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2009年1月の記事

2009年1月30日 (金)

消費者庁の設置と景品表示法改正

 消費者庁の設置については、現在の国会情勢の中で、「消費者庁設置法」の審議入りのメドもたたないままになっているようですが、昨日29日の消費者行政推進会議で、麻生首相が、消費者庁関連法案について今年度内の成立を目指す考えを示した、と報じられています。

 ところで、この消費者庁ができると、いくつかの法律が、消費者庁に移管される予定になっているのですが、そうなると、それぞれの法律を改正する必要が出てきます。例えば、これまで、経済産業省の主管であった割賦販売法は、経済産業省消費者庁の共管になりますので、割賦販売法の中で政令に委任しているような規定にある「経済産業省令」という言葉を「経済産業省令・内閣府令」(消費者庁は内閣府に属します。)というように法律改正をしなければならないことになります。このような、いわば形式的、手続的な点での改正作業が最低限、必要になってくるわけです。

 さて、今回の消費者庁移管に関連する上記のような法律改正は、割賦販売法の他、「消費者基本法」「特定商取引法」「消費者契約法」「貸金業法」「旅行業法」「個人情報保護法」などなど多くの法律にわたりますが、それぞれの法律の「改正法案」が個別に出されているものではありません。
 今回、「景品表示法」も同様に公正取引委員会から消費者庁に移管される予定となっていて、私も景品表示法の改正法案を国会サイトに掲載されている議案の中から探そうとして見つからず、当初うっかりと「あれ、まだ法案提出されてないのかな。」と思ってしまいました。
 しかし、今回のような一括改正の場合、各法律の改正部分を列挙した法律を制定すると言う形で改正することが多いのです。今回も「消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案」というのが、国会提出されていて、この中で各法律の文言の読替えなどを定めているのです。ちなみに、景品表示法の改正に関しては、この法律案の12条に規定されていたのでした。

 なお、消費者庁への移管による景品表示法の改正については、上で書いたような単なる形式的、手続的な改正にとどまらない問題を含んでおり、昨日の日弁連消費者問題対策委員会独占禁止法部会でも議論したところですが、これについては、後日、書きたいと思います。

2009年1月29日 (木)

マリンホースと高圧ケーブルの国際カルテル

 今日は、朝から東京に行って、日弁連消費者問題対策委員会独占禁止法部会に出席し、独禁法や景表法の改正問題などについて検討してきました。いろいろな情報の交換ができたり、他の弁護士の方と議論できたりするのは、大変貴重な場です。

 この独占禁止法部会でも少し話題になりましたが、ブリジストンなどのマリンホース・カルテルについて、先日EU欧州委員会が、日欧の5社に合計1億3151万ユーロの制裁金支払い命令を出しています。ブリヂストンが5850万ユーロ(約69億円)の制裁金が課され、一方、同じカルテルに参加していても、欧州委員会の調査に協力した横浜ゴムには制裁金がない、という対照的な結果となっています。
 この事件に関連する昨年の日本の公正取引委員会の排除命令、課徴金納付命令についての当ブログ記事は、
 → 「マリンホース事件についての排除命令(公取)」(08/2/22)

 ところで、今日は時事通信が、この事件とは別に、日本企業が絡んだ国際カルテル事件での公正取引委員会の立入検査が報じています。
 これは、電力会社などに高圧ケーブルを販売するにあたって、欧州企業と日本企業が受注調整をおこなった疑いによるもので、関係した日本企業は、ジェイ・パワーシステムズ(日立電線と住友電気工業の出資)、ビスキャス(古河電気工業子会社とフジクラの出資)、エクシム(昭和電線ホールディングス三菱電線工業の出資)の3社で、今日の立入検査では、この3社の本社や支店など計約30カ所が検査対象となったとのことです。
 これも、日本の公取委独自ではなく、欧米の独禁当局との連携でしょうか。

2009年1月28日 (水)

日本デジタル家電事件控訴審判決の続き

 昨日の日本デジタル家電のロクラクⅡに関する知財高裁の逆転判決が、今日、最高裁サイトの知財裁判例集に掲載されました。

 判決は、控訴人日本デジタル家電が複製行為の主体か否かという争点について、
「・・・本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているものと認めることはできない,すなわち,控訴人の本件サービスは,利用者の自由な意思に基づいて行われる私的使用のための複製を容易にするための環境,条件等の提供行為にすぎないものと判断し,したがって,その余の各争点について判断するまでもなく,被控訴人らの請求は全部理由がない・・・」として、被控訴人である放送局の請求を全て棄却しています。

 判決は、
  ①本件サービスの目的
  ②機器の設置・管理
  ③親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信の管理
  ④複製可能なテレビ放送及びテレビ番組の範囲
  ⑤複製のための環境整備
  ⑥控訴人が得ている経済的利益

を総合すれば控訴人が複製行為を行っていることが明らかであるとの放送局側の主張について検討して、いずれも、日本デジタル家電が複製を行っているものと認めるべき事情ということはできない、としました。

 そして、さらに、これに加えて、「・・・本件サービスにおける録画行為の実施主体は,利用者自身が親機ロクラクを自己管理する場合と何ら異ならず,控訴人が提供する本件サービスは,利用者の自由な意思に基づいて行われる適法な複製行為の実施を容易ならしめるための環境,条件等を提供しているにすぎないものというべき」とし、
「・・・デジタル技術の飛躍的進展とインターネット環境の急速な整備により従来技術の上記のような制約を克服して,海外にいながら我が国で放送されるテレビ番組の視聴が時間的にも経済的にも著しく容易になったものである。そして,技術の飛躍的進展に伴い,新たな商品開発やサービスが創生され,より利便性の高い製品が需用者の間に普及し,家電製品としての地位を確立していく過程を辿ることは技術革新の歴史を振り返れば明らかなところである。本件サービスにおいても,利用者における適法な私的利用のための環境条件等の提供を図るものであるから,かかるサービスを利用する者が増大・累積したからといって本来適法な行為が違法に転化する余地はなく,もとよりこれにより被控訴人らの正当な利益が侵害されるものでもない。
 したがって,本件サービスにおいて,著作権法上の規律の観点から,利用者による本件複製をもって,これを控訴人による複製と同視することはできず,その他,控訴人が本件複製を行っているものと認めるに足りる事実の立証はない。」

