころまで)・論文式(7月ころまで)・口述式(10月ころまで)で行われ、短答式は1日、論文式は2日、口述式は1~2日で行うとしています。

 科目は、「法律基本科目」が、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法で、「法律実務基礎科目」が、民事訴訟実務、刑事訴訟実務及び法曹倫理、「一般教養科目」が人文科学、社会科学、自然科学、英語、となっています。

 短答式では、「法律基本科目」と「一般教養科目」、論文式では、3つとも、口述式では、民事と刑事に分けて、法曹倫理も含めた出題となるようです。

阪神タイガース優勝記念グッズで下請法違反?

 これは、本日、各社が報じているもの。

 阪急百貨店と阪神百貨店を経営する株式会社阪急阪神百貨店(大阪市北区 こういう会社名になってたんですねぇ)が、昨年、プロ野球セリーグでトップをぶっちぎり優勝は決定的と見られていた阪神タイガースが、読売巨人軍に逆転優勝されたため、残念ながら無駄になってしまった優勝記念商品について、発注先の下請業者に対して、代金の半額分だけ支払っていた、というもので、これについて、公正取引委員会が調査を行っており、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の不当減額の禁止)違反の疑いがあるとして、近日中に勧告を出すとみられる、とのことです。

 報道によれば、阪急阪神百貨店の持株会社エイチ・ツー・オー・リテイリングは、そもそも優勝しなかった場合は下請業者が回収して破棄する契約だったのを、同社側が半額を負担することとなったものであって、下請業者に対して半額負担を強要したわけではない、とコメントしているようですが、公正取引委員会の指摘を受けて残額も支払ったようですね。

【追記】(2/25)
 本日、公正取引委員会から勧告が出ています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

2009年2月12日 (木)

独占禁止法改正案、自民党調査会にて了承

 日経の報道によれば、本日の自民党の独占禁止法調査会で、独占禁止法の改正案が了承され、月内にも閣議決定し、今国会に提出する方針とのことです。
(【追記】(2/27)→「独占禁止法改正案、明日の閣議に付議(公取委)」)

 今回の改正では、公正取引委員会は審判手続についての見直し改正を行う予定だったはずですが、どうやら、経済界などとの調整がつかないということで、またまた先送りになった模様ですね。今年度中の見直し方針ということのようです。

 となると、課徴金制度に関して、適用対象行為の拡大などが中心となるものと思われます。詳しい内容は不明ですが、前回の改正案(廃案)と同じように不公正な取引方法の一部について課徴金を課すという点は含まれているのでしょうか?(【追記】(2・13)朝日の記事では、課徴金については、前回案同様のように見えますね。)

 なお、廃案となってしまった昨年の改正案についての当ブログ記事を参考のため、リンクしておきます。これを見ていると、1年前の2月14日に自民党調査会が前回改正案を了承してるのですね。
 → 「08年独占禁止法改正(その1)」(08/2/15)
 → 「08年独占禁止法改正(その2 閣議決定と法案公表)」
                     (08/3/11)
 → 「08年独占禁止法改正(その3 不公正な取引方法)」
                      (08/3/15)
 → 「独禁法・景表法の改正されず、の整理」(08/7/2)
  → 「独占禁止法の改正のまた先送り」(08/12/15)

【追記】(2/13)
 その後の産経の記事では、昨年の改正案と比べて、M&A(企業の合併・買収)や株式取得などの届け出基準を大幅に緩和している、と報じられていますね。届出が必要となる基準につき、買収される企業の国内売上高を50億円超に引き上げたとのこと。
 記事によれば、談合やカルテル(不当な取引制限)に対する個人への懲役刑を「3年以下」から「5年以下」に引き上げた、ともされています。

2009年2月 9日 (月)

USEN対キャンシステム事件判決(東京地裁)

 明日(といっても、そろそろ今日ですが)は、少しは独占禁止法と関連する(間接的ですけども)企業間の損害賠償請求訴訟の弁論準備期日で、朝から東京地裁に行く予定です。これに少し関連づけて・・・ですけども。。。

