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2008年10月の記事

2008年10月31日 (金)

ヤフオクID乗っ取り問題に関する要請書(KC’s)

 この月曜日にも、当ブログで、クレジットカード会社に対する申し入れを紹介した「消費者支援機構関西」(KC’s)ですが、10月29日、ヤフー株式会社に対して、ヤフーオークションのID乗っ取り問題に関する「要請書」を送付したことを公表しています。
  → KC’sサイト公表ページ
  → 記者発表資料(PDF)
  → 要請書(PDF)

 このヤフオクのID乗っ取り問題については、当ブログでも取り上げてきましたので、経緯については、それをご覧ください。
 → 「ヤフオク会員に身に覚えない利用手数料の請求だそうな。」(9/6)
 → 「ヤフオクのIDを盗むフィッシングサイトだそうな。」(10/3)
 → 「ヤフーID乗っ取り事件(ヤフオク)の続報」(10/6)

 今年9月以降、KC’sは、被害実態をより効果的に調査・把握するため「ヤフーオークションに関するID乗っ取り被害に関する緊急アンケート」を実施してきたが、このアンケートに対し、182件の回答があり(10月10日現在)、これを含め、現在までに約250件の被害情報の提供を受けているということです。

 これらのアンケート結果などを踏まえ、KC’sは、「要請書」を送付して、ヤフー株式会社に対して、9項目の事項についての検討・対応を要請した、としています。 要請書の内容については、上のリンクからPDFファイルをご覧ください。

 私もKC’sの会員で、この要請書の活動にちょっとだけですが、お手伝いしましたので、ヤフーがどのような誠実な対応をなされるのか、大変興味を持っております。 

【追記】(11/19)
 KC’sに対して、ヤフーから回答書が届いたようです。
 → こちら

2008年10月30日 (木)

札幌市発注の下水処理施設電気設備工事入札談合に対する排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)

 公取委関連の記事が久しぶりに連続してしまいました。

 昨日(10/29)、公正取引委員会は、札幌市が発注する特定電気設備工事の入札参加業者らに対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして排除措置命令及び課徴金納付命令を行っています。
 また、これに関して、札幌市の職員による入札談合等関与行為が認められたため、札幌市長に対し、入札談合等関与行為防止法に基づき。改善措置要求を行っています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 これまでにも報道されてきた事件ですが、今回も、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)が適用されています。
 今回の違反行為事業者は、三菱電機、日立製作所、明電舎、東洋電機製造、日新電機、安川電機、富士電機システムズ、神鋼電機、東芝、富士電機ホールディングスの全部で10社ですが、今回、排除措置命令、課徴金納付命令の対象となったのは、8社で、東芝、富士電機ホールディングスの2社は両命令の対象にはなっていません。
 富士電機ホールディングスについては別の理由のようですが、東芝は、自主申告によって、課徴金を全額免除されています。また、三菱電機、日立製作所の2社も30%の減額を受けています。

 なお、(財)公正取引協会月刊誌「公正取引」最新号には、この課徴金減免制度が特集されていて、アメリカやEUの制度についての紹介もあり、参考になります。

2008年10月29日 (水)

20年度上半期下請法等の運用状況及び今後の取組(公取委)

 昨日は、景品表示法でしたが、今日は、「平成20年度上半期における下請法等の運用状況及び今後の取組」公正取引委員会が公表しています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)(概要と本文)

 下請代金支払遅延等防止法(下請法)違反行為に対する勧告(本年4月~9月)の件数は6件で、内5件は下請代金の減額事件、残る1件は購入強制事件。

 下請代金の減額事件については、勧告又は警告により、下請事業者589名に対し、総額23億5446万円の減額分を返還するよう指導しており、 下請代金の支払遅延事件については、警告により、下請事業者949名に対し、総額1億9304万円の遅延利息を支払うよう指導している。

 このように、公取委の権限発動により、下請事業者は支払を受けることができるわけで、下請事業者側からももっと活用を考えてもいい制度であると思います。

 さて、同じく本日、久しぶりに下請法違反勧告が、公正取引委員会から公表されています。ここでも、不当減額分の総額約4155万円を下請事業者に支払うよう命じています。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

 これは、看板、標識等の製造業者であるユニット株式会社(東京都板橋区)に対して、下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、勧告を行ったものです。

〈違反事実の概要〉
 ユニットは、業として行う販売の目的物たる看板,標識等の製造及び業として行う提供の目的たるシルクスクリーン印刷により看板,標識等を印刷する際に用いるデータである情報成果物の作成の全部又は一部を下請事業者に委託しているところ、下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、下請事業者に対して、「分引き」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請した。
 ユニットは、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。

〈勧告の概要〉
ア 平成19年4月から同20年3月までの間に,「分引き」と称して
 下請代金の額から減じていた額(総額4155万1505円)を下請
 事業者(37名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下
 請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じない旨を
 取締役会の決議により確認すること。
ウ 今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減
 じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行う
 など社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容
 等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

2008年10月28日 (火)

20年度上半期景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組(公取委)

 本日、公正取引委員会が、「平成20年度上半期における景品表示法の運用状況及び消費者取引の適正化への取組」を公表しています。
 → 公取委サイト報道公表資料(PDF)(概要と本文)

