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2008年11月の記事

2008年11月28日 (金)

韓国の「住民登録番号」と個人情報流出についての記事

 さっき、昼休みがてらネットニュースを読んでいたら(実は、羽賀研二無罪の判決記事を探してたのですが)、日経NETの中のIT+の本日付「私も訴訟に参加した 韓国で絶えない個人情報流出事件の深層」という記事を見つけ、私も日本でのヤフーの個人情報漏洩訴訟に関与したものですから、見出しに興味を引かれて読みました。
 → 日経NET IT+
  「私も訴訟に参加した 韓国で絶えない個人情報流出事件の深層」

 筆者は、趙 章恩(チョウ・チャンウン)という韓国女性で、紹介では、JIBC会長・IT評論家・Webプロデューサーとなっています。

 見出しとの関係でいうと、韓国の大手ガソリンスタンド会社のメンバーズカードに加入した1100万人の個人情報が流出した事件で、自分も氏名、住民登録番号、住所、電話番号が漏れていたため、集団訴訟の原告(4万1000人だそうです。)に加わった、というもの。

 記事によれば、ホームページがハッキングされ履歴書がネットに出回ってしまった事件では被害者に70万ウォン、インターネット宝くじの購入案内メールに3万人の個人情報を添付して送信した銀行に対しては原告に20万ウォンずつという賠償命令の判決が下っている、とのこと。1ウォンを0.065円とすると前者が4万5500円、後者が1万3000円ということになりますね。事件の内容を詳しくは知りませんが、TBC事件を前者、ヤフー事件を後者みたいなもんだとしてみると、(厳密には若干の金額の差はありますが)日韓の感覚は似たようなものなのかな、とも思ったりしました。

 さて、この記事で特に興味を覚えたのは、「住民登録番号」の問題です。当ブログでもちょっと前に韓国で戸籍制度が廃止されたことに触れましたが、
 → 「韓国の戸籍制度の廃止」(5/16)
先日、他の弁護士さんから教えてもらったところによれば、戸籍に代わって、家族関係証明書のようなものが発行されるようで、それを取るには、氏名は当然として、登録基準地(元の本籍地にあたるもの)か、この「住民登録番号」が必要とのことでした。「住民登録番号」というのは、以前、日本でも大議論になった「国民総背番号制」みたいなものと思いますが、本人はいいとして、たとえば、訴訟などを提起するときに、相手の家族関係などを調査しなければならないとき(相続があるなど)は、相手の登録基準地も「住民登録番号」も知らないのに、どうするのだろうと思いました。

 今回の記事によれば、韓国では、ちょっとした会員登録などの際にも、「住民登録番号」を書かされるということですので、そういうことであれば、少なくとも契約先の個人の番号はわかっているケースも多いのかな、とちょっと理解できたように思えます。

 この記事は、そのような「住民登録番号」の管理の実態や、韓国でも今年制定される(予定?)の個人情報保護法の内容に触れながら、問題を提起しているものです。興味のある方は、上記のリンクからお読みください。 

2008年11月27日 (木)

ストリートビューに関する緊急集会(日弁連)

 11月21日に日本弁護士連合会(日弁連)主催で、「ストリートビューに関する緊急集会」が開かれました。私も興味はありましたが、当日は東京まで行けませんので、参加はしていません。したがって、中身の報告はできませんが、現時点でのネットニュース記事の紹介のみ。

→ INTERNET Watch 記事(11/25)
  「日弁連が「ストリートビュー」のプライバシー問題で緊急集会」

 事前の案内によれば、当日は、
「ストリートビューの問題点に関する報告」として、瀬下美和氏(フリージャーナリスト)と平松毅氏(ドイツデータ保護法の研究者、姫路獨協大学法科大学院特別教授)の報告と意見交換会が行われる予定となっていました。 

下請法に関する3題(中小企業庁・公取委)

 昨日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に関連して、中小企業庁公正取引委員会から3つばかり報道発表がされてます。

〈その1〉
 西日本車体工業株式会社に対する下請代金支払遅延等防止法の措置
 請求について

 まず、中小企業庁は、西日本車体工業株式会社(北九州市)に対し、下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、同法6条に基づいて、公正取引委員会に対して、措置請求を行っています。
 事案としては、
 同社は、バスの製造・組立に係る部品、部材の製造を下請事業者に委託しており、自社の利益を確保するため、下請事業者に対してコスト削減の要請を行うとともに、値引きに合意した下請事業者に対しては、支払うべき下請代金額から一定の比率分(約1,359万円)を差し引いていた事実が確認されたというもの。
 → 経産省サイト報道発表

【追記】(12/12)
 12月11日、公取委から、この件で勧告が出されました。
 → 「バス車体部品下請製造についての公取委勧告(下請法)」(12/11)

〈その2〉
 下請代金支払遅延等防止法に基づく取締状況等について
 次に、中小企業庁が、平成20年度上半期における下請代金法に基づく取締状況等についてのとりまとめを公表しています。
 → 経産省サイト報道発表

〈その3〉
 「草の根下請懇談会」の開催について
 公正取引委員会が、「草の根下請懇談会」を全国約50ヶ所で開催することを公表しています。
 これは、8月に政府が策定した「安心実現のための緊急総合対策」の一環として、下請事業者対策を強化することとしていることを受け、10月に公取委が実施を公表した「下請事業者支援特別対策」の一つというもの。
 この「草の根下請懇談会」では、下請法の概要を説明し、下請事業者との意見交換を通じて下請事業者の生の声を十分に聴取するとともに、親事業者に対して調査を行う場合には,公正取引委員会に情報の提供を行った下請事業者が親事業者に特定されることがないよう様々な工夫を行っている旨を下請事業者に十分に説明して、情報提供を促すこととしている、とのことです。詳しくは下記資料をご覧ください。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

【追記】(11/27)
 本日、公取委と経産省から、親事業者及び関係事業者団体に対し、下請法の遵守の徹底等について、文書要請がなされています。

 → 経産省サイト「下請取引の適正化に係る通達の発出について」

 

2008年11月26日 (水)

2つの公取委審決取消訴訟判決(景表法・東京高裁)

 今日は、また東京で夕方まで某社での会議に参加して帰ってきました。

 帰宅してブログを見てみると、前の衣料品原産地不当表示についての記事に関してコメントをいただいていましたので、御指摘の「ベイクルーズ事件」「ビームス事件」の審決取消訴訟判決について、ちょっと紹介をしておきたいと思います。もっとも、私に難しいことを書く能力はなく、いつもの通りの「覚え書き」です(と、逃げておこう)。。。

 この両事件は輸入ズボンに関する同じ一連の事件です。
 両事件の原告は小売業者ですが、それぞれ、外国会社から八木通商が輸入した「イタリア製」などと表示されたズボンを一般消費者向けに販売していました。ところが、このズボンの原産国はルーマニアだった、とされ、この原産地の不当表示に関して、2社と同様に販売していた他の業者を含めた小売業者5社及び輸入業者である八木通商の計6社に対して、公正取引委員会は、排除命令を出しました。
 → 公取委サイト報道発表資料(平成16年11月24日) 

 この排除命令対象事業者のうち、八木通商を除く5社はこれを争って、審判手続となりましたが、審決では、5社とも主張は認められませんでした。
 → 公取委サイト報道発表資料
   ・ユナイテッドアローズの審判審決(平成18年5月15日)
   
ビームスとベイクルーズの審判審決(平成19年1月30日)
   
・トゥモローランドとワールドの審判審決(平成19年12月14日)

 で、ビームスとベイクルーズが、それぞれ、この審決を不服として、東京高裁に取消訴訟を提起した事件についての判決が両事件判決です。公取委サイトの審決等データベースにリンクしておきます。