 先日、USEN対キャンシステム事件の判決が、金融商事判例1308号に掲載されたことについて書きました。今回は、もうちょっとだけ、特に独占禁止法関連の点に関して、中身に触れたいと思います。なお、前にも書きましたが、この判決については、双方が控訴しており、高裁判決も注目されます。
 独占禁止法違反行為を根拠とした民事上の不法行為損害賠償請求を双方ともが正面から請求して争った事件というのは、珍しいですし、私としては大変面白い判決です。こんな事件は、是非ともやってみたいものだと思いますね。

      平成20年12月10日東京地裁判決

 この訴訟は、USENからキャンシステムに対する訴訟(本訴)があって、これに対して、キャンシステムからUSENに対して、対抗的な訴訟(反訴)が提起されたものです。

 本訴であるUSENからキャンシステムに対する請求は、キャンシステムが有線ラジオに関する法律、および、不当廉売など独占禁止法に違反して営業していることが不法行為として損害賠償(約143億円)の支払を求めていたものですが、判決は、これを不法行為として認めず、本訴請求は全部棄却しました。
 不当廉売との主張に関しては、「被告(キャンシステム)の販売価格が原価割れであると認めるに足りない」うえに、キャンシステムの低価格販売が、不公正な取引方法一般指定6項にいう「他の事業者(原告)の事業活動を困難にさせるおそれがある」とはいい難い、として、不法行為を構成しない、として排斥しています。

 一方、キャンシステムからUSENに対する反訴請求は、USENキャンシステムの従業員を大量に引き抜いたうえ、引き続き、独禁法違反のキャンペーンを実施して、キャンシステムの顧客を違法に奪取したため、キャンシステムが損害をこうむったとして、約114億円の損害賠償の支払を求めたものです。
 この反訴請求については、判決は、約20億円についてUSENに支払を命じました

 この反訴請求は、従業員引き抜きのほか、独占禁止法不公正な取引方法一般指定「差別対価」および「不当な顧客誘引」を手段として、私的独占行為(独禁法2条5項)に該当する行為を行って不当な顧客奪取を行ったもので不法行為に該当するとしたものです。

 これについて、判決は、「差別対価」(不公正な取引方法一般指定3項)に該当する違法な手段により、私的独占行為(独禁法2条5項)を行ったものとしています。
 損害額については、被告(反訴原告)キャンシステムの請求額をそのまま認めたわけではありませんが、一方で、原告(反訴被告)USENからの損益相殺、過失相殺の主張も採用できないとしています。

 なお、ここで「差別対価」として構成しているのは、もともとキャンシステムの顧客であった者に対してのみ、他の顧客と差別して、有利な取引条件を提示して、USENとの契約に移行するよう勧誘して、顧客を奪取した、というものです。さらに、これが、「不公正な取引方法」というにとどまらず、これを手段として、「私的独占」に該当する行為であるとしたものです。

 この構成は、平成16年の公正取引委員会の審決の判断を踏襲しているものですね。
 → 公取委の平成16年10月13日勧告審決

2009年2月 7日 (土)

アフィリエイト、ドロップシッピングの危険性(東京都)

 ちょうど2年前になりますが、当ブログが始まった頃の記事「アフィリエイトとドロップシッピング」(07/2/12)で、問題を指摘したことがあります。

 しかし、その後も、ますますアフィリエイトを目的とする専門(?)ブログが目立ち、そこへ誘引するために、迷惑なトラックバックを大量に送ったり、中身のない無意味な記事をアップしたりするものが大変多くなってきたように思います。

 さて、今月5日に東京都は、「緊急消費者被害情報」として、「ネットショップ運営やネット広告で初心者でも簡単に高収入が得られる? ドロップシッピングやアフィリエイトによる儲け話にご注意!!」という告知をしています。
 → 東京都サイト報道発表資料

 内職・副業相談の中で、自宅で副収入が得られるドロップシッピングアフィリエイトの相談が多くなっており、「初心者でも高収入が得られるとの宣伝文句に惑わされ、高い初期費用を投入したが利益がない」、「毎月高収入が得られると思ったが、僅かな収入にしかならない」といった相談が寄せられているとのことで、簡単に高収入が得られると謳って、高額なパッケージを斡旋する業者には注意しましょう、と呼びかけています。

