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2008年4月の記事

2008年4月30日 (水)

裁判所からの自動アナウンスの不審電話??

 最高裁判所サイトの本日(4/30)の新着情報に「裁判所を騙った不審な電話にご注意ください」というのが出ていました。

 その内容は、最近、『東京裁判所』(こういう名前の裁判所はない)と名乗って調停等の次回期日を告げて出頭するように要請する自動アナウンスの電話がかけられているという情報が寄せられている、というものです。
 不審な電話の特徴として、
 ・ 女性の声の自動アナウンス
 ・ 「東京裁判所」などと名乗り、調停期日の次回期日を告げて
  出頭するように要請
 ・ 再度アナウンスを聞く場合は1番を,問い合わせをする場合は
  9番を押すように要請

とのことですね。もちろん、本当の裁判所では、出頭を要請するような自動アナウンスサービスは行われていません。
 ただ、この情報だけでは、何の目的の行為なのか、よく分かりませんね。

 一週間ほど前に、読売の報道(石川の地方版かな)で、金沢市内で、裁判所を装う不審電話が3件あったことが分かったということで、実在しない「東京裁判所」を名乗り、「出頭しないので連絡しました」というテープが流れた、ということが報じられています。同様の記事は、北国新聞でも出されているようです。ひょっとして、石川近辺限定の事案なのでしょうか。
 録音された女性の声で「こちらは東京裁判所です。あなたが出頭しなかったので連絡しました。詳しい内容を聞きたい場合は9番を押してください」というテープが流れたので、9番を押すと女性が電話に出て、「名前を名乗って下さい」と尋ねてきた、ということです。

 何らかの意図で、名前などの個人情報(おそらく、住所や電話番号その他の情報)を得て、悪用しようとしているのでしょうね。単なる名簿作りとは思えませんので、気持ち悪いですね。

 前にこのブログでも書いたと思いますが、昨年7月には、同じく最高裁判所サイトにおいて、電話で「裁判員に選任された。連絡等の必要があるので、住所、氏名、家族構成、職業などを教えて欲しい。」などと個人情報を聞き出そうとする悪質事例があったことが公表されています。

 何でもかんでも疑ってかからなきゃ身が守れないという嫌な時代になってしまいましたですね。

【追記】(5/2)
 その後、各社で報じられてますね。どうやら北陸限定ではないようで。
 上にも書きましたけど、「東京裁判所」はありません。実在するのは「東京高等裁判所」「東京地方裁判所」「東京簡易裁判所」「東京家庭裁判所」ですので、裁判所から電話があるのなら、「東京裁判所」と言うはずはありません。まして自動アナウンスなので、そんな言い間違いをすることは絶対にないですので、ご注意を。
 もっとも、ちゃんと名称を言ったとしても、同じ事ですが。

【追記の追記】(5/12)
 本日、最高裁のサイトに「ひきつづき,裁判所を騙った不審な電話にご注意ください」という続きのお知らせが出ました。
 それによれば、5月に入ってからも同様の情報が裁判所に多く寄せられているとのことです。

2008年4月29日 (火)

「租税特別措置法」と「酒税法(^^;)」

 GW連休ですね、しつこく酒税の話題です。最初は、問題となってるガソリンの話ですが、最後には酒税法に行き着きます。。。マクラのほうが長いけど。

 さて、「租税特別措置法」は、ガソリンの税金だけじゃなく、各種の税法の特例法で、その趣旨は、1条に書かれています。
「当分の間、所得税、法人税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税(中略)その他の内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付し、又はこれらの税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき、」所得税法や法人税法、相続税法、酒税法など各種の税法の特例を設けることについて規定する法律ということになっています。

 この法律第6章(消費税法等の特例)第3節(88条の5~90条の3)「揮発油税法 及び地方道路税法 の特例」となっていて、今問題のガソリンの税金について特例が定められています。
 そして、ここの89条(揮発油税及び地方道路税の税率の特例)2項には、
「平成5年12月1日から平成20年3月31日までの間に揮発油の製造場から移出され、又は保税地域から引き取られる揮発油に係る揮発油税及び地方道路税の税額は、(中略)揮発油1キロリットルにつき、揮発油税にあつては48600円の税率により計算した金額とし、地方道路税にあつては5200円の税率により計算した金額とする。 」
とあって、今年3月末までの期限ですが、これを延長する政府案が期限までに可決できないため、4月からガソリン代の「ハッピー・エイプリル」状態が出現したものです。

 ところで、今回の「租税特別措置法」の改正は、「所得税法等の一部を改正する法律案」(以下、改正法案)の一部に規定され(→「法律案要綱」財務省サイト)、所得税法など他の税法改正と一体の形となっているため、「租税特別措置法」関係以外の改正部分も進まない形となります。(3月末で期限をむかえた他の税金についてまで混乱することを避けるため、「 国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」などが成立して最低限の応急手当がなされています。 )

 そして、この改正法案には、酒税法自体の改正も、その中に入っていて、改正法案87条の8「みなし製造の規定の適用除外の特例」です。
 これが、下記の関連記事に関係する改正部分ということになります。
 これは酒税法43条の適用除外を定めるもので、「酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者がその営業場において飲用に供するため」、自分の店(営業場)で蒸留酒類と他の物品との混和をする場合については適用しない、とされていて、北海道ニセコのペンションのような自家製梅酒の提供事例は適法とする改正が考えられていたわけですが、現時点では、この部分の改正もガソリンと道連れとなっており、いまだに実現していません。
【追記】(4/30)
 本日午後、衆議院にて、再可決され、改正法案が成立したようですね。ガソリンなどの税率上げについては、5/1からすぐj実施という報道です。

【追記の追記】(5/2)
 上記の酒税法43条(みなし製造)の特例については、公布日(4/30)から適用されるとされています。
 なお、今回の改正法案成立による全体の各改正点の内容等については、財務省および国税庁のサイトでご覧ください。
 酒税法43条の関係については、国税庁サイトのQ&Aに、上記の新規定の説明がもう載っていました。これを見ると、この例外規定の適用を受けたい事業者は、税務署に開始申告書を提出しないといけないようですね。
  → 国税庁サイト お酒についてのQ&A「自家醸造」

〈関連記事等〉
 → 「酒の製造・販売免許制度と果実酒」(07/5/16)
 → 「船場吉兆の梅酒製造販売と酒税法」(07/12/25)
 → 春陽法律事務所HP法律コラム(08/02)
    「梅酒を造ったり、飲ませたり、の違法性」

2008年4月26日 (土)

ブロガーの承諾なき「RSS広告」について

 RSSリーダーと言っても、使っていない人にはわかりにくいと思うのですが・・・という私も、難しい事はわからないですけども。
 ともかく、いろんなブログなどを読むのに、記事が更新されたかどうかいちいちブログを訪問していては大変面倒です。で、このRSSリーダーという仕組みを使うと、新しく記事が更新(投稿)されると、このブログにこういうタイトルの記事が入ったよ、というのを自動的に知らせてくれるのです。だから、そのお知らせが入ってタイトルなどを見て興味があれば、見に行けばいいということになっていて、便利です。私のこのブログについてももちろん設定可能です。

 私も他の人のいくつかのブログについて登録して利用していますが、私の趣味に関係するブログの1つについて、本来の内容と関係のない広告記事がRSSリーダーに入ってくるようになりました。
 その広告の中身も怪しげな投資商法的なものであったりするため、当初は、このブログ管理者(ブロガー)は、怪しげな仕事に関係しているのかな、もう読むのやめよかな、と思ったほどでした。
 しかし、良く見ると、そのブログ自体にはそのような広告記事は一切記載されていないうえに、必ず、本来のブログ記事の投稿と一緒にRSSリーダーに入ってきます(つまり、見かけ上は2つの記事を連続投稿したように)。しかし、投稿者欄を見ても、その当該ブロガーが投稿した記事として(つまり、記事とは別の広告ですよ、とはなっていない。)、RSSリーダーには表示されるので、知識のない私のような者が最初に見れば、そのブロガーさん自身が広告記事を投稿したものだと思ってしまいます。

 で、少し検索してみると、『RSS広告』といって、こういうRSSリーダーを利用した広告手法が一般的に存在しているのを知りました。
 また、当該ブロガーが知らずに利用されているケースもあるようで、楽天のブログについて、何人かの人がブログで問題にしておられるの見ました。私が見たのも楽天のブログです。

 ブログサービス事業者としては、当然ながら広告収入が入るわけです。ブログサービスは一般的には無料の場合が多いですから、ブログサービス事業者が何らかの形で広告料収入を得ようとすることは当然でしょう。
 けれども、この広告は、RSSリーダーを読んでいる者(少なくとも私)には、迷惑メールと同じで迷惑です(もっとも、みんなが迷惑なら、広告としての効果は少なく淘汰されるでしょうけども。)。
 さらに、一方のブロガー側としても、本人が承知の上ならば、バナー広告同様ご自由ということかもしれませんが、全く知らないうちに利用されているケースでは、上で書いたように、自分で気づかないまま、読み手側に品性を疑われてしまうということも充分あり得るわけです。それだけではなく、ひょっとすると、商売がたきや嫌いな企業、悪徳企業の宣伝に利用されている可能性もあるわけですよね。だとすれば、ブロガーの信用をけがすことにもなり、単に「気分が悪い」というようなレベルの問題ではなく、実質的な損害を発生させることにすらなりかねません。
 仮に私のブログをRSSリーダーにわざわざ登録いただいている方々にそのような広告が届くことになるとすれば、私は許せないし、たぶん、さっさと別のブログサービスに移転すると思います(大丈夫でしょうね。自分のブログをわざわざ登録したりしてしませんからねぇ。)。