 ビームス事件   平成19年10月12日東京高裁判決
 ベイクルーズ事件  平成20年5月23日東京高裁判決

 判決で争点とされているのは、
 ビームス事件では、
  (1)衣料品の原産国について
  (2)本件商品がルーマニア製であるか否かについて
  (3)個別具体的な公正競争阻害性の必要性について
  (4)表示の主体について
  (5)不当表示の無過失について
  (6)本件審決の命じる排除措置の必要性について
  (7)罪刑法定主義違反について

 ベイクルーズ事件では、
  (ア)原告が景品表示法4条1項3号に該当する不当な表示を行った
     事業者(不当表示を行った者)に当たるか否か
  (イ)本件品質表示タッグ及び本件下げ札に表示された本件原産国表
     示は景品表示法4条1項3号の「表示」に該当するか
  (ウ)本件原産国表示がなされたことについて原告に過失があること
     が必要か
  (エ)本件審決が命じる排除措置はその必要性があるか
  (オ)原告に本件排除措置をとるよう命じることは平等原則に違反す
     るか
  (カ)原告に本件排除措置をとるよう命じることは裁量権の濫用か

 となっています。(4)と(ア)、(5)と(ウ)は、同じ争点ですね。
 この(4)と(ア)、すなわち、外国のメーカーが下げ札などの表示を付けた商品を輸入業者を通じて仕入れ、そのまま消費者に販売している小売業者が、表示の主体に当たるか否かという争点について、両判決の判断の一般論部分のを並べておきます。コメントをいただいたように、ベイクルーズ事件判決の理由のほうが、公取委の審判審決の理由をそのまま採用したものです。一方のビームス事件判決が、審判審決の解釈を変えた(ように読める)点につき、何らかの積極的な理由があるのかどうか、判決文からは見えにくいように思います。 

〈ビームス事件判決〉
 このような不当景品表示法の立法趣旨並びに条文の内容及び趣旨からすると,不当表示をした事業者とは,公正な競争を確保し,一般消費者の利益を保護する観点から,メーカー,卸売業者,小売事業者等いかなる生産・流通段階にある事業者かを問わず,一般消費者に伝達された表示内容を主体的に決定した事業者はもとより,当該表示内容を認識・認容し,自己の表示として使用することによって利益を得る事業者も,表示内容を間接的に決定した者として,これに含まれると解するのが相当である。

〈ベイクルーズ事件判決〉
 商品を購入しようとする一般消費者にとっては、通常は、商品に付された表示という外形のみを信頼して情報を入手するしか方法はないのであるから、そうとすれば、そのような一般消費者の信頼を保護するためには、「表示内容の決定に関与した事業者」が法4条1項の「事業者」(不当表示を行った者)に当たるものと解すべきであり、そして、「表示内容の決定に関与した事業者」とは、「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解するのが相当である。そして、上記の「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」とは、他の事業者が決定したあるいは決定する表示内容についてその事業者から説明を受けてこれを了承しその表示を自己の表示とすることを了承した事業者をいい、また、上記の「他の事業者にその決定を委ねた事業者」とは、自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者をいうものと解せられる。

2008年11月24日 (月)

衣料品原産地不当表示の報道(「英国製」がマダガスカル製)

 昨日(23日)は恒例の福知山マラソンに参加してきました。残念ながら、前半の飛ばしすぎと後半の根性不足のため、4時間をわずかに超えてしまい、2年振りのサブフォー(4時間切りをこう言います)は成りませんでした。どうもこのところ、最近流行のアラフォーになっています。

 公正取引委員会の委員の国会同意人事案件がゴタゴタしていますが、この件に関し、「ビジネス法務の部屋」で取り上げられています。面白かったのでご紹介しておきます。
 確かに、景品表示法違反(優良誤認)ものですね。産経が、いきさつを記事にしたりしていますが、単なる一時的な人事問題ではなく、公取委の組織にとって結構影響を残す事件になる可能性もあります。

 さて、一昨日の朝日の「三越セーター、英国製と不当表示 『業者にだまされた』」という報道ですが、要するに、「英国製」と表示されていた高級セーターが、実際にはアフリカのマダガスカル製だったことがわかり、三越は販売を停止し、公正取引委員会に報告した、この原産地偽装表示については三越がメーカーにだまされたものというものです。三越も自社のサイトの「お知らせ」で公表しています。

 当ブログでも以前取り上げましたが(下記リンク参照)、景品表示法の不当表示の責任は故意過失を問わないとされており、三越のような小売店がメーカーの表示をそのまま信用して販売している場合でも、景品表示法違反として処分される可能性があるわけです。多くの商品を扱う小売業者であれば、このリスクを完全に回避することは実際問題として大変です。事後対応ではありますけれども、今回の三越の対応も一つの参考になると思われます。

 → 「中国製カシミヤ製品の不当表示と景品表示法」(07/8/4)
 → 「衣料品の原産国表示についての判決(景表法)」(07/10/13)

 上の当ブログ記事の2番目のは、イタリア製と表示された輸入ズボンに関するビームスなどに対する公取委の審判審決につき、ビームスが提起した審決取消訴訟の判決の報道について書いたものですが、この記事では、判決が公表されれば紹介する、としたのですが、そのままになっていました(今回気づきました。)。景品表示法違反について重要な判決ですので、参考文献をあげておきますね。

 「ズボンの原産国不当表示審決取消請求事件(ビームス事件)」
             向田直範 公正取引688号58頁

 「独禁法事例の勘所(24・完):ズボン原産国ビームス」
             白石忠志 法学教室330号115頁

【追記】(11/26)
 「ねこちゃん」さんから、コメントで御指摘いただきましたので、次の記事にビームス事件とベイクルーズ事件の両審決取消訴訟について紹介してみました。ご参考まで。

2008年11月20日 (木)

「加工食品の表示に関する共通Q&A」

 金沢ではそれほど寒くはなかったのですが、帰ってきてから、急に冷え込んできましたね。

 ここのところ、食品偽装の問題で、いくつかの法律の名前が出てくるわけですが、個人的には、景品表示法不正競争防止法については一応は守備範囲ながら、JAS法(「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」)と食品衛生法については、正直なところ真面目に読んだことがないので、何かお手軽にまとめたものはないか、と思っていました。

 ところが、たまたま、本日付で一部改正があったという発表があったので知ったのですが、厚生労働省、農林水産省、公正取引委員会が共同で作成した「加工食品の表示に関する共通Q&A」というのがあったようです。(そんなの知ってるよ、という方もたくさんおられるのでしょうけども)

 これは、3つに分かれていて、
   第1集:加工食品の表示 → PDFファイル
   第2集:消費期限又は賞味期限 → 
PDFファイル
   第3集:遺伝子組換え食品に関する表示 → 
PDFファイル
となっています。

 今回は、このうち第2集について今回一部改正がなされたということです。
 → 加工食品の表示に関する共通Q&A(第2集:期限表示について)
      の一部改正について

 この上記Q&Aを含めて、農林水産省が、食品表示Q&A・ガイドライン等をまとめたページがありましたので、ご参考まで。
 → 農林水産省サイト「食品表示Q&A・ガイドライン等」

2008年11月19日 (水)

独占禁止懇話会議事概要と景表法の移管問題(公取委)

 元厚生事務次官と家族を狙ったテロと思われる嫌な事件が起きていますが、年金問題の責任がどこにあるかとは関係なく、絶対に許されない事件ですね。

 さて、公正取引委員会のサイトで、今月11日に開催された「独占禁止懇話会」の議事概要が公表されました。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)
 議題としては、
  (1)東アジアの競争法の整備状況
  (2)運輸分野における適用除外制度の見直し状況
  (3)消費者取引及び下請取引の適正化への取組