 そして、消費者へのアドバイスとして、
「ドロップシッピングやアフィリエイトは、素人が短時間の作業で高収入が得られるほど簡単なものではなく、高額な初期費用を取り戻すのは至難の業です。ドロップシッピングの場合は、売主として取り扱う商品の責任を負わなければなりません。」としています。

 この東京都の啓発情報は、利益があがるはずだったのに話が違ったという側面からのもので、アフィリエイトなどを始める人の被害者的立場に注意を促したものです。
 しかし、逆に、加害者になるという側面も忘れては困ります。冒頭に挙げた以前のブログ記事は、その点について書いたものです。

 金儲けを目的とした安易な広告、宣伝への加担は、それなりの責任が生ずる可能性があります。ちょっと事案は異なりますが、強制捜査となった円天のL&G事件でもいわれるように、その広告塔となった有名人や広告媒体の責任も十分考えられます。いい加減な商品や不当な表示による販売で消費者に被害が出た場合には、単にアフィリエイトで顧客を誘引した人であっても、事情によっては、顧客に対する法的責任、つまり損害賠償責任なども生ずるリスクがあるのだということを良く考えて参加してください。物を売ったり、宣伝する、ということは、その物について責任を持つのだ、という当たり前のことを認識してほしいと思います。

 なお、このことに関連して、アフィリエイト・ブログで、このところ、私が大変問題と考えているものに、自動文章作成ソフトを利用したブログがあります。これについての法的問題点については、近く別記事でまとめたいと思っています。

2009年2月 6日 (金)

コンテンツ取引に係る下請法講習会(公取委)

 先日、当ブログの「アニメーション産業に関する実態調査報告書(公取委)」(1/23)で、公正取引委員会の報告書をご紹介しました。
 これとも関連するのですが、公取委が、下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反行為の未然防止の観点から、「コンテンツ取引に係る下請法講習会」を東京、名古屋、大阪の3会場で開催することを発表しています。

 コンテンツ制作に関する取引については、平成15年の下請法改正により、「情報成果物作成委託等」が下請法の規制対象として追加されており、本年度も、コンテンツ制作を行う親事業者(放送番組等の制作を委託する放送局、CMの制作を委託する広告代理店、ゲームの制作を委託するゲームメーカー等)を対象にして講習会を開催するというものです。

 開催は、
 東 京 3月 9日(月) フィオーレ東京 ローズルーム
 名古屋 3月17日(火) 名古屋国際会議場 会議室141,142
 大 阪 3月24日(火) 大阪YMCA国際文化センター 大ホール

で、講演内容は、下請法の解説として、コンテンツ制作に係る取引において典型的に生じる下請法上の問題に関するケーススタディー等ということです。
 → 申込方法など、詳しくは 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 この講習会に関して、公取委事務総長の定例会見記事も出ていました。
 記者の質問は、上記のアニメ産業の実態調査で明らかになった悲惨といってもいいような下請業者の実態を踏まえて厳しく注意するというような内容も含まれているか、というもので、

 これに対する事務総長の回答は、
「・・特に,厳しい指摘を行うというよりは,まず,法律の概要なり,義務・禁止規定の内容を,従前,下請法の適用がされていなかった分野でもあり,どういうことが違反なのかということが十分理解されていない部分もあると思いますので,そういうことを十分御理解していただき,それから,その産業に携わっている方からすれば,いろいろと実務上行われがちであるというような実態もあるでしょうし,どういうことが違反になるのか,ならないのかという御尋ねもあると思いますので,そういう面で,双方向の意見交換を行うという形で,活発な講習会となることを期待しているところです。」というものです。

???「債務整理大阪弁護士会」???

 大阪弁護士会のWEBサイトのトップに、こんなのが告知されてました。
        (以下、同サイトより若干編集のうえ、抜粋)

携帯サイト「債務整理大阪弁護士会」は当会と一切関係ございません。

携帯電話用インターネットサイト「債務整理大阪弁護士会」は、大阪弁護士会とは一切関係ございません。リンク先サイトについても、同様です。これらのサイトについては、第三者が大阪弁護士会に無断で作成したものですので、ご注意願います。
 当会が運営しているサイトは、以下のとおりです。
 http://www.osakaben.or.jp/web/index/index.php
                 (大阪弁護士会ホームページ)
 http://www.osakaben.or.jp/p/soudan/
       (大阪弁護士会総合法律相談センターの携帯サイト)