〈要するに・・・まとめ〉
 『RSS広告』は、迷惑メール防止法特定商取引法での迷惑メール規制には、おそらく要件上引っかからないのだと思いますが、「不招請勧誘」の手段として受信者側に迷惑なのは全く同様です。
 そして、ブログサービス事業者が当該ブロガーに事前了解を得ることもなしにやっているとすれば一層問題です(細かいブログ利用規約のどこかに事前の包括的な承諾文言がある、などという理屈は、この場合論外でしょう。皆が想定していないような重要な事項は、ちゃんと具体的に事前に説明すべきと思います。)。
                                  以 上

2008年4月25日 (金)

個人情報保護の基本方針の一部変更等の閣議決定

 行政も国会も、連休前にいろいろと片づけようとしているのか、連発になってしまいました。速報だけですけど。

 本日、「個人情報の保護に関する基本方針の一部変更及び個人情報の保護に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。

 従前の「基本方針」との主な変更点は、いわゆる「過剰反応」問題についての取組や、消費者等の権利利益の一層の保護について、追加されている点などです。

【追記】(5/2)
 一部変更された上記基本方針や改正政令については、内閣府のサイト「個人情報の保護」から見ることができます。
 なお、政令のほうの内容は、以前このブログの下記記事で書いた点についてのものです。
 → 「個人情報保護法の政令改正案のパブコメ:市販名簿関連」
                          (3/6)

景品表示法・特定商取引法に消費者団体訴訟を導入する法律成立

 さきほど、発表されたところですが、景品表示法特定商取引法消費者団体訴訟制度を導入すること等を内容とする「消費者契約法等の一部を改正する法律案」が、本日の参議院本会議で可決し、成立しました。

 以下は、公正取引委員会のサイトでの報道発表に基づくものですので、景品表示法関連部分のみになっておりますが、、本法には、特定商取引法への消費者団体訴訟制度の導入が含まれています
施行期日は、平成21年4月1日とされています。〈【追記】(6/8)ただし、特商法部分の施行は、別途審議される特商法・割販法改正法の施行日からとされており、現時点で同法が未成立のため、未定ということになっています。〉
 → 公取委サイト報道発表(PDF)

 改正法の内容
(1)   消費者契約法の一部改正
ア  適格消費者団体の認定・監督における行政機関相互の連携
 内閣総理大臣は、適格消費者団体の認定をしようとするときは,所定の事由について公正取引委員会の意見を聴くものとする。【15条2項】
 また、公正取引委員会は、内閣総理大臣が適格消費者団体に対して適当な措置をとることが必要であると認める場合には、内閣総理大臣に対し、その旨の意見を述べることができるものとする。【38条1項1号】
イ  差止請求権の行使状況に関する情報共有
  内閣総理大臣は、適格消費者団体による差止請求権の行使状況について、電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置その他の方法により、公正取引委員会に伝達するものとする。【23条5項】 

(2)  景品表示法の一部改正
  適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して、商品又は役務の内容について著しく優良であると誤認される表示や、商品又は役務の取引条件について著しく有利であると誤認される表示をする行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、当該行為の差止請求をすることができることとする。【11条の2】

製紙業者の再生紙不当表示事件の排除命令(景表法)

 先日来、既に報道されてきた再生紙に関する不当表示事件の排除命令です。
 本日、公正取引委員会は、製紙会社8社(以下「8社」)が販売するコピー用紙に係る表示について、景品表示法4条1項1号(優良誤認)に違反するとして、8社に対して排除命令を行いました。
 8社は、王子製紙株式会社、紀州製紙株式会社、大王製紙株式会社、中越パルプ工業株式会社、日本製紙株式会社、北越製紙株式会社、丸住製紙株式会社、三菱製紙株式会社
 → 公取委サイト報道発表(PDF)
  なお、8社に対する排除命令自体のPDFファイルも公取委報道発表ページにあります。

(違反事実の概要)
 8社は、古紙から抽出したパルプ(古紙パルプ)を原材料に用いたコピー用紙(再生紙コピー用紙)を取引先販売業者を通じて一般消費者に販売するに当たり、当該商品の包装紙、当該商品の包装紙に貼付した商品ラベル、当該商品を詰めた箱又はウェブサイトに、それぞれ当該商品の原材料に用いられた古紙パルプの割合(古紙配合率)を示す記載をしていたが、実際の古紙配合率は、記載された古紙配合率をそれぞれ大きく下回るものであった。 

(排除措置の概要)
ア  前記表示は、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すものである旨を公示すること。
イ  再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
ウ  今後、同様の表示を行わないこと。 

「消費者庁」創設の首相表明

 4月23日、福田首相「消費者庁」創設を表明しました。
 また、25日午前の閣僚懇談会では、、「消費者庁」の創設について「創設の趣旨を踏まえ、各省庁の立場を超えて取り組んでもらいたい」と述べ、官僚側の抵抗排除に向けて各閣僚に指導力の発揮を求めた、とのことです(共同配信記事)。
 → 首相官邸HP「消費者庁(仮称)の創設に向けて」
 → 主張官邸HP「消費者行政推進会議」

 これに対して、4月23日付で日本弁護士連合会(日弁連)の会長談話が出されています。
 → 日弁連サイト「消費者庁(仮称)創設に関する会長談話」
 この会長談話では、「・・・消費者庁を創設し、消費者行政全般についての司令塔として位置づけること、消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管すること、すき間への対応や被害者救済を視野に入れた新法の検討を進めること、地方消費者行政を強化することなどを明確にし、国民目線の消費者行政への転換の姿勢を打ち出したことは、高く評価できるものである。」としています。
 日弁連では、5月15日夜に日弁連会館2階講堂にて、シンポジウム「安全をめぐる消費者行政の問題点と消費者庁のあり方」を開催します。このシンポジウムは、食品安全・製品安全の現状と問題点を明らかにするとともに、「消費者庁」において取り組むべき課題等について公開の場で議論し、消費者行政推進会議の最終取りまとめに反映させたいとして開催されるものです。
 → 日弁連シンポジウム
    「安全をめぐる消費者行政の問題点と消費者庁のあり方」

 一方、民主党は、この自民党案に対抗して、「消費者保護官法案」を今国会に提出する予定としています。これは、消費者の権利を守る役割を担う保護官を内閣から独立した形で新設し、各省庁が持つ強制調査権限を行使するよう勧告する権限を持たせるなど、首相に準じた権威を持つ役職とするという制度を考えているようです。

 なお、消費者庁については、このブログでも、最近、次のような記事を書いています。
 → 「『消費者庁』の創設を求める意見書と緊急集会(日弁連)」(2/15)
 → 「消費者庁設置:自民党調査会決定と首相意向表明」(3/20)

(関連リンク)
仙台弁護士会「消費者が主役の消費者行政新組織の実現を求める会長声明」(4/23)

2008年4月23日 (水)

燃費向上商品への排除命令に対する審判手続開始

 もう一丁がんばって書きますわ、というほどのものではありませんが。。。

 公正取引委員会が今年2月8日付で行った、自動車燃費向上等を標榜する商品の製造販売業者らに対する排除命令に対して、ニッポンエミール・すばるメディア・ピエラスの3社から審判請求があったため、4月21日、独占禁止法52条3項に基づいて審判手続を開始することとなりました。
 この2月の排除命令は、19社に対するものでした。詳しくは、下のリンク記事を見て下さい。
 前にも書きましたが、本件では景品表示法4条2項の「不実証広告」規定を使って公取委排除命令を行ったのですが、これにたいする不服申立としての興味がありますね。できれば、公取委側の代理人になりたいくらいですが、そういう制度はなさそうです(寂笑)。
 もちろん、申立会社側が、燃費向上の立証をすれば、それまでなんですけどね。

 → このブログ記事「燃費向上商品の不当表示に対する排除命令(景表法)」(2/8)
 → 排除命令の公取公表記事(PDF)

 ただ、この手の景品表示法の表示事案の場合、顧客からすれば、返品、代金返還の問題が生じます。これに関しては、詐欺:錯誤だとか債務不履行だとかの細かい話になるので、ちょっと省きますが、景品表示法自体は公法的な規制(行政の問題)であって、民事法的な効果とは直接的な関係はないので、そのあたりの問題が今後検討されなければなりませぬ。
 また、わかっていて買わせていたなら、景品表示法だけでなく、刑法上の詐欺罪として刑事責任の対象となるべきもんですけどね。

 それはそれとしても、景品表示法上、表示の正当性を証明できる根拠があるならば、審判手続よりも前に出せなければ、事業者としては問題があるという評価もあるかもしれません。
 本当に燃費向上の効果があると納得すれば、私も買うぞ。でも、もし表示とは違うなら、はっきりと認めて、顧客に弁償すべきとではないでしょうか。

JASRACの私的独占行為容疑での立入検査(公取委)

 今日も東京出張でした。今回は東京地裁の裁判ですけども、先週から3回目の東京です。同じ日に東京出張がまとまれば効率がいいのですが、そういうわけにもいきません。
 さて、消費者庁創設の首相表明や、雑誌記事中のコメントについての損害賠償判決などなど、ここに書いておきたい話題が出てきてますが、とても整理する時間がなく、ぼちぼちと追いついて行きたいと思います(本業すら追いついていないのでご容赦)。

 さて、本日の報道で目立ってますが、音楽著作権管理事業に関して有利な内容の契約を放送局と結び、著作権管理市場への新規事業者参入を不当に締め出したとして、公正取引委員会が本日、独占禁止法違反(私的独占)の疑いで日本音楽著作権協会(JASRAC)に立入検査したとのことです。
 これについても、報道以上のことはわかりませんが、放送局としては、JASRAC管理の音楽は定額で使い放題なのに、他の事業者の管理する曲を使う場合は追加支出が生じる形となっているため、放送局が新規事業者の参入を制限している疑いがあると公取委は考えているようです。