として、日本デジタル家電による複製行為を否定しました。

 また、いわゆる「カラオケ法理」の適用に関して、
クラブキャッツアイ事件最高裁判決は,スナック及びカフェを経営する者らが,当該スナック等において,カラオケ装置と音楽著作物たる楽曲が録音されたカラオケテープとを備え置き,ホステス等の従業員において,カラオケ装置を操作し,客に対して曲目の索引リストとマイクを渡して歌唱を勧め,客の選択した曲目のカラオケテープの再生による演奏を伴奏として他の客の面前で歌唱させ,また,しばしば,ホステス等にも,客とともに又は単独で歌唱させ,もって,店の雰囲気作りをし,客の来集を図って利益を上げることを意図していたとの事実関係を前提に,演奏(歌唱)の形態による音楽著作物の利用主体を当該スナック等を経営する者らと認めたものであり,本件サービスについてこれまで認定説示してきたところに照らすならば,上記判例は本件と事案を異にすることは明らかである。」
として、本件に関して、「カラオケ法理」の適用がないことを明らかにしています。

司法試験受験中に飴を食べてもよいか(法務省)

 昨日の日本デジタル家電事件の判決の記事には、アップ直後からたくさん訪問いただいているようで驚いています。
 地裁判決の記事の時には、そんなに関心を引いた記憶はないのですが、やはり、知財高裁で放送局側敗訴という逆転判決が出たことが大きいのでしょうか?

 さて、法務省のサイトには、ここ最近、司法試験関係の公表資料が続いていますが、今日も、次のような資料がでておりました。

・平成21年新司法試験に関するQ&A
・平成21年度旧司法試験第二次試験実施打合せ考査委員会議 議事要旨
・平成21年新司法試験実施打合せ考査委員会議 議事要旨
・司法試験法第10条に規定する受験禁止期間に関する処分基準案に対する
 意見募集について
  
→ 法務省サイト「新着・更新情報一覧」

 この中で、一番上の新司法試験に関するQ&Aでは、試験に関する質問と回答が掲載されているわけですが、これが、かなり細かい質問まで載っています。
 特に、【その他の受験上の注意】の項には、
  Q45 試験時間中に飲食することはできますか?
  Q46 休み時間に試験室内で飲食することはできますか?
  Q47 試験時間中にトイレに行くことはできますか?
  Q48 ペットボトル以外にゼリー飲料や缶入り飲料を持ち込んで
     飲むことはできますか?
  Q49 飴,ガム,チョコレートやスナックなどを食べることはで
     きますか?
  Q50 座布団を使用することはできますか?
  Q51 膝掛けの使用はできますか?

などといった質問が並んでいる。
 なお、Q45については、「試験中に飲食することはできません。ただし,水分補給のため,ふた付きのペットボトルに入れた飲料を持ち込んで飲むことは認めています。(略)」だそうです。私が受験したときには、こんなこと考えなかったなぁ。もっとも、その頃は、まだペットボトル飲料が氾濫してなかったと思いますけど。
 また、Q49については、「飴,ガム,チョコレートやスナックなどを試験時間中に食べることはできません。」です。当たり前だ。

 くだらんことまで書かなくてもいいとは思うのですが、きっと、こんな質問が実際によくあるから、法務省も載せているのでしょうねぇ。

2009年1月27日 (火)

日本デジタル家電「ロクラクⅡ」事件逆転判決(知財高裁)

 ありゃ、日本デジタル家電の「ロクラクⅡ」の著作権法違反に関する民事訴訟事件の控訴審判決で、知財高裁が逆転判決をしたようですね。原審東京地裁は、原告の放送局側の請求(差し止めと損害賠償)を一部認めていたものです。今回の判決は、日本デジタル家電側の主張を認めて、放送局の請求棄却となったようです。

 内容は詳しくわかりませんが、原審東京地裁判決についての当ブログ記事は、
 → 「日本デジタル家電のテレビ録画視聴サービスの判決(東京地裁)」
                      (08/6/1)

 ひとまず、速報です。

【追記】(1/27)
 共同の配信ニュースによれば、判決は「利用者の自由意思に基づく複製を容易にする環境や条件を提供したにすぎず、運営会社が複製しているとは認められない。放送を個人で視聴するのは適法な私的利用で、テレビ局側の利益を侵害しない」との判断を示した、ということですね。

 現在(27日9時半)までに、多くの新聞社のサイトには判決の記事が出ているようですが、テレビのニュースは見当たらないですねぇ。

【追記の追記】(3/9)
 3月9日の日経朝刊にこの判決結果を中心に、一連のテレビ番組ネット配信の問題を取り上げていますね。理論的に突っ込んだものではありませんが、一般読者向けとしては、よくまとまっていてわかりやすい記事になっていると思いました。
 記事中の高部判事の雑誌論文というのは、NBLの(2007年)6月15日号(859号)と7月1日号(860号)に掲載された「知的財産権訴訟 今後の課題」のことだと思われます。知的財産関係訴訟の現状や課題が整理されているものでしたので、当時、弁理士さんたちの勉強会の講師役をやっていて、この高部論文を紹介した記憶があります。

消費者問題関連行事ご案内(大阪弁護士会など)

 今週は、一般の方にも関係のある大阪弁護士会消費者保護委員会関係の行事が多いようで、このブログでも宣伝しておきます。どれもお手伝いできない御詫びかたがた・・・・

1.多重債務者救済のための全国一斉無料法律相談会
 これは、多重債務で困っている方たちのために、全国的に行われているもので、大阪地区では、今週月曜から今週金曜(1月26日~30日)です。事前に電話で予約をして、法テラス(日本司法支援センター)と契約している弁護士の事務所で相談をする形になっています。
 大阪地区では、日弁連・大阪弁護士会・法テラス大阪の共催行事となっています。
 詳しくは → こちらへ(大阪弁護士会サイト・イベント情報)
 なお、大阪以外の方は、日弁連サイトの案内をご覧ください(各地の法テラス、弁護士会でもわかると思います。)
 
2.投資被害110番
  (商品先物取引を中心に、広く投資被害一般について)
 こちらは、海外先物取引、海外先物オプション取引、ロコ・ロンドン貴金属取引、貴金属スポット取引、CFD取引など、聞き慣れないものも含めて、いろいろな投資被害に関する相談が多いことから、大阪弁護士会消費者保護委員会委員の弁護士を中心として、広く投資商品一般について、一般投資家にどのような被害が生じているのかを把握するため、投資被害110番を実施するものです。
 実施日時は、1月30日(金)午前10時~午後4時

 詳しくは → こちらへ(大阪弁護士会サイト・イベント情報)

3.シンポジウム
 「新しい消費者行政の創造にむけて
   ~地方消費者行政の充実・活性化を実現するために何が必要か~
 これは、今週土曜日(1/31)のシンポジウムです。会場は、神戸クリスタルタワー3階クリスタルホールで、2時~4時半の予定。