〈概要〉

第1 景品表示法事件の処理状況
 1 公正取引委員会
 (1)処理件数
    ○ 平成20年4月~9月における景品表示法事件の処理件数
      排除命令21件 警告7件 注意243件 合計271件
 (2)排除命令及び警告
   【排除命令】
    ・ デトックスによる痩身効果を標ぼうする商品に関する不当表示
    ・ コピー用紙の古紙配合率に関する不当表示
    ・ キャビアの品質及び原産国に関する不当表示
    ・ 手帳の原産国に関する不当表示
    ・ トイレ用芳香消臭剤の効果に関する不当表示
    ・ ミネラルウォーターの内容に関する不当表示
    ・ 不動産に関するおとり広告等
    ・ IP電話の料金に関する不当表示
    ・ 衣料品のカシミヤ混用率に関する不当表示
    ・ 航空機の座席に関する不当表示
    ・ 枕の原材料に関する不当表示
    ・ オール電化住宅の電気料金に関する不当表示(10月)
   【警告】
    ・ 園児用歯ブラシの抗菌加工に関する不当表示
    ・ 乗馬型運動器具の痩身効果に関する不当表示
    ・ 名水使用を標ぼうするそうめん等に関する不当表示
    ・ 携帯電話役務の料金に関する不当表示
    ・ 仏壇の不当な二重価格表示(10月)
 2 都道府県
 
   ○ 平成20年度上半期に景品表示法に基づく指示件数は7件

第2 消費者取引の適正化への取組
 1 適格消費者団体による団体訴訟制度の導入
   景品表示法に規定する不当表示について、消費者契約法に基づく適格
  消費者団体に差止請求権を付与することなどを内容とする消費者契約法
  等の一部を改正する法律案が平成20年4月25日に可決・成立、5月
  2日に公布(平成21年4月1日から施行)。
 2 公正競争規約の設定等
  ○ 「食用塩の表示に関する公正競争規約」を新たに認定
  ○ 本年10月1日現在 規約数106件(景品38件、表示68件)
 3 表示実態調査
  ○ 以下の表示に関する実態調査を行い、景品表示法上の考え方を整理
    し、公表
  ・ No.1表示に関する実態調査(平成20年6月公表)
  ・ 見にくい表示に関する実態調査(同上)
  ・ ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査(同上)
 4 景品表示法の普及・啓発,消費者団体との意見交換
 5 関係行政機関との連携
 6 諸外国との連携

第3 景品表示法の消費者庁への移管
  消費者行政推進基本計画(平成20年6月)において、景品表示法につ
 いては所要の見直しを行った上で消費者庁に移管することとされた。
  これを受け、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため
 ① 内閣総理大臣が不当な景品類の提供を制限若しくは禁止し、又は不当
  な表示を禁止することができ、必要な命令をすることができること
 ② 事業者団体等は、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受け、景
  品類又は表示に関する自主規制のための規約を締結することができること
 ③ 消費者庁設置前に公正取引委員会がした景品類の制限又は禁止に係る
  告示及び公正取引委員会が認定した規約は、それぞれ、内閣総理大臣が
  した制限又は禁止並びに内閣総理大臣及び公正取引委員会が認定した規
  約とみなすこと

  などを内容とする景品表示法改正規定等を含んだ消費者庁関連三法案
 (消費者庁設置法案、消費者安全法案及び消費者庁設置法の施行に伴う関
  係法律の整備に関する法律案)が平成20年9月29日に第170回国
  会に提出された。

不当訴訟提起に対する損害賠償訴訟判決(請求棄却)

 最高裁判所サイトの「知的財産裁判例集」で公表された大阪地裁判決なのですが、この訴訟自体は、知的財産権の侵害の事件ではなく、不当訴訟提起に対する損害賠償を求めた事案です。

 平成20年10月23日大阪地方裁判所判決 損害賠償等請求事件

 この事件の原告X社は、パチスロ機に関する特許権などの知的財産権の管理会社であり、被告Y社を含むパチスロ機製造業者20社との間でいわゆる「パテントプール」を構成していたものです。

 このパテントプールは、X社が、パチスロ機に関する特許権、実用新案権についての再実施許諾権付きで通常実施権の設定を受ける契約を締結して、パテントプール構成業者に対し、再実施許諾する旨の契約をそれぞれ締結していたものです。これによって、お互いに知的財産権を利用しあえるわけですね。

 Y社は、このパテントプールの対象となっているパチスロ機に関する実用新案権を有していたのですが、X社との間の契約を解除したうえで、その実用新案権を利用していたパテントプール構成業者5社に対して、実用新案権の侵害として損害賠償請求の訴訟を提起しました(平成13~14年)。X社は、このY社が原告となった訴訟において、被告5社に補助参加しています。

 ところが、この訴訟の審理中に、実用新案権の無効審決が出て、審決取消訴訟でもY社が敗訴して、実用新案権の無効が確定してしまったため、Y社はこの訴訟を続けることができず、平成16年に請求を放棄したのです。

 そこで、X社が、Y社の提訴は5社(被告)に対する不法行為に当たり、補助参加したX社に対する関係でも、不法行為及び債務不履行を構成するなどとして、構成員5社の応訴に要した費用として支払った金員等を損害として請求したのが冒頭の訴訟です。

 今回の判決は、不当訴訟に関する昭和63年1月26日最高裁判決「民事訴訟の提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(権利等)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られる」という判断を前提としたうえで、Y社が、本件各提訴にかかる訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くことにつき、これを知りながら、又は容易に知り得たにもかかわらず、本件各提訴をしたということは困難であるとして、本件提訴が、不法行為を構成するとはいえず、その他、Y社が、裁判制度の趣旨目的に照らし、著しく相当性を欠くと認められる事情が存すると認めることはできない、として、原告X社の請求を棄却しました。

 なお、このX社のパチスロ機のパテントプールに関しては、アルゼ対サミー事件(平成15年6月4日東京高裁判決。ここでもX社が被告サミーの補助参加人となっています。)や、X社が原告となりアルゼに対して不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為を理由とした差止・損害賠償請求を求めた事件(ここでも、不当訴訟提起が1つの争点になっています。)など、これまで他にも紛争が生じています。

2008年10月27日 (月)

クレジットカード暗証番号盗用に関する約款に対する申入書

 なんだかバタバタしていて、ブログ更新ができないままになっていました。

 さて、消費者契約法の適格消費者団体であるNPO法人「消費者支援機構関西」(KC's)が、今月16日に、クレジットカード会社3社(三井住友カード、三菱UFJニコス、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)に対し、クレジットカードの「暗証番号の入力を伴う取引についての損害」について、申入書を送付し、要請しています。
 → KC’sサイト 公表ページ