 独占禁止法3条「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」
 さかのぼって独占禁止法2条5項「この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」

 なお、JASRACは、自らのサイトで、「公正取引委員会がJASRACに立入検査を行い、JASRACはこの検査に全面的に協力いたしました。
 今後の対応につきましては、検査の結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えています。」
としています。
 ちなみに、同サイトでは、4月9日に「コンプライアンス宣言」をされておられますね。その宣言の中の7項に、
「 日常業務の推進にあたっては、法令や社会規範及び協会の規程等に沿って業務を行います。
  (1) 著作権法、公益法人関連法、信託法、著作権等管理事業法、独占禁止法等の法令や社会規範等に沿って適切に業務を行います。 」

というのがありました。

 この件に関しては、「JASRAC」への立入検査という点と、新規参入妨害による「私的独占」の疑いによる立入検査という点に、興味が引かれるところですが・・・すみません・・・それ以上、検討する時間がありません。明日夜には、独禁法公正取引研究会で、下請法についての発表をしなければならないもので。。。

2008年4月22日 (火)

司法試験(新・旧)の今年度受験予定者 

 本日付で、法務省から新・旧両方の平成20年司法試験の受験予定者・出願者数などが公表されました。
 新のほうは「受験予定者数」、旧のほうは「出願者数」と違いがあるのは、何か意味があるのかな?公表事項も異なりますけども。
 → 法務省サイト

 制度は異なりましたが、私たちの受験の時代も、連休明けに短答式試験があり、連休中は直前の勉強期間でしたので、遊びに行く人たちがうらやましかったのを覚えています。
 受験生の皆さんの健闘を祈りたいと思います。

 まずは、新司法試験から、
1 受験予定者数等 7,710人
  男 5,374人(69.70%) 女 2,336人(30.30%)
  受験回数 1回目 4,890人(63.42%)
       2回目 2,333人(30.26%)
       3回目 487人( 6.32%)
  既修・未修別 既修者・法学部卒 3,012人(39.07%)
         既修者・非法学部卒 412人( 5.34%)
         未修者・法学部卒 2,539人(32.93%)
         未修者・非法学部卒 1,747人(22.66%)

2 選択科目別受験予定者
  倒産法 1,822人(23.63%)租税法 370人( 4.80%)
  経済法 731人( 9.48%)知的財産法 1,173人(15.21%)
  労働法 2,457人(31.87%)環境法 442人( 5.73%)
  国際関係法(公法系) 154人( 2.00%)
  国際関係法(私法系) 561人( 7.28%)
 ※ 試験地別予定者数は省略。

 つづいて、旧司法試験(出願状況)については、出願者数は昨年度に比して6,022人減、減少率21.5%減の2万1,994人となり、5年連続の減少となった、ということです。それでも、2万人
  ○ 出願者総数  21,994人
      男17,784人   女4,210人 

  ○ 出願者1,000人以上の大学別内訳
      中央大学 2,357人  早稲田大学 2,258人
      東京大学 1,469人  慶應義塾大学 1,417人
      明治大学 1,120人

2008年4月21日 (月)

総務省サイトのリニューアル

 何だか、今日も別の所から、某雑誌についての古い記事の紹介記事が続いて、そっちへの訪問が続いているようですが、それはそれとして、というか、その隙にひまつぶしを。。。

 本日総務省の公式サイトがリニューアルしてました。このサイトは以前から、日本標準時がトップページに出ていて、時計合わせに便利です(微笑み →※1)。
 ここは、前まで、他の官庁のサイトに比べて立ち上げるのが重かったのですが、軽くなったようですね。総務省は広範囲の業務を行っているので、どうしても重いのかな、と思ってましたが、改善されたようです。

 この総務省サイトにもある同省のキャッチフレーズは、
  「実はここにも総務省」  です。

 これを見て思い出したのが、破綻した石川銀行のキャッチフレーズです。
  「用もないのに石川銀行」

 あっ、別に総務省のキャッチフレーズにけちを付けてる訳では絶対にないですよ。何の脈絡もなく思い出した、というだけです。気を悪くなさらないで下さい。
 なお、経済産業省のサイトも最近リニューアルされてますね。

※1
 自分のパソコンの時刻合わせをしようとして、この画面上の日本標準時に、パソコンの内蔵時計を合わせて適用すると、画面上の日本標準時も同じ分だけずれてしまいますので、ご注意を。内蔵時計の時刻合わせが完了したら、総務省サイトの画面を更新すれば、サイト画面上の時計も正しい時刻に変わります。

2008年4月19日 (土)

アクセス記録更新

 18日は、某会社の会議出席のため東京出張でした。

 さて、17日の午後6時頃から、突然、このブログへの大量のアクセスが始まりました。この状態は丸一日続いて、18日の午後6時ころ、ほぼ終息したようです。

 先日、当ブログを「ビジネス法務の部屋」で紹介いただいた時でさえ、トップの座を譲らなかった昨年3月9日のアクセス数の大記録を、17日は夕方からのアクセス急増だけであっさり超えてしまい、翌18日には当分破られなさそうな訪問者数、アクセスページ数の記録となったようです。
 ちなみに、昨年3月は、先日亡くなった川内康範氏のおふくろさん騒動に関する記事にアクセスが集中したものです。そのころはブログを始めたばかりで、アクセスされる人も今より随分少なかった時でしたが、当時は国民的話題だったので、キーワード検索で一時的にたくさんいらっしゃったというだけのものでした。

 さて、今回の大量アクセスの理由ですが、訪問者のリンク元を見てみると、関西の某私大の理工系の先生のサイトでした。ここの17日の記事に、とある雑誌に関する私のブログの古い記事2つをリンクされたためで、そこから飛んで来られた方が多数ありました。昨年2月と今年4月に書いた記事です。
 その後18日の夕方に当該サイトに新しい記事が投稿されて更新されたため、一挙にアクセスが減りました。それでも、まだ、アクセスしてこられる方が若干おられるので、いつもより多いですけどね。
 おそらく、普段のブログ訪問者の方々とは、ちょっと違う層の訪問者が多かったのではないかと想像しています。こちらは大歓迎ですが、あまりリピーターにはなっていただけないでしょうねぇ。それにしても、その大学の先生のサイトは、地味な作りの情報サイトなのに、毎日すごい数のアクセスのある人気サイトなんですね。

 興味のある方(いるかな?)のために、その先生のサイトを紹介しておきます。
  → 「セキュリティホール memo」

【追記】(4/19)
 で、ついさっき更新されたところでは、18日のココログの記事毎アクセスランキングで、上の古い両記事が8位と15位になってしまいました。特に8位だとココログのトップページでもろに紹介されてリンクされるので、そろそろ、そっち経由のアクセスが増え始めるのではないかしら。
 やっと、騒動が終息したと思ったのですが。。。

【追記の追記】(4/19)
 追記で心配していたのは杞憂に終わって、徐々にいつものペースに近づいてきて、落ち着いてきました。
 以前、NIFTYのトップページにアクセス数の多い記事がリンクされてたときに載った時には結構アクセスが増えたと思うのですが、やはり、NIFTYのトップページとココログのトップページとでは、影響力に差があるということでしょうか。

2008年4月17日 (木)

下請へのラーメン等購入押し付けの下請法違反事件(公取委)

 本日、公正取引委員会は、九州産交運輸株式会社に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項6号(購入・利用強制の禁止)に違反するとして勧告を行いました。 
 → 公取サイト報道発表資料(PDF)

 ここのところ続いている自動車運送事業者に対する下請法違反勧告事件ですね。
 →「また・また・また貨物運送業者に対する勧告(下請法)」(3/28)など
 ただし、今回の事案は、よくある代金不当減額(下請法4条1項3号)ではなく、購入・利用強制の禁止(4条1項6号)です。要するに、下請事業者に対して、物品の購入を押しつけたというものですね。

(違反事実の概要)
 九州産交運輸は、貨物運送を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、ラーメン等の物品販売キャンペーンにおいて、役員及び従業員の知人のほか取引先に購入を要請するという方針のもと、あらかじめ、本社各部,支店,営業所等の部門ごとに、販売目標数量を定め、下請事業者に対し、下請事業者との取引に係る交渉等を行っている支店,営業所等の長又は配車担当者を通じて、具体的な数量を示し、販売目標数量に達していない場合には既に購入した者に対し再度要請するなどして、購入要請を行っていた。 
 下請事業者(241名)は、今後の九州産交運輸との取引を考えやむを得ず、前記要請を受け入れて、ラーメン等の物品を購入した(購入総額2469万1440円)。 

(勧告の概要)
ア 前記要請に基づき下請事業者が購入したラーメン等の物品の購入金額から当該物品の仕入価格に相当する額を控除した額(998万8770円)を下請事業者に対して速やかに支払うこと。 
イ  前記購入強制行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ 今後、下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させることがないよう、自社の発注担当者等に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 
エ 前記に基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。  

2008年4月16日 (水)

フカヒレの不当表示と千葉県の調査(景表法)

 16日の報道によれば、首都圏で中華総菜販売店「昇龍園」などを運営する「大和グループ」(本社千葉市)が、総菜「産直もやしとフカヒレの冷菜」のラベルに「フカゼラチン」と表示しなければならない食材を「フカヒレ」として販売していたことが分かった、ということです。
 「フカゼラチン」というのは人工(人造)フカヒレの原料に使われるようです。人工フカヒレをちょっと調べてみると、「豚ゼラチン」を原料にしているものも多いようなんですが、「フカゼラチン」という以上は、サメ由来のゼラチンなんでしょうねぇ?(【追記】毎日の記事によれば、サメの軟骨周辺のゼラチン質を人工的に固めたもののようですね。)

