「We make people happy.」が「商品等表示」か?の判決(不正競争防止法)
アイスクリーム・チェーン大手の「サーティーワンアイスクリーム」が、新興チェーン店「コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン」に対して、「Make People Happy.」という言葉を広告宣伝活動やホームページに使うな、と請求していた裁判の一審判決が出たようです(最高裁サイト知的財産裁判例集より)。
この事件については、今年5月に裁判が起こされたことがマスコミでも報道され、少し話題になったもので、私も当ブログで書こうかと思ってたのですが、民間企業間の訴訟が始まった段階でコメントするのもどうかと考えてそのままにしておいたのですが、意外に早い判決でした。
東京地方裁判所 平成20年11月6日判決 不正競争行為差止請求事件
原告サーティワンが長年使用してきた「We make people happy.」との文言が、周知の営業表示で、被告「Make People Happy.」などの文言が極めて類似していて、営業の誤認混同を生じさせるおそれがある、として不正競争防止法2条1項1号、3条1項に基づいて、使用差止を求めていたものです。
裁判の争点としては、
(1)原告文言「We make people happy.」の商品等表示性
(2)原告文言の周知性
(3)原告文言と被告文言との類似性
(4)原告と被告との営業の誤認混同の有無
ということになるのですが、本件判決は、(1)の商品等表示性の判断の段階で、これを否定して、原告サーティワンの請求を棄却しました。
判決によれば、
原告は、米国会社からアイスクリーム製造のノウハウのライセンスを受けてアイスクリームを製造して、フランチャイズ店などに販売し、フランチャイズ店は、原告が米国会社から使用許諾を受けた登録商標を利用してアイスクリームを販売しているもので、
「We make people happy.」という言葉は、この米国会社が営業で使用していたもので、これを原告の営業でも使用することとして、これは、原告の設立以来のモットーとなっていました(使用の態様については、判決文に具体的に書かれていますが、ここでは省略・・・判決理由の中身を検討するには、本当はここの事実関係が最も重要な部分なのですが・・・)。
そして、この文言が、原告の業務に係る営業表示として、不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」に該当するという原告の主張について、
「英文であるとはいえ、このような平易かつありふれた短文の標語そのものは、本来的には、自他識別力を有するものではないことは明らかである。原告文言のような標語が法2条1項1号の「商品等表示」としての営業表示に該当するためには、長期間にわたる使用や広告、宣伝等によって当該文言が特定人の営業を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っていることが必要であるというべきである。」として、具体的な文言の使用状況を検討したうえで、
「これらの原告文言の使用態様や原告文言の持つ本来的な意味合いに照らすと、上記の原告表示の使用事実をもって、原告文言が原告の業務に係る営業表示であるとして一般消費者の間に広く認識されていると認めることはできず、他に、原告文言が原告の業務に係る営業表示に当たることを根拠付ける事実を認めるに足りる証拠はない。」として、結局、原告の「We make people happy.」の文言は、不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」に該当するものとは認められない、として、原告の請求を棄却したものです。
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