 これは、カード会社の約款で、暗証番号の不正利用などによる損害に関して、原則として契約者が責任を負い、例外的に「暗証番号の管理について、会員に故意または過失がないと当社が認めた場合」のみカード会社が責任を負うこととなっている点を、
 原則としてカード会社が責任を負い、契約者に故意・過失があるとカード会社が明らかにした場合に契約者が責任を負うという趣旨に変更するよう求めているものです。

 この申入書によれば、

 契約者は、カード、暗証番号を適正に管理をすること以上に、不正使用のリスク回避のための手段を持っておらず、さらに、現実に暗証番号を使ってカードの不正使用がなされた場合に、自らに過失がないことを明らかにすることは困難であり、一方で、カード事業者は、情報力、技術力、経済力の面でカード名義人である契約者より優位な立場にあり、不正使用のリスクを回避する有効な手段をとりうる立場にあるうえ、契約者に故意・過失が存在することを明らかにしやすい立場にあるとし、このような状況下で、契約者が自身に故意・過失がないことの立証ができなければ、不正使用についての責任を契約者が負うとする約款は不公平だとしています。

 そして、過失の立証責任を金融機関が負っている預金のキャッシュカードと区別をすべきではないとしています。

 また、法律上の問題点として、消費者契約法第10条にいう「消費者の利益を一方的に害する条項」に該当する可能性があり、無効となるおそれがあるとしています。

 なお、これは暗証番号の盗用などに関する問題ですが、今のインターネット上のクレジットカードの利用の多くの場合は、暗証番号すら必要でなく、カード上に記載されている情報(会員番号、有効期限、名義)を入力すれば利用できます。したがって、暗証番号が必要とされる場合に比して、不正利用に対するセキュリティは極めて弱いものといえます。
 このような問題についての事業者と利用者との責任の在り方を考えていかなければならないと思いますね。

2008年10月23日 (木)

「知的財産に関する特別世論調査」(内閣府)

 本日、内閣府が、「知的財産に関する特別世論調査」の概要を公表しています。知的財産に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とするための調査で、全国20歳以上の者3000人を対象として(有効回収数 1770人)、今年9月に調査員による個別面接聴取の方法で行われたとのこと。
 → 内閣府公表資料(PDF)

  調査項目は、
  1 「ニセモノ」購入を見聞きしたことがあるか
  2 「ニセモノ」購入についての認識
  3 国の啓発活動の認知度
  4 インターネットの利用状況
  5 インターネット上で個人により映画等が公開・共有されているの
    を見聞きしたことがあるか
  6 他人の著作物を許諾なくインターネット上で公開・共有すること
    が違法だと知っていたか
  7 インターネット上での違法な公開・共有への対策として有効な手段

 このうち、「ニセモノ」購入についての認識については、
 ・どんな理由でも購入すべきでないと思う        39.9%
 ・正規品よりも安いので,購入するのは仕方がないと思う 27.3%
 ・正規品にはないデザイン・仕様の品もあるので,購入するのは
  仕方がないと思う                   7.5%
 ・公然と売っているので,購入するのは仕方がないと思う 17.6%
 ・その他                        2.1%
 ・わからない                      5.5%

 インターネットの利用状況については、
 ・ほぼ毎日利用している                29.1%
 ・たまに利用している                 16.9%
 ・ほとんど利用していない                7.3%
 ・まったく利用していない               45.8%
 ・わからない                      0.9%

 他人の著作物を許諾なくインターネット上で公開・共有することが違法だと知っていたかについては、
 ・知っていた                     75.8%
 ・知らなかった                    24.2%

などとなっています。

2008年10月22日 (水)

今日の独禁研::環境問題に関する共同行為と独占禁止法

 さて、前回の「書きかけ記事」をどうしようか、というのも気になるのですが、ひとまず放置です(微苦笑)。

 今週は、いろいろと外の仕事が多くて大変で、昨日(10/22)は、昼から夕方まで、某市役所の法律相談の担当でした。8件ほどの市民法律相談をお聞きしましたが、今日は相続関係と離婚関係の相談が多かったですね。
 このブログでは、相続、離婚関係はあまり触れていませんのですが、私も普通の弁護士ですので、相続や離婚の交渉や調停・裁判のケースは、たくさんあります。

 その市民法律相談の後、梅田の某顧問会社に直行して半時間ばかり仕事をしてから事務所に戻り、その後(6時開会に遅刻です)、大阪弁護士会館にて「独禁法・公正取引研究会」(略称:独禁研)に参加でした。
 私は、本当はその任にないのですが、いろんな成り行きで、現在は代表ということになっています(恥ずかし)。
 この独禁研は、大阪を中心とした弁護士の有志を中心とした任意の研究会ですが、20年くらいの歴史があります。今は2ヶ月に1回、若い弁護士さんを対象として、こじんまりとした研究会を開催しています。立派なサイトも作っているのですが、最近は全く更新できておらずで恐縮です(苦苦笑)。
 → そのサイト

 今回の研究会のテーマは、このブログでも前に紹介しました通り、環境問題と独禁法との関係についての公取委相談事例でした。レジ袋有料化の問題と、インクカートリッジの共同回収の問題です。

 結構難しい問題なのですが、特にインクカートリッジの回収の問題については、プリンターの大手メーカーが、環境問題という美名を強調して、実際の目的は、再生カートリッジ業者の事業を圧迫して、競争を阻害することにあるのではないか、という点に関心が集まりました。

 次回は、ライセンス契約と独禁法に関して、私が報告担当になってしまった。。。。。大丈夫かな。知的財産権の行使の名のもとに、実際は独占禁止法の規制を回避しようとしている事案については、腹立たしいものもあるのですが。。。