 「地方消費者行政の充実をどう図るか、そのために今後どういう対応が必要か」について情報提供、意見交換を行い、内閣官房消費者行政一元化準備室及び自治体の消費者行政担当者を招き、今後の課題を明らかにしていく、とのこと。
 詳しくは → こちらへ(大阪弁護士会サイト・イベント情報)

2009年1月25日 (日)

2月2日は「情報セキュリティの日」だそうな。

 先週末の総務省の発表で知ったのですが、2月2日は「情報セキュリティの日」だそうです。

 これは、情報セキュリティに関する国民の意識の醸成を促進することを目的として、情報セキュリティ政策会議(議長:内閣官房長官)が定めたとのことで、この日を中心に、情報セキュリティ対策の普及・促進を目的として「情報セキュリティの日」関連行事を開催することになっているようで、以下のリンク先にセミナー等を含めた各種行事の案内が出ています。
 大阪でのセミナーもありましたが、残念ながら日程があいませんでした。

 → 総務省サイト「情報セキュリティの日」関連行事の開催

 → 内閣官房情報セキュリティセンターのサイト

 これらの行事の中に、「ボット駆除活動キャンペーン」というのがありました。ボットというのは、ウイルスの一種ですが、外部からパソコンを乗っ取り、遠隔操作により、ホームページの改ざんや迷惑メールの送信など悪質な行為を行うプログラムで、感染したことに気づかないまま、自分のパソコンが悪い奴らに利用される危険性があるものです。なお、「ボット」はロボットからの造語ということです。
 → ボット駆除活動キャンペーンページ

 で、このキャンページのページで、ボットの駆除ソフトをダウンロードできます。私もやってみましたが(ウイルス駆除ソフトを入れていないパソコンが、1台あるもので・・・いけませんね。)、感染はしてませんでした。
 → ダウンロード・ページ 

2009年1月23日 (金)

アニメーション産業に関する実態調査報告書(公取委)

 今日は、詐害行為取消権に関する興味ある控訴審判決(大阪高裁)の言い渡しがありました。詐害行為取消権を認めた原審判決を維持したものですが、私が勝手に公表することもできませんので、また、公刊されるなどしたときにはさらっとご紹介することといたします。

 さて、本日、公正取引委員会から、「アニメーション産業に関する実態調査報告書」が公表されています。

 アニメ作品の企画、制作は、転々と再委託が行われる多層構造にあり、小規模な事業者が多く、取引上の問題があっても顕在化しにくいと考えられることから、独占禁止法(優越的地位の濫用等)及び下請法の観点から取引実態、取引慣行等についてアンケートやヒアリングによる実態調査を実施した結果をまとめて、公取委が提言を行った報告書です。
 → アニメーション産業に関する実態調査報告書(概要)(PDF)

 なお、報告書本文(PDF)についても、公取委報道発表資料ページから見ることができます。リンクの「報告書本体(上)」というのが本文で、「報告書本体(下)」は関係法令の抜粋資料です。

 調査報告書は、まず、アニメ産業の概要として、制作会社の多くが小規模事業者であり、元請制作会社は、アニメ作品の制作を下請制作会社に再委託している実態を明らかにしています。

 そして、取引上の問題点と課題として、4割超の制作会社が発注者から十分に協議することなく低い制作費を押し付けられた経験がある、取引条件について十分な協議を行ったかどうかについての発注者と受託制作会社の認識の差は大きい、などといったものが紹介されています。
 また、著作権が制作会社に帰属しないことがほとんどである点など著作権に関する制作会社の不満が目立った、とされています。

 今回の調査結果を踏まえて、公取委は、関係業界に対して、独占禁止法・下請法の問題がないか点検することや、発注時における取引条件の十分な協議や書面交付を徹底することを求めるとともに、引き続きその取引実態を注視して、違反する疑いのある具体的な事実に接した場合には調査を行い、法令に違反する事実が認められた場合には厳正に対処する、としています。

 参考のため、目次を載せておきます。

〈報告書目次〉
第1 調査の趣旨,方法等
 1 調査の趣旨     2 調査方法等
第2 市場の概要
 1 アニメーションとは  2 アニメ作品の一次利用と二次利用
 3 アニメ産業の市場規模  4 アニメ作品の制作工程
 5 アニメ産業の関係者   6 アニメ作品を巡る取引の流れ
 7 アニメ産業の現状
第3 アニメ制作に係る取引実態 
 1 アンケート調査の回答企業と取引の概要
 (1) 事業規模・事業概要  (2) 取引の概要 (3) 元請受注
 (4) 制作会社からの再受託
 2 発注の在り方を巡る状況
 (1) 書面の交付状況  (2) 制作費の水準  (3) 取引条件交渉の状況
 3 発注後納品までの段階における状況
 (1) 発注取消し   (2) 発注内容の変更  (3) やり直し  (4) 返品
 4 納品後の支払を巡る状況
 (1) 支払状況  (2) 代金減額
 5 著作権の帰属・二次利用収益配分等を巡る実態
 (1) 著作権の帰属   (2) 二次利用収益の配分の状況
 (3) 二次利用の許諾窓口に関する実態
 6 製作委員会の運営を巡る問題
 (1) 製作委員会の概要   (2) 製作委員会への参加状況
 (3) 製作委員会の運営方法と満足度
第4 独占禁止法及び下請法上の評価 
 1 発注者の受託制作会社に対する取引上の地位
 2 発注の在り方
 (1) 取引条件についての協議  (2) 発注書面等の交付
 3 発注後の取引の在り方
 (1) 発注取消し,発注内容の変更,やり直し  (2) 代金減額
 (3) 代金支払までの期間
 4 著作権の帰属と二次利用の在り方を巡る問題
 (1) 著作権の帰属   (2) 二次利用の在り方
第5 公正取引委員会の今後の対応

2009年1月22日 (木)

郵政民営化により、ややこしい。。。

 今日、法務省が旧司法試験(2次)の受験案内を公表してました。それにしても、関係者の間だけならともかく、公式な場でも「旧」司法試験という用語はいかがなものかと思っているのですが。切り替わるとはいえ、現在も正式に存在している試験なのですから。

 さて、それとは全く関係なく、ある会議で出た話題です。

 郵政民営化に伴って、郵便貯金や簡易保険が民営化されたということになっていますが、従来からの契約分が、単純に、民営化後の「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」に全て移った(承継された)というわけではないそうです。