(以上、抜粋)

 ご注意ください。

2009年2月 5日 (木)

貨物運送下請代金の不当減額に対する勧告(下請法)

 昨年暮れに「独禁法違反行為に対し損害賠償認容判決(キャンシステム対USEN)」(08/12/10)の記事に書きましたUSENキャンシステムの損害賠償請求事件訴訟の判決が、金融・商事判例1308号(本年2月1日号)に掲載されていました。双方が損害賠償を請求していた事件で、キャンシステム側の請求が認められて、USENに約20億5000万円の支払が命じられた判決です(双方控訴済)。
 独占禁止法上の「差別対価」および「私的独占」を認定して不法行為責任を認めた点で、大変興味深い判決ですので、機会があれば、もう少しご紹介したいと思っています。

 さて本題ですが、その判決とは全く関係なく、下請法違反事件の公取委勧告です。また貨物自動車運送業の下請に関する事案となっていますね。

 本日、公正取引委員会は、フットワークエクスプレス株式会社(大阪府茨木市)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

〈違反事実の概要〉
 フットワークエクスプレスは、業として行う貨物自動車運送を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対し、「手数料」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、この要請に応じた下請事業者に対し、下請代金の額から一定率を乗じて得た額を差し引くことにより、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金を減じていた。

〈勧告の概要〉
ア 「手数料」と称して、下請代金から減じていた額(総額5億1810
 万7572円)を下請事業者(670名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請
 事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じない旨を取
 締役会の決議により確認すること。
ウ 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減
 じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うな
 ど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに,その内容等を
 自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

2009年2月 3日 (火)

口臭、体臭等の消臭効果についての不当表示(景表法)

 今日3つ目の記事になってしまったので、シンプルに。。。

 本日、公正取引委員会は、「シャンピニオンエキス」を使用して口臭、体臭、便臭を消す効果を標ぼうする商品の製造販売業者7社に対し、景品表示法4条2項(不実証広告)により、同条1項1号(優良誤認)に該当するとして、排除命令を行っています。
 「シャンピニオンエキス」とは、マッシュルームから抽出した成分を粉末等にしたもの、ということで、本件対象商品は、錠剤又はカプセル状の食品で、水と共に1日に3粒から6粒程度を摂取することによって、口臭等を消す効果を標ぼうする商品、ということです。

 7社は、株式会社健康の杜(福岡市中央区)、株式会社ベンチャーバンク(東京都渋谷区)、グリーンハウス株式会社(福岡市中央区)、株式会社ディーエイチシー(東京都港区)、株式会社協和(東京都福生市)、株式会社デイ・シー・エス(東京都新宿区)、原澤製薬工業株式会社(東京都港区)。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

〈違反行為の概要〉
 7社は、商品を直接又は取引先販売業者を通じて一般消費者に販売するに当たり、商品パッケージ、通信販売用カタログ、新聞広告、新聞折り込みチラシ及びインターネット上のウェブサイトにおいて、あたかも、当該商品を摂取することにより、口臭、体臭及び便臭を消すかのように示す表示を行っているが、公正取引委員会が当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、7社は、期限内に資料を提出したが、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。

〈排除措置の内容〉
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である
 と示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底させること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

司法書士裁判外代理権の範囲についての判決

 一つ前の記事に、NBL898号の独禁法関連の論説記事を紹介しましたが、もう一つ続けます。本当は、同誌から、さらにもうひとつ「デジタル・ネット時代における著作権のあり方(上)」(中山信弘・三山裕三)に触れたかったのですが、まだ続きがありそうですし、次の機会にしたいと思います。

 さて、同誌の「司法書士の裁判外代理権の範囲-神戸地判20・11・10の意義について」という若旅一夫弁護士の論説記事です。
 司法書士が裁判外代理権を行えるのは、司法書士法上、「紛争の目的の価額」が140万円を超えない範囲とされているのですが、多重債務者の債務整理事件については、この「目的の価額」をどうみるか、という点で、「債権額説」「受益説」との争いがあります。