 これについて、報道では、千葉県が景品表示法違反(不当な表示の禁止)の疑いで聞き取り調査を進めており、会社側は自社サイトでこの事実を公表し、「結果として偽装表示になってしまったことに否定の余地はございません。チェック体制のミスに起因するもので、お客さまの信用を裏切り、深くおわび申し上げます」としている、とのこと。この会社のサイトを先程見に行ったのですが、「アクセス集中」ということで見られませんでした。
 まだ事案の内容に関して詳しくは分かりませんが、この会社も、この段階で自ら積極的に公表したこと自体は評価できるのではないか、と思います。
(【追記】(4/17)今日の時事の報道だと、3月下旬にフカヒレは入っていないのでは、という情報があったので、県が調べたところ、会社が大筋で認めた、ということなので、その通りだとすれば、どうやら「自ら積極的に公表」したと評価する必要はなさそうですね。公表しないよりマシですが。)

 さて、上の報道で、景品表示法違反(不当表示)事件について、千葉県が調査を進めているようなんですが、ご承知の通り、景品表示法の本来の執行機関は公正取引委員会です。
 なぜ、公取委ではなく、地方自治体である千葉県が調査しているかというと、景品表示法7条(都道府県知事の指示)の規定があり、同法違反行為については、都道府県知事が事業者に対し、行為をやめさせたり、再発防止に必要な事項などを指示することができる、となっています。
 さらに、この指示に従わない場合などは、都道府県知事から公取委に適当な措置を請求することができます(同法8条)。
 そして、これらの指示や措置請求を行うために必要があると認めるときは、都道府県知事は、事業者などに対し報告をさせたり、都道府県職員に事業所などの場所に立ち入ったり、帳簿書類などを検査させたりなどをすることができるものと規定されています(同法9条)。
 つまり、本件の千葉県の調査は、この規定に基づいてなされているものです。

【追記】(5/21)
 千葉県は注意の行政指導を行ったようです。

国際航空貨物便の運送代金カルテルの疑いで立入検査(公取)

 本日(4/16)、国際航空貨物便の運送代金に関して、運送会社が価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会は、日本通運近鉄エクスプレス、日本郵船系列の郵船航空サービスの大手3社を含む計13社と業界団体である社団法人航空貨物運送協会に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査に入った、と各社で報じられています。
 対象業者は他に、西日本鉄道阪急エクスプレス日新バンテック・グループ・ホールディングスなど。

 日本では、航空法によって、国土交通大臣の認可を受けて行う協定についての独占禁止法の適用除外規定が定められていて、国際航空運送協会(IATA)が定める協定がこの適用除外の協定にあたります。この適用除外規定については、昨年12月、廃止するように公取委が国交省に申し入れをしたり、EUなど既に適用除外を廃止したりしている所もあるなど最近もいろいろ話題になってます。
 けれども、冒頭の件は、この問題と関係はするものの、直接的には独禁法の適用除外制度の対象の事案ではありません。
 というのも、この適用除外規定は、航空運送事業者の間の協定に関する除外規定ですので、今回対象となったような一般の運送業者の間の価格協定はそもそも除外規定の対象にはなりませんので、価格について協定すれば、カルテルとして独禁法違反が問題となります。

 ところで、最近、欧州連合(EU)欧州委員会アメリカの司法省も、世界の航空会社による国際航空運送料金のカルテルについて調査を続けているようです。
 今年3月、EU欧州委員会が、定期旅客便の運賃をめぐって、航空会社が価格カルテルを結びEU競争法に違反した可能性があるとして、複数の航空会社を立ち入り調査したことを明らかにしていますし、アメリカ司法省は、昨年8月、大韓航空とブリティッシュエアラインに対して旅客・貨物運賃カルテルへの関与を認めたとして、それぞれに3億ドルの罰金を科したことが報じられていました。

 →(参考)公取委の研究会報告書(平成19年11月29日)(PDF)
  「国際航空市場の実態と競争政策上の課題について
       ―国際航空協定に関する独占禁止法の適用除外制度の
                                     在り方を中心としてー」 

【追記】(4/17)
 17日の報道では、米司法省が、16日、日本航空が国際貨物の航空運賃をめぐり、カルテルを結んでいたことを認め、1億1000万ドル(約111億円)の罰金の支払いに合意したと発表しています。EUなどとの連携の動きと見られますね。
 おりしも、4月13日には、京都で日本とEUの競争当局間の定期協議、引き続き14日からICN,国際競争ネットワークの第7回年次総会が開催されていましたが、このあたりのことも話題になっていたのでしょうね。

【追記の追記】(4/17)
 日本航空のサイト発表によれば、「弊社は、米国司法省がこれまで2年以上にわたり世界の主要国際航空貨物会社に対して実施してきた、米国・太平洋線国際航空貨物に係わる価格カルテル関する調査に協力してまいりましたが、本年4月16日(米国時間)、米国司法省と司法取引を行い、罰金110百万米ドル(約110億円)を支払うことなどに合意いたしました。」となっています。
 知らなかったのですが、現在の「株式会社日本航空」は持ち株会社で、旧来の日本航空の正式な社名は、「株式会社日本航空インターナショナル」なんですね。上記の司法取引を行った『日本航空』「日本航空インターナショナル」です。 ややこしや~。。。

【追記の追記の追記】(08/2/21)
 冒頭の国際航空運賃カルテルの件で、公正取引委員会が排除措置命令、課徴金納付命令を出す方針と報道されましたので、簡単に記事を書いておきました。
 → 「航空貨物カルテルに対する処分方針の報道(独禁法)」

2008年4月15日 (火)

日本銀行松江支店情報流出事件の調査報告

 先日(3/24)書きました日本銀行松江支店の職員のパソコンからの内部情報流出事件について、本日、日本銀行から、調査報告書総裁談話が公表されています。
 → 「日本銀行情報流出事件と北海道警捜査資料流出事件訴訟判決」(3/24)
 → 日本銀行サイト公表資料(調査報告書、総裁談話)

 調査結果によれば、流出した情報は計34ファイルで、職員が、フロッピーディスクに格納して自宅に持ち帰り、個人所有パソコンに保存していたもの(当初発表数を修正)。
  このうち、金融機関とその融資先に関する機密度の高い情報としては、①金融機関の過去の決算分析に関するものと、②日本銀行が金融機関に委嘱している国庫国債事務の事務検査に関するものの2種類で、掲載されていた金融機関の数は13先、融資先の数は14先ということです。

 流出の経緯としては、職員の個人所有パソコンの内の1台にファイル交換ソフト(Cabos、Winnyおよびその亜種)が検出されていて、ただし、暴露ウイルス(ファイル交換ソフトを通じて勝手にファイルを流出させてしまうAntinnyなどのウイルス)そのものは検出されなかったものの、ある暴露ウイルスに感染した場合に特徴的に生成されるファイルが多数発見されたということです(当該職員があわててウイルスを削除したということなのかな?)。 ウイルスチェックソフトも2005年にサポート期限が到来しており、ウイルス定義ファイルは2001年のものであったとのことだったので(こりゃひどいですね。)、今回流出した情報は、当該パソコンが暴露ウイルスに感染し、ファイル交換ソフトを通じて流出したものであると判断しています。

 そして、反省すべき点として、
(1)職員の規範意識が十分ではなかった点
(2)情報流出を生じさせないための執務環境の整備が十分ではなかった点
(3)上司が部下の内部ルール違反を認識していなかった点

を挙げ、
 再発防止策として、
(1)情報の厳格な取扱いの再徹底
(2)情報流出を生じさせない執務環境の整備
(3)内部におけるチェック体制の強化

を挙げています(詳しくは、上記の日銀公表資料をご覧ください)。

 今回の件で、関係者の処分として、当該職員1名に停職1ヶ月(自主退職)、管理・監督者6名に戒告(内、現支店長、全支店長は給与自主返上10%1ヶ月)がなされています。

 情報流出事件後の対応の参考にもなる事案です。比較的早期に調査、処分を行って結果公表をしている点は評価できるとは思います。・・・総裁が不在だったにもかかわらず・・・

「不動産トラブル事例データベース」配信開始(国交省)

 国土交通省が昨日(4/14)発表していたのですが、不動産の取引に関する紛争等を類型的に取りまとめた「不動産トラブル事例データベース」のサイトの運用を4月14日より開始した、とのことです。
 → 国交省サイトの発表
 → 「不動産トラブル事例データベース」

 国交省によれば、
 データベース化した不動産取引に係る紛争事案を消費者がインターネット環境を使って検索することにより、判例、特定紛争、行政処分といった事例毎に、要旨、概要、紛争の結末や留意点などの情報を入手することができます。
 国土交通省としては、これらの情報を広く一般に提供することにより、
不動産取引に係る紛争の未然防止や、早期解決等が図られることを期待するものであります。
 現在、データベースに登録している紛争等の事例数は165件となっていますが、今後、時代に即した新たな事例などの追加更新を行い、データベースの充実を図っていく予定です。

 ということです。

 いくつかの事例は見てきましたが、まだ全体的に目を通すことはできてませんので、感想は保留しておきます。
 ただ、これからの事例の集積を待つ必要はありますが、業者にせよ、消費者にせよ、参考にはなることは期待できますね。

2008年4月12日 (土)

KIDS-CRICコピーライト・ワールド(おじゃる丸編)

 週末の知的娯楽のご案内・・・というわけでもありませんが。

 社団法人「著作権情報センター(CRIC)」のサイトは、著作権のことをいろいろ調べるのに便利です。

 で、このサイトに子供向けに「KIDS-CRIC コピーライト・ワールド」というページがあって、NHK教育テレビでおなじみのおじゃる丸がキャラクターになっていて、楽しげです。

 けれども、子供向けとはいえ、内容的にはきちんとしていて、大人が著作権の基本を勉強するにも、充分にお奨めです。

 この中の、「バーチャルタウン」では、学校、会社、家庭、インターネット、放送に関して、日常的に著作権が問題となる基本的なところがわかりやすく解説されていますし、「クイズ・ゲームの広場」の「CRIC式自己診断テスト」や「クイズ・コピーライト道場」などは、大人でも結構歯ごたえがあります。クイズの中身も、微妙なところを突いていて、甘く見ていると間違えたり、きちんと理解していない個所は悩んでしまうかもしれません。一度チャレンジしてみて下さい。
 また、教師や生徒向けの「コピーライト教室」も一般の方にとっても参考になりますよ。

【追記】(2016/2/18)
 このおじゃる丸のコピーライトワールドのページはなくなっています。
   → 「おじゃる丸コピーライトワールド(CRIC)は今はないですよ、という告知」

2008年4月11日 (金)

「遺言の日」は何月何日?