 郵便貯金については、ゆうちょ銀行のサイトによれば、
「通常郵便貯金、通常貯蓄貯金、郵便振替の預り金、国債、投資信託、確定拠出年金の金融商品については、ゆうちょ銀行にご契約が引き継がれ、ゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口でご利用いただけます。ゆうちょ銀行の貯金につきましては、政府による支払保証はありませんが、預金保険制度により元本1,000万円までとその利子は保護されます。
 定期性の郵便貯金については、原則として郵貯・簡保管理機構に引き継がれ、満期まで政府による支払保証が継続します。払戻し・手続等は、郵貯・簡保管理機構が委託を受けたゆうちょ銀行及び同行から委託を受けた郵便局の貯金窓口で承っております。」
となっています。
 → ゆうちょ銀行サイトの説明

 つまり、前半記載の貯金等は「株式会社ゆうちょ銀行」が引き継いでいますが、後半記載の定期性の貯金については、従来契約分は、「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」が引き継いでいます。
 簡保(簡易生命保険)についても、「株式会社かんぽ生命保険」「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」との仕切りの問題が同様に出てきますが、ややこしくなりそうなので省略します。

 もっとも、通常の場合は、業務委託を受けているのは郵便局なので、利用者には特に問題のないことが多いと思います。
 ただ、それぞれ支払義務者が異なることになりますので、我々弁護士の業務の観点からは、郵便貯金や簡易生命保険の債権差押(仮差押)の場合には、よく検討してから申し立てないと、第三債務者が別法人ということになってしまう場合があり、注意が必要になりますね。

 なお、郵政民営化に伴い、「日本郵政グループ」として、5社(日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険、郵便局株式会社)が設立され、これらとは別に、上記の独立行政法人がある、ということになっています。ややこしいですね。各社のサイトにいろいろ説明ページがあるのですが、なかなか知りたいことにたどりつけないので、ひとまずちゃんと理解することを断念しました(苦笑)。

2009年1月20日 (火)

「企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会」報告書とガイドライン(経産省)

 本日、経済産業省が、「『企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会』の報告書及びガイドライン(企業ポイントに関する消費者保護のあり方)」を公表しています。
 → 経産省サイト報道発表ページ

 ポイントカードやマイレージクラブに代表される企業ポイントが、年々発展するのに伴って、企業の倒産や有効期限の到来等に伴うポイント消失、あるいは、ポイント交換率や有効期限の不利益変更等について消費者からの苦情も寄せられている中で、問題の対応を検討してきた上記研究会(商務流通審議官の私的研究会)が、報告書とガイドラインを公表したものです。

 報告書は、「ポイントプログラムに係る消費者保護のあり方」として、「ポイントプログラムに関するトラブルの大半は、消費者の期待と発行企業の認識とのズレによるものであり、「消費者がポイントプログラムの内容を正しく理解できるような対応」が発行企業に望まれる。」(概要より引用)とし、その具体的取組みとして、
  プログラムの内容を記載した書面等を交付し消費者が確認できるようにする。
  付与条件等に関する重要事項は、加入に際してわかりやすく表示・説明する。
  利用条件の変更等、消費者の利益を損なう場合は、事前に告知する。
  ポイント交換の相手方の財務基盤の健全性等を十分に吟味する。
などとしています。
 なお、ここでいう「ポイントプログラム」とは、「企業が消費者に対してポイントを付与し、消費者が貯めたポイントを特典や値引き等に利用できる仕組み」を呼んでいます。

また、「ポイントプログラムに新しい規制を課すことについては、事業者による消費者保護の取り組みの推移を見つつ、消費者トラブルの実態を踏まえ、慎重かつ十分な検討が行われることが必要。」ともしています。

 報告書と同時に公表されたガイドラインは、ポイント発行企業に望まれる取組みとして、(1)消費者がポイントプログラム内容を網羅的に確認できる仕組み、(2)発行企業による重要事項の積極的な表示・説明、(3)トラブル等への適切な対応を、共通する基本的な項目として挙げ、これに加えて、ポイントプログラム類型別の留意事項として、対応を整理しています。

2009年1月19日 (月)

Winny開発者の刑事事件控訴審第一回期日

 このブログでわざわざ書くまでもないかと思ってたのですけど、私の覚え書きとして。。。

 本日、Winny事件高裁の第1回公判期日が大阪高裁でありました。Winny開発者を刑事被告人とする著作権法違反の幇助犯としての1審判決から2年もたっての控訴審第1回期日です。各社報道がありますので、概要はそちらで見てください。

 法律家の関連ブログとして、
 → 弁護人の壇俊光弁護士のブログ
 → 町村教授のブログ
 → 落合洋司弁護士のブログ

靴製造の下請法違反事案の公取委に対する措置請求(中小企業庁)

 先週金曜(1/16)の発表ですが、中小企業庁は、靴の製造販売業者であるマドラス株式会社について、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、公正取引委員会に対して、同法6条に基づく措置請求を行っています。
 靴の製造の下請業者に対する不当減額の事案ですが、詳しい公表資料は、
 → マドラス株式会社に対する下請法の措置請求について(PDF)

 なお、中小企業庁から公取委に対する「措置請求」(下請法6条)については、当ブログ下記記事を参照ください。なお、こちらの事案は、ミカドのシステムキッチンの部品・部材の下請製造に関するものでしたが、昨年3月21日に中小企業庁からの措置請求がなされた後、4月9日には公取委からの勧告が出されています。
 → 「下請法:中小企業庁長官から公取委への措置請求」(08/3/21)

2009年1月17日 (土)

「年間日本SF傑作選 虚構機関」

 小川一水氏のブログで紹介されていたのを見て買ったSF短編集「年間日本SF傑作選 虚構機関」(創元SF文庫 大森望・日下三蔵編)を、年明けから帰宅の電車内で読んでいます。4分の3ばかり読み終えたところです。冒頭の編者序文、トップバッターの小川氏の作品から面白い。

 各作品の最初に編者が短いコメントを付けていますが、巻末の文章とあわせて、現在のSF小説界の状況の紹介としても読めます。単なる年間ベスト物ではなく、編者の個性が強く出たアンソロジーになっているところもいいですね。下のコメントでもお分かりのように、小中学生の頃、星新一を読み漁っていた私には嬉しい作品もいくつかありました。

 文学的表現の苦手な法律家の典型なもんで、感想を書こうにも、「面白い」「良かった」しか書けそうにないので(「おいしい」としか言えないグルメ・リポーターみたいに。)、読み終えた作品の内のいくつかに、下に短くコメントだけ。意味わからんが興味ある、という方は、読んでみてください。

 『羊山羊』     田中哲弥 ・・・ 筒井さんだぁ!

 『靄の中』     北國浩二 ・・・ ラストがいい

 『パリンプセプト あるいは重ね書きされた八つの物語』
           円城 塔 ・・・ ん?こりゃ大変だ?!?!