 明日(おっと、零時回って、今日になってしまった)午前は、大阪弁護士会の司法修習生向けの研修の講師(これも独占禁止法がテーマ)で、それが終わると、すぐに東京地裁に向かって移動です。

 そのわずかな時間にちょっと書面を作らなきゃ。

消費者団体訴訟と「認諾」

 時間がないので、一気に書いてしまったため、後で修正するかもしれない書きかけ記事です。ご了承ください。

 昨日(10/21)に、NPO法人京都消費者契約ネットワークが京都地裁に提起していた消費者団体訴訟の第1回期日が報道されています。

 この訴訟は、マンション等の賃貸契約で、敷金や保証金から退去時に一定額を差し引く「敷引(しきびき)特約」は無効だとして、京都市内の不動産賃貸会社を被告としているものです。
 この報道では、特約条項の廃止については、被告が「認諾」したということです。ただ、契約用紙の廃棄などを求めている点は「認諾」の対象になっておらず、訴訟が継続するようです。

 「認諾」(民事訴訟法266条)というのは、民事訴訟で、被告が、原告の請求を認めることによって、判決によらずに訴訟を終了させるものです。
 しかし、中身(原告の請求原因事実)に争いのない裁判は結構ありますが、その場合でも、「認諾」ではなく判決をすることが多いので、「認諾」という結果になることは多くはありません。
 また、通常は、原告の請求の内、本件のように一部だけは認めざるを得ないような場合であれば、一部だけ「認諾」するのではなく、全体的にそのまま訴訟を継続することがほとんどだと思いますので、一部だけの「認諾」というのは何故かな?、というのが第一印象です。

 「認諾」は判決と同じ効力があるため(民事訴訟法267条)、一般の人から見れば、原告にとって、「認諾」は被告が認めてしまって勝訴判決を手間なく得る結果だから、いいじゃないの、と思われるかもしれません。

 しかし、事案の中身の審理、つまり事実や法的解釈についての互いの主張のやりとりや裁判所による証拠調べがなされないままであり、もちろん、裁判所としての判断が示されるわけでもありませんし、被告に「認諾」されてしまえば、原告としてはそれを拒否する方法がありません。
 したがって、結局、その裁判のケースについての結論が原告勝訴と同じというだけで、裁判所の公的な判断が世間に示されず、実際上は他のケースへの波及が食い止められるという点で、被告のメリットもあるのです。また、判決ということになると、マスコミも大きく取り上げますが、「認諾」では、取り上げられなかったり、小さくしか報道されないという実情もあり、この点も被告のメリットとなる場合があります。

 事実、過去の一般市民相手の悪徳商法業者が、敗訴報道を避けて生き延びるためか、被害者からの訴訟に対して「認諾」を行い続けるという手段に出たという記憶があります。原告の被害者側弁護士はこれに対抗するため、実際の被害額だけではなく、慰謝料や弁護士費用などの損害賠償額を高額にして、相手が「認諾」できないようにして(「認諾」すれば、その高額部分も支払義務が生ずるので)、闘ったということだったと思います。

 今回の消費者団体訴訟での一部「認諾」がどういう経緯だったのか、現時点では情報不足ですので、これくらいにしますね。

 消費者団体訴訟における「認諾」の場合の効力、という点も気になる点があるのですが、時間があれば(苦笑)考えます。

2008年10月19日 (日)

バナナの価格カルテルに対する制裁金支払命令(EU)

 NIFTYのココログのブログは、携帯電話からでもブログ記事を読んだり、管理したりすることができるようになっています。そして、結構、携帯で読んでくださる方もおられるようです。
 で、携帯電話で見てやろうという方のため、左側にQRコードと携帯用URLを携帯電話に送信する表示を付けておきました。ご存じかと思いますが、QRコードは携帯電話で読み取ってURLを記憶させるものです。

 さて、日経などが、バナナの価格カルテルで、欧州連合(EU)欧州委員会が、EU競争法(独占禁止法)に違反したとしてドールデルモンテなどの業者に対して制裁金84億円の支払を命じたことを報じていますね。

 記事によれば、業者の中でも、チキータは捜査協力が認められ、制裁金を全額免除されたとのことで、これは、前の記事に書いた日本の自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)と同趣旨の制度です。

 なお、ちょっと調べてたら、平成国際大学でEU法を担当されている入稲福先生のサイト内の「EU法講義ノート」「ECのバナナ市場規則に関する法的問題」というページがあり、EUとバナナ市場問題には、結構沿革があることがわかりました。

 日本では、最近、バナナダイエットの流行でバナナが品薄になっているようですが(それとは別に中東諸国の需要が増えたという理由も聞きましたけど)、バナナくらいは安いままでいてほしいですね。
 私はランニングを趣味にしていますが、バナナはレース前の重要かつ安価なエネルギー源で、消化もよく食べやすいので重宝します。
 もっとも、私の小さい頃はバナナは安くはなく、病気の見舞いの代表でしたね。

2008年10月18日 (土)

溶融メタル等入札談合の排除措置命令・課徴金納付命令(公取委)

 東京で会議があって、帰宅したのが11時前でした。私自身が何をしたというわけでもないですが、風邪気味だったこともあり、少々疲れました。

 さて、零時過ぎたので昨日(10/17)になりますが、公正取引委員会は、地方公共団体が売却する溶融メタル等の入札等参加業者に対し、独占禁止法3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
 → 公取委サイト報道公表資料(PDF)
 溶融メタル等というのは、廃棄物処理施設において発生する金属混合物で、溶融炉の排出口から常時排出される「溶融メタル」、溶融炉を傾けて取り出される「傾動メタル」、溶融炉の底に溜まり固まったものを切り出して取り出される「炉底メタル」で、銅及び金、銀等の貴金属の製錬用原料として用いられるものをいう、ということです。