 細かい点は省略しますが、上記神戸地裁判決は、事案的にはやや特殊な事件ではありますが、「受益説」を排して「債権額説」を明確に支持して、これを超える代理行為は、弁護士法違反(非弁行為)にあたるとしたものです。現在は、貸金業者に対する過払い請求事件に注目が集まっていますが、この判決の影響は少なくないところです。

 なお、1月に某地裁で、(事案は異なりますが)司法書士による代理行為を無権代理とした判決が出た、という情報が、たまたま今日流れてきましたので、付記しておきます。

【追記】(2/5)
 上の「某地裁判決」は、さいたま地裁判決なのですが、今日、判決文を目にすることができました。司法書士を代理人とする和解契約の効力が争点となっているのですが、「紛争の目的の価額」の解釈については、「・・本件和解契約時に有していた過払金返還請求権の額と,原告が本件和解契約4条により免除を得た原告の被告に対する借入金債務の額とを合算したものによると解するのが相当である。」としていますね。貸金業者側からの返済請求金額(免除を得た額)と過払金請求権金額の合算金額が基準となるという判断です。

 一方、神戸地裁判決の事案(この裁判自体は、司法書士事務所内部の労働関係訴訟事件です。)は、その事件の前提となった債務整理代理案件が、債権者が元本約257万円を主張し、債務者代理人の司法書士が元本約216万円を主張し、結局残元本を約219万円として分割支払の和解をしたというもののようで、こちらは過払返還のケースではありません。

【追記の追記】(3/26)
 コメントでの御指摘を受け、若干、さいたま地裁判決に関する本文および追記を訂正いたしました(元はさいたま地裁判決が「債権額説」によると表現していたもの)。
 御指摘ありがとうございました。

公取委審判制度改革についての意見書(競争法研究協会)

 法律雑誌NBLの最新号(898号)を読んでいたら、松下満雄東大名誉教授の「公正取引委員会審判制度改革の方向」という論説が掲載されていました。

 学者、弁護士、企業法務担当者らをメンバーとする「競争法研究協会」の研究会の報告書「独占禁止法違反事件処理手続意見書」(平成20年10月発表)の紹介になっています。
 → 意見書

 議論が分かれている公正取引委員会の審判制度の在り方について、この意見書は基本的に事前聴聞(審判)制の導入・維持を提言しています。また、以前の勧告審決や同意審決同様の簡略な手続として「略式同意命令」の導入を提唱しています。
 さらに、取り調べ時の弁護士立会権(積極)や第三者への資料開示(消極)などの論点についても触れられています。
 詳しくは、意見書および松下名誉教授の論説をお読みいただきたいですが、松下名誉教授のこの論説は、審判制度の改正問題についての各種意見のコンパクトな整理やデータとしても重要かと思います。

2009年2月 2日 (月)

靴の製造・修理の下請に関する勧告(下請法)

 今日は、午前中、東京地裁で著作権関連の裁判があったので、とんぼ返りしてきたのですが、朝は、新幹線の信号故障、帰りは東海道線の人身事故で、ダイヤが乱れていました。幸い私には大きな影響はありませんでしたが、夕方の大阪での裁判もあり、ヒヤヒヤしました。

 さて、当ブログでも書きましたが、先日(1/16)、中小企業庁から公正取引委員会に対して措置請求のあった、靴の製造・修理委託の下請法違反事案についての公正取引委員会の勧告が出ました。

 本日、公正取引委員会は、マドラス株式会社(名古屋市瑞穂区)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。
 → 公取委サイト報道公表資料(PDF)

〈違反事実の概要〉
 マドラスは、業として行う販売の目的物たる革製履物の製造及び業として請け負う革製履物の修理を下請事業者に委託しているところ、物流センターの開設費用及び情報システムの維持管理費用を確保するため、下請事業者に対し、「物流及び情報システム使用料」と称して、下請代金の額に一定率を乗じて得た額を下請事業者に支払うべき下請代金の額から差し引くことにより、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。

〈勧告の概要〉
ア 平成18年11月から同19年10月までの間に,「物流及び情報シ
 ステム使用料」と称して、下請代金の額から減じていた額(総額276
 8万1545円)を下請事業者(68名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請
 事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じない旨を取
 締役会の決議により確認すること。
ウ 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減
 じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うな
 ど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を
 自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

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