 『ダース考 着ぐるみフォビア』
           岸本佐知子 ・・・  (・∀・)イイ!

 『忠告』      恩田 陸 ・・・ 星さんだ!

 『開封』      堀  晃 ・・・ こりゃ星さんだ!!

 『それは確かです』 かんべむさし ・・・ 確かにこりゃ星さんだ!!!

 『バースティケーキ』 萩尾望都 ・・・ 『バルバラ異界』読まなくちゃ

2009年1月16日 (金)

情報公開請求訴訟最高裁決定と「インカメラ」

 最高裁が、昨日(1/15)、裁判所だけが文書を見て開示の可否を判断する「インカメラ審理」が許されるかが争われた情報公開請求訴訟の決定で、「インカメラ審理」は、「情報公開法に明文規定がなく許されない」との初判断を示した、との報道を各社が行っています。

 知的財産分野の訴訟など特定の訴訟については、法律で、この「インカメラ審理」の規定が定められており、公開されたり相手方に見せたりしたくない書類などを、裁判所だけが先に見て、開示するかどうかの判断を行うことができるようになっています。しかし、今回の訴訟においては、このような規定がない、として、原告の主張を斥けたものです。

 この「インカメラ」ですが、もちろん、上記のように特定の訴訟では導入されており、この用語も最近は専門家であれば多くの人が知っている言葉です。しかし、恥ずかしながら、ずっと、「インカメラ」の「カメラ」は写真機のことだとばかり思っておりました。in camera というのも、英語的には変な言葉だな、とは思ってはいたのですが。
 ところが、上記最高裁決定を取り上げておられる町村教授のブログを拝見すると、そうではなく、ラテン語から来た言葉で、「部屋の中」「裁判官室の中」を意味する言葉だそうで、写真機とは関係ないそうです。

 思いこみというのは怖いですね。
 法律学関係では、ラテン語発祥の言葉も時々出てきて、正直、分からないことも多いのですが、法律ラテン語辞典などというのもいくつか出版されています。ネットでは、Wikipediaに、これらの用語を集めたページを見つけました。「インカメラ」も入ってますね。
 → Wikipedia「法学のラテン語成句の一覧」

「極秘」会談の速報

 そろそろ風呂入って寝ようと思いながら、日テレ系のニュース見てたら、小沢、鳩山、菅の3氏が、今夜「極秘会談」ということで、その会談の前か後かの自動車乗降の画像を流していました。これって「極秘会談」なのかしら。

 寝不足の聞き間違いかな。おやすみなさい。

2009年1月14日 (水)

また、Yahoo!のフィッシング

 ヤフーのIDを盗んで、オークションで悪用される事件については、当ブログでも触れました。
 → 「ヤフオクのIDを盗むフィッシングサイトだそうな。」
                           
(08/10/3)
 → 「ヤフーID乗っ取り事件(ヤフオク)の続報」(08/10/6)
                                  など。

 昨日になって、また、ヤフー会員の情報を盗むことが目的と考えられるフィッシングメールが出回っている、と「フィッシング対策協議会」が公表しています。
 → フィッシング対策協議会サイト「Yahoo! Japanをかたるフィッシング」

 これは、ヤフーオークションを継続して利用するには「Yahoo! JAPAN IDユーザーアカウントの更新手続きが必要」として、偽サイトに誘導しようとするメールということです。このメールにより誘導される偽サイトは日本国内に設置されていたらしいですが、現在は閉鎖されているとのことです。

 いろんな手で、個人情報を盗もうとする輩が国内外にたくさんいるようですので、ご注意を。

ウェブサイト上の通販広告の不当表示(景表法)

 本日、公正取引委員会は、株式会社QVCジャパン(千葉市美浜区)が販売する「もてなしサーバーセット」と称する大型スプーン及び大型フォークを2本ずつ詰め合わせた商品並びに「会津塗スプーン5本セット」と称するスプーンを5本詰め合わせた商品に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に違反するとして、排除命令を行いました。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 この会社は、日用雑貨品の通信販売業を営んでおり、有線テレビジョン放送、CSデジタル放送等の放送番組や同社のウェブサイトで商品の広告を行って、広告を見た一般消費者から注文を受けて、商品を販売しているものです。

〈違反事実の概要〉
 同社は、「もてなしサーバーセット」と称する大型スプーン及び大型フォークを2本ずつ詰め合わせた商品並びに「会津塗スプーン5本セット」と称するスプーンを5本詰め合わせた商品を一般消費者に販売するに当たり、同社がインターネット上に開設したウェブサイトにおいて、「もてなしサーバーセット」については、「漆特有の風合いが食卓を華やかに」、「越前漆塗りのちょっと大きめスプーンとホークのセットです。」、「漆特有の風格と重厚感は、ふだんの食生活をほんの少しお洒落に彩るにも、大切なお客さまのおもてなしにも最適です。」、「漆塗りなのではげにくく、お手入れは簡単。」及び「材質:木製加工品 漆塗」と記載することにより,あたかも,当該商品の素材は木を加工したものであり,漆のみで塗装を行ったものであるかのように表示し、
「会津塗スプーン5本セット」については、「木製なので口当たりもソフト」、「木製ですので熱い物、冷たい物にも影響が少なく、口当たりがソフト。」及び「材質:木製加工品(漆塗)」と記載することにより、あたかも、当該商品の素材は木であり、漆のみで塗装を行ったものであるかのように表示していたが、
実際は、素地はABS樹脂であって、前者は、漆とウレタン樹脂の塗料を混合したもの、ウレタン樹脂の塗料を用いて塗装を行ったものであった。

〈排除措置の概要〉
ア 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると
 示すものである旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

新61期修習検事任官者数等の公表(法務省)

 法務省サイトに、新61期修習の検事任官者について発表されています。
 今は、司法試験制度が新旧重なっていて、修習も二重状態になっていて、「新」と「現行」の二本立てなので、この手の数字を見るには、ちょっとややこしいことになっています(説明は省略)。
 → 法務省サイト報道発表資料

 任官者数は、73人で、内、女性任官者数が28人。
 38%、つまり1/3強が女性を占めているということですね。

 大学、法科大学院別任官者数の推移については、
  ○大学別             ○法科大学院別   

   慶應義塾大学 12人    慶應義塾大学 8人

   中央大学 8人        東京大学 7人

   早稲田大学 8人      早稲田大学 6人

   東京大学 7人        中央大学 5人

   その他 38人        その他 47人

 任官者の平均年齢等は、
   平均年齢 28.0歳(うち女性27.1歳)
     (参考)現行60期 28.3歳(うち女性29.1歳)
          新60期 28.1歳(うち女性28.4歳)
         現行61期 28.2歳(うち女性30.5歳)
   最高齢者37歳,最年少者25歳