 違反事業者は、三菱マテリアル株式会社マテリアルエコリファイン株式会社日鉱環境株式会社エコシステムジャパン株式会社東京商事株式会社DOWAホールディングス株式会社の6社です。
 このうち、排除措置命令の対象事業者は、三菱マテリアルマテリアルエコリファイン日鉱環境の3社で、課徴金納付命令の対象となったのは、三菱マテリアルマテリアルエコリファインの2社。

 課徴金に関しては、本件では、自主申告による課徴金減免制度(リニエンシー)の適用により、エコシステムジャパンが全額免除、三菱マテリアルが30% 減額となったようですね。
 → 公取委サイト「課徴金減免制度の適用事業者一覧」

〈違反行為の概要〉
 上記6社は、地方公共団体が一般競争入札、指名競争入札、見積り合わせによる随意契約又は特命随意契約の方法により売却する溶融メタル等について、購入価格の上昇を防止するため、話し合いにより購入予定者を決定するなどの行為を行って、公共の利益に反して、地方公共団体が競争入札又は随意契約の方法により売却する溶融メタル等の購入分野における競争を実質的に制限していた、というもの。

〈排除措置命令の概要〉
(1) 三菱マテリアル、マテリアルエコリファイン、日鉱環境の3社(以下「3社」)は、前記行為を取りやめている旨を確認すること及び今後、共同して、特定溶融メタル等について、購入予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に購入活動を行う旨を、それぞれ、取締役会において決議しなければならない。
(2) 3社は、それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置を、自社を除く2社及び特定溶融メタル等を売却する地方公共団体に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。
(3) 3社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、特定溶融メタル等について、購入予定者を決定してはならない。
(4) 3社は、今後、それぞれ、次の事項を行うために必要な措置を講じなければならない。
ア 特定溶融メタル等の購入に係る競争入札又は随意契約に関する独占禁止法の遵守についての行動指針の見直し
イ 前記アの見直しの結果を踏まえた特定溶融メタル等の購入に係る競争入札又は随意契約に関する独占禁止法の遵守についての,特定溶融メタル等の営業担当者に対する定期的な研修及び法務担当者による定期的な監査

〈課徴金納付命令の概要〉
 平成21年1月19日までに、三菱マテリアルについては513万円、マテリアルエコリファインについては211万円(総額724万円)を支払わなければならない。

2008年10月16日 (木)

消費者契約法関連の消費生活相談概要と主な裁判例(国民生活センター)

 本日、国民生活センターから、「消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例」が公表されています。
 → 国民生活センター報道発表資料
 → 詳細資料(PDF)

 裁判例の関係では、
 国民生活センターで収集した消費者契約法に関連した訴訟のうち、判決があったものは、本年8月末日現在で136件となっており、今回の資料では、昨年公表分以降に把握した9件の判決を掲載しています。収集した判決では、不当な勧誘(4条)関連の判決が6件(パチンコ攻略本、外国為替証拠金取引、除湿剤置きマット、中古車、商品先物、健康食品)、不当な契約条項(8~10条)に関連するものが3件(クレジットカード、建物賃貸借2件)となっています。

 なお、ついでと言ってはなんですが、国民生活センターの報道発表としては、さっきやっていたNHKニュースの元ネタ「つけ爪による危害」も公表しています。
 消費者へのアドバイスとしては、
 ◎ つけ爪は爪にとっては負担がかかるものである
 ◎ つけ爪用の接着剤や用材はかぶれや化学やけど、引火に注意
 ◎ 施術時の衛生管理はしっかり行う、異常を感じたらすぐに受診
 ◎ サロン選びにも注意
 ◎ 時々は爪を休ませる     だそうだ。
 → 国民生活センター報道発表資料
 → 詳細資料(PDF)

2008年10月15日 (水)

九州電力のオール電化住宅の広告の不当表示(公取委)

 少し久しぶりの公取委の景表法違反排除命令です。数日前に、仏壇の価格表示についての報道がありましたが、あれば排除命令ではなく、警告です。

 本日、公正取引委員会は、九州電力株式会社が供給する「電化deナイト」と称する電気料金を適用する電気の取引に係る表示について、景品表示法4条1項2号(有利誤認)に違反する事実が認められたとして、排除命令を行いました。
 要するに、オール電化住宅にすれば得になる金額の表示について、必要な機器購入費用や工事費用などを考慮しない金額を掲載していたというものですね。
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

〈違反事実の概要〉
 九州電力は、電化deナイトを適用し電気を一般消費者に供給するに当たり、パンフレットに挟み込んだリーフレットの表示として、あたかも、給湯設備及び調理器具の熱源としてガスを使用する住宅と比較して、「オール電化住宅」と称するすべての熱源を電気で賄う住宅の方が1年間で最大で約10万円得になるかのように、オール電化住宅とするために必要な費用について「オール電化住宅ローン」と称する融資制度による融資を受ける場合には、オール電化住宅の方が30年間で約350万円得に、また、同融資を受けない場合には、オール電化住宅の方が30年間で約300万円得になるかのように表示していたが、
 実際には、オール電化住宅とするためには、「エコキュート」と称する自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器等及び「IHクッキングヒーター」と称する電磁調理器の購入費用並びにこれらの設置のための工事費用が必要であり、かつ、長期間にわたりオール電化住宅を使用するためには、これらの機器の買換えに伴う費用が必要であることを考慮すると、オール電化住宅の方が1年間で最大で約10万円又は30年間で約350万円若しくは約300万円得になるとはいえないものであった。

〈排除措置の概要〉

ア 前記表示は、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示である旨を公示すること。
イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ 今後、同様の表示を行わないこと。

2008年10月13日 (月)

自己株取得に係る市場規制の緩和(金融庁)