 来週の火曜日、4月15日は、「遺言の日」ということらしいです。「良い遺言」の語呂合わせということのようですけども。
 「遺言」は、一般的には「ゆいごん」というほうが多いように思いますが、法律家は「いごん」と発音します。どっちでも間違いではありません。

 で、全国の弁護士会では、この日に記念行事を行うようで、大阪弁護士会でも、近畿税理士会との共催で、「遺言の日記念行事 相続の準備はできていますか?」を開催します。
                   → 全国の記念行事はこちら(日弁連サイト) 

 大阪弁護士会サイトからの宣伝チラシによれば、
 「資産家じゃないから…」、「うちの子らは兄弟仲がよいから…」、「相続でもめるなんてないわ」とお考え方、本当にそうですか?「私の財産や事業を家族がうまく引き継いでくれるか心配だ。どうしたらよいだろう?」と思ったことはありませんか?
 あなたの大切な財産や事業を円満にご家族に引き継いでもらうには、遺言作成が最良の対策です。
 遺言は、弁護士や税理士にご相談を!

 ということです(参加は無料)。  → 大阪弁護士会イベント情報

 日 時  平成20年4月15日(火)  午後1 時から
 場 所  大阪弁護士会館 大阪市北区西天満1-12-5
 内 容  午後1時~ (2階ホール)
        寸 劇 ~「向日葵家(ひまわりけ)」の相続問題~
       午後2時30分~午後4時(1階法律相談センター)
        無料相談会
          弁護士や税理士による遺言・相続の無料相談
            ※相談者多数の場合、寸劇聴講者を優先
              希望者は、寸劇終了後2時30分迄に受付

                  問合せ先 06-6364-1227
                   (大阪弁護士会委員会担当室) 

2008年4月10日 (木)

フェスティバルゲート(大阪)のテナントからの損害賠償請求事件判決

 経営破綻したアミューズメント施設「フェスティバルゲート」(「フェスゲ」 大阪市浪速区)の売却を巡り、公募型入札で落札した韓国系の開発会社が、契約締結期限の3月31日になっても売買契約締結を留保し、契約が成立していないことが、各マスコミで報道されています。
 大阪市交通局の車庫跡地の土地信託事業として作られたもので、レジャー施設ビルの中をジェットコースターが走るということで1997年開業当初はかなり話題になったものの2年目以降利用者が激減して破綻したものです。でも、私は結局一度も行かなかったです。

 さて、今回、落札した開発会社が売買契約を留保した理由として、今年3月18日に言い渡されたばかりの大阪地裁判決の影響が挙げられています。

 大阪地裁平成20年3月18日判決
 平成17年(ワ)第12617号損害賠償等請求事件

  (最高裁サイトの下級裁判所判例に掲載・・3ヶ月で消えますが)

 この判決の事案は、フェスティバルゲート開業時からテナントとして飲食店を経営していた原告会社が、賃貸人であり、実質的な施設運営主体となった信託銀行2行大阪市を被告として、不法行為ないしは賃貸借契約上の債務不履行に基づいて、損害賠償を請求するとともに、大阪市に対しては、大阪市が原告に対して申し立てた賃借区画明渡調停や仮処分事件での不法行為(名誉・信用毀損)に基づく損害賠償と謝罪広告を請求したものです。

 判決は、信託銀行2行に対して約1億4000万円の損害賠償支払(連帯責任)を認め、大阪市に対する請求については、損害賠償、謝罪広告とも請求棄却としました。
 この手の事業における自治体の責任というのも興味あるところですが、分量の関係上、以下では、大阪市に対する請求(棄却)に関しては割愛します。

 原告は、(1)契約締結にあたっての説明・告知義務違反、詐欺的勧誘、(2)営業努力義務・営業日(営業時間)維持義務違反、(3)背信的運営、を損害賠償の根拠としたのですが、
 (1)については、詐欺的勧誘とまではいえないにしても、契約を締結するか否かの重要な判断材料に関し、説明・告知義務違反があったとしました。収支見通し、外周警備費支出などに関しては、施設の収支予測に関する重大な事項として事情を説明・告知すべき義務があったとするものです。
 (2)については、このような法的義務を認めませんでした。
 (3)については、過大な警備費用に関する杜撰な処理は「背任的行為と評価されても致し方のないもの」とするなど、受託銀行らの運営は、賃借人らに対しても背信的であったもので、上の(1)と合わせて一体として不法行為が成立する、と判断しました。
 なお、本件では、テナント側の過失相殺も認められており、原告の過失割合は7割と判断されて、結局、損害額である初期投下費用と累積赤字の3割が損害賠償額として認容されたものです。

 本件で注目できるのは、この施設が単なる事務所ビルや商業ビルとは異なり、遊戯施設を集客の核として、その効果で物販店、飲食店が潤う構造であるという差異があることを意識して判断がなされている点です。
 バブル期以降、日本全国に同種のアミューズメント集客施設がたくさん開業して、破綻していったことはご承知の通りで、この「フェスゲ」だけの問題に限るものではなく、本件判決の影響は少なくないものと思います。この手の施設を展開する事業者には、結構大きな波紋が拡がっているのではないかしら、と勝手に想像してます。

【追記】(4/11)
 今朝の日経の報道では、「フェスゲ」を一般競争入札で落札した韓国系企業「フェスティバル プラザ エーピーピー」が大阪市に「契約を目指し今月いっぱい検討したい」と伝えていた、とされてますね。まだ、同社が契約する可能性があるようです。

2008年4月 9日 (水)

システムキッチン部品製造の下請法違反勧告(公取委)

 公正取引委員会が、3月21日に、中小企業庁長官から下請法6条に基づく措置請求を受けたことについては、同日付「下請法:中小企業庁長官から公取委への措置請求」に書きました。

 この事案について、本日、公正取引委員会は、株式会社ミカド(大阪市)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反したとして勧告を行いました。 
→ 公取委サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要)
 ミカドは,自社で製造・販売しているシステムキッチン等の部品等の製造を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、下請事業者に対して、「販売協力金」等と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額又は取引数量に一定額を乗じて得た額を負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。
 なお、ミカドは既に下請事業者の一部に対し、減額分の一部(331万8811円)を返還している。 

(勧告の概要)
ア 「販売協力金」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額3995万4238円)から前記返還額を差し引いた額(3663万5427円)を下請事業者(39名)に対して速やかに支払うこと。
イ 前記減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。 
ウ 今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ 前記ア、イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

ヤフーオークションの運営者の注意義務(名古屋地裁判決続報)

 既にご紹介した3月28日のヤフーオークション詐欺被害訴訟の名古屋地裁判決ですが〔ヤフーオークション詐欺被害訴訟の判決(名古屋地裁)〕、判決文が原告団サイトに出ています。また、控訴する方針も表明されています。
 → ヤフーオークション訴訟原告団サイト

 この名古屋地裁判決が示した、オークションの運営者である被告ヤフーの注意義務に関して、以下に紹介したいと思います。

名古屋地裁平成20年3月28日判決
 平成17年(ワ)第1243号、平成17年(ワ)第2234号、平成19年(ワ)第849号(いずれも損害賠償請求事件) 

 原告の主張では、被告ヤフーは、その利用契約が、仲立契約に準じた契約責任、準委任に基づく善管注意義務、請負人類似の注意義務を負う、そうではないとしても、一定の注意義務を負うなどとしたうえで、十分な注意喚起、第三者信頼性評価システムの導入、出品者情報の提供・開示、エスクローサービス利用の義務づけ、補償制度の導入などにより被害防止をはかるべき注意義務が存在し、それを果たさなかったとして、契約責任、不法行為責任があるとしています。

 これに対して、被告ヤフーは、まず、オークションのサービスは、利用者に自己の判断によって自由に商品売買を行う機会を提供することを中核としており、被告ヤフーは取引の「きっかけ」を提供する「場の提供者」であるので、オークションのサービスをきっかけとして行われる個別の売買は双方の自己責任で行われるものであり、「取引の場の提供者に過ぎない被告は、利用者間の個別の取引の成立や履行に関与することはなく」詐欺被害も含め利用者間のトラブルについて、契約上および不法行為上の責任を負わない、と反論しました(個別の事項の反論ももちろんしています)。