であり、これについて出された意見・質問および公取委側の回答の概要が掲載されています。

 このうち、消費者取引と下請取引の適正化に関する部分を、下に抜粋しておきます。景品表示法の消費者庁への移管問題は、先日の日弁連消費者問題対策委員会独占禁止法部会でも話題になっていましたが、政局の関係もあり、肝心の消費者庁の設置の見通しがたっておらず、景品表示法も宙ぶらりんの状態です。独占禁止法の改正も併せて、今の国会の状況には困ったもんです。
 消費者庁への移管に伴い、排除命令への不服手続が、これまでの公取委の審判手続から離れて、一般的な行政処分と同様の行政不服審査手続によることになる点が実質的には結構大きな問題です。改正案では、景表法違反に対して課徴金納付命令も予定されていますので、これについての不服手続も同様ということになります。

 なお、景品表示法の規制に関して、ちょうど山口利昭弁護士が「ビジネス法務の部屋」の昨日の記事でご意見を述べておられます。景品表示法が消費者庁に移管されると、これまでの競争法としてのスタンスから消費者保護法的スタンスに変化していくこととなり、各種偽装事件の多発ともあいまって、これまであまり議論されなかった景品表示法が事業者サイド、消費者サイドの双方から議論が高まっていくのではないかと思います。

〈議事概要から抜粋〉

◎ 消費者取引の適正化への取組
 景品表示法が消費者庁へ移管されるという話があり,法律案も出されているが,審議状況はどうなっているのか。また,景品表示法が消費者庁に移管されると景品表示法を担当していた職員が消費者庁に移ることになるのか。

→ 審議はまだされていない。基本的には,消費者取引課及び景品表示監視室の定員が消費者庁に移り,景品表示法を運用することになる。

 景品表示法が消費者庁に移管されると,消費者庁の排除命令に対して不服がある場合に,審判手続は採られず,通常の行政不服審査手続が採られることとなるのか。

→ 移管後の景品表示法では,一般の行政不服審査手続が採られることになる。

 公正競争規約の数は増えているが,規約に参加せず,公正取引委員会にアクセスもしてこないような事業者が,問題を起こすことが多いように感じられる。景品表示法の説明会は,消費者に対するものだけではなく,事業者に対しても積極的に行うようにしていただきたい。また,表示の実態調査結果等を見ると,これまでは,景品表示法上の考え方や「望ましい」表示について示しているものが多いが,それだけで終わらないよう,もう少しインパクトのある形で事業者に伝えていただきたい。

◎ 下請取引の適正化への取組
 下請代金の支払遅延や買いたたきは古くからの問題であるが,新しい事例も出てきている難しい問題である。公正取引委員会からはこれまで下請取引の適正化のためのきめ細かい支援をいただいており感謝している。

 全国中小企業取引振興協会は中小企業庁と協力して下請取引のガイドラインを作成するほか,「下請かけこみ寺」といった事業も実施していて,現状ではかなりの数の相談が寄せられている。下請取引については,今後とも継続的に調査・監視を行い,適正な取引が行われるよう指導を行っていただくことを要望したい。

2008年11月18日 (火)

ヤフーオークション詐欺被害訴訟の控訴審判決(名古屋高裁)

 昨日の朝から仕事で金沢へ一泊の出張してました。今日は夕方の京都の法科大学院の講義に行かなくてはならないのに、午前中に落雷によって北陸本線が一時運休したというニュースを聞いて焦りましたが、昼過ぎの私の乗車予定の列車には影響がなく、ホッとしました。
 金沢は思ったほど寒くはなく、かえって、京都の山にあるロースクールのほうが冷え込んでいましたね。

 さて、名古屋のヤフーオークション詐欺被害裁判の控訴審判決がどうなったのか、なかなか情報がなく気になっていましたが、町村教授のブログで、11月11日に判決があったことを知りました。結審時の予定では判決は10月7日ということだったと思うのですが、延期されていたのでしょうね。一審(名古屋地裁)の判決を維持して、原告団の敗訴となっています。

 町村教授がリンクしておられるINTERNET Watchの記事には、「判決では、ヤフーは出品者と落札者の交渉に関与しておらず、Yahoo!オークションのシステムにも瑕疵があったとは認めらないなどとして、原告側の訴えが退けられた。 」とありますが、現時点では詳しい判決理由はわかりません。

 一審判決についての当ブログ記事
 → 「ヤフーオークション詐欺被害訴訟の判決(名古屋地裁)」(3/28)
 → 「ヤフーオークションの運営者の注意義務(名古屋地裁判決続報)」(4/9)

【追記】(11/25)
 最高裁サイトに高裁判決が掲載されました。
 (細かく検討したわけではありませんけども)若干の追加主張に対する判断は加わっていますが、基本的には一審判決をそのまま支持したという感じですね。

  

2008年11月15日 (土)

「卑わいな言動」(北海道条例)の最高裁決定と田原裁判官の反対意見

 マスコミでも取り上げられましたが、北海道の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の違反の刑事事件についての最高裁決定です。
 ズボンをはいた女性の臀部(お尻ですね)を撮影した行為について、条例にいう「卑わいな言動」に該当するかどうか、が争点となっていましたが、最高裁はこの該当性を認めて、札幌高裁の有罪判決の判断を支持しました。
 ただし、後記の通り、5人の裁判官のうち田原睦夫判事が被告人無罪の反対意見を述べています。

 最高裁判所第3小法廷 平成20年11月10日決定(上告棄却)
     公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件

 事案は、
 A市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて、若い女性客に対して、その後を少なくとも約5分間、40m余りにわたって付けねらい、背後の約1ないし3mの距離から、右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて、細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい、約11回これを撮影した、
 というものです。

 この行為が本件条例の
第2条の2
 何人も,公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,正当な理由がないのに,著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
 (1) 衣服等の上から,又は直接身体に触れること。
 (2) 衣服等で覆われている身体又は下着をのぞき見し,又は撮影すること。
 (3) 写真機等を使用して衣服等を透かして見る方法により,衣服等で覆わ
  れている身体又は下着の映像を見,又は撮影すること。
 
(4) 前3号に掲げるもののほか,卑わいな言動をすること。
2 何人も,公衆浴場,公衆便所,公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所における当該状態の人の姿態を,正当な理由がないのに,撮影してはならない。」

の1項4号に該当するとして起訴されたものです。

☆ 最高裁の多数意見は、
 「被告人の本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえる」から、条例にいう「卑わいな言動」に当たるというべきとしたものです。

☆ 田原睦夫裁判官反対意見は、
 本件の被告人の行為は,条例の構成要件には該当せず、被告人は無罪とするものです。概要は、以下の通りですが(文章の要約は川村の文責です)、できれば原文を読んでいただくと味わい深いものです(微笑)。かなり説得力のある反対意見だと私は思いましたが、いかがでしょうか。

【田原裁判官反対意見概要】
 本件条例第2条の2(以下「本条」)の規定内容から明らかなように、本条1項4号(以下「本号」)に定める「卑わいな言動」とは,同項1号から3号に定める行為に匹敵する内容の「卑わい」性が認められなければならないというべきである。そして,その「卑わい」性は,行為者の主観の如何にかかわらず,客観的に「卑わい」性が認められなければならない。かかる観点から本件における被告人の行為を評価した場合,以下に述べるとおり,「卑わい」な行為と評価すること自体に疑問が存するのみならず,被告人の行為が同条柱書きに定める「著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような行為」には当たるとは認められない。

〈「臀部」を「視る」行為とその「卑わい」性について〉
 ズボンをはいた「臀部」は、誰でも「視る」ことができる状態にあり、本条1項2号にいう「衣服等で覆われている部分をのぞき見」する行為とは全く質的に異なる性質の行為である。
 「卑わい」という言葉は、「いやらしくてみだらなこと。下品でけがらわしいこと」(広辞苑(第6版))と定義され,性や排泄に関する露骨で品のない様をいうものと解されているが、衣服をまとった状態を前提にした「臀部」それ自体は、性的な意味合いははるかに低く、排泄に直接結びつくものでもない。
 「臀部を視る」という行為それ自体につき「卑わい」性が認められない場合、それが時間的にある程度継続しても、「視る」行為の性質が変じて「卑わい」性を帯びると解することはできない。
 したがって、「臀部を視る」行為自体には,本条1項1号から3号に該当する行為と同視できるような「卑わい」性は,到底認められない。

