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2008年4月 9日 (水)

ヤフーオークションの運営者の注意義務(名古屋地裁判決続報)

 既にご紹介した3月28日のヤフーオークション詐欺被害訴訟の名古屋地裁判決ですが〔ヤフーオークション詐欺被害訴訟の判決(名古屋地裁)〕、判決文が原告団サイトに出ています。また、控訴する方針も表明されています。
 → ヤフーオークション訴訟原告団サイト

 この名古屋地裁判決が示した、オークションの運営者である被告ヤフーの注意義務に関して、以下に紹介したいと思います。

名古屋地裁平成20年3月28日判決
 平成17年(ワ)第1243号、平成17年(ワ)第2234号、平成19年(ワ)第849号(いずれも損害賠償請求事件) 

 原告の主張では、被告ヤフーは、その利用契約が、仲立契約に準じた契約責任、準委任に基づく善管注意義務、請負人類似の注意義務を負う、そうではないとしても、一定の注意義務を負うなどとしたうえで、十分な注意喚起、第三者信頼性評価システムの導入、出品者情報の提供・開示、エスクローサービス利用の義務づけ、補償制度の導入などにより被害防止をはかるべき注意義務が存在し、それを果たさなかったとして、契約責任、不法行為責任があるとしています。

 これに対して、被告ヤフーは、まず、オークションのサービスは、利用者に自己の判断によって自由に商品売買を行う機会を提供することを中核としており、被告ヤフーは取引の「きっかけ」を提供する「場の提供者」であるので、オークションのサービスをきっかけとして行われる個別の売買は双方の自己責任で行われるものであり、「取引の場の提供者に過ぎない被告は、利用者間の個別の取引の成立や履行に関与することはなく」詐欺被害も含め利用者間のトラブルについて、契約上および不法行為上の責任を負わない、と反論しました(個別の事項の反論ももちろんしています)。

 判決では、まず、オークションの利用契約は、仲立契約、準委任、請負などとはいえないとしました。
 一方で、被告ヤフーが利用者間の取引について一切の責任を負わないと主張した点については、
「本件利用契約は本件サービスのシステム利用を当然の前提としていることから、本件利用契約における信義則上、被告は原告らを含む利用者に対して、欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである。」として、被告ヤフーの主張を斥けています。
 そのうえで、被告ヤフーに求められる具体的な義務の内容は、
「そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢、関連法規、システムの技術水準、システムの構築及び維持管理に要する費用、システム導入による効果、システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。」としました。
 さらに、原告が主張した具体的な義務違反の内、「注意喚起」については、オークション詐欺等犯罪的行為が発生していた状況下では、「犯罪的行為の内容・手口や件数等を踏まえ、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置をとるべき義務があったというべきである。」と、本件において、注意喚起の義務があったと判断しています。
 この点、限定的にせよ、オークション運営者の利用者間のトラブルを防止すべき義務が存在することを認めたもので、この判決の重要な部分かと思います。
(なお、その他の原告主張の具体的義務は認めていません。)

 そして、その「注意喚起」義務についての義務違反があったか否かについては、
「・・平成12年から現在まで、被告は、利用者間のトラブル事例等を紹介するページを設けるなど、詐欺被害防止に向けた注意喚起を実施・拡充してきており、時宜に即して、相応の注意喚起措置をとっていたものと認めるのが相当である。」として、被告ヤフーが、「注意喚起」義務を果たしていたとし、結局、原告の請求を認めなかったものです。

【追記】(4/14)
 時事の4/11の報道によれば、原告全員が控訴したようですね。

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