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2008年6月24日 (火)

「アメリカ合衆国財務証券」詐欺と田原最高裁判事意見

 最高裁サイトで紹介されている最高裁判決です。先日、3つ一緒に紹介した判決同様に、第3小法廷判決です。(最高裁サイト参照)

 平成20年6月24日最高裁3小判(破棄差戻)損害賠償請求事件

 これは、大きく報道された先日の第3小法廷判決のヤミ金に対する損害賠償請求事件と同じような問題を含むものです。この判決については、今日、先に北海道大町村教授のブログでも紹介されています。

 本件は、「アメリカ合衆国財務省証券」の購入資金名下に金員を騙取された、という投資詐欺事案で、ヤミ金事案とはちょっと背景が異なると思います。

 そして、ここで問題となっているのは、投資資金に対して、いくらかの金員が配当金名目で投資者に返されており、その金額を損害から控除すべきかどうか、という点です。
 今回の判決は、「本件詐欺が反倫理的行為に該当することは明らかであるところ、被上告人は,真実は本件各騙取金で米国債を購入していないにもかかわらず、あたかもこれを購入して配当金を得たかのように装い、上告人らに対し、本件各仮装配当金を交付したというのであるから、本件各仮装配当金の交付は、専ら、上告人らをして被上告人が米国債を購入しているものと誤信させることにより、本件詐欺を実行し、その発覚を防ぐための手段にほかならないというべきである。そうすると,本件各仮装配当金の交付によって上告人らが得た利益は、不法原因給付によって生じたものというべきであり、本件損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として本件各騙取金の額から本件各仮装配当金の額を控除することは許されないものというべきである。」としました。つまり、配当金を交付しているのは、詐欺の手段に他ならないから、それを差し引くのは、不法原因給付の返還となるから差し引かない、ということです。

 これに対して、大阪弁護士会出身の田原睦夫裁判官は、反対意見を書かれています。
 先日のヤミ金判決でも田原裁判官は、補足的な意見を書いておられますね。そちらは、多数意見と同様にヤミ金から貸し付けられた形の元本部分も控除すべきではない、という結論には同調されておりながら、今回の事案は、支払われた配当金を控除すべきではない、と結論においては逆になっています。
 前にも書きましたが、この結論的には違った田原裁判官の意見を読み込むと、法律解釈の面白さが感じられます。

 ここのところは、実質的には、投資商法の道具として配当金がどのような役割があったか、というような判断に関わるのだろうと思います。本来の原則的な理屈としては、田原裁判官の反対意見が妥当と思うのですが、私自身の経験でも、豊田商事事件以降、最近の「円」なんとかの事件も含めて、まずはそれなりの多額の配当金や利益でもって信用させるというのが定番ですので、詐欺の要素が強い事案については、それに要した費用を詐欺業者側に認めてやる必要はないように思います。普通の取引での経費控除とは違います。詐欺師側の利得剥奪の点から見るか、被害者側の実損失から見るか、という問題なのかもしれません。
 そういう意味では、現在の日本の民法の損害賠償制度が被害者側の損害填補を原則としていることとも根本では関連するかもしれません。詐欺師の懲罰的な意味を重要視すれば、当然、そんな詐欺の道具部分の控除を認めてやる必要はないことになりますよね。

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