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2008年7月20日 (日)

ライブドア事件証人尋問傍聴記についての「著作物」性(知財高裁)

 この知的財産高等裁判所の判決は、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づいて、「発信者情報の開示」などを求めた裁判に関するものです。ただし、この控訴審判決は、著作権法上の「著作物」の該当性の判断についてのものとなっています。
 この判決は、最高裁サイトの知的財産裁判例に掲載されています。

 平成20年7月17日知的財産高裁判決 発信者情報開示等請求控訴事件
                        (控訴棄却)

 原告が、ライブドアの刑事訴訟事件(被告人堀江貴文に関する証券取引法等被告事件)での証人尋問を傍聴した結果をまとめた「傍聴記」をインターネットを通じて公開しました。ところが、とあるブログに、原告の「傍聴記」を複製した記事が原告に無断で掲載されました。
 このブログは「Yahoo!ブログ」で、これを管理・運営するヤフー株式会社を被告とし、著作権侵害を理由として、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダ責任制限法」)4条1項に基づいて、ブログ記事の発信者の情報開示を求めるとともに、著作権法112条2項に基づいて、記事の削除を求めた、というものです。

 原判決(東京地裁)は、原告の傍聴記は著作権法2条1項1号「著作物」に該当しないという理由で、プロバイダ責任制限法4条1項及び著作権法112条2項の適用はないとして原告の請求を棄却していました。

 知財高裁の判決は、まず、「著作権法2条1項1号所定の『創作的に表現したもの』というためには,当該記述が,厳密な意味で独創性が発揮されていることは必要でないが,記述者の何らかの個性が表現されていることが必要である。言語表現による記述等の場合,ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため,他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合は,記述者の個性が現われていないものとして,『創作的に表現したもの』であると解することはできない。」とし、また、
 「同条所定の『思想又は感情を表現した』というためには,対象として記述者の『思想又は感情』が表現されることが必要である。言語表現による記述等における表現の内容が,専ら「事実」(この場合における「事実」と,特定の状況,態様ないし存否等を指すものであって,例えば「誰がいつどこでどのようなことを行った」,「ある物が存在する」,「ある物の態様がどのようなものである」ということを指す。)を,格別の評価,意見を入れることなく,そのまま叙述する場合は,記述者の「思想又は感情」を表現したことにならないというべきである(著作権法10条2項参照)。」
 としました。

 そのうえで、知財高裁は、原告の傍聴記の内容を検討して、証人が実際に証言した内容を原告が聴取したとおり記述したか、又は仮に要約したものであったとしてもごくありふれた方法で要約したものであって、原告の個性が表れている部分はなく、創作性を認めることはできず、付加的表記の部分も、証言内容のまとめとして、ごくありふれた方法でされたものであったり、原告の個性が発揮されている表現部分はなく、創作性を認めることはできない、などとして、原告の傍聴記を著作物であると認めることはできず、本件ブログ記事のウエブサイトへの掲載がプロバイダ責任制限法4条1項に該当するとはいえず、著作権侵害行為ともいえない、と判断して、原告の控訴を棄却したものです。

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