2009年1月13日 (火)

行きたいけど行けない東京の行事

 今日は、今年初めて、訴訟の期日に出てきました。その後、京都のロースクールの講義に出かけましたが、夕方の北大路あたりは本格的な雪が降っていました。
 当ブログも、約2年間で、アクセス数が15万カウントを超えました。最初の1年は確か3万カウントほどだったと思うので、2年目は4倍のアクセスをいただいたことになります。ありがとうございます。

 さて、今日は、行きたいけど行けないだろうな、という東京での行事を2つばかり御紹介。詳細は各リンク先へどうぞ。

〈その1〉  日弁連サイト
 日弁連コンピュータ委員会シンポジウム2009
  「ISP(インターネットサービスプロバイダ)をめぐる法律問題」

 以下の通りのシンポですが、昨年は大阪弁護士会にも中継していたように思うのですが、今年は案内がないので、中継しないのかな。残念です。  

 日 時 1月23日(金)13:00~17:00(開場12:30)
 場 所 弁護士会館2階 クレオ(千代田区霞が関1-1-3)
              参加費等 参加費無料・事前申込不要
 プログラム
   講演 2008年ネットワーク法判例回顧
        町村泰貴 氏(北海道大学大学院法学研究科教授)
     中間伝達者の法律問題の枠組み
        高橋郁夫 氏(弁護士・コンピュータ委員会副委員長)
     違法有害情報とフィルタリング等の問題
        奥村 徹 氏(弁護士・ コンピュータ委員会委員 )
     世界における違法有害情報対策
        楠 正憲 氏(マイクロソフト株式会社 )
     ISPにおけるセキュリティ活動
        小山 覚 氏(株式会社NTTPCコミュニケーションズ)
     名誉毀損等の発言行為と発信者情報開示制度
        壇 俊光 氏(弁護士・ コンピュータ委員会委員)
     ISPをめぐる法律問題についての総務省の取組
        室橋秀紀 氏(総務省)

〈その2〉 → 公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)サイト
 公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)公開セミナー
     「米国金融危機の来し方と行く末」

 日 時 2月6日(金)14:00~16:00
 会 場 公正取引委員会大会議室(11階)
      ( 東京都千代田区霞が関1-1-1 中央合同庁舎第6号館B棟)
 プログラムの概要
   テーマ:米国金融危機の来し方と行く末
     講 師 : 池尾 和人 (慶應義塾大学経済学部教授)
     コメンテーター:岩倉 正和 (西村あさひ法律事務所所属弁護士)
     司 会 :小田切 宏之
          (競争政策研究センター所長・一橋大学経済研究所教授)
        申し込み方法は上記CPRCサイトをご覧ください。
         ※ 参加申込期限:平成21年1月28日(水)必着

 

2009年1月10日 (土)

公的組織の情報流出事件が続いてますね

 年末から年明けにかけて、公的な組織におけるネット上での大量情報流出事件の報道が続いています。

 神奈川県教育委員会の授業料徴収システム関連での生徒の銀行口座情報を含む情報事件、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報流出事件、環境省の大気汚染関連調査に関する小学校児童関連情報の流出事件です。

 神奈川県教育委員会の事件は、教委からシステム開発を受託していた日本IBMが業務委託していた会社の社員所有のパソコンに保存された生徒約11万人に及ぶ個人情報(口座情報含む)などが、そのパソコンに入っていたファイル交換ソフト(Winny)がウイルスに感染して情報流出したもの。昨年11月に発覚したものですが、情報流出の規模が拡大していることが発覚し、しかも、多数の銀行口座情報が含まれているところから、騒動になっています。口座変更などが必要となると、実害も大きくなりますね。

 → 神奈川県教育委員会
「授業料徴収システム関連情報流出に関する相談窓口を設置」
 → 日本IBM
「お客様情報流出に関するお詫びとお知らせ」(08/11/13)
「神奈川県授業料徴収システム関連情報流出の範囲拡大について」(09/1/8)

 また、IPAの事件は、IPA職員の私有パソコンに入っていた、主に同職員が前に勤務していた企業の業務関連データの情報が流出したもの。流出が判明している企業数は10社程度、この情報の中には個人情報も含まれ、その数は1万件を超すものとIPAでは推定しています。これも、ファイル交換ソフトのウイルス感染によるものです。一部報道によれば、同じ職員が以前システム開発で関係した西武百貨店の約6300人分の職員情報が含まれているとのこと。
 → IPA「当機構職員の私物パソコンによる情報流出について」

 環境省の事件は、平成20年度に実施した「大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査」について業務委託した会社のコンピュータからファイル交換ソフト(Share)を通じて流出したものと推測されています。流出した情報は環境省によれば、八戸市、秋田市、岐阜市の小学校児童の氏名、住所、生年月日、小学校名、計1,342人分の情報とのこと(産経によれば、後に1,321人分に訂正があったとのこと。)。
 → 環境省「個人情報の流出について」
  【追記】(1/13)
    環境省は9日に追加発表してました。
    「本調査の業務委託先である(株)ジイズスタッフが、当該データ入力を
     複数個人に再委託した。さらに、再委託先から再々委託を受けた1名が
     ファイル交換ソフト(Share)のインストールされたコンピュータを用
     いてデータ入力を行ったため、情報がインターネット上に流出したもの
     であった。」とのことです。

 このように上の3件のいずれも、システム等の委託先業者あるいはその社員のパソコンに保存していたデータが、ウイルスに感染したファイル交換ソフトを通じて流出したものです。しかも、IBMのような超大手IT企業やIPAのような情報セキュリティの公的専門団体が絡んでいるのですから。。。
 IPAの1月の「今月の呼びかけ」
  「 ウイルス感染の危険と隣り合わせの状況を知ろう! 」
  ― 従来の常識が通用しないほど、感染の手口が巧妙になっています ―

だそうです(大苦笑)。
 皆さんも充分にお気を付けください。というよりも、ファイル交換ソフトを導入されているなら、ウイルス感染の監視・防止は当然のこととして、まず、重要な情報を同じパソコンに入れないことです。

2009年1月 9日 (金)

槇原vs松本訴訟判決コメントの補足

 年末年始にかけて、この判決を取り上げましたが、その補足。
 なお、長い判決ですが、裁判所の判断部分は161ページの「第3 当裁判所の判断」以降の約60ページです。

 これまでの記事については、
 → 「槇原敬之vs松本零士訴訟判決についてコメント」(08/12/28)
 → 「槇原vs松本訴訟の続き」(1/7)
 → 「槇原vs松本訴訟の続き(の続き)」(1/8)