 判決では、まず、オークションの利用契約は、仲立契約、準委任、請負などとはいえないとしました。
 一方で、被告ヤフーが利用者間の取引について一切の責任を負わないと主張した点については、
「本件利用契約は本件サービスのシステム利用を当然の前提としていることから、本件利用契約における信義則上、被告は原告らを含む利用者に対して、欠陥のないシステムを構築して本件サービスを提供すべき義務を負っているというべきである。」として、被告ヤフーの主張を斥けています。
 そのうえで、被告ヤフーに求められる具体的な義務の内容は、
「そのサービス提供当時におけるインターネットオークションを巡る社会情勢、関連法規、システムの技術水準、システムの構築及び維持管理に要する費用、システム導入による効果、システム利用者の利便性等を総合考慮して判断されるべきである。」としました。
 さらに、原告が主張した具体的な義務違反の内、「注意喚起」については、オークション詐欺等犯罪的行為が発生していた状況下では、「犯罪的行為の内容・手口や件数等を踏まえ、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置をとるべき義務があったというべきである。」と、本件において、注意喚起の義務があったと判断しています。
 この点、限定的にせよ、オークション運営者の利用者間のトラブルを防止すべき義務が存在することを認めたもので、この判決の重要な部分かと思います。
(なお、その他の原告主張の具体的義務は認めていません。)

 そして、その「注意喚起」義務についての義務違反があったか否かについては、
「・・平成12年から現在まで、被告は、利用者間のトラブル事例等を紹介するページを設けるなど、詐欺被害防止に向けた注意喚起を実施・拡充してきており、時宜に即して、相応の注意喚起措置をとっていたものと認めるのが相当である。」として、被告ヤフーが、「注意喚起」義務を果たしていたとし、結局、原告の請求を認めなかったものです。

【追記】(4/14)
 時事の4/11の報道によれば、原告全員が控訴したようですね。

2008年4月 8日 (火)

ITからICTへ、URLからURIへ、だそうです

 昨日(4/7)に書いた「インターネット上の違法・有害情報への対応検討会「中間とりまとめ骨子(案)」(総務省)」の中に「ICTメディアリテラシー」という言葉が出てきましたが、今日たまたま、総務省のサイトで、「ICT成長力懇談会」という会合の名前を見つけました。

 この言葉が何の説明もなくいきなり出てくるのですが、「ICT」というのは、「Information and Communication Technology」の略で、情報(Information)と通信(Communication)に関する技術の総称(情報通信技術)
 これまで日本でよく使われている「IT」(Information Technology 情報技術)とほとんど同じと考えればよさそうなのですが、国際的には「ICT」のほうが使われているということらしく、総務省の「IT政策大綱」も既に「ICT政策大綱」と名前を変えているなど、数年前から使われている言葉です。

 ところで、この記事を書くのに参考にさせてもらった「IT用語辞典BINARY」(この名称は「IT」のままですね)の記事によれば、同様に、インターネットにおける住所地ともいえる「URL」(Uniform Resource Locator)というおなじみの用語も、その上位概念である「URI」(Uniform Resource Identifier)という表現へと移行しつつあるのだそうです。知らなかった。

2008年4月 7日 (月)

西村ひろゆき(2ちゃんねる)VS切込隊長の裁判の1審判決

 昨年11月27日に「西村ひろゆき(2ちゃんねる)VS切込隊長の裁判」という記事を書いたのですが、その後、今年2月18日に判決(東京地裁)が出ていました。
 「2ちゃんねる」での書き込み内容が名誉毀損にあたるとして、「切込隊長」として知られた原告が、2ちゃんねる管理人西村博之氏に損害賠償と記事の削除などを求めていた事件です。

 この裁判と1審判決の内容については、OhmyNews(オーマイニュース)で以前からこの裁判の記事をずっと書かれてきた渋井哲也氏の2月18日付「『2ちゃんねる』書き込みの一部削除を命じる」および2月23日付「2ちゃんねる判決は『これまでの枠組み通り』」に詳細に紹介されています。

 結論だけいえば、原告一部勝訴判決で、80万円の損害賠償(請求額200万円)と、書き込みの一部の削除については裁判所は認めましたが、原告の名前や「切込隊長」などの言葉があるスレッドを立たせるなとする請求は棄却された、ということです。上記の渋井氏の記事を読む限りでは、本件での損害賠償の根拠として、裁判所は、名誉毀損に該当する書き込み(投稿)を管理人である西村氏が削除しなかったことにつき不法行為を認めたようです。

 この判決について、被告の西村氏は控訴したということです。西村氏としては珍しく、控訴審では代理人弁護士をつけた模様ですね。
 → 渋井哲也氏「2ちゃんねる管理人が控訴 山本氏との名誉毀損訴訟で」(4/2 OhmyNews)

 

インターネット上の違法・有害情報への対応検討会「中間とりまとめ骨子(案)」(総務省)

 4月2日に開催された第5回「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の配布資料が公開されていて、この中に、『中間とりまとめ骨子(案)~携帯電話フィルタリングサービスの実効性ある普及を目指して~』というのがありました。
 → こちらへ(総務省サイト)

 サブタイトルにあるように、最近話題になっている携帯電話のフィルタリングサービス(以下、フィルタリング)によって有害情報から主に青少年の保護を図ろうとする観点から、フィルタリングの現在の課題と今後の方策を提言しようとするもののようです。このブログでも携帯電話のフィルタリングについて書いたことがありました。
 → 「フィルタリングと競争法」(1/30)
 → 「フィルタリングの話の続き」(1/30)

 「中間とりまとめ骨子(案)」の中身は、フィルタリングの現状と課題を踏まえて、まず、今後の短・中期的な対応を示し、最後に長期的な対応(有害情報対策の深化)を検討するという体裁になっています。以下、簡単に内容を紹介しておきます。

 短・中期的な対応の中で、目についたのは、携帯電話事業者やコンテンツ事業者および利用者だけではなく、独立した第三者機関の必要性をあげている点です。この第三者機関は、ネット上のコンテンツの評価基準を策定し、認定を行うシステムということで、複数の機関が基準を提示し、利用者の選択肢を増やすことも想定されています。

 長期的対応については、まず、青少年保護を実効性あるものにするには、「青少年が知識・情報を自ら選別し、人格形成や自己実現に資するものを取得する能力」(ICTメディアリテラシーと言うそうな)を身につける必要があり、この能力の向上のための教育・啓発活動の必要性、また、保護者、学校、地域の役割が重要ではないか、としています。
 さらに青少年保護のためには、有害な情報の投稿を検出できるような技術開発が必要であり、それについては、国が開発、支援を行う必要ではないか、としています。
 また、コンテンツの評価(レイティング)の取組にも触れています。

2008年4月 6日 (日)

チャールトン・ヘストン氏死去の報

 法律問題とは全く関係ないですが、日曜のウダ話としてお許しを。

 チャールトン・ヘストン氏が亡くなりました。
 ニュースを見てると、彼の「ベン・ハー」は、私が生まれた年の映画のようですが、何度もテレビで見ました。「猿の惑星」もテレビでですけど、子供ながらすごく感動した映画でした。エンディングの自由の女神のシーンは、今でも(子供ですけど)その時の感動は忘れられません。「十戒」も何故だか好きで、ビデオ2巻を持ってたりします。こっちは生まれる前の映画です。
 全米ライフル協会の会長だったりして、銃規制の反対派の象徴だったところまで支持するものではありませんけどもね。

 ちょっと前にアーサー・C・クラークも亡くなり、つい先日には石井桃子さんも亡くなりました。皆さん、それぞれ長生きされたともいえますが、私としては、いろいろな思いのある方々が立て続けに亡くなりました。

 いろいろと思うところのある年度初めです。

2008年4月 4日 (金)

デジタル・コンテンツの流通に関する「ネット法」の提言

 昨日(4/3)の壇俊光弁護士のブログ「壇弁護士の事務室」に取り上げられていたので、覗いてみたのですが、「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」という民間の研究団体が、3月17日に「ネット法(仮称)」の政策提言について公表しています。

 その提言の内容は、

 まず、日本では、現行法上、著作権等の権利処理の負担が大変であるうえ、違法コピー等の不正使用行為への対策が不十分であることから、デジタル・コンテンツ配信サービスが普及しない、として、現行の著作権とは別に「ネット法」という特別法の立法が必要、としています。

 著作権法とは別の特別法の立法を必要とする理由として、
(1)著作権法は伝統的な文化的著作物も対象となっており、同じ法律の中でデジタル・コンテンツを別のカテゴリーとするには、法技術的には可能であっても、実務的に大きな困難が伴い、分かりにくい法律となってしまううえ、現行著作権法の体系での権利関係や実務に混乱を招く、
(2)肖像権や商標権など著作権以外の権利も関係するため著作権法改正だけでは対応が困難である、という2点を挙げています。

 この「ネット法」は、インターネット上のデジタル・コンテンツの流通に限定して適用されるとされており、以下の3項目を中核としています。
(1)「ネット権」の創設
(2)収益の公正な配分の義務化
(3)フェア・ユースの規定化

 詳しくは、上記の当該サイトの資料をみていただくとして、「ネット法」で保護される「ネット権」とは、「特定の者に与えられるインターネット上での一定のデジタル・コンテンツの流通に関する権利」ということのようで、著作権のように、著作者の誰でもが当然に取得できる権利ではないようですね。
 そして、この「ネット権」の創設により、デジタル・コンテンツの円滑な流通が実現でき、「権利者が潤い、消費者が喜び、国富も増える政策」となるというのだそうです。

 確かに、著作権法の従来からの伝統的な体系下での議論では、デジタル・コンテンツの権利の調整が難しくなっているわけで、別の視点からの特別法の体系を作っていくという立場は賛成したいと思います。

【追記】(4/7)
 今朝の日経朝刊法務面に関連記事がでてますね。

2008年4月 3日 (木)

高値仕入ガソリン話の続き(公取事務総長会見)

 先日(4月1日)書いた「高値仕入れのガソリンの安値販売は、不当廉売か?(独禁法)」の関連記事ですけども。。。

 4月2日付公正取引委員会事務総長定例記者会見の本来の発言事項は、「平成19年度の法執行状況について」なのですが、質疑応答はガソリンのネタで(先週も同じことでしたが)、ほぼそのまま引用・・・