 各メディアも先程から配信を始めてますが、連休の最後の夜になって、世界的な株価下落への対策として、上場企業が発行した株を自ら購入する自社株取得の規制を明日14日から年内に限り緩和すると、金融庁が発表しています。
 相場操縦防止の観点から、上場企業による自己株取得については、1日の買付数量、買付時間、買付価格、証券会社数について内閣府令金融庁は、内閣府の外局)に基づく規制があります。これに関し現在の緊急事態への対策として、上場企業が自社株取得をしやすいように、1日の買付数量の上限と買付時間についての規制について緩和するとしたものです。期間は年内。
 → 金融庁サイト 報道発表資料

 規制緩和の具体的内容は、
(1)1日の買付数量の上限
 直近4週間の1日平均売買高の25%を上限として自己株券の買付けを行うこととされているが、これを100%に引き上げることとする。

(2)買付時間
 金融商品取引所の取引終了時刻の直前30分間以外の時間に自己株券の買付けを行うこととされているが、これを適用しないこととする。

 というもの。これによって、上場企業の自社株買いを活発化させて、株価の維持を図るということですね。

 私の学生時代に勉強していた商法(会社法)では、自社株買い、つまり、自己株式取得は、タコが自分の足を食べるようなもんで、原則として駄目、ということだったのですけどねぇ。

【追記】(10/14)
 内閣府令の公布・施行について(中身は上記のとおりですが)
 → 金融庁サイト 報道発表資料

 「行政手続法第39条第4項第1号で定める『公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、手続きを実施することが困難であるとき』に該当することから、同法に定める意見公募手続(パブリックコメント)は実施しておりません。」としています。なるほど。

2008年10月10日 (金)

著作権に関する2つの意見募集(文化庁)

 この世界的な経済状況の中で、今日は、年度上期を過ぎたところの3連休前という日ですね。夕方以降、暗い発表が相次ぐ、というような嫌な予感が杞憂に終わることを祈るのですが。。。 

 さて、昨日(10/9)、文化庁が、著作権問題に関する次の2つの意見募集(パブリックコメント)を公表しています。いずれも11月10日までの任意の意見募集です。

 → 文化審議会著作権分科会
   「法制問題小委員会平成20年度・中間まとめ」
               に関する意見募集の実施について

 → 文化審議会著作権分科会
   「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会中間整理」
               に関する意見募集の実施について

 なお、上の「中間まとめ」「中間整理」の概要および本文は、
 → こちらから(電子政府 意見募集中案件一覧)

 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会平成20年度・中間まとめ」 の内容は、
  第1節  「デジタルコンテンツ流通促進法制」について
  第2節  私的使用目的の複製の見直しについて
  第3節  リバース・エンジニアリングに係る法的課題について
  第4節  研究開発における情報利用の円滑化について
  第5節  機器利用時・通信過程における蓄積等の取扱いについて
  第6節  その他の検討事項

ということです。

 「文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会中間整理」の内容は、
  第1章  はじめに
  第2章  過去の著作物等の利用の円滑化
   第1節  検討の経緯等
   第2節  多数権利者が関わる場合の利用の円滑化について
   第3節  権利者不明の場合の利用の円滑化について
   第4節  次代の文化の土台となるアーカイブの円滑化について
   第5節  その他の課題
  第3章  保護期間の在り方について
   第1節  はじめに
   第2節  制度の現状
   第3節  各論点についての意見の整理
   第4節  関連する課題
  第4章  議論の整理と今後の方向性
ということです。

 かなり様々な論点を含んでいて面白そうです。といっても、私も概要を読んだだけで、本文はまだなのですが。。。 

 

2008年10月 9日 (木)

20年度旧司法試験論文式試験の結果発表(法務省)

 本日、平成20年度旧司法試験第二次試験論文式試験の結果が発表されています。
 →  法務省サイト「平成20年度旧司法試験第二次試験論文式試験の結果 」

 出願者数、合格者数等の推移や大学別合格者数一覧表、合格者受験番号などが掲載されています。昨年の合格者数250名から今年は141名となっていますね。

大学別合格者は、
 人数   大 学
 25  東京大
 13  早稲田大、京都大、中央大
 11  慶應義塾大
  7  北海道大
  5  一橋大、大阪大
  4  同志社大
  3  名古屋大、上智大、神戸大、立命館大、千葉大
  2  明治大、法政大、青山学院大、東北大、専修大、日本大、九州大
  1  立教大、関西学院大、関西大、学習院大、東京外国語大、新潟大、
     横浜国立大、東京女子大、日本女子大、福島大、中央学院大、
     奈良女子大、愛知学院大、帝京大、追手門学院大、熊本県立大
 合 計  141

丸かぶり巻きずしの商標権についての判決(「招福巻」)

 ここ数日、商標権関係の事案検討をしていたのですが、それとのこじつけで、最高裁サイトの知財判例速報に出ていた大阪地裁の商標権の裁判例をご紹介(もちろん、私の検討中の事案とは全く無関係ですよ。)。

 大阪地裁平成20年10月2日 商標権侵害差止等請求事件

 事案は、「招福巻」の商標権を持つ会社(小鯛雀鮨鮨萬)が原告で、被告は、大手スーパーのイオンで、イオンが全国の「ジャスコ」で、節分用の巻きずしに「十二単の招福巻」という商品名を付けて、宣伝、販売した行為が商標権侵害に当たるとして、販売などの差止と2300万円の損害賠償の請求を行ったものです。

 「十二単の招福巻」というのが、登録商標「招福巻」の侵害になるかどうかは、これが「類似」といえるかどうかの法的判断になります(他の争点もありますが、略します。)。

 判決での「類似」の判断の部分は、極めてあっさりしていて、

『招福巻』は,それ自体として自他識別性に欠けることはない。また,被告標章は,本件商標『招福巻』の前に『十二単の』という修飾語を付加したものであるところ,そこでいう『十二単の』というのは,巻きずしに12種類の具材が入っていることを示しているにすぎず,その使用態様からしても『十二単』の部分に自他識別力があるものとは認められない。したがって,被告標章の要部,すなわち被告標章において自他識別力があるのは,『招福巻』の部分であって,『十二単の招福巻』の全体ではないというべきである。」
 としたうえで、イオンの商品名(被告標章)の要部である「招福巻」と原告の商標「招福巻」は、称呼(読み方)及び観念が同一として、「類似」を認定しています。