 名誉毀損について、原告槇原氏の主張では、いくつかのテレビ番組の放送内容を対象としていますが、判決では、その内、録画取材分については、仮に名誉毀損があったとしても、録画発言をしたこととの間に相当因果関係は認められないとして、不法行為責任の成立を否定しました。
 ここのところの放送事業者の取材に基づく放送の場合の、第三者の名誉毀損の成立との関係について判決が論じている部分は、法律家としてはこの判決の重要なポイントだなと思いました(一般大衆受けする論点ではないでしょうね)。

 そして、判決は、被告松本氏が放送で直接発言をした2つの生放送番組に関して、具体的に吟味をしています。結論として、1つの番組での発言に関して、「一般の視聴者としては、被告発言から、原告が、被告表現に依拠して、被告表現と似た原告表現を作ったという印象を抱くものというべき」とし、もう1つの番組での発言に関して、「一般の視聴者としては、被告発言の内容は、被告表現は有名であるから、原告は、被告表現を知っていたに違いない、すなわち、原告は、自らの能力によってではなく、被告表現に依拠して原告表現を作成したものであるとの指摘をしていると理解するものと解され、また・・・(略)・・・被告の上記の指摘は正しいとの印象を抱くものと解される。」としました。これらの発言によって、槇原氏が盗作したとの印象を一般視聴者に与えることから、名誉を毀損するとの判断です。

 これを踏まえて、次に、この訴訟で争われている事実関係の重要なポイントの一つは、両者の電話での会話において、槇原氏が「どこかで見聞きしたことがあり,それが記憶に残っていたのかもしれない。すみませんでした。」(この発言を判決中では、「本件被告主張依拠発言」と言っている。)という発言があったかどうか、という点のようですね。この点については、判決はこの発言が真実であるとはいえないとしています。これにより、名誉毀損の違法性阻却事由(公共の利益に関する事実の摘示についての真実性の証明)がない、ということになります。

 また、判決は、槇原氏が松本氏の表現に依拠して歌詞を作ったという事実についても、これが真実であるとの証明はできていない、としています。

 前にも書きましたように、本件判決には、他にも論点がありますが、ここらあたりでご勘弁を。。。

 なお、この判決を読みこなすには、名誉毀損による不法行為責任についての民法上の考え方を知っていないと、ちょっと無理があると思います。新聞などの報道内容があいまいだった理由がよくわかりました。

2009年1月 8日 (木)

革製品の通販カタログ等での不当表示(景表法)

 公正取引委員会の今年最初の排除命令です。NHKニュースでも流れていましたね。全日空やJAF、JR東日本などの通信販売カタログなどでの革製品の表示が問題になったものです。

 本日、公正取引委員会は、「銀座エンゼル」と称するブランドの革製品の販売業者である全日空商事株式会社(東京都港区)、株式会社ジエ・エー・エフ・サービス(東京都港区)、株式会社ジェイアール東日本商事(東京都渋谷区)、株式会社エスシー・カードビジネス(東京都港区)、株式会社ウイングツーワン(東京都新宿区)の5社の当該商品に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)及び同項3号(商品の原産国に関する不当な表示)に違反するとして排除命令を行いました。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

〈違反事実の概要〉
ア 5社は、それぞれ、銀座エンゼルブランド商品を一般消費者に販売するに当た
 り、あたかも、過去に銀座に所在した老舗である革製品製造販売業者は現在では
 得意先から のみ受注して製造しており、銀座エンゼルブランド商品は当該事業
 者が製造したものであるかのように示す表示をしていたが、実際には、当該事業
 者は平成10年に閉店して以降、当該商品について得意先からのみ受注して製造
 しているという事実はなく、当該商品は当該事業者が製造したものではなかった。
イ 5社は、銀座エンゼルブランド商品を一般消費者に販売するに当たり、あたか
 も、銀座エンゼルブランド商品の原産国が我が国であるかのように示す表示をし
 ていたが、実際には、当該商品の原産国は中華人民共和国であった。

〈排除措置の概要〉
ア 前記表示は、銀座エンゼルブランド商品の内容について一般消費者に対し実際
 のものよりも著しく優良であると示すものである旨及び銀座エンゼルブランド商
 品の原産国について一般消費者に誤認される表示である旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

槇原vs松本訴訟の続き(の続き)

 昨日の続きです。本文だけでも200ページを超える長い判決ですので、とても全部読んでいるヒマはありませんし、紹介することもできませんので、要点のみのコメントになります。また、整理するのも大変なので、昨日の記事と併せてご覧ください。

 本件は、被告松本氏が、テレビ番組において、原告槇原氏の歌詞中にある問題の表現が、松本氏の「時間は夢を裏切らない,夢も時間を裏切ってはならない。」という文章(以下、松本氏文章と略します)を盗作したものであるなどと、槇原氏の名誉を毀損する発言をした、ということを根拠として、槇原氏が松本氏に対して、訴訟を提起したものです。

 請求の内容は、
1.槇原氏が槇原氏の歌詞の実演をコンピュータのハードディスクに蔵置
 する方法により原告歌詞の実演の原盤を完成させた行為が、松本氏文章
 の著作権(複製権,翻案権及び同一性保持権)の侵害ではないこと(正
 確には、松本氏が損害賠償請求権を有していないこと)の確認

2.この件に関する一連のテレビ番組での松本氏の発言が、槇原氏の名誉
 を毀損したとして、損害賠償の請求

3.新聞紙上での謝罪広告

を求めるものです。

 このうち、1の不存在確認については、裁判の途中で、松本氏側が、松本氏文章の著作権侵害に基づく槇原氏に対する損害賠償請求権を放棄する旨の意思表示を行ったため、仮にそのような請求権が存在していたとしても、債務は免除され権利は消滅しているなどとして、もはや、権利不存在確認を請求すべき「訴えの利益」(民事訴訟法上の特定の概念ですが、説明は略します。)はなくなり、この部分については不適法であるとして、裁判所は損害賠償権の有無という中身の判断に踏み込まず、「訴えの却下」をしました。