〈「写真を撮る」行為と「視る」行為との関係について〉
 対象物を「視る」行為それ自体に「卑わい」性が認められないときに,それを「写真に撮影」する行為が「卑わい」性を帯びるとは考えられない。その行為の「卑わい」性の有無という視点からは,その間に質的な差は認められないものというべきである。
 本条1項2号は、「のぞき見」する行為と撮影することを同列に評価して規定しており、本件条例の規定の仕方からも、本条1項は「視る」行為「撮影」する行為の間に質的な差異を認めていない。
 なお本条1項3号は、特殊な撮影方法をもって撮影することを規制するものであり、本件行為の評価において参照すべきものではない。

〈「卑わい」な行為が被害者をして「著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような」行為である点について〉
 本号の構成要件に該当するためには、本条1項柱書きの「著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような行為」でなければならない。
 被害者が現に「著しくしゅう恥し,又は不安を覚える」ことは必要ではないが、被害者の主観の如何にかかわらず、客観的に「著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような行為」と認められるものでなければならない。
 ところで、軽犯罪法が本件規制行為に類する行為(同法1条23号、1条28号後段)を規定しているが、その法定刑の著しい差からすれば、本条1項柱書きの「著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせる行為」とは、軽犯罪法の上記規制行為に比して、真に「著しく」「しゅう恥、又は不安」を覚えさせる行為をいうものと解すべきである。

〈本件における被告人の行為〉
 本件撮影行為は、携帯電話のカメラを右手で所持して自己の腰部付近まで下げて、レンズの方向を感覚で被写体に向け、約3mの距離から約11回にわたって被害者の臀部等を撮影したというものである。外見からして撮影していることが一見して明らかな行為とは異なり、外形的には撮影行為自体が直ちに認知できる状態ではなく、撮影行為の態様それ自体には、「卑わい」性が認められない。
 また、その撮影行為は、被害者に不快の念を抱かしめることがあるとしても、それは客観的に「著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような行為」とは評価し得ないものというべきである。
 加えて、「臀部」を撮影する行為それ自体の「卑わい」性に疑義が存するところ、撮影した写真は、腰の中央部から下半身、背部から臀部等を撮影しているものであり、「専ら」臀部のみを撮影したものとは認められず、一見して「卑わい」との印象を抱くことはできない。

〈結論〉
 本件撮影行為それ自体を本号の「卑わい」な行為と評価できず、また本条1項柱書きの「著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせる」行為ということはできないのであって、被告人は無罪である。

2008年11月14日 (金)

特定電子メールの送信等に関するガイドライン(総務省)

 総務省は、本日、「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」を公表しています。
 → 総務省サイト「特定電子メールの送信等に関するガイドラインの公表」

 「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(いわゆる迷惑メール禁止法)の一部改正が12月1日に施行されるのを前に、ガイドラインを公表したものです。今回の法改正は、オプトイン方式(事前に送信に同意した者に対してのみ広告宣伝メールの送信を認める方式)を導入するなど、規制を大幅に強化しており、法律、省令の解釈や、特定電子メールの送信に当たって推奨される事項等をまとめたガイドラインを作成した、ということです。
 → ガイドライン本文(PDF 総務省サイト)

目次は以下の通り。

特定電子メールの送信等に関するガイドライン
     (平成20年11月 総務省総合通信基盤局消費者行政課)

 1 適用範囲等(法第2条第2号等)
  ①「特定電子メール」の範囲
   1)「広告又は宣伝を行うための手段として」の意義
   2)政治活動・非営利活動等との関係
  ②「送信者」、「送信委託者」の位置付け
 2 オプトイン規制における同意(法第3条第1項第1号及び第2項)
  ①「同意」の取得

   1)原則
   2)同意取得時に表示すべき事項及びその表示方法
   3)第三者を通じた同意の取得
   4)合併・事業承継等の場合の考え方
   5)ダブルオプトイン
   6)同意の取得・確認のために送信される電子メールの取扱い
   7)デフォルトオン/オフ
   8)1つの電子メールアドレスに複数の使用者がいる場合の取扱い
  ②同意を証する記録
   1)基本的な考え方
   2)保存の内容
   3)保存期間
   4)その他
 3 オプトイン規制の例外(法第3条第1項第2号~第4号)
  ①「電子メールアドレスの通知」をした者
   1)基本的な考え方
   2)通知の内容
   3)通知の方法
   4)例外
  ②「取引関係」にある者
   1)基本的な考え方
   2)「取引関係」
  ③「自己の電子メールアドレスを公表」している団体・営業を営む個人
   1)基本的な考え方
   2)公表の方法
 4 オプトアウト(法第3条第3項)
   1)基本的な考え方
   2)通知の方法
   3)通知の内容
   4)例外
 5 表示義務(法第4条)
  ①「表示義務」についての考え方と基本的な表示事項
  ②「表示」として必要なその他の事項
  ③表示の方法
 6 措置命令(法第7条)
  ①対象となる送信者の行為
   1)一時に多数の者に対してする特定電子メールの送信その他の電子
    メールの送信
   2)送信者の行為
  ②電子メールの送受信上の支障の防止
  ③送信委託者に対する措置命令
  ④必要な措置

2008年11月13日 (木)

平成20年度旧司法試験合格発表(法務省)

 今日は、日弁連の消費者問題対策委員会の独占禁止法部会に出席で朝から東京に行ってました。来週も金沢、再来週はまた東京と、ちょっと忙しいですね。
 ということで、EU欧州委員会の車用ガラスカルテルの制裁金アメリカの液晶パネルカルテルの罰金と、日本企業などの国際価格カルテルに対する高額制裁金の報道が続いていますが、内容は報道を見ていただくとして、当ブログでは省略。

 さて、平成20年度旧司法試験第二次試験の結果が法務省サイトで公表されています。
 → 法務省サイト公表ページ

 データを見ると、合格者数 144人(前年度248人)
         合格点  296点以上
         平均年齢 29.75歳
            最高年齢46歳 最低年齢20歳
         性別構成  男性 105人
               女性  39人
 大学別合格者数は、
  東京大 25
  京都大 14
  中央大 13
  早稲田大 12
  慶應義塾大 11 
  一橋大 大阪大 6
  同志社大 5
  北海道大 名古屋大 4
  上智大 法政大 神戸大 立命館大 3
  明治大 東北大 青山学院大 九州大 日本大 専修大 千葉大
  東京外国語大 2
  関西学院大 立教大 関西大 筑波大 新潟大 学習院大
  北九州市立大 東京女子大 日本女子大 福島大 奈良女子大
  中央学院大 愛知学院大 帝京大 追手門学院大 熊本県立大  1

2008年11月12日 (水)

大気監視計測器製造販売業者の談合(公取委)

 本日、公正取引委員会は、大気常時監視自動計測器(大気中の物質を連続的に測定するための自動計測器)の製造販売業者である東亜ディーケーケー(東京都新宿区)、堀場製作所(京都市)、紀本電子工業(大阪市)の3社に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。

 この3社以外に、違反事業者としては、島津製作所(京都市)がありますが、自主申告に基づく課徴金減免制度により、同社は課徴金全額免除となり、また、同社は平成17年12月28日以降、対象製品の販売を中止し、違反行為を取りやめているということで、排除措置命令と課徴金納付命令の対象事業者にはなっていません。また、東亜ディーケーケー堀場製作所の2社も課徴金減免制度により30%の減額を受けています。