(問)ガソリン値下げの動きについて、公取委としてどのように見ていますか。定の範囲内ということでしょうか。

(事務総長)ガソリン価格の動向についての分析と言われても困るわけですが、暫定税率が失効したということですから、当然、それが競争を通じて、小売価格に反映されてくることになると考えております。

(問)不当廉売などの違反行為に対して、監視体制を強めたりすることはないのですか。

(事務総長)独占禁止法違反行為に対する監視体制という意味では、我々は常にそういう体制を採っているつもりですから、今回の暫定税率の失効に伴って、どういう違反行為があり得るのか、必ずしもよく分かりませんが、当然違反行為があれば、厳正に対応するということになろうかと思います。

(問)今回の値下げについては、仕入価格を下回っているという声も幾つかありますが、これについてはどのように考えていますか。

(事務総長)確かに、今回の暫定税率の失効に伴い、暫定税率分を負担して仕入れたガソリンについて仕入価格を下回って販売している、あるいは、販売せざるを得ないというような状況があるということは承知をしております。仕入価格を下回る価格での販売ということですから、不当廉売という議論もあるわけで、個別のケースについては、具体的な事実関係を見た上で判断するわけですが、一般論としては、仕入価格を下回る価格での販売が、その暫定税率分を含んでいる在庫に限られ、言いかえれば、暫定税率分を含まないで仕入れた分については、仕入価格を下回らないというようなことであれば、ある意味、一時的なコスト割れということになるわけでして、その限りにおいては、直ちに独占禁止法上の不当廉売に該当するとは言えないのではないかというふうに考えております。

(問)今までの不当廉売の案件をみると、1か月以上にわたって仕入価格を下回る価格で販売をして、かつ、競合他社に影響を与えたということで、期間と影響というのが処理のポイントでしたが、1か月を目安と考えてもいいのですか。

(事務総長)御指摘のようにガソリンの不当廉売については、平成19年度に2件の排除措置命令を出しております。そのケースでは、仕入価格を下回って販売した期間が1か月を超えていたかと思いますが、ケース・バイ・ケースで考慮する話であって、単純に1か月以内であれば問題ないと、1か月を超えれば問題だというような話ではないのではないかと考えております。

(問)先ほど今回の件については直ちに不当廉売に当たらないということでしたが、状況が状況なので仕方がないということですか。

(事務総長)一時的なコスト割れ販売ではないかということです。そうであれば、その限りにおいて直ちに問題とはならないのではないかということです。

(問)暫定税率分(25円)以上に、30円、40円と価格を引き下げて、コスト割れ販売をしたというケースがあった場合には、これも一時的であれば不当廉売には当たらないということですか。

(事務総長)小売であれば仕入価格を下回って継続的に販売して、他の事業者の事業活動を困難にするおそれがあるという要件があるわけで、個別のケースがそれに該当するかどうかは、具体的な事情を見て判断せざるを得ないということになり、一般論としては、非常に短期間であれば、他の事業者に及ぼす影響もそう大きくはないというようなことはあろうかと思います。

(問)週末だけでも廉売を行っていれば継続性の要件を満たすというガイドラインがあったと思いますが、仮に、暫定税率の再可決までの期間が1か月という期間の中で行われているという特殊な事情があれば、今回の件について、例えば、1週間とかそれこそ2週間ぐらいでも、継続性を満たすという判断にはならないのですか。

(事務総長)個別によく事情を見て判断せざるを得ないということです。あくまで、今度の失効に伴う一時的なものであればということで申し上げましたつもりですので、今後、具体的な動きを見て、それが問題になるかどうかということは、個別に判断していかざるを得ないということと思います。

(問)そもそも論として、値下げしているというのは、まさに経営判断で自由な競争の一部であるため、不当廉売に対する規制については,抑制的であるべきだという議論もあると思いますが、どのように考えていますか。

(事務総長)価格に関するものですから抑制的であるべきだというような御意見はあります。
 一方、不公正な取引方法の一つとして、不当廉売ということが規制されているわけです。場合によっては資本力等を背景にコスト割れ販売を行い、効率的な事業者も十分競争していけなくなるという状況であれば、能率競争、価格競争等、公正な競争という観点から規制すべきというふうに考えております。
 効率性において劣る事業者を不当廉売規制によって守ろうという趣旨でないことははっきりしてまして、運用において、そういう方針でやっていますし、このような考え方は、小売業における不当廉売についての考え方でも明らかにしているところです。

菓子製造の下請法違反勧告事件

 別に公正取引委員会の報道発表を全部ここに載せるつもりはないのですが、やたらと下請法違反の勧告が出てますので、これを載せて、あれを載せない、というのも、不公平だ、と言われそうで心配になってきますね。
 もっとも、(下請法ではありませんが)3月末の医療用エックス線装置の談合事件の排除命令、課徴金納付命令は、あえて書かなかったんですけども・・・・。ということで、今回は菓子製造の下請に関するケースです。

 昨日(4/2)、公正取引委員会は、株式会社松風屋(名古屋)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反するとして勧告を行いました。 
 → 公取委サイト報道発表資料(PDF)

(違反事実の概要)
 松風屋は、自社の商標を付して販売する菓子の内容物又は包装資材等の製造を下請事業者に委託しているところ、自社の利益を確保するため、下請事業者に対し、
ア  「仕入歩引」、「物流手数料」若しくは「支払手数料」と称して下請代金の額に一定率を乗じて得た額 又は
イ  「伝票代」と称して同社が下請事業者に代わり作成した当該下請事業者との取引に係る伝票の発行枚数若しくは当該伝票の記載行数に一定額を乗じて得た額
 をそれぞれ負担するよう要請し、前記要請に応じた下請事業者に対し、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。 

(勧告の概要)
ア  平成18年2月から同19年11月までの間に、「仕入歩引」等と称して下請代金の額から減じていた額(総額6924万1789円)を下請事業者(156名)に対して速やかに支払うこと。
イ  減額行為が下請法の規定に違反するものである旨及び今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることをしない旨を取締役会の決議により確認すること。
ウ  今後、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることがないよう、自社の発注担当者に対する下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じるとともに、その内容等を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
エ  前記ア、イ及びウに基づいて採った措置を取引先下請事業者に周知すること。

2008年4月 2日 (水)

ヤフーの新たな個人情報漏洩事案(総務省)

  「ヤフーの情報漏洩」と聞くと、つい反応してしまうのですが、本日(4/2)、総務省が、「他人の通信のヘッダー情報の漏えい事案に関するヤフー株式会社に対する措置」というのを公表しています。
 ヤフー株式会社が他人の通信のヘッダー情報を漏えいした事案に関して、総務省が、同社に対し、通信の秘密に係る情報の適正な管理の徹底を文書により指導した、ということです。 なお、既にヤフーは、3月18日にこの事実を発表しています。
 あえて、コメントしませんが・・・・・・
 → 総務省サイト報道資料
 → ヤフーの3月18日付プレスリリース

  ヤフーの提供する「Yahoo!メール」約5万7千通において、平成19年10月31日から本年2月21日までの間、メールサーバーのソフトウェアの不具合により、受信メールに他人の通信のヘッダー情報(送信日時、送信元メールアドレス、あて先メールアドレス、件名、経路情報)が追加して表示された事案が発生した、ということについて、3月24日、ヤフーから総務省に対して、電気通信事業法28条に基づく報告があったようです。
 なお、通信本文は漏洩していない、とのこと。

 このヤフーからの報告の概要によれば、この情報漏洩の発生原因は、
(1) メールサーバーにインストールしたソフトウェアの不具合。
(2) 当該ソフトウェアをインストールする前、本番環境の試験において本不具合を発見したにもかかわらず、内部の連絡の不手際により不具合のあるソフトウェアをインストールしたこと。
(3) インストールした後に複数のメールサーバー間での相互チェックは行なっていたが、すべてのメールサーバーに不具合のあるソフトウェアをインストールしたため、間違いが発見できなかったこと。
 とのことであり、
 主な再発防止策としては、
(1) ソフトウェアの不具合がテスト環境で発見できるよう、本番環境に近いテスト環境を整備すること。
(2) ソフトウェアをインストールの際、正しいソフトウェアであることを第三者が確認するなどチェック体制を強化すること。
(3) 正しいソフトウェアがインストールされたメールサーバー(基準機)を決め、このメールサーバーと他のメールサーバー間での確認を実施すること。
 としています。

 これに対する総務省の本日付の指導文書の内容は、

「通信のヘッダー情報は、通信の秘密として保護されるものであるが、本事案については、1)メールサーバーにインストールしたソフトウェアに不具合があったこと、2)インストール前の本番環境での試験において本不具合を発生していたにもかかわらず、ソフトウェアをインストールする際の不手際から不具合のあるソフトウェアをインストールしてしまったとのことであり、貴社の通信の秘密の保護に対する安全管理措置が不十分であったと言わざるを得ない
  貴社においては、通信の秘密の保護に関する意識の向上を図り、通信の秘密に係る情報の適正な管理を徹底し、再発防止に努めるよう厳重に注意する。
  なお、当省としては、貴社の再発防止に係る今後の取組いかんによっては、更なる指導等を行うこともあり得ると考えているところであり、再発防止策を早急に実施するとともに、その実施状況について、平成20年6月末までに報告されたい。 」

となっています。

小川一水「天涯の砦」読了とエイプリルフール

 昨日の2つの記事で、「エイプリルフール」という言葉を使いましたが、とあるブログですっかり騙されてしまいました・・・・という話。

 昨日は朝から名古屋地裁で裁判でした。その往復で、小川一水「天涯の砦」(早川書房)を読み終えました。
 昨年あたりから、すっかり大昔のSF少年時代に帰らせてもらって、何冊も読ませてもらった作者の本です。
 彼のブログは、「小川遊水池@blog」

