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2008年10月28日 (火)

不当訴訟提起に対する損害賠償訴訟判決(請求棄却)

 最高裁判所サイトの「知的財産裁判例集」で公表された大阪地裁判決なのですが、この訴訟自体は、知的財産権の侵害の事件ではなく、不当訴訟提起に対する損害賠償を求めた事案です。

 平成20年10月23日大阪地方裁判所判決 損害賠償等請求事件

 この事件の原告X社は、パチスロ機に関する特許権などの知的財産権の管理会社であり、被告Y社を含むパチスロ機製造業者20社との間でいわゆる「パテントプール」を構成していたものです。

 このパテントプールは、X社が、パチスロ機に関する特許権、実用新案権についての再実施許諾権付きで通常実施権の設定を受ける契約を締結して、パテントプール構成業者に対し、再実施許諾する旨の契約をそれぞれ締結していたものです。これによって、お互いに知的財産権を利用しあえるわけですね。

 Y社は、このパテントプールの対象となっているパチスロ機に関する実用新案権を有していたのですが、X社との間の契約を解除したうえで、その実用新案権を利用していたパテントプール構成業者5社に対して、実用新案権の侵害として損害賠償請求の訴訟を提起しました(平成13~14年)。X社は、このY社が原告となった訴訟において、被告5社に補助参加しています。

 ところが、この訴訟の審理中に、実用新案権の無効審決が出て、審決取消訴訟でもY社が敗訴して、実用新案権の無効が確定してしまったため、Y社はこの訴訟を続けることができず、平成16年に請求を放棄したのです。

 そこで、X社が、Y社の提訴は5社(被告)に対する不法行為に当たり、補助参加したX社に対する関係でも、不法行為及び債務不履行を構成するなどとして、構成員5社の応訴に要した費用として支払った金員等を損害として請求したのが冒頭の訴訟です。

 今回の判決は、不当訴訟に関する昭和63年1月26日最高裁判決「民事訴訟の提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(権利等)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られる」という判断を前提としたうえで、Y社が、本件各提訴にかかる訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くことにつき、これを知りながら、又は容易に知り得たにもかかわらず、本件各提訴をしたということは困難であるとして、本件提訴が、不法行為を構成するとはいえず、その他、Y社が、裁判制度の趣旨目的に照らし、著しく相当性を欠くと認められる事情が存すると認めることはできない、として、原告X社の請求を棄却しました。

 なお、このX社のパチスロ機のパテントプールに関しては、アルゼ対サミー事件(平成15年6月4日東京高裁判決。ここでもX社が被告サミーの補助参加人となっています。)や、X社が原告となりアルゼに対して不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為を理由とした差止・損害賠償請求を求めた事件(ここでも、不当訴訟提起が1つの争点になっています。)など、これまで他にも紛争が生じています。

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