 ところで、このイオンの巻きずしは、すっかり定着した3月の節分の巻きずし丸かぶり用のすしとして販売されていて、それを当て込んだ商品名です。なので、この判決でも、この丸かぶりの風習について、事実認定をしている部分がありました。

「・・・起源は定かではないものの,節分の日に「その年の恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすれば其年は幸運に恵まれる」と言い伝えられ,遅くとも昭和7年ころには大阪の一部地域(大阪船場が発祥の地とも伝えられる。)において,節分に恵方を向いて巻きずしを丸かぶりする風習が行われるようになった。大阪鮓商組合後援会は,当時既に,節分に恵方を向いて巻きずしを丸かぶりすることを勧める宣伝ビラを発行しており,その中でこの巻きずしを「幸福巻寿司」と呼んでいた。昭和15年ころには,大阪鮓商組合後援会がこれと同様の宣伝ビラを発行していた。その後,時を経て昭和52年ころ,大阪海苔問屋協同組合が「幸運巻すし」と銘打って節分に巻きずしを丸かぶりすることを勧める宣伝活動を始め,また,関西厚焼工業組合も同じころから広範囲で同様の宣伝活動を行うようになり,昭和62年ころには,関西地方のみならず,岐阜,浜松,金沢,新潟等の各都市や九州地方にまで上記同様の宣伝ビラを送付していた。その後,スーパーマーケットなどでも宣伝を行うようになり,節分に恵方を向いて巻きずしを食する風習が関西地方を中心に次第に広い地域に広がっていった。」
 というものです。

 私は昭和34年大阪生まれの大阪育ちですが、子供の頃には、今のように一般的な風習ではないし、知りませんでしたが、いつだったか、父親が、節分にはこんな習慣があるんだ、ということを話していた記憶があります。父親がもともと知っていたものか、どこからか聞きかじってきたものかはわかりません。

 話を判決に戻しますが、結局、裁判所は商標権侵害を認めて、被告イオンに対して、販売等の差止と損害賠償を命じました。
 しかし、損害賠償について、原告の請求が2300万円(被告売上に対する商標使用料相当割合10%の一部2000万円と弁理士・弁護士の費用の一部300万円)であったのに対して、判決が認めたのは51万円余(被告売上に対する商標使用料割合5%の31万円余と弁理士・弁護士費用20万円)です。
 商標権侵害が認められて、差止も全て認められて、弁理士と弁護士の両者の費用相当の損害金が、20万円では、ため息がでるなぁ。

【追記】(10/1/23)
昨日(平成22年1月22日)、上記事件について、大阪高裁で控訴審判決が出たと報道されています。結果は、イオンの逆転勝訴。「招福巻」が普通名称化しているとの判断のようですが、今の所、マスコミ報道だけですので、判決文が出たら、新しい記事を書くかもしれません。

【追記の追記】(10/2/1)
 控訴審判決が裁判所サイトで公開されましたので、本日付で新しく記事を書きました。
 → 「「恵方巻」控訴審判決と巻寿司丸かぶりの風習の由来(大阪高裁)」

2008年10月 6日 (月)

民法(債権法)改正検討委員会ホームページ

 今日の町村教授のブログで知ったのですが、「民法(債権法)改正検討委員会」(委員長 鎌田 薫 早大教授)のホームページがあったのですね。
 → 民法(債権法)改正検討委員会ホームページ

 改正の審議状況がどうなっているのかな、と思ってましたが、議事録や資料も公開されていますので、ここを見れば、状況の把握がしやすいですね。

 なお、この委員会は、形としては、学者等の自発的な研究グループということになっていて、政府の公式の組織にはなっていませんが、法務省からもメンバーが出ており、ここでの検討内容が、今後の実際の改正作業に反映されることになるはずのものです。

【追記】(12/26)
 昨日(12/25)の大阪弁護士会での内田貴先生の講演では、あくまでも研究者の任意の検討団体であることを強調されておられました。

ヤフーID乗っ取り事件(ヤフオク)の続報

 先週末に、ヤフーのフィッシングサイトの記事を書きましたが、同じ日(10/3)のImpress Watch の記事に、ヤフーが、一部利用者にパスワード変更求める措置を今月1日から実施しているとありました。
 → その記事

 ID乗っ取り事案の被害(オークション不正出品)が増えていることから、セキュリティ強化のためにパスワード変更を求めたとのことです。

 第三者に推測されやすい文字列がパスワードに設定されていたり、第三者によるログインが行われている可能性があったり、長期間パスワードの変更が行われておらず、パスワードの安全性が低い、というようなユーザーにパスワード変更を求めており、これに応じなければログインできなくなる、とのことです。
 さらに、パスワード変更を求められたユーザーの一部がYahoo!オークションに出品する場合、パスワード変更後に宅配業者(佐川急便)による「配送本人確認」を行う必要があるようです。

 なお、別記事ですが、オークション不正出品事件に関しては、9月26日に、ヤフーが、ユーザーのIDが何者かに乗っ取られ不正利用され、ユーザーから身に覚えのない出品手数料などを徴収していたこと、被害ユーザーには被害額を補償すると発表したようです。約5000件のIDの被害が判明していて、今後も増える可能性がある、とのこと。
 → その記事

 ヤフーの調査では、中国の特定のIPアドレスから、大量のログインがあったことを確認し、乗っ取られたIDから主に出品されていたのは偽ブランド品で、IDの持ち主のユーザーに対して、出品手数料などが請求されていたようです。なお、落札商品は落札者にちゃんと届いている、とのこと。