 2の損害賠償については、請求金額の一部を認容したわけですが、松本氏が発言したとされるいくつかの番組のうち、2番組の発言につき名誉毀損を認定し、1番組当たり100万円の慰謝料と弁護士費用10%で、結局220万円の請求認容となっているようです。ですから、各番組での放送態様(取材か直接発言か、など)、発言内容についての詳細な検討が必要なわけで、判決はこの判断過程を示していますが、これを要約して紹介する気力はありませんので、興味のある方は最高裁サイトで読んでみてください。
 なお、一部報道にもあったように、松本氏文章について、「著作権が存在するか否か」「存在したとして、槇原氏歌詞がその著作権を侵害するものか否か」については、裁判所は、直接的な判断をしていませんのでご注意ください。
 蛇足的に付け加えると、名誉毀損というのは、真実を言った場合でも該当する場合があります。例えば、私が以前、泥棒で逮捕された隠された過去があるとしても(記憶はありませんけど)、「あいつは、泥棒で逮捕された」と不特定多数の人に言えば、名誉毀損が成立し、民事的にも刑事的にも法的責任を問われる可能性はあります。

 3の謝罪広告については、請求が棄却されています。理由としては、テレビ番組が放送されてから訴訟終結まで、約2年が経過していること、槇原氏が、このテレビ番組放送以後も、放送前と同様にめざましい活躍をしていること、槇原氏のホームページ上で、松本氏発言に対する反論を行っていて、相応の効果を有すると推測されることなどを総合考慮して、謝罪広告を命じる必要性を認めなかったものです。

2009年1月 7日 (水)

槇原vs松本訴訟の続き

 新年のブログ更新が遅くなってしまいました。
 更新もないのに、正月明け以降アクセスがやたら多いなぁと思ったら、どこかのブログにリンクされた「蜂蜜」表示関連の古い記事にアクセスが増えているようです。

 実は、大晦日からパリに行っていました(大晦日発で安いツアーがあったもので)。私にとっては、大学卒業の時にヨーロッパ旅行をして以来のヨーロッパです。その時は、ちょうど大学の恩師である國井和郎先生がパリに留学した初日とぴったり日程が合ったので、先生の下宿先を尋ねたり、オペラ座の前で待ち合わせて、マーケットで食料の買い出しを2人でしたなどの懐かしい思い出があります。

 ところが、6日帰国の予定が、パリの雪で帰られず(そんなに大した雪には思えなかったのですけども)、混乱のシャルルドゴール空港で、何とか頑張って名古屋行きのJAL機に潜り込めて夕方に帰ってきました。でも、2、3日先にしか帰国便が取れなかった人もいるみたいで、何とか1日のロスで済んでホッとしています。
 依頼者を含め皆さんにご迷惑をかけてしまいました。今回の旅行で結構面白い話もあるのですが、それはそれとして、
 あらためまして、本年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、年末に中途半端に書いたにもかかわらず、皆さんからたくさん読んでいただいた「槇原敬之vs松本零士:「銀河鉄道999」の「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」訴訟事件」の東京地裁判決ですが、最高裁サイトに公開されておりました。ひとまず、速報的に紹介しておきます。

平成20年12月26日東京地裁判決
 著作権侵害不存在確認等請求事件(原告・槇原氏、被告・松本氏)

 今回の判決公開で、原告の槇原氏側の最終的な請求内容がはっきりしましたね。原告の請求は、
1 原告が,平成18年8月10日に,別紙歌詞目録記載の歌詞をトラッ
 ク・ダウンする方法でコンピュータのハードウェアに蔵置したことについ
 て,被告の原告に対する,別紙文章目録記載の文章の著作権(複製権,翻
 案権)及び著作者人格権(同一性保持権)に基づく損害賠償請求権がない
 ことを確認する。
2 被告は,原告に対し,金2200万円及びこれに対する平成19年3月
 2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告に対し,別紙広告目録・記載の広告を,同目録・記載の新
 聞に,同目録・記載の方法で掲載せよ。

ということです。

 すごくおおざっぱに言ってしまえば、(1)槇原氏の歌詞のコンピュータへの蔵置が松本氏の著作権(著作者人格権)の侵害がないことの確認、と、(2)松本氏に対してテレビ番組での発言が名誉毀損であるとして損害賠償請求(2200万円・慰謝料2000万円+弁護士費用200万円)、(3)新聞上の謝罪広告掲載、を求めた裁判ということになります。

 これに対して、今回の東京地裁判決の結論は、
 上記1の著作権等に基づく損害賠償請求権の不存在確認については、
   訴えの却下、
 上記2の損害賠償請求については、
   220万円(慰謝料200万円+弁護士費用20万円)、
 上記3の謝罪広告については、
   請求棄却
としています。前の当ブログ記事で書きましたように、やはり、著作権不存在確認については、原告槇原氏側の「請求棄却」ではなく、「訴え却下」でした。

 判決結果の報道に対して、ネット上では、双方の立場からいろいろ書かれているようですが、今回の紛争の全体を見た場合にどちらをどう見るかというのは、(この判決結果だけからは)単純には言えないのではないのかな、というのが部外者としての感想です。

 で、判決が整理している本件訴訟の争点は以下の通り。

1 著作権(複製権,翻案権)侵害,著作者人格権(同一性保持権)侵害に
 基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えについて

 ア 確認の利益の有無
 イ 被告表現の創作性の有無
 ウ 原告表現は,依拠性の点を除き,被告表現の複製又は翻案に当たるか
 エ 依拠性の有無
2 名誉毀損の不法行為に基づく請求について
 ア 名誉毀損の不法行為の成否
  ・ 本件各テレビ番組において放送された被告の各発言は,原告の名誉
   を毀損するか
  ・違法性阻却の成否
   a 本件各テレビ番組における被告の各発言は,事実を摘示するもの
    か,あるいは,意見ないし論評の表明に当たるか
   b 本件各テレビ番組における被告の各発言が事実を摘示するもので
    ある場合,その摘示事実の重要な部分につき真実であることの証明
    があるか
   c 本件各テレビ番組における被告の各発言が意見ないし論評の表明
    に当たる場合,
    ・その前提事実の重要な部分につき真実であることの証明があるか
    ・意見ないし論評としての域を逸脱していないか
    ・本件各テレビ番組における被告の各発言に係る事実及び意見ない
     し論評の表明の前提事実の重要な部分が真実であると信じる相当
     の理由が存在するか
    ・本件各テレビ番組における被告の各発言(ただし,生放送におけ
     る発言を除く。)について,被告は,情報提供者にすぎないとし
     て,不法行為責任を負わないか
 イ 被告の名誉毀損行為によって原告が被った損害の額
 ウ 謝罪広告の要否及びその内容

ということになっています。

 さらに判決の判断の中身についてのコメントは、次回の記事にいたします。

2009年1月 1日 (木)

謹賀新年(平成21年)

新年あけましておめでとうございます。

    本年も、一層のご指導ご鞭撻のほど
             宜しくお願い申し上げます。

   平成二一年元旦
        ::::弁護士 川村哲二::::〈覚書〉::::
                 川  村  哲  二

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