 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

〈違反行為の概要〉
 上記4社は、遅くとも平成16年6月10日以降、国の機関等が競争入札等の方法により発注する特定大気常時監視自動計測器について、受注価格の低落防止を図るため
1 調整役に直接又は間接に受注の希望の有無を表明し
 ア 受注希望者が1社のときは、その者を受注予定者とする
 イ 受注希望者が複数のときは、過去の納入実績等を勘案し、調整役を介
  して受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
2 受注すべき価格は、受注予定者若しくは調整役が単独で又は両者が協議
 して定め、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注すべき価格で受注で
 きるよう協力する
旨の合意の下に、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、公共の利益に反して、官公庁発注の特定大気常時監視自動計測器の取引分野における競争を実質的に制限していた。

〈排除措置命令の概要〉
1 東亜ディーケーケー、堀場製作所及び紀本電子工業の3社は、それぞ
 れ、前記行為を取りやめている旨を確認すること及び今後、相互の間に
 おいて、又は他の事業者と共同して、官公庁発注の特定大気常時監視自
 動計測器について、受注予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に受
 注活動を行う旨を取締役会において決議しなければならない。
2 3社は、それぞれ、1に基づいて採った措置を、自社を除く2社に通
 知するとともに、特定大気常時監視自動計測器を発注する国の機関及び
 地方公共団体並びに販売業者に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底
 しなければならない。
3 3社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同
 して、官公庁発注の特定大気常時監視自動計測器について、受注予定者
 を決定してはならない。

〈課徴金納付命令の概要〉
 東亜ディーケーケー 6656万円
 堀場製作所     3706万円
 紀本電子工業    2415万円  (合計1億2777万円)

東京スター銀行が三菱東京UFJ銀行に独禁法24条の差止請求訴訟

 昨日(11/11)、東京スター銀行が、三菱東京UFJ銀行に対して、ATMの提携解消で一方的に取引を拒絶したのは不公正な取引を禁じた独占禁止法に違反するなどとして、取引再開や損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした、と報じられています。どうやら、独占禁止法24条に基づく差止請求訴訟のようですね。独占禁止法違反というのは、不公正な取引方法の内の、単独取引拒絶でしょうか?

 このような取引契約の解消による取引停止に対する訴訟というのは、私個人的には大変思い入れのあるものですので、大変興味があるところです。

 三菱東京UFJ銀行は、東京スター銀行が金融機関と提携し現金を引き出す場合でも手数料は無料のため、東京スター銀行のATMに利用者が流れて手数料に不均衡が生じるとして提携を解消した、としています。
 これにより、11月4日から、三菱東京UFJ銀行の利用者は、東京スター銀行と、同行が「サークルKサンクス」で展開する「ゼロバンクATM」を使えなくなりましたが、東京スター銀行の利用者はこれまで通り、三菱東京UFJ銀行のATMを利用できる、ということです。

 必ずしも詳細の事実関係を把握できていませんけども、ひとまず、両行のサイトでの公表をリンクしておきますね。

 → 東京スター銀行サイト「三菱東京UFJ銀行に対する訴訟の提起について」(PDF 11/11)

 → 東京スター銀行サイト「株式会社三菱東京UFJ銀行によるATM・CDオンライン取引拒絶について」(PDF 11/4)

 → 三菱東京UFJ銀行サイト「株式会社東京スター銀行との間のTM・CDオンライン提携契約の解約について」(10/23)

 → 東京スター銀行サイト「株式会社三菱東京UFJ銀行によるATM・CDオンライン提携契約解約に関する当行の対応ならびに見解について」(PDF 9/24)

 → 三菱東京UFJ銀行サイト「株式会社東京スター銀行との間のATM・CDオンライン提携契約の解約について」(PDF 9/19)

 東京スター銀行側の発表による訴訟での請求の概要は次の通りです。

 三菱東京UFJ銀行は、東京スター銀行がゼロバンキングサービス(ATM・CDにおける他行顧客手数料の無料化)を開始したことを契機として、本年11月4日以降、東京スター銀行弊行とのCDオンライン提携業務に関する取引を一方的に拒絶した。
 これにより、三菱東京UFJ銀行の顧客が東京スター銀行のATM・CDを利用することができなくなったが、この取引拒絶行為はATM相互利用に関する諸契約、MICS(全国キャッシュサービス)運営機構の運営規約および事務取扱規則ならびに独占禁止法に違反する行為であるので、東京スター銀行は三菱東京UFJ銀行に対し、

① ATM相互利用に関する諸契約、MICS(全国キャッシュサービス)運営機構の運営規約および事務取扱規則に基づいて、東京スター銀行とのCDオンライン提携業務に関する取引を再開すること
② 本件取引拒絶行為により東京スター銀行が被った損害(1日当たり217,400円の逸失利益など)を賠償すべきこと
③ 独占禁止法24条および19条に基づく本件取引拒絶行為の差止及び本件取引拒絶行為に関するプレスリリースおよび顧客告知行為の撤回・削除・撤去

を請求したとのことです。

2008年11月11日 (火)

「We make people happy.」が「商品等表示」か?の判決(不正競争防止法)

 アイスクリーム・チェーン大手の「サーティーワンアイスクリーム」が、新興チェーン店「コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン」に対して、「Make People Happy.」という言葉を広告宣伝活動やホームページに使うな、と請求していた裁判の一審判決が出たようです(最高裁サイト知的財産裁判例集より)。
 この事件については、今年5月に裁判が起こされたことがマスコミでも報道され、少し話題になったもので、私も当ブログで書こうかと思ってたのですが、民間企業間の訴訟が始まった段階でコメントするのもどうかと考えてそのままにしておいたのですが、意外に早い判決でした。

東京地方裁判所 平成20年11月6日判決 不正競争行為差止請求事件

 原告サーティワンが長年使用してきた「We make people happy.」との文言が、周知の営業表示で、被告「Make People Happy.」などの文言が極めて類似していて、営業の誤認混同を生じさせるおそれがある、として不正競争防止法2条1項1号、3条1項に基づいて、使用差止を求めていたものです。

 裁判の争点としては、
(1)原告文言「We make people happy.」の商品等表示性
(2)原告文言の周知性
(3)原告文言と被告文言との類似性
(4)原告と被告との営業の誤認混同の有無

ということになるのですが、本件判決は、(1)の商品等表示性の判断の段階で、これを否定して、原告サーティワンの請求を棄却しました。

 判決によれば、
 原告は、米国会社からアイスクリーム製造のノウハウのライセンスを受けてアイスクリームを製造して、フランチャイズ店などに販売し、フランチャイズ店は、原告が米国会社から使用許諾を受けた登録商標を利用してアイスクリームを販売しているもので、
 「We make people happy.」という言葉は、この米国会社が営業で使用していたもので、これを原告の営業でも使用することとして、これは、原告の設立以来のモットーとなっていました(使用の態様については、判決文に具体的に書かれていますが、ここでは省略・・・判決理由の中身を検討するには、本当はここの事実関係が最も重要な部分なのですが・・・)。

 そして、この文言が、原告の業務に係る営業表示として、不正競争防止法2条1項1号「商品等表示」に該当するという原告の主張について、
 「英文であるとはいえ、このような平易かつありふれた短文の標語そのものは、本来的には、自他識別力を有するものではないことは明らかである。原告文言のような標語が法2条1項1号「商品等表示」としての営業表示に該当するためには、長期間にわたる使用や広告、宣伝等によって当該文言が特定人の営業を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、自他識別機能ないし出所表示機能を獲得するに至っていることが必要であるというべきである。」として、具体的な文言の使用状況を検討したうえで、
 「これらの原告文言の使用態様や原告文言の持つ本来的な意味合いに照らすと、上記の原告表示の使用事実をもって、原告文言が原告の業務に係る営業表示であるとして一般消費者の間に広く認識されていると認めることはできず、他に、原告文言が原告の業務に係る営業表示に当たることを根拠付ける事実を認めるに足りる証拠はない。」として、結局、原告の「We make people happy.」の文言は、不正競争防止法2条1項1号「商品等表示」に該当するものとは認められない、として、原告の請求を棄却したものです。