 ヤフーが被害補償をするという対応に変わったようですので、身に覚えのない出品手数料を請求されているのに、被害申告をまだしていない方は、ヤフーに連絡して下さい。

2008年10月 3日 (金)

ヤフオクのIDを盗むフィッシングサイトだそうな。

 先日、ヤフー・オークションのID乗っ取り?というのを書きましたが、
 → 「ヤフオク会員に身に覚えない利用手数料の請求だそうな。」(9/6)
最近、ヤフー・オークションのIDを盗み取ろうとしているフィッシングサイトについて報じられています。今回ちょっと調べてみるともっとも、ずいぶん前から同じようなものはあったようですし、ヤフー・オークション以外でも、UFJカードのフィッシングについても報告されているようですね。

 なお、フィッシングサイトというのは、文字通り「釣る」サイトで、有名企業のサイトと間違えるようなサイトを作って、そこへメールなどで利用者を誘導して、IDやパスワード、クレジットカード番号などの情報を入力させて盗み取るというものです。

 さて、上記のヤフオクのID乗っ取りと、上で報告されているようなフィッシングサイトとの関係は分かりません。でも、このような手の込んだサイトがあるということは、IDやパスワードを盗んで何か悪いことをしようとしている奴等がいると考えた方がいいことは当然ですね。

 ウイルスバスターのトレンドマイクロのサイトのセキュリティブログでも、
 → 「Yahoo!オークションをかたる偽サイト(フィッシング)が出現」(9/29)
というのが出ています。
 これによれば、「Yahoo! JAPAN サポート」を詐称した宛先から「Yahoo! JAPAN のサイトをご利用の方へ」との件名のメールが送られ、本文では、ユーザーアカウント継続手続きを装い、Yahoo! JAPANとは無関係のサイトに誘導することで、Yahoo! Japan ID(ユーザID)やパスワード、クレジットカード番号などを個人の機密情報を騙し取ろうと計画していることが読み取れるということです。

 ヤフーなどのそれなりの企業から送られてきたメールであっても、すぐに信用せずに確認する必要がありそうです。

 こういったフィッシングサイトで盗み取られたID、パスワードを使って、ヤフオクを利用された場合に、その損害を誰が負担すべきか、というのは結構難しい問題がありそうです。ただ、IDにせよ、クレジットカード番号にせよ、セキュリティ的には極めて不十分なものです。そのリスクの負担を利用者のみに求めるのは間違いだとは思います。

【追記】(10/3)
 この問題についてのヤフーのサイトでの注意書き
 → 個人情報の不正取得に関するご注意
 → パスワード変更を求める不審なメールに関するご注意

2008年10月 1日 (水)

メール広告の承諾等に関する表示についてのガイドライン(特商法:経産省)

 本日、経済産業省から、
 電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン
 というのが公表されました。名称が難しい。
 → 経産省サイト 報道発表

 特定商取引法割賦販売法の改正により、迷惑広告メールに対するオプトイン規制(事前承諾のない者に対する広告メール発信の原則禁止)が導入されたことは、当ブログでも以前に書きましたが、これに伴う特定商取引法の施行規則の改正省令(以下、省令といいます)が本日公布されています。

 この省令では、「消費者が意に反して電子メール広告を受けることについて承諾してしまうようなケース」については、特定商取引法14条の主務大臣の指示を受ける対象の行為となりました。 
 それに関して、省令16条2項、4項では、消費者が、あるボタンをクリックすれば、それが通信販売電子メール広告を受けることについての請求又は承諾となることを、消費者が容易に認識できるように表示していないことについて規定しています。

 また、特定商取引法12条の3第4項では、通信販売電子メール広告に、「通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するために必要な事項」を表示しなければならない旨を定めています。これについて、省令11条の6では、電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するための方法として、電子メールアドレスや当該意思を表示するためのウェブページのURLを、当該電子メール広告の本文に容易に認識できるように表示しなければならない旨を規定しました。

 これらに関して、具体的にどのようなケースが対象となるか、容易に認識できるよう表示されているかどうかの例を示すためのガイドラインが上記のものです。
 具体的な中身については、ガイドライン本文をご覧ください。
 → ガイドライン本文(PDF)

10月1日は「法の日」

 今日10月1日は「法の日」となっています。残念ながら休日にはなりませんけども。

 この「法の日」の由来としては、日本弁護士連合会のサイトの記載によれば、
「1928年10月1日に陪審法が施行されたことによって、翌1929年から10月1日を『司法記念日』と定めたことに由来します。
 1959年10月3日、裁判所、検察庁、弁護士会の三者会議によって、10月1日を『法の日』と定めることの提唱が決議され、翌1960年6月24日の閣議了解で、『国民主権のもとに、国をあげて法を尊重し、法によって基本的権利を擁護し、法によって社会秩序を確立する精神を高揚するため『法の日』を創設する』と定められました。
 その際、『法の日』は毎年10月1日とし、この日を中心として、法を尊重する思想の普及、法令の周知徹底等これに相応しい行事を実情に即して実施することも定められました。」

とのことのようです。
 したがって、国民の祝日ではないものの、一応は、公的な根拠のある「日」ということになりますね。

 毎年、この日からの1週間を「法の日週間」として、弁護士会、裁判所、法務省、検察庁が、法律相談や講演などを開催するなどの行事を行っています。東京での共催行事として、
 第49回「法の日」週間記念行事(10月5日(日))
     法の日フェスタ ~もうすぐスタート!裁判員制度~ 

がありますが、各地の弁護士会でもこの時期に無料法律相談や講演会などを行っているところがあります。

 で、大阪弁護士会でも、無料法律相談会や各種の法律講演会を予定しています。また、10月4日には、大阪弁護士会館で、市民集会を開催し、ここでは強盗致傷事件についての模擬裁判員裁判も行われるとのことです。
 詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
 → 大阪弁護士会サイト「法の日週間記念行事」
 → 大阪弁護士会サイト「Shall We 評議?!」

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