 で、4月1日早くのブログ記事に、「よそでも追悼」というのがあり、先日亡くなったSFの大家アーサー・C・クラークが最後まで住んでいたスリランカの政府が彼の構想していた宇宙エレベーターを実際に計画したと政府の公式ブログに発表したようなことを書いていました。→ そのサイト

 アーサー・C・クラークと言えば、私にとっては映画「2001年宇宙の旅」。子供の頃、テレビで何度か見て、感動しながらも、その意味するところがよくわからんかったのに(今でもわからんところがあるが)、強烈な印象を受けました。
 なんでもアーサー・C・クラークは、スリランカが地球の重力に関して特別な場所であると考えていたということで(マニアではないので、不正確かもしれぬ)、ということらしい。

 私は他のブログなどでの記事も見て、その計画の実現性はともかくとして、クラーク氏の考えも含めて、いたって感動したのだけれど、さきほど4月2日に入ってすぐに、小川氏の上記ブログに、「例の日でした」という記事がアップされました。

 う~~む、この「宇宙エレベータ」ネタを使って、真剣に当ブログの記事を作ろうかと考えていたのに。。。。 昨日は朝から仕事で忙しくて、それができなかったのだけれど・・・よかった。恥かくとこだった。

【追記】(9/19)
 今朝の朝日新聞が、「エレベーターで宇宙へ」という記事を載せていました。いいですねぇ。

 でも、実現したとしても、私は、その頃は、もっと上のほうから眺めていることになるんでしょうか。

 → 日本宇宙エレベーター協会サイト

2008年4月 1日 (火)

高値仕入れのガソリンの安値販売は、不当廉売か?(独禁法)

 さて、話題のガソリン値下げの問題ですが、揮発油税の暫定税率の法的根拠がなくなったとはいえ、既に暫定税が上乗せされて高い価格で仕入れたガソリンを今日から赤字覚悟で安売りしているガソリンスタンドも多いようで、テレビのニュースでもそんな状況を追いかけていますね。(税金が減って安く仕入れたのをその分安く販売するのは問題ない、というのは当然。)

 これは、一種のエイプリルフールの冗談みたいなものなのかも、と思ったりしますね。このブログでは独占禁止法の観点から見てみたいのですが、これに関してもいくつか報道がされています。
 まず、仕入原価を割り込んで安い価格で販売することが、独禁法の「不公正取引」の「不当廉売」に該当しないか、というのが、第1の問題点ですね。
 これについては、3月31日の記者会見で、町村官房長官が、ガソリンスタンドが揮発油税の暫定税率が上乗せされた高い価格で仕入れたガソリンを、安い価格で販売することについて「独占禁止法上の問題はなんら生じない」と述べ、不当廉売などにはあたらないとの見方を示した、ということです。なぜ、問題にならないか、については語られていないのかな?
 新聞の記事の中には、公取委は「ケース・バイ・ケース」と言ったというのもありました(朝日)。
 日経はもっと詳しく、「公正取引委員会はガソリンの値下がりに伴い、給油所の不正行為が出ないかどうかを慎重に見極める方針だ。今回の事態をシェア拡大の機会に悪用し、競合他社に先駆けて原価割れで値引きしようとする給油所を厳しく監視する。 課税済みのガソリンを1日から値引きして売るのは、独占禁止法の不当廉売には抵触しないというのが公取の見解だ。ただ、過度の値引きが長期間継続し、競合他社の事業活動に困難が生じた場合には「不当廉売に当たる可能性もある」(取引部)とみている。」という報道をしています。
 うむ、ひょっとして、朝日のほうが的確でわかりやすいかもしれぬ。。。

 以下は、日経の記事の理解の参考に、という程度のものですけど、「不当廉売」と安売りは違うということについては、このブログで何度もしつこく書いてきました。
 例えば→ 「不当廉売規制と安売り規制は違うよ」(07/11/13)

 「不当廉売」は、独禁法で禁止されている「不公正な取引方法」の一般指定で定められている行為の1つで、
 一般指定 6項 「不当廉売」
  正当な理由がないのに商品又は役務を、その供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれのあること。
とされています。

 まず、「供給に要する費用を著しく下回る対価」かというのが問題ですが、公取委の「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(昭和59年)では、「通常の小売業においては、仕入価格を下回る価格がこれに当たると考えられ、実務上は、仕入価格を下回るかどうかを一つの基準としている。」とされていますので、この点だけを言えば、仕入価格を下回っていることは明らかです。

 ただ、「継続して」という要件もあり、これについて上記「考え方」では、「『継続して』とは、相当期間にわたって繰り返して廉売を行い、又は当該廉売を行っている販売業者の営業方針等から客観的にそれが予測されることであるが、毎日継続して行われることを必ずしも必要としない。 」とされています。例えば、短期間の「開店記念セール」などのようなものは、この要件に該当しないことになります。
 今回のケースでは、廉売(安売り)の期間が、この相当期間に該当するか否かが大きな問題となるでしょう。

 次に重要な要件として「他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること」というのがあります。突き詰めるとなかなか難しい要件ではありますが、おおざっぱに言ってしまえば、全体の状況によっては、これに該当する場合はあり得ると思います。

 さらに「正当な理由」の存否という要件もあります。
 これも詳しくは触れませんが、よく出される例としては、生鮮食料品や季節商品の見切り販売、きず物、はんぱ物の廉売などについては、不当廉売とはされません。これは、今回のガソリンの場合は、ちょっと違うように思うのですが、視点によっては、「正当な理由」ありという考え方もできるのかな、という気もします。今日の報道の状況を見てると、一般的には「正当な理由」と見てもよいかと、私は思います。
 他のスタンドが税金の安いガソリンを仕入れて安く販売している状態になったときに、高く仕入れていたガソリンをやむなく安く販売することは、それが仕入原価割れであっても違法にならないのは当然です。

 なお、上記の「不当廉売」とは全く別の問題として、石油元売り業者が売り先等に対して安売りしないように要請したり、ガソリンスタンドの同業者組合などが、お互いに安売りしないように申し合わせをする、といった場合には、独占禁止法上の問題が生じます。
 前者は、「不公正な取引方法」(再販売価格の拘束)、後者は「不当な取引制限」(価格カルテル)という問題になる可能性があります。

【追記】(4/2)
 今日の公取委事務総長定例会見で、この問題が取り上げられ(実は1週間前のこの会見でもこの件の質疑は出ていたのですが)、同じような話をしているようですね。
 時事の報道によれば、事務総長は、「一時的なコスト割れなら、直ちに不当廉売に該当するとは言えない」と述べ、独占禁止法に抵触しないとの考えを示し、原価割れで継続的に販売し、他社の事業活動を困難にする恐れがある場合は不当廉売に当たると指摘した、とされています。

【追記の追記】(4/3)
 上の4月2日の公取委事務総長定例会見の記事を、追加しました。
 → 「高値仕入ガソリン話の続き(公取事務総長会見)」(4/3)

デトックス商品の不当表示(景表法)

 これも、景品表示法不実証広告の規定(景品表示法4条2項)による排除命令の事案です。エープリルフールですが、洒落たウソを披露する才能もないので、いつもどおり淡々とまいります。

 本日(4/1)公正取引委員会は、株式会社ウィズダムコーポレーション及び株式会社ビューティーサイエンス研究所の2社に対し、2社が販売するデトックスによる痩身効果を標ぼうする商品に係る表示が、景品表示法4条2項により、同条1項1号(優良誤認)に該当する表示とみなされ、同号の規定に違反する事実が認められたので、2社に対して排除命令を行いました。
 → 公取委サイト報道発表資料

「デトックス」というのは、本来は解毒のことですが、最近は、特に女性向けに、身体から毒素、有害物質などを排出させる美容法、健康法などによく使われている言葉ですね。
 しかし、この手の不当表示は他にも山ほどありそうな感じがしますね。こういった事案については、景品表示法違反というよりは、詐欺罪の適用の可能性も積極的に検討すべきではないかと思います。
 こういった商法で吸い上げられた資金が流れていく先を考えれば、単にうっかり表示を信じた消費者も悪いというだけで済ませてはいけないんで、社会全体の問題であると思います。

 本件の対象商品は、摂取(粒状タイプ)、又は、煎じて飲用(茶葉タイプ)することにより、商品の含有成分(ゲルマニウム)によるデトックス効果により体内の老廃物を排出させるなどして痩身効果が得られること等を標ぼうする商品、ということです。 商品名は、「ゲルマデトックスダイエット」「ゲルマデトックスダイエットEX」「ゲルマデトックダイエットEX」「ゲルマ・デトックス・ダイエットティー」「ゲルマ・デトック・ハーブティー 」「ゲルマデトックスダイエット」となっています。

(違反事実の概要)
 2社は、それぞれ、前記商品を一般消費者に販売するに当たり、ウェブサイト又は新聞折り込みチラシにおいて、あたかも、当該商品を摂取すること又は煎じて飲用することにより、含有成分のゲルマニウムによるデトックス効果によって、体内に蓄積した老廃物を排出させるなどして痩身効果が得られるかのように示す表示を行っているが、当委員会が2社に対し当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、ウィズダムコーポレーションは、期限内に表示の一部に係る資料を提出したが、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであり、その他の表示に係る資料の提出はなく、また、ビューティーサイエンス研究所からは期限内に資料の提出がなかった。

(排除措置の概要)
ア  前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものである旨を公示すること。 
イ  ウィズダムコーポレーションにあっては、再発防止策を講じ、これを役員及び従業員に周知徹底させること。 
ウ  今後,同様の表示を行わないこと。 

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