2008年11月10日 (月)

同乗のペット犬の負傷に対する交通事故損害賠償判決

 たまにペットの犬を車に乗せているのを見ますが、同乗していた犬の傷害についての損害賠償の裁判が最高裁サイトに出ていました。珍しいので、ご紹介します。
 愛犬の負傷(後肢麻痺)についての損害算定と、犬の同乗の際の態様に関して運転自体には過失のない被害者側に過失相殺1割を認めている点が興味を引きます。

 名古屋高等裁判所 平成20年9月30日判決 損害賠償請求控訴事件

 事案としては、大型犬(ラブラドールレトリーバー)の飼い主の車が赤信号で停まっていたところ、相手方の車が追突して、飼い主らが負傷するとともに、同乗の愛犬も腰椎骨折の傷害を負って、後ろ足の麻痺が生じているというもの。

 これにより、飼い主である夫婦2名が原告となって、相手方運転手及び雇い主を被告として、約990万円の損害賠償請求訴訟を起こした結果、1審判決(名古屋地裁)は、飼い主の請求の一部を認容しましたが、相手方らがこれを不服として控訴したのが本件控訴審です。1審が損害賠償として認めたのは約104万円でした。

 控訴審判決は、まず、犬の傷害による損害も、「物」の損害であることを前提としながら、「しかしながら,愛玩動物のうち家族の一員であるかのように遇されているものが不法行為によって負傷した場合の治療費等については,生命を持つ動物の性質上,必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく,当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠なものについては,時価相当額を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度において,不法行為との間に因果関係のある損害に当たるものと解するのが相当である。」としました。
 つまり、車のような物の損害の算定であれば、原則として、車が壊れて修理費が高額になったとしても、当時の時価相当額(通常は下取り相当価額)を上限として算定されるのが原則になります。つまり高いコストをかけて修理するより、同等の中古車を買えばよいという考え方ですね。この高裁の判決は、愛犬であっても、(人の傷害とは違って)「物」の損害ではあり、時価相当額を念頭に置く必要はあるけれども、「社会通念上、相当と認められる限度において」生命の確保、維持に必要不可欠な治療費などは損害と認められるのが相当だとしたものです。車などと違って、買い換えれば同じでしょ、とは言えないという考え方ですね。

 そして、判決によれば、犬の時価相当額は、子犬で購入した6万5000円を下回るか、少なくとも、大きく上回ることはない、ということを念頭に置いて、治療状況を検討して、治療費、車いす製作料13万6500円を交通事故との間に相当因果関係のある損害と認めました。

 さらに、慰謝料も認めています。「慰謝料」というのは、精神的な損害に対する賠償のことですが、ここでいう「精神的な損害」というのは、愛犬自身の精神的な損害ではなく、もちろん、愛犬が重大な傷害を負ったことについての飼い主の精神的な損害です。これについて、判決は「近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。そして,そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である。」としました。そして、飼い主両名が我が子のように愛情を注いで飼育し、かけがえのない存在になっていたことを認め、犬の負傷の内容、程度、介護の内容、程度等からすれば、犬が死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているものといえるとして、両名20万円ずつの慰謝料を認めました。

 次に、過失相殺ですが(事故そのものは追突事故なので、飼い主側に過失はありません)、判決は、「自動車に乗せられた動物は,車内を移動して運転の妨げとなったり,他の車に衝突ないし追突された際に,その衝撃で車外に放り出されたり,車内の設備に激突する危険性が高いと考えられる。そうすると,動物を乗せて自動車を運転する者としては,このような予想される危険性を回避し,あるいは,事故により生ずる損害の拡大を防止するため,犬用シートベルトなど動物の体を固定するための装置を装着させるなどの措置を講ずる義務を負うものと解するのが相当である。」として、このような措置をとっていなかった飼い主らには過失があるとして、1割の過失相殺を認めています。「犬用シートベルト」というのがあるんですね。この判決の考え方だと、被害者側の運転に過失がない場合でも、このようなことをしていないと、犬の損害賠償については、1割ほどの過失相殺がされるということになります。

 結局、飼い主らには、弁護士費用を含め、1人当たり26万6425円の合計53万2850円の賠償請求が認められたことになります。ただ、実際の弁護士費用を含めた経費などを考えれば、飼い主としては、満足できる結果とはいえなかっただろうと想像いたします。

【追記】(11/10)
 蛇足ですが、ペットの動物に関する法律問題を扱う「ペット法学会」という学会があり、今年で10年目になるそうです。で、先週の土曜に大阪の高槻で10周年記念の大会があったようですね。私は会員ではありませんが、ご紹介しておきます。
 蛇足の蛇足ですが、当ブログで最近、ペット関係で記事を書いたと言えば、
 → 「ペットの取引表示の実態調査報告(公取委)」(6/23)

2008年11月 9日 (日)

東京マラソン(無駄話)

 日曜なので気楽な話です。

 来年3月の第3回東京マラソンですが、出場定員3万人に対して、20万人を超える申込みがあったようですね。その出場についての当選(というのかな)の発表がありました。
 もっとも、私は申し込んでいないので関係ないのですが、ランニング仲間のメールやマラソン愛好家のブログなどで、いろいろ報告がされています。私が見た限りでは、残念ながら、今の所全員が討ち死にのようでした。

 私は、運良く第1回の東京マラソンに出場でき、冷たい雨が降り注ぐ新宿の東京都庁からスタートしました。足底の故障もあり、4時間24分と記録的には満足できませんでしたけども。

 最近、ある知人がある所に書いていたのですが、マラソンをしているというと、ランニングをしない人から「東京マラソンは走らないんですか?」って言われる、とのこと。彼は市民ランナーとはいっても、私よりちょっと年上ながらもフルマラソンを2時間台で走ってしまう人です。

 市民レースのことをあまりご存じない人たちにとっては、市民ランナーならば、あの有名な「東京マラソン」に出るだろうということなのでしょうか。私は東京マラソンで聞かれたことはありませんが、かなり以前から、本当によく聞かれるのが「ホノルルマラソンは出たんですか?」という質問です。あれは、ランニング経験ない人でも気楽に出られる観光レースなんですけどね。制限時間もないようなもんですし。

 海外レース出るなら、一度は、ニューヨークマラソンに出たいです。

2008年11月 8日 (土)

亜鉛めっき鋼板カルテルの刑事告発について(独禁法)

 昨日(11/7)は、大阪国際会議場で「上場会社コンプライアンス・フォーラム」というのに参加してきました。普段の私の守備範囲とは少し違う大企業の法務関係のテーマなのですが、それだけにいくつか参考になった点もありました。基調講演の冒頭で國廣正弁護士が、最近の企業不祥事事件の食品偽装も不正会計も談合・カルテルも、市場での虚偽の表示、欺まん行為の問題であり、市場におけるフェアプレイができているかの問題であり、実害が生じたかどうかの問題ではない、市場競争への参加資格の問題である、と指摘されていたところは、なるほどとうなずいてしまいました。

 さて、そこでも出てきたカルテル事件ですが、建材向けの亜鉛めっき鋼板カルテルで、公正取引委員会が独占禁止法違反で、関与した大手鋼板メーカー3社を来週にも刑事告発へ、と報道されています。(※11/11に告発されました。本記事末尾追記参照)

 この事件に関しては、今年1月、公正取引委員会が、犯則調査権に基づいて、日新製鋼、日鉄住金鋼板、JFE鋼板、淀川製鋼所の4社の鋼板メーカーに対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで家宅捜索を行った、と報道されていたことについて、当ブログでも、今年1月24日付記事「亜鉛鋼板カルテルについての犯則調査(公取委)」で書きました。

 関与事業者4社の内、JFE鋼板だけが告発対象からはずれる見通しと報じられているのは、最初に公取委に自主申告したからのようですね。

 実は、独占禁止法上は、自主申告によって責任が減免されるのは、課徴金についてだけです。刑事罰に関して、法文上はどこにも減免制度は存在しません(民事責任についても存在しませんが)。

 しかし、課徴金の減免だけで、刑事罰については原則通りに課せられるとすると、自主申告制度の実効性があがらない結果となるため、政策上、課徴金減免制度の対象となる自主申告を最初に行った事業者については、公取委による刑事告発を行わない方針をとっているのです。独占禁止法違反の犯罪は、公取委による専属告発ですので、公取委の告発がない以上、検察庁も起訴できない、ということになります。

 これに関しては、自主申告制度を有効なものとするため、という目的は大変よくわかります。しかし、刑事罰を受けるかどうかというのは、企業にとっても個人にとっても重大なことです(前科者になるわけですしね)。したがって、最初に自主申告をした企業および個人については刑事罰が科せられず、その他の者は刑事罰が科せられるという差は非常に大きいものです。このような大きな差異が生じることを法律上の直接の根拠無しにやってもいいものか、というのは以前から疑問をもっています。
 例えば、カルテルを行うにあたって主導的な立場をもっていた、いわば主犯的な企業が、一転して最初に自主申告を行ったケースを考えてみれば、その主犯格企業や役職員のみが刑事責任を免れて、それに付き従ってきた他の企業や役職員が刑事責任を問われる、というのは、不公平に過ぎるように思えるのですが。もし、それでもこういった制度が必要だというのならば、法律によって、告発が免除されるような規定を明確に規定すべきだと考えます。刑事告発についての裁量権がそこまで許されるとは思えません。

 この公取委の刑事告発に関する方針は、平成17年10月7日公表の「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」に示されており、下記に該当する者については告発しない、というものです。
 なお、この「方針」を探してみましたが、正式版は公取委サイトでも見つかりませんでした。ただ、平成18年5月に公取委が告発した「し尿処理施設建設工事入札談合事件」の告発の公表時の資料の最後に付いていましたので参考のためリンクしておきます。
 → こちら(PDF)
 また、方針公表時の「概要」は、平成17年10月6日付公取委報道発表「独占禁止法改正法の施行に伴い整備する公正取引委員会規則等の公表について」の下のほうにある「別紙」からリンクされているPDFの「別紙6」にあります。

  • 調査開始日(当該違反行為に係る事件について立入検査又は臨検・捜索等が最初に行われた日)前に最初に課徴金の免除に係る報告及び資料の提出を行った事業者(ただし,①当該報告又は資料に虚偽の内容が含まれていたこと,②追加して求められた報告若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたこと及び③他の事業者に対し違反行為をすることを強要し,又は他の事業者が違反行為をやめることを妨害していたこと(独占禁止法第7条の2第12項各号)のいずれかに該当する事実があると認められる事業者を除く。)

  • 当該事業者の役員,従業員等であって当該独占禁止法違反行為をした者のうち,当該事業者の行った公正取引委員会に対する報告及び資料の提出並びにこれに引き続いて行われた公正取引委員会の調査における対応等において,当該事業者と同様に評価すべき事情が認められるもの

【追記】(11/11)
 報道によれば、公正取引委員会が、上記3社につき、正式に検事総長宛に刑事告発を行ったようですね。今回は法人のみですが、過去の例からいって、今後、関与役職員個人についての追加告発がなされるものと考えられます。根拠事実と罰条は下記の通り。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

◎告発の根拠事実と罰条

  1. 事実

    被告発会社3社は,不特定多数の需要者向け溶融55パーセントアルミニウム亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯の製造販売等の事業を営む事業者であるが,その従業者らは,本件商品の製造販売等の事業を営む他の事業者の従業者らとともに,本件商品に関し,平成18年4月ころから同年6月ころまでの間,東京都内で会合を開催するなどして,同年7月1日以降出荷分の本件商品の販売価格を,同年6月時点における各社販売価格から1キログラム当たり10円引き上げる旨合意し,もって,各社が共同して,本件商品の販売に関し,その事業活動を相互に拘束することにより,公共の利益に反して,本件商品の販売に係る取引分野における競争を実質的に制限した。

  2. 罰条
    独占禁止法89条1項1号,95条1項1号,3条

【追記の追記】(11/18)
 この刑事告発に関して、公取委事務総長の定例記者会見の内容が公表されていますので、リンクしておきます。
 → 公取委サイト事務総長定例会見記録(11/12)

【追記の追記の追記】(12/8)
 12月8日付で、公取委は検事総長に対して、日新製鋼、淀川製鋼所、(日鉄住金鋼板の前身である)日鉄鋼板、住友金属建材の各従業者として販売業務に従事していた者計6名の追加告発を行いました。

筑紫哲也さんに合掌

 筑紫哲也さんが亡くなりましたね。
 「朝日ジャーナル」と「プレイガイドジャーナル」が私の大学生時代の愛雑誌でした。「朝日ジャーナル」のような雑誌は、もう大学生には読まれない時代になったのでしょうね。その一方で「プレイガイドジャーナル」(プガジャ)のような雑誌も、なくなってしまいました。プガジャを時代遅れにして潰してしまった「ぴあ」でさえ、今では大変なようですものね。何だか残念です。
 そういえば、プガジャに連載されてた中島らものカネテツの連載漫画が大好きでしたが、中島さんも早々に亡くなってしまいました。 

 感傷的になるのは、こちらが歳をとったからということなのでしょうね。
 でも、どんな形にせよ、今でも若い世代がそのエネルギーを社会に対して働きかける気持ちが残っていることを祈りたいですね。
 筑紫さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。

2008年11月 6日 (木)

iPhone(アイフォーン)の解約制限への申入(消費者機構日本)

 NPO法人「消費者機構日本」(COJ)が、本日発表したところによれば、ソフトバンクモバイルに対し、10月28日付で、米アップル製の携帯電話「iPhone 3G」を購入する際、契約書に「いかなる状況においてもキャンセルできない」と記されている点が民法や消費者契約法に抵触する可能性があるため、この文言を削除することなどを求めた申入書を送付した、と報じられています(時事)。回答期限は今月18日とのこと。

 報道記事の通りに、契約書上、「いかなる状況においてもキャンセルできない」旨が書かれているのであれば、確かに問題です。ちょっと、詳しく確認しようと思って、消費者機構日本のサイトを見てみると、現段階では(11/6 PM6:00)、上記の申入書の件についてサイト上の公表はありませんね(もちろん、ソフトバンクモバイルのサイトにも。)。ただ、今年9月から、サイト上で、この解約問題の情報を受け付けているようです。

 でも、ちょっとここのサイトで気になるのは、TOPICSページ「iPhone 3Gの解約に関する情報を受け付けています」という告知をクリックしても一般的な(クレジット契約を前提とした)情報提供フォームのページに移るだけで、「iPhone 3Gの解約に関する情報」というのがいかなる問題に関するものかの説明がどこにも見あたらず、果たして、この問題を抱えたユーザーがこのページにたどりつき、また、情報を提供してくれるかどうかも何となく心配になります。
 せっかくの活動ですし、問題についての説明を入れておかれたほうが、情報収集にも効果的と思いますし、これから購入されようとされている消費者にも参考になるのではないか、と思いました。

【追記】(11/6 PM6:40)
 と、書いてからネットで再確認したら、時事が続報で、ソフトバンクモバイルが、「不適切な表現があった」として、書類の配布を取りやめたことを明らかにし、同社は「この表現は削除し、法令上可能なキャンセルは受け付ける」としている、と報じています。

 消費者機構日本の取組が効を奏したということになりました。でも、企業側としては、対応が速いのだか、遅いのだか。。。

【追記】(11/7)
 今日、消費者支援機構日本のサイトに、公表記事が出ていました。

段ボール製品加工下請に関する勧告(公取委)

 本日、公正取引委員会は、株式会社エーワンパッケージ(岐阜県可児市)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 先日の看板、標識等製造業者ユニットに対する下請法違反勧告と同じく、製造の下請に関する下請代金不当減額(下請法4条1項3号)のケースです。

(違反事実の概要)
 エーワンパッケージは、自社が製造販売する美粧段ボール製品の加工を下請事業者に委託しているところ
ア 自社の利益を確保するため、下請事業者に対して、「協力値引き」等と
  称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、こ
  の要請に応じた下請事業者14名に対して、下請代金の額から一定率を
  乗じて得た額を、
イ 下請代金を現金により支払うこととしているところ、金融機関の口座へ
  振込手数料として、下請事業者33名に対して、下請代金の額から自社
  が実際に支払う振込手数料を超える額を
それぞれ差し引くことにより、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。

(勧告の概要)
ア 平成19年2月から同20年8月までの間に、「協力値引き」等と称し
  て又は振込手数料として下請代金の額から減じていた額(総額1103
  万7999円)を下請事業者(34名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事
  業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じない旨を取締役
  会の決議により確認すること。
ウ 今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じる
  ことがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社
  内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社
  の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

2008年11月 5日 (水)

「マイマップの公開設定をご確認ください」(Google)

 朝日が、名古屋市内の病院がインターネットの地図情報サービス「グーグルマップ」を利用して、人工透析患者ら約80人分の氏名、住所、電話番号などの個人情報が、今年8月ごろから不特定多数に閲覧できる状態になっていたことがわかった、と報じています。
 単純にグーグルマップを利用するのではなく、「マイマップ」というサービスを利用した場合のようですが、他の報道でも、小学校の児童の情報や倒産情報、アルバイト応募者情報などいろいろなケースがあるとされているようです。

 これに関連して、昨日、グーグルは、「マイマップの公開設定をご確認ください」という告知を出しています。
 → グーグルの当該告知ページ

 これによれば、「マイマップは、カスタマイズした情報をインターネット上で共有することが目的のサービスですので、初期設定は「一般公開」になっています。一般公開と設定すると、全世界のインターネットユーザーとその情報を共有することができ、検索の対象となります。また、限定公開とした情報は、作成者がマップの URL を家族や友人など、自分が決めた範囲の人と共有したり、さらに、「一緒に編集」と設定すると、他の人も情報を入力したりすることができます。」ということで、「すでにマイマップをご利用のユーザーの皆さまは、いま一度、ご自身の公開設定状況をご確認いただき、もし公開したくない情報を誤って公開している場合は、限定公開とするか、情報ごと削除されることをお勧めします。」と注意を呼びかけています。

 マイマップのサービスをご利用の方はご注意下さい。

 知らずに利用して、不注意で放置していても、個人情報などを公開されてしまった者から、法的にも管理責任を問われる場合はあり得ますよ。

2008年11月 4日 (火)

情報ネットワーク法学会第8回研究大会

 今日は、午前中に東京地裁で裁判、その後、夕方から京都でロースクールの講義ということで、事務所に寄らずに駆け回ってました。
 留守中の事務所に某マスコミから音楽著作権の専門家を探しているとかで取材電話があったようで、何のことやろ、と思ってましたが、よく考えると小室哲哉逮捕の関連でコメントがほしかったのでしょうね。結局誰がコメントしたのかな?

 さて、12月6日の情報ネットワーク法学会の研究大会の内容が公表されたようです。今回は、東京電機大学神田キャンパスが会場とのこと。
 → 情報ネットワーク法学会サイト

 午後からの招待講演が内田貴先生の『現代における債権法改正の意義』ということで、是非参加したいと思うのですが、まだ未定です。

2008年11月 2日 (日)

同級生が紫綬褒章を受章したので「勲章と法律」について

 今日は淀川市民マラソンのハーフ部門に出場して、1時間46分という記録でした。ランナーにとっては暑かった。

 さて、このレース大会会場(枚方の淀川河川敷公園)に着いたときに来た高校の同級生からのメールで知ったのですが、同級生だったガラス工芸作家の渡邊明君が紫綬褒章を受章したという知らせでした。おめでとうございます。
 前に当ブログの今年7月17日付記事「住民訴訟判決とガラス工芸展」で紹介させていただきましたが、私とは小学校から高校まで同級生だった作家の方です。それにしても、40歳台で芸術部門の紫綬褒章とはびっくりしました。

 日本での勲章制度については、「勲章法」というような法律はありません。憲法7条の天皇の国事行為の中に「栄典を授与すること」というのがあって、勲章はこの栄典の1つというものです。具体的な内容については、昔の勅令や太政官布告などに基づくことになっているようです。
 なお、憲法14条「法の下の平等」を定めていますが、この3項には「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」としています。したがって、勲章はもらっても、金銭的、経済的な恩典が付いてはこないことになっています。

【追記】(11/10)
 日本の勲章制度一般についてはこちらへ
 → 内閣府サイト「日本の勲章・褒章」

2008年11月 1日 (土)

ヤフオクID問題 続報

 ヤフーオークションに関する消費者支援機構関西(KC’s)の要請書についての前回記事の後、ヤフー側に動きがあったようです。要請書と関係があるかどうかは今の所はわかりませんけどね。

 以前の当ブログの記事にコメントをいただいた「つれづれ管理人」さんのブログ「つれづれJUNK」や他の某掲示板投稿によれば、ヤフーは、ID不正利用された形跡のあるユーザーに対して、11月のシステム利用料請求を一旦保留する旨のメールを送りはじめたようですね。

 しかし、私の見た限りではヤフーのサイトでは、まだ、この対応を公表していないように思えます(間違いであれば御指摘下さい)。そのことを含め、この問題(に限らないと思うのだけど)についてのヤフーのユーザーや社会に対する対応は充分なものとはとても言えないと思っています。

 ヤフーの個人情報流出についての裁判で明らかになった当時のヤフー自身のパスワード管理の状況やその責任回避の主張にびっくりした私としては、素人のユーザーに一方的に責任を押し付けるのはおかしいでしょ、と感じざるを得ません。

 もちろん、ネット社会においてユーザー側にもIDやパスワードの管理については各自の責任が全くないとはいいませんけども、果たして今回のケースはそういう問題なのでしょうかしらん。。。
 いずれにせよ、ヤフーが行ってきたはずの今回の問題の調査・検討の結果を広く社会に公表することは、ネットオークションで国内の独占的な立場にある大企業として当然の社会的責任かと思います。それがコンプライアンスというものではないでしょうか。ヤフーやヤフオクが一般の利用者に信頼されるためにも、充分に考え直していただきたいと思います。

 名古屋でのヤフオク詐欺被害についての集団訴訟では、ヤフー側は、ヤフーオークションは、オークションとは言っても、伝統的なオークション業者の主催するようなオークションとは性質が異なり、取引のきっかけとなる場を提供しているだけである、と主張し、詐欺を含めた売り主と買い主との間の問題についての契約上や不法行為上の責任は負わないというような趣旨の主張をしました(名古屋地裁は、そこまで極端な認定はしませんでしたが)。皆さんはどう思います?

 なお、前にも紹介したことがありますが、私も検討グループに参加させていただいた消費者支援機構関西の提言「インターネットオークションにおけるトラブルの防止と消費者保護について」(昨年12月公表)も興味がある方はご覧ください。
     → こちら